(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態にかかるトイレ装置及び衛生洗浄装置を表す斜視図である。
図1に表したように、トイレ装置2は、洋式腰掛便器(以下説明の便宜上、単に「便器」と称する)4と、衛生洗浄装置10と、を備える。衛生洗浄装置10は、便器4の上に取り付けられる。衛生洗浄装置10は、便器4に対して一体的に取り付けてもよいし、便器4に対して着脱可能に取り付けてもよい。
【0018】
衛生洗浄装置10は、本体部12と、便座14と、便蓋16と、を有する。便蓋16は、衛生洗浄装置10に必要に応じて設けられ、省略可能である。便座14と便蓋16とは、本体部12に対して回転可能に軸支されている。
【0019】
ここで、本願明細書においては、便座14に座った使用者からみて上方を「上方」とし、便座14に座った使用者からみて下方を「下方」とする。また、開いた状態の便蓋16に背を向けて便座14に座った使用者からみて前方を「前方」とし、後方を「後方」とし、右側を「右側方」とし、左側を「左側方」とする。
【0020】
便器4は、ボウル部4aを有する。ボウル部4aは、下方に凹む凹状である。便器4は、ボウル部4aにおいて使用者の尿や便などの排泄物を受ける。
【0021】
衛生洗浄装置10の本体部12は、便器4のボウル部4aよりも後方の部分の上に取り付けられる。本体部12は、ケーシング20を有する。ケーシング20は、ケースカバー22とベースプレート24を有する。ベースプレート24は、ケースカバー22の下端を塞ぐ。換言すれば、ケースカバー22は、ベースプレート24の上に取り付けられる。本体部12は、ケースカバー22において、便座14及び便蓋16を回転可能に軸支する。
【0022】
図2は、実施形態に係る衛生洗浄装置の要部構成を表すブロック図である。
図2に表したように、衛生洗浄装置10は、洗浄水供給部30と、着座検知センサ31と、人体検知センサ32と、洗浄ノズル34と、ノズル洗浄室36と、噴霧ノズル38と、脱臭ユニット40と、制御部42と、を有する。
【0023】
着座検知センサ31は、使用者が便座14に着座する直前において便座14の上方に存在する人体や、便座14に着座した使用者を検知することができる。着座検知センサ31は、便座14に着座した使用者だけではなく、便座14の上方に存在する使用者を検知してもよい。このような着座検知センサ31としては、例えば、赤外線投受光式の測距センサを用いることができる。着座検知センサ31は、使用者が着座した際の荷重によってON/OFFが行われるスイッチであってもよい。着座検知センサ31は、使用者の着座の検知に応答して、着座の検知を表す信号を制御部42に出力する。
【0024】
人体検知センサ32は、例えば赤外線信号を利用した焦電センサであり、トイレ装置2が設置された室内(以下、トイレルームと称す)に入室した入室者を検知する。人体検知センサ32は、制御部42に接続されている。人体検知センサ32は、検知結果を制御部42に入力する。
【0025】
人体検知センサ32は、例えばドップラーセンサなどのマイクロ波センサであってもよい。マイクロ波のドップラー効果を利用したセンサや、マイクロ波を送信し反射したマイクロ波の振幅(強度)に基づいて被検知体を検出するセンサなどを人体検知センサ32として用いた場合には、人体検知センサ32は、トイレルームのドア越しに使用者の存在を検知することが可能となる。つまり、人体検知センサ32は、トイレルームに入室する前の使用者を検知することができる。
【0026】
制御部42は、洗浄水供給部30、人体検知センサ32、洗浄ノズル34、ノズル洗浄室36、噴霧ノズル38、及び脱臭ユニット40のそれぞれの動作を制御する。制御部42は、例えば、操作部44から入力される操作指示に応じて、各部の動作を制御する。操作部44は、本体部12に設けてもよいし、本体部12とは別に設けてもよい。操作部44は、いわゆるリモコンでもよい。制御部42と操作部44との間の通信は、有線でもよいし、無線でもよい。
【0027】
洗浄水供給部30は、流路開閉弁50と、熱交換器51と、電解槽52と、大気解放式のバキュームブレーカー(VB)53と、電磁ポンプ54と、流調・流路切替弁55と、を有する。
【0028】
流路開閉弁50は、開閉可能な電磁バルブであり、制御部42からの指令に基づいて洗浄水の供給を制御する。流路開閉弁50は、給水源から供給される洗浄水の給水と止水とを切り替える。
【0029】
熱交換器51は、流路開閉弁50の下流に設けられている。熱交換器51は、ヒータにより、給水源から供給された洗浄水を加熱して例えば規定の温度まで昇温させる。熱交換器51は、給水源から供給された洗浄水を、設定された温度の温水に変換する。以下、本願明細書において、「洗浄水」は、給水源から供給された水(冷水)と、熱交換器51によって温められた温水と、を含むものとする。
【0030】
熱交換器51は、例えばセラミックヒータなどを用いた瞬間加熱式(瞬間式)の熱交換器でもよいし、貯湯タンクを用いた貯湯加熱式の熱交換器でもよい。使用者は、操作部44を操作することにより温水温度を設定することができる。
【0031】
電解槽52は、熱交換器51の下流に設けられている。電解槽52は、一対の電極を有し、制御部42から送信された通電の制御信号に基づいて、電極間に流れる洗浄水(水道水)を電気分解する。電解槽52は、洗浄水に含まれる塩素イオンを電気分解することにより、次亜塩素酸(HClO)を含む液(以下、「機能水」と称する)を生成する。
【0032】
電解槽52を通過した洗浄水、及び電解槽52によって生成された機能水は、電磁ポンプ54を介して、洗浄ノズル34へ送られる。電磁ポンプ54は、例えば、洗浄ノズル34に供給される洗浄水に脈動を与える。
【0033】
洗浄ノズル34は、吐水部35を有する。吐水部35は、例えば、おしり洗浄吐水孔35aと、おしりソフト吐水孔35bと、ビデ洗浄吐水孔35cと、を有する。
【0034】
また、洗浄ノズル34は、おしり洗浄流路FC1と、おしりソフト流路FC2と、ビデ洗浄流路FC3と、ワイドビデ洗浄流路FC4と、を有する。おしり洗浄流路FC1は、おしり洗浄吐水孔35aに接続され、おしり洗浄吐水孔35aに洗浄水又は機能水を供給する。おしりソフト流路FC2は、おしりソフト吐水孔35bに接続され、おしりソフト吐水孔35bに洗浄水又は機能水を供給する。ビデ洗浄流路FC3及びワイドビデ洗浄流路FC4は、ビデ洗浄吐水孔35cに接続され、ビデ洗浄吐水孔35cに洗浄水又は機能水を供給する。但し、洗浄ノズル34が有する吐水孔及び流路は、これだけには限定されない。吐水孔の数は、上記のように流路の数と一致していなくてもよいし、流路の数と同じでもよい。
【0035】
洗浄ノズル34へ送られた洗浄水又は機能水は、吐水部35から上方に向かって吐水される。吐水部35から吐水された洗浄水は、便座14に着座した使用者の局部洗浄などに用いられる。また、洗浄ノズル34においては、ビデ洗浄流路FC3からビデ洗浄吐水孔35cに洗浄水を供給することにより、ビデ洗浄が行われ、ワイドビデ洗浄流路FC4からビデ洗浄吐水孔35cに洗浄水を供給することにより、ワイドビデ洗浄が行われる。機能水は、各吐水孔35a〜35c、及び各吐水孔35a〜35cへと至る流路の洗浄などに用いられる。このように、洗浄ノズル34は、4つの流路FC1〜FC4を有し、4つの流路FC1〜FC4のそれぞれから供給された洗浄水又は機能水を吐水可能に構成されている。
【0036】
電磁ポンプ54と洗浄ノズル34との間には、流調・流路切替弁55が設けられている。流調・流路切替弁55は、電磁ポンプ54を介して供給された洗浄水又は機能水の行き先を、おしり洗浄流路FC1、おしりソフト流路FC2、ビデ洗浄流路FC3、ワイドビデ洗浄流路FC4、ノズル洗浄室36、噴霧ノズル38、及び脱臭ユニット40のいずれかに切り替える。また、流調・流路切替弁55は、洗浄ノズル34の各吐水孔35a〜35cから吐水する洗浄水の吐水流量を変更する。
【0037】
ノズル洗浄室36は、吐水部36aを有する。ノズル洗浄室36は、吐水部36aから洗浄水又は機能水を吐水することにより、洗浄ノズル34の外面の洗浄、即ち胴体洗浄を行う。
【0038】
噴霧ノズル38は、便器4のボウル部4aの表面に洗浄水又は機能水を噴霧する。噴霧ノズル38は、ケーシング20の内部に設けてもよいし、ケーシング20の外部に取り付けてもよい。
なお、噴霧ノズル38に関する詳細は後述する。
【0039】
制御部42は、例えば、人体検知センサ32による使用者の入室の検知に応答して、噴霧ノズル38から便器4のボウル部4aの表面に水滴を噴霧する。すなわち、制御部42は、使用者が便器4を使用する前に、便器4のボウル部4aの表面を水滴で濡らす。これにより、ボウル部4aの表面に付着する汚物を軽減させることができる。
【0040】
また、制御部42は、例えば、人体検知センサ32がトイレルーム内の使用者を検知しなくなってから所定時間(例えば、90秒後)が経過した際に、噴霧ノズル38から便器4のボウル部4aの表面に機能水を噴霧する。すなわち、制御部42は、使用者が汚物を流し便器4の使用を終了した後に、ボウル部4aの表面を機能水(次亜塩素酸水)で濡らす。これにより、悪臭のもとになる菌が、ボウル部4aにおいて増えてしまうことを抑えることができる。便器4から悪臭が放出されることを抑えることができる。
【0041】
脱臭ユニット40は、トイレルーム内の空気を吸い込む。トイレルーム内の空気とは、主として便器4の外部の空気(ボウル部4a内以外の空気)をいう。脱臭ユニット40は、吸い込んだ空気に含まれる悪臭成分を捕集又は分解する。「悪臭成分」は、例えば、アンモニア成分である。脱臭ユニット40は、悪臭成分を捕集又は分解した空気を、ケーシング20の外部(トイレルーム)に吐き出す。
【0042】
脱臭ユニット40は、集塵フィルタ60と、ファン(送風部)61と、脱臭フィルタ62と、噴霧部63と、水受け部64と、吸気口65と、排気口66と、を有する。
【0043】
ファン61は、吸気口65からトイレルーム内の空気を吸い込み、吸い込んだ空気を排気口66からトイレルームへ吐き出す。集塵フィルタ60は、吸気口65とファン61との間に設けられ、吸い込んだ空気に含まれる塵や埃などが、ファン61へ送られることを抑制する。
【0044】
脱臭フィルタ62は、ファン61と排気口66との間に設けられる。噴霧部63は、脱臭フィルタ62よりも上方に設けられている。噴霧部63は、電磁弁を有する。噴霧部63は、制御部42の制御に基づいて開弁動作を行い、流調・流路切替弁55から供給された洗浄水又は機能水を、脱臭フィルタ62の上方から脱臭フィルタ62に向けて噴霧する。
【0045】
脱臭フィルタ62は、例えば、多孔質構造を有し、噴霧部63から噴霧された洗浄水又は機能水を保持する。水受け部64は、脱臭フィルタ62の下方に設けられ、脱臭フィルタ62から滴下した水を受ける。
【0046】
ファン61が作動すると、吸気口65から吸い込まれたトイレルーム内の空気が、脱臭フィルタ62内を通過する。脱臭フィルタ62が水分を保持した状態において、空気が脱臭フィルタ62内を通過すると、空気の中に含まれる悪臭成分が、脱臭フィルタ62に保持された水分に取り込まれる。例えば、空気中に含まれるアンモニア(NH
3)が、脱臭フィルタ62に保持された水分に溶解する。これにより、空気中に含まれる悪臭成分を低減させることができる。
【0047】
悪臭成分が低減された空気は、排気口66からトイレルームへ排出される。このように、脱臭ユニット40は、トイレルーム内に常在する悪臭成分を捕集又は分解することができる。よって、使用者は、トイレルームに入室する際に、トイレルーム内に常在する悪臭成分による臭気を吸う可能性が低くなり、快適にトイレルームを利用できる。
【0048】
制御部42は、例えば、使用者のトイレ装置2の使用頻度の低い時間帯においては、ファン61の動作を停止させる。そして、制御部42は、使用者のトイレ装置2の使用頻度の高い時間帯においては、ファン61を動作させるとともに、定期的に噴霧部63を動作させ、脱臭フィルタ62に水分を保持させる。
【0049】
これにより、使用者がトイレルームに入室する可能性が高い時間帯において、トイレルーム内に常在する臭気を取り除くことができる。したがって、使用者が、トイレルーム内に常在する臭気を吸うことで、不快感を感じることを抑制することができる。
【0050】
図3は、洗浄水供給部、洗浄ノズル、噴霧ノズル、及び制御部の配置を表す斜視図である。
図3に表したように、洗浄水供給部30、洗浄ノズル34、噴霧ノズル38、及び制御部42は、ベースプレート24に取り付けられる。洗浄ノズル34は、例えば、ベースプレート24の左右方向の略中央に配置される。洗浄水供給部30は、例えば、洗浄ノズル34に隣接して配置される。
【0051】
洗浄水供給部30の電解槽52は、可撓性を有するチューブ47を介して熱交換器51と接続される。
噴霧ノズル38は、可撓性を有するチューブ39を介して洗浄水供給部30の流調・流路切替弁55と接続される。
【0052】
次に、噴霧ノズル38についてさらに説明する。
図4は、噴霧ノズルの取り付けを表す断面図である。
図4は、
図3のA1−A2線断面を表す。
図4に表したように、噴霧ノズル38は、接続部25によりベースプレート24のボウル部4a側の周縁近傍に取り付けられている。また、噴霧ノズル38の流入口38a2は、接続部25を介してチューブ39に接続されている。噴霧ノズル38は、便器4のリム部の上面に対して傾けて取り付けられている。
【0053】
図5は、噴霧ノズルの斜視図である。
図6は、噴霧ノズルの断面図である。
図6は、
図5のB1−B2線断面を表す。
図7は、
図6のC1−C2線断面を表す図である。
図8は、
図6のD1−D2線断面を表す図である。
図5及び
図6に表したように、噴霧ノズル38は、本体部38a、直進流・旋回流形成部38b、および動圧制御部38cを有する。
【0054】
本体部38aは、筒状を呈し、内部に洗浄水又は機能水が流れる流路38a1を有している。
本体部38aの外側面には、フランジ部38a4が設けられている。フランジ部38a4は、本体部38aの軸方向の中央近傍に設けることができる。本体部38aの流入口38a2側の端部の近傍には、雄ネジ部38a5が設けられている。雄ネジ部38a5は、接続部25に設けられた雌ネジ部に螺合される。雄ネジ部38a5とフランジ部38a4との間には、溝部38a6が設けられている。溝部38a6には、Oリング(O-ring)などのシール部材37が設けられる。
なお、本体部38aの形態は例示をしたものに限定されるわけではない。本体部38aは、流入口38a2と吐水口38a3を有し、内部に洗浄水又は機能水が流れる流路を有していればよい。
【0055】
流路38a1の一端は、本体部38aの一方の端部に開口し流入口38a2を形成している。流路38a1の他端は、本体部38aの他方の端部に開口し吐水口38a3を形成している。流入口38a2側から見て、吐水口38a3は、流入口38a2と重なる位置に設けられている。なお、
図5及び
図6に例示をした噴霧ノズル38は、流入口38a2側から見て、吐水口38a3の中心が流入口38a2の中心と重なっているが、吐水口38a3の中心が流入口38a2の中心からずれていてもよい。つまり、流入口38a2側から見て、吐水口38a3は、流入口38a2と重なる位置に設けられていればよい。
【0056】
直進流・旋回流形成部38bは、本体部38aの内部に設けられている。直進流・旋回流形成部38bは、流路38a1に設けられている。直進流・旋回流形成部38bは、後述する動圧制御部38cと、吐水口38a3との間に設けられている。本体部38aの軸方向と直交する方向において、直進流・旋回流形成部38bの一部は流路38a1の内壁と接触し、残りの部分が流路38a1の内壁から離隔することで流路が形成されている(
図8を参照)。
【0057】
そのため、本体部38aの軸方向と直交する方向における直進流・旋回流形成部38bの位置は、流路38a1の内壁により規定される。直進流・旋回流形成部38bは、流路38a1の段付き面と動圧制御部38cとの間に挟まれている。すなわち、本体部38aの軸方向における直進流・旋回流形成部38bの位置は、流路38a1の段付き面と動圧制御部38cとにより規定される。
【0058】
直進流・旋回流形成部38bの流入口38a2側の端部には溝38b4が設けられている。本体部38aの軸方向と直交する方向において、溝38b4は、直進流・旋回流形成部38bを貫通している。溝38b4は、洗浄水又は機能水が流れる流路となる。
【0059】
直進流・旋回流形成部38bは、内部に洗浄水又は機能水が流れる流路38b1を有している。流路38b1は、溝38b4と凹部38b2とに接続されている。流路38b1は、溝38b4を流れる洗浄水又は機能水の一部を直進流として凹部38b2に供給する。流路38b1は、例えば、直線状の孔とすることができる。
【0060】
直進流・旋回流形成部38bの吐水口38a3側の端部には、凹部38b2が設けられている。流路38b1は、溝38b4と凹部38b2とに接続されているので、溝38b4から流路38b1に流入し直進流となった洗浄水又は機能水が凹部38b2の内部に供給される。
【0061】
また、直進流・旋回流形成部38bの吐水口38a3側の端部には、流路38b3が設けられている。
【0062】
図7に表したように、流路38b3の一方の端部は、直進流・旋回流形成部38bの側面に開口している。流路38b3の他方の端部は、凹部38b2に接続されている。吐水口38a3側から見て、凹部38b2は円形を呈している。また、流路38b3は、凹部38b2の中心からズレた位置に接続されている。例えば、流路38b3の一方の内壁は、凹部38b2の接線方向に延びている。流路38b3の数は例示をしたものに限定されるわけではなく、1つ以上の流路38b3が設けられていればよい。また、流路38b3の形態は例示をしたものに限定されるわけではなく、凹部38b2の中心からズレた位置に洗浄水又は機能水が供給されればよい。
【0063】
直進流・旋回流形成部38bと流路38a1の内壁との間を流れた洗浄水又は機能水は、流路38b3を介して凹部38b2の内部に供給される。凹部38b2の内部に供給された洗浄水又は機能水は、凹部38b2の内壁に沿って流れる。そのため、凹部38b2の内部に洗浄水又は機能水の旋回流が形成される。洗浄水又は機能水の旋回流は、流路38b1により形成された洗浄水又は機能水の直進流と合流する。吐水口38a3から吐水される洗浄水又は機能水は旋回流と直進流とが合流したものとなるので、吐水の形態は略円錐状、且つ霧状となる。
【0064】
ここで、
図4に表したように、噴霧ノズル38は、ベースプレート24の周縁近傍に取り付けられている。そのため、噴霧ノズル38(本体部38a)の先端側が太くなると、ケースカバー22やベースプレート24の、噴霧ノズル38が取り付けられる領域に膨らみを持たせる必要が生じるなどして、ケースカバー22やベースプレート24のデザインの自由度が小さくなる。
【0065】
本実施の形態に係る噴霧ノズル38においては、流入口38a2側から見て、吐水口38a3は、流入口38a2と重なる位置に設けられている。そのため、噴霧ノズル38(本体部38a)の先端側の、軸方向に直交する方向の寸法を短くすることができる。すなわち、噴霧ノズル38(本体部38a)の先端側を細くすることができる。この場合、流入口38a2側から見て、吐水口38a3の中心が流入口38a2の中心と重なるようにすれば、噴霧ノズル38(本体部38a)の先端側をさらに細くすることができる。
噴霧ノズル38(本体部38a)の先端側を細くすることができれば、ケースカバー22やベースプレート24のデザインの自由度を大きくすることができる。
【0066】
ところが、流入口38a2側から見て、吐水口38a3が流入口38a2と重なる位置に設けられていれば、流入口38a2から流入した洗浄水又は機能水の一部が、流路38b1に直接供給される。そのため、流路38b1を流れる直進流の動圧が、直進流・旋回流形成部38bと流路38a1の内壁との間を流れる流れの動圧(旋回流を形成するための流れの動圧)よりも高くなり易くなる。直進流の動圧が、旋回流を形成するための流れの動圧よりも高くなりすぎると、吐水の霧化状態が悪くなるおそれがある。
【0067】
そこで、噴霧ノズル38の内部には、洗浄水又は機能水の直進流の動圧を制御する動圧制御部38cが設けられている。
動圧制御部38cは、本体部38aの内部に設けられている。動圧制御部38cは、流路38a1に設けられている。動圧制御部38cは、直進流・旋回流形成部38bの上流側(流入口38a2側)に設けられている。
【0068】
図6及び
図8に表したように、動圧制御部38cは、基部38c1と受け部38c2を有する。
動圧制御部38cは、流入口38a2から挿入された図示しない部材により押さえつけられることで、本体部38aの内部に固定されている。
基部38c1は、円板状を呈し、流入口38a2から流入した洗浄水又は機能水の流れを遮る。基部38c1は、切り欠き部38c1aと凹部38c1bを有する。切り欠き部38c1aと流路38a1の内壁との間、凹部38c1bと流路38a1の内壁との間は流路となる。
【0069】
受け部38c2は、筒状を呈し、基部38c1の流入口38a2側の面に設けられている。受け部38c2には、スリット38c2aが設けられている。流入口38a2の中央領域から流入し、受け部38c2の内部に流入した洗浄水又は機能水は、基部38c1と衝突する。洗浄水又は機能水が基部38c1と衝突することで動圧が低減される。基部38c1の面と衝突した洗浄水又は機能水の流れ方向は、本体部38aの軸方向と直交する方向に変えられる。流れ方向が変えられた洗浄水又は機能水は、スリット38c2aを介して受け部38c2の外側に流出する。
【0070】
受け部38c2の外側に流出した洗浄水又は機能水と、流入口38a2の周縁領域から流入した洗浄水又は機能水とが合流し、切り欠き部38c1aと流路38a1の内壁との間、および凹部38c1bと流路38a1の内壁との間を介して、動圧制御部38cの下流側に流出する。
【0071】
図6に表したように、動圧制御部38cの下流側に流出した洗浄水又は機能水の一部は、直進流・旋回流形成部38bの溝38b4に流入する。溝38b4に流入した洗浄水又は機能水の一部は流路38b1に流入し、残りの洗浄水又は機能水は、流路38a1の内壁の近傍を流れる洗浄水又は機能水と合流する。流路38b1に流入した洗浄水又は機能水は、流路38b1を流れることで直進流となり、凹部38b2の内部に供給される。合流した洗浄水又は機能水は、直進流・旋回流形成部38bと流路38a1の内壁との間を流れ、流路38b3を介して凹部38b2の内部に供給されることで旋回流が形成される。
【0072】
以上に説明したように、動圧制御部38cを設ければ、流入口38a2の中央領域から流入した洗浄水又は機能水の動圧を低減させ、動圧が低減された洗浄水又は機能水を流路38b1に流入させることができる。そのため、流路38b1を流れる直進流の動圧を低減させることができる。動圧の低減量は、基部38c1の流入口38a2側の面積などにより制御することができる。
すなわち、動圧制御部38cを設ければ、直進流の動圧を、流入口38a2から流入した洗浄水又は機能水の動圧よりも低くすることができる。
また、動圧制御部38cを設ければ、直進流の動圧を制御して、直進流の動圧と、旋回流を形成するための流れの動圧と、の差を少なくすることもできる。
【0073】
本実施の形態に係る噴霧ノズル38には動圧制御部38cが設けられているので、流入口38a2側から見て、吐水口38a3が流入口38a2と重なる位置に設けられていても吐水の霧化状態が悪くなるのを抑制することができる。
そのため、噴霧ノズル38(本体部38a)の先端側を細くしても吐水の霧化状態が悪くなるのを抑制することができる。その結果、ケーシング20(ケースカバー22、ベースプレート24)のデザインの自由度を大きくすることができる。
【0074】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、トイレ装置2や衛生洗浄装置10などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。