(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記垂直面における前記各ホルダの回転軸の間隔をPVとすると、間隔PVは、下記式(A)で決定され、前記各マイクロフォンのオフセット量OFSは、間隔PV/2である請求項4に記載の音声レコーダ。
PV=(D/2+D/2+C)/2・・・式(A)
ここで、Dは各マイクロフォンの直径であり、Cは各マイクロフォン同士のクリアランスである。
前記連動機構は、両端が前記各ホルダの回転中心からそれぞれオフセットされた位置に連結されて、前記ホルダの一方の回転力を他方の前記ホルダに回転力として伝達する連結部材を含み、
前記連結部材は、アーム部と、アーム部の両端に設けられ前記各ホルダにそれぞれ連結される連結部とを有しており、前記アーム部の長手方向に対して同じ方向に屈曲したL字形状の連結部を備えている請求項9に記載の音声レコーダ。
前記本体部に対して前記振動板の振動に応じた電気信号を送信するための線材は、前記ホルダの前記回転中心を含む位置に形成された開口から引き出される請求項1〜10のいずれか1項に記載の音声レコーダ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
内向き姿勢(X−Y方式)においては、各マイクロフォンは両者の左右の間隔が空いているよりも、非特許文献1のように、各マイクロフォンの高さを段違いにして、各マイクロフォンを交差させて配置した方が、左右の位相差が低減されるため好ましい。
【0007】
しかしながら、非特許文献1において、外向き姿勢(A−B方式)と内向き姿勢(X−Y方式)との切り替えは、内向き姿勢(X−Y方式)において、各マイクロフォンを180°回転させる回転操作に加えて、各マイクロフォンを交差させるために、各マイクロフォンの高さを段違いにするためのスライド操作が必要になる。そのため、従来技術では、操作が煩雑であることに加えて、マイクロフォンを回転させる回転機構とスライド機構の2つの機構が必要になり、構造が複雑化するという問題があった。
【0008】
本発明は、左右一対のマイクロフォンを備えた音声レコーダにおいて、操作の煩雑化や構造の複雑化を招くことなく、位相差が少ない内向き姿勢(X−Y方式)と、外向き姿勢(A−B方式)とを切り替え可能な音声レコーダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の音声レコーダは、本体部、左右一対にマイクロフォン、および一対のホルダを備えている。左右一対のマイクロフォンは、本体部に設けられ、振動板をそれぞれ有し音声を集音する左右一対のマイクロフォンであって、振動板に対して直交する集音軸を軸方向とする。一対のホルダは、互いに平行な回転軸を中心にそれぞれ回転する状態で本体部に並べて配置され、各マイクロフォンを、それぞれの集音軸が回転軸に対して傾斜した姿勢で支持する一対のホルダであって、各マイクロフォンの集音軸が交差する内向き姿勢と、内向き姿勢から各マイクロフォンを180°回転させることにより、各マイクロフォンの集音軸が交差しない外向き姿勢との間で各マイクロフォンの姿勢を切り替える。平行な各回転軸の両方と直交する面を垂直面とした場合に、各マイクロフォンは、内向き姿勢において、それぞれの集音軸が垂直面と平行な垂直方向において互いに離間する方向に、各ホルダ上においてそれぞれの回転軸からオフセットして配置されている。
【0010】
内向き姿勢および外向き姿勢において、各集音軸は、垂直面に対して直交する水平面に対して平行であることが好ましい。
【0011】
各ホルダは、垂直方向において、各回転軸が互いに離間する方向にずらして配置されていることが好ましい。
【0012】
垂直面において、各ホルダの回転軸から集音軸までの距離である各マイクロフォンのオフセット量は同一であることが好ましい。
【0013】
垂直面における各ホルダの回転軸の間隔をPVとすると、間隔PVは、下記式(A)で決定され、各マイクロフォンのオフセット量OFSは、間隔PV/2であることが好ましい。
PV=(D/2+D/2+C)/2・・・式(A)
ここで、Dは各マイクロフォンの直径であり、Cは各マイクロフォン同士のクリアランスである。
【0014】
水平面における各ホルダの回転軸の間隔をPHとすると、間隔PHは、各マイクロフォンの2本の集音軸が交差する交差位置を基準に、下記式(B)で決定されることが好ましい。
PH=2L・cos(90°−θ/2)・・・式(B)
ここで、Lは、各集音軸において、交差位置から各ホルダの回転軸までの長さであり、θは、交差する2本の集音軸の角度である。
【0015】
内向き姿勢において、各マイクロフォンの振動板が交差することが好ましい。さらに、内向き姿勢において、各マイクロフォンの振動板は、各振動板の中心において交差することが好ましい。
【0016】
各ホルダの一方を回転させた場合に、他方を連動して回転させる連動機構を備えていることが好ましい。
【0017】
連動機構は、両端が各ホルダの回転中心からそれぞれオフセットされた位置に連結されて、ホルダの一方の回転力を他方のホルダに回転力として伝達する連結部材を含み、連結部材は、アーム部と、アーム部の両端に設けられ各ホルダにそれぞれ連結される連結部とを有しており、アーム部の長手方向に対して同じ方向に屈曲したL字形状の連結部を備えていることが好ましい。
【0018】
前記本体部に対して前記振動板の振動に応じた電気信号を送信するための線材は、ホルダの回転中心を含む位置に形成された開口から引き出されることが好ましい。
【0019】
振動板から引き出された線材の一端が接続される回路基板と、回路基板に設けられ、線材を通して、回路基板に巻き付けるための開口とを備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、左右一対のマイクロフォンを備えた音声レコーダにおいて、操作の煩雑化や構造の複雑化を招くことなく、位相差が少ない内向き姿勢(X−Y方式)と、外向き姿勢(A−B方式)とを切り替えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1および
図2に示すように、音声レコーダ10は、携帯型の小型のレコーダであり、本体部11と、左右一対のマイクロフォン12L、12Rを備えている。音声レコーダ10は、一対のマイクロフォン12L、12Rから入力される音声を録音する録音機能と、録音した音声を再生する再生機能とを備えている。本体部11は、例えば、6つの面を備えた略直方体形状をしている。一対のマイクロフォン12L、12Rは、本体部11の長手方向において対向する一方の面に設けられている。
【0023】
このような形状の本体部11の場合、一般的に、正姿勢は、
図1および
図2に示すように、本体部11の長手方向(X方向)を横向きにして、一対のマイクロフォン12L、12Rを音源に向けた姿勢となる。ここでは、この正姿勢を基準として6つの面を、次のように規定する。
【0024】
すなわち、まず、本体部11を正姿勢にした状態において、高さ方向(Z方向)において対向する上面と下面は、上面が本体部11の天面11Aと、下面が底面11Bとそれぞれ規定される。そして、本体部11の長手方向(X方向)において対向する2つの側面がそれぞれ前面11Cと後面11D、本体部11の幅方向(Y方向)において対向する2つの側面がそれぞれ左側面11Eと右側面11Fと規定される。
【0025】
天面11Aには、操作部13および表示部14が設けられている。操作部13には、例えば、録音ボタン、再生ボタン、停止ボタン、選曲ボタン、カーソル移動ボタンなどが含まれる。カーソル移動ボタンは、表示部14に表示される操作画面のカーソルを移動して、各種のメニュー項目の選択や、音声データが格納されるフォルダの選択などに使用される。
【0026】
表示部14は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)であり、録音や再生を行っている音声のファイル名やフォルダ名、再生時の音量レベルを表示する他、各種設定を行うための操作画面などを表示する。左側面11Eには、音量を調整するためのダイヤル15、右側面11Fには、イヤホンや外付けのマイクロフォンを取り付けるためのジャック16が設けられている。また、左側面11Eには、データを記憶するメモリーカードを装填するカードスロット(図示せず)などが設けられている。
【0027】
前面11Cには、一対のマイクロフォン12L、12Rが設けられている。マイクロフォン12Lは左用であり、マイクロフォン12Rは右用である。各マイクロフォン12L、12Rは、振動板(ダイヤフラム)18と振動板18を収容するケース19とを備えており、振動板18によって音声を集音する。ケース19は略円筒形状をしており、振動板18は、例えば、振動板18の振動を電気信号に変換する変換部などと一体的にユニット化されて構成されている。また、ケース19の開放端側には、例えば、金属製のメッシュ板などで構成され、内部の振動板18を保護するヘッドカバーが設けられている。
【0028】
振動板18は、略円形をした金属箔や合成樹脂膜で構成される。振動板18の一面が音源に向けられる集音面となり、各マイクロフォン12L、12Rにおいて、集音面と直交する軸が集音軸SAXとなる。集音軸SAXは、円筒形状のケース19の軸方向と一致する。
【0029】
(各マイクロフォン12L、12Rの姿勢切り替え)
前面11Cには、一対のマイクロフォン12L、12Rをそれぞれ支持する一対のホルダ21が設けられている。各マイクロフォン12L、12Rは、ケース19の基端側がそれぞれホルダ21に固定されている。本例においては、ケース19とホルダ21は一体に形成されている。もちろん、ケース19とホルダ21は一体に形成されていなくてもよい。
【0030】
各ホルダ21は、円形をしており、円形の中心位置が回転中心HO(
図6等参照)である。各ホルダ21の回転中心HOを通過する各回転軸RAXは、前面11Cと直交する方向(本体部11の長手方向(X方向))に延びており、互いに平行である。各ホルダ21は、互いに平行な回転軸RAXを中心にそれぞれが回転する状態で前面11Cに並べて配置される。各ホルダ21は、各マイクロフォン12L、12Rを、それぞれの集音軸SAXが回転軸RAXに対して傾斜した姿勢で支持する。
【0031】
各ホルダ21が回転することで、各マイクロフォン12L、12Rの姿勢が、
図1に示す姿勢と
図2に示す姿勢の間で切り替わる。具体的には、
図1に示すように、各マイクロフォン12L、12Rの集音軸SAXが交差する内向き姿勢と、内向き姿勢から各マイクロフォン12L、12Rを180°回転させることにより、
図2に示すように、各マイクロフォン12L、12Rの集音軸SAXが交差しない外向き姿勢との間で各マイクロフォン12L、12Rの姿勢が切り替わる。
【0032】
一般に、
図1に示す内向き姿勢は、X−Y方式と呼ばれ、
図2に示す外向き姿勢はA−B方式と呼ばれる。内向き姿勢(X−Y方式)は、外向き姿勢(A−B方式)と比較して、左右の各マイクロフォン12L、12Rの振動板18が幅方向(Y方向)において接近している。そのため、
図1に示すように、本体部11を正姿勢にした状態で、左右の各マイクロフォン12L、12Rを特定の音源に向けて音声を録音する場合には、特定の音源から左右の各マイクロフォン12L、12Rの振動板18までの距離の差が少ない。これにより、音源から左右の各マイクロフォン12L、12Rにそれぞれ到達する音波の位相差が低減される。
【0033】
内向き姿勢において、最も理想的な配置は、左右の各マイクロフォン12L、12Rの振動板18が、それぞれの中心において交差する位置であり、この位置では左右の位相差をゼロにすることができる。振動板18の中心とは、
図3に示すように、集音軸SAX上に位置する、振動板18の円形の面内の中心DOである。本例の内向き姿勢は、
図4に示すように、高さ方向(Z方向)から見て、左右の各マイクロフォン12L、12Rの振動板18の中心DOが交差する、理想的な配置としている。
【0034】
一方、外向き姿勢(A−B方式)は、特定の音源に加えて、その周囲の環境音を含めて集音することが可能な姿勢である。本例の外向き姿勢は、
図5に示すように、本体部11が正姿勢の状態で、左右の各マイクロフォン12L、12RのZ方向の高さが一致する姿勢である。外向き姿勢において、具体的には、各マイクロフォン12L、12Rの振動板18の中心DOの高さが一致する。
【0035】
また、各ホルダ21のそれぞれの回転中心HOを通る平行な各回転軸RAXの両方と直交する面(Y−Z平面)を垂直面とした場合、内向き姿勢および外向き姿勢においては、各集音軸SAXは、垂直面(Y−Z平面)と直交する水平面(X−Y平面)に対して平行である。
【0036】
(ホルダ21の回転軸RAXの高さ方向(Z方向)の位置)
また、
図6に示すように、各マイクロフォン12L、12Rは、内向き姿勢において、それぞれの集音軸SAXが垂直面(Y−Z平面)と平行な垂直方向である高さ方向(Z方向)において互いに離間する方向に、各ホルダ21上においてそれぞれの回転軸RAXからオフセットして配置されている。
【0037】
このようなオフセット配置とすることで、各マイクロフォン12L、12R同士を幅方向(Y方向)において接近させた場合でも、ケース19同士の干渉を回避できる。そのため、
図6に示すように、各マイクロフォン12L、12Rの集音軸SAXを交差させる内向き姿勢において、互いのケース19を干渉させることなく、ケース19同士を交差させることが可能となる。
【0038】
また、このようなオフセット配置とすることで、各マイクロフォン12L、12Rの回転操作のみで、ケース19同士が交差する位相差が少ない内向き姿勢と、各集音軸SAXが交差しない外向き姿勢との切り替えが可能になる。
【0039】
また、各ホルダ21上における各マイクロフォン12L、12Rのオフセットに加えて、各ホルダ21は、高さ方向(Z方向)において、各回転軸RAXが互いに離間する方向にずらして配置されている。これにより、ケース19の経が太くなっても、ケース19を交差させる配置を採用できるなど、設計の自由度が向上する。
【0040】
また、各マイクロフォン12L、12Rにおいて、オフセット方向は、
図6に示すように、一方が上方、他方が下方というように180°向きが異なるが、オフセット量については同一である。そのため、内向き姿勢から各ホルダ21を180°回転させて外向き姿勢にすると、各マイクロフォン12L、12Rの高さが一致する。
【0041】
各ホルダ21における各マイクロフォン12L、12Rのオフセット量や、各ホルダ21の回転中心HOを通る回転軸RAXの高さ方向における間隔は、具体的には次のように決められる。まず、各回転軸RAXの両方と直交する垂直面(Y−Z平面)内において、各ホルダ21の回転軸RAXの高さ方向(Z方向)の間隔をPVとする。本例のように、各マイクロフォン12L、12Rのケース19を交差させた状態の内向き姿勢と、各マイクロフォン12L、12Rの高さが一致する状態の外向き姿勢との間で、各マイクロフォン12L、12Rの姿勢を切り替えるためには、間隔PVは、次のように決められる。
【0042】
まず、
図6に示すAB線は、
図5に示すように、外向き姿勢において、Z方向において高さが一致する各マイクロフォン12L、12Rの各集音軸SAXを繋ぐ線である。内向き姿勢における間隔PVは、このAB線を基準に、次式(1)によって決定される。
PV=(D/2+D/2+C)/2・・・式(1)
ここで、Dは各マイクロフォン12L、12Rのケース19の直径であり、Cは各マイクロフォン12L、12Rの各ケース19同士のクリアランスである。
【0043】
そして、各ホルダ21の回転軸RAXは、間隔PVを空けて、かつ、各回転軸RAXをAB線から高さ方向に均等に離した位置に配置される。すなわち、AB線と各ホルダ21の回転軸RAXまでの高さ方向(Z方向)の距離はPV/2となる。クリアランスCは、任意の値であるが、ケース19が接触しない範囲で、できるだけ小さくすることが好ましい。
【0044】
また、本例においては、内向き姿勢から180°回転した外向き姿勢において、各マイクロフォン12L、12Rの高さが一致する。この場合のPV/2は、各ホルダ21上における、回転軸RAXからの集音軸SAXのオフセット量OFSに他ならず、すなわち、OFS=PV/2である。したがって、上記式(1)に従って間隔PVを決定すると、オフセット量OFSも決まる。
【0045】
このように各ホルダ21の回転軸RAXを、高さ方向において間隔PVを空けて配置することで、外向き姿勢において各マイクロフォン12L、12Rの高さを一致させつつ、内向き姿勢においては、各マイクロフォン12L、12Rのケース19を交差させた状態とすることが可能となる。
【0046】
(ホルダ21の回転軸RAX(回転中心HO)の幅方向(Y方向)の位置)
また、
図7に示すように、各マイクロフォン12L、12Rの集音軸SAXを交差させる場合において、各ホルダ21の回転軸RAXは、幅方向(Y方向)において間隔PHを空けて配置される。間隔PHは、Y−Z平面を垂直面とした場合に水平面となるX−Y平面における回転軸RAXの間隔であり、2本の集音軸SAXが交差する交差位置XPを基準に、次式(2)に基づいて決定される。
PH=2L・cos(90°−θ/2)・・・式(2)
ここで、Lは、各集音軸SAXにおいて、交差位置XPから、ホルダ21の回転中心HOを通る回転軸RAXまでの長さである。θは、交差する2本の集音軸SAXの角度である。
【0047】
そして、各ホルダ21の回転軸RAXは、間隔PHを空けて、かつ、各回転軸RAXを交差位置XPから幅方向(Y方向)に均等に離した位置に配置する。すなわち、交差位置XPを通る直線XPLと各ホルダ21の回転軸RAXまでの幅方向(Y方向)の距離はPH/2となる。
【0048】
本例においては、内向き姿勢において、左右の位相差をゼロにするために、
図4に示したとおり、各マイクロフォン12L、12Rの振動板18の中心DOを一致させている。この場合には、振動板18の中心DOが交差する位置を、交差位置XPとして、上記式(2)にしたがって各ホルダ21の回転軸RAXの幅方向(Y方向)の位置が決定される。
【0049】
(ホルダの取り付け構造)
図8に示すように、本体部11は、天面11Aを有するトップカバー111と、底面11Bを有するボトムカバー112と、基板ユニット26とを備えている。基板ユニット26は、表示部14を構成する表示部本体14Aや操作部13を構成する操作部本体13Aなどの電気電子部品の他、エンコーダやデコーダなどの信号処理回路、内蔵のICメモリなどの各種の電気電子回路を備え、これらを組み立てて一体化したものである。トップカバー111とボトムカバー112は、例えばビス27によって結合される。
【0050】
図9に示すように、トップカバー111とボトムカバー112には、それぞれの前面11Cにおいて、ホルダ21の円形の外周縁と係合する半円形の切り欠き28が形成されている。トップカバー111とボトムカバー112が結合されると、各カバー111、112の切り欠き28がホルダ21を挟んで対向する形でそれぞれがホルダ21と係合する。この係合により、各ホルダ21は、各カバー111、112の前面11Cにおいて、各ホルダ21の回転中心HOを通る回転軸RAX回りに回転自在に支持される。
【0051】
(ホルダの連動機構)
図9および
図10に示すように、音声レコーダ10は、各マイクロフォン12L、12Rの一方のホルダ21を回転させた場合に、他方のホルダ21を連動して回転させる連動機構を備えている。連動機構は、各ホルダ21の一方の回転力を他方のホルダ21に回転力として伝達する。本例の連動機構は、連結部材31で構成される。
【0052】
連結部材31は、アーム部31Aと、アーム部31Aの両端に設けられ、各ホルダ21にそれぞれ連結される連結部31Bとを備えている。各連結部31Bが、連結ピン32によって各ホルダ21にそれぞれ固定される。
図10に示すように、各ホルダ21の裏面には、連結部材31を取り付けるための取り付け板33が設けられており、取り付け板33はビス34によって各ホルダ21に取り付けられる。取り付け板33には、連結ピン32を軸支する嵌合穴33Aが形成されている。各連結部31Bは、連結ピン32を介してホルダ21に取り付けられる。各連結部31Bは、ホルダ21に対して連結ピン32の軸回りに回動自在に支持される。
【0053】
図11に示すように、各連結部31Bは、各ホルダ21の回転中心HO(回転軸RAX)からそれぞれオフセットされた位置に連結されている。このような位置関係で連結された連結部材31の作用により、一方のホルダ21が回転した場合に、そのホルダ21の回転力が他方のホルダ21に回転力として伝達される。
【0054】
各ホルダ21において、回転中心HOを含む位置には、各ケース19内から線材37を引き出す引き出し開口38が形成されている。線材37は、本体部11に対して振動板18の振動に応じた電気信号を送信する信号線である。各ホルダ21は回転するため、各ホルダ21の回転中心HOに引き出し開口38が形成されていると、引き出し開口38が回転中心HOから外れた位置に形成されている場合と比べて、各ホルダ21が回転しても線材37がねじれにくい。
【0055】
また、本例においては、各ホルダ21が回転する際に、線材37と連結部材31が交差しないように、次のような工夫が施されている。すなわち、連結部材31において、各連結部31Bは、連結部材31の長手方向に対して同じ方向に屈曲したL字形状をしている。そして、このような形状の連結部材31は、
図11に示すような取り付け姿勢で各ホルダ21に取り付けられる。すなわち、各連結部31Bの回転軸となる連結ピン32と、ホルダ21の回転中心HOとが高さ方向(Z方向)において並ぶ状態において、アーム部31Aの両端が、それぞれ連結ピン32を挟んで各回転中心HOと反対側に位置する取り付け姿勢である。
【0056】
連結部材31に対して、連結部31Bの形状的な工夫を施し、その連結部材31をホルダ21に対して
図11に示すような取り付け姿勢とすることで、各ホルダ21が内向き姿勢と外向き姿勢の間で回転する180°の回転範囲では、連結部材31が、引き出し開口38から引き出される線材37とアーム部31Aとが交差することが防止される。
【0057】
また、連結部材31は、連動させる各ホルダ21の回転方向が一致するように取り付けられている。すなわち、
図11において、一方のホルダ21を時計方向に回転させると、他方のホルダ21も時計方向に回転する。
【0058】
また、
図10において、左右のマイクロフォン12L、12Rの一方(本例では右側のマイクロフォン12R)のホルダ21には、回転時にホルダ21に対して回転力を付与するトルクヒンジ41が取り付けられている。
【0059】
本例のトルクヒンジ41は、各マイクロフォン12L、12Rを内向き姿勢と外向き姿勢のそれぞれの姿勢で安定させるために設けられる。トルクヒンジ41は、内向き姿勢と外向き姿勢の一方の姿勢から他方の姿勢に向けてホルダ21が回転を開始した場合に、各ホルダ21に対して所定の回転力を付与する。具体的には、トルクヒンジ41は、ホルダ21が所定の回転位置に到達するまでは回転前の元の姿勢に復帰させる方向にホルダ21に対して回転力を付与し、所定の回転位置に到達後は、他方の姿勢に向かう方向にホルダ21に対して回転力を付与する。このようなトルクヒンジ41の作用によって、各マイクロフォン12L、12Rの姿勢が、内向き姿勢か外向き姿勢かのいずれかの姿勢で安定する。
【0060】
トルクヒンジ41は、回転軸部材42とホルダ21に固定される固定部43とを備えている。本例の固定部43は、短冊状をしている。回転軸部材42は、断面が円形をしており、外周の一部に、回転軸RAXと直交するY方向に突き出す凸状の当接部42Aが設けられている。トルクヒンジ41は、回転軸部材42の回転中心とホルダ21の回転中心HOとを一致させた状態でホルダ21に取り付けられる。
【0061】
固定部43には、当接部42Aが当接する回転規制部43Aが設けられている。当接部43Aの一方の面が、内向き姿勢において回転規制部43Aと当接し、180°回転した外向き姿勢において、当接部42Aの他方の面が回転規制部43Aと当接する。これにより、ホルダ21の回転範囲が、内向き姿勢と外向き姿勢の間の180°の範囲に規制される。
【0062】
ホルダ21には取り付け部材46が設けられており、トルクヒンジ41は、取り付け部材46の開口46Aに回転軸部材42を回転可能な状態で嵌合させることにより、ホルダ21に取り付けられる。取り付け部材46とトルクヒンジ41との間には、取り付け板33が配置される。トルクヒンジ41は、取り付け板33と固定部43との間に、連結部材31が進入可能な隙間を空けて取り付けられる。
【0064】
図12A、
図13Aに示すように、音声レコーダ10の各マイクロフォン12L、12Rが内向き姿勢にある場合は、各マイクロフォン12L、12Rの集音軸SAXは、X−Y平面と平行な状態にある。さらに、各マイクロフォン12L、12Rの集音軸SAXが交差しており、かつ、本例では、各振動板18の中心DOが交差している。そのため、左右のマイクロフォン12L、12Rの位相差がゼロになる。
【0065】
図12Aに示す内向き姿勢から、
図12Eに示す外向き姿勢に切り替える場合は、
図12Bに示すように、各マイクロフォン12L、12Rが互いに離れる方向に回転させる。本例では、
図12Bに示すように、各マイクロフォン12L、12Rを正面から見て反時計方向に回転させる。
図12Aに示す内向き姿勢から各マイクロフォン12L、12Rを90°回転させると、
図12Cに示す状態となり、135°回転させると、
図12Dに示す状態となる。さらに45°回転させると、
図12Eに示すように、内向き姿勢から180°回転した状態の外向き姿勢となる。
【0066】
外向き姿勢は、内向き姿勢から180°回転した状態であるため、内向き姿勢と同様に、各マイクロフォン12L、12Rの集音軸SAXは、X−Y平面と平行な状態になる。外向き姿勢においては、各マイクロフォン12L、12Rは、集音軸SAXが交差せず、互いに外向きになっている。また、本例では、外向き姿勢において、各マイクロフォン12L、12Rの高さが一致する。
【0067】
このように、各マイクロフォン12L、12Rは、内向き姿勢において、それぞれの集音軸SAXが、互いに離間する方向に、各ホルダ21上においてそれぞれの回転軸RAXからオフセットして配置されている。そのため、各マイクロフォン12L、12Rのケース19同士を交差させることが可能となり、左右の位相差が少ない内向き姿勢とすることができる。
【0068】
また、各ホルダ21は、内向き姿勢と、内向き姿勢から180°回転した外向き姿勢との間で回転自在であるから、回転操作のみで、内向き姿勢と外向き姿勢の2つの姿勢を切り替えることができる。そのため、回転操作に加えて、各マイクロフォンを交差させるためのスライド操作が必要な従来技術と比較して、本例の音声レコーダ10は、各マイクロフォン12L、12Rの姿勢を切り替えるための操作や構造が簡単になる。
【0069】
さらに、本例では、内向き姿勢において、各マイクロフォン12L、12Rの振動板18が、その中心において交差している。そのため、左右の位相差をゼロにすることができる。
【0070】
さらに、本例では、各ホルダ21の回転軸RAXから集音軸SAXまでの距離であるオフセット量OFSは、左右の各マイクロフォン12L、12Rにおいて、向きは180°反対であるが、同一である。そのため、内向き姿勢から180°回転した外向き姿勢において、各マイクロフォン12L、12RのZ方向の高さを一致させることができる。
【0071】
また、
図13Aに示すように、各マイクロフォン12L、12Rの状態遷移を裏面から見ると、各マイクロフォン12L、12Rを回転自在に支持するホルダ21は、連結部材31によって連結されている。そのため、
図13Bに示すように、各マイクロフォン12L、12Rの一方を回転させると、連動機構の作用により、他方も連動して回転する。
【0072】
図13Aに示す内向き姿勢から各マイクロフォン12L、12Rを90°回転させると、
図13Cに示す状態となり、135°回転させると、
図13Dに示す状態となる。さらに45°回転させると、
図13Eに示すように、内向き姿勢から180°回転した状態の外向き姿勢となる。
【0073】
このように、連動機構により各ホルダ21が連動するので、各ホルダ21を別個に回転操作する必要がなく、ワンアクションで内向き姿勢と外向き姿勢の切り替えが可能となる。
【0074】
また、各ホルダ21において、回転中心HOを含む位置に形成された引き出し開口38から線材37が引き出されている。そのため、各ホルダ21および各マイクロフォン12L、12Rが回転しても、回転中心HOに近い位置に線材37が配置されるので、線材37がねじれにくい。これにより、線材37の断線を抑制することができる。
【0075】
さらに、上述したとおり、連結部材31において、アーム部31Aの両端には、アーム部31Aの長手方向に対して同じ方向に向けてL字形に屈曲する連結部31Bが設けられている。そして、このような連結部材31は、
図13Cに示すように、各連結部31Bの回転軸となる連結ピン32と回転中心HOとが高さ方向(Z方向)に並ぶ状態において、アーム部31Aの両端が、それぞれ連結ピン32を挟んで各回転中心HOと反対側に位置するように取り付けられる。
【0076】
そのため、
図13Aに示す内向き姿勢から、
図13Eに示す外向き姿勢に至る180°の回転範囲では、各ホルダ31が回転しても、アーム部31Aは、引き出し開口38の位置に進入することはない。これにより、連結部材31が、引き出し開口38から引き出される線材37と干渉することが防止されるので、干渉による線材37の断線が防止される。
【0077】
「変形例」
(線材の固定方法の工夫)
図14および
図15に示すように、各マイクロフォン12L、12Rから引き出された線材37を、基板ユニット26の回路基板26Aに接続する場合において、回路基板26Aに巻き付けて線材37を回路基板26Aに固定することが好ましい。
【0078】
線材37の一端37Aは、回路基板26Aに半田で固定される。上述したように、線材37を、ホルダ21の回転中心HOを含む位置に形成された引き出し開口38から引き出しても、ホルダ21が回転すると、線材37には多少のねじれが生じる。このようなねじれが生じると、線材37に張力等が作用するが、その力は、線材37の相対的に弱い部分である一端37Aに集中する。そうすると、線材37の断線が生じるおそれがある。
【0079】
そこで、回路基板26Aには、線材37を回路基板26Aに巻き付けるための巻き付け開口26Bが形成されている。線材37は巻き付け開口26Bを通されて、回路基板26Aに巻き付けられる。その状態で、一端37Aは回路基板26Aに半田で固定される。このような工夫を施すことで、ホルダ21の回転に応じて線材37に対して張力等が作用しても、回路基板26Aに巻き付く部分に張力等が分散するため、張力等が一端37Aに集中することが抑制される。これにより、線材37の断線が防止される。
【0080】
図14および
図15に示すように、回路基板26Aにおいて、巻き付け開口26Bは、ホルダ21からの線材37の引き出し開口38の近くに配置される。具体的には、巻き付け開口26Bは、本体部11の幅方向(Y方向)と高さ方向(Z方向)において、引き出し開口38の位置と対向する位置に配置されている。このような配置とすることで、引き出し開口38から引き出される線材37に対して、無用なねじれや曲がりを生じさせることなく、巻き付け開口26Bの位置にスムーズに伸ばすことができる。
【0081】
(各マイクロフォンが交差する状態の変形例)
上記例においては各マイクロフォン12L、12Rを
図16に示すように、振動板18の中心DOが交差していなくてもよく、振動板18の端部で交差していてもよい。また、
図17に示すように、各マイクロフォン12L、12Rのケース19の一部が交差しているだけでもよい。
図16や
図17に示す状態でも、各マイクロフォン12L、12Rが交差していない状態と比べれば、左右の位相差を低減できるという効果は得られるからである。もちろん、
図4に示したとおり、振動板18の中心DOで交差していることが、最も好ましい。上述のとおり、左右の位相差をゼロにできるからである。
【0082】
(連動機構の態様)
また、各ホルダ21の連動機構の態様について、上記例では棒状の連結部材31で構成した例で説明したが、連結部材31の形状は上記例に限らず他の形状でもよい。また、連結部材31の代わりにギアなどを使用して連動機構を構成してもよい。また、各ホルダ21および連動機構をモータで駆動してもよい。
【0083】
また、連動機構はなくてもよい。連動機構を設けない場合には、各ホルダ21を個々に回転操作する必要がある。しかし、その場合でも、回転操作に加えてスライド操作が必要な従来技術と比較すれば、回転操作のみで実現できるため、操作の簡単化や構造の簡単化という効果は得られる。
【0084】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記実施形態や変形例の組み合わせなど、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。