特許第6874536号(P6874536)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6874536
(24)【登録日】2021年4月26日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】ステアリングコラムの支持構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/08 20060101AFI20210510BHJP
   B62D 1/06 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   B62D25/08 J
   B62D1/06
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-108118(P2017-108118)
(22)【出願日】2017年5月31日
(65)【公開番号】特開2018-202936(P2018-202936A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2020年5月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000176811
【氏名又は名称】三菱自動車エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】小倉 章弘
(72)【発明者】
【氏名】高橋 悟
(72)【発明者】
【氏名】南 智規
(72)【発明者】
【氏名】久間 陽一
(72)【発明者】
【氏名】田中 慎哉
(72)【発明者】
【氏名】市橋 茂治
【審査官】 田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】 特開平1−254470(JP,A)
【文献】 特開平8−113148(JP,A)
【文献】 特開2001−063591(JP,A)
【文献】 特開2016−064716(JP,A)
【文献】 特開平1−195175(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/08
B62D 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダッシュパネルの車両後方に位置し車幅方向に延びるデッキクロスメンバと、
前記デッキクロスメンバに取り付けられるステアリングコラムと、
前記ダッシュパネルと前記デッキクロスメンバとを連結する第1ステーと、
前記ダッシュパネルと前記ステアリングコラムの前部とを連結する第2ステーと、
前記ステアリングコラムの前部と前記デッキクロスメンバとを連結する第3ステーと、を有するステアリングコラムの支持構造であって、
前記ダッシュパネルの車両前方にブレーキブースターが配置され、
前記第1ステー及び前記第2ステーは、前記ダッシュパネルの前記ブレーキブースターの上部近傍である第1の箇所に取り付けられ、
前記第1ステーに、前面衝突時の衝撃荷重を受けることでこの第1ステーの他の部分より優先して変形する変形誘発部が設けられている、
ことを特徴とするステアリングコラムの支持構造。
【請求項2】
前記変形誘発部は、前面衝突時の衝撃荷重を受けることで前記第1ステーを下方に凸状に折曲する、
ことを特徴とする請求項1記載のステアリングコラムの支持構造。
【請求項3】
前記第1ステー及び前記第2ステーは、前記第1の箇所に取着されたブラケットに取り付けられることで前記第1の箇所に連結され、
車両の前方から見て前記ブレーキブースターの上部と前記ブラケットの下部とは重複している、
ことを特徴とする請求項1または2記載のステアリングコラムの支持構造。
【請求項4】
前記ブラケットは、前記ダッシュパネルに取着される基部と、前記基部から車両後方に突出する脚部と、前記脚部の後端に設けられ前記第1ステーと前記第2ステーが取り付けられる取り付け板部とを有し、
前記脚部の下方に向いた部分は、車両後方に至るにつれて次第に上方に変位する傾斜面で形成され、
前記取り付け板部は、上方に至るにつれて次第に車両前方に変位する傾斜面で形成されている、
ことを特徴とする請求項3記載のステアリングコラムの支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はステアリングコラムの支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から車両の前面衝突時にステアリングコラムの後端すなわちステアリングホイールの車両後方への後退量および上方への突出量を抑制することで乗員への障害値の抑制を図るステアリングコラムの支持構造が種々提案されている。
特許文献1には、ステアリングコラムを車幅方向に延在するデッキクロスメンバに回動可能に支持させると共に、ステアリングコラムの前部のステアリングギアボックスを、車両前部空間に配置されたエンジンユニットと車幅方向に延在するクロスメンバとの間に配置させたものが開示されている。
この支持構造では、前面衝突時にエンジンユニットが後退すると、エンジンユニットとクロスメンバとの間でステアリングギアボックスが挟みこまれて上方に押し出されるように、エンジンユニット、クロスメンバ、ステアリングギアボックスの位置が設定されている。
したがって、前面衝突時、ステアリングギアボックスが上方に押し出されることで、ステアリングコラムの前部が上方に、後部が下方に変位するようにデッキクロスメンバの軸線回りに回動され、ステアリングコラムの後端すなわちステアリングホイールの車両後方への後退量および上方への突出量が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−44309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、エンジンユニット、クロスメンバ、ステアリングギアボックスなどの複数の車両構成部品を特定の位置に配置する必要があり、車両構成部品のレイアウトの自由度が制約される不利がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両構成部品のレイアウトの自由度を確保しつつ、前面衝突時にステアリングコラムの後端すなわちステアリングホイールの車両後方への後退量および上方への突出量を抑制する上で有利なステアリングコラムの支持構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、ダッシュパネルの車両後方に位置し車幅方向に延びるデッキクロスメンバと、前記デッキクロスメンバに取り付けられるステアリングコラムと、前記ダッシュパネルと前記デッキクロスメンバとを連結する第1ステーと、前記ダッシュパネルと前記ステアリングコラムの前部とを連結する第2ステーと、前記ステアリングコラムの前部と前記デッキクロスメンバとを連結する第3ステーと、を有するステアリングコラムの支持構造であって、前記ダッシュパネルの車両前方にブレーキブースターが配置され、前記第1ステー及び前記第2ステーは、前記ダッシュパネルの前記ブレーキブースターの上部近傍である第1の箇所に取り付けられ、前記第1ステーに、前面衝突時の衝撃荷重を受けることでこの第1ステーの他の部分より優先して変形する変形誘発部が設けられていることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、前記変形誘発部は、前面衝突時の衝撃荷重を受けることで前記第1ステーを下方に凸状に折曲することを特徴とする。
請求項3記載の発明は、前記第1ステー及び前記第2ステーは、前記第1の箇所に取着されたブラケットに取り付けられることで前記第1の箇所に連結され、車両の前方から見て前記ブレーキブースターの上部と前記ブラケットの下部とは重複していることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、前記ブラケットは、前記ダッシュパネルに取着される基部と、前記基部から車両後方に突出する脚部と、前記脚部の後端に設けられ前記第1ステーと前記第2ステーが取り付けられる取り付け板部とを有し、前記脚部の下方に向いた部分は、車両後方に至るにつれて次第に上方に変位する傾斜面で形成され、前記取り付け板部は、上方に至るにつれて次第に車両前方に変位する傾斜面で形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明によれば、車両の前面衝突時、前方から入力する衝撃荷重によりダッシュパネルが後退すると、ダッシュパネルから荷重が3つのステーに入力する。
衝撃荷重によって第1ステーの変形誘発部が変形して折曲し、3つのステーで形成される三角形形状が車両前後方向に潰れるように変形することで、ステアリングコラムの後端すなわちステアリングホイールの後退量が抑制される。
また、ブレーキブースターが後退しダッシュパネルの第1の箇所を車両後方かつ斜め上方に変形させることで、第1の箇所に連結された第1ステーの前端および第1の箇所に連結された第2ステーの前端も第1の箇所と共に車両後方かつ斜め上方に変位する。
この変位により、第2ステーおよび第3ステーとステアリングコラムの前部とが連結される箇所が上方に変位するため、第2ステーおよび第3ステーとステアリングコラムの前部とが連結される箇所の下方への変位が打ち消され、ステアリングコラムの後端すなわちステアリングホイールの上方への突出量が抑制される。
また、ステアリングホイールの後退量および上方への突出量を抑制するために、複数の車両構成部品を特定の位置に配置する必要がないため、車両構成部品のレイアウトの自由度を確保する上で有利となる。
請求項2記載の発明によれば、前面衝突時に、変形誘発部が何ら制約を受けることなく確実に変形し、かつ、3つのステーが何ら制約を受けることなく確実に変位する。
そのため、前面衝突時にステアリングコラムの後端すなわちステアリングホイールの車両後方への後退量および上方への突出量を抑制する上でより有利となる。
請求項3記載の発明によれば、前面衝突時にブレーキブースターの上部によってブラケットの下部が確実に車両後方かつ斜め上方に変位されるので、ステアリングコラムの後端すなわちステアリングホイールの上方への突出量を抑制する上でより有利となる。
請求項4記載の発明によれば、前面衝突時にブレーキブースターの上部によってブラケットの下部に入力される衝撃荷重がブラケットを介して車両後方かつ斜め上方に向かって効率よく伝達されるため、ステアリングコラムの後端すなわちステアリングホイールの上方への突出量を抑制する上でより一層有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態に係るステアリングコラムの支持構造を示す側面図である。
図2図1の平面図である。
図3図2をA方向から見た第1ステー、第2ステー、ブラケットの連結箇所を示す斜視図である。
図4】第1ステーの斜視図である。
図5】第2ステーの斜視図である。
図6】第3ステーの斜視図である。
図7】(A)はブラケットの斜視図、(B)はブラケットの平面図、(C)は(A)のC矢視に相当したブラケットの正面図、(D)は(A)のD矢視に相当した側面図である。
図8】車両前方から見たブラケットとブレーキブースターとの位置関係を示す説明図である。
図9】前面衝突時のステアリングコラムの支持構造の状態を模式的に示す説明図であり、(A)は前面衝突前の状態を示し、(B)は前面衝突時に第1ステーが変形する状態を示し、(C)は前面衝突時にステアリングコラムの前部の下方への変位が抑制される状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
なお、図1図3図7図9において符号FRは車両前方、符号UPは車両上方、符号RHは車幅方向を示している。
図1に示すように、車室S1と、車室S1の車両前方に位置する車両前部空間S0とは、車幅方向および上下方向に延在するダッシュパネル10により仕切られている。
車室S1の前部には、すなわち、ダッシュパネル10の車両後方で不図示のインストルメントパネルの下方には、車幅方向に延在するデッキクロスメンバ12が配置されている。
デッキクロスメンバ12は、鋼管から形成され、デッキクロスメンバ12の長手方向の両端は、不図示のフロントピラーに連結されている。
ダッシュパネル10の車両前方でかつデッキクロスメンバ12よりも低い車両前部空間S0の箇所にブレーキブースター14が配置されている。
ブレーキブースター14は、本体1402と、踏力伝達軸1404とを備え、本体1402は不図示の取付金具を介してダッシュパネル10に取り付けられ、踏力伝達軸1404はダッシュパネル10を挿通して車室S1側に突出されている。
ブレーキブースター14は、踏力伝達軸1404に連結された不図示のブレーキペダルに付与される乗員の踏力を増強するものである。
ステアリングコラム16は、ステアリングホイール18が取り付けられるステアリングシャフト20を支持するものであり、図1において符号22はパワーステアリング装置を示す。
ステアリングコラム16の前部16Aは、ダッシュパネル10の車両後方でかつデッキクロスメンバ12の下方かつ車両前方に配置されている。
【0009】
次に、ステアリングコラム16の支持構造について説明する。
ステアリングコラム16は、ステアリングコラム連結用ブラケット24と、3つのステー30、32、34と、ブラケット36とを介してデッキクロスメンバ12およびダッシュパネル10に支持されている。
ステアリングコラム連結用ブラケット24は、デッキクロスメンバ12の車両後方に向いた外周面で車幅方向に間隔をおいて設けられ、溶接によりデッキクロスメンバ12の外周面に取着されている。
ステアリングコラム16は、ステアリングコラム連結用ブラケット24にボルトN1を介して取着されている。
本実施の形態では、ステアリングコラム16がステアリングコラム連結用ブラケット24に取着される箇所は、ステアリングコラム16の車両前後方向の中間部であり、したがって、ステアリングコラム16の車両前後方向の中間部は、ステアリングコラム連結用ブラケット24を介してデッキクロスメンバ12に連結されている。
【0010】
図1に示すように、3つのステー30、32、34は、ブレーキブースター14の上部近傍であるダッシュパネル10の箇所、すなわち、車両の前方から見てブレーキブースター14の上部と重複する箇所もしくはブレーキブースター14の上端と隣接する箇所である第1の箇所10Aと、デッキクロスメンバ12と、ステアリングコラム16の前部16Aとの3箇所のうちの2箇所間をそれぞれ連結し、それらステー30、32、34を三辺とした三角形を形成している。
より詳細には、3つのステー30、32、34は、第1の箇所10Aとデッキクロスメンバ12とを連結する第1ステー30と、第1の箇所10Aとステアリングコラム16の前部16Aとを連結する第2ステー32と、デッキクロスメンバ12とステアリングコラム16の前部16Aとを連結する第3ステー34である。
それら第1、第2、第3ステー30、32、34は、平面視した場合、車両の前後方向に延在している。
このように3つのステー30、32、34で三角形の構造を構成することにより、ステアリングコラム16の支持強度の向上が図られている。
【0011】
デッキクロスメンバ12とステアリングコラム16の前部16Aとを連結する第3ステー34は、図1図2図6に示すように、車体に組み付けられた状態で車両前方に至るにつれて下方に変位する本体板部3402と、本体板部3402の車幅方向両側から下方に屈曲された一対の側板部3404とを有している。
一対の側板部3404の前端は取り付け板部3405として形成され、取り付け板部3405にはボルト挿通孔3406が形成されている。
第3ステー34のデッキクロスメンバ12への連結は、図1図2に示すように、本体板部3402の後端および一対の側板部3404の後端が、デッキクロスメンバ12の車両前方に向いた外周面に溶着されることでなされている。
第3ステー34のステアリングコラム16の前部16Aへの連結は、図1に示すように、ボルト挿通孔3406に挿通されたボルトN2が、パワーステアリング装置22の車両前方に位置するステアリングコラム16の前部16Aのボス部(不図示)に螺合され、取り付け板部3405がボス部に締結されることでなされている。
【0012】
第1の箇所10Aとステアリングコラム16の前部16Aとを連結する第2ステー32は、図1図2図5に示すように、車体に組み付けられた状態で車両前方に至るにつれて上方に変位する本体板部3202と、本体板部3202の車幅方向両側から起立する一対の側板部3204と、本体板部3202の前端から起立し一対の側板部3204の前端に接続される取り付け板部3206とを有している。
取り付け板部3206には、ボルト挿通孔3210が形成されている。
第2ステー32のステアリングコラム16の前部16Aへの連結は、図1図2に示すように、第2ステー32の一対の側板部3204の後端が、第3ステー34の一対の取り付け板部3405に溶着されることによりなされている。すなわち、第2ステー32のステアリングコラム16の前部16Aへの連結は、第3ステー34を介してなされている。
第2ステー32の第1の箇所10Aへの連結は、図1図2図3に示すように、第1の箇所10Aに取着されたブラケット36の取り付け板部3606に、ボルト挿通孔3210に挿通されたボルトN3により第2ステー32の取り付け板部3206が締結されることによりなされている。
【0013】
ここでブラケット36について説明する。
図1図2に示すように、ブラケット36は、第1の箇所10Aに取着されている。
ブラケット36は、図3図7(A)〜(D)に示すように、第1の箇所10Aに取着される基部3602と、基部3602から車両後方に突出する中空状の脚部3604と、脚部3604の後端に設けられた取り付け板部3606とを有している。
脚部3604は中空状を呈し、本実施の形態では、四角錐台状の箱型形状を呈し、脚部3604は4つの側板部3604Aを有している。
脚部3604の軸心方向の一端に基部3602が設けられ、軸心方向の他端に取り付け板部3606が設けられている。
脚部3604の断面は、基部3602から取り付け板部3606に至るにつれて次第に小さくなるように形成されている。
図9に示すように、脚部3604の下方に向いた部分は、車両後方に至るにつれて次第に上方に変位する傾斜面3604Cで形成され、本実施の形態では、4つの側板部3604Aのうち下方に向いた側板部3604Aがこの傾斜面3604Cを構成している。
また、4つの側板部3604Aのうち、車幅方向両側と下方に位置する3つの側板部3604Aには、それら側板部3604Aの幅方向の中央で車両前後方向の全長にわたって延在する補強用ビード3608が形成され、ブラケット36の強度の向上が図られている。
基部3602は、4つの側板部3604Aの長手方向の一端からそれぞれ脚部3604の外側に屈曲された4つの屈曲板部で構成されている。
4つの屈曲板部は、スポット溶接によりダッシュパネル10に取着され、このようにブラケット36がダッシュパネル10に取着された状態で、取り付け板部3606は車両の車両後方で斜め上方を向いている。言い換えると、図9に示すように、取り付け板部3606は、上方に至るにつれて次第に車両前方に変位する傾斜面3606Cで形成されている。
取り付け板部3606は、4つの側板部3604Aの長手方向の他端を接続して設けられている。
取り付け板部3606にはボルト挿通孔3610が形成され、取り付け板部3606の内面には、ボルト挿通孔3210に対応した雌ねじ部材3612が溶着されている。
図8に示すように、ブラケット36は車両の前方から見てブレーキブースター14の上部とブラケット36の下部とが重複するようにダッシュパネル10に取り付けられる。
【0014】
第1の箇所10Aとデッキクロスメンバ12とを連結する第1ステー30は、図1図2図4に示すように、車体に組み付けられた状態で、車両の前後方向に延在し車両前方に至るにつれて下方に変位する本体板部3002と、本体板部3002の車幅方向両側から起立する一対の側板部3004と、本体板部3002の前端から起立し一対の側板部3004に接続される取り付け板部3006とを有している。側板部3004の上端には、車幅方向外側に屈曲された屈曲板部3010が設けられている。
取り付け板部3006にはボルト挿通孔3008が形成されている。
本体板部3002の長手方向の中間部に長孔3012が形成され、また、一対の側板部3004の長手方向の中間部において側板部3004と屈曲板部3010との境の箇所に凹部3014が形成されている。
本実施の形態では、それら長孔3012と凹部3014により、前面衝突時の衝撃荷重を受けることでこの第1ステー30の他の部分よりも第1ステー30の長手方向の中間部が優先して変形する変形誘発部38が構成されている。
【0015】
さらに本実施の形態では、変形誘発部38を構成する長孔3012と凹部3014は、前面衝突時の衝撃荷重を受けることで第1ステー30の長手方向の中間部が第1ステー30の長手方向の両端よりも下方に変位し、第1ステー30を下方に凸状に折曲するように構成されている。
第1ステー30のデッキクロスメンバ12への連結は、図1に示すように、第3ステー34の後部の上方において一対の側板部3004の後端がデッキクロスメンバ12の前方を向いた外周面の上部に溶着することでなされている。
第1ステー30のブレーキブースター14の上部近傍のダッシュパネル10の箇所である第1の箇所10Aへの連結は、図3に示すように、ボルト挿通孔3008を挿通したボルトN3が雌ねじ部材3612に螺合されることで取り付け板部3006がブラケット36の取り付け板部3606に締結されることでなされている。
本実施の形態では、ブラケット36の取り付け板部3606に第2ステー32の取り付け板部3206が重ね合わされ、その上に第1ステー30の取り付け板部3006が重ね合わされ、ボルトN3により第2ステー32の取り付け板部3206と第1ステー30の取り付け板部3006がブラケット36の取り付け板部3606に締結されている。
【0016】
次に作用効果について説明する。
図9(A)は車両が前面衝突する前の初期状態を示している。
第1、第2、第3ステー30、32、34は、第1の箇所10Aと、デッキクロスメンバ12と、ステアリングコラム16の前部16Aとの3箇所のうちの2箇所間をそれぞれ車両の前後方向に延在して連結し、それら第1、第2、第3ステー30、32、34を三辺とした三角形の構造を構成することにより、ステアリングコラム16の支持強度の向上が図られている。
【0017】
車両の前面衝突時、図9(B)に示すように、前方から入力する衝撃荷重によりダッシュパネル10が車室S1側に後退すると、ダッシュパネル10からブラケット36を介して荷重が第1、第2、第3ステー30、32、34に入力する。
なお、図9(B)、(C)において二点鎖線は、図9(A)の初期状態における各部の位置を示している。
やがて、図9(B)に示すように、衝撃荷重の入力によって第1ステー30の変形誘発部38が変形して下方に折曲し、第1、第2、第3ステー30、32、34で形成される三角形形状が二点鎖線で示す初期状態から実線で示すように車両前後方向に潰れるように変形する。
【0018】
第1、第2、第3ステー30、32、34で形成される三角形形状が車両前後方向に潰れるように変形することで、ステアリングコラム16の後端すなわちステアリングホイール18の後退量が抑制される。
この際、第1、第2、第3ステー30、32、34で形成される三角形形状が車両前後方向に潰れるように変形することで、第2ステー32と第3ステー34とステアリングコラム16の前部16Aとが連結される箇所が下方に変位する。
ステアリングコラム16は、ステアリングコラム16の前部16Aが下方に変位すると、ステアリングコラム連結用ブラケット24を介してデッキクロスメンバ12に連結された箇所を支点として、ステアリングコラム16の後部が上方に変位するように揺動しようとする。
【0019】
この際、図9(C)に示すように、ブレーキブースター14の本体1402が後退し、本体1402の上部が第1の箇所10Aを車両後方かつ斜め上方に変形させる。
そのため、第1の箇所10Aに連結された第1ステー30の前端および第2ステー32の前端もダッシュパネル10の箇所と共に車両後方かつ斜め上方に変位する。
このような第1ステー30および第2ステー32の前端の車両後方かつ斜め上方への変位により、第2ステー32と第3ステー34とステアリングコラム16の前部16Aとが連結される箇所が上方に変位し、第2ステー32と第3ステー34とステアリングコラム16の前部16Aとが連結される箇所の下方への変位が打ち消され、ステアリングコラム16の後端の上方への突出量すなわちステアリングホイール18の上方への突出量が抑制される。
【0020】
そのため、ステアリングコラム16の後端の後退量および上方への突出量すなわちステアリングホイール18の後退量および上方への突出量が抑制されるので、障害値の抑制を図る上で有利となる。
また、ステアリングホイール18の後退量および上方への突出量を抑制するために、従来技術のように、エンジンユニット、クロスメンバ、ステアリングギアボックスなどの複数の車両構成部品を特定の位置に配置する必要がないため、車両構成部品のレイアウトの自由度を確保する上で有利となる。
【0021】
また、本実施の形態では、第1ステー30の変形誘発部38が前面衝突時の衝撃荷重を受けることで第1ステー30を下方に凸状に折曲する場合について説明したが、第1ステー30の変形誘発部38が前面衝突時の衝撃荷重を受けることで第1ステー30を上方に凸状に折曲するものであってもよい。
しかしながら、本実施の形態のようにすると、前面衝突時に変形した変形誘発部38が第1ステー30の上方に位置するインストルメントパネルに干渉しないので、変形誘発部38が何ら制約を受けることなく確実に変形し、かつ、第1、第2、第3ステー30、32、34が何ら制約を受けることなく確実に変位する。
そのため、前面衝突時にステアリングコラム16の後端の車両後方への後退量および上方への突出量すなわちステアリングホイール18の車両後方への後退量および上方への突出量を抑制する上でより有利となる。
【0022】
また、車両の前方から見てブレーキブースター14の上部とブラケット36の下部とが重複していなくてもよいが、本実施の形態のように重複させると、前面衝突時にブレーキブースター14の上部によってブラケット36の下部が確実に車両後方かつ斜め上方に変位されるので、第1ステー30の前端および第2ステー32の前端も車両後方かつ斜め上方に効率よく変位する。
そのため、前面衝突時にステアリングコラム16の後端すなわちステアリングホイール18の上方への突出量を抑制する上でより有利となり、障害値の抑制を図る上でより有利となる。
なお、ブレーキブースター14とブラケット36が重複する範囲は、多くともブラケット36の前端の下半分の領域とすることで、ブラケット36の車両後方かつ斜め上方への変位をより確実なものとすることができる。
【0023】
また、本実施の形態では、ブラケット36は、ダッシュパネル10に取着される基部3602と、基部3602から車両後方に突出する中空状の脚部3604と、脚部3604の後端に設けられた取り付け板部3606とを有した箱型形状を呈しているので、ブラケット36の強度を高める上で有利となる。
そのため、前面衝突時にブレーキブースター14の上部によってブラケット36の下部に入力される衝撃荷重がブラケット36を介して車両後方かつ斜め上方に向かって効率よく伝達される。
なお、ブラケット36は脚部3604が中空状の箱型形状を呈している必要はないが、このようにすることで、ブラケット36を軽量化しつつ強度を高めることができる。
また、ブラケット36の脚部3604の下方に向いた部分は、車両後方に至るにつれて次第に上方に変位する傾斜面3604Cで形成されているので、前面衝突時にブレーキブースター14の上部によってブラケット36の下部に入力される衝撃荷重が脚部3604の傾斜面3604Cに沿って車両後方かつ斜め上方に向かって効率よく伝達される。
また、取り付け板部3606は、上方に至るにつれて次第に車両前方に変位する傾斜面3606Cで形成されているので、前面衝突時にブレーキブースター14の上部によってブラケット36の下部に入力される衝撃荷重が取り付け板部3606に対して車両後方かつ斜め上方に向かって効率よく伝達される。
したがって、前面衝突時に第1ステー30の前端および第2ステー32の前端を車両後方かつ斜め上方に効率よく変位させる上でより有利となるため、ステアリングコラム16の後端すなわちステアリングホイール18の上方への突出量を抑制する上でより一層有利となり、障害値の抑制を図る上でより一層有利となる。
【0024】
また、本実施の形態では、脚部3604を構成する4つの側板部3604Aのうち、車幅方向両側と下方に位置する3つの側板部3604Aに補強用ビード3608を形成したので、ブラケット36の強度を高める上で有利となり、前面衝突時にブレーキブースター14の上部によってブラケット36の下部に入力される衝撃荷重を車両後方かつ斜め上方に向かって効率よく伝達する上でより有利となる。
したがって、前面衝突時に第2ステー32の前端および第1ステー30の前端を車両後方かつ斜め上方に効率よく変位させる上でより有利となるため、ステアリングコラム16の後端すなわちステアリングホイール18の上方への突出量を抑制する上でより一層有利となり、障害値の抑制を図る上でより一層有利となる。
【0025】
なお、本実施の形態では、第1の箇所10Aとデッキクロスメンバ12とを連結する第1ステー30を、ダッシュパネル10に取着されたブラケット36に取り付けることでダッシュパネル10に連結した場合について説明したが、ブラケット36を省略し、第1ステー30を直接ダッシュパネル10に取着してもよい。
しかしながら、第2ステー32とブレーキブースター14の上部との距離が短い寸法であった場合、ブラケット36を設けることで第2ステー32とブレーキブースター14の上部との距離を確保し、前面衝突時にブレーキブースター14の上部によって第2ステー32が早期に折曲されることを防止し、ステアリングコラム16の後端すなわちステアリングホイール18の上方への突出量の増加を抑制する上で有利となる。
【符号の説明】
【0026】
10 ダッシュパネル
10A 第1の箇所
12 デッキクロスメンバ
14 ブレーキブースター
16 ステアリングコラム
16A 前部
18 ステアリングホイール
20 ステアリングシャフト
30 第1ステー
32 第2ステー
34 第3ステー
36 ブラケット
3602 基部
3604 脚部
3604C 傾斜面
3606 取り付け板部
3606C 傾斜面
38 変形誘発部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9