(54)【発明の名称】SOFCスタック、SOECスタック、及びリバーシブルSOCスタック、並びに、SOFCシステム、SOECシステム、及びリバーシブルSOCシステム
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. SOFCスタック]
図1に、本発明の一実施の形態に係るSOFCスタック及びSOFCシステムの模式図を示す。
図1において、SOFCスタック40aは、
炭化水素、H
2、及び/又はCOを燃料として発電を行うSOFCセル42aと、
H
2O及び/又はCO
2を含む酸化ガスにより酸化され、H
2及び/又はCOを含む還元ガスにより還元されるレドックス材が充填されたレドックス流路44と
を備えている。
【0023】
[1.1. SOFCセル]
SOFCセル42aは、炭化水素、H
2、及び/又はCOを燃料として発電を行うためのものである。SOFCセル42aは、固体酸化物系電解質膜の両面に電極が接合された膜電極接合体(MEA)42bと、MEA42bの一方の面に形成された第1ガス流路(アノード流路)42cと、MEA42bの他方の面に形成された第2ガス流路(カソード流路)42dとを備えている。発電時において、第1ガス流路(アノード流路)42cには燃料が供給され、第2ガス流路(カソード流路)42dには酸素を含む酸化剤ガスが供給される。SOFCスタック40aは、このようなSOFCセル42aが複数個積層され、かつ、電気的に直列に接続されたものからなる。SOFCスタック40aの両端には、負荷が接続される。
【0024】
燃料として炭化水素を用いる場合、炭化水素は、水蒸気改質される。本発明において、炭化水素の改質方法は、特に限定されない。すなわち、SOFCスタック40aは、
(a)SOFCスタック40aの外部に設けられた改質器を用いて改質を行う間接外部改質型SOFC、
(b)SOFCスタック40aの内部に設けられた改質器を用いて改質を行う間接内部改質型SOFC、あるいは、
(c)アノードにおいて改質を行う直接内部改質型SOFC、
のいずれであっても良い。
【0025】
第1ガス流路42cに燃料を供給し、第2ガス流路42dに酸化剤ガスを供給すると、アノードでは、燃料の種類に応じて、それぞれ、次の式(1)〜(3)の反応が起こる。その結果、電極間から電力を取り出すことができる。また、第1ガス流路42cから、H
2O及び/又はCO
2を含むガスが排出される。
CH
4+4O
2- → CO
2+2H
2O+8e
- ・・・(1)
H
2+O
2- → H
2O+2e
- ・・・(2)
CO+O
2- → CO
2+2e
- ・・・(3)
【0026】
[1.2. レドックス流路及びレドックス材]
レドックス流路44内には、レドックス材(図示せず)が充填されている。本発明において、「レドックス材」とは、H
2O及び/又はCO
2を含む酸化ガスにより酸化され、H
2及び/又はCOを含む還元ガスにより還元されるものをいう。すなわち、「レドックス材」とは、アノード流路42c及び/又はレドックス流路44から排出されるオフガス(以下、これらを総称して「オフガス(A'
out)」ともいう)に含まれる成分により酸化・還元が可能なものをいう。レドックス材は、酸化反応時に発熱を伴い、還元反応時に吸熱を伴う。
【0027】
レドックス材は、オフガス(A'
out)に含まれる成分により酸化・還元が可能なものである限りにおいて、特に限定されない。
レドックス材としては、例えば、
(a)Fe/FeO系材料からなる多孔体又は繊維体、
(b)Zn/ZnO系材料からなる多孔体又は繊維体、
(c)Sn/SnO系材料からなる多孔体又は繊維体、
(d)Ni/NiO系材料からなる多孔体又は繊維体、
などがある。
これらの中でも、レドックス材は、Fe/FeO系材料からなる多孔体又は繊維体が好ましい。これは、低コストであり、かつ、理論エネルギー密度が大きい(3MJ/kg)ためである。
【0028】
レドックス流路44に充填されるレドックス材の充填高さ及び充填率は、SOFCスタック40aの熱収支に影響を与える。ここで、「充填高さ」とは、レドックス流路44の底面からレドックス材の先端面までの長さをいう。「充填率」とは、レドックス流路44に充填されたレドックス材の見かけの体積に対するレドックス材の実体積の割合(=1−気孔率)をいう。
【0029】
一般に、充填高さが高くなるほど、レドックス材の発熱による昇温幅は大きくなる。しかし、充填高さが高くなるほど、より体積の大きなレドックス流路44が必要となるために、SOFCスタック40aの体格が大きくなる。
また、SOFCスタック40aの体格が同一であっても、充填率が大きくなるほど、レドックス材の発熱による昇温幅は大きくなる。しかし、充填率が過度に大きくなると、酸化/還元ガスの流動抵抗が増大し、酸化/還元反応速度が低下する。
レドックス材の充填高さ及び充填率は、これらの点を考慮して、最適な値を選択するのが好ましい。充填高さは、好ましくは、6mm以上20mm以下、さらに好ましくは、12mm以上16mm以下である。また、充填率は、好ましくは、0.4以上0.8以下、さらに好ましくは、0.6以上0.8以下である。
【0030】
[1.3. 熱的接続]
レドックス材は、暖機時にはSOFCセル42aに対して放熱し、定常運転時にはSOFCセル42aからの排熱を蓄熱するために用いられる。そのため、SOFCセル42aは、レドックス流路44と熱的に接続されている必要がある。
SOFCセル42aとレドックス流路44との熱的接続方法は、特に限定されない。
図1に示す例において、SOFCセル42aとレドックス流路44とは、交互に積層されてている。レドックス流路44は、伝熱隔壁(図示せず)を介して、第1ガス流路42c及び/又は第2ガス流路42dに隣接して設けられている。
【0031】
その他の熱的接続方法としては、例えば、
(a)SOFCスタック40aとレドックス流路44とを熱交換器で連結し、熱交換媒体を循環させることによって熱を伝達する方法、
(b)レドックス流路44をSOFCスタック40bの外部に持ち、熱伝導部材(SiCなど)やガス顕熱によりレドックス流路44からSOFCスタック40aに熱を伝達する方法、
などがある。
【0032】
[1.4. 流路出口の合流]
SOFCスタック40aの第1ガス流路42cに燃料を供給して発電を行った場合、第1ガス流路42cから、反応生成物(H
2O、CO
2)を含むオフガス(以下、第1ガス流路42cから排出されるオフガスを「オフガス(A'
1out)」ともいう)が排出される。オフガス(A'
1out)には、通常、未反応の燃料(H
2、CO)も含まれている。
【0033】
また、レドックス流路44に酸化ガスを供給してレドックス材を酸化させた場合、レドックス流路44から、反応生成物(H
2、CO)を含むオフガス(以下、レドックス流路44から排出されるオフガスを「オフガス(A'
2out)」ともいう)が排出される。酸化反応時のオフガス(A'
2out)には、通常、未反応の酸化ガス(H
2O、CO
2)も含まれている。さらに、レドックス流路44に還元ガスを供給してレドックス材を還元させた場合、レドックス流路44から、反応生成物(H
2O、CO
2)を含むオフガス(A'
2out)が排出される。還元反応時のオフガス(A'
2out)には、通常、未反応の還元ガス(H
2、CO)も含まれている。
【0034】
オフガス(A'
out)に含まれるCO
2及びH
2Oは、レドックス材の酸化ガスとして再利用することができる。同様に、オフガス(A'
out)に含まれるH
2及びCOは、レドックス材の還元ガス、発電用燃料、燃焼用燃料等として再利用することができる。
この場合、オフガス(A'
1out)とオフガス(A'
2out)のいずれか一方を再利用しても良く、あるいは、双方を再利用しても良い。第1ガス流路42cとレドックス流路44とを流路出口で合流させると、オフガス(A'
1out)及びオフガス(A'
2out)の双方を単一の処理装置を用いて同時に処理することが可能となる。
図1に示す例では、第1ガス流路42c及びレドックス流路44は、流路出口で合流している。
【0035】
[2. SOFCシステム]
図1において、SOFCシステム10aは、SOFCスタック40aと、還元手段と、酸化手段とを備えている。
還元手段は、レドックス流路44に還元ガスを供給し、レドックス材を還元させるためのものである。本実施の形態において、還元手段は、還元ガスとして、第1ガス流路42c及び/又はレドックス流路44のオフガス(A'
out)に含まれるH
2及び/又はCOを供給するものからなる。
【0036】
酸化手段は、レドックス流路44に酸化ガスを供給し、レドックス材を酸化させるためのものである。本実施の形態において、酸化手段は、酸化ガスとして、オフガス(A'
out)に含まれるH
2O及び/又はCO
2を供給するものからなる。
還元手段及び酸化手段は、このような機能を奏するものである限りにおいて、特に限定されない。
【0037】
図1に示す例において、SOFCシステム10aは、SOFCスタック40aと、第1CO
2分離器14と、H
2O分離器22と、エジェクタ34とを備えている。これらの内、第1CO
2分離器14及びH
2O分離器22は、還元手段及び酸化手段の一部を構成する。
【0038】
[2.1. SOFCスタック]
SOFCスタック40aの詳細については、上述した通りであるので説明を省略する。
【0039】
[2.2. 第1CO
2分離器]
第1CO
2分離器14は、SOFCスタック40aのオフガス(A'
out)からCO
2を分離するためのものである。本実施の形態においては、オフガス(A'
out)からCO
2及びH
2Oが分離される。
「オフガス(A'
out)からCO
2を分離する」とは、
(a)H
2Oを分離する前のガスからCO
2を分離すること、又は、
(b)H
2Oを分離した後のガス(すなわち、後述するH
2O分離器22の第3フィード流路の出口から排出されるオフガス)からCO
2を分離すること
をいう。CO
2分離は単独で行っても良く、あるいはH
2O分離と共に行っても良い。
【0040】
第1CO
2分離器14の構造は、オフガス(A'
out)からCO
2を分離可能なものである限りにおいて、特に限定されない。
例えば、第1CO
2分離器14は、分離膜を介して第1フィード流路と第2パージ流路とが隣接して配置されているものでも良い(以下、「分離膜方式」ともいう)。第1フィード流路にCO
2を含むガスが供給されると、CO
2のみが分離膜を通って第1パージ流路に排出される。
【0041】
あるいは、第1CO
2分離器14は、CO
2を可逆的に吸蔵・放出することが可能なCO
2吸収剤が充填された2つの独立した流路を備えたものでも良い(以下、「バッチ切り替え式」ともいう)。第1フィード流路にCO
2を含むガスを流すと、CO
2吸収剤によりCO
2が吸収される。一方、第1パージ流路にパージガスを流すと、CO
2吸収剤からCO
2が放出される。所定時間経過後に、第1フィード流路と第1パージ流路を切り替えると、引き続き、CO
2の吸蔵・放出を行うことができる。
【0042】
図1に示す例において、第1CO
2分離器14は、バッチ切り替え式の分離器であって、第1フィード流路14aと、第1パージ流路14bを備えている。第1フィード流路14a及び第1パージ流路14bには、CO
2吸収剤(図示せず)が充填されている。
第1フィード流路14aの入口は、第1ガス流路42c及びレドックス流路44の出口に接続されている。第1フィード流路14aの出口は、流量比制御器38aの入口に接続されている。流量比制御器38aの2つの出口は、H
2O分離器22の第3フィード流路(図示せず)の入口、及び、バイパス管39を介してエジェクタ34の吸引側に接続されている。バイパス管39の出口は、第3フィード流路の出口に接続されている。流量比制御器38aは、H
2O分離器22側/バイパス管39側の流量比を調節するためのものである。第1フィード流路14aから排出されるオフガスは、高濃度の未反応燃料(H
2、CO)を含んでおり、還元ガスとして再利用される場合と、燃料として再利用される場合とがある。
【0043】
第1パージ流路14bの入口は、H
2O分離器22の第3パージ流路(図示せず)の出口に接続されている。第1パージ流路14bの出口は、大気、及び第2開閉弁(V2)38bを介してレドックス流路44の入口に接続されている。第1パージ流路14bから排出される分離ガスは、高濃度のCO
2(及び、H
2O分離器22から排出されるH
2O)を含んでおり、そのまま排気される場合と、酸化ガスとして再利用される場合とがある。
【0044】
[2.3. H
2O分離器]
H
2O分離器22は、SOFCスタック40aのオフガス(A'
out)からH
2Oを分離するためのものである。本実施の形態においては、オフガス(A'
out)からCO
2及びH
2Oが分離される。
「オフガス(A'
out)からH
2Oを分離する」とは、
(a)CO
2を分離する前のガスからH
2Oを分離すること、又は、
(b)CO
2を分離した後のガスからH
2Oを分離すること
をいう。H
2O分離は単独で行っても良く、あるいはCO
2分離と共に行っても良い。
【0045】
H
2O分離器22は、オフガス(A'
out)からH
2Oを分離可能なものである限りにおいて、特に限定されない。例えば、H
2O分離器22は、分離膜方式でも良く、あるいは、バッチ切り替え式でも良い。
【0046】
図1に示す例において、H
2O分離器22は、第3フィード流路(図示せず)と、第3パージ流路(図示せず)とを備えている。第3フィード流路の入口は、流量比制御器38aの出口に接続されている。第3フィード流路の出口は、エジェクタ34の吸引側、及び第3開閉弁(V3)38cを介してレドックス流路44の入口に接続されている。第3フィード流路から排出されるオフガスは、高濃度の未反応燃料(H
2、CO)を含んでおり、還元ガスとして再利用される場合と、燃料として再利用される場合とがある。
【0047】
H
2O分離器22の第3パージ流路の出口は、第1CO
2分離器14の第1パージ流路14bの入口に接続されている。第3パージ流路から排出される分離ガス(H
2O)は、第1CO
2分離器14においてCO
2のパージガスとして用いられるだけでなく、酸化ガスとして再利用される場合がある。
【0048】
[2.4. エジェクタ]
エジェクタ34は、燃料源(図示せず)から供給される燃料を第1ガス流路42cに供給するためのものである。また、エジェクタ34は、オフガス(A'
out)から回収された未反応の燃料をSOFCスタック40aに戻すためにも用いられる。
【0049】
図1に示す例において、エジェクタ34の駆動側の入口は、燃料源(図示せず)に接続されている。エジェクタ34の出口は、第1ガス流路42cの入口に接続されている。さらに、エジェクタ34の吸引側の入口は、H
2O分離器22の第3フィード流路の出口、及び流量比制御器38aを介して第1CO
2分離器14の第1フィード流路14aの出口に接続されている。燃料として炭化水素を用いる場合、炭化水素の水蒸気改質反応に必要なH
2Oは、バイパス管39を流れ、不要なH
2Oは分離・除去される。
【0050】
燃料源(図示せず)をエジェクタ34の駆動側に接続し、H
2O分離器22の第3フィード流路の出口、又は第1CO
2分離器14の第1フィード流路14aの出口をエジェクタ34の吸引側に接続する。この状態で、燃料源から供給される燃料を駆動側のノズルから高圧で噴出させると、ノズル周囲の負圧によりH
2O分離器22又は第1CO
2分離器14のオフガスが吸引される。
【0051】
[3. SOECスタック]
図2に、本発明の一実施の形態に係るSOECスタック及びSOECシステムの模式図を示す。
図2において、SOECスタック40bは、
H
2O、CO
2、及び/又はH
2O+CO
2を原料として高温電解によりH
2、CO、及び/又は合成ガスを生成するSOECセル42aと、
H
2O及び/又はCO
2を含む酸化ガスにより酸化され、H
2及び/又はCOを含む還元ガスにより還元されるレドックス材が充填されたレドックス流路44と
を備えている。
【0052】
SOECセル42bは、MEA42bと、MEA42bの一方の面に形成された第1ガス流路(カソード流路)42cと、MEA42bの他方の面に形成された第2ガス流路(アノード流路)42dとを備えている。レドックス流路44は、第1ガス流路42c及び/又は第2ガス流路42dと熱的に接続されている。
【0053】
電解時において、第1ガス流路42cには原料が供給され、第2ガス流路42dから酸素を含むガスが排出される。SOECスタック40bは、このようなSOECセル42aが複数個積層され、かつ、電気的に直列に接続されたものからなる。SOECスタック40bの両端には、電源が接続される。
SOECスタック40bに関するその他の点については、上述したSOFCスタック40aと同様であるので、説明を省略する。
【0054】
第1ガス流路42cに原料を供給し、電極間に電力を供給すると、カソードでは、原料の種類に応じて、それぞれ、次の式(4)〜式(6)の反応が起こる。その結果、第1ガス流路42cから、H
2及び/又はCOを含むガスが排出される。
H
2O+2e
- → H
2+O
2- ・・・(4)
CO
2+2e
- → CO+O
2- ・・・(5)
CO
2+H
2O+4e- → CO+H
2+2O
2- ・・・(6)
【0055】
[4. SOECシステム]
図2において、SOECシステム10bは、SOECスタック40bと、還元手段と、酸化手段とを備えている。
還元手段は、レドックス流路44に還元ガスを供給し、レドックス材を還元させるためのものである。本実施の形態において、還元手段は、還元ガスとして、第1ガス流路42c及び/又はレドックス流路44のオフガス(以下、これらを総称して「オフガス(A
out)」ともいう)に含まれるH
2及び/又はCOを供給するものからなる。
【0056】
酸化手段は、レドックス流路44に酸化ガスを供給し、レドックス材を酸化させるためのものである。本実施の形態において、酸化手段は、酸化ガスとして、高温電解用の原料であるH
2Oを供給するものからなる。
還元手段及び酸化手段は、このような機能を奏するものである限りにおいて、特に限定されない。
【0057】
図2に示す例において、SOECシステム10bは、SOECスタック40bと、第1CO
2分離器14と、H
2O分離器22と、蒸発器18とを備えている。これらの内、第1CO
2分離器14及びH
2O分離器22は、還元手段及び酸化手段の一部を構成する。また、蒸発器18は、高温電解用の原料であるH
2Oを供給するためのものであると同時に、酸化手段の一部を構成する。
【0058】
[4.1. SOECスタック]
SOECスタック40bの詳細については、上述した通りであるので説明を省略する。
【0059】
[4.2. 第1CO
2分離器]
第1CO
2分離器14は、SOECスタック40bのオフガス(A
out)からCO
2を分離するためのものである。
図1に示す例において、第1CO
2分離器14は、バッチ切り替え式の分離器であって、第1フィード流路14aと、第1パージ流路14bを備えている。第1フィード流路14a及び第1パージ流路14bには、CO
2吸収剤(図示せず)が充填されている。
第1フィード流路14aの入口は、第1ガス流路42c及びレドックス流路44の出口に接続されている。第1フィード流路14の出口は、H
2O分離器22の第3フィード流路(図示せず)の入口に接続されている。第1フィード流路14aから排出されるオフガスは、高濃度の電解生成物(H
2、CO)を含んでおり、炭化水素の合成に用いられる場合と、還元ガスとして再利用される場合とがある。
【0060】
第1パージ流路14bの入口は、蒸発器18の出口に接続されている。第1パージ流路14bの出口は、第1ガス流路42cの入口に接続されている。本実施の形態において、第1パージ流路14bから排出される分離ガスは、H
2O及びCO
2を含んでおり、高温電解用の原料として利用される。
第1CO
2分離器14に関するその他の点については、SOFCシステム10aと同様であるので、説明を省略する。
【0061】
[4.3. H
2O分離器]
H
2O分離器22は、SOECスタック40bのオフガス(A
out)からH
2Oを分離するためのものである。
図2に示す例において、H
2O分離器22は、第3フィード流路(図示せず)と第3パージ流路(図示せず)とを備えている。第3フィード流路の入口は、第1CO
2分離器14の第1フィード流路14aの出口に接続されている。第3フィード流路の出口は、CH
4等の炭化水素を製造するための燃料製造器(図示せず)の入口、及び第4開閉バルブ(V4)38dを介してレドックス流路44の入口に接続されている。第3フィード流路から排出されるオフガスは、高濃度の電解生成物(H
2、CO)を含んでおり、還元ガスとして再利用される場合と、炭化水素を製造するための原料として利用される場合とがある。
【0062】
H
2O分離器22の第3パージ流路の出口は、図示はしないが、大気に開放されている。本実施の形態において、H
2O分離器22によりパージされたH
2Oは、再利用されることなく、そのまま系外に排出される。
H
2O分離器22に関するその他の点については、SOFCシステム10aと同様であるので、説明を省略する。
【0063】
[4.4. 蒸発器]
蒸発器18は、SOECスタック40bにH
2Oを供給するためのものである。すなわち、蒸発器18は、高温電解用の原料であるH
2Oの供給源である。蒸発器18の構造は、特に限定されるものではなく、公知の装置を用いることができる。
図2に示す例において、蒸発器18の出口は、第1CO
2分離器14の第1パージ流路14bの入口、及び第5開閉弁(V5)38eを介してレドックス流路44の入口に接続されている。すなわち、本実施の形態において、蒸発器18から供給されるH
2Oは、高温電解用の原料としてだけではなく、CO
2のパージガス及び酸化ガスとしても用いられる。
【0064】
[5. リバーシブルSOCスタック]
本発明に係るリバーシブルSOC(R−SOC)スタックは、
炭化水素、H
2、及び/又はCOを燃料として発電を行うSOFCモードと、H
2O、CO
2、及び/又はH
2O+CO
2を原料として高温電解によりH
2、CO、及び/又は合成ガスを生成するSOECモードとを切替可能なリバーシブルSOC(R−SOC)セルと、
H
2O及び/又はCO
2を含む酸化ガスにより酸化され、H
2及び/又はCOを含む還元ガスにより還元されるレドックス材が充填されたレドックス流路と
を備えている。
【0065】
また、R−SOCセルは、
前記燃料又は前記原料が供給される第1ガス流路(SOFCモード時はアノード流路、SOECモード時はカソード流路)と、
酸素の供給又は排出が行われる第2ガス流路(SOFCモード時はカソード流路、SOECモード時はアノード流路)と
を備えている。
さらに、前記レドックス流路は、前記第1ガス流路及び/又は前記第2ガス流路と熱的に接続されている。
【0066】
R−SOCスタックは、用途が異なる(発電と電解をリバーシブルに行う)以外は、上述したSOFCスタック40a及びSOECスタック40bと同一の構造を備えているので、説明を省略する。
【0067】
[6. リバーシブルSOCシステム(1)]
[6.1. 構成]
図3に、本発明の第1の実施の形態に係るリバーシブルSOCシステムの模式図を示す。
図3において、リバーシブルSOC(R−SOC)システム10cは、リバーシブルSOC(R−SOC)スタック40cと、還元手段と、酸化手段とを備えている。
還元手段は、レドックス流路44に還元ガスを供給し、レドックス材を還元させるためのものである。本実施の形態において、還元手段は、還元ガスとして、第1ガス流路42c及び/又はレドックス流路44のオフガス(A
out、A'
out)に含まれるH
2及び/又はCOを供給するものからなる。
【0068】
酸化手段は、レドックス流路44に酸化ガスを供給し、レドックス材を酸化させるためのものである。本実施の形態において、酸化手段は、
(a)R−SOCスタック40cがSOFCモードにある時は、酸化ガスとして、オフガス(A'
out)に含まれるH
2O及び/又はCO
2を供給するものからなり、
(b)R−SOCスタック40cがSOECモードにある時は、酸化ガスとして、高温電解用の原料であるH
2Oを供給するものからなる。
還元手段及び酸化手段は、このような機能を奏するものである限りにおいて、特に限定されない。
【0069】
図3において、R−SOCシステム10cは、R−SOCスタック40cと、第1CO
2分離器14と、第2CO
2分離器16と、蒸発器18と、燃料製造器20と、H
2O分離器22と、貯蔵タンク28と、第1調圧器30と、第2調圧器32と、エジェクタ34とを備えている。これらの内、第1CO
2分離器14及びH
2O分離器22は、還元手段及び酸化手段の一部を構成する。また、蒸発器18は、酸化手段の一部を構成する。
【0070】
なお、以下の説明では、便宜的に、R−SOCスタック40cがSOECモードにある時に第1ガス流路(カソード流路)42cを流れるガスを「A」、SOFCモードにある時に第1ガス流路(アノード流路)42cを流れるガスを「A'」と略記する。同様に、第1CO
2分離器14の第1フィード流路を流れるガスを「B
1」、第1パージ流路を流れるガスを「C
1」と略記する。第2CO
2分離器16の第2フィード流路を流れるガスを「B
2」、第2パージ流路を流れるガスを「C
2」と略記する。H
2O分離器22の第3フィード流路を流れるガスを「D」、第3パージ流路を流れるガスを「E」と略記する。さらに、入口ガスと出口ガスを区別する時は、それぞれ、「A
in」又は「A
out」のように、添え字「in」又は「out」を付記する。
【0071】
[6.1.1. リバーシブルSOC(R−SOC)スタック]
R−SOCスタック40cは、第1ガス流路42cを備えたR−SOCセルと、レドックス流路44とを備えている。第1ガス流路42cの出口は、第1CO
2分離器14の第1フィード流路の入口に接続されている。同様に、レドックス流路44の出口は、第8開閉弁(V8)36hを介して第1CO
2分離器14の第1フィード流路の入口に接続されている。すなわち、第1ガス流路42c及びレドックス流路44は、流路出口で合流している。
R−SOCスタック40cに関するその他の点については、上述した通りであるので、説明を省略する。
【0072】
[6.1.2. 第1CO
2分離器]
第1CO
2分離器14は、R−SOCスタック40cのオフガス(R−SOCスタック40cがSOECモードにある時にはカソードオフガス(A
out)、R−SOCスタック40cがSOFCモードにある時にはアノードオフガス(A'
out))からCO
2を分離するためのものである。
【0073】
第1CO
2分離器14は、SOECモード時には、燃料製造器20に供給される合成ガスの純度を上げるために用いられる。また、A
outから未反応のCO
2を回収し、R−SOCスタック40cに戻す「原料循環手段」の一部を構成する。
一方、第1CO
2分離器14は、SOFCモード時には、A'
outからCO
2を分離することにより、A'
outから未反応の燃料(H
2、CO)を回収し、R−SOCスタック40cに戻す「燃料循環手段」の一部を構成する。
さらに、本実施の形態において、第1パージ流路から排出される分離ガス(C
1out)は、高濃度のCO
2を含んでおり、レドックス材の酸化ガスとして再利用される場合がある。また、第1フィード流路から排出されるオフガス(B
1out)は、高濃度のH
2及び/又はCOを含んでおり、レドックス材の還元ガスとして再利用される場合がある。
【0074】
ここで、「原料循環手段」とは、R−SOCスタック40cがSOECモードにある時に、A
outに含まれる未反応の原料(CO
2、H
2O)を回収し、R−SOCスタック40cに戻す手段をいう。
また、「燃料循環手段」とは、R−SOCスタック40cがSOFCモードにある時に、A'
outに含まれる未反応の燃料(H
2、CO)を回収し、R−SOCスタック40cに戻す手段をいう。
【0075】
図3に示す例において、第1CO
2分離器14は、第1フィード流路と、第1パージ流路とを備えている。第1フィード流路の入口は、R−SOCスタック40cの第1ガス流路42cの出口、及び、第8開閉弁(V8)36hを介してレドックス流路44の出口に接続されている。第1フィード流路の出口はH
2O分離器22の第3フィード流路の入口に接続されている。
【0076】
また、第1CO
2分離器14の第1パージ流路の入口は蒸発器18の出口に接続され、第1パージ流路の出口は、第3三方弁(V3)36cを介して第2CO
2分離器16の第2パージ流路の入口に接続されている。
第3三方弁(V3)36cの残りの出口は、第7三方弁(V7)36g及び第5三方弁(V5)36eを介して、レドックス流路44の入口に接続されている。第7三方弁(V7)36gの残りの出口は、大気に開放されている。
第1CO
2分離器14のその他の点については、上述した通りであるので、説明を省略する。
【0077】
[6.1.3. 第2CO
2分離器]
第2CO
2分離器16は、R−SOCスタック40cがSOECモードにある時に、CO
2源から供給されるガス(B
2in)からCO
2を分離し、分離されたCO
2を含む分離ガス(C
2out)をR−SOCスタック40cに供給するためのものである。
【0078】
図3に示す例において、第2CO
2分離器16は、第2フィード流路と、第2パージ流路とを備えている。第2フィード流路の入口は、外部のCO
2源(例えば、自動車、ボイラー等)に接続され、第2フィード流路の出口は、大気に開放されている。第2CO
2分離器16の第2パージ流路の入口は、第3三方弁(V3)36cを介して第1CO
2分離器14の第1パージ流路の出口に接続されている。第2パージ流路の出口は、第1三方弁(V1)36aを介してR−SOCスタック40cの第1ガス流路42cの入口に接続されている。
【0079】
なお、
図3において、蒸発器18→第1CO
2分離器14→第2CO
2分離器16の順に直列に接続されているが、蒸発器18→第2CO
2分離器16→第1CO
2分離器14の順に直列に接続されていても良い。あるいは、蒸発器18の出口を2つに分岐させ、第1CO
2分離器14と第2CO
2分離器16を並列に接続しても良い。第2CO
2分離器16に関するその他の点については、第1CO
2分離器14と同様であるので、説明を省略する。
【0080】
[6.1.4. 蒸発器]
蒸発器18は、R−SOCスタック40cがSOECモードにある時に、R−SOCスタック40cにH
2Oを供給するためのものである。蒸発器18の入口には、H
2O供給源(図示せず)に接続され、蒸発器18の出口は、第1CO
2分離器14の第1パージ流路の入口に接続されている。蒸発器18に関するその他の点については、上述した通りであるので、説明を省略する。
【0081】
[6.1.5. 燃料製造器]
燃料製造器20は、R−SOCスタック40cがSOECモードにある時に、R−SOCスタック40cのカソードオフガス(A
out)を用いて炭化水素を合成するためのものである。燃料製造器20の構造は、特に限定されるものではなく、公知の装置を用いることができる。
燃料製造器20の入口は、第2三方弁(V2)36bを介してH
2O分離器22の第3フィード流路の出口に接続され、燃料製造器20の出口は、第1調圧器30に接続されている。
【0082】
[6.1.6. H
2O分離器]
H
2O分離器22は、R−SOCスタック40cのオフガス(SOECモードにある時にはカソードオフガス(A
out)、SOFCモードにある時にはアノードオフガス(A'
out))からH
2Oを分離するためのものである。
【0083】
H
2O分離器22は、SOECモード時には、燃料製造器20に供給される合成ガスの純度を上げるために用いられる。また、A
outからH
2Oを回収し、R−SOCスタック40cに戻す「原料循環手段」の一部を構成する。
一方、H
2O分離器22は、SOFCモード時には、A'
outからH
2Oを分離することにより、A'
outから未反応の燃料(H
2、CO)を回収し、R−SOCスタック40cに戻す「燃料循環手段」の一部を構成する。
【0084】
さらに、本実施の形態において、第3パージ流路から排出される分離ガス(E
out)は、高濃度のH
2Oを含んでおり、レドックス材の酸化ガスとして再利用される場合がある。また、第3フィード流路から排出されるオフガス(D
out)は、高濃度のH
2及び/又はCOを含んでおり、レドックス材の還元ガスとして利用される場合がある。
なお、SOFCモードの定常作動時に分離されたH
2Oは、通常、系外に排出される。但し、後述する分割制御手段を備えている場合には、待機中のスタックの酸化ガスとして用いることができる。
【0085】
図3に示す例において、H
2O分離器22は、第3フィード流路と第3パージ流路とを備えている。第3フィード流路の入口は、第1CO
2分離器14の第1フィード流路の出口に接続され、第3フィード流路の出口は、第2三方弁(V2)36bを介して燃料製造器20の入口に接続されている。第2三方弁(V2)36bの残りの出口は、エジェクタ34の吸引側、並びに、第6三方弁(V6)36f及び第5三方弁(V5)36eを介して、レドックス流路44の入口に接続されている。
【0086】
H
2O分離器22の第3パージ流路の出口は、蒸発器18の出口に接続されている。
なお、H
2O分離器22は、
図3に示す位置に代えて、R−SOCスタック40cと第1CO
2分離器14の間に設置されていても良い。すなわち、H
2Oの分離は、CO
2の分離後に行っても良く、あるいは、CO
2の分離前に行っても良い。
【0087】
[6.1.7. 貯蔵タンク]
貯蔵タンク28は、R−SOCスタック40cがSOECモードにある時に、燃料製造器20から排出される炭化水素を貯蔵し、又はR−SOCスタック40cがSOFCモードにある時に、炭化水素をR−SOCスタック40cに供給するためのものである。貯蔵タンク28は、このような機能を奏するものである限りにおいて、その構造、容量等は特に限定されない。
【0088】
[6.1.8. 第1調圧器、第2調圧器]
図3に示す例において、燃料製造器20の出口と貯蔵タンク28の入口との間には、第1調圧器30が設けられている。貯蔵タンク28の出口は、第4開閉弁(V4)34dを介して、エジェクタ34の駆動側の入口に接続されている。第4開放弁(V4)36と貯蔵タンク28との間には、第2調圧器32が設けられている。
【0089】
第1調圧器30及び第2調圧器32は、炭化水素を貯蔵・排出する際に、炭化水素の圧力を増減するためのものである。例えば、R−SOCスタック40cの内部圧力が高圧であり、貯蔵タンク28の内部圧力が低圧である場合、第1調圧器30としてエキスパンダ(減圧器)を用い、第2調圧器32としてコンプレッサ(昇圧器)を用いるのが好ましい。これにより、SOECモード時にシステム内で製造された高圧ガスを低圧で貯蔵することができる。また、SOFCモード時には、所定の圧力に昇圧した状態でガスを使用することができる。
逆に、R−SOCスタック40cの内部圧力が低圧であり、貯蔵タンク28の内部圧力が高圧である場合、第1調圧器30としてコンプレッサを用い、第2調圧器32としてエキスパンダを用いるのが好ましい。
【0090】
[6.1.9. エジェクタ]
エジェクタ34は、貯蔵タンク28に貯蔵された炭化水素をR−SOCスタック40cの第1ガス流路42c(アノード流路)に供給するためのものである。また、エジェクタ34は、A'
outから回収された未反応燃料をR−SOCスタック40cに戻すためにも用いられる。
【0091】
図3に示す例において、エジェクタ34の駆動側の入口は、貯蔵タンク28の出口に接続されている。エジェクタ34の駆動側の出口は、第1三方弁(V1)36aを介してR−SOCスタック40cの第1ガス流路42cの入口に接続されている。さらに、エジェクタ34の吸引側の入口は、第2三方弁(V2)36bを介して、H
2O分離器22の第3フィード流路の出口に接続されている。
【0092】
貯蔵タンク28の出口をエジェクタ34の駆動側に接続し、H
2O分離器22のフィード流路の出口をエジェクタ34の吸引側に接続する。この状態で、貯蔵タンク28から供給される炭化水素を駆動側のノズルから高圧で噴出させると、ノズル周囲の負圧によりH
2O分離器22のオフガス(D
out)が吸引される。
【0093】
[6.2. 使用方法]
[6.2.1. SOFC+酸化モード]
図4に、R−SOCスタック40cがSOFC+酸化モードにある時のガスの流れの模式図を示す。まず、第2CO
2分離器16、蒸発器18、及び燃料製造器20を休止状態とする。
【0094】
また、
(a)第1三方弁(V1)36aをエジェクタ34/R−SOCスタック40c側に切り替え、
(b)第2三方弁(V2)36bをH
2O分離器22/エジェクタ34側に切り替え、
(c)第3三方弁(V3)36c、第5三方弁(V5)36e、及び第7三方弁(V7)36gを第1CO
2分離器14/レドックス流路44側に切り替え、
(d)第6三方弁(V6)36fを中立状態(いずれの方向にもガスが流れない状態)とし、
(f)第8開閉弁(V8)36hを開とする。
【0095】
この状態から、第4開閉弁(V4)36dを開とすると、貯蔵タンク28から燃料が放出される。燃料は、第2調圧器32で減圧又は昇圧された後、R−SOCスタック40cに供給される。その結果、R−SOCスタック40cから電力を取り出すことができる。オフガス(A'
out)は、第1CO
2分離器14でCO
2が分離され、H
2O分離器22でH
2Oが分離される。そのため、H
2O分離器22の第3フィード流路の出口から、高濃度の未反応燃料を含むオフガス(D
out)が排出される。D
outは、第2三方弁(V2)36bを介してエジェクタ34に吸引され、発電に再利用される。
【0096】
一方、H
2O分離器22の第3パージ流路に排出されたH
2Oを含む分離ガス(E
out)は、第1CO
2分離器14の第1パージ流路に送られ、CO
2のパージガスとして用いられる。その結果、第1CO
2分離器14の第1パージ流路の出口から、CO
2及びH
2Oを含む分離ガス(C
1out)が排出される。C
1outは、レドックス流路44に供給され、レドックス材の酸化反応に再利用される。その結果、レドックス材が発熱し、R−SOCスタック40cの温度が上昇する。レドックス流路44から排出されたオフガス(A'
2out)は、アノードオフガス(A'
1out)と合流し、第1CO
2分離器14及びH
2O分離器22で処理される。
【0097】
[6.2.2. 通常のSOFCモード]
図5に、R−SOCスタック40cが通常のSOFCモードにある時のガスの流れの模式図を示す。R−SOCスタック40cの暖機運転(
図4の状態)が終了した後、定常運転に切り替える。具体的には、V1〜V9の内、
(a)第5三方弁(V5)36eを中立状態に切り替え、
(b)第7三方弁(V7)36gを第1CO
2分離器14/大気側に切り替え、
(c)第8開閉弁(V8)38hを閉とする。
【0098】
このようなバルブ操作により、通常のSOFCモードでの運転が可能となる。H
2O分離器22から排出されたH
2Oは、第1CO
2分離器14でCO
2のパージガスとして用いられる。CO
2及びH
2Oを含む分離ガス(C
1out)は、第7三方弁(V7)36gを介して大気に放出される。
【0099】
[6.2.3. SOFC+還元モード]
図6に、R−SOCスタック40cがSOFC+還元モードにある時のガスの流れの模式図を示す。R−SOCスタック40cが定常運転(
図5の状態)に入った後、適切な時期に還元モードに切り替える。具体的には、V1〜V9の内、
(a)第5三方弁(V5)36e、及び第6三方弁(V6)36fをH
2O分離器22/レドックス流路44側に切り替え、
(b)第8開閉弁(V8)36hを再び開とする。
【0100】
このようなバルブ操作により、D
outの一部がレドックス流路44に分配される。D
outがレドックス流路44に供給されると、D
out及びR−SOCスタック40cの排熱により、レドックス材が還元される。レドックス材の還元が終了した後、通常のSOFCモード(
図5の状態)に戻る。
【0101】
[6.2.4. SOEC+酸化モード]
図7に、R−SOCスタック40cがSOEC+酸化モードにある時のガスの流れの模式図を示す。
【0102】
まず、
(a)第1三方弁(V1)36aを第2CO
2分離器16/R−SOCスタック40c側に切り替え、
(b)第2三方弁(V2)36bをH
2O分離器22/燃料製造器20側に切り替え、
(c)第3三方弁(V3)36cを第1CO
2分離器14/第2CO
2分離器16側に切り替え、
(d)第4開閉弁(V4)36dを閉とし、
(e)第5三方弁(V5)36e、及び第6三方弁(V6)36fを蒸発器18/レドックス流路44側に切り替え、
(f)第7三方弁(V7)36gを中立状態とし、
(f)第8開閉弁(V8)36hを開とする。
【0103】
この状態から、第2CO
2分離器16の第2フィード流路にCO
2を含むガス(B
2in)を供給し、蒸発器18を作動させると、第2CO
2分離器16の第2パージ流路の出口から、CO
2及びH
2Oを含む分離ガス(C
2out)が排出される。C
2outを原料ガス(A
in)としてR−SOCスタック40cの第1ガス流路42cに供給すると同時に、R−SOCスタック40cに電力を供給すると、H
2O+CO
2の共電解が行われる。その結果、第1ガス流路42cの出口から、H
2及びCOを含むオフガス(A
out)が排出される。
【0104】
A
outは、第1CO
2分離器14でCO
2が分離され、H
2O分離器22でH
2Oが分離された後、燃料製造器20に送られる。燃料製造器20では、高濃度のH
2及びCOを含むオフガス(D
out)を用いて、炭化水素の製造が行われる。製造された炭化水素は、第1調圧器30で昇圧又は減圧された後、貯蔵タンク28に貯蔵される。
H
2O分離器22の第3パージ流路に排出されたH
2Oを含む分離ガス(E
out)は、第1CO
2分離器14の第1パージ流路に送られる。第1CO
2分離器14から排出されたCO
2、及びH
2O分離器22から排出されたH
2Oは、いずれも、共電解に再利用される。
【0105】
一方、蒸発器18に供給される水量は電解反応用+レドックス反応用とし、蒸発器18から供給されるH
2Oの一部は、第6三方弁(V6)36f、及び第5三方弁(V5)36eを介して、レドックス流路44に供給される。レドックス流路44にH
2Oが供給されると、レドックス材の酸化反応が進行する。その結果、レドックス材が発熱し、R−SOCスタック40cの温度が上昇する。レドックス流路44から排出されたオフガス(A
2out)は、カソードオフガス(A
1out)と合流し、第1CO
2分離器14及びH
2O分離器22で処理される。レドックス反応が完了した時は、第6三方弁(V6)36fを中立状態とする。
【0106】
[6.2.5. 通常のSOECモード]
図8に、R−SOCスタック40cが通常のSOECモードにある時のガスの流れの模式図を示す。R−SOCスタック40cの暖機運転(
図7の状態)が終了した後、定常運転に切り替える。具体的には、V1〜V9の内、
(a)第5三方弁(V5)36e、及び第6三方弁(V6)36fを中立状態に切り替え、
(b)第8開閉弁(V8)36hを閉とする。
【0107】
このようなバルブ操作により、通常のSOECモードでの運転が可能となる。第1CO
2分離器14から排出されたCO
2、及びH
2O分離器22から排出されたH
2Oは、いずれも高温電解用の原料として再利用される。
【0108】
[6.2.6. SOEC+還元モード]
図9に、R−SOCスタック40cがSOEC+還元モードにある時のガスの流れの模式図を示す。R−SOCスタック40cが定常運転(
図8の状態)に入った後、適切な時期に還元モードに切り替える。具体的には、V1〜V9の内、
(a)第2三方弁(V2)36b、第5三方弁(V5)36e、及び第6三方弁(V6)36fを、H
2O分離器22/レドックス流路44側に切り替え、
(b)第8開閉弁(V8)36hを再び開とする。
【0109】
このようなバルブ操作により、高濃度のH
2及びCOを含むD
outがレドックス流路44に供給される。D
outがレドックス流路44に供給されると、D
out及びリバーシブルSOCスタック40cの排熱により、レドックス材が還元される。レドックス材の還元中は、燃料製造器20へのガス供給を停止させ、レドックス材の還元が終了した後、通常のSOECモード(
図8の状態)に戻る。
【0110】
[7. リバーシブルSOCシステム(2)]
本発明の第2の実施の形態に係るリバーシブルSOC(R−SOC)システムは、第1の実施の形態に係るR−SOCシステムの構成に加えて、
複数個の前記R−SOCスタックと、
前記R−SOCスタックの動作を制御する制御手段と
をさらに備えている。
さらに、制御手段は、電力供給/需要出力に応じて、作動させる前記R−SOCスタックの数を制御することで、出力比を制御する分割制御手段を備えている。
【0111】
ここで、「分割制御手段」とは、
要求出力に応じて、待機中の前記R−SOCスタックに対し、発電/電解の要求と同時に前記レドックス材を酸化させ、前記R−SOCスタックを加熱する暖機手段と、
発電・電解作動中において、前記R−SOCスタックの内部発熱を用いて前記レドックス材を還元する還元手段と
を備えているものをいう。
【0112】
[7.1. 構成]
図10に、分割制御手段を備えたR−SOCシステムの模式図を示す。
図10において、R−SOCシステム10dは、合計5個のR−SOCスタック40c(1)〜40c(5)と、制御手段(図示せず)とを備えている。なお、R−SOCスタック40cの個数は、5個に限定されるものではなく、目的に応じて最適な個数を選択することができる。
各R−SOCスタック40c(1)〜40c(5)は、それぞれ、第1ガス流路を備えたR−SOCセル(SOC1〜SOC5)と、レドックス流路(Redox1〜Redox5)とを備えている。
【0113】
SOC1〜SOC5の第1ガス流路の入口は、それぞれ、バルブV11〜V51を介して、ガス供給源に接続されている。例えば、SOFC作動の場合、ガス供給源から燃料ガス(例えば、CH
4+H
2Oの混合ガス)が供給される。一方、SOEC作動の場合、ガス供給源から原料ガス(例えば、H
2O+CO
2の混合ガス)が供給される。
【0114】
一方、Redox1〜Redox5の入口は、それぞれ、バルブV12〜V52を介して、酸化・還元ガス供給源に接続されている。例えば、レドックス材を酸化させる場合、酸化・還元ガス供給源から酸化ガス(例えば、CO
2+H
2O)が供給される。一方、レドックス材を還元させる場合、酸化・還元ガス供給源から還元ガス(例えば、H
2+CO)が供給される。
Redox1〜Redox5の出口は、それぞれ、バルブV13〜V53を介して、SOC1〜SOC5の第1ガス流路の出口と合流している。Redox1〜5のオフガスには、酸化ガス及び還元ガスが含まれているので、SOC1〜SOC5のオフガスと共に、これらをレドックス材の酸化及び還元に再利用することができる。
【0115】
[7.2. 使用方法]
例えば、要求出力が小さく、1個のR−SOCスタック40c(1)のみで要求出力を賄える場合、V11を開とし、SOC1による発電/電解を開始する。これと同時に、V12及びV13を開とし、Redox1に酸化ガスを供給し、SOC1の暖機を行う。SOC1の温度が上昇した後、適切な時にRedox1に還元ガスを供給し、レドックス材の還元を行う。これにより、SOC1からの排熱を蓄熱することができる。
【0116】
要求出力が増加し、1個のR−SOCスタック40c(1)のみで要求出力を賄えなくなった場合には、さらに、SOC2〜SOC5の全部又は一部の起動、暖機、及びレドックス材の還元を行う。この時、R−SOCスタック40c(1)のオフガスを用いて、他のスタックの暖機や還元を行うことができる。一方、要求出力が減少した時には、要求出力に応じて、SOC1〜SOC5の全部又は一部を待機状態に戻す。
【0117】
[7.3. 分割制御時のスタックの状態変化]
図11に、オフガス合流がないスタックを分割制御した時のスタックの状態変化の模式図を示す。SOEC作動時において、あるスタックが待機状態にある時には、レドックス材は還元状態にある。この状態から、制御手段が要求出力の増大を検出すると、待機状態にあるスタックの第1ガス流路(カソード流路)に原料ガス(例えば、H
2O+CO
2)が供給され、電解が行われる。その結果、第1ガス流路から反応生成物(例えば、H
2+CO)が排出される。なお、オフガスには通常、未反応原料(又は、未反応燃料)が含まれるが、
図11においては、これを省略している。後述する
図12も同様である。
【0118】
これと同時にレドックス流路に酸化ガス(例えば、H
2O)を供給し、レドックス材の酸化を行う。その結果、レドックス材が発熱し、スタックが暖機される。また、レドックス流路から反応生成物(例えば、H
2)が排出される。
暖機が終了した後、レドックス流路への酸化ガスの供給を止め、第1ガス流路にのみ原料を供給する。スタックの温度が所定の温度に到達した後、適切な時にレドックス流路に還元ガス(例えば、H
2+CO)を供給し、レドックス材の還元を行う。その結果、レドックス流路から反応生成物(例えば、H
2O+CO
2)が排出される。
【0119】
レドックス材の還元が終了した後、要求出力が低下した時には、第1ガス流路への原料ガスの供給を停止させ、待機状態に戻る。
以下、要求出力に応じて、各スタックは、待機→暖機(酸化)→作動→作動(還元)のサイクルを繰り返す。いずれの段階においても、少なくとも第1ガス流路のオフガスは、CO
2分離器及び/又はH
2O分離器で処理される。分離されたCO
2及び/又はH
2Oは、高温電解用のの原料として、あるいは、酸化ガスとして利用される。一方、CO
2及びH
2Oを除去した後のオフガスは、可燃成分を含んでいるので、炭化水素合成用の原料として、あるいは、還元ガスとして利用される。
【0120】
SOFC作動の場合も同様であり、要求出力に応じて、各スタックは、待機→暖機(酸化)→作動→作動(還元)のサイクルを繰り返す。また、少なくとも第1ガス流路(アノード流路)のオフガスは、CO
2分離器及び/又はH
2O分離器で処理される。CO
2及びH
2Oを除去した後のオフガスは、発電用燃料として、あるいは、還元ガスとして利用される。一方、分離されたCO
2及びH
2Oは、酸化ガスとして利用される。
【0121】
図12に、オフガス合流があるスタックを分割制御した時のスタックの状態変化の模式図を示す。オフガス合流がある場合も同様であり、要求出力に応じて、各スタックは、待機→暖機(酸化)→作動→作動(還元)のサイクルを繰り返す。オフガス合流がある場合、第1ガス流路からのオフガスだけでなく、レドックス流路からのオフガスもCO
2分離器及び/又はH
2O分離器で同時に処理される。また、処理後のガスは、高温電解用の原料、発電用燃料、酸化ガス、還元ガスなどに利用される。
【0122】
[7.4. 出力比制御]
図13に、スタック分割制御による出力比制御の一例を示す。
図13中の折れ線は、要求出力を表す。
図13に示すように、要求出力(電力需要/電力供給)は、通常、一定ではなく、時間と共に変動する。スタックの分割制御(作動させるスタックの個数の制御)を行うと、このような不安定な電力需要/電力供給に対応するように、システムの出力比を制御することができる。しかし、スタックの分割制御を行うと、要求出力に応じて、待機状態にあるスタックが発生する。待機状態にあるスタックは、放熱により温度が低下しているため、再起動直後の効率は低い。
【0123】
これに対し、作動中のスタックのオフガスから高温の酸化ガスを分離し、これを待機状態にあるスタックのレドックス流路に供給すると、待機状態にあるスタックの昇温時間(再起動から定常作動に至るまでの時間)を短縮することができる。また、連続的にオフガス、生成ガス、及び循環ガスの量が増幅されるため、分割されたスタックを逐次昇温させることができる。そのため、電力需要/電力供給が不安定であっても、発電出力/電解出力の連続性を確保することができる。
このような分割制御手段を備えたシステムは、電力供給量が不安定な電力源(例えば、再生可能エネルギー、分散型電源など)からの電力を化学エネルギーとして貯蔵し、貯蔵された化学エネルギーを電力に変換し、需要電力量が時間的に変動する電力消費源に供給するためのシステムとして好適である。
【0124】
[8. 作用]
[8.1. レドックス材を用いた加熱、冷却、及び蓄熱]
SOFC/SOECスタックは、発電温度が高いため(550℃〜750℃)、小型・高効率な発電/電解が可能となる。また、連続的な発電/電解作動では、高効率を維持することが可能である。しかし、休止や待機を伴う間欠的な運転や、SOEC/SOFCリバーシブル運転では、セルスタックが発電/電解を停止し、外部配管等への放熱により温度が低下する。セルスタックの発電/電解再開時では、休止・待機期間中のセルスタックの温度低下により活性化損失及びオーム損失が増大し、発電電圧の低下/電解電圧の増加が発生する。その結果、発電/電解効率が低下する。効率回復のためには、外部からの加熱又は内部発熱(セルスタックのオーミック発熱等)により、セルスタックの内部温度を上昇させることが必要不可欠となる。
【0125】
一方、ある種のレドックス材は、H
2O、CO
2等の酸化ガスにより酸化され、CO、H
2等の還元ガスにより還元される。しかも、レドックス材の酸化反応は発熱反応であり、還元反応は吸熱反応である。
そのため、SOFC/SOECスタックとレドックス流路とを熱的に接続し、レドックス流路に酸化ガスを流すと、レドックス材が酸化反応によって発熱する。その結果、外部熱源を用いることなくセルスタックを加熱することができる。また、SOFC/SOECスタックが定常作動温度に達した後、レドックス流路に還元ガスを流すと、SOFC/SOECスタックの内部発熱を用いてレドックス材を還元すること(換言すれば、内部発熱をレドックス材の還元体として蓄熱すること)ができる。あるいは、クロスリーク等によるスタック内部温度が異常昇温した時には、レドックス材を還元させることにより、スタックを急冷することもできる。
【0126】
[8.2. 流路出口の合流]
酸化反応時のレドックス流路のオフガスには、未反応の酸化ガス(H
2O、CO
2)と、反応生成物(H
2、CO)が含まれる。一方、還元反応時のレドックス流路のオフガスには、未反応の還元ガス(H
2、CO)と、反応生成物(H
2O、CO
2)が含まれる。そのため、SOFCのアノード流路とレドックス流路とを流路出口で合流させると、レドックス流路のオフガスに含まれる可燃成分(H
2、CO)を、SOFC用の燃料、あるいは、燃焼用燃料として再利用することができる。
【0127】
また、流路出口を合流させることにより、レドックス流路のオフガスに含まれるH
2O及びCO
2をレドックス材の酸化ガスとして再利用すること(すなわち、休止期間中にあるスタックの昇温用熱源として再利用すること)もできる。さらに、再起動直後〜定常作動時間における温度低下による発熱損失の増大(活性化損失、オーム損失の増大)を、アノードオフガス循環中の可燃成分濃度の増大によりリカバーすることができる。その結果、低温再起動時における出力低下の抑制が可能となる。
【0128】
同様に、SOECのカソード流路とレドックス流路とを流路出口で合流させると、レドックス流路のオフガスに含まれる可燃成分(H
2、CO)を、CH
4等の炭化水素合成用の燃料、あるいは、燃焼用燃料として再利用することができる。
また、流路出口を合流させることにより、レドックス流路のオフガスに含まれるH
2O及びCO
2をレドックス材の酸化ガスとして再利用すること(すなわち、休止期間中にあるスタックの昇温用熱源として再利用すること)もできる。さらに、再起動直後〜定常作動時間における温度低下による電解電圧の増大(活性化損失、オーム損失の増大)を抑制することができる。その結果、合成ガスの製造効率の低下を抑制することができる。
【0129】
[8.3. H
2O分離器及び第1CO
2分離器を用いたオフガス循環]
H
2O分離器及び第1CO
2分離器を用いると、SOFCのアノードオフガスから、電極反応により生成したH
2O及びCO
2を除去することができる。残りの混合ガスには、可燃成分(H
2、CO)が含まれている。そのため、これを用いてレドックス材を還元することができる。また、SOFC定常作動期間中に、混合ガスを用いたレドックス材の還元を並行して行うことができる。
さらに、第1CO
2分離器のCO
2放出反応では、H
2O分離器から排出されるH
2OによるCO
2パージが行われる。H
2O+CO
2パージオフガスは、レドックス流路に供給される酸化剤として用いることができる。また、SOFC再起動〜定常作動期間中において、レドック材の酸化を並行して行うことができる。
【0130】
同様に、SOECのカソードオフガスには、電解反応により生成した合成ガス(H
2+CO)が含まれている。そのため、これを用いてレドックス材を還元することができる。また、SOEC定常作動期間中に、合成ガスを用いたレドックス材の還元を並行して行うことができる。
また、SOEC電解用の原料であるH
2O、又はカソードオフガスから分離されたH
2Oは、レドックス流路に供給される酸化剤として用いることができる。そのため、SOEC再起動〜定常作動期間中において、レドックス材の酸化を並行して行うことができる。
【0131】
[8.4. リバーシブル作動]
SOFC/SOECをリバーシブルで作動させるR−SOCシステムでは、SOFC作動時のアノードオフガス又はSOEC作動時のカソードオフガス(合成ガス)に含まれる可燃成分(H
2、CO)をレドックス材の還元ガスとして利用することができる。また、可燃成分を用いて、システムの定常作動期間中に、レドックス材の還元を並行して行うことができる。すなわち、SOFC/SOECの排熱をレドックス材の還元体として蓄熱することができる。これにより、休止期間中に内部温度が低下したR−SOCスタックをレドックス材の酸化反応(発熱)により速やかに昇温することができる。
また、オフガスを第1CO
2分離器及びH
2O分離器で処理することにより得られるパージガス(H
2O+CO
2混合ガス)、あるいは、電解用のH
2Oを酸化剤として利用することにより、システムの再起動〜定常作動期間中にレドックス材の酸化を並行して行うことができる。
【0132】
[8.5. 熱収支]
図14に、SOECの排熱回収による化学エネルギーの増幅原理の模式図を示す。SOFC作動では、発電に伴う損失(濃度分極+活性化分極+オーム損失)により熱が発生する。定常作動中ではSOFCの内部熱収支を成立させるために、カソード空気を多く導入し、SOFCの内部発熱とカソードオフガスにより持ち出されるガス顕熱とをバランスさせている。そのため、投入された発電用燃料(CH
4等)は、発電の他に排熱として系外に放出されてしまい、発電効率が低い。
【0133】
一方、SOECでは、電解に伴う損失(濃度分極+活性化分極+オーム損失)による発熱と、電解反応を維持するために必要な不可逆エネルギー(TΔS、T[K]:作動温度、ΔS[kJ/mol]:エントロピー変化量)による吸熱とがバランスする点(サーモニュートラル)において電解作動させるのが好ましい。サーモニュートラル状態での電解作動は、セル面内で均一な電解が進行するため、効率・耐久性確保の点で有効である。
【0134】
SOFCモードにおいて、レドックス流路へ還元ガスを供給すると、レドックス材の還元反応(吸熱反応)が進行する。その結果、SOFC発電に伴い発生する熱をレドックス材に蓄熱することができる。一方、SOECモードにおいて、レドックス流路に酸化ガスを供給すると、レドックス材の酸化反応(発熱反応)が進行する。その結果、酸化熱をSOECの電解反応に必要な不可逆エネルギーTΔSとして利用することができる。また、これによって、比較的短いサイクルでリバーシブル作動を行うR−SOCスタックの熱サイクル利用を促進することができる。
【0135】
さらに、SOFCモードでは、発電に伴い発生する熱をレドックス材の還元反応(吸熱)により除去することができる。そのため、カソード空気量を低減することができ、オフガスからの持ち出し顕熱量の増大を抑制することができる。
また、SOECモードでは、電解反応に必要な熱エネルギーをレドックス材の酸化反応(発熱)により供給することができる。そのため、より少ない分極ロスによる発熱であってもレドックス材の酸化発熱により補完されて、サーモニュートラル状態(不可逆エネルギーTΔS=レドックス材の酸化発熱+電解に伴う損失発熱)を維持することができる。これにより、電解に伴い発生する損失分を低減(構成部材の薄膜化によるオーム損失の抑制、触媒反応活性化による損失の抑制等)することが可能となる。
【0136】
すなわち、レドックス材の還元/酸化反応と、SOFC/SOECリバーシブル作動とを連動させることで、各作動モードにおける効率を向上させ、R−SOCによる高い電力貯蔵効率を確保することが可能となる。
【0137】
[8.6. スタックの分割制御]
レドックス材の酸化/還元反応による化学蓄熱では、潜熱材あるいは顕熱材を蓄熱材とした場合と比較して、長期・安定した熱の貯蔵が可能である。そのため、R−SOCスタックを分割制御するシステムにおいて、SOFCモード及びSOECモードのいずれにおいても、システム内の生成ガス、オフガス、及び循環ガスを用いて、レドックス材の酸化及び還元が可能となる。これにより、システム内の生成ガス、オフガス、及び循環ガスの量を連続的に増幅させながら、分割制御されたスタックを逐次昇温することができる。
【実施例】
【0138】
(実施例1)
[1. 試験方法]
図1に示すSOFCシステム10a、及び
図2に示すSOECシステム10bについて、システム効率をシミュレーションにより求めた。SOFCのアノード、カソード、及び電解質膜の材料には、それぞれ、Ni−YSZ、LaSrMnO
3、及びYSZを選択した。また、各材料の厚み及び抵抗率については、表1に記載の値を用いた。
【0139】
【表1】
【0140】
SOFCの発電電圧V及び発電電力Wは、それぞれ、以下の式(1)及び式(2)から求めた。また、SOECの電解電圧V及び必要電力Wは、それぞれ、以下の式(3)及び式(4)から求めた。
発電電圧V=V
th−V
act−V
ohn ・・・(1)
発電電力W=V・J
e ・・・(2)
電解電圧V=V
th+V
act+V
ohn ・・・(3)
必要電力W=V・J
e ・・・(4)
【0141】
式(1)及び式(3)中、V
thは、濃度分極による必要電解電圧の増大(Nerunst式)を表す。V
actは、活性化分極による必要電解電圧の増大を表す。V
ohmは、抵抗分極による必要電解電圧の増大(参考文献1)を表す。V
th、V
act、及びV
ohmは、それぞれ、以下の式(5)〜式(7)で表される。また、式(2)、式(4)中、J
eは、電流密度である。
[参考文献1] Jack Winnick et al., J.Electochem.Soc, Vol.142(11)1995
【0142】
【数1】
【0143】
さらに、レドックス材には、Fe/FeO系の多孔質体を用いた。SOFC/SOECスタックとレドックス材の熱収支の計算には、以下のエンタルピー変化ΔHを用いた。
【0144】
【数2】
【0145】
[2. 結果]
[2.1. SOFC発電/SOEC電解電圧の影響]
図15(A)に、SOFC作動温度と電圧との関係を示す。
図15(B)に、SOEC作動温度と必要電解電圧との関係を示す。なお、
図15(A)において、電流密度は0.5A/cm
2とした。また、
図15(B)において、燃料利用率は0.55とし、電流密度は0.8A/cm
2とし、製造ガス化学エネルギーは50kWとした。
図15より、以下のことがわかる。
【0146】
(1)SOFC/SOECの作動温度が低下すると、発電電圧は低下し、電解電圧は増大する。これは、低温域では、活性化ロス、及びオーム損失が増大するためである。
(2)SOFC/SOECシステムの効率を向上させるためには、スタック休止期間中における温度低下の抑制(断熱)、及び、再起動後の短時間昇温が必要である。
【0147】
[2.2. R−SOC/レドックス反応の熱収支]
図16(A)に、FeO充填高さと昇温幅及びリバーシブルSOC体格との関係を示す。
図16(B)に、流路へのFeO充填率と昇温幅及びリバーシブルSOC体格との関係を示す。なお、
図16(A)において、充填率は80%とした。また、
図16(B)において、充填高さは14mmとした。
図16より、以下のことがわかる。
【0148】
(1)レドックス材の充填高さが高くなるほど、昇温幅は増大する。しかし、充填高さが高くなるほど、R−SOCの体格が大きくなる。R−SOCの体格を90L以下とするためには、充填高さを14mm以下とするのが好ましい。
(2)レドックス材の充填率が大きくなるほど、昇温幅は大きくなる。200℃以上の昇温幅を得るためには、充填率は、0.6以上が好ましい。
【0149】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。