特許第6874465号(P6874465)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6874465
(24)【登録日】2021年4月26日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】油汚れ用洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 1/722 20060101AFI20210510BHJP
   C11D 1/72 20060101ALI20210510BHJP
   C23G 5/032 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   C11D1/722
   C11D1/72
   C23G5/032
【請求項の数】1
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-62910(P2017-62910)
(22)【出願日】2017年3月28日
(65)【公開番号】特開2018-165306(P2018-165306A)
(43)【公開日】2018年10月25日
【審査請求日】2019年9月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124349
【弁理士】
【氏名又は名称】米田 圭啓
(72)【発明者】
【氏名】森川 稔之
【審査官】 林 建二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−169882(JP,A)
【文献】 特開2002−254609(JP,A)
【文献】 特開平09−151399(JP,A)
【文献】 特開平07−126687(JP,A)
【文献】 特開2010−155904(JP,A)
【文献】 特開平11−323382(JP,A)
【文献】 特開2004−115715(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00−19/00
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
C23G 1/00−5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄剤組成物全量に対して、(A)式(1)で示されるHLBが5〜15の化合物を70〜90質量%、(B)式(2)で示されるHLBが3〜6の化合物を5〜15質量%、および(C)式(3)で示されるHLBが14〜18の化合物を5〜15質量%含有し、前記洗浄剤組成物の5質量%水溶液のpHが6〜8である油汚れ用洗浄剤組成物。

−O−(AO)a−H ・・・(1)
(式(1)中、Rは炭素数8〜10の分岐鎖アルキル基、AOは炭素数2〜3のオキシアルキレン基を示し、aはオキシアルキレン基の平均付加モル数でありa=4〜11であり、かつ、平均付加モル数が4以上のオキシエチレン基を少なくとも有する。)

−O−(AO)b−H ・・・(2)
(式(2)中、Rは炭素数12〜14の分岐鎖アルキル基または炭素数18の直鎖アルケニル基、AOは炭素数2〜3のオキシアルキレン基を示し、bはオキシアルキレン基の平均付加モル数でありb=2〜8である。)

−O−(EO)c−H ・・・(3)
(式(3)中、Rは炭素数12〜18の直鎖アルキル基を示し、EOはオキシエチレン基、cはオキシエチレン基の平均付加モル数でありc=15〜30である。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体油、変性油脂、グリース等の油汚れを除去するために用いられる油汚れ用洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
金属加工業やめっき業における脱脂や、水処理フィルターの洗浄など、油汚れの除去を目的とした洗浄は広く行われており、被洗浄物の材質は金属やセラミック、プラスチック、ガラス等、多岐に渡る。また、除去の対象となる油においても、液体油、変性油脂、グリース等、性状は様々である。
このような油汚れの洗浄剤として、例えば特許文献1には炭素数1〜6のアルキル基を有する非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、炭化水素、水を含む組成物が開示され、特許文献2には炭素数3〜9の分岐鎖アルキル基を有する非イオン界面活性剤、炭素数1〜9の直鎖アルキル基を有する非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、炭化水素、水を含む組成物が開示されている。
しかしながら、これらの組成物では、洗浄性は高いものの、洗浄時に泡立ってしまい、洗浄装置の排水処理に負荷をかけることがある。
【0003】
また、特許文献3には炭素数8〜10の分岐鎖アルキル基を有する非イオン界面活性剤、有機溶剤、水を含む組成物が開示されている。
しかしながら、本組成物では、有機溶剤の効果も相まって変性油の汚れ除去には優れるものの、洗浄液中への油の分散性に劣り、洗浄装置の液面接触部や被洗浄物に汚れが再度付着することがある。
【0004】
さらに特許文献4には、オキシエチレン基やオキシプロピレン基を有する非イオン界面活性剤とアニオン界面活性剤を含む組成物が開示されている。
しかしながら、本組成物では、液体油の洗浄には優れるものの、高粘性油分に対して洗浄効果を発揮するためには50℃以上の高温が必要であり、50℃未満においては、高粘性油分の除去効果が低いことがあり、また細部の洗浄に対しても洗浄効果が低いことがある。さらに、洗浄液中への油の分散性に劣り、洗浄装置の液面接触部に汚れが再度付着することがある。
このように、低泡性を示しつつ、洗浄液への油分の分散性を高めることで被洗浄物や洗浄装置などへの油分の再付着を防止し、高粘性油分に対しても洗浄性を発揮することができる油汚れ用洗浄剤組成物が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−140855号公報
【特許文献2】特開平11−323382号公報
【特許文献3】特開2008−111140号公報
【特許文献4】特開平8−73890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、油汚れの洗浄に用いられる洗浄剤組成物であって、泡立ちを抑制することで排水処理の負荷を低減し、油分の分散性を高めることで洗浄装置などへの油分の再付着を防止し、高粘性油分に対しても高い洗浄性を有する油汚れ用洗浄剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明者が鋭意検討した結果、分岐鎖アルキル基を有する非イオン界面活性剤と、HLB(親水親油バランス)の異なる2種類の非イオン界面活性剤とを組み合わせて用いることによって、泡立ちを抑制することで排水処理の負荷を低減し、油分の分散性を高めることで洗浄装置などへの油分の再付着を防止し、高粘性油分に対しても高い洗浄性を有する油汚れ用洗浄剤組成物が得られることを見出し、本発明の完成に至ったものである。
【0008】
すなわち本発明は、洗浄剤組成物全量に対して、(A)式(1)で示されるHLBが5〜15の化合物を70〜90質量%、(B)式(2)で示されるHLBが3〜6の化合物を5〜15質量%、および(C)式(3)で示されるHLBが14〜18の化合物を5〜15質量%含有し、前記洗浄剤組成物の5質量%水溶液のpHが6〜8である油汚れ用洗浄剤組成物である。
【0009】
−O−(AO)a−H ・・・(1)
(式(1)中、Rは炭素数8〜10の分岐鎖アルキル基、AOは炭素数2〜3のオキシアルキレン基を示し、aはオキシアルキレン基の平均付加モル数でありa=4〜11であり、かつ、平均付加モル数が4以上のオキシエチレン基を少なくとも有する。)
【0010】
−O−(AO)b−H ・・・(2)
(式(2)中、Rは炭素数12〜14の分鎖アルキル基または炭素数18の直鎖アルケニル基、AOは炭素数2〜3のオキシアルキレン基を示し、bはオキシアルキレン基の平均付加モル数でありb=2〜8である。)
【0011】
−O−(EO)c−H ・・・(3)
(式(3)中、Rは炭素数12〜18の直鎖アルキル基を示し、EOはオキシエチレン基、cはオキシエチレン基の平均付加モル数でありc=15〜30である。)
【発明の効果】
【0012】
本発明の油汚れ用洗浄剤組成物は、油汚れの洗浄時に用いられる洗浄剤組成物であって、泡立ちを抑制することで排水処理の負荷を低減し、油分の分散性を高めることで洗浄装置などへの油分の再付着を防止し、高粘性油分に対しても高い洗浄性を示すという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を説明する。
本発明の油汚れ用洗浄剤組成物(以下、単に「洗浄剤組成物」ともいう。)は、成分(A)、(B)、(C)を含有し、各成分(A)〜(C)の合計は100質量%である。以下、各成分について説明する。
【0014】
〔成分(A)〕
成分(A)は下記の式(1)で示される化合物であり、成分(A)として式(1)で示される化合物を1種または2種以上用いることができる。式(1)で示される化合物を用いることにより、浸透性を向上させ、高粘性油分に対して高い洗浄性を示すとともに、低泡性を向上させることができる。
【0015】
−O−(AO)a−H ・・・(1)
【0016】
式(1)中のRは、炭素数6〜10の分岐鎖アルキル基を示し、例えば、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、イソノニル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、イソデシル基等が挙げられる。特に炭素数8〜9の分岐鎖アルキル基が好ましい。Rの炭素数が小さすぎる場合や、大きすぎる場合、浸透性に劣り、高粘性油分に対する洗浄性が低下することがある。
【0017】
Oは炭素数2〜3のオキシアルキレン基を示し、aはオキシアルキレン基の平均付加モル数でありa=2〜15である。このポリオキシアルキレン鎖は同一のオキシアルキレン基が単独で付加して形成されていても良く、2種のオキシアルキレン基が混合して付加して形成されていても良い。特に、オキシエチレン基が単独で付加している化合物と、オキシエチレン基とオキシプロピレン基の2種が混合付加している化合物との2種類を少なくとも組み合わせることが好ましい。さらに、オキシエチレン基とオキシプロピレン基の混合付加化合物の付加形態がR−O−EO−PO−Hの順にブロック付加していることが特に好ましい。
また、オキシエチレン基が単独で付加している化合物においてはa=2〜6が好ましく、オキシエチレン基とオキシプロピレン基の混合付加化合物においてはa=5〜10が好ましい。
さらに、オキシエチレン基とオキシプロピレン基の混合付加化合物において、オキシエチレン基の平均付加モル数をa’、オキシプロピレン基の平均付加モル数をa’’とした場合、a’/a’’が0.5〜1.5であることが特に好ましい。これらの範囲の化合物を選択することで、浸透性をさらに高め、高粘性油分に対してより優れた洗浄性を達成するとともに、低泡性により優れた組成物を得ることができる。
【0018】
なお、成分(A)のHLBに規定はないが、好ましくはHLBが4〜13である。
【0019】
本発明の洗浄剤組成物における成分(A)の含有量は、70〜90質量%であり、好ましくは75〜85質量%である。成分(A)の含有量が少なすぎる場合、浸透性や低泡性に劣ることがあり、(A)成分の含有量が多すぎる場合、油分の分散性に劣り、被洗浄物や洗浄装置などに汚れが再度付着することがある。
【0020】
〔成分(B)〕
成分(B)は下記の式(2)で示される化合物であり、成分(B)として式(2)で示される化合物を1種または2種以上用いることができる。式(2)で示される化合物を用いることにより、油分の分散性を向上させ、被洗浄物や洗浄装置などへの汚れの再付着を防止することができる。
【0021】
−O−(AO)b−H ・・・(2)
【0022】
式(2)中のRは、炭素数12〜20の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基または炭素数12〜20の直鎖もしくは分岐鎖のアルケニル基を示し、好ましくは炭素数12〜14のアルキル基または炭素数12〜14のアルケニル基である。
の炭素数が小さすぎる場合、油分の分散性に劣り、被洗浄物や洗浄装置などに汚れが再度付着することがある。一方、Rの炭素数が大きすぎる場合、水に対する相溶性が低下するので、洗浄性が低下することがある。
【0023】
Oは炭素数2〜3のオキシアルキレン基を示し、bはオキシアルキレン基の平均付加モル数でありb=1〜20である。bが2以上の場合、ポリオキシアルキレン鎖は同一のオキシアルキレン基が単独で付加していても、2種の異なるオキシアルキレン基が混合して付加していても良い。好ましくは、オキシエチレン基とオキシプロピレン基の2種が混合付加している化合物であり、特に好ましくは、オキシエチレン基とオキシプロピレン基の混合付加形態がR−O−PO−EO−Hの順にブロック付加している化合物である。
さらに、オキシエチレン基とオキシプロピレン基の混合付加化合物において、オキシエチレン基の平均付加モル数をb’、オキシプロピレン基の平均付加モル数をb’’とした場合、b’/b’’が0.5〜0.8であることが特に好ましい。
【0024】
上記の式(2)で示される化合物はHLBが3〜6である。HLBが低すぎる場合、水に対する相溶性が低下するので、洗浄性が低下することがある。なお、オキシアルキレン基の平均付加モル数bを適宜設定することによりHLBが3〜6になるように調整することができる。
【0025】
本発明の洗浄剤組成物における成分(B)の含有量は、5〜15質量%であり、好ましくは7〜13質量%である。成分(B)の含有量が少なすぎる場合、油分の分散性に劣り、被洗浄物や洗浄装置などに汚れが再度付着することがある。一方、成分(B)の含有量が多すぎる場合、水に対する相溶性が低下するので、洗浄性が低下することがある。
【0026】
〔成分(C)〕
成分(C)は下記の式(3)で示される化合物であり、成分(C)として式(3)で示される化合物を1種または2種以上用いることができる。式(3)で示される化合物を用いることにより、油分の分散性を向上させ、被洗浄物や洗浄装置などへの汚れの再付着を防止することができる。
【0027】
−O−(EO)c−H ・・・(3)
【0028】
式(3)中のRは、炭素数12〜20の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基または炭素数12〜20の直鎖もしくは分岐鎖のアルケニル基を示し、好ましくは炭素数12〜14のアルキル基または炭素数12〜14のアルケニル基である。
の炭素数が小さすぎる場合、油分の分散性に劣り、被洗浄物や洗浄装置などに汚れが再度付着することがある。一方、Rの炭素数が大きすぎる場合、水に対する相溶性が低下するので洗浄性が低下することがある。
【0029】
cはオキシエチレン基の平均付加モル数であり、c=11〜50であり、好ましくはc=15〜40であり、特に好ましくはc=15〜30である。
【0030】
上記の式(3)で示される化合物はHLBが14〜18である。HLBが高すぎる場合、親水性が強くなることで浸透性や低泡性に劣ることがある。なお、オキシエチレン基の平均付加モル数cを適宜設定することによりHLBが14〜18になるように調整することができる。
【0031】
本発明の洗浄剤組成物における成分(C)の含有量は、5〜15質量%であり、特に7〜13質量%が好ましい。成分(C)の含有量が少なすぎる場合、油分の分散性に劣り、被洗浄物や洗浄装置などに汚れが再度付着することがある。一方、成分(C)の含有量が多すぎる場合、浸透性や低泡性に劣ることがある。
【0032】
本発明の油汚れ用洗浄剤組成物は、通常、水に溶解させた水溶液として用いられる。油汚れに対する洗浄性、分散性を示すためには、成分(A)、(B)、(C)を含有する本発明の洗浄剤組成物を、好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.5〜2.5質量%含有する水溶液であることが好ましい。
なお、水としては、例えば、上水や水道水、イオン交換水、精製水などを使用することができる。また、本発明の油汚れ用洗浄剤組成物を含有する水溶液を以下、油汚れ用洗浄液ともいう。
【0033】
また、本発明の油汚れ用洗浄剤組成物を5質量%含有する水溶液の室温におけるpHは6〜8が好ましい。pHが低すぎる場合、耐酸性に劣る材質に損傷を与えるおそれがあり、pHが高すぎる場合、成分(A)および成分(B)の水に対する相溶性が低下するために洗浄性が低下することがある。
【0034】
本発明の油汚れ用洗浄液は、保存安定性を向上させるために、水溶性溶剤を含有していても良い。水溶性溶剤としては、例えば、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール等のアルコール系溶剤;エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等のグリコール系溶剤;エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤;等が挙げられ、これらの1種または2種以上が用いられる。水溶性溶剤としてはグリコール系溶剤が好ましく、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールが特に好ましい。
本発明の油汚れ用洗浄液が水溶性溶剤を含有する場合における水溶性溶剤の含有量は、油汚れ用洗浄液中、5〜20質量%が好ましい。
【0035】
本発明の油汚れ用洗浄液はキレート剤を含有していても良い。キレート剤としては、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、フタル酸、クエン酸、マレイン酸、ケイ酸、グルコン酸、フマル酸、イミノジ酢酸等およびこれらの塩が挙げられ、これらの1種または2種以上が用いられる。キレート剤としては、エチレンジアミンテトラ酢酸、クエン酸およびこれらの塩が好ましい。
本発明の油汚れ用洗浄液がキレート剤を含有する場合におけるキレート剤の含有量は、油汚れ用洗浄液中、1〜10質量%が好ましい。
【0036】
本発明の油汚れ用洗浄液は、保存安定性を向上させるために、抗菌剤を含有していても良い。抗菌剤としては、例えば、安息香酸およびその塩、ウンデシレン酸およびその塩、ポリリジン、塩化ベンザルコニウム等が挙げられ、これらの1種または2種以上が用いられる。
本発明の油汚れ用洗浄液が抗菌剤を含有する場合における抗菌剤の含有量は、油汚れ用洗浄液中、0.01〜0.10質量%が好ましい。
【0037】
本発明の油汚れ用洗浄剤組成物は、被洗浄物に付着した油汚れの洗浄剤として機能する。被洗浄物としては、例えば、金属、セラミック、プラスチック、ガラス等が挙げられる。
【実施例】
【0038】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
【0039】
<油汚れ用洗浄剤組成物の調製>
表1、表2、表3に示す成分(A)、(B)、(C)を表4、表5に示す割合で混合して、油汚れ用洗浄剤組成物を調製した。なお、水希釈品のpHについては、成分(A)、(B)、(C)の合計含有量が5質量%の水溶液で室温において測定し、いずれの組成物もpH=7であることを確認した。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
<油汚れ用洗浄剤組成物の評価>
実施例と比較例について、下記の各試験を行った。結果を表4、表5に示す。
【0044】
(1)分散性の評価(液体油分)
成分(A)、(B)、(C)の合計含有量が0.5質量%となるように水を加えた油汚れ用洗浄液49.5gに液体油としてA重油0.5gを加え、25℃下、2分間撹拌した。静置5分後、A重油の分散状態を観察した。
(評価基準)
◎:分層なし
○:若干の分層あり
×:分層あり
【0045】
(2)洗浄性の評価(高粘性油分)
高真空用シリコーングリース(東レ・ダウコーニング社製)を約0.1g塗布したステンレスの試験片を、成分(A)、(B)、(C)の合計含有量が2.5質量%となるように水を加えた油汚れ用洗浄液に浸漬し、40℃下、30分間超音波洗浄した。洗浄後、試験片からのグリースの剥離率を観察した。
(評価基準)
◎:剥離率100%
○:剥離率80%以上100%未満
×:剥離率80%未満
【0046】
(3)洗浄性の評価(高粘性油分・細部汚れ)
アスファルトをトルエンに溶解させた溶液に100メッシュの金網を浸漬し、余分な液をろ紙に染み込ませて除き、送風乾燥でトルエンを除いた試験片を準備した。この試験片を、成分(A)、(B)、(C)の合計含有量が0.5質量%となるように水を加えた油汚れ用洗浄液に浸漬し、40℃下、20分間超音波洗浄した。洗浄後、試験片からのアスファルトの剥離率および試験片へのアスファルトの再付着を観察した。
(評価基準)
[洗浄性]
◎:剥離率100%
○:剥離率80%以上100%未満
×:剥離率80%未満
[再付着]
○:再付着なし
×:再付着あり
【0047】
(4)低泡性の評価
成分(A)、(B)、(C)の合計含有量が0.5質量%となるように水を加えた油汚れ用洗浄液に関して、JIS K3362の手順に則り、40℃における滴下直後の液面からの泡高さを測定した。
(評価基準)
◎:100mm未満
○:100mm以上、120mm未満
×:120mm以上
【0048】
【表4】
【0049】
【表5】
【0050】
実施例1〜7は、いずれも洗浄性、油分の分散性、低泡性が良好であった。
一方、比較例1では、成分(A)の含有量が少ないために浸透性が低下し、洗浄性が不十分であり、低泡性も不十分であった。
比較例2では、成分(C)が含まれていないので、細部汚れに対する洗浄性が不十分であり、油分の分散性が不十分であるため汚れの再付着が認められた。
比較例3では、成分(B)が含まれていないので、細部汚れに対する洗浄性と油分の分散性が不十分であった。
比較例4では、成分(A)のアルキル基の炭素数が本発明の規定範囲外であるので、洗浄性、油分の分散性、および低泡性が不十分であった。
比較例5では、成分(B)のHLBが本発明の規定範囲外である成分(A−6)を用いているので、低泡性および細部汚れに対する洗浄性が不十分であった。また、油分の分散性が不十分であるため汚れの再付着が認められた。
比較例6では、成分(A)のオキシアルキレン基の平均付加モル数が本発明の規定範囲外であるので、洗浄性、油分の分散性、および低泡性が不十分であった。
比較例7では、成分(C)のアルキル基の炭素数が本発明の規定範囲外である成分(A−7)を用いているので、低泡性が不十分であり、また油分の分散性が不充分であるため汚れの再付着が認められた。