【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、下記の熱間押出加工時の押出製品内部温度分布推定装置および押出製品内部温度分布推定方法、ビレット加熱制御装置およびビレット加熱制御方法ならびにプログラムを要旨とする。
【0013】
(1)ビレットに対して所定の押出速度および押出力の条件で熱間押出加工を施し、押出製品を製造した際の、前記押出製品の長手方向における内部の温度分布を推定する装置であって、
前記押出製品の長手方向の温度分布を複数設定する、設定部と、
前記設定部によって設定された前記複数の温度分布ごとに、前記温度分布ならびに予め定められた押出速度変化目標値および押出力変化目標値を含む情報に基づいて、複数の押出速度推定値および複数の押出力推定値の時系列データを算出する、計算部と、
前記計算部によって得られた、前記複数の押出速度推定値および前記複数の押出力推定値の時系列データを、押出速度実測値および押出力実測値の時系列データと比較し、押出速度推定値および押出力推定値の最適な時系列データに対応する1つの温度分布を抽出する、抽出部と、
前記抽出部によって抽出された前記1つの温度分布を、前記押出製品の長手方向における内部の温度分布に決定する、決定部と、を備える、
熱間押出加工時の押出製品内部温度分布推定装置。
【0014】
(2)前記設定部は、前記複数の温度分布の設定を複数回行い、2回目以降の前記温度分布の設定を、前記抽出部によって抽出された前記1つの温度分布に基づいて行う、
上記(1)に記載の熱間押出加工時の押出製品内部温度分布推定装置。
【0015】
(3)前記設定部は、前記2回目以降の前記温度分布の設定を、粒子群最適化手法を用いて行う、
上記(2)に記載の熱間押出加工時の押出製品内部温度分布推定装置。
【0016】
(4)ビレットに対して所定の押出速度および押出力の条件で熱間押出加工を施し、押出製品を製造した際の、前記押出製品の長手方向における内部の温度分布を推定する方法であって、
(a)前記押出製品の長手方向の温度分布を複数設定するステップと、
(b)前記(a)のステップにおいて設定された前記複数の温度分布ごとに、前記温度分布ならびに予め定められた押出速度変化目標値および押出力変化目標値を含む情報に基づいて、複数の押出速度推定値および複数の押出力推定値の時系列データを算出するステップと、
(c)前記(b)のステップにおいて得られた、前記複数の押出速度推定値および前記複数の押出力推定値の時系列データを、押出速度実測値および押出力実測値の時系列データと比較し、押出速度推定値および押出力推定値の最適な時系列データに対応する1つの温度分布を抽出するステップと、
(d)前記(c)のステップにおいて抽出された前記1つの温度分布を、前記押出製品の長手方向における内部の温度分布に決定するステップと、を備える、
熱間押出加工時の押出製品内部温度分布推定方法。
【0017】
(5)前記(a)のステップにおいて、前記複数の温度分布の設定を複数回行い、2回目以降の前記温度分布の設定を、前記抽出部によって抽出された前記1つの温度分布に基づいて行う、
上記(4)に記載の熱間押出加工時の押出製品内部温度分布推定方法。
【0018】
(6)前記(a)のステップにおいて、前記2回目以降の前記温度分布の設定を、粒子群最適化手法を用いて行う、
上記(5)に記載の熱間押出加工時の押出製品内部温度分布推定方法。
【0019】
(7)熱間押出加工時のビレットの加熱温度を制御する装置であって、
上記(1)から(3)までのいずれかに記載される押出製品内部温度分布推定装置と、
温度制御部と、を備え、
前記温度制御部は、前記押出製品内部温度分布推定装置が推定した前記押出製品の温度分布、ならびに前記押出速度変化目標値および前記押出力変化目標値を含む情報を用いて算出される、押出速度推定値および押出力推定値の時系列データに基づき、
前記押出速度推定値の最大値が、予め設定される値を超える場合には、ビレットの加熱温度を下げ、
前記押出力推定値の最大値が、予め設定される値を超える場合には、ビレットの加熱温度を上げる、
ビレット加熱制御装置。
【0020】
(8)熱間押出加工時のビレットの加熱温度を制御する方法であって、
上記(4)から(6)までのいずれかに記載される(a)〜(d)のステップと、
(e)ビレットの加熱温度を変更するステップと、を備え、
前記(e)のステップにおいて、前記(d)のステップで決定された前記押出製品の温度分布、ならびに前記押出速度変化目標値および前記押出力変化目標値を含む情報を用いて算出される、押出速度推定値および押出力推定値の時系列データに基づき、
前記押出速度推定値の最大値が、予め設定される値を超える場合には、ビレットの加熱温度を下げ、
前記押出力推定値の最大値が、予め設定される値を超える場合には、ビレットの加熱温度を上げる、
ビレット加熱制御方法。
【0021】
(9)コンピュータによって、ビレットに対して所定の押出速度および押出力の条件で熱間押出加工を施し、押出製品を製造した際の、前記押出製品の長手方向における内部の温度分布を推定するためのプログラムであって、
前記コンピュータに、
(a)前記押出製品の長手方向の温度分布を複数設定するステップと、
(b)前記(a)のステップにおいて設定された前記複数の温度分布ごとに、前記温度分布ならびに予め定められた押出速度変化目標値および押出力変化目標値を含む情報に基づいて、複数の押出速度推定値および複数の押出力推定値の時系列データを算出するステップと、
(c)前記(b)のステップにおいて得られた、前記複数の押出速度推定値および前記複数の押出力推定値の時系列データを、押出速度実測値および押出力実測値の時系列データと比較し、押出速度推定値および押出力推定値の最適な時系列データに対応する1つの温度分布を抽出するステップと、
(d)前記(c)のステップにおいて抽出された前記1つの温度分布を、前記押出製品の長手方向における内部の温度分布に決定するステップと、を実行させる、
プログラム。
【0022】
(10)前記(a)のステップにおいて、前記複数の温度分布の設定を複数回行い、2回目以降の前記温度分布の設定を、前記抽出部によって抽出された前記1つの温度分布に基づいて行う、
上記(9)に記載のプログラム。
【0023】
(11)前記(a)のステップにおいて、前記2回目以降の前記温度分布の設定を、粒子群最適化手法を用いて行う、
上記(10)に記載のプログラム。
【0024】
(12)コンピュータによって、熱間押出加工時のビレットの加熱温度を制御するためのプログラムであって、
前記コンピュータに、
上記(9)から(11)までのいずれかに記載される(a)〜(d)のステップと、
(e)ビレットの加熱温度を変更するステップと、を実行させ、
前記(e)のステップにおいて、前記(d)のステップで決定された前記押出製品の温度分布、ならびに前記押出速度変化目標値および前記押出力変化目標値を含む情報を用いて算出される、押出速度推定値および押出力推定値の時系列データに基づき、
前記押出速度推定値の最大値が、予め設定される値を超える場合には、ビレットの加熱温度を下げ、
前記押出力推定値の最大値が、予め設定される値を超える場合には、ビレットの加熱温度を上げる、
プログラム。