特許第6874403号(P6874403)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧 ▶ トヨタ車体株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6874403-燃料電池 図000002
  • 特許6874403-燃料電池 図000003
  • 特許6874403-燃料電池 図000004
  • 特許6874403-燃料電池 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6874403
(24)【登録日】2021年4月26日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】燃料電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0258 20160101AFI20210510BHJP
   H01M 8/10 20160101ALI20210510BHJP
【FI】
   H01M8/0258
   H01M8/10 101
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-18865(P2017-18865)
(22)【出願日】2017年2月3日
(65)【公開番号】特開2018-125259(P2018-125259A)
(43)【公開日】2018年8月9日
【審査請求日】2019年6月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】杉野 祐記
【審査官】 阿川 寛樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−293835(JP,A)
【文献】 特開2015−015218(JP,A)
【文献】 特開2007−335353(JP,A)
【文献】 特開2005−100950(JP,A)
【文献】 特開2011−187417(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00−8/0297, 8/08−8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜電極接合体と、
前記膜電極接合体を挟持する第1セパレータ及び第2セパレータと、
前記膜電極接合体と前記第1セパレータとの間に配置され、前記膜電極接合体側の第1面に設けられて反応ガスが流れる直線状の複数の第1流路と、前記第1セパレータ側の第2面に前記複数の第1流路の間に位置して設けられて前記複数の第1流路に生じた生成水が流れ込む直線状の複数の第2流路と、前記複数の第1流路と前記複数の第2流路とを連通させる連通孔と、を有するガス流路形成体と、を備え、
前記ガス流路形成体は、前記複数の第1流路及び前記複数の第2流路のうち隣接する第1流路と第2流路との間それぞれにおいて複数の前記連通孔が設けられ、前記隣接する第1流路と第2流路の間に設けられた前記複数の連通孔は前記複数の第1流路及び前記複数の第2流路が延在する延方向で近接配置された前記連通孔を1組とする連通孔群が前記延方向において間隔を空けて複数設けられるように設けられ、
前記ガス流路形成体は、前記複数の第1流路のうちの前記複数の第1流路と前記複数の第2流路とが並んだ配列方向で最も端に位置する2つの最外流路の少なくとも一方において前記第1面から前記第2面に貫通して前記最外流路と前記ガス流路形成体の前記配列方向における外側とを連通させる連通孔を有さない、燃料電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
膜電極接合体と、膜電極接合体を挟持するセパレータと、膜電極接合体とセパレータとの間に設けられ、反応ガスを流通させるガス流路形成体と、を備えた燃料電池が知られている。ガス流路形成体として、例えば複数のガス流路と、隣り合うガス流路の間に位置する複数の導水路と、複数のガス流路と複数の導水路とを連通させる連通路と、を有するガス流路形成体が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2014/013747号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、膜電極接合体とセパレータとの間にガス流路形成体が設けられた燃料電池では、ガス流路形成体のガス流路を流れる反応ガスがガス流路形成体の外側に流れ出ることがある。ガス流路形成体の外側に流れ出た反応ガスは発電に用いられないことから、発電性能が低下してしまう。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、ガス流路を流れる反応ガスがガス流路形成体の外側に流れ出ることを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、膜電極接合体と、前記膜電極接合体を挟持する第1セパレータ及び第2セパレータと、前記膜電極接合体と前記第1セパレータとの間に配置され、前記膜電極接合体側の第1面に設けられて反応ガスが流れる直線状の複数の第1流路と、前記第1セパレータ側の第2面に前記複数の第1流路の間に位置して設けられて前記複数の第1流路に生じた生成水が流れ込む直線状の複数の第2流路と、前記複数の第1流路と前記複数の第2流路とを連通させる連通孔と、を有するガス流路形成体と、を備え、前記ガス流路形成体は、前記複数の第1流路及び前記複数の第2流路のうち隣接する第1流路と第2流路との間のそれぞれにおいて複数の前記連通孔が設けられ、前記隣接する第1流路と第2流路の間に設けられた前記複数の連通孔は前記複数の第1流路及び前記複数の第2流路が延在する延方向で近接配置された前記連通孔を1組とする連通孔群が前記延方向において間隔を空けて複数設けられるように設けられ、前記ガス流路形成体は、前記複数の第1流路のうちの前記複数の第1流路と前記複数の第2流路とが並んだ配列方向で最も端に位置する2つの最外流路の少なくとも一方において前記第1面から前記第2面に貫通して前記最外流路と前記ガス流路形成体の前記配列方向における外側とを連通させる連通孔を有さない、燃料電池である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ガス流路形成体のガス流路を流れる反応ガスがガス流路形成体の外側に流れ出ることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施例1に係る燃料電池を構成する単セルの分解斜視図である。
図2図2(a)は、実施例1に係る燃料電池を構成する単セルの平面図、図2(b)は、図2(a)の領域Aにおけるガス流路形成体の拡大斜視図、図2(c)は、図2(a)の領域Bの拡大図である。
図3図3(a)は、図2(a)のC−C間の断面図、図3(b)は、図2(a)のD−D間の断面図である。
図4図4(a)は、実施例1の変形例1に係る燃料電池を構成する単セルの平面図、図4(b)は、実施例1の変形例2に係る燃料電池を構成する単セルの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0010】
実施例1の燃料電池は、反応ガスとして燃料ガス(例えば水素)と酸化剤ガス(例えば空気)との供給を受けて発電する固体高分子形燃料電池であり、多数の単セルを積層したスタック構造を有する。図1は、実施例1に係る燃料電池を構成する単セルの分解斜視図である。
【0011】
図1のように、単セル100は、アノード側セパレータ30、膜電極ガス拡散層接合体(MEGA:Membrane Electrode Gas diffusion layer Assembly)22、ガス流路形成体60、及びカソード側セパレータ32を備える。MEGA22は、例えばエポキシ樹脂やフェノール樹脂などからなる樹脂フレーム70の内側に配置されている。MEGA22、樹脂フレーム70、及びガス流路形成体60は、アノード側セパレータ30とカソード側セパレータ32とによって挟持されている。ガス流路形成体60は、MEGA22とカソード側セパレータ32との間に配置されている。ここで、カソード側セパレータ32は特許請求の範囲の第1セパレータの一例であり、アノード側セパレータ30は第2セパレータの一例である。
【0012】
図2(a)は、実施例1に係る燃料電池を構成する単セルの平面図、図2(b)は、図2(a)の領域Aにおけるガス流路形成体の拡大斜視図、図2(c)は、図2(a)の領域Bの拡大図である。なお、図2(a)は、カソード側セパレータ32側から見た単セル100の平面図であり、カソード側セパレータ32を透視してガス流路形成体60などを図示している。
【0013】
図2(a)のように、アノード側セパレータ30、樹脂フレーム70、及びカソード側セパレータ32を貫通する各種マニホールドが設けられている。具体的には、燃料ガス用の燃料ガス供給マニホールド80及び燃料ガス排出マニホールド82、酸化剤ガス用の酸化剤ガス供給マニホールド84及び酸化剤ガス排出マニホールド86、冷媒用の冷媒供給マニホールド88及び冷媒排出マニホールド90が設けられている。
【0014】
図2(b)のように、ガス流路形成体60は、断面形状が略波形となるように形成されている。ガス流路形成体60の一方の面には、直線状に延びた溝状であって、酸化剤ガスが流通する複数のカソードガス流路42が形成されている。カソードガス流路42は、MEGA22側に突出した凸部62の間に形成されている。ガス流路形成体60の他方の面には、直線状に延びた溝状の複数の導水路44が形成されている。導水路44は、カソード側セパレータ32側に突出した凸部64の間に形成されている。カソードガス流路42と導水路44とは、同じ方向に延びていて、交互に配列されている。すなわち、導水路44は、複数のカソードガス流路42のうちの隣り合うカソードガス流路42の間に設けられている。ここで、カソードガス流路42は特許請求の範囲における第1流路の一例であり、導水路44は第2流路の一例である。
【0015】
ガス流路形成体60は、カソードガス流路42と導水路44とを連通させる連通孔46を有する。連通孔46は、カソード側セパレータ32側に突出した凸部64にカソードガス流路42の延在方向に交差する方向に延びた溝38が形成されることで形成されている。溝38は凸部64に対してプレス成型を行うことで形成される。
【0016】
図2(a)及び図2(b)のように、酸化剤ガス供給マニホールド84に供給された酸化剤ガスは、ガス流路形成体60のカソードガス流路42を流通した後、酸化剤ガス排出マニホールド86から排出される。したがって、カソードガス流路42及び導水路44は、酸化剤ガス供給マニホールド84側から酸化剤ガス排出マニホールド86側に向かって直線状に延びている。なお、燃料ガスは、燃料ガス供給マニホールド80から燃料ガス排出マニホールド82へと、酸化剤ガスの流通方向と交差する方向に流れる。冷媒は、冷媒供給マニホールド88から冷媒排出マニホールド90へと、酸化剤ガスの流通方向と交差する方向に流れる。
【0017】
図2(a)及び図2(c)のように、樹脂フレーム70のうちの酸化剤ガス供給マニホールド84に接続された領域には、酸化剤ガス供給マニホールド84からガス流路形成体60に酸化剤ガスを導くための複数の溝74が設けられている。同様に、樹脂フレーム70のうちの酸化剤ガス排出マニホールド86に接続された領域には、ガス流路形成体60から酸化剤ガス排出マニホールド86に酸化剤ガスを導くための複数の溝74が設けられている。
【0018】
ガス流路形成体60を樹脂フレーム70の内側に配置するために、製造公差を考慮して、ガス流路形成体60と樹脂フレーム70との間には空隙72が形成されることがある。空隙72を流通する酸化剤ガスは発電に用いられないことから、樹脂フレーム70とガス流路形成体60との間の空隙72は狭いことが好ましく、空隙72がないことが最も好ましい。樹脂フレーム70とガス流路形成体60との間の空隙72が大きいと、酸化剤ガス供給マニホールド84から溝74を介して供給される酸化剤ガスがガス流路形成体60に流れ込み難くなり、空隙72を流通する酸化剤ガス(破線矢印)の量が増えてしまうためである。
【0019】
図3(a)は、図2(a)のC−C間の断面図、図3(b)は、図2(a)のD−D間の断面図である。なお、図3(a)は、図2(b)のC−C間に相当する部分の断面であり、図3(b)は、図2(b)のD−D間に相当する部分の断面である。また、図3(a)及び図3(b)では、アノードガス流路40とカソードガス流路42が同じ方向に延びているとして図示しているが、これはアノードガス流路40とカソードガス流路42の両方を図示するためであり、実際は交差する方向に延びている。
【0020】
図3(a)及び図3(b)のように、MEGA22は、電解質膜12、アノード触媒層14、カソード触媒層16、アノードガス拡散層18、及びカソードガス拡散層20を備える。電解質膜12の一方の面にアノード触媒層14が設けられ、他方の面にカソード触媒層16が設けられている。これにより、膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)10が形成されている。
【0021】
電解質膜12は、スルホン酸基を有するフッ素系樹脂材料又は炭化水素系樹脂材料で形成された固体高分子膜であり、湿潤状態において良好なプロトン伝導性を有する。アノード触媒層14及びカソード触媒層16は、電気化学反応を進行する触媒(例えば白金や、白金−コバルト合金)を担持したカーボン粒子(例えばカーボンブラック)と、スルホン酸基を有する固体高分子であり、湿潤状態で良好なプロトン伝導性を有するアイオノマーと、を含む。
【0022】
MEA10の両側面にアノードガス拡散層18及びカソードガス拡散層20が設けられている。アノードガス拡散層18及びカソードガス拡散層20は、ガス透過性及び電子伝導性を有する部材によって形成されており、例えばカーボンクロスやカーボンペーパなどの多孔質カーボン製部材によって形成されている。
【0023】
MEGA22を挟持してアノード側セパレータ30及びカソード側セパレータ32が設けられている。アノード側セパレータ30及びカソード側セパレータ32は、ガス遮断性及び電子伝導性を有する部材によって形成されており、例えばカーボンを圧縮してガス不透過とした緻密性カーボンなどのカーボン部材やプレス成型したステンレス鋼などの金属部材によって形成されている。
【0024】
アノード側セパレータ30は、断面形状が略波形となるように形成されていて、アノードガス拡散層18に供給される燃料ガスが流通するガス流路を形成するための凹凸を有する。アノードガス拡散層18とアノード側セパレータ30との間に、燃料ガスが流通する複数のアノードガス流路40が形成されている。
【0025】
カソード側セパレータ32は、断面形状が略平坦となるように形成されている。カソード側セパレータ32とカソードガス拡散層20との間にガス流路形成体60が設けられている。ガス流路形成体60は、ガス遮断性及び電子伝導性を有する部材によって形成されており、例えばカーボンを圧縮してガス不透過とした緻密性カーボンなどのカーボン部材やプレス成型したステンレス鋼などの金属部材によって形成されている。
【0026】
ガス流路形成体60は、上述したように、断面形状が略波形になるように形成されていて、カソードガス流路42及び導水路44を形成するための凹凸を有する。カソードガス流路42は、カソードガス拡散層20側に突出した凸部62の間に形成されている。したがって、カソードガス流路42は、カソードガス拡散層20とガス流路形成体60との間に形成されている。導水路44は、カソード側セパレータ32側に突出した凸部64の間に形成されている。したがって、導水路44は、カソード側セパレータ32とガス流路形成体60との間に形成されている。凸部64には、カソードガス流路42と導水路44とを連通させる連通孔46が形成されている。
【0027】
カソードガス流路42と導水路44とが連通孔46で連通することで、MEA10で燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応によって生成され、カソードガス流路42に排出された生成水が、カソードガス流路42から導水路44に移動することができる。このため、カソードガス流路42に水が滞留することが抑制され、その結果、発電性能が低下することが抑制される。
【0028】
図2(b)、図3(a)、及び図3(b)のように、ガス流路形成体60は、複数のカソードガス流路42と複数の導水路44とが並んだ方向(以下、流路配列方向と称す)で最も外側に位置するカソードガス流路42である最外流路48においてガス流路形成体60のカソードガス拡散層20側の面からカソード側セパレータ32側の面に貫通して最外流路48とガス流路形成体60の流路配列方向における外側とを連通させる連通孔が設けられていない。
【0029】
カソードガス流路42と導水路44とを連通させる連通孔46が設けられていることで、カソードガス流路42から導水路44に生成水が移動することに加え、カソードガス流路42を流れる酸化剤ガスも流路配列方向に流れるようになる(図2(b)及び図3(a)の矢印)。上述したように、ガス流路形成体60を樹脂フレーム70の内側に配置するために、製造公差を考慮して、ガス流路形成体60と樹脂フレーム70との間に空隙72が形成されることがある。この場合、例えばカソードガス流路42からなる最外流路48にガス流路形成体60の外部に接続する連通孔が設けられている場合では、カソードガス流路42を流通する酸化剤ガスがガス流路形成体60の外側に流れ出て、空隙72を流通することが起こり得る。ガス流路形成体60の外側に流れ出た酸化剤ガスは発電に用いられないことから、発電性能が低下してしまう。
【0030】
しかしながら、実施例1では、複数のカソードガス流路42と複数の導水路44とを連通させる連通孔46は設けられているが、最外流路48においてガス流路形成体60のカソードガス拡散層20側の面からカソード側セパレータ32側の面に貫通して最外流路48とガス流路形成体60の流路配列方向における外側とを連通させる連通孔は設けられていない。これにより、カソードガス流路42に生成水が滞留することを抑制できることに加えて、カソードガス流路42を流れる酸化剤ガスがガス流路形成体60の外側に流れ出ることを抑制できる。したがって、発電性能の低下を抑制できる。
【0031】
カソードガス流路42を流れる酸化剤ガスがガス流路形成体60の外側に流れ出ることを抑制する点から、流路配列方向の両端に位置する最外流路48の両方においてガス流路形成体60の外側と連通する連通孔が設けられていない場合が好ましいが、片方にのみ連通孔が設けられていない場合でもよい。
【0032】
図2(b)のように、カソードガス流路42から導水路44に生成水を効率的に移動させる点から、連通孔46は千鳥状に配置されていることが好ましい。すなわち、連通孔46は、カソード側セパレータ32側に突出した凸部64に所定ピッチ毎に設けられ、且つ、隣接する凸部64では1/2ピッチをずらして設けられていることが好ましい。
【0033】
なお、実施例1では、カソード側セパレータ32とカソードガス拡散層20との間にガス流路形成体60が設けられている場合を例に示したが、この場合に限られない。アノード側セパレータ30が略平坦な断面形状を有し、アノード側セパレータ30とアノードガス拡散層18との間にガス流路形成体60が設けられていてもよいし、アノード側及びカソード側の両方にガス流路形成体60が設けられていてもよい。また、実施例1では、アノード及びカソードの両方にガス拡散層を備える場合を例に示したが、ガス拡散層はアノード及びカソードの一方にのみ設けられていてもよいし、アノード及びカソードの両方ともガス拡散層を備えなくてもよい。
【0034】
図4(a)は、実施例1の変形例1に係る燃料電池を構成する単セルの平面図、図4(b)は、実施例1の変形例2に係る燃料電池を構成する単セルの平面図である。ガス流路形成体60、MEA10、アノード側セパレータ30、及びカソード側セパレータ32に関する構成は実施例1と同じであって、図4(a)のように、実施例1の変形例1の燃料電池を構成する単セル110では、ガス流路形成体60の側面のうちの酸化剤ガス供給マニホールド84及び酸化剤ガス排出マニホールド86に相対する側面以外の側面66a、66bと樹脂フレーム70との間の空隙72に埋込部材76が埋め込まれている。埋込部材76は、例えばガス流路形成体60の側面66a、66bそれぞれの一部に設けられている。埋込部材76は、ガス流路形成体60の側面66a、66bと樹脂フレーム70との間を完全に塞ぐように設けられていてもよいし、ガス流路形成体60の側面66a、66bと樹脂フレーム70との間の隙間を狭めるように設けられていてもよい。埋込部材76は、弾性を有する部材で形成されていることが好ましく、例えばブチルゴム系を主成分として形成されている。埋込部材76が設けられることで、酸化剤ガス供給マニホールド84側から酸化剤ガス排出マニホールド86側に向かって空隙72を酸化剤ガスが流通することが抑制される。なお、ガス流路形成体60の側面66a、66bそれぞれに複数の埋込部材76が設けられていてもよい。
【0035】
図4(b)のように、実施例1の変形例2の燃料電池を構成する単セル120では、埋込部材76はガス流路形成体60の側面66a、66bの全体にわたって設けられている。これにより、酸化剤ガス供給マニホールド84側から酸化剤ガス排出マニホールド86側に向かって空隙72を酸化剤ガスが流通することを効果的に抑制できる。なお、ガス流路形成体60の側面66a、66bの全体にわたって埋込部材76を設けたとしても、ガス流路形成体60の側面66a、66bを埋込部材76で完全に覆うことは難しいことから、実施例1で説明したように、最外流路48とガス流路形成体60の外側とを連通させる連通孔を設けないようにする。
【0036】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0037】
10 膜電極接合体
12 電解質膜
14 アノード触媒層
16 カソード触媒層
18 アノードガス拡散層
20 カソードガス拡散層
22 膜電極ガス拡散層接合体
30 アノード側セパレータ
32 カソード側セパレータ
38 溝
40 アノードガス流路
42 カソードガス流路
44 導水路
46 連通孔
48 最外流路
60 ガス流路形成体
62、64 凸部
66a、66b 側面
70 樹脂フレーム
72 空隙
74 溝
76 埋込部材
84 酸化剤ガス供給マニホールド
86 酸化剤ガス排出マニホールド
100〜120 単セル
図1
図2
図3
図4