(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スライド機構は、前記処理ユニットおよび前記上部ユニットの前記一方を前記第1位置において固定するための第1ロック手段と、前記処理ユニットおよび前記上部ユニットの前記一方を前記第2位置において固定するための第2ロック手段と、の少なくともいずれかを有する請求項7記載の大便器装置。
前記スライド機構は、前記第1位置へ移動した前記処理ユニットおよび前記上部ユニットの前記一方の前方への移動を制限する第1ストッパ手段と、前記第2位置へ移動した前記処理ユニットおよび前記上部ユニットの前記一方の後方への移動を制限する第2ストッパ手段と、の少なくともいずれかを有する請求項7または8に記載の大便器装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
大便器装置には、水や汚物以外の異物が誤って流される場合がある。異物が処理ユニットに流されると、処理ユニットに詰まりが生じたり、汚物の粉砕等が正常に行えなくなる場合がある。また、粉砕部および圧送部などの処理ユニットに設けられる機器に、動作不良が生じる場合もある。これらの場合、流された異物を処理ユニットから取り除いたり、粉砕部や圧送部の点検、修理、交換を行ったりするなどの処理ユニットのメンテナンスが必要となる。
【0006】
しかし、大便器装置を小型化するために処理ユニットの上方にタンク等を配置すると、タンクにより処理ユニットのメンテナンスが行い難くなる。一方で、処理ユニットのメンテナンスを行い易くするために、タンクを処理ユニットから離すと、大便器装置が大型化してしまう。
【0007】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、大型化を抑制しつつ、容易にメンテナンスできる大便器装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、床面上を移動可能な水洗式の大便器装置であって、汚物を一時的に受け止めるボウル部を有する便器本体と、前記便器本体の排出口に連通し、前記排出口から排出された水及び固形物を貯留する貯留槽と、前記貯留槽の内部に設けられ、前記固形物の粉砕と、前記固形物の前記貯留槽の外部への圧送と、の少なくともいずれかを行う処理ユニットと、前記処理ユニットの上方に設けられる上部ユニットと、前記処理ユニットおよび前記上部ユニットの一方を、第1位置と、前記第1位置よりも前記処理ユニットと前記上部ユニットとの間の距離が長い第2位置と、の間で移動可能とする移動機構と、を備える大便器装置である。
【0009】
第1の発明によれば、大便器装置の通常使用時には、処理ユニットおよび上部ユニットの一方を、処理ユニットと上部ユニットとの間の距離が相対的に短い第1位置に配することで、大便器装置のサイズを小さくすることができる。大便器装置のメンテナンス等の際には、処理ユニットおよび上部ユニットの一方を、処理ユニットと上部ユニットとの間の距離が相対的に長い第2位置に配することで、処理ユニットをメンテナンスし易くなる。従って、この大便器装置によれば、大型化を抑制しつつ、メンテナンス性を向上させることができる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、前記移動機構により、前記処理ユニットが、前記第1位置と前記第2位置との間で移動可能な大便器装置である。
【0011】
上部ユニットは、処理ユニットの上方に設けられるため、上部ユニットを移動させると、処理ユニットを移動させる場合に比べて、大便器装置の重心の位置がより変化し易くなる。この大便器装置によれば、移動機構により処理ユニットが移動されるため、安定性を向上させることができる。
【0012】
第3の発明は、第2の発明において、前記便器本体の前記排出口と、前記処理ユニットと、を接続する管をさらに備え、前記管は、伸縮性を有する大便器装置である。
【0013】
この大便器装置によれば、処理ユニットを第1位置と第2位置との間で移動させた際に、管が、便器本体と処理ユニットとの間の距離の変化に合わせて伸縮する。従って、処理ユニットの移動時に、便器本体の排出口と、排出口と連通される処理ユニットの開口と、の接続を解除してこれらの口を塞いだりする必要が無い。これにより、例えば、メンテナンス性を向上させることができる。
【0014】
第4の発明は、第3の発明において、前記管は、前記便器本体の前記排出口と接続される第1接続口と、前記処理ユニットと接続される第2接続口と、を有し、前記第2接続口の中心は、前記第1接続口の中心に対して、左右方向にずらして設けられる大便器装置である。
【0015】
この大便器装置によれば、管の前後方向における長さの増加を抑制しつつ、管の伸縮量を増加させることができる。従って、処理ユニットが第1位置にあるときの大便器装置のサイズを小さくすることができる。
【0016】
第5の発明は、第2〜第4のいずれか1つの発明において、水平な第1方向における前記上部ユニットの寸法は、前記第1方向に対して垂直であり水平な第2方向における前記上部ユニットの寸法よりも短く、前記移動機構により、前記処理ユニットが、前記第1方向に沿って移動可能である大便器装置である。
【0017】
この大便器装置によれば、処理ユニットをメンテナンスする際に必要な、処理ユニットの移動距離を短くでき、処理ユニットのメンテナンスがより容易となる。
【0018】
第6の発明は、第5の発明において、前記第1方向における前記処理ユニットの寸法は、前記第2方向における前記処理ユニットの寸法よりも短い大便器装置である。
【0019】
第6の発明によれば、処理ユニットが第1位置にあるときの大便器装置のサイズを小さくすることができる。また、処理ユニットが第2位置にあるときの大便器装置が占めるスペースを小さくすることができる。
【0020】
第7の発明は、第1〜第6のいずれか1つの発明において、前記移動機構は、前記処理ユニットおよび前記上部ユニットの前記一方をスライドさせるスライド機構である大便器装置である。
【0021】
この大便器装置によれば、移動機構をより簡易な構成とし、処理ユニットと上部ユニットの一方をより小さな力で移動させることができる。
【0022】
第8の発明は、第7の発明において、前記スライド機構は、前記処理ユニットおよび前記上部ユニットの前記一方を前記第1位置において固定するための第1ロック手段と、前記処理ユニットおよび前記上部ユニットの前記一方を前記第2位置において固定するための第2ロック手段と、の少なくともいずれかを有する大便器装置である。
【0023】
この大便器装置によれば、処理ユニットと上部ユニットの一方を第1位置または第2位置において固定することができ、安定性を向上させることができる。
【0024】
第9の発明は、第7または第8の発明において、前記スライド機構は、前記第1位置へ移動した前記処理ユニットおよび前記上部ユニットの前記一方の前方への移動を制限する第1ストッパ手段と、前記第2位置へ移動した前記処理ユニットおよび前記上部ユニットの前記一方の後方への移動を制限する第2ストッパ手段と、の少なくともいずれかを有する大便器装置である。
【0025】
この大便器装置によれば、処理ユニットと上部ユニットの一方を移動させた際に、第1位置または第2位置で停止させることができる。従って、処理ユニットと上部ユニットの一方の移動機構からの脱落や、これらの一方のユニットの押圧による他の機器への過剰な負荷等の発生を抑制することができる。
【0026】
第10の発明は、第1〜第9のいずれか1つの発明において、前記処理ユニットの上部に設けられる点検口をさらに備えた大便器装置である。
【0027】
この大便器装置によれば、点検口を通して処理ユニットの内部を容易に確認することが可能となる。また、処理ユニットと上部ユニットの一方が、第1位置から第2位置へ移動することで、点検口を通した処理ユニット内部の確認が、さらに容易となる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の実施形態によれば、大型化を抑制しつつ、容易にメンテナンスできる大便器装置を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
また、本願明細書では、実施形態の説明のために、「前方」、「後方」、「上方」、「下方」、「左側方」、および「右側方」を用いる。これらの方向は、収納部に背を向けて便器本体上の便座に着座した使用者から見た場合を基準とする。
【0031】
図1は、実施形態に係る大便器装置を表す斜視図である。
実施形態に係る大便器装置1は、水洗式であり、床面上を移動可能である。
図1に表したように、第1便器装置1は、洋風の腰掛便器本体(以下、単に便器本体という)100および収納部200を備える。便器本体100は、台座102の上に載置される。収納部200は、便器本体100の後方に設けられる。
【0032】
収納部200は、前面板202、一対の側面板204、天板206、および背面板208を有する。これらの板は、後述する大便器装置1のフレームユニットに取り付けられる。前面板202、一対の側面板204、天板206、および背面板208によって形成された内部空間には、便器本体100と接続される種々の機器が収納される。
【0033】
天板206には、大便器装置1を操作するための操作部210が設けられる。また、収納部200の左側面および右側面には、前方に向けて延びるアームレスト212が取り付けられる。
【0034】
図2は、実施形態に係る大便器装置を表す断面図である。
便器本体100の上には、便座110、便蓋112、および機能部114が設けられる。機能部114は、便器本体100の後部上方に設けられる。便座110および便蓋112は、機能部114に回動可能に取り付けられる。
【0035】
便器本体100は、汚物を一時的に受け止めるボウル部100aを有する。使用者は、例えば、便座110に着座し、ボウル部100aに向けて排泄を行う。機能部114は、使用者のおしりなどの局部を洗浄する洗浄機能や、使用者の便座110への着座を検知する検知機能などを備える。
【0036】
大便器装置1の底面には、ストッパ104およびキャスタ106が設けられる。キャスタ106は、例えば、大便器装置1の後部底面に設けられる。アームレスト212を用いて大便器装置1の前端を持ち上げることで、キャスタ106が床面に接触し、大便器装置1を移動させることができる。
【0037】
収納部200の内側には、タンク220(上部ユニットの一例)、ホルダプレート222、管224、空気収納部230、背面カバー232、および処理ユニット300が設けられる。タンク220は、処理ユニット300の上方に設けられ、ホルダプレート222により保持される。空気収納部230は、可撓性を有するシート状材料から形成され、例えば、タンク220の後方に設けられる。空気収納部230は、後述するように、処理ユニット300の内部と連通する。背面カバー232は、空気収納部230を後方から覆う。
【0038】
管224の一端は、タンク220と接続される。管224の他端は、便器本体100の上部後方と接続される。タンク220に貯留された水が、ボウル部100aに供給されると、この水によってボウル部100aの汚物が流れされる。
【0039】
ボウル部100aの下端は、排出流路120の一端と接続される。排出流路120の他端は、管122の一端と接続される。管122の不図示の他端は、処理ユニット300の不図示の流入口と接続される。ボウル部100aから流された水や汚物は、排出流路120および管122を経て、処理ユニット300に流れる。
【0040】
図3は、実施形態に係る大便器装置の処理ユニットの概略構成を表す模式的断面図である。
図3に表したように、処理ユニット300は、貯留槽310、粉砕部320、圧送部330、および圧送配管340を有する。
【0041】
貯留槽310は、気密構造および水密構造を有する。粉砕部320は、貯留槽310内に設けられ、粉砕槽321を有する。貯留槽310の内部空間は、粉砕槽321よりも上流側の上流側空間311と、粉砕槽321よりも下流側の下流側空間312と、に分かれる。上流側空間311と下流側空間312は、粉砕槽321を通して連通する。
【0042】
貯留槽310は、管122と接続される流入口315を有する。上流側空間311には、流入口315を通して、水や汚物が流れ込み、上流側空間311および粉砕槽321で一時的に貯留される。
【0043】
粉砕槽321の上部側面には、通気口322が設けられる。粉砕槽321に水や汚物が流入すると、粉砕槽321内の空気は、この通気口322を通して貯留槽310の下流側空間312に流出する。貯留槽310の上部には、通気口316が設けられる。
【0044】
この通気口316は、ホース317を介して空気収納部230と接続される。粉砕槽321から空気が流出し、貯留槽310の圧力が上昇すると、貯留槽310の空気の一部は、通気口316を通して空気収納部230に流れる。
【0045】
粉砕槽321内の下方には、回転部324が設けられる。また、粉砕槽321の下方には、複数の開口325が設けられる。複数の開口325は、例えば、回転部324と対向する位置に設けられる。回転部324は、粉砕槽321内を上下方向に延びる回転軸333に取り付けられる。回転軸333は、モータ334と固定され、回転部324は、回転軸333を介してモータ334により回転される。
【0046】
回転部324は、円板326および突起327を有する。円板326は、粉砕槽321の底面に沿って設けられる。突起327は、円板326の上面に複数設けられる。回転部324が回転すると、粉砕槽321に貯留された水に含まれる汚物やトイレットペーパなどの固形物が、複数の突起327に引っ掛かり、粉砕される。粉砕された固形物は、水と撹拌されて流動性の高い汚水となる。
【0047】
開口325よりも小さな固形物を含む汚水は、開口325を通して貯留槽310の下流側空間312へ流れる。圧送部330は、下流側空間312に貯留された汚水を圧送する。圧送部330は、例えば、遠心式ポンプである。圧送部330は、ポンプ室331、インペラ332、回転軸333、およびモータ334を有する。
【0048】
ポンプ室331は、粉砕槽321の底面に設けられる。ポンプ室331は、粉砕槽321と離間して設けられても良い。インペラ332は、ポンプ室331内に設けられ、回転軸333に取り付けられる。インペラ332は、複数の羽根332aを有する。複数の羽根332aは、例えば、それぞれが同じ形状を有し、平面視において回転軸333を中心として点対称に配置される。
【0049】
インペラ332は、回転軸333を介して、モータ334により回転される。モータ334は、例えば、DCブラシレスモータである。モータ334は、貯留槽310の外部に設けることができる。モータ334は、例えば、ケーシング335に収納され、貯留槽310の上面に設けられる。モータ334によりインペラ332が回転すると、貯留槽310の下流側空間312内にある汚水がポンプ室331の開口331aを通してポンプ室331内に流入し、圧送配管340に圧送される。
【0050】
汚水が圧送部330により圧送されると、貯留槽310内の水位が下がる。これにより、貯留槽310内の空気の体積が増加し、貯留槽310内の空気圧が低下する。そのため、空気収納部230内の空気の一部が、ホース317および通気口316を通して貯留槽310内に流入する。
【0051】
図4は、実施形態に係る大便器装置の処理ユニットを表す斜視図である。
処理ユニット300の上面には、ホース317と圧送配管340が引き出される。ホース317の他端は、ジョイント318が取り付けられる。ジョイント318は、空気収納部230の下面に固定される。圧送配管340は、例えば、処理ユニット300の前方に引き回され、処理ユニット300の左右方向における中央付近を通り、後方へ引き出される。
【0052】
また、処理ユニット300の周りには、上水道などの給水源と接続される給水配管350が引き回される。処理ユニット300の側方には、電磁弁352を備えた分岐金具354が設けられる。分岐金具354は、給水配管350と接続される。分岐金具354には、不図示の複数のホースが接続される。これらのホースは、機能部114および処理ユニット300上方のタンク220と接続され、これらのホースを介して機能部114およびタンク220に水が供給される。
【0053】
圧送配管340および給水配管350は、それぞれ、居室の壁面などに設けられる、排水コンセントおよび給水コンセントに接続される。圧送配管340および給水配管350は、可撓性を有する。このため、排水コンセントおよび給水コンセントの位置に拘わらず、大便器装置1を床面上において自由に移動させることができる。
【0054】
処理ユニット300の上面には、粉砕槽321の一部およびケーシング335が露出する。これらを上方に引き上げることで、粉砕部320および圧送部330を処理ユニット300から取り出すことができる。処理ユニット300のメンテナンス時には、粉砕部320および圧送部330を引き上げ、処理ユニット300の内部の確認や、これらの機器の点検や修理、交換などを行う。
【0055】
さらに、処理ユニット300の上面には、点検口356が設けられる。点検口356は、上流側空間311に通じる。点検口356の蓋を開けることで、上流側空間311や粉砕槽321を確認し、異物の確認や除去を行うことができる。
【0056】
また、処理ユニット300の上面には、例えば、制御部360が設けられる。制御部360は、機能部114や処理ユニット300の動作を制御する。制御部360は、筐体361を有し、筐体361が処理ユニット300の上面に固定される。この他に、処理ユニット300の上面には、制御部360を囲うカバーや、ケーシング335およびホース317などを囲うカバーなどがさらに設けられても良い。
【0057】
処理ユニット300は、ベースプレート370の上に固定される。ベースプレート370の左右には、それぞれ、左スライド部380および右スライド部390が設けられる。左スライド部380の内部および右スライド部390の内部には、後述するように、前後方向に延びる空間が形成されている。
【0058】
図5は、実施形態に係る大便器装置のフレームユニットを表す斜視図である。
実施形態に係る大便器装置1は、
図5に表したフレームユニット400をさらに備える。フレームユニット400は、ベースフレーム402、横フレーム404、補強フレーム406、縦フレーム408、支柱410、便器固定板412、補強フレーム414、左ガイドフレーム420、および右ガイドフレーム430を有する。
【0059】
ベースフレーム402は、前後方向に延びている。ベースフレーム402は、左右方向において複数設けられる。それぞれのベースフレーム402の底面には、ストッパ104が設けられる。ストッパ104は、ベースフレーム402の底面に形成されたねじ穴に螺合される。このため、ストッパ104をベースフレーム402に対して回転させることで、床面に対するベースフレーム402の上下方向における位置を変化させ、便座110の高さを調整することができる。
【0060】
横フレーム404は、左右方向に延び、複数のベースフレーム402に連結される。横フレーム404は、例えば、前後方向において複数設けられる。補強フレーム406は、前後方向に延び、ベースフレーム402同士の間において横フレーム404と固定される。
図1に表した台座102は、ベースフレーム402、横フレーム404、および補強フレーム406の上に設けられる。台座102は、複数のベースフレーム402、複数の横フレーム404、および複数の補強フレーム406の上に設けられる。これらのフレームにより、台座102の上に載置された便器本体100の荷重が、下方から支持される。
【0061】
縦フレーム408は、上下方向に延び、左右方向において複数設けられる。複数の縦フレーム408が、それぞれ、左側方に位置するベースフレーム402の後部と、右側方に位置するベースフレーム402の後部と、に固定される。支柱410は、縦フレーム408の上端同士を連結する。便器固定板412は、支柱410の下方において、複数の縦フレーム408と固定される。便器本体100は、便器固定板412と固定される。
【0062】
左ガイドフレーム420は、前後方向に延び、左側方のベースフレーム402の後端と固定される。右ガイドフレーム430は、前後方向に延び、右側方のベースフレーム402の後端と固定される。補強フレーム414は、左右方向に延び、左ガイドフレーム420の前部および右ガイドフレーム430の前部と固定される。左ガイドフレーム420の底面および右ガイドフレーム430の底面には、それぞれ、キャスタ106が取り付けられる。
【0063】
図6は、実施形態に係る大便器装置の一部を表す斜視図である。
図6(a)は、左スライド部380と左ガイドフレーム420の一部とを表す。
図6(b)は、右スライド部390と右ガイドフレーム430の一部とを表す。
図7は、実施形態に係る大便器装置を表す平面図である。
【0064】
図6(a)に表したように、左ガイドフレーム420の前端は、左スライド部380の内部に嵌まる。
図6(b)に表したように、右ガイドフレーム430の前端は、右スライド部390の内部に嵌まる。これらのガイドフレームの表面およびスライド部の内面は、滑らかに形成されており、左スライド部380および右スライド部390を、それぞれ、左ガイドフレーム420および右ガイドフレーム430の上を前後方向にスライドさせることができる。
【0065】
すなわち、実施形態に係る大便器装置1は、ベースプレート370、左ガイドフレーム420、および右ガイドフレーム430を含む移動機構を備える。この移動機構により、
図7(a)および
図7(b)に表したように、ベースプレート370をフレームユニット400に対して前後方向に移動させ、処理ユニット300の位置を変化させることができる。
【0066】
換言すると、この移動機構により、処理ユニット300を、第1位置から第2位置へ、または第2位置から第1位置へ移動させることができる。第2位置では、
図7(b)に表したように、第1位置よりも便器本体100と処理ユニット300との間の距離が長い。また、第2位置では、第1位置よりもタンク220と処理ユニット300との間の距離が長い。
【0067】
例えば、大便器装置1の通常使用時には、処理ユニット300は、タンク220と処理ユニット300との間の距離が相対的に短い第1位置に配される。これにより、大便器装置1のサイズを小さくすることができる。一方で、第1位置では、
図2に表したように、処理ユニット300がタンク220の下方に位置し、粉砕部320および圧送部330を処理ユニット300から引き上げることが容易では無い。
【0068】
しかし、本実施形態に係る大便器装置1によれば、処理ユニット300のメンテナンス時に、処理ユニット300を、タンク220と処理ユニット300との間の距離が相対的に長い第2位置へ移動させることができる。これにより、粉砕部320および圧送部330を処理ユニット300から引き上げることが容易となる。また、点検口356を通して処理ユニット300の内部が確認し易くなる。
【0069】
このように、実施形態に係る大便器装置1によれば、大型化を抑制しつつ、メンテナンス性を向上させることができる。
【0070】
例えば、処理ユニット300のメンテナンスは、以下の手順で行うことができる。まず、収納部200の背面板208を取り外す。次に、背面カバー232を取り外す。続いて、タンク220に接続された配管、空気収納部230、空気収納部230に接続されたジョイント318およびホース317などを取り外す。処理ユニット300の上に、粉砕部320の上面や圧送部330の上面を覆うカバーがさらに設けられる場合、そのカバーも取り外す。その後、移動機構を用いて処理ユニット300を第1位置から第2位置へスライドさせる。この状態で、点検口356を開けて、処理ユニット300の内部を確認する。必要があれば、粉砕部320および圧送部330を上方へ引き上げ、点検や修理、交換を行う。以上により、処理ユニット300のメンテナンスを行うことができる。
【0071】
例えば、処理ユニット300を第1位置から第2位置へ移動させる際は、あらかじめ、管122を取り外し、便器本体100の排出流路120の下流側開口および処理ユニット300の流入口315を塞いでおく。これにより、処理ユニット300を移動させた際に、管122が前後方向に引っ張られて損傷することを防止できる。
【0072】
または、管122は、伸縮性を有していても良い。管122が伸縮性を有する場合、
図7(a)および
図7(b)に表したように、処理ユニット300の移動に応じて管122が伸縮する。このため、処理ユニット300の移動の際に、管122の取り外し等の作業が不要となり、メンテナンス性を向上させることができる。
【0073】
図8は、実施形態に係る大便器装置の管を表す斜視図である。
図8に表したように、管122は、略円形の第1接続口122aおよび第2接続口122bを有する。第1接続口122aは、便器本体100の排出流路120と接続される。第2接続口122bは、処理ユニット300の流入口315と接続される。
【0074】
管122の伸縮量を大きくするためには、管122を長くすることが有効である。ただし、管122の前後方向における長さを長くすると、便器本体100と処理ユニット300との間の距離も長くなり、大便器装置1が大型化する。
【0075】
この課題について、本実施形態では、第2接続口122bの中心が、第1接続口122aの中心に対して左右方向にずらして設けられる。例えば、第2接続口122bは、
図8に表したように、第1接続口122aに対して傾けて流入口315に接続される。
【0076】
この構成によれば、管122の前後方向における長さを変化させずに、管122を長くすることができ、管122の伸縮量を大きくすることができる。換言すると、管122の伸縮量が増大した分、管122の前後方向における長さを短くすることができる。これにより、便器本体100と処理ユニット300との間の距離を短くし、処理ユニット300が第1位置にあるときの大便器装置1を小型化することができる。
【0077】
なお、便器本体100の排出口から処理ユニット300へ、水や汚物が流れ易くなるように、管122には勾配が形成されていても良い。すなわち、第2接続口122bの中心は、第1接続口122aの中心に対して、さらに下方にずらして設けられても良い。
【0078】
また、管122は、処理ユニット300が第1位置にあるとき(大便器装置1の通常使用時)には、自然長より縮んだ状態にあることが望ましい。大便器装置1の通常使用時に管122が短いことで、汚物が管122の内側に付着したり引っ掛かったりし難くなる。
【0079】
図9は、実施形態に係る大便器装置の一部を表す断面図である。
図9(a)は、処理ユニット300が第1位置にあるときの、左スライド部380および左ガイドフレーム420を表す。
図9(b)は、処理ユニット300が第2位置にあるときの、左スライド部380および左ガイドフレーム420を表す。
【0080】
図9(a)および
図9(b)に表したように、左スライド部380の上面には、孔381および孔382が設けられる。孔381は、孔382の前方に位置する。左ガイドフレーム420の上面には、孔421が設けられる。
【0081】
処理ユニット300が第1位置にあるとき、孔421は、孔381と重なる。この状態で、
図9(a)に表したように、ピン425が、孔381および孔421に挿通される。これにより、左ガイドフレーム420に対する左スライド部380の移動が制限され、処理ユニット300が第1位置で固定される。すなわち、スライド機構は、処理ユニット300を第1位置において固定するための第1ロック手段を有する。
【0082】
処理ユニット300が第2位置にあるとき、孔421は、孔382と重なる。この状態で、
図9(b)に表したように、ピン425が、孔382および孔421に挿入される。これにより、処理ユニット300が第2位置で固定される。すなわち、スライド機構は、処理ユニット300を第2位置において固定するための第2ロック手段を有する。
【0083】
なお、ここでは、左スライド部380および左ガイドフレーム420を例に説明したが、右スライド部390および右ガイドフレーム430にも、同様の第1ロック手段および第2ロック手段が設けられる。すなわち、第1位置または第2位置において、右スライド部390に形成された複数の孔の1つと、右ガイドフレーム430の上面に形成された孔と、が重なる。重なった孔にピンが挿通されることで、右ガイドフレーム430に対する右スライド部390の移動が制限される。
【0084】
処理ユニット300が第1位置で固定されることで、大便器装置1の通常の使用時に、処理ユニット300が後方に移動することを防止できる。また、処理ユニット300が第2位置で固定されることで、大便器装置1のメンテナンス時に、処理ユニット300が前後方向に移動することを防止できる。また、処理ユニット300がスライド機構によって移動される場合において、大便器装置1を移動させる際や移動させて停止させた際、慣性力によって処理ユニット300が第1位置から第2位置(あるいは第2位置から第1位置)にスライドする可能性がある。または、大便器装置1を移動させるために傾けた際に、重力によって処理ユニット300が第1位置から第2位置(あるいは第2位置から第1位置)にスライドする可能性がある。本実施形態においては、スライド機構が、第1ロック手段および第2ロック手段のいずれかを有することで、慣性力や重力で処理ユニット300が移動してしまうことを抑制することができる。従って、スライド機構が、第1ロック手段および第2ロック手段の少なくともいずれかを有することで、大便器装置1の安定性を向上させることができる。
【0085】
また、管122が伸縮性を有する場合、便器本体100と処理ユニット300との間の距離が相対的に短い第1位置では、管122は圧縮された状態となる。このため、処理ユニット300は、管122の復元力により、後方に向けて力が加えられる。しかし、第1ロック手段によって処理ユニット300が固定されることで、管122の復元力による処理ユニット300の移動を防止することができる。
【0086】
同様に、便器本体100と処理ユニット300との間の距離が相対的に長い第2位置では、管122は引っ張られた状態となる。このため、処理ユニット300は、管122の復元力により、前方に向けて力が加えられる。しかし、第2ロック手段によって処理ユニット300が固定されることで、管122の復元力による処理ユニット300の移動を防止することができる。
【0087】
また、ベースプレート370が前方に移動し、処理ユニット300が第1位置へ到達すると、
図9に表したように、左ガイドフレーム420が、左スライド部380の前端385に接触する。右ガイドフレーム430も同様に、右スライド部390の前端に接触する。これにより、ベースプレート370の前方への移動が制限される。すなわち、スライド機構は、第1位置よりもさらに前方へ処理ユニット300が移動しないように、第1ストッパ手段を有する。
【0088】
スライド機構が第1ストッパ手段を有することで、ベースプレート370が過度に前方へ押し込まれ、処理ユニット300が収納部200内の他の機器に干渉したり、収納部200内の他の機器に負荷が加わったりすることを防止できる。また、処理ユニット300が第1位置へ移動した際に、ベースプレート370が停止することで、ピン425を、孔381および孔421に容易に挿入することができる。すなわち、第1ロック手段による処理ユニット300の固定が容易となる。
【0089】
図10は、実施形態に係る大便器装置の一部を表す斜視図である。
図10(a)および
図10(b)は、それぞれ、処理ユニット300が第1位置および第2位置にあるときのベースプレート370の様子を表す。
【0090】
図10(a)に表したように、ベースプレート370の底面には、下方に向けて突出した突出部371が設けられる。突出部371は、例えば、ベースプレート370の底面に沿って左右方向に延びている。
【0091】
ベースプレート370が後方に移動し、処理ユニット300が第2位置へ到達すると、突出部371が補強フレーム414に接触する。これにより、ベースプレート370の後方への移動が制限される。すなわち、スライド機構には、第2位置よりもさらに後方へ処理ユニット300が移動しないように、第2ストッパ手段が設けられている。
【0092】
スライド機構が第2ストッパ手段を有することで、ベースプレート370が過度に後方へ移動し、処理ユニット300が左ガイドフレーム420および右ガイドフレーム430から脱落することを防止できる。また、処理ユニット300が第2位置へ移動した際に、ベースプレート370が停止することで、ピン425を、孔382および孔421に容易に挿入することができる。すなわち、第2ロック手段による処理ユニット300の固定が容易となる。
【0093】
このように、スライド機構は、第1ストッパ手段および第2ストッパ手段の少なくともいずれかを有することが望ましい。
【0094】
図11〜
図14は、実施形態に係る他の大便器装置を表す模式図である。
なお、
図11〜
図14に表した大便器装置は、一部の構成要素が省略して表されている。
【0095】
処理ユニット300を移動させるための移動機構は、ベースプレート370をフレームユニット400に対してスライドさせるスライド機構以外であっても良い。例えば、
図11(a)および
図11(b)に表したように、ベースプレート370は、水平面に沿って、左ガイドフレーム420または右ガイドフレーム430を中心に回転しても良い。
【0096】
または、ベースプレート370およびフレームユニット400に、
図11(c)および
図11(d)に表したように、前後方向および上下方向を含む面に沿って回動可能に取り付けられたアーム372が設けられても良い。この場合、処理ユニット300を後方へ引き出しつつ上げ下ろしを行うことで、処理ユニット300を移動させることができる。
【0097】
ただし、
図11(a)および
図11(b)に表した構成の場合、処理ユニット300およびベースプレート370が弧を描いて移動するため、これらの移動距離が大きい。従って、処理ユニット300を第1位置と第2位置との間で移動させるために、大便器装置1の周りに、より広い空間が必要となる。また、
図11(c)および
図11(d)に表した構成の場合、処理ユニット300およびベースプレート370の移動に大きな力が必要となる。
【0098】
図6や
図9、
図10に表したスライド機構は、簡易な構成で、重量のある処理ユニット300およびベースプレート370を、より小さな力で移動させることが可能である点で好適である。
【0099】
図12(a)に表したように、タンク220の前後方向(水平な第1方向)における寸法D1は、タンク220の左右方向(第1方向に対して垂直であり水平な第2方向)における寸法D2よりも短い。
【0100】
この場合、処理ユニット300は、
図12(b)に表したように前後方向に沿って移動可能であることが望ましい。こうすることで、
図12(c)に表したように処理ユニット300が左右方向に沿って移動可能である場合に比べて、処理ユニット300のメンテナンスに必要な処理ユニット300の移動距離を短くでき、処理ユニット300のメンテナンスがより容易となる。
【0101】
また、処理ユニット300の前後方向における寸法D3は、処理ユニット300の左右方向における寸法D4よりも短い。この構成によれば、処理ユニット300の前後方向における寸法が左右方向における寸法よりも長い場合に比べて、処理ユニットが第1位置にあるときの大便器装置1のサイズを小さくすることができる。また、処理ユニットが第2位置にあるときの大便器装置1が占めるスペースを小さくすることができる。
【0102】
大便器装置1において、移動機構は、タンク220を処理ユニット300に対して移動させるものであっても良い。大便器装置1の通常の使用時には、タンク220は、タンク220と処理ユニット300との間の距離が相対的に短い第1位置に配される。これにより、大便器装置1を小型化することができる。処理ユニット300のメンテナンス時には、タンク220は、タンク220と処理ユニット300との間の距離が相対的に長い第2位置に配される。これにより、処理ユニット300のメンテナンスが容易となる。
【0103】
例えば、
図13(a)および
図13(b)に表したように、移動機構は、フレームユニット400に設けられた昇降装置である。例えば、昇降装置は、ホルダプレート222を上下動させることで、タンク220を第1位置から第2位置へ、または第2位置から第1位置へ移動させる。
【0104】
または、移動機構は、タンク220を、前後左右いずれかの方向へスライドさせるスライド機構であっても良い。スライド機構を用いることで、移動機構を簡易な構成とし、より小さな力でタンク220を移動させることが可能となる。この場合、スライド機構は、タンク220を、前後左右いずれかの方向へ移動させる。例えば、スライド機構は、
図13(c)および
図13(d)に表したように、タンク220を側方へ移動させる。
【0105】
このように、大便器装置1において、移動機構は、処理ユニット300と、処理ユニット300上方のタンク220などの上部ユニットと、のいずれかを、第1位置と、第1位置よりも処理ユニット300と上部ユニットとの間の距離が長い第2位置と、の間で移動させるものであれば良い。
【0106】
移動機構が上部ユニットを移動させるものである場合も、当該移動機構は、上部ユニットをスライドさせるスライド機構であることが望ましい。上部ユニットをより小さな力で移動させることが可能となるためである。この場合、スライド機構は、上部ユニットを第1位置において固定するための第1ロック手段と、上部ユニットを第2位置において固定するための第2ロック手段と、の少なくともいずれかを有することが望ましい。こうすることで、大便器装置1の移動時や管122の伸縮により、上部ユニットの予期しない移動を防ぎ、大便器装置1の安定性を向上させることができる。また、スライド機構は、第1位置へ移動した上部ユニットの前方への移動を制限する第1ストッパ手段と、第2位置へ移動した上部ユニットの後方への移動を制限する第2ストッパ手段と、の少なくともいずれかを有することが望ましい。こうすることで、上部ユニットを移動させた際に、上部ユニットの移動機構からの脱落や、上部ユニットが他の機器を押圧して過剰な負荷等が発生することを抑制できる。
【0107】
ただし、タンク220が移動すると、大便器装置1の重心位置が大きく変化し、大便器装置1が不安定となる可能性がある。タンク220よりも低い位置に設けられる処理ユニット300が移動機構により移動されることで、タンク220が移動される場合に比べて、大便器装置1の安定性を向上させることができる。
【0108】
また、上述した例では、処理ユニット300上方の上部ユニットとして、タンク220が設けられる場合について説明した。実施形態に係る大便器装置1は、この例に限定されない。例えば、
図14(a)に表したように、上部ユニットとして、さらに制御部360が設けられても良い。または、
図14(b)に表したように、制御部360のみが上部ユニットとして設けられていても良い。あるいは、
図14(c)に表したように、上部ユニットの一部として、手洗い器226がタンク220に設けられていても良い。
【0109】
いずれの場合においても、大便器装置1を小型化するためには、収納部200の高さを低くすることが望ましい。収納部200の高さを低くすると、処理ユニット300と上部ユニットとの間の距離が短くなり、処理ユニット300のメンテナンス時に上部ユニットが障害となるためである。
【0110】
また、上述した例では、処理ユニット300が、粉砕部320および圧送部330を備える場合について説明した。しかし、処理ユニット300は、粉砕部320および圧送部330のいずれかのみを有していても良い。処理ユニット300が、粉砕部320および圧送部330の少なくともいずれかを有することで、便器本体100から処理ユニット300に流れた固形物を、効率的に下水道に排出することができる。
【0111】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、大便器装置1が備える各要素の形状、寸法、材質、配置、設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。