(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術の構成では、弁が閉弁していると、前後の差圧が弁の開弁を妨げることがある。例えば、燃料タンク側が高圧となり、キャニスタ側が低圧となる場合、弁を閉じる方向に圧力が作用する。このため、燃料タンク内の高圧が放出されない場合がある。
【0005】
また、別の観点では、弁は、開弁しているときに開口面積を規定する。よって、大流量を実現するためには、大きい開口の弁が必要となる。しかし、大きい開口の弁は、差圧から受ける力が大きいため、開弁時に差圧の影響を大きく受ける。
【0006】
さらに、別の観点では、重い弁は、差圧の影響を抑制して、自重による開弁を確実にする。しかし、重い弁は、摩耗を促進し、耐久性を損なう。
【0007】
上述の観点において、または言及されていない他の観点において、燃料遮断弁にはさらなる改良が求められている。
【0008】
開示されるひとつの目的は、小流量から大流量にわたる広い流量範囲を実現できる燃料遮断弁を提供することである。
【0009】
開示される他の目的は、差圧の影響を抑制した燃料遮断弁を提供することである。
【0010】
開示されるさらに他の目的は、広い流量範囲と、高い耐久性と、大きい開弁可能差圧とを有する燃料遮断弁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
ここに開示された燃料遮断弁は、タンク(12)内の液体燃料の液面に応じてベーパ通路(16)を開閉するフロート弁(40)と、ベーパ通路における流体の流量に応じてベーパ通路の開口面積を調節する可変開度弁(30)と、少なくともフロート弁がベーパ通路を閉じる閉弁位置において、フロート弁が開く方向へ、可変開度弁の荷重をフロート弁に作用させる連動機構(50)と
、ベーパ通路を提供する主ポート(25)を区画形成するケース(21)と、を備え、フロート弁は、主ポートの下側に設けられており、可変開度弁は、主ポートの上側に設けられており、連動機構は、主ポートに挿入された連結棒(51)を有し、フロート弁は、主ポートの下側に設けられたフロートシート(44)と、液面に浮くことによって、フロートシートに接触し、主ポートを閉じるフロート部材(41)とを備え、可変開度弁は、主ポートの上側に設けられたシート(34)と、流量が小流量のときにシートに接触し、流量が小流量よりも大きい大流量のときにシートから離れて開口面積を調節する可動部材(31)とを備え、連結棒は、フロート部材から延びており、フロート部材が主ポートを閉じているときに可動部材を持ち上げる。
【0012】
開示される燃料遮断弁によると、可変開度弁によってベーパ通路の開口面積が調節される。このため、流量に応じた通路が提供される。小流量から大流量にわたる広い流量範囲を実現できる。さらに、連動機構は、可変開度弁の荷重をフロート弁に作用させる。しかも、フロート弁がベーパ通路を閉じる閉弁位置において、可変開度弁の荷重をフロート弁に作用させる。その方向は、フロート弁が開く方向である。よって、少なくとも閉弁位置において、フロート弁に作用する開弁方向の力が増加する。フロート弁が閉弁位置にあるときに圧力差が作用しても、それに抗する力を補うことができる。この結果、フロート弁の開弁可能差圧を大きくすることができる。
【0013】
この明細書における開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態の部分との対応関係を例示的に示すものであって、技術的範囲を限定することを意図するものではない。この明細書に開示される目的、特徴、および効果は、後続の詳細な説明、および添付の図面を参照することによってより明確になる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面を参照しながら、複数の実施形態を説明する。複数の実施形態において、機能的におよび/または構造的に対応する部分および/または関連付けられる部分には同一の参照符号、または百以上の位が異なる参照符号が付される場合がある。対応する部分および/または関連付けられる部分については、他の実施形態の説明を参照することができる。
【0016】
第1実施形態
<タンクシステム>
図1において、タンクシステム10は、エンジン(ICE)11のための燃料を溜めるタンク12を有する。エンジン11は、車両、船舶、航空機などの乗り物の動力源である。タンクシステム10は、例えば、車両用タンクシステムである。この場合、エンジン11は、内燃機関により提供される。燃料は、液体としてエンジン11に供給される。ただし、燃料は、ベーパ(燃料蒸気)を生じることがある。燃料は、ガソリン、またはディーゼル燃料などである。
【0017】
タンクシステム10は、エンジン11とタンク12との間に燃料供給装置(FLSD)14を有する。燃料供給装置14は、インタンクポンプ、燃料フィルタ、燃料噴射ポンプ、および燃料噴射弁を備えることができる。タンク12内の燃料は、燃料供給装置14によりエンジン11へ供給される。エンジン11は、燃料を燃焼することにより、動力を提供する。
【0018】
タンクシステム10は、ベーパ浄化装置(VPCD)15を有する。ベーパ浄化装置15は、ベーパをエンジン11に供給することにより燃焼させる。ベーパ浄化装置15は、大気へのベーパの排出を抑制する。ベーパ浄化装置15は、ベーパを一時的に蓄積する蓄積器と、蓄積されたベーパを所定のタイミングでエンジン11に供給する制御器とを有する。例えば、蓄積器は、ベーパを吸着する活性炭により提供される。また、制御器は、電気的な制御装置と、押し流し用の外気を導入する弁とによって提供される。
【0019】
ベーパ浄化装置15は、タンク12内の空洞と蓄積器とを連通するベーパ通路16を有する。ベーパ通路16は、タンク12内に発生したベーパをベーパ浄化装置15に案内する。ベーパ通路16は、タンク12へ外気を供給する通路でもある。ベーパ通路16は、タンク12から延びている。
【0020】
ベーパ浄化装置15は、燃料遮断弁20を有する。燃料遮断弁20は、ベーパ、および空気の流通を許容する。燃料遮断弁20は、タンク12からベーパ浄化装置15への燃料液体の流出を抑制する。燃料遮断弁20は、ベーパ通路16に設けられている。燃料遮断弁20は、タンク12に固定されている。燃料遮断弁20は、タンク12のフランジ17に固定されている。フランジ17は、タンク12の上面の一部を占める蓋である。
【0021】
<燃料遮断弁>
図2において、燃料遮断弁20の正規の姿勢が図示されている。以下の説明において、上、下、上方向UP、および下方向DWなどの語は、正規の姿勢に基づいている。下、および下方向DWの語は、重力の方向を指す。燃料遮断弁20は、フロート弁、液面感知弁、またはロールオーバーバルブとも呼ばれる。燃料遮断弁20は、樹脂製の型成形品である複数の部品を有する。一部の部品は、弾力性をもつゴム製、または所要の強度を提供する金属製である。
【0022】
燃料遮断弁20は、ケース21によってベーパ通路16の一部を提供している。ケース21は、タンク12内と、タンク12外とを連通する通路を提供している。ケース21は、複数の部材によって提供されている。これら部材は、樹脂製の型成形品である。ケース21は、ベーパ浄化装置15側に連通する第1開口22と、タンク12側に連通する第2開口23とを有する。ケース21は、第1開口22と第2開口23との間に、タンク12側から順にフロート室24、主ポート25、および外ギャラリ26を区画形成している。フロート室24は、タンク12内に突出して位置づけられている。フロート室24は、タンク12内の燃料が上限に近づくと、液体燃料がフロート室24の中に侵入するように形成されている。フロート室24は、後述のフロートを収容する。主ポート25は、タンク12の内外を連通する主要な貫通穴である。主ポート25は、燃料遮断弁20が許容する最大の流量を許容する比較的大きい開口面積を有している。ケース21は、ベーパ通路16を提供する主ポート25を区画形成している。外ギャラリ26は、後述の可変開度弁30を収容するための空洞である。外ギャラリ26は、液体燃料を捕捉して、タンク12内へ戻すための空洞でもある。
【0023】
<可変開度弁>
燃料遮断弁20は、可変開度弁30を有する。可変開度弁30は、主ポート25の上側に設けられている。可変開度弁30は、流量に応じて比例的に開口面積を変化させる。可変開度弁30は、流量に応じて流路の開度を調節する流量感知弁とも呼べる。可変開度弁30は、小流量のときに制限された小さい開口面積を提供し、小流量よりも多い大流量のときに大きい開口面積を提供する。可変開度弁30は、比例的な流量感知弁である。
【0024】
可変開度弁30は、可動部材31を有する。可動部材31は、燃料遮断弁20の軸AXに沿って移動可能である。軸AXの方向は、燃料遮断弁20の正規の姿勢における上下方向である。可動部材31は、コア32と、シール部材33とを有する。コア32は、カップ状の部材である。シール部材33は、ゴム製の板状部材である。シール部材33は、コア32に固定されている。可動部材31は、シール部材33が主ポート25を開閉するように位置づけられている。主ポート25の周囲には、シール部材33と接触または離れるシート34が設けられている。可動部材31は、流量が小流量のときにシート34に接触し、流量が小流量よりも大きい大流量のときにシート34から離れて開口面積を大きい面積に調節する。シート34は、主ポート25の上側に設けられている。シール部材33は、高いシール性を提供する。
【0025】
可動部材31は、副ポート35を有する。副ポート35は、可動部材31を貫通する貫通穴である。副ポート35は、主ポート25と外ギャラリ26とを連通している。副ポート35は、シール部材33がシート34に接触することによって主ポート25が閉じられているときでも、連通している。副ポート35は、可動部材31がシート34に接触しているときに開口面積を規定する。主ポート25は、燃料遮断弁20に求められる大流量に対応する開口面積を提供する。副ポート35は、燃料遮断弁20の開弁と閉弁との境界(カットオフ)付近において求められる小流量に対応する開口面積を提供する。副ポート35の断面積は、主ポート25の断面積より小さい。可変開度弁30は、可動部材31を下方向DWへ向けて付勢するスプリング36を有する。スプリング36は、圧縮されている。可動部材31は、ガイド部材37によって案内されている。ガイド部材37は、ケース21から延び出している。ガイド部材37は、ケース21と連続した樹脂材料によって一体的に成形されている。
【0026】
タンク12からベーパ通路16へ向かう流体(空気とベーパとわずかな液体燃料との混合流体)の流量は、タンク12内の圧力と、ベーパ通路16内の圧力との差に応じて変動する。例えば、タンク12が高温であり、ベーパがエンジン11に吸入されるときには、大流量の流体が流れる。一方で、タンク12が低温であり、エンジン11がベーパを吸入しないときには、小流量の流体が流れる。
【0027】
タンク12からベーパ通路16へ向かう流量が多いとき、可動部材31は、シート34から離れる。このとき、可動部材31とシート34とは、主ポート25より大きい開口面積を提供する。燃料遮断弁20が提供する通路の開口面積は、主ポート25の開口面積によって支配される。主ポート25の開口面積は、燃料遮断弁20が提供する通路の最大流量を規定する。
【0028】
タンク12からベーパ通路16へ向かう流量が少ないとき、可動部材31は、シート34に着座する。このとき、副ポート35は、主ポート25より小さい開口面積を提供する。燃料遮断弁20が提供する通路の開口面積は、副ポート35の開口面積によって支配される。副ポート35の開口面積は、燃料遮断弁20が提供する通路の流量を制限する。
【0029】
<フロート弁>
燃料遮断弁20は、フロート弁40を有する。フロート弁40は、主ポート25の下側に設けられている。フロート弁40は、タンク12内の燃料液面に応じてベーパ通路16を開閉する液面感知弁とも呼ばれる。フロート弁40は、燃料液面が第1液面FL1より低いか否かに対応して主ポート25を開閉する。第1液面は、タンク12の満タンに相当する。フロート弁40は、燃料液面が第2液面FL2より低いか否かに対応して副ポート35を開閉する。フロート弁40は、副ポート35を開閉することにより、間接的に主ポート25、すなわちベーパ通路16を開閉する。第1液面FL1は、タンク12の満タンに相当する。第2液面FL2は、第1液面FL1よりわずかに低い。
【0030】
フロート弁40は、フロート部材41を有する。フロート部材41は、フロートコア42と、フロートシール43とを有する。フロートコア42は、液体燃料に浮く。一方で、タンク12が転覆した場合には、フロートコア42は、液体燃料に沈む。フロート弁40は、フロートコア42を上方向UPへ向けて付勢するフロートスプリング45を有する。フロートスプリング45は、圧縮されている。フロート弁40は、フロートコア42にこのような特性を与えるために、フロートコア42に形成された空気室を備えることができる。フロートコア42は、空気室をもつキャップ状の部材である。フロートシール43は、ゴム製の板状部材である。フロートシール43は、フロートコア42に固定されている。フロートシール43は、フロートコア42に対して僅かに可動に支持されていてもよい。フロート部材41は、フロートシール43が主ポート25を開閉するように位置づけられている。主ポート25の周囲には、フロートシール43と接触または離れるフロートシート44が設けられている。フロートシート44は、主ポート25の下側に設けられている。フロート部材41は、液面に浮くことによって、フロートシート44に接触し、主ポート25を閉じる。フロートシール43は、高いシール性を提供する。フロート部材41は、タンク12が正規姿勢にあるときに、上下方向に移動可能である。可動部材31は、フロート部材41の移動方向に沿って移動可能である。
【0031】
<連動機構>
燃料遮断弁20は、連動機構50を有する。連動機構50は、少なくともフロート弁40がベーパ通路16を閉じる閉弁位置において、フロート弁40が開く方向へ、可変開度弁30の荷重をフロート弁40に作用させる。連動機構50は、タンク12内の燃料液面に応じて副ポート35を開閉する液面感知弁とも呼ばれる。ただし、連動機構50は、フロートコア42による副ポート35の開閉を可能とする。さらに、連動機構50は、ひとつのフロートコア42によって、2つのポートの開閉を可能としている。
【0032】
連動機構50は、連結棒51と、弁体52とを有する。連結棒51は、フロートコア42と連続した樹脂材料により整形されている。連結棒51とフロートコア42とは、一体的である。連結棒は、可動部材31およびフロート部材41の移動方向に沿って延びている。連結棒51は、主ポート25内に挿入可能である。連結棒51は、主ポート25の両端から突出する長さを有する。連結棒51の先端には、樹脂材料の一体整形により、弁体52が設けられている。弁体52は、可動部材31と接触して副ポート35を閉じることができる。弁体52は、差圧の影響を受けにくい小さい面積を提供する。連結棒51は、シール部材33をシート34から持ち上げることができる長さを有している。
【0033】
フロート弁40と連動機構50とは、第1液面FL1より低い第2液面FL2において副ポート35を開閉する。フロート弁40と連動機構50とは、燃料液面が第2液面FL2より低いか否かに対応して副ポート35を開閉する。第2液面は、燃料遮断弁20が閉じるべき境界液面に相当する。この液面は、カットオフ液面とも呼ばれる。第1液面FL1と第2液面FL2との差は微小である。このため、両方がカットオフ液面とも呼ばれ場合がある。
【0034】
連動機構50は、可変開度弁30とフロート弁40との開閉特性に関連性を与える。連動機構50は、燃料液面が第2液面FL2より低いときに可動部材31の自由な移動を許容する。連動機構50は、燃料液面が第1液面FL1を越えると主ポート25を閉じる。連動機構50は、燃料液面が第1液面FL1と第2液面FL2との間にあるときに、可動部材31を持ち上げることにより、可動部材31を強制的にシート34から離れさせる。連結棒51は、フロート部材41から延びており、フロート部材41が主ポート25を閉じているときに可動部材31を持ち上げる。この結果、連動機構50は、可動部材31に作用する荷重を直接的にフロートコア42に作用させる。実施形態では、可動部材31の重量と、スプリング36の付勢力とが、フロート部材41に対して下方向DWへ作用する。
【0035】
<作動>
図2において、可変開度弁30は、可動部材31の自重M31と、スプリング36による付勢力S36と、通路を流れる気体から受ける抗力D31とに応じて移動する。抗力D31は、流量に応じて変化する。タンク12が正規の姿勢にあるとき、抗力D31は、自重M31と付勢力S36との和より小さい最低値(D31<M31+S36)から、自重M31と付勢力S36との和より大きい最大値まで変化する(M31+S36<D31)。付勢力S36は、自重M31より大きい(M31<S36)。これにより、タンク12が転覆している場合、スプリング36は、可動部材31をシート34へ向けて移動させることができる。
【0036】
図3は、可変開度弁30が閉じ、フロート弁40が開いている第1開弁状態を示している。この状態は、基底状態とも呼ぶことができる。このとき、ベーパ通路16を流れる気体の流量は、副ポート35で十分な小流量である。
【0037】
図示の例では、ケース21はメインケース21aと、キャップ21bとによって提供されている。メインケース21aは、主としてフロート弁40を収容するための筒状容器である。キャップ21bは、メインケース21aにスナップフィットによって固定される。キャップ21bは、スプリング36の座面を提供する。可変開度弁30は、メインケース21aに取り付けられている。これにより、燃料遮断弁20をひとつの部品として取り扱うことができる。メインケース21aとフランジ17との間には、シール部材21cとしてのOリングが設けられている。
【0038】
主ポート25を提供する筒状部分の径方向外側には、環状の隔壁板21dが広がっている。隔壁板21dは、中央に主ポート25を位置づけた皿状の部材である。隔壁板21dは、可変開度弁30よりも径方向外側に位置している。タンク12が正規姿勢にあるとき、隔壁板21dは、中央がやや凹んだ斜面を可変開度弁30の周囲に提供する。隔壁板21dは、可変開度弁30の径方向外側に、中央の主ポート25に向けて傾斜した環状の斜面を提供する。さらに、隔壁板21dが提供する斜面は、シート34の近傍まで、下向きの連続した斜面を提供している。液体燃料が可変開度弁30を通り抜けて漏れ出す場合がある。この場合、液体燃料は隔壁板21dの上を流れ、主ポート25から再びタンク12内に戻される。
【0039】
図4は、可変開度弁30が開き、フロート弁40が開いている第2開弁状態を示している。この状態は、大流量状態とも呼ぶことができる。このとき、ベーパ通路16を流れる気体の流量は、副ポート35では不足であって、主ポート25が必要な大流量である。大流量状態は、例えば、タンク12が高温のときに大量のベーパが発生することで生じることがある。
【0040】
図2に戻り、フロート弁40は、第1液面FL1において副ポート35を開閉し、第2液面FL2において主ポート25を開閉する。フロート弁40は、フロート部材41の自重M41と、フロートスプリング45の付勢力S45と、フロート部材41の浮力F41(主としてフロートコア42の浮力)とに応じて移動する。さらに、フロート部材41と可動部材31とが連動機構50によって接触しているとき、可動部材31の自重M31とスプリング36の付勢力S36とが連動機構50を経由してフロート部材41に作用する。この力は、フロート部材41を下方向DWへ、すなわち開弁方向へ付勢する。
【0041】
第2液面FL2は、ベーパ通路16を閉じたいカットオフ液面と呼ばれる。燃料液面が第2液面FL2を越えるか否かに対応して、弁体52は、副ポート35を開閉する。このとき、フロート部材41を上方向UP、すなわち閉弁方向へ向かわせる力CL2は、CL2=F41+S45−M41となる。この力CL2は、可動部材31を閉弁方向へ向かわせる力(M31+S36)より小さい(CL2<M31+S36)。この結果、第2液面FL2の近傍では、燃料液面に応答して副ポート35が開閉される。このとき、弁体52と副ポート35とのシール面積は小さい。このシール面積は、少なくとも主ポート25より小さい。このため、圧力差が作用しても、弁体52はシール部材33から比較的容易に離れることができる。この結果、副ポート35の開閉が円滑に行われる。
【0042】
図5は、燃料遮断弁20のカットオフ状態を示す。可変開度弁30は閉じ、フロート弁40は連動機構50を通して副ポート35を閉じている。フロート弁40と連動機構50とは、燃料液面が第1液面FL1より低い第2液面FL2を下回ると副ポート35を開き、燃料液面が第2液面FL2を越えると副ポート35を閉じる。
【0043】
図2に戻り、燃料液面が第2液面FL2を越え、第1液面FL1に達すると、連動機構50は、可動部材31を持ち上げる。例えば、第2液面FL2の付近でタンク12が揺れると、液体燃料が波打つことによって一時的に燃料両液面が第1液面FL1を越えることがある。このとき、フロート部材41を上方向UP、すなわち閉弁方向へ向かわせる力CL1は、CL1=F41+S45−M41となる。この力CL1は、可動部材31を閉弁方向へ向かわせる力(M31+S36)より大きい(M31+S36<CL1)。力CL1は、力CL2より大きい(CL2<CL1)。この差は、フロートコア42に生じる浮力F41の差である。この場合、可動部材31はシート34から離れるが、同時にフロート部材41がフロートシート44に着座することによって主ポート25を閉じる。この結果、ベーパ通路16の閉鎖状態が維持される。
【0044】
図6は、燃料遮断弁20の閉弁状態を示す。フロートシール43がフロートシート44に着座することによって、主ポート25が閉じられている。フロート弁40は、燃料液面が所定の第1液面FL1を下回ると主ポート25を開き、燃料液面が第1液面FL1を越えると主ポート25を閉じる。このとき、可動部材31とスプリング36とは、フロート部材41を下方向、すなわち開弁方向へ向けて押している。
【0045】
図2に戻り、タンク内の燃料液面が下がると、フロート部材41は浮力を失い、自重M41によって主ポート25および副ポート35を開く。フロート部材41とフロートシート44とが接触しているときに、圧力差が作用すると、フロート部材41がフロートシート44に吸い付く場合がある。この場合、タンク12側の圧力が高い間は、フロート部材41は、開弁できない。開弁が可能な圧力は、低い圧力になる。しかし、この実施形態によると、可動部材31の自重M31とスプリング36の付勢力S36とが、連動機構50を通してフロート部材41を押し下げるように作用する。言い換えると、開弁初期においてだけ、フロート部材41を閉弁状態から開弁状態に移行させる力が付与される。このため、フロート部材41に圧力差が作用しても、フロート部材41を開弁させることができる。よって、高い開弁可能差圧を有する燃料遮断弁20が提供される。
【0046】
タンク12が転覆した姿勢にあるとき、フロートコア42は浮力の大部分を失う。フロート部材41は、自重M41と付勢力S36とによって、閉弁位置に移動し、フロートシール43とフロートシート44とを押し当てる。これにより、主ポート25が閉じられる。フロート部材41の自重M41とフロートスプリング45の付勢力S45との和は、スプリング36の付勢力S36と可動部材31の自重M31との差より大きい(S36−M31<M41+S45)。これにより、フロート弁40の閉弁位置近傍において可変開度弁30が開弁方向に作用しても、閉弁機能が確実に提供される。このとき、フロートシール43は長期間にわたって優れたシール性を提供する。
【0047】
図7は、タンク12が転覆姿勢にあるときの燃料遮断弁20の状態を示す。フロートシール43がフロートシート44に着座することによって、主ポート25が閉じられている。
【0048】
第2実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、可変開度弁30がメインケース21aに装着されている。これに代えて、この実施形態では、可変開度弁30はフランジ17とメインケース21aとの間に配置されている。
【0049】
図8は、この実施形態の燃料遮断弁20を示す。可変開度弁30は、メインケース21aに形成されたシート34を有する。可動部材31は、フランジ17から延び出すガイド部材237によって軸方向へ案内されている。ガイド部材237は、スプリング36のシートも提供している。
【0050】
他の実施形態
この明細書における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、請求の範囲の記載によって示され、さらに請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
【0051】
上記実施形態では、連動機構50は、フロートコア42に連結棒51を有している。これに代えて、連動機構50のための連結棒を可変開度弁30の可動部材31に設けてもよい。また、この実施形態では、弁体52によって副ポート35が開閉される。これに代えて、弁体52を備えない構成を採用可能である。この場合、フロートシール43がフロートシート44に着座する第1液面FL1がカットオフ液面とされる場合がある。