(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
親機及び多段構成の複数の子機からなる無線通信システムと、センタ装置とを有し、子機で取得された監視情報(ガスメータや水道メータの検針値、ガス漏れ警報や電池残量低下警報など)を親機経由でセンタ装置に通知する遠隔監視システムがある(特許文献1)。
【0003】
この遠隔監視システムにおいて、センタ装置−親機間は無線や有線の公衆回線を介して通信を行い、「親機,1段目子機,2段目子機,・・・,N段目子機」により構成される無線通信システム内の無線通信は特定小電力無線を用いて行う。各子機にはガスメータ、水道メータ、ガス漏れ検知器などのセンサ接続されており、それらのセンサで生成された監視情報を上位の子機経由で、即ち上位の子機を中継子機として親機に通知するマルチホップ通信を行う。
【0004】
監視領域を常時監視するためには、子機を常時動作状態としておくことが理想的である。しかし、通常、子機は電池駆動であり、長期間使用可能にするため、その消費電力を極力抑えることが望ましい。そこで、子機を間欠動作させる、即ち、例えば10秒〜15秒間休止(スリープ)した後に35ミリ秒間だけ動作するように設定することで消費電力を抑えている。
【0005】
子機は、例えば休止後の動作状態の35ミリ秒間に親機からの検針要求を受信すると、間欠動作状態からデータ通信可能な連続動作状態に移行し、メータ検針を行い、検針値を親機へ通知した後に間欠動作状態に戻る。また、子機は、ガス漏れ検知器などのセンサ出力を検知すると、間欠動作状態からデータ通信可能な連続動作状態に移行し、ガス漏れ警報を親機へ通知した後に間欠動作状態に戻る。このように、子機を間欠動作させることで、消費電力を低減し、電池寿命を延ばすことはできる。
【0006】
ここで、年間の合計動作時間は、例えば、10秒間の休止と35ミリ秒間の動作とを周期的に繰り返す間欠動作の場合、約11万時間、15秒間の休止と35ミリ秒間の動作とを周期的に繰り返す間欠動作の場合、約7万4千時間となる。したがって、合計動作時間を短縮し、電池寿命を延ばすためには、間欠動作周期を長くして、年間合計動作時間を短くすればよいことがわかる。
【0007】
しかしながら、間欠動作周期を長くすると、子機からの監視情報を親機に通知するまでの時間が長くなるという問題がある。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
〈遠隔監視システムの構成〉
図1は、本発明の実施形態に係る無線通信システムを含む遠隔監視システムを示す図である。
【0014】
この遠隔監視システムは、例えば、ガスメータや水道メータの自動検針に用いられるものであって、センタ装置1と、親機2及び多段構成の複数の子機(1段目子機3−1,2段目子機3−2,3段目子機3−3,4段目子機3−4)からなる無線通信システムとを有する。なお、以下の説明では、各子機を区別しないときは子機3とする。
【0015】
各子機にはガスメータ、水道メータ、ガス漏れ検知器などのセンサが接続されており、それらのセンサで生成された監視情報を上位の子機経由で、即ち上位の子機を中継子機として親機2に通知するマルチホップ通信を行う。
【0016】
親機2とセンタ装置1との間の通信は携帯電話回線などの公衆通信回線を用いて行う。また、親機2,1段目子機3−1,2段目子機3−2,3段目子機3−3,及び4段目子機3−4により構成される無線通信システム内の無線通信は特定小電力無線を用いて行う。
【0017】
また、親機2と子機3は、LPWA(Low Power Wide Area:低電力広域)無線により通信可能である。LPWA無線は特定小電力無線と比べて、低電力で広範囲に届く、即ち低消費電力で通信距離が長い。このため、特定小電力無線では親機2と直接的に接続されていない子機(例えば4段目子機3−4)も親機2と直接的に通信可能となる。本実施形態ではLPWA無線として、特定小電力無線と同様、920MHz帯を利用し、特別な免許が不要なLoRa方式を用いている。
【0018】
〈子機の構成〉
図2は、
図1における子機3の概略構成を示すブロック図である。
図示のように、子機3は、制御部31と、それぞれが制御部31に接続された記憶部32、無線部33、外部I/F(インタフェース)部34、表示部35、及び操作入力部36を備えている。無線部33にはアンテナ37が接続されている。
【0019】
制御部31は、例えばマイクロプロセッサ及びその周辺回路等で構成され、子機3全体の制御や演算処理等を行う。
記憶部32は、ROMなど不揮発性メモリ、フラッシュメモリ等の書換え可能な不揮発性メモリ、RAM等の揮発性メモリからなる。そして、ROMには子機3を動作させるために必要な制御プログラムが格納されている。また、RAMには制御部31が実行中の各プログラムや、それらの実行に必要な情報(端末番号、無線チャネル、電界強度、自端末の中継段数、各種テーブルなど)が格納される。また、書換え可能な不揮発性メモリには、各種設定データなどが格納される。ここでは、検針日時及び間欠動作パラメータを図示した。
【0020】
無線部33は、第1の無線部としての特定小電力無線部331及び第2の無線部としてのLPWA無線部332を備えている。
特定小電力無線部331は、特定小電力無線により、他の子機3や親機2との間で無線通信を行う。より詳しくは、特定小電力無線部331は、検針日時以外は常時スリープモード(休止モード)となっており、電源電力が供給されていないが、検針日時になると、電源電力が供給され、間欠動作パラメータに基づく間欠受信動作を行うとともに、外部I/F部34に接続された外部機器の検針値を送信する。また、外部I/F部34に接続された外部機器が警報を生成した日時が検針日時である場合は警報を送信する。
【0021】
LPWA無線部332はLPWA無線により親機2と通信(ここでは送信のみ)を行う。より詳しくは、LPWA無線部332は通常はスリープモードとなっており、電源電力が供給されていないが、外部I/F部34に接続された外部機器が警報を生成した日時が検針日時でない場合に電源電力が供給され、親機2に警報を送信する。
【0022】
外部I/F部34にはガスメータや水道メータ等の外部機器が接続される。
表示部35は、LED等で構成されており、子機3の動作状態等を表示するユーザI/Fである。操作入力部36は、ボタンやスイッチ等からなり、子機3に対する所定の設定を入力するためのユーザI/Fである。アンテナ37は電波の送受信を行う。
【0023】
〈親機の構成〉
図3は、
図1における親機2の概略構成を示すブロック図である。
親機2は、制御部21と、それぞれが制御部21に接続された記憶部22、無線部23、網制御部24、表示部25、及び操作入力部26を備えている。無線部23にはアンテナ27が接続されている。
【0024】
制御部21は、例えばマイクロプロセッサ及びその周辺回路等で構成され、親機2全体の制御や演算処理等を行う。
記憶部22は、ROMなど不揮発性メモリ、フラッシュメモリ等の書換え可能な不揮発性メモリ、RAM等の揮発性メモリからなる。そして、ROMには親機2を動作させるために必要な制御プログラムなどが格納されている。また、RAMには制御部21が実行中の各プログラムや、それらの実行に必要な情報(端末番号、無線チャネル、電界強度、各種テーブルなど)が格納される。また、書換え可能な不揮発性メモリには、各種設定データなどが格納される。ここでは、検針日時及び間欠動作パラメータを図示した。
【0025】
無線部23は、第1の無線部としての特定小電力無線部231及び第2の無線部としてのLPWA無線部232を備えている。
特定小電力無線部231は、特定小電力無線により、子機3との間で無線通信を行う。より詳しくは、特定小電力無線部231は、検針日時以外は常時スリープモードとなっており、電源電力が供給されていないが、検針日時になると、電源電力が供給され、間欠動作パラメータに基づく間欠受信動作を行い、子機3の特定小電力無線部331から送信された検針値を受信する。また、検針日時に子機3の特定小電力無線部331から警報が送信された場合にそれを受信する。
【0026】
LPWA無線部232はLPWA無線により子機3と通信(ここでは受信のみ)を行う。より詳しくは、LPWA無線部232は常時間欠動作又は連続動作を行っており、検針日時でない時に子機3のLPWA無線部332から送信された警報を受信する。網制御部24は、公衆通信回線を介してセンタ装置1と通信を行う。
【0027】
表示部25は、LED等で構成されており、親機2の動作状態等を表示する。操作入力部26は、ボタンやスイッチ等からなり、親機2に対する所定の設定を入力するためのユーザI/Fである。アンテナ27は電波の送受信を行う。
【0028】
〈検針値の通知手順〉
次に子機3の検針値の通知手順について説明する。
子機3の特定小電力無線部331は、記憶部32に保持されている検針日時以外は休止しており、電源電力が供給されていないが、検針日時になると、記憶部32に保持されている間欠動作パラメータに基づいて、例えば10秒間スリープモードとなった後に35ミリ秒間だけ動作モードとなる間欠動作を繰り返す。そして、外部I/F部34に接続されたガスメータや水道メータの検針値を送信する。
【0029】
図4は、本発明の実施形態に係る無線通信システムにおける検針値の通知手順の一例を示す図である。
この通知手順では段数の少ない子機3から順に親機2に検針値を送信している。即ち、最初に1段目子機3−1の検針値の送信(手順S11)、次に2段目子機3−2の検針値の送信(手順S21,S22)、次に3段目子機3−3の検針値の送信(手順S31〜S33)、最後に4段目子機3−4の検針値の送信(手順S41〜S44)を行う。なお、実際の手順では検針値の通知に対する応答のやりとりを行うが、この応答のやりとりを含む上記の通知手順は公知であるため省略した。
【0030】
以上説明した本実施形態に係る無線通信システムの特徴の一つは、子機3の特定小電力無線部331が検針日時以外は常時スリープモードとなっており、検針日時のみスリープモードと動作モードを交互に繰り返す間欠動作を行うことである。これにより、常時間欠動作を行う従来システムより年間の合計動作時間が短くなり、その結果、電池寿命が長くなる。
【0031】
〈警報の通知〉
上述したように、子機3の特定小電力無線部331は、検針日時以外は常時スリープモードとなっている。したがって、検針日時以外にはガス漏れ警報などを親機2に通知することができない。そこで、本実施形態に係る無線通信システムでは、検針日時以外の警報はLPWA無線により親機2に直接通知する。以下、詳しく説明する。
【0032】
図5は、本発明の実施形態に係る無線通信システムにおけるガス漏れ検知時の子機の動作を示すフローチャートである。このフローは、子機3の外部I/F部34に接続された外部機器でガス漏れが検知されたときにスタートする。
【0033】
子機3の制御部31は、記憶部32に保持されている検針日時を読み込み、内蔵する時計(図示せず)から取得した時刻情報と比較することで、現時点が検針日時であるか否かを判断する(ステップST1)。検針日時には特定小電力無線部331が間欠動作を行っている。
【0034】
そして、検針日時であると判断した場合は(ステップST1:Yes)、特定小電力無線部331により検針値を通知する(ステップST2)。また、検針日時ではないと判断した場合は(ステップST1:No)、LPWA無線部332により、検針値を通知する。また、特定小電力無線部331による通知が通信エラーになった場合も(ステップST3:Yes)、LPWA無線部332により、検針値を通知する。
【0035】
LPWA無線部332による通知を行った後、この図に示されているフローが終了となる。また、特定小電力無線部331による通知が通信エラーにならなかった場合も(ステップST3:No)、この図に示されているフローが終了となる。
【0036】
図6は、本発明の実施形態に係る無線通信システムにおける親機の動作を示すフローチャートである。
親機2の制御部21は、記憶部22に保持されている検針日時を読み込み、内蔵する時計(図示せず)から取得した時刻情報と比較することで、現時点が検針日時であるか否かを判断する(ステップST11)。
【0037】
そして、検針日時であると判断した場合は(ステップST11:Yes)、間欠受信のスリープモードであるか否かを判断する(ステップST12)。そして、スリープモードではない、即ち受信モード(起きている状態)であると判断した場合は特定小電力無線部231による受信を行う(ステップST13)。
検針日時ではないと判断した場合(ステップST11:No)、及び検針日時であり、かつスリープモードであると判断した場合は(ステップST11:Yes→ステップST12:Yes)、LPWA無線部232による受信を行う(ステップST14)。
特定小電力無線部231による受信、LPWA無線部232による受信のそれぞれでデータが受信できた場合は(ステップST15:Yes、ステップST17:Yes)、それぞれの受信処理を行い(ステップST16、ステップST18)、ステップST11に戻る。一方、データが受信できなかった場合は(ステップST15:No、ステップST17:No)、そのままステップST11に戻る。
【0038】
〈警報通知手順〉
図7は、本発明の実施形態に係る無線通信システムにおける特定小電力無線による警報通知手順の一例を示す図であり、
図8は、本発明の実施形態に係る無線通信システムにおけるLPWA無線による警報通知手順の一例を示す図である。換言すれば、
図7は検針日時の警報通知手順であり、
図8は検針日時以外の警報通知手順である。
【0039】
図7に示すように、検針日時の場合、各子機3の警報は特定小電力無線により、親機2に通知される。このとき、1段目子機3−1の警報は親機2に直接通知される(手順S81)。
【0040】
一方、親機2と直接的に接続されていない子機の警報は上位の子機を介して親機2に通知される。即ち、4段目子機3−4の警報は、3段目子機3−3,2段目子機3−2及び1段目子機3−1を介して親機2に通知される(手順S51〜S54)。また、3段目子機3−3の警報は、2段目子機3−2及び1段目子機3−1を介して親機2に通知される(手順S61〜S63)。また、2段目子機3−2の警報は、1段目子機3−1を介して親機2に通知される(手順S71,S72)。
【0041】
図8に示すように、検針日時以外には、各子機3の警報はLPWA無線により親機2に直接通知される(4段目子機3−4は手順S91,3段目子機3−3は手順S101,2段目子機3−2は手順S111,1段目子機3−1は手順S121)。
【0042】
〈親機のビーコン送信による子機の間欠動作タイミングの同期制御〉
本発明の実施形態に係る無線通信システムにおいては、検針日時でないときは子機3が常時スリープモードになっているため、子機3は親機2からの緊急通報(ガス機器停止指令等)を受信できない。そこで、親機2はLPWA無線部232により周期的にビーコンを送信し、子機3のLPWA無線部332は通常スリープモードで親機2のビーコン送信周期に合わせて間欠受信する。親機3はビーコン送信時に緊急通報データを乗せることで、子機3への緊急通報を可能とする。
【0043】
図9は、本発明の実施形態に係る無線通信システムにおいて、親機が子機に対してビーコンを送信している状態を示す図である。図示のように、親機2は無線通信システムを構成する全子機(ここでは、1段目子機3−1,2段目子機3−2,3段目子機3−3,4段目子機3−4)に対して、LPWA無線によるビーコンを送信する。
【0044】
図10は、
図9におけるビーコン送信動作及び受信動作のタイミング並びにビーコンデータの内容を示す図である。
図示のように、親機2は、キャリアセンス101を行い、キャリアビジーでない場合にビーコンデータ111を送信し、10秒間のスリープの後、2番目のキャリアセンス101及びビーコンデータ111の送信を行う。キャリアビジーの場合、キャリアセンスを繰り返し、キャリアビジーでなくなった時にビーコンデータ111を送信する。この図の場合、3番目のビーコンデータ111は、3回目のキャリアセンスの後に送信されている。3番目のビーコンデータの送信終了後、(10秒−2×キャリアセンス時間)の後、図示されていない4番目のビーコンデータを送信するためのキャリアセンスが行われる。この間欠動作は、記憶部22に保持されている間欠動作パラメータに基づいて行われる。
【0045】
ビーコンデータ111は、プリアンブル、SYNC(同期データ)、緊急通報有/無ビット、及び親機アドレスを含む。緊急通報有/無ビットが有の場合、親機アドレスの後に緊急通報データがある。子機3は、ビーコンデータ111を受信すると、その立ち上がりに同期して間欠動作がスタートし、以後、記憶部32に保持されている間欠動作パラメータに基づいて、所定の間欠受信周期で受信モード121とスリープモードを交互に繰り返す。3番目のビーコンデータ111に対しては、2回目のキャリアセンスのタイミングで受信モードとなり、そのビーコンデータ111を受信できるまで受信モードを持続させる。
【0046】
図11は、親機2がビーコン送信時のキャリアセンスの連続ビジー時にスリープモードとなること、及びその時の子機3の動作を示すタイミング図である。
図10の場合、3番目のビーコンデータ111は3回目のキャリアセンスの後に送信されており、子機3はそのビーコンデータを受信できるまで受信モードを維持している。しかし、
図11に示されているように、親機2は5回(5スロット)連続してキャリアビジーになった場合、ビーコンの送信を中止してスリープモードとなる。また、子機3も受信モードの開始から5スロット期間経過した時点でスリープモードとなる。
【0047】
図12は、子機がビーコンデータ中の親機アドレスを検出する前にスリープモードとなる場合のタイミング図である。
子機3は下記(i)、(ii)、(iii)のいずれかに該当する場合に直ちにスリープモードとなる。
(i)プリアンブルを検出できない場合。
(ii)SYNCを検出できない場合。
(iii)緊急通報有/無ビットが無の場合。
【0048】
一方、上記(i)、(ii)、(iii)のいずれにも該当しない場合、即ちプリアンブルを検出でき、SYNCを検出でき、緊急通報有/無ビットが有の場合は、緊急通報データの受信を行い、受信後、スリープモードとなる。
【0049】
このように、上記(i)、(ii)、(iii)のいずれかに該当する場合に直ちにスリープモードとすることにより、その場合でも親機アドレスを読み取った後にスリープモードとすることに比べて、消費電力を低減することができる。