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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6874595
(24)【登録日】2021年4月26日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】振動デバイス及び音響デバイス
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/17 20060101AFI20210510BHJP
   H01L 41/09 20060101ALI20210510BHJP
   H01L 41/187 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   H03H9/17 B
   H01L41/09
   H01L41/18 101C
   H01L41/18 101D
   H01L41/18 101J
   H01L41/187
   H01L41/08 J
【請求項の数】11
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-161342(P2017-161342)
(22)【出願日】2017年8月24日
(65)【公開番号】特開2019-41217(P2019-41217A)
(43)【公開日】2019年3月14日
【審査請求日】2020年4月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】木嶋 薫
(72)【発明者】
【氏名】谷口 徹行
(72)【発明者】
【氏名】武田 明丈
【審査官】 角張 亜希子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/125702(WO,A1)
【文献】 特開2016−063664(JP,A)
【文献】 特開2018−155976(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC H01L27/20
41/00−41/47
H03H3/007−3/06
9/00−9/135
9/15−9/24
9/30−9/40
9/46−9/62
9/66
9/70
9/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電素子と、
前記圧電素子が接続されている第一主面と、前記第一主面と対向している第二主面とを有していると共に、金属からなる振動増幅板と、を備え、
前記圧電素子は、前記第一主面に直交する方向から見て、前記第一主面の略中央に位置し、
前記振動増幅板の前記第二主面側には、突起部が設けられており、
前記突起部は、前記振動増幅板の硬度以上の硬度を有する金属からなると共に、前記第二主面に直交する方向から見て前記第二主面の略中央に位置し、かつ、前記振動増幅板の前記第二主面が突出することにより構成されており、
前記振動増幅板の前記第一主面における前記突起部に対応する位置には、窪み部が設けられており、
前記振動増幅板の前記突起部での厚みは、前記振動増幅板の前記突起部以外の領域での厚みより小さい、振動デバイス。
【請求項2】
前記圧電素子と前記第一主面とが接着剤を介して接続されており、
前記窪み部は、前記接着剤で満たされている、請求項1に記載の振動デバイス。
【請求項3】
圧電素子と、
前記圧電素子が接続されている第一主面と、前記第一主面と対向している第二主面とを有していると共に、金属からなる振動増幅板と、を備え、
前記圧電素子は、前記第一主面に直交する方向から見て、前記第一主面の略中央に位置し、
前記振動増幅板の前記第二主面側には、突起部が設けられており、
前記突起部は、前記振動増幅板の硬度以上の硬度を有する金属からなると共に、前記第二主面に直交する方向から見て前記第二主面の略中央に位置し、かつ、前記振動増幅板の前記第二主面が突出することにより構成されており、
前記振動増幅板の前記第一主面における前記突起部に対応する位置には、窪み部が設けられており、
前記圧電素子と前記第一主面とが接着剤を介して接続されており、
前記窪み部は、前記接着剤で満たされている、振動デバイス。
【請求項4】
前記突起部の高さは、前記振動増幅板の厚み以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の振動デバイス。
【請求項5】
前記振動増幅板と前記突起部とは、同じ金属からなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の振動デバイス。
【請求項6】
前記突起部の表面は、凸の曲面である、請求項1〜のいずれか一項に記載の振動デバイス。
【請求項7】
前記第一主面に直交する方向から見て、前記圧電素子の面積は、前記振動増幅板の面積より小さく、かつ、前記圧電素子は、前記振動増幅板の外縁より内側に位置している、請求項1〜のいずれか一項に記載の振動デバイス。
【請求項8】
前記圧電素子は、互いに対向する第三主面と第四主面とを有する圧電素体と、前記第三主面上に配置された第一外部電極と、前記第四主面上に配置された第二外部電極と、を有し、
前記圧電素子は、前記第二外部電極が前記第一主面と対向するように前記第一主面と接続されており、
前記第二外部電極は、前記振動増幅板と電気的に接続されている、請求項1〜のいずれか一項に記載の振動デバイス。
【請求項9】
請求項1〜のいずれか一項に記載の振動デバイスと、
前記突起部が当接している振動板と、を備えている、音響デバイス。
【請求項10】
前記突起部は、前記振動デバイスの前記突起部に対応する位置が押圧されて、前記振動板と当接している、請求項に記載の音響デバイス。
【請求項11】
前記突起部は、前記振動デバイスの外縁部が押圧されて、前記振動板と当接している、請求項に記載の音響デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動デバイスと、当該振動デバイスを備える音響デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
圧電素子と、圧電素子が接続されている主面を有している金属板と、を備えている振動デバイスが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1には、上記振動デバイスと、振動デバイスが固定されている振動板とを備えている音響デバイスが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭61−040100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の第一の態様は、振動を伝達する効率(以下、「振動伝達効率」と称する)が優れている振動デバイスを提供することを目的とする。本発明の第二の態様は、振動伝達効率が優れている音響デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第一の態様に係る振動デバイスは、圧電素子と、圧電素子が接続されている第一主面と、第一主面と対向している第二主面とを有していると共に、金属からなる振動増幅板と、を備え、振動増幅板の第二主面側には、突起部が設けられており、突起部は、振動増幅板の硬度以上の硬度を有する金属からなる。
【0006】
本発明の第一の態様に係る振動デバイスでは、圧電素子が、金属からなる振動増幅板の第一主面と接続されているので、圧電素子の変位に伴い、振動増幅板が振動する。振動増幅板の第二主面側に、金属からなる突起部が設けられている。したがって、突起部が、振動デバイス(振動増幅板)の振動が伝達される被振動部材(たとえば、音響デバイスの振動板など)に当接する場合、振動増幅板の振動が、突起部を通して被振動部材に伝達される。突起部の硬度は振動増幅板の硬度以上であるので、振動増幅板の振動が被振動部材に効率よく伝達される。
【0007】
突起部の高さは、振動増幅板の厚み以上であってもよい。振動増幅板が、突起部が設けられている領域以外の領域で被振動部材と接触する場合、振動伝達効率が低下すると共に、可聴域でのノイズ(たとえば、びびり音など)が生じるおそれがある。突起部の高さが、振動増幅板の厚み以上である構成では、突起部の高さが振動増幅板の厚み未満である構成に比して、振動増幅板における突起部が設けられている領域以外の領域と被振動部材との間隔が大きい。したがって、振動増幅板が、突起部が設けられている領域以外の領域で被振動部材と接触し難い。この結果、振動伝達効率の低下及びノイズの発生が抑制される。
【0008】
振動増幅板と突起部とは、同じ金属からなっていてもよい。この場合、突起部を振動増幅板に一体に設けることが可能であり、突起部が設けられている振動増幅板を簡易かつ低コストで実現できる。
【0009】
圧電素子は、第一主面に直交する方向から見て、第一主面の略中央に位置していてもよく、突起部は、第二主面に直交する方向から見て、第二主面の略中央に位置していてもよい。圧電素子が、第一主面の略中央に位置している場合、振動増幅板の振幅は、振動増幅板(第一及び第二主面)の略中央で大きく、振動増幅板の中央から離れるにしたがって小さい。したがって、突起部が、第二主面の中央に位置している場合、振動増幅板の振動が被振動部材により一層効率よく伝達される。
【0010】
突起部は、振動増幅板の第二主面が突出することにより構成されていてもよい。振動増幅板の第一主面における突起部に対応する位置には、窪み部が設けられていてもよい。
【0011】
圧電素子は、振動増幅板が振動するとき、振動増幅板に沿って変形する。振動増幅板の振幅は、振動増幅板(第一及び第二主面)の略中央で大きい。したがって、振動増幅板から圧電素子に作用する力は、振動増幅板(第一主面)の略中央で大きくなる。振動増幅板から圧電素子に作用する力が大きい場合、圧電素子が損傷するおそれがある。
【0012】
振動増幅板の第一主面における突起部に対応する位置に、窪み部が設けられている場合、窪み部は、第一主面に直交する方向から見て、第一主面の略中央に位置している。振動増幅板の第一主面における窪み部が設けられている領域では、振動増幅板の第一主面における窪み部が設けられていない領域に比して、圧電素子と振動増幅板との間隔が大きい。したがって、振動増幅板(第一主面)の略中央において、振動増幅板から圧電素子に作用する力が小さくなり、圧電素子の損傷が抑制される。
【0013】
突起部が、振動増幅板の第二主面が突出することにより構成されている場合、突起部が振動増幅板と異なる部材で構成されている場合に比して、振動増幅板の振動が被振動部材に効率よく伝達されると共に、デバイスの信頼性が高い。
【0014】
振動増幅板の突起部での厚みは、振動増幅板の突起部以外の領域での厚みより小さくてもよい。この場合、振動増幅板の突起部での厚みが、振動増幅板の突起部以外の領域での厚み以上である構成に比して、振動増幅板の突起部での剛性が低く、第一主面と平行な方向での圧電素子の変位が振動増幅板により阻害され難い。したがって、圧電素子の変位に伴う振動増幅板の変位(振幅)が大きくなる。
【0015】
圧電素子と第一主面とが接着剤を介して接続されていてもよい。窪み部は、接着剤で満たされていてもよい。この場合、圧電素子と振動増幅板との接続強度が確保されるので、圧電素子の変位に伴う振動増幅板の振幅が大きくなる。窪み部に満たされている接着剤が、振動増幅板から圧電素子に作用する力を緩衝するので、圧電素子の損傷が抑制される。
【0016】
突起部の表面は、凸の曲面であってもよい。この場合、突起部が、被振動部材と実質的に点接触するので、振動増幅板の振動が被振動部材により一層効率よく伝達される。
【0017】
第一主面に直交する方向から見て、圧電素子の面積は、振動増幅板の面積より小さく、かつ、圧電素子は、振動増幅板の外縁より内側に位置していてもよい。この場合、圧電素子の面積が振動増幅板の面積と同等以上である構成に比して、圧電素子が振動デバイスの周囲に位置する部材と接触し難く、圧電素子の損傷が防止される。
【0018】
圧電素子は、互いに対向する第三主面と第四主面とを有する圧電素体と、第三主面上に配置された第一外部電極と、第四主面上に配置された第二外部電極と、を有していてもよい。圧電素子は、第二外部電極が第一主面と対向するように第一主面と接続されていてもよい。第二外部電極は、振動増幅板と電気的に接続されていてもよい。この場合、第二外部電極には、振動増幅板を通して電圧が印加される。したがって、第二外部電極と外部電源との電気的な接続経路が容易に構築される。
【0019】
本発明の第二の態様に係る音響デバイスは、上記振動デバイスと、突起部が当接している振動板と、を備えている。
【0020】
本発明の第二の態様に係る音響デバイスでは、上述したように、突起部が、音響デバイスの振動板に当接しているので、振動増幅板の振動が、突起部を通して振動板に伝達される。突起部の硬度は振動増幅板の硬度以上であるので、振動増幅板の振動が振動板に効率よく伝達される。
【0021】
突起部は、振動デバイスの突起部に対応する位置が押圧されて、振動板と当接していてもよい。突起部は、振動デバイスの外縁部が押圧されて、振動板と当接していてもよい。いずれの場合も、振動増幅板の振動が振動板により一層効率よく伝達される。
【発明の効果】
【0022】
本発明の第一の態様によれば、振動伝達効率が優れている振動デバイスを提供することができる。本発明の第二の態様によれば、振動伝達効率が優れている音響デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、第1実施形態に係る振動デバイスの斜視図である。
図2図2は、第1実施形態に係る振動デバイスの斜視図である。
図3図3は、第1実施形態に係る振動デバイスの断面構成を示す図である。
図4図4は、第1実施形態に係る振動デバイスの断面構成を示す図である。
図5図5は、第1実施形態に係る振動デバイスの断面構成を示す図である。
図6図6は、第2実施形態に係る音響デバイスの断面構成を示す図である。
図7図7は、第2実施形態の変形例に係る音響デバイスの断面構成を示す図である。
図8図8は、第2実施形態の変形例に係る音響デバイスの断面構成を示す図である。
図9図9は、第2実施形態の変形例に係る音響デバイスの断面構成を示す図である。
図10図10は、第1実施形態の変形例に係る振動デバイスの斜視図である。
図11図11は、第1実施形態の変形例に係る振動デバイスの斜視図である。
図12図12は、第1実施形態の変形例に係る振動デバイスの斜視図である。
図13図13は、第1実施形態の変形例に係る振動デバイスの斜視図である。
図14図14は、第1実施形態の変形例に係る振動デバイスの断面構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0025】
(第一実施形態)
図1図4を参照して、第1実施形態に係る振動デバイス1の構成を説明する。図1及び図2は、第1実施形態に係る振動デバイスの斜視図である。図3及び図4は、第1実施形態に係る振動デバイスの断面構成を示す図である。
【0026】
振動デバイス1は、図1図4に示されるように、圧電素子10と、振動増幅板20とを備えている。圧電素子10は、圧電素体11と、一対の外部電極13.15と、を有している。
【0027】
圧電素体11は、円板形状を呈している。圧電素体11は、互いに対向している一対の主面11a.11bと、側面11cと、を有している。主面11aの形状及び面積と、主面11bの形状及び面積とは、略同じである。主面11a.11bは、円形状を呈している。本実施形態では、各主面11a.11bは、略真円形状を呈している。
【0028】
主面11aと主面11bとが対向している方向が、第一方向D1である。第一方向D1は、各主面11a,11bに直交する方向でもある。側面11cは、主面11aと主面11bとを連結するように第一方向D1に延在している。主面11a,11bと側面11cとは、稜線部を介して、間接的に隣り合っている。圧電素体11の第一方向D1での長さ(圧電素体11の厚み)は、たとえば、40〜300μmである。本実施形態では、圧電素体11の厚みは、200μmである。
【0029】
圧電素体11は、圧電材料からなる。本実施形態では、圧電素体11は、圧電セラミック材料からなる。圧電セラミック材料は、たとえば、PZT[Pb(Zr、Ti)O]、PT(PbTiO)、PLZT[(Pb,La)(Zr、Ti)O]、又はチタン酸バリウム(BaTiO)である。圧電素体11は、たとえば、上述した圧電セラミック材料を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。
【0030】
外部電極13は、主面11a上に配置されている。外部電極15は、主面11b上に配置されている。本実施形態では、外部電極13は、主面11aの全体を覆っている。外部電極15は、主面11bの全体を覆っている。各外部電極13,15は、第一方向D1から見て、円形状を呈している。本実施形態では、各外部電極13,15は、略真円形状を呈している。
【0031】
各外部電極13.15は、導電性材料からなる。導電性材料として、たとえば、Ag、Pd、又はAg−Pd合金などが用いられる。各外部電極13.15は、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。本実施形態では、圧電素子10は、圧電素体11内に配置される内部電極を有していない。
【0032】
振動増幅板20は、金属からなり、互いに対向している一対の主面20a,20bを有している。主面20aと主面20bとが対向している方向も、第一方向D1である。第一方向D1は、各主面20a,20bに直交する方向でもある。振動増幅板20は、たとえば、Ni−Fe合金、Ni、黄銅、又はステンレス鋼からなる。振動増幅板20(主面20a,20b)は、第一方向D1から見たとき、円形状を呈している。本実施形態では、振動増幅板20(主面20a,20b)は、略真円形状を呈している。第一方向D1での振動増幅板20の長さ(振動増幅板20の厚み)は、たとえば、50〜300μmである。本実施形態では、振動増幅板20の厚みは、200μmである。
【0033】
圧電素子10は、振動増幅板20に接着されている。圧電素子10と振動増幅板20の主面20aとは、接着剤30を介して接続されている。圧電素子10は、外部電極15が振動増幅板20の主面20aと対向するように、主面20aと接続されている。すなわち、外部電極15と主面20aとは、接着剤30を介して対向している。
【0034】
圧電素子10は、第一方向D1から見て、主面20aの略中央に位置している。主面20aの略中央には、主面20aの中心位置だけでなく、製造誤差又は交差によって主面20aの中心位置から離れる位置も含まれる。また、主面20aの略中央には、主面20aの中心から予め設定された微小長さ離れた位置も含む。予め設定された長さとは、たとえば、主面20aの半径の8%の長さである。
【0035】
第一方向D1から見て、圧電素子10(主面11a.11b)の面積は、振動増幅板20の面積より小さい。圧電素子10は、第一方向D1から見て、振動増幅板20(主面20a)の外縁より内側に位置している。
【0036】
接着剤30は、導電性樹脂からなる。外部電極15は、接着剤30を通して、振動増幅板20と電気的に接続されている。導電性樹脂は、樹脂(たとえば、熱硬化性樹脂)と導電性材料(たとえば、金属粉末)とを含んでいる。金属粉末としては、たとえばAg粉末が用いられる。熱硬化性樹脂としては、たとえば、フェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、又はポリイミド樹脂が用いられる。
【0037】
振動増幅板20の主面20b側には、突起部21が設けられている。突起部21は、振動増幅板20の主面20bが突出することにより構成されている。すなわち、突起部21は、振動増幅板20と一体に設けられている。突起部21は、第一方向D1で主面20bから離れるにしたがって先細る形状を呈している。本実施形態では、突起部21の表面は、凸の曲面である。本実施形態では、突起部21の表面は、球帽形状を呈している。振動増幅板20は、突起部21が設けられている領域R1と、領域R1以外の領域R2とを有している。
【0038】
突起部21は、振動増幅板20の硬度以上の硬度を有する金属からなる。硬度は、たとえば、ビッカース硬さで規定される。本実施形態では、突起部21は、振動増幅板20と同じ金属からなり、突起部21の硬度と振動増幅板20の硬度とは同等である。Ni−Fe合金のビッカース硬さは、100〜230である。黄銅のビッカース硬さは、80〜150である。ステンレス鋼のビッカース硬さは、160〜190である。
【0039】
突起部21は、第一方向D1から見て、主面20bの略中央に位置している。主面20bの略中央には、主面20bの中心位置だけでなく、製造誤差又は交差によって主面20bの中心位置から離れる位置も含まれる。また、主面20bの略中央には、主面20bの中心から予め設定された微小長さ離れた位置も含む。予め設定された長さとは、たとえば、主面20bの半径の8%の長さである。
【0040】
突起部21の高さHは、振動増幅板20の突起部21以外の領域での厚みT1以上である。突起部21の高さHは、主面20bを含む仮想平面に直交する方向での、当該仮想平面から突起部21の先端までの距離で規定される。高さHは、たとえば、200〜2000μmである。本実施形態では、高さHは、500μmである。厚みT1は、たとえば、50〜300μmである。本実施形態では、厚みT1は、200μmである。
【0041】
振動増幅板20の突起部21での厚みT2は、振動増幅板の厚みT1より小さい。本実施形態では、厚みT2は、190μmである。厚みT2は、厚みT1と同等であってもよい。この場合、厚みT2は、たとえば、50〜300μmである。
【0042】
振動増幅板20には、窪み部23が設けられている。窪み部23は、主面20aにおける突起部21に対応する位置に設けられている。窪み部23は、接着剤30で満たされている。突起部21及び窪み部23は、たとえば、振動増幅板20を主面20a側からポンチで押圧し、振動増幅板20を塑性変形させることにより形成される。
【0043】
窪み部23の深さは、たとえば、10〜2000μmである。本実施形態では、窪み部23の深さは、300μmである。窪み部23の深さは、主面20aを含む仮想平面に直交する方向での、当該仮想平面から窪み部23の最深位置までの距離で規定される。
【0044】
図5に示されているように、外部電極13に、導体33が接続されており、振動増幅板20に、導体35が接続されている。導体33は、外部電極13と電気的に接続されている。導体35は、振動増幅板20に電気的に接続されている。導体35は、振動増幅板20及び接着剤30を通して、外部電極15と電気的に接続されている。圧電素子10には、一対の導体33.35を通して、駆動電圧が印加される。
【0045】
極性が異なる電圧が、導体33,35を通して、外部電極13と外部電極15とに印加されると、外部電極13と外部電極15との間で電界が発生する。圧電素体11における外部電極13と外部電極15とで挟まれた領域が、活性領域となり、当該活性領域に変位が発生する。圧電素子10は、外部電極13,15に交流電圧が印加されると、印加された交流電圧の周波数に応じて伸縮を繰り返す。圧電素子10と振動増幅板20とは、互いに接着されているので、振動増幅板20は、圧電素子10における伸縮の繰り返しに応じて、圧電素子10と一体に撓み振動を行う。
【0046】
以上のように、第1実施形態では、圧電素子10が、振動増幅板20の主面20aと接続されているので、圧電素子10の変位に伴い、振動増幅板20が振動する。振動増幅板20の主面20b側に、突起部21が設けられている。したがって、突起部21が、振動デバイス1(振動増幅板20)の振動が伝達される被振動部材3(たとえば、音響デバイスの振動板など)に当接する場合、振動増幅板20の振動が、突起部21を通して被振動部材3に伝達される。突起部21の硬度は振動増幅板20の硬度以上であるので、振動増幅板20の振動が被振動部材3に効率よく伝達される。
【0047】
振動デバイス1では、突起部21の高さHは、振動増幅板20の厚みT1以上である。
振動増幅板20が、領域R2で被振動部材3と接触する場合、振動伝達効率が低下すると共に、可聴域でのノイズ(たとえば、びびり音など)が生じるおそれがある。振動デバイス1では、突起部21の高さHが振動増幅板20の厚みT1未満である振動デバイスに比して、振動増幅板20の領域R2と被振動部材3との間隔が大きい。したがって、振動増幅板20が、領域R2で被振動部材3と接触し難い。この結果、振動デバイス1では、振動伝達効率の低下及びノイズの発生が抑制される。
【0048】
振動デバイス1では、振動増幅板20と突起部21とは、同じ金属からなるので、突起部21を振動増幅板20に一体に設けることが可能である。振動デバイス1では、突起部21は、振動増幅板20と一体に設けられている。したがって、突起部21が設けられている振動増幅板20を簡易かつ低コストで実現できる。
【0049】
突起部21が振動増幅板20と一体に設けられている場合、突起部21が振動増幅板20と別体に設けられている振動デバイスに比して、振動増幅板20の振動が被振動部材3に効率よく伝達される。突起部21が振動増幅板20と別体に設けられている場合、突起部21と振動増幅板20とを連結する部材(たとえば、接着剤)により、振動増幅板20の振動の伝達が阻害されるおそれがある。また、突起部21を振動増幅板20の略中央に精度よく設けることが難しく、振動増幅板20の振動を効率よく伝達できないおそれがある。
【0050】
圧電素子10は、第一方向D1から見て、主面20aの略中央に位置している。突起部21は、第一方向D1から見て、主面20bの略中央に位置している。圧電素子10が、主面20aの略中央に位置している場合、振動増幅板20の振幅は、振動増幅板20(主面20a,20b)の略中央で大きく、振動増幅板20の中央から離れるにしたがって小さい。振動デバイス1では、突起部21が、主面20bの中央に位置しているので、振動増幅板20の振動が被振動部材3により一層効率よく伝達される。
【0051】
突起部21は、振動増幅板20の主面20bが突出することにより構成されている。振動増幅板20の主面20aにおける突起部21に対応する位置には、窪み部23が設けられている。圧電素子10は、振動増幅板20が振動するとき、振動増幅板20に沿って変形する。この圧電素子10の変形は、圧電素子10の変位(伸縮)とは異なる変形であり、振動増幅板20に沿って撓む変形である。
【0052】
振動増幅板20の振幅は、振動増幅板20(主面20a,20b)の略中央で大きい。したがって、振動増幅板20から圧電素子10に作用する力は、振動増幅板20(主面20a)の略中央で大きくなる。振動増幅板20から圧電素子10に作用する力が大きい場合、圧電素子10(圧電素体11)が損傷するおそれがある。
【0053】
振動増幅板20の主面20aにおける突起部21に対応する位置に、窪み部23が設けられている場合、窪み部23は、第一方向D1から見て、主面20aの略中央に位置している。振動増幅板20の領域R1では、振動増幅板20の領域R2に比して、圧電素子10と振動増幅板20との間隔が大きい。したがって、振動増幅板20(主面20a)の略中央において、振動増幅板20から圧電素子10に作用する力が小さくなり、圧電素子10の損傷が抑制される。
【0054】
振動デバイス1では、突起部21が、振動増幅板20の主面20bが突出することにより構成されている。したがって、振動デバイス1では、突起部21が振動増幅板20と異なる部材で構成されている振動デバイスに比して、振動増幅板20の振動が被振動部材3に効率よく伝達されると共に、デバイスの信頼性が高い。
【0055】
振動デバイス1では、振動増幅板20の厚みT2は、振動増幅板20の厚みT1より小さく。したがって、振動デバイス1では、振動増幅板20の厚みT2が振動増幅板20の厚みT1以上である振動デバイスに比して、振動増幅板20の突起部21での剛性が低く、主面20aと平行な方向での圧電素子10の変位が振動増幅板20により阻害され難い。この結果、振動デバイス1では、圧電素子10の変位に伴う振動増幅板20の変位(振幅)が大きくなる。
【0056】
振動デバイス1では、圧電素子10と主面20aとが接着剤30を介して接続されており、窪み部23は、接着剤30で満たされている。したがって、圧電素子10と振動増幅板20との接続強度が確保されるので、圧電素子10の変位に伴う振動増幅板20の振幅が大きくなる。窪み部23に満たされている接着剤30が、振動増幅板20から圧電素子10に作用する力を緩衝するので、圧電素子10の損傷が抑制される。
【0057】
突起部21の表面は、凸の曲面である。したがって、突起部21が、被振動部材3と実質的に点接触するので、振動増幅板20の振動が被振動部材3により一層効率よく伝達される。
【0058】
突起部21の表面、すなわち、被振動部材3と対向する面(被振動部材3に当接する面)が平坦面である場合、振動増幅板20が振動する際に、一つの突起部21と振動増幅板20とが複数箇所で当接するおそれがある。振動デバイス1が被振動部材3に対して所望の姿勢で固定されていない場合にも、一つの突起部21と振動増幅板20とが複数箇所で当接するおそれがある。一つの突起部21と振動増幅板20とが複数箇所で当接していると、可聴域でのノイズ(たとえば、びびり音など)が生じるおそれがある。
【0059】
これに対し、本実施形態では、突起部21の表面は、凸の曲面であるので、一つの突起部21と振動増幅板20とが複数箇所で当接することはない。したがって、ノイズの発生が抑制される。
【0060】
突起部21の表面が、尖った形状(たとえば、円錐形状又は角錐形状)を呈している場合、振動デバイス1が被振動部材3に固定される場合、振動デバイス1は所望の姿勢で固定され難い。この場合、振動デバイス1が被振動部材3に対して傾き、振動増幅板20が、領域R2で被振動部材3と接触するおそれがある。振動増幅板20が振動する際にも、振動デバイス1が被振動部材3に対して傾くおそれがある。
【0061】
これに対し、本実施形態では、突起部21の表面は、凸の曲面であるので、振動デバイス1が所望の姿勢で固定され易い。振動増幅板20が振動する際に、振動デバイス1が被振動部材3に対して傾き難い。
【0062】
突起部21の形状が、断面積が小さい柱体状を呈している場合、突起部21が振動増幅板20の振動を吸収するおそれがある。これに対し、本実施形態では、突起部21の表面が球帽形状を呈しているので、突起部21が振動増幅板20の振動を吸収し難い。
【0063】
振動デバイス1では、第一方向D1から見て、圧電素子10の面積は、振動増幅板20の面積より小さく、かつ、圧電素子10は、振動増幅板20の外縁より内側に位置している。したがって、振動デバイス1では、圧電素子10の面積が振動増幅板20の面積と同等以上である振動デバイスに比して、圧電素子10が振動デバイス1の周囲に位置する部材と接触し難く、圧電素子10の損傷が防止される。
【0064】
圧電素子10は、互いに対向する主面11aと主面11bとを有する圧電素体11と、主面11a上に配置された外部電極13と、主面11b上に配置された外部電極15と、を有している。圧電素子10は、外部電極15が主面20aと対向するように主面20aと接続されている。外部電極15は、振動増幅板20と電気的に接続されている。外部電極15には、振動増幅板20を通して電圧が印加される。したがって、振動デバイス1では、外部電極15と外部電源との電気的な接続経路が容易に構築される。
【0065】
(第2実施形態)
図6を参照して、第2実施形態に係る音響デバイス40の構成を説明する。図6は、第2実施形態に係る音響デバイスの断面構成を示す図である。
【0066】
音響デバイス40は、図6に示されるように、振動デバイス1と、振動板41と、押圧部材43と、を有している。振動板41は、上述した被振動部材3に対応する部材である。
【0067】
振動板41は、突起部21と当接している。振動板41は、板状の部材である。振動板41は、たとえば、金属又は樹脂からなる。振動板41は、電子機器の筐体又は車両のボディパネルで構成されていてもよい。振動板41は、スピーカの振動板を構成していてもよい。
【0068】
押圧部材43は、基材45と、複数の係止片47と、押圧片49とを有している。基材45は、振動デバイス1と対向するように配置される。複数の係止片47と押圧片49とは、基材45から延在している。本実施形態では、複数の係止片47と押圧片49とは、基材45と直交する方向に延在している。押圧部材43は、たとえば樹脂からなる。押圧部材43を構成する樹脂としては、たとえば、ポリブチレンテレフタレート(PBT樹脂)、ABS樹脂、又はポリプロピレン樹脂が用いられる。基材45と、複数の係止片47と、押圧片49とは、一体に形成されている。
【0069】
各係止片47は、振動板41に形成されている貫通孔41aに挿通される。各係止片47は、貫通孔41aに挿通された状態で、振動板41と係止する。各係止片47と振動板41とが係止された状態で、押圧部材43は振動板41に固定される。貫通孔41aは、シール部材42によって封止されていてもよい。
【0070】
押圧片49は、圧電素子10(外部電極13)に当接し、振動デバイス1を押圧する。押圧部材43が振動板41に固定された状態で、押圧片49は、外部電極13における突起部21に対応する位置に接触しており、振動デバイス1(圧電素子10)における突起部21に対応する位置を押圧している。突起部21は、振動デバイス1の突起部21に対応する位置が押圧されて、振動板41と当接している。本実施形態では、第一方向D1から見て、押圧片49の位置は、突起部21の位置と略一致している。
【0071】
押圧部材43は、押圧片49で振動デバイス1と当接している。押圧部材43における押圧片49以外の部位は、振動デバイス1と当接していない。押圧部材43は、振動増幅板20と当接していない。振動デバイス1は、突起部21で振動板41と当接している。振動デバイス1における突起部21以外の部位は、振動板41と当接していない。突起部21が設けられている領域以外の領域(すなわち、図3に示されている領域R2)は、振動板41から離間している。
【0072】
突起部21と振動板41とは、点接触している。突起部21が振動板41に当接することにより、振動板41が変形し、突起部21と振動板41とが微小面積で接触していてもよい。この場合、突起部21と振動板41とは、実質的に点接触している。微小面積とは、たとえば、突起部21の表面積の5%の面積である。
【0073】
以上のように、第2実施形態では、突起部21が、振動板41に当接している。したがって、振動増幅板20の振動が、突起部21を通して振動板41に伝達される。突起部21の硬度は振動増幅板20の硬度以上であるので、振動増幅板20の振動が振動板41に効率よく伝達される。
【0074】
押圧部材43(押圧片49)は、振動デバイス1の突起部21に対応する位置を押圧する。押圧部材43(押圧片49)からの押圧力は、振動デバイス1(圧電素子10)に直接伝わる。押圧部材43によって、突起部21は、振動板41と当接する。したがって、振動増幅板20の振動が振動板41により一層効率よく伝達される。
【0075】
第2実施形態では、押圧部材43における押圧片49以外の部位は、振動デバイス1と当接していないので、振動増幅板20の振動が押圧部材43によって阻害されることはない。振動デバイス1における突起部21以外の部位は、振動板41と当接していないので、振動伝達効率の低下及びノイズは生じ難い。
【0076】
次に、図7図9を参照して、第2実施形態の変形例に係る音響デバイス40の構成を説明する。図7図9は、第2実施形態の変形例に係る音響デバイスの断面構成を示す図である。
【0077】
図7に示された変形例では、音響デバイス40は、振動デバイス1と、振動板41と、押圧部材43と、を有している。振動板41は、電極51を有している。押圧部材43は、電極53を有している。図7に示された音響デバイス40は、一対の電極51,53を備えている点で、図6に示された音響デバイス40と相違している。
【0078】
電極51は、振動板41の振動増幅板20と対向する面に配置されている。電極51は、振動板41における突起部21に対応する位置に設けられている。振動板41と電気的に絶縁されている。電極51には、第一導体(不図示)が電気的に接続されている。電極51は、金属(たとえば、ステンレス鋼)からなる。電極51は、突起部21と当接している。電極51は、振動増幅板20と電気的に接続されている。第一導体は、電極51、振動増幅板20、及び接着剤30を通して、外部電極15と電気的に接続されている。
【0079】
電極53は、押圧片49に配置されている。電極53は、押圧片49における圧電素子10と対向する面に設けられている。電極53は、外部電極13と当接しており、外部電極13と電気的に接続されている。電極53には、第二導体(不図示)が電気的に接続されている。電極53は、金属(たとえば、ステンレス鋼)からなる。押圧部材43(押圧片49)からの押圧力は、電極53を通して、振動デバイス1(圧電素子10)に伝わる。
【0080】
第一導体は、電極51、振動増幅板20、及び接着剤30を通して、外部電極15と電気的に接続されている。第二導体は、電極53を通して、外部電極13と電気的に接続されている。本変形例では、圧電素子10には、第一及び第二導体を通して、駆動電圧が印加される。
【0081】
突起部21と電極51とは、点接触している。突起部21が電極51に当接することにより、電極51が変形し、突起部21と電極51とが微小面積で接触していてもよい。この場合、突起部21と電極51とは、実質的に点接触している。微小面積とは、たとえば、突起部21の表面積の5%の面積である。
【0082】
本変形例では、突起部21が、振動板41に配置されている電極51に当接している。したがって、振動増幅板20の振動が、突起部21及び電極51を通して振動板41に伝達される。突起部21の硬度は振動増幅板20の硬度以上であるので、振動増幅板20の振動が振動板41に効率よく伝達される。電極51は、金属からなる。したがって、電極51は、振動増幅板20の振動の伝達を阻害し難い。
【0083】
押圧部材43(押圧片49)は、振動デバイス1の突起部21に対応する位置を押圧する。押圧部材43(押圧片49)からの押圧力は、電極53を通して、振動デバイス1(圧電素子10)に伝わる。押圧部材43によって、突起部21は、振動板41と当接する。したがって、振動増幅板20の振動が振動板41により一層効率よく伝達される。
【0084】
図8に示された変形例では、音響デバイス40は、振動デバイス1と、振動板41と、押圧部材43と、を有している。図8に示された音響デバイス40では、押圧片49の構成が、図6に示された音響デバイス40と相違している。
【0085】
押圧片49は、振動増幅板20に当接し、振動デバイス1を押圧する。押圧部材43が振動板41に固定された状態で、押圧片49は、振動増幅板20の外縁部に接触しており、振動増幅板20の外縁部を押圧している。突起部21は、振動増幅板20の外縁部が押圧されて、振動板41と当接している。
【0086】
押圧片49は、振動増幅板20の外縁部の全周と接触していてもよい。押圧部材43は、複数の押圧片49を有していてもよい。この場合、複数の押圧片49は、振動増幅板20の外縁部に沿って等間隔で位置するように、配置されていてもよい。複数の押圧片49が、振動増幅板20の外縁部と接触する。
【0087】
本変形例でも、突起部21が、振動板41に当接しているので、上述したように、振動増幅板20の振動が振動板41に効率よく伝達される。押圧部材43(押圧片49)は、振動増幅板20の外縁部を押圧する。押圧部材43(押圧片49)からの押圧力は、振動デバイス1(振動増幅板20)に直接伝わる。押圧部材43によって、突起部21は、振動板41と当接する。したがって、振動増幅板20の振動が振動板41により一層効率よく伝達される。
【0088】
図9に示された変形例では、音響デバイス40は、振動デバイス1と、振動板41と、押圧部材43と、を有している。図9に示された音響デバイス40は、電極51を備えている点で、図6に示された音響デバイス40と相違している。
【0089】
本変形例でも、振動増幅板20の振動が振動板41に効率よく伝達されると共に、振動増幅板20の振動が振動板41により一層効率よく伝達される。
【0090】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0091】
圧電素子10(圧電素体11及び外部電極13,15)は、図10に示されるように、第一方向D1から見たとき、矩形形状を呈していてもよい。振動増幅板20(主面20a,20b)も、図10及び図11に示されるように、第一方向D1から見たとき、矩形形状を呈していてもよい。図10及び図11に示された振動デバイス1では、圧電素子10及び振動増幅板20の形状が、第1実施形態に係る振動デバイス1と相違する。
【0092】
図12及び図13に示されるように、振動増幅板20の主面20b側には、複数の突起部21が設けられていてもよい。この場合、複数の突起部21は、第一方向D1から見て、圧電素子10(圧電素体11)と重なる位置に設けられている。複数の突起部21が、第一方向D1から見て、圧電素子10と重なる位置に設けられている場合、突起部21が圧電素子10と重なる位置に設けられていない振動デバイスに比して、振動増幅板20の振動が振動板41に効率よく伝達される。
【0093】
複数の突起部21が振動増幅板20に設けられる場合、一つの突起部21が、第一方向D1から見て、主面20bの略中央に位置していてもよい。複数の突起部21は、主面20bの中心位置からの距離が同等となるように位置していてもよい。主面20bの略中央に位置していない突起部21の間隔は、同等であってもよい。
【0094】
図14に示されるように、突起部21は、振動増幅板20と別体に設けられていてもよい。この場合、突起部21は、振動増幅板20の硬度以上の硬度を有する金属であれば、振動増幅板20と突起部21とは、異なる金属材料からなっていてもよい。たとえば、振動増幅板20がステンレス鋼からなると共に、突起部21が機械構造用炭素鋼鋼材(たとえば、C45(ISO 683−1:2012))からなっていてもよい。振動増幅板20には、窪み部23は設けられていない。突起部21が振動増幅板20と別体に設けられている場合でも、振動増幅板20に窪み部23が設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0095】
1…振動デバイス、3…被振動部材、10…圧電素子、11…圧電素体、11a,11b…主面、13,15…外部電極、20…振動増幅板、20a,20b…主面、21…突起部、23…窪み部、30…接着剤、40…音響デバイス、41…振動板、43…押圧部材、49…押圧片、D1…第一方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14