(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施形態について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0015】
[リチウムイオン二次電池]
図1は、本実施形態にかかるリチウムイオン二次電池の模式図である。
図1に示すように、本実施形態にかかるリチウムイオン二次電池100は、発電素子1と外装体2とを備える。発電素子1は、外装体2に設けられた収容空間Kに収容される。
図1では、理解を容易にするために、発電素子1が外装体2内に収容される直前の状態を図示している。
【0016】
(発電素子)
図2は、本実施形態にかかるリチウムイオン二次電池の断面模式図である。
図2に示すように、発電素子1は、正極10と負極20とセパレータ30とを有する。
図2に示す発電素子1は、正極10と負極20とが、セパレータ30を挟んで対向配置され、捲回されてなる捲回体である。正極10及び負極20のそれぞれには、外部との電気的接続のための端子15、25が設けられている。
【0017】
図3は、本実施形態にかかる非水電解質二次電池における捲回体を展開した図である。 正極10は、板状(膜状)の正極集電体12に正極活物質層14が設けられたものである。負極20は、板状(膜状)の負極集電体22に負極活物質層24が設けられたものである。また正極10及び負極20の一部には、絶縁テープ40が貼られている。絶縁テープ40は、端子15、25の短絡を防ぎ、活物質層が集電体から剥離するのを抑制する。
【0018】
正極活物質層14及び負極活物質層24には、電解液が含浸されている。この電解液を介して、正極10と負極20とはリチウムイオンの授受を行う。
【0019】
「正極」
正極10は、正極集電体12と、正極集電体12の両面に設けられた正極活物質層14と、有する。
【0020】
正極集電体12は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。
【0021】
正極活物質層14に用いる正極活物質は、リチウムイオンの吸蔵及び放出、リチウムイオンの脱離及び挿入(インターカレーション)、又は、リチウムイオンとリチウムイオンのカウンターアニオン(例えば、PF
6−)とのドープ及び脱ドープを可逆的に進行させることが可能な電極活物質を用いることができる。
【0022】
例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO
2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO
2)、マンガン酸リチウム(LiMnO
2)、リチウムマンガンスピネル(LiMn
2O
4)、及び、一般式:LiNi
xCo
yMn
zM
aO
2(x+y+z+a=1、0≦x<1、0≦y<1、0≦z<1、0≦a<1、MはAl、Mg、Nb、Ti、Cu、Zn、Crより選ばれる1種類以上の元素)で表される複合金属酸化物、リチウムバナジウム化合物(LiV
2O
5)、オリビン型LiMPO
4(ただし、Mは、Co、Ni、Mn、Fe、Mg、Nb、Ti、Al、Zrより選ばれる1種類以上の元素又はVOを示す)、チタン酸リチウム(Li
4Ti
5O
12)、LiNi
xCo
yAl
zO
2(0.9<x+y+z<1.1)等の複合金属酸化物、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセンなどが挙げられる。
【0023】
また正極活物質層14は、導電材を有していてもよい。導電材としては、例えば、カーボンブラック類等のカーボン粉末、カーボンナノチューブ、炭素材料、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属微粉、炭素材料及び金属微粉の混合物、ITO等の導電性酸化物が挙げられる。正極活物質のみで十分な導電性を確保できる場合は、非水電解質二次電池100は導電材を含んでいなくてもよい。
【0024】
また正極活物質層14は、バインダーを含む。バインダーは、公知のものを用いることができる。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂、が挙げられる。
【0025】
また、上記の他に、バインダーとして、例えば、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−HFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFMVE−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴムを用いてもよい。
【0026】
「負極」
負極20は、負極集電体22と、負極集電体22の両面に設けられた負極活物質層24と、を有する。
【0027】
負極活物質層24に用いる負極活物質は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な化合物であればよく、公知のリチウム二次電池用の負極活物質を使用できる。負極活物質としては、例えば、金属リチウム、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛)、カーボンナノチューブ、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温度焼成炭素等の炭素材料、アルミニウム、シリコン、スズ等のリチウムと化合することのできる金属、SiO
x(0<x<2)、二酸化スズ等の酸化物を主体とする非晶質の化合物、チタン酸リチウム(Li
4Ti
5O
12)等を含む粒子が挙げられる。
【0028】
負極集電体32、導電材及びバインダーは、正極と同様のものを用いることができる。 負極に用いるバインダーは正極に挙げたものの他に、例えば、セルロース、スチレン・ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂等を用いてもよい。
【0029】
「セパレータ」
セパレータ30は、電気絶縁性の多孔質構造から形成されていればよく、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィンからなるフィルムの単層体、積層体や上記樹脂の混合物の延伸膜、或いはセルロース、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリエチレン及びポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種の構成材料からなる繊維不織布が挙げられる。
【0030】
「端子」
端子15、25は、アルミニウム、ニッケル等の導電材料から形成されている。端子15、25は、それぞれ正極集電体12、負極集電体22にそれぞれ溶接される。端子15、25は、正極集電体12、負極集電体22にネジ止め等してもよい。端子15、25は短絡を防ぐために、絶縁テープ40で保護することが好ましい。
【0031】
「電解液」
電解液には、リチウム塩等を含む電解質溶液(電解質水溶液、有機溶媒を使用する電解質溶液) を使用することができる。ただし、電解質水溶液は電気化学的に分解電圧が低いため、充電時の耐用電圧が低く制限される。そのため、有機溶媒を使用する電解質溶液(非水電解質溶液)であることが好ましい。
【0032】
非水電解液は、非水溶媒に電解質が溶解されており、非水溶媒として環状カーボネートと、鎖状カーボネートと、を含有してもよい。
【0033】
環状カーボネートとしては、電解質を溶媒和することができるものを用いることができる。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及びブチレンカーボネートなどを用いることができる。
【0034】
鎖状カーボネートは、環状カーボネートの粘性を低下させることができる。例えば、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートが挙げられる。その他、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタンなどを混合して使用してもよい。
【0035】
非水溶媒中の環状カーボネートと鎖状カーボネートの割合は体積にして1:9〜1:1にすることが好ましい。
【0036】
電解質としては、例えば、LiPF
6、LiClO
4、LiBF
4、LiCF
3SO
3、LiCF
3CF
2SO
3、LiC(CF
3SO
2)
3、LiN(CF
3SO
2)
2、LiN(CF
3CF
2SO
2)
2、LiN(CF
3SO
2)(C
4F
9SO
2)、LiN(CF
3CF
2CO)
2、LiBOB等のリチウム塩が使用できる。なお、これらのリチウム塩は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。特に、電離度の観点から、LiPF
6を含むことが好ましい。
【0037】
LiPF
6を非水溶媒に溶解する際は、非水電解液中の電解質の濃度を、0.5〜2.0mol/Lに調整することが好ましい。電解質の濃度が0.5mol/L以上であると、非水電解液のリチウムイオン濃度を充分に確保することができ、充放電時に十分な容量が得られやすい。また、電解質の濃度が2.0mol/L以内に抑えることで、非水電解液の粘度上昇を抑え、リチウムイオンの移動度を充分に確保することができ、充放電時に十分な容量が得られやすくなる。
【0038】
LiPF
6をその他の電解質と混合する場合にも、非水電解液中のリチウムイオン濃度が0.5〜2.0mol/Lに調整することが好ましく、LiPF
6からのリチウムイオン濃度がその50mol%以上含まれることがさらに好ましい。
【0039】
(外装体)
外装体2は、その内部に捲回体1及び電解液を密封する。外装体2には、例えば、金属箔を高分子膜で両側からコーティングした金属ラミネートフィルムを利用できる。金属箔としては例えばアルミ箔を、高分子膜としてはポリプロピレン等の膜を利用できる。例えば、外側の高分子膜の材料としては融点の高い高分子、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド等が好ましく、内側の高分子膜の材料としてはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等が好ましい。
【0040】
図1に示す外装体2は、凹部を有する第1面2Aと、平面状の第2面2Bとが折りたたまれて収容空間Kを構成している。
図1に示す外装体2は、折りたたまれた1辺を除く3辺をシールすることで、発電素子1を収容空間K内に封入できる。収容空間Kは、端子15、25側の第1辺Kaの長さがW、第1辺Kaと交差する第2辺Kbの長さがL、厚みがtである。
【0041】
本実施形態にかかるリチウムイオン二次電池における外装体2は、以下の一般式(1)を満たす。
S
1/S
2>(L+t)/(W+t) ・・・(1)
ここで、S
1は第1辺Kaにおける剥離強度であり、S
2は第2辺Kbにおける剥離強度である。ここで剥離強度とは、単位幅辺りの剥離に必要な平均荷重であり、各辺のそれぞれの部分でほぼ一定である。すなわち、ここでの剥離強度とは、各辺での平均剥離強度を意味する。剥離強度は、シール時の条件(接着温度等)によって設計できる。以下、上記一般式(1)の示す意味について説明する。
【0042】
外装体2は、内圧が膨張すると膨らむ。
図4は、リチウムイオン二次電池の外装体2の膨らむ前の状態と膨らんだ後の状態と模式的に示す図である。
図4は、リチウムイオン二次電池を第1辺Kaに直交する面で切断した図である。
【0043】
内圧によって膨らむ前の外装体2の当該断面における全周は2×(L+t)と表記できる。一方で、外装体2が膨らむと
図4に示すように断面が円形になるため、円の半径をr
1とすると、外装体2の当該断面における全周は2πr
1と表記できる。そのため、r
1=(L+t)/πの一般式が成り立つ。
【0044】
一方で、外装体2が膨らんだ際に、外装体2のシール部に働く応力を求める。また
図5は、リチウムイオン二次電池の外装体2のシール部に加わる応力を示した図である。
図5に示すように、外装体2が膨らむとシール部には、シール部を剥離しようとする応力が加わる。外装体2の端子15、25側の第1辺Kaのシール部に加わる応力をσ
1、外装体2の内部にかかる内圧をP
inとすると、σ
1=P
inr
1/tが成り立つ。ここでの内圧P
inは、外装体2内部にかかる圧力から外気圧分を差し引いたものである。そして、上記の円の半径r
1を当該式に代入すると、以下の一般式(2)が成り立つ。
σ
1=P
in×r
1/t=P
in×(L+t)/πt ・・・(2)
【0045】
また同様にして、外装体2の第2辺Kbのシール部に加わる応力をσ
2とすると以下の一般式(3)が成り立つ。ここでr
2は、膨らんだ外装体2を、第2辺Kbに直交する面で切断した円形の断面の半径に対応する。
σ
2=P
in×r
2/t=P
in×(W+t)/πt ・・・(3)
【0046】
これらの外装体2に加わる応力が、接合された外装体2の剥離強度を上回ると、外装体2のシール部が開裂する。すなわち、外装体2の第1辺Kaにおいては、第1辺Kaの剥離強度をS
1とすると、第1辺Kaの剥離強度S
1と第1辺Kaにかかる応力σ
1の関係により外装体2のシール部が開裂するか否かが決まる。
【0047】
つまり、剥離強度S
1と応力σ
1の比S
1/σ
1が大きいほどシール部における開裂が生じにくく、剥離強度S
1と応力σ
1の比S
1/σ
1が小さいほどシール部における開裂が生じやすくなる。この関係は外装体2の第2辺においても同様であり、剥離強度S
2と応力σ
2の比S
2/σ
2が大きいほど、シール部における開裂が生じにくく、剥離強度S
2と応力σ
2の比S
2/σ
2が小さいほどシール部における開裂が生じやすくなる。
【0048】
ここで、第1辺Kaと第2辺Kbの関係で見ると、第1辺Kaの剥離強度S
1と応力σ
1の比S
1/σ
1が、第2辺Kbの剥離強度S
2と応力σ
2の比S
2/σ
2より大きいと、外装体2に内圧P
inが加わった際に、第2辺Kbが先に開裂することになる。すなわち、以下の一般式(4)が成り立つ。
S
1/σ
1>S
2/σ
2 ・・・(4)
【0049】
一般式(4)に一般式(2)及び(3)を代入すると、一般式(1)が導出される。つまり、上記一般式(1)を満たすと、第1辺Kaより第2辺Kbが先に開裂する。第1辺Kaより第2辺Kbが先に開裂すれば、ガスが排出される方向を、端子15、25が延在する方向と異なる方向にすることができ、電解液の飛散による影響を低減できる。
【0050】
また本実施形態にかかるリチウムイオン二次電池100は、シール部が開裂した際の開裂幅を広くすることができる。外装体2の各辺の各箇所における剥離強度は一定であり、一箇所で開裂が始まると、開裂幅が広がっていく。これに対し、外装体のシール箇所の一部のみのシール性能を低下させた場合は、シール性能が弱い部分の幅以上に開裂は広がりにくい。開裂幅が広がると、開裂箇所から噴出するガスの圧力を低下させることができる。開裂箇所から噴出するガスの圧力が小さければ、ガスの流れに沿って噴出する電解液の量を少なくすることができる。
【0051】
開裂幅を広げるという観点では、第2辺Kbの長さLは、第1辺Kaの長さWより長いことが好ましい。第2辺Kbのうち第1辺Kaおよび第1辺Kaに対向する辺の近傍の部分は、第1辺Kaおよび第1辺Kaに対向する辺からの制約により、外装体2が十分に膨らむことができない。そのため、この部分のシール部には、開裂に必要な応力がかからない。第2辺Kbの長さLを第1辺Kaの長さWよりも長くすることで、制約を受けない領域の長さを長くすることができ、開裂幅を広げることができる。
【0052】
また開裂幅を広げるという観点では、第2辺Kbにおけるシール幅は長い方が好ましい。一方でシール幅が長すぎると、リチウムイオン二次電池を装置に収納する際に邪魔になる。そのため、シール幅は1mm以上3mm以下であることが好ましい。
【0053】
上述のように、本実施形態にかかるリチウムイオン二次電池によれば、内圧が上昇した場合に外装体が開裂しガスが排出される方向を、端子が延在する方向と異なる方向にすることができ、電解液の飛散による影響を低減できる。また一部のみのシール性能を低下させた場合のように、点で開裂するリチウムイオン二次電池と異なり、より開裂範囲を広くすることができる。
【0054】
また一部のみのシール性能を低下させた場合は、シール性能を低下させた部分に応力集中が生じるため、外装体が開裂しやすくなる。これに対し、本実施形態にかかるリチウムイオン二次電池は、極端にシール性能が劣る部分を同一辺内に形成する必要がなく、外装体が開裂しにくい。
【0055】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
【0056】
例えば、発電素子1を捲回体ではなく、積層体としてもよい。一方で、電解液の飛散を防ぐという点では、捲回体であることが好ましい。
【0057】
捲回体の場合、外装体内における余剰電解液は、捲きの中心軸方向に存在しやすく、捲きの側面方向には存在しにくい。捲回体は、捲きの中心軸方向に端子15、25が接続され、捲回体の側面側に開裂しやすい第2辺Kbが存在することが多い。つまり、外装体2内の余剰電解液は、端子15、25側に存在しやすく、側面側には存在しにくくなる。そのため、余剰電解液の少ない第2辺Kbが開裂するようにすることで、飛散する電解液量を少なくできる。これに対し積層体の場合、余剰電解液の存在量は、何れの方向でも差がない。
【0058】
また捲回体の場合、捲回体の各層の構成は自由に設計可能である。上述のように、正極活物質層14及び負極活物質層24には、電解液が含浸されている。そのため、捲回体の最外周にこれらの層が存在すると、外装体2が開裂した際に電解液が飛散しやすくなる。そのため、捲回体の最外周面は、活物質層ではなく、正極又は負極を構成する集電体であることが好ましい。
【0059】
また外装体2は、
図1に示すように、凹部を有する第1面2Aと、平面状の第2面2Bとが折りたたまれて収容空間Kを形成するものに限られず、二枚のフィルムを接合したものでもよい。凹部は、二枚のフィルムのそれぞれに設けてもよい。この場合、二つの凹部により形成される空間が収容空間Kとなり、厚みtはそれぞれの凹部の深さを足したものとなる。
【0060】
また発電素子1と外装体2の間の、第2辺Kb側の面に、電解液を吸収する飛散防止材を設けてもよい。飛散防止材が存在すると、電解液の一部が飛散防止材に吸収され、電解液の飛散量を低減できる。飛散防止材としては、電解液を吸収する材料を用いることができる。例えば、電解液を吸収して膨潤する粘着剤、テープ等の粘着部が挙げられる。例えば、発電素子1が捲回体の場合、捲回体の終端を抑えるためのテープを第2辺Kb側になるように設計することで、このテープを飛散防止材として用いることができる。
【0061】
また端子15,16の第1辺Kaにおける位置は、第1辺Kaの中央よりも両端側に寄せて配置することが好ましい。具体的には、第1辺Kaの長さWが第2辺Kbの長さLより大きい場合、第1辺Kaの中央から{s(L−s)}
1/2+(W−L)/2よりも離れた位置に配置することが好ましい。一方で、第1辺Kaの長さWが第2辺Kbの長さLと同じもしくそれよりも小さい場合、第1辺Kaの中央から{s(L−s)}
1/2よりも離れた位置に配置することが好ましい。
【0062】
端子15,16の一端は、外部回路へ溶接され、固定される。その状態で電池もしくは電池を組み込んだ機器全体に振動や衝撃が加わると、端子15,16と発電素子1との間に生じた変位差により、端子15、16をシールする部分に応力が集中し、端子15,16をシールする部分の劣化は進行しやすい(剥離強度が弱くなりやすい)。端子15,16の位置が上記関係を満たすと、端子15,16をシールする部分が劣化することを抑制し、製造安定性、長期信頼性を高めることができる。また正極および負極の端子15,16は、いずれか一方の側にまとめて配置されていてもよいし、両側へ別々に配置されていてもよい。特に、正極端子と比較し、硬い材質が好まれる傾向にある負極端子は、上記式を満たす位置に配置することが好ましい。
【0063】
[リチウムイオン二次電池の製造方法]
リチウムイオン二次電池の製造方法は、各辺のシール強度を変更する点以外は、公知の方法で作製することができる。シール強度は、シール時の温度、時間等を変更することで自由に設計できる。以下、発電素子1を捲回体とした場合の一例の製造方法について具体的に説明する。
【0064】
まず、正極10及び負極20を作製する。正極10と負極20とは、活物質となる物質が異なるだけであり、同様の製造方法で作製できる。
【0065】
正極活物質、バインダー及び溶媒を混合して塗料を作製する。必要に応じ導電材を更に加えても良い。溶媒としては例えば、水、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等を用いることができる。正極活物質、導電材、バインダーの構成比率は、質量比で80wt%〜90wt%:0.1wt%〜10wt%:0.1wt%〜10wt%であることが好ましい。これらの質量比は、全体で100wt%となるように調整される。
【0066】
塗料を構成するこれらの成分の混合方法は特に制限されず、混合順序もまた特に制限されない。上記塗料を、正極集電体12に塗布する。塗布方法としては、特に制限はなく、通常電極を作製する場合に採用される方法を用いることができる。例えば、スリットダイコート法、ドクターブレード法が挙げられる。負極についても、同様に負極集電体22上に塗料を塗布する。
【0067】
続いて、正極集電体12及び負極集電体22上に塗布された塗料中の溶媒を除去する。除去方法は特に限定されない。例えば、塗料が塗布された正極集電体12及び負極集電体22を、80℃〜150℃の雰囲気下で乾燥させればよい。そして、正極10及び負極20が完成する。
【0068】
そして、正極10、負極20及びセパレータ30の一端側を軸として、これらを捲き、捲回体1を作製する。
【0069】
そして、捲回体1を外装体2に封入する。非水電解液は外装体2内に注入してもよいし、捲回体1を非水電解液に含浸させてもよい。外装体2は、熱等を加えてラミネートすることで封止する。この際、加熱温度、加熱時間を変更することで、外装体2の各辺の剥離強度を調整できる。
【実施例】
【0070】
「実施例1」
まず、アルミ箔からなる正極集電体の両面に、正極活物質層を塗工して正極を作製した。正極活物質層は、94質量部のLiCoO
2(活物質)と、2質量部のカーボン(導電材)と、4質量部のポリフッ化ビニリデン(PVDF、バインダー)とを有する。
【0071】
同様に、銅箔からなる負極集電体の両面に、負極活物質層を塗工して正極を作製した。負極活物質層は、95質量部の黒鉛(活物質)と、1質量部のカーボン(導電材)と、1.5質量部のスチレンブタジエンゴム(SBR、バインダー)と、2.5質量部のカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC、バインダー)とを有する。
【0072】
またセパレータとしてポリエチレンを準備した。そして、正極、負極及びセパレータを捲きとり捲回体を作製した。
【0073】
一方で、外装体としてアルミラミネートフィルムを準備した。アルミラミネートフィルムには収容空間が形成されており、その長さLは50mm、幅Wは65mm、厚みtは5mmであった。
【0074】
そして、外装体内に捲回体を収納し、非水電解液を6g注入し、リチウムイオン二次電池を作製した。非水電解液は、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを体積比で2:1:7とした溶媒中に、リチウム塩として1.0M(mol/L)のLiPF
6が添加したものを用いた。
【0075】
リチウムイオン二次電池は、同水準で二つ作製し、一方を剥離強度の測定に用い、他方を電解液の飛散状態の確認に用いた。
【0076】
剥離強度は、作製したリチウムイオン二次電池のトップシール部(端子側の第1辺Ka)とサイドシール部(第2辺Kb)の中心部を幅5mm切り出し、切り出した部分のピーリング試験により測定した。ピーリング試験は、ピーリング速度20cm/minで行った。
【0077】
電解液の飛散状態は、以下のような加速試験により確認した。まず、作製したリチウムイオン二次電池の重量を測定した。そして、耐熱トレーに載せ、ホットオーブンで、10°/minで昇温し、130℃で一定期間保持した。そして、リークが発生した場合は、速やかにホットオーブンから取り出し、重量測定及び耐熱トレー上における電解液の飛散状態を目視で確認した。その結果を表1に示す。
【0078】
「実施例2〜8及び比較例1」
実施例2〜8及び比較例1は、収容空間の大きさ、剥離強度、セルタイプ、発電素子の最外周の構成等を変更して、実施例1と同様の試験を行った。実施例1から変更した条件及び測定結果を表1にまとめた。なお、表1においてX=S
1/S
2であり、Y=(L+t)/(W+t)である。
【0079】
【表1】
【0080】
比較例1のリチウムイオン二次電池は、トップシール部(第1辺側)からリークが生じた。これに対し、実施例1〜実施例8のリチウムイオン二次電池は、いずれもサイドシール部(第2辺側)からリークが生じた。また電解液の目視での飛散量も比較例1と比較して実施例2〜8は、非常に少なかった。