(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明を実施するための形態を図面を用いて説明する。なお、図中にX軸、Y軸、Z軸が記載されている場合、X軸とY軸とZ軸は互いに直交しており、Z軸は鉛直上方を示し、X軸はフォークリフトの前進方向を示し、Y軸はフォークリフトの左方向を示している。
【0022】
なお、本実施の形態の説明では、フォークリフト1の運転席のオペレータから見てフォーク35(アーム32)を右移動させる動作を「右シフト動作」、フォークリフト1に対してフォーク35(アーム32)を左移動させる動作を「左シフト動作」、と記載する。また、同様に運転席のオペレータがフォークを上から見た際に、フォークリフト1の車体に対してフォーク35を右回りに旋回させる動作を「右ローテート動作」、フォークリフト1の車体に対してフォーク35を左回りに旋回させる動作を「左ローテート動作」、と記載する。また、「シフト動作」は、右シフト動作と左シフト動作を含み、「ローテート動作」は、右ローテート動作と左ローテート動作を含むものとする。また、同様に運転席のオペレータがフォークを上から見た際の、フォークリフト1に対するフォーク35の旋回角度を「ローテート角度」、フォークリフト1の左右方向におけるフォーク35(アーム32)の位置を「シフト位置」とする。
【0023】
●[フォークリフト1の全体構成(
図1〜
図8)]
図1〜
図3に示すように、本実施の形態にて説明するフォークリフト1は、車体10、マスト20、昇降ユニット30、駆動操舵輪16A、キャスタ輪16B、従動輪16C等を有している。車体10は、ボディ11、リーチレグ12(
図4参照)、ヘッドガード13等を有している。なお、本実施の形態の説明では、各モータが、バッテリ50から供給される電力で動作する電動モータである。
【0024】
ボディ11は、
図1及び
図2に示すように、オペレータが搭乗する床面を有する箱状であり、後方には下方に突出するように駆動操舵輪16A、キャスタ輪16Bが設けられている。またボディ11の左右には、前方に向かって突出するリーチレグ12が左右に一対で設けられており、上方にはヘッドガード13が設けられている。左右のリーチレグ12のそれぞれには、下方に突出するように従動輪16Cが設けられ、左右のリーチレグ12によって板状のクロスプレート17が支持されている。なお、クロスプレート17にはマスト20が設けられている。また、ボディ11の後方の下方側面には、左右に突出するように後方ローラ14(
図6参照)が設けられ、リーチレグ12の前方側面には、左右に突出するように前方ローラ15(
図6参照)が設けられている。
図6に示すように、前方ローラ15と後方ローラ14は、通路幅Lを有する通路T内に入ったフォークリフトが、左右のラックと接触することでフォークリフトを案内する機能を持つ。
【0025】
ボディ11におけるオペレータが搭乗する位置(運転席)には、
図1に示すように、操作レバー41、昇降レバー42、アクセルレバー43、ステアリング45、特殊ボタン44(
図3参照)等が設けられており、オペレータがそれらのレバーを操作することにより走行や荷役を行う。なお、操作レバー41が操作手段に該当する。またボディ11の床面には、オペレータが踏み込むことによってブレーキが解除されるいわゆるデッドマンタイプのフットブレーキ(図示省略)等が設けられている。またボディ11内には、バッテリ50、走行モータ16M、機台制御装置40(制御装置に相当)等が収容されている。オペレータは、アクセルレバー43を操作し、フットブレーキを踏み込む(ブレーキを解除する)ことで、駆動操舵輪16Aによるフォークリフト1の前進や後進が可能であり、ステアリング45を操作することで、駆動操舵輪16Aの方向を変更してフォークリフト1の右旋回や左旋回を行うことができる。
【0026】
マスト20は、
図1に示すように、クロスプレート17に設けられている。またマスト20は、クロスプレート17に接続されたアウタマスト21と、アウタマスト21に対して上下にスライド可能なインナマスト22を有している。インナマスト22には、昇降ユニット30を上下に昇降可能とするリフトシリンダが取り付けられている。昇降ユニット30は、車体に設けられた昇降モータ30Mがオイルポンプを駆動することにより、オイルがリフトシリンダに供給されることによって昇降する。オペレータは、昇降レバー42を操作することで、昇降ユニット30の昇降を指示することができる。
【0027】
昇降ユニット30は、
図1に示すように、インナマスト22に上下動可能に取り付けられており、支持部36、シフトレール31、アーム32、ローテートシャフト33、フィンガーバ34、フォーク35等を有している。シフトレール31は、上下に一対で設けられた左右方向に延びるレールであり、アーム32の左右方向の移動を案内する。またシフトレール31は、支持部36を介してインナマスト22に対して上下に移動可能となるように取り付けられている。アーム32は、シフトレール31に対して左右に移動可能となるように取り付けられており、アーム32の先端には、回転軸線33Z回りに左右に旋回可能なローテートシャフト33が設けられている。そしてローテートシャフト33にはフィンガーバ34が取り付けられており、フィンガーバ34にはフォーク35が取り付けられている。
【0028】
アーム32内には、
図4に示すように、シフトモータ31M、シフトローラ31R、シフト位置検出手段31S、ローテートモータ33M、ローテート角度検出手段33S等が設けられている。シフトモータ31Mは、シフト駆動装置に相当しており、機台制御装置40からの制御信号に基づいて、ギア等の動力伝達手段を介してシフトローラ31Rを回転させる。シフトローラ31Rはシフトレール31と接触しており、シフトローラ31Rが回転すると、アーム32がシフトレール31に沿って左右に移動する。シフト位置検出手段31Sは、例えば位置センサであり、シフトレール31に対するアーム32の左右方向の位置に応じた検出信号を機台制御装置40に出力する。
【0029】
ローテートモータ33Mは、ローテート駆動装置に相当しており、機台制御装置40からの制御信号に基づいて、ギア等の動力伝達手段を介してローテートシャフト33を回転軸線33Z回りに旋回させる。ローテート角度検出手段33Sは、例えば角度センサであり、アーム32に対するローテートシャフト33の旋回角度に応じた検出信号を機台制御装置40に出力する。オペレータは、操作レバー41を左右に傾斜させることで、アーム32を左右にシフト移動させることができる。またオペレータは、操作レバー41を前傾させることで、アーム32及びフォーク35を
図5に示す左ホームポジションへと移動させることができる。またオペレータは、操作レバー41を後傾させることで、アーム32及びフォーク35を
図7に示す右ホームポジションへと移動させることができる。
【0030】
バッテリ50は、例えば鉛蓄バッテリ(鉛蓄電池)であり、バッテリ50から、各モータや機台制御装置40に電力が供給される。
【0031】
次に
図3を用いて、オペレータが操作するレバー等が配置された操作パネルについて説明する。操作パネルには、操作レバー41、昇降レバー42、アクセルレバー43、特殊ボタン44、モニタ47、音声出力装置48、ランプ49等が配置されている。
【0032】
操作レバー41は、直立した中立位置に保持されており、中立位置から前後方向へ、あるいは中立位置から左右方向へと傾倒可能とされている。操作レバー41の近傍には、操作状態検出手段41Sが設けられており、機台制御装置40は、操作状態検出手段41Sからの検出信号に基づいて、操作レバー41が、中立位置であるか、前後左右のどの方向に傾倒されているか、傾倒されている場合の操作量(操作角度(=傾倒角度))はどれくらいか、を検出可能である。オペレータが操作レバー41を右に傾倒させると、アーム32が右にシフト移動し、オペレータが操作レバー41を左に傾倒させると、アーム32が左にシフト移動する(
図4参照)。
【0033】
[左ホームポジション(
図5)について]
操作レバー41の前への傾倒は、フォーク35を、
図5に示す左ホームポジションへと移動させる左ホームポジション指示であり、左シフト動作と右ローテート動作を同期動作させて左ホームポジションへと移動させる指示である。オペレータが操作レバー41を前に傾倒させると、フォーク35が回転軸線33Z回りに右旋回しながらアーム32が左にシフト移動し、
図5に示す左ホームポジション(アーム32が左シフト限界位置、かつ、フォーク35が右向き角度)となる。なお、アーム32の左シフト限界位置は、フォーク35(アーム32)を左シフト動作させた際にシフト位置の限界となる位置(
図10の例では、シフト関連量(換算角度)=−90[°]の位置)である。また、フォーク35の右向き角度とは、フォーク35を右ローテート動作させた際に、フォーク35がフォークリフト1の前進方向に対して直交する右方向を向いたローテート角度(
図11の例では、ローテート角度=+90[°]の角度)を指す。
【0034】
[右ホームポジション(
図7)について]
操作レバー41の後ろへの傾倒は、フォーク35を、
図7に示す右ホームポジションへと移動させる右ホームポジション指示であり、右シフト動作と左ローテート動作を同期動作させて右ホームポジションへと移動させる指示である。オペレータが操作レバー41を後ろに傾倒させると、フォーク35が回転軸線33Z回りに左旋回しながらアーム32が右にシフト移動し、
図7に示す右ホームポジション(アーム32が右シフト限界位置、かつ、フォーク35が左向き角度)となる。なお、アーム32の右シフト限界位置は、フォーク35(アーム32)を右シフト動作させた際にシフト位置の限界となる位置(
図10の例では、シフト関連量(換算角度)=+90[°]の位置)である。また、フォーク35の左向き角度とは、フォーク35を左ローテート動作させた際に、フォーク35がフォークリフト1の前進方向に対して直交する左方向を向いたローテート角度(
図11の例では、ローテート角度=−90[°]の角度)を指す。
【0035】
[中央ホームポジション(
図6)について]
また
図6は、アーム32が左右方向の中心位置(
図10の例では、シフト関連量(換算角度)=0[°]の位置)、かつ、フォーク35が前方を向いた状態(
図11の例では、ローテート角度=0[°]の角度)となった、中央ホームポジションを示している。例えばアーム32及びフォーク35が、
図5に示す左ホームポジションである場合にオペレータが操作レバー41を後ろに傾倒させると、アーム32が右にシフト移動しながらフォーク35が左に旋回し、アーム32及びフォーク35は、
図6に示す中央ホームポジションを経由した後、
図7に示す右ホームポジションとなる。なお、オペレータは、フォーク35の旋回動作のみを所望する場合、特殊ボタン44を押しながら操作レバー41を前に傾倒させることで、フォーク35を右旋回させることが可能であり、特殊ボタン44を押しながら操作レバー41を後ろに傾倒させることで、フォーク35を左旋回させることが可能である。
【0036】
昇降レバー42は、直立した中立位置に保持されており、中立位置から前後方向へと傾倒可能とされている。昇降レバー42の近傍には、昇降操作状態検出手段42Sが設けられており、機台制御装置40は、昇降操作状態検出手段42Sからの検出信号に基づいて、昇降レバー42が、中立位置であるか、前後のどちらの方向に傾倒されているか、傾倒されている場合の操作量(操作角度)はどれくらいか、を検出可能である。オペレータが昇降レバー42を前に傾倒させると、昇降ユニット30(
図1参照)が降下し、オペレータが昇降レバー42を後ろに傾倒させると、昇降ユニット30(
図1参照)が上昇する。
【0037】
アクセルレバー43は、直立した中立位置に保持されており、中立位置から前後方向へと傾倒可能とされている。アクセルレバー43の近傍には、アクセル操作状態検出手段43Sが設けられており、機台制御装置40は、アクセル操作状態検出手段43Sからの検出信号に基づいて、アクセルレバー43が、中立位置であるか、前後のどちらの方向に傾倒されているか、傾倒されている場合の操作量(操作角度)はどれくらいか、を検出可能である。オペレータがアクセルレバー43を前に傾倒させると、フォークリフト1が前進し、オペレータがアクセルレバー43を後ろに傾倒させると、フォークリフト1が後退する。
【0038】
モニタ47は、例えば液晶表示装置であり、機台制御装置40からの種々の情報(例えば、バッテリの容量情報)や、警告(例えば、充電の督促)が表示される。音声出力装置48は、例えばスピーカであり、機台制御装置40から種々の警告等を音声で出力する。ランプ49は、例えば複数のLEDランプであり、機台制御装置40から、種々の警告に対応付けられたランプが点灯されたり消灯されたりする。
【0039】
機台制御装置40は、制御装置に相当しており、
図8に示すように、シフト位置検出手段31S、ローテート角度検出手段33S、操作状態検出手段41S、昇降操作状態検出手段42S、アクセル操作状態検出手段43S、特殊ボタン44、図示省略した昇降位置検出手段や車速検出手段からの検出信号等が入力される。また機台制御装置40は、
図8に示すように、モニタ47(表示装置)、音声出力装置48、ランプ49、シフトモータ31M、ローテートモータ33M、昇降モータ30M、走行モータ16M等を動作させる制御信号を出力する。なお、機台制御装置40は、記憶装置を有している。
【0040】
●[第1の実施の形態における機台制御装置40の処理手順(
図9〜
図15)]
次に
図9に示すフローチャートを用いて、機台制御装置40によるシフトモータ31Mとローテートモータ33Mの制御の処理手順について説明する。機台制御装置40は、例えば所定時間間隔(例えば数ms〜数10ms間隔)にて、
図9に示す処理を起動し、起動した場合、ステップS110へと処理を進める。
【0041】
ステップS110にて、機台制御装置40は、ローテート角度検出手段からの検出信号に基づいて、現在のフォーク35のローテート角度である現在ローテート角度を検出して記憶し、シフト位置検出手段からの検出信号に基づいて、現在のアーム32(フォーク35)のシフト位置である現在シフト位置を検出して記憶する。また、機台制御装置40は、操作レバー41に対応する操作状態検出手段41Sからの検出信号に基づいて、操作レバー41の傾倒方向(前、後、左、右、傾倒なし(中立位置))と操作量(操作角度)を検出して操作手段操作状態として記憶し、特殊ボタン44が押されているか否か(ONとされているか否か)を検出して記憶する。
【0042】
なお、
図11に示すように、フォーク35は、右ホームポジションにて説明した左向き角度から、左ホームポジションにて説明した右向き角度まで、右ローテート動作が可能であり、かつ、前記右向き角度から前記左向き角度まで左ローテート動作が可能である。そして、
図11に示すように、フォーク35の向きを車体の前進方向とした場合のローテート角度を0[°]、フォーク35の向きを前記左向き角度とした場合のローテート角度を−90[°]、フォーク35の向きを前記右向き角度とした場合のローテート角度を+90[°]、と設定する。
【0043】
アーム32は、左シフト限界位置(シフトレール31のほぼ左端)から右シフト限界位置(シフトレール31のほぼ右端)の範囲で左右に移動可能である。
図10に示すように、シフト関連量には、シフト位置を角度に換算した換算角度を設定する。左シフト限界位置から前記右シフト限界位置までの中央となるシフト位置を換算角度0[°]、右シフト限界位置となるシフト位置を換算角度+90[°]、左シフト限界位置となるシフト位置を換算角度−90[°]、と設定する。そして、左シフト限界位置から右シフト限界位置に至るまでの各シフト位置を、換算角度−90[°]から換算角度+90[°]の範囲内において対応する換算角度に設定する。なお、シフト関連量(換算角度)については、以下に詳細を説明する。
【0044】
[シフト位置をシフト関連量に変換する手順(
図10)]
機台制御装置40の記憶装置には、
図10に示すシフト位置・換算角度特性が記憶されている。シフト位置・換算角度特性は、横軸がシフト位置、縦軸が換算角度とされており、シフトレールの左端から右端(左シフト限界位置から右シフト限界位置)までの間のシフト位置を、換算角度−90[°]から換算角度+90[°]へと変換するための特性である。
図10に示すように、例えば左右方向の長さL1のシフトレールの場合、左右方向の中央位置を換算角度0[°]に設定し、左端位置(左シフト限界位置)を換算角度−90[°]に設定し、右端位置(右シフト限界位置)を換算角度+90[°]に設定する。そして中央位置から左端までの各位置を、位置に応じて0[°]〜−90[°]の換算角度に設定し、中央位置から右端までの各位置を、位置に応じて0[°]〜+90[°]の換算角度に設定する。同様に、例えば左右方向の長さL2のシフトレールの場合、左右方向の中央位置を換算角度0[°]に設定し、左端位置(左シフト限界位置)を換算角度−90[°]に設定し、右端位置(右シフト限界位置)を換算角度+90[°]に設定する。そして中央位置から左端までの各位置を、位置に応じて0[°]〜−90[°]の換算角度に設定し、中央位置から右端までの各位置を、位置に応じて0[°]〜+90[°]の換算角度に設定する。
【0045】
シフトレールの左端から右端までの長さ(左右方向の長さ)は、作業する通路の通路幅に応じて、種々の長さとされる場合がある。この長さが変更された場合、アーム32を目標シフト位置へと左右にシフト移動させるシフトフィードバック制御の制御ゲインを調整する必要がある。しかし、上記の換算角度に変換すれば、左右方向の長さが、どのような長さであっても、左シフト限界位置は換算角度−90[°]、右シフト限界位置は換算角度+90[°]となり、シフトレールの左右方向の長さに応じて制御ゲインを調整する必要がなくなるので便利である。以下、
図10に示すシフト位置・換算角度特性に基づいて、シフト位置を変換した換算角度の値を「シフト関連量」と記載する(つまり、シフト関連量=換算角度である)。機台制御装置40は、現在のアーム32(フォーク35)のシフト位置から求めた現在シフト関連量を記憶する。そして機台制御装置40は、ステップS115へと処理を進める。以上に記憶した現在ローテート角度、現在シフト関連量、操作レバーの傾倒方向及び操作量である操作手段操作状態、特殊ボタンのON/OFF状態、は以下の処理にて使用される。
【0046】
なお、アーム32のシフト位置については、シフトレール31の左右方向の中心位置から右方向「+」への距離、シフトレール31の左右方向の中心位置から左方向「−」への距離、で表してもよいが、本実施の形態では、シフト位置を、以上に説明したシフト関連量(換算角度)に変換して制御に使用している。
【0047】
ステップS115にて機台制御装置40は、特殊ボタンがON状態(押されている状態)であるか否かを判定し、ON状態である場合(Yes)はステップS220に進み、ON状態でない場合(No)はステップS120に進む。
【0048】
ステップS220に進んだ場合、機台制御装置40は、特殊ボタンがON状態とされていることをオペレータに伝えるために、モニタ47に警告表示を行ったり、音声出力装置48から音声で警告したり、警告を示すランプ49を点灯させたりして、ステップS225に進む。
【0049】
ステップS225にて機台制御装置40は、操作レバーの傾倒方向が前または後ろであるか否かを判定し、前または後ろである場合(Yes)はステップS335に進み、前または後ろでない場合(No)はステップS230に進む。
【0050】
[ローテートのみの実行]
ステップS335に進んだ場合、機台制御装置40は、以下のステップS335、S340にて、シフトフィードバック制御を行わずローテートフィードバック制御(特殊ボタンON時のローテート)のみを実行する。ステップS335にて機台制御装置40は、操作手段操作状態に基づいた操作レバーの傾倒方向(この場合、前または後ろ)及び操作量(操作角度)と、
図13に示す前後操作量・加算ローテート量特性に基づいて、加算ローテート量を求める。例えば、操作レバーの傾倒方向=前、操作角度=θ1の場合、
図13に示すように、加算ローテート量=+R1rと求める。なお、前後操作量・加算ローテート量特性は、機台制御装置40の記憶装置に記憶されている。前後操作量・加算ローテート量特性は、横軸が前後の操作量(操作角度)、縦軸が加算ローテート量とされている。なお、前後操作量・加算ローテート量特性は、
図13に示す特性に限定されるものではない。そして加算ローテート量を求めた機台制御装置40は、現在ローテート角度に、求めた加算ローテート量を加算して目標ローテート角度を求め、求めた目標ローテート角度を記憶し、ステップS340に進む。なお、機台制御装置40は、目標ローテート角度を求める際、目標ローテート角度の上限を+90[°]、下限を−90[°]にする。
【0051】
ステップS340にて機台制御装置40は、目標ローテート角度と、現在ローテート角度と、の偏差に基づいてローテートフィードバック制御を実行して、ローテート角度が目標ローテート角度に近づくようにローテートモータを駆動して、処理を終了する。現在ローテート角度に、操作レバーの操作量に応じた加算ローテート量を加算した値を目標ローテート角度としているので、操作量が大きな場合は偏差が大きくなってローテート動作の速度が大きくなる。また操作量が小さな場合は偏差が小さくなるのでローテート動作の速度が小さくなる。従って、オペレータは、操作量(操作角度)を調整することでローテート動作の速度を調整することができる。また、目標ローテート角度の上限を+90[°]、下限を−90[°]とすることで、+90[°]または−90[°]に近づいた場合に徐々に速度を低下させて、+90[°]または−90[°]に達したところでローテート動作を停止させることができる。
【0052】
また、ステップS230に進んだ場合、機台制御装置40は、操作手段操作状態に基づいた操作レバーの傾倒方向が左または右であるか否かを判定し、左または右である場合(Yes)はステップS245に進み、左または右でない場合(No)は、操作レバーが中立位置であるので、処理を終了する。
【0053】
[シフトのみの実行]
ステップS245に進んだ場合、機台制御装置40は、以下のステップS245、S265にてシフトフィードバック制御(特殊ボタンON時のシフト)のみを実行する。ステップS245にて機台制御装置40は、操作手段操作状態に基づいた操作レバーの傾倒方向(この場合、右または左)及び操作量(操作角度)と、
図12に示す左右操作量・加算シフト関連量特性に基づいて、加算シフト関連量を求める。例えば、操作レバーの傾倒方向=右、操作角度=θ3の場合、
図12に示すように、加算シフト関連量=+R3sと求める。なお、左右操作量・加算シフト関連量特性は、機台制御装置40の記憶装置に記憶されている。左右操作量・加算シフト関連量特性は、横軸が左右の操作量(操作角度)、縦軸が加算シフト関連量とされている。なお、左右操作量・加算シフト関連量特性は、
図12に示す特性に限定されるものではない。そして加算シフト関連量を求めた機台制御装置40は、現在シフト関連量(換算角度)に、求めた加算シフト関連量を加算して目標シフト関連量(目標換算角度)を求め、求めた目標シフト関連量を記憶し、ステップS265に進む。なお、機台制御装置40は、目標シフト関連量を求める際、目標シフト関連量の上限を+90[°]、下限を−90[°]にする。
【0054】
ステップS265にて機台制御装置40は、目標シフト関連量(目標換算角度)と、現在シフト関連量(換算角度)と、の偏差に基づいてシフトフィードバック制御を実行して、シフト関連量が目標シフト関連量に近づくようにシフトモータを駆動して、処理を終了する。現在シフト関連量に、操作レバーの操作量に応じた加算シフト関連量を加算した値を目標シフト関連量としているので、操作量が大きな場合は偏差が大きくなってシフト動作の速度が大きくなる。また操作量が小さな場合は偏差が小さくなるのでシフト動作の速度が小さくなる。従って、オペレータは、操作量(操作角度)を調整することでシフト動作の速度を調整することができる。また、目標シフト関連量の上限を+90[°]、下限を−90[°]とすることで、+90[°]または−90[°]に近づいた場合に徐々に速度を低下させて、+90[°]または−90[°]に達したところでシフト動作を停止させることができる。
【0055】
また、ステップS120に進んだ場合、機台制御装置40は、特殊ボタンがOFF状態とされているので、モニタ47における特殊ボタンONの警告表示を中止したり、音声出力装置48における特殊ボタンONの警告出力を中止したり、特殊ボタンのONを示すランプ49を消灯させたりして、ステップS125に進む。
【0056】
ステップS125にて機台制御装置40は、操作手段操作状態に基づいた操作レバーの傾倒方向が左または右であるか否かを判定し、左または右である場合(Yes)はステップS245に進み、左または右でない場合(No)はステップS130に進む。なお、ステップS245に進んだ場合のステップS245、S265の処理については、すでに説明しているので説明を省略する。
【0057】
ステップS130に進んだ場合、機台制御装置40は、操作手段操作状態に基づいた操作レバーの傾倒方向が前または後ろであるか否かを判定し、前または後ろである場合(Yes)はステップS135に進み、前または後ろでない場合(No)は、操作レバーが中立位置であるので、処理を終了する。
【0058】
[ローテートとシフトの自動同期制御の実行]
ステップS135〜S165の処理は、(操作レバーが操作されて)フォーク35の状態を右ホームポジションにする右ホームポジション指示、あるいはフォーク35の状態を左ホームポジションにする左ホームポジション指示、が入力された場合の処理である。
【0059】
なお、機台制御装置40の記憶装置には、
図15に示すシフト・ローテート同期基準特性(同期基準特性に相当)が記憶されている。
図15に示すシフト・ローテート同期基準特性は、横軸がシフト関連量(換算角度)、縦軸がローテート角度とされている。
図15に示すシフト・ローテート同期基準特性において、右ホームポジションHRの座標(換算角度、ローテート角度)は、HR(+90、−90)であり、左ホームポジションHLの座標(換算角度、ローテート角度)は、HL(−90、+90)である。また、中央ホームポジションHCの座標(換算角度、ローテート角度)は、HC(0、0)である。そして
図15に示すシフト・ローテート同期基準特性は、HL(−90、+90)、HC(0、0)、HR(+90、−90)を通る直線(同期基準直線S)である。この同期基準直線Sは、左ホームポジションから右ホームポジションへと、右シフト動作(右側へのシフト移動)を行いながら左ローテート動作(左旋回)を行う同期動作、及び、右ホームポジションから左ホームポジションへと、左シフト動作(左側へのシフト移動)を行いながら右ローテート動作(右旋回)を行う同期動作、を示す軌跡である。以下では、
図15中において、左右方向の位置、及びローテート角度が、P1(現在のシフト関連量、現在のローテート角度)=P1(−60、−50)の状態から、操作レバーを「前」に傾倒(操作角度=θ1)させて、左ホームポジション指示をした場合を、具体的な例として説明する。
【0060】
ステップS135に進んだ場合、機台制御装置40は、操作手段操作状態に基づいた操作レバーの傾倒方向(この場合、前または後ろ)及び操作量(操作角度)と、
図13に示す前後操作量・加算ローテート量特性に基づいて、加算ローテート量を求める。そして加算ローテート量を求めた機台制御装置40は、現在ローテート角度に、求めた加算ローテート量を加算して目標ローテート角度を求め、求めた目標ローテート角度を記憶し、ステップS140に進む。なお、機台制御装置40は、目標ローテート角度を求める際、目標ローテート角度の上限を+90[°]、下限を−90[°]にする。
【0061】
具体的には、機台制御装置40は、操作手段操作状態に基づいた操作レバーの傾倒方向=「前」、操作量=θ1と、
図13の前後操作量・加算ローテート量より、加算ローテート量=+R1r[°]を求める。そして機台制御装置40は、現在ローテート角度+加算ローテート量(+R1r)より、目標ローテート角度を求め、求めた目標ローテート角度を記憶する。これを
図15中に示すと、現在の状態であるP1(−60、−50)における現在ローテート角度P1r(=−50)に対して求めた目標ローテート角度であるT1rは、−50+R1rである。ここで仮に+R1r=20[°]とすると、目標ローテート角度であるT1r=−50+20=−30[°]となる。なお、ステップS135は、目標ローテート角度算出ステップに相当している。
【0062】
ステップS140にて機台制御装置40は、目標ローテート角度と、現在ローテート角度と、の偏差に基づいてローテートフィードバック制御を実行して、ローテート角度が目標ローテート角度に近づくようにローテートモータを駆動して、ステップS145に進む。現在ローテート角度に、操作レバーの操作量に応じた加算ローテート量を加算した値を目標ローテート角度としているので、操作量が大きな場合は偏差が大きくなってローテート動作の速度が大きくなる。また操作量が小さな場合は偏差が小さくなるのでローテート動作の速度が小さくなる。従って、オペレータは、シフト動作とローテート動作の自動同期制御中であっても、操作量(操作角度)を調整することでローテート動作の速度を調整することができる。また、目標ローテート角度の上限を+90[°]、下限を−90[°]とすることで、+90[°]または−90[°]に近づいた場合に徐々に速度を低下させて、+90[°]または−90[°]に達したところでローテート動作を停止させることができる。
【0063】
具体的には、機台制御装置40は、目標ローテート角度T1r(=−30[°])と、現在ローテート角度P1r(=−50[°])と、の偏差に基づいて、フィードバック制御量を求め、求めた制御量に基づいて、ローテート角度が目標ローテート角度に近づくようにローテートモータを駆動する。また、ステップS140は、ローテートフィードバック制御ステップに相当している。
【0064】
ステップS145にて機台制御装置40は、操作手段操作状態に基づいた操作レバーの傾倒方向(この場合、前または後ろ)及び操作量(操作角度)と、
図14に示す前後操作量・加算シフト関連量特性に基づいて、加算シフト関連量を求める。なお、前後操作量・加算シフト関連量特性は、機台制御装置40の記憶装置に記憶されている。前後操作量・加算シフト関連量特性は、横軸が前後の操作量(操作角度)、縦軸が加算シフト関連量とされている。なお、前後操作量・加算シフト関連量特性は、
図14に示す特性に限定されるものではない。
【0065】
具体的には、機台制御装置40は、操作手段操作状態に基づいた操作レバーの傾倒方向=「前」、操作量=θ1と、
図14の前後操作量・加算シフト関連量特性より、加算シフト関連量=−R1s[°]を求める。
【0066】
加算シフト関連量を求めた機台制御装置40は、現在ローテート角度と、
図15に示すシフト・ローテート同期基準特性とに基づいて、現在ローテート角度に対応するシフト関連量(換算角度)である同期シフト関連量を求め、求めた同期シフト関連量に加算シフト関連量を加算して目標シフト関連量(目標換算角度)を求め、求めた目標シフト関連量を記憶し、ステップS150に進む。なお、機台制御装置40は、目標シフト関連量を求める際、目標シフト関連量の上限を+90[°]、下限を−90[°]にする。
【0067】
具体的には、機台制御装置40は、
図15中の同期基準直線S上において、現在のフォークの状態であるP1(−60、−50)における現在ローテート角度であるP1r(=−50[°])に対応するシフト関連量(換算角度)である同期シフト関連量となるP1s(=+50[°])を求める。そして機台制御装置40は、同期シフト関連量P1s(=+50[°])+加算シフト関連量(=−R1s)より、目標シフト関連量を求め、求めた目標シフト関連量を記憶する。これを
図15中に示すと、現在の状態であるP1(−60、−50)に対応する同期シフト関連量P1s(=+50)+加算シフト関連量(=−R1s)=目標シフト関連量である。ここで仮に−R1s=−20[°]とすると、目標シフト関連量であるT1s=+50−20=+30[°]となる。すなわち、ステップS135にて求めた目標ローテート角度T1r(=−30)と、ステップS145にて求めた目標シフト関連量T1s(=+30)で表されるT1(+30、−30)が、現在のフォークの状態のP1(−60、−50)から向かうべき目標状態である。なお、ステップS145は、目標シフト関連量算出ステップに相当している。
【0068】
ステップS150にて機台制御装置40は、操作手段操作状態に基づいた操作レバーの傾倒方向が前であるか否かを判定し、前である場合(Yes)はステップS155に進み、前でない場合(No)はステップS160に進む。
【0069】
ステップS155に進んだ場合、機台制御装置40は、ステップS145にて求めた目標シフト関連量が、現在シフト関連量よりも右(+の側)にあるか否かを判定し、右(+の側)にある場合(Yes)は処理を終了し、右(+の側)でない場合(No)はステップS165に進む。つまり、左ホームポジション指示が入力された際に求めた目標シフト関連量が、現在シフト関連量に対して、フォークを右シフト動作させると判定した場合、シフトフィードバック制御を中止(スキップ)する。
【0070】
具体的には、
図15中において、オペレータが、操作レバーを傾倒方向=「前」に操作して、現在のフォークの状態であるP1(−60、−50)から左ホームポジション指示をしたにもかかわらず、目標シフト関連量T1s(=+30)が、現在シフト関連量(=−60)よりも右(+の側)にある場合、フォークは右シフト動作することになる(ただし、しばらく右シフト動作した後、目標シフト関連量が、現在シフト関連量よりも左(−の側)になり、左シフト動作になる)。オペレータは、「左」ホームポジションへと向かう指示をしたにもかかわらず、アーム(フォーク)が「右」へのシフト動作を開始すると、誤操作をしたと勘違いして、逆に操作(この場合、操作レバーを「後ろ」に傾倒)してしまう可能性があるので、あまり好ましくない。そこで、左ホームポジション指示をした場合、目標シフト関連量が、現在シフト関連量よりも右(+の側)にある場合は、シフトフィードバック制御を行わず、ローテートフィードバック制御のみを行う。ステップS155も同様の考えであり、ステップS155では、右ホームポジション指示をした場合、目標シフト関連量が、現在シフト関連量よりも左(−の側)にある場合は、シフトフィードバック制御を行わず、ローテートフィードバック制御のみを行う。なお、
図15中において、現在のフォークの状態がP1(−60、−50)から左ホームポジション指示をした場合、ステップS150、S155、S160によって、P1(−60、−50)から、実線にて示す軌跡Ktにて、シフト及びローテートの同期動作を行いながら左ホームポジションへと向かう。なお、ステップS150、S155、S160を省略して、ステップS145の後、ステップS165を実行するようにしてもよいが、その場合は、
図15中に示す軌跡Keに沿って動作する。
【0071】
ステップS160に進んだ場合、機台制御装置40は、ステップS145にて求めた目標シフト関連量が、現在シフト関連量よりも左(−の側)にあるか否かを判定し、左(−の側)にある場合(Yes)は処理を終了し、左(−の側)でない場合(No)はステップS165に進む。つまり、右ホームポジション指示が入力された際に求めた目標シフト関連量が、現在シフト関連量に対して、フォークを左シフト動作させると判定した場合、シフトフィードバック制御を中止(スキップ)する。
【0072】
ステップS165に進んだ場合、機台制御装置40は、目標シフト関連量と、現在シフト関連量と、の偏差に基づいてシフトフィードバック制御を実行して、シフト関連量が目標シフト関連量に近づくようにシフトモータを駆動して、処理を終了する。現在ローテート角度に対応するシフト関連量である同期シフト関連量に、操作レバーの操作量に応じた加算シフト関連量を加算した値を目標シフト関連量としているので、操作量が大きな場合は偏差が大きくなってシフト動作の速度が大きくなる。また操作量が小さな場合は偏差が小さくなるのでシフト動作の速度が小さくなる。また、同期基準直線Sから離れているほど偏差が大きくなってシフト動作の速度が大きくなる。従って、オペレータは、シフト動作とローテート動作の自動同期制御中であっても、操作量(操作角度)を調整することでシフト動作の速度を調整することができる。また、右ホームポジションや左ホームポジションでなくても、上記のとおり、現在のフォークのシフト位置やローテート角度にかかわらず、右ホームポジションや左ホームポジションへの移動を実行することができる。また、目標シフト関連量の上限を+90[°]、下限を−90[°]とすることで、+90[°]または−90[°]に近づいた場合に徐々に速度を低下させて、+90[°]または−90[°]に達したところでシフト動作を停止させることができる。なお、ステップS165は、シフトフィードバック制御ステップに相当している。
【0073】
なお、
図15における現在のフォークがP1(−60、−50)の状態のとき、オペレータが右ホームポジション指示を入力した場合、フォークは二点鎖線にて示す軌跡Ksに沿って右ホームポジションへと移動する。
【0074】
●[第2の実施の形態における機台制御装置40の処理手順(
図16、
図17)]
以上に説明した第1の実施の形態では、シフト動作について、現在ローテート角度を基準として、現在ローテート角度に対応する同期シフト関連量から目標シフト関連量を求めることで、同期基準直線Sに近づけた。第2の実施の形態では、ローテート動作について、現在シフト関連量を基準として、現在シフト関連量に対応する同期ローテート角度から目標ローテート角度を求めることで、同期基準直線Sに近づける。
【0075】
次に
図16に示すフローチャートを用いて、機台制御装置40によるシフトモータ31Mとローテートモータ33Mの制御の処理手順について説明する。機台制御装置40は、例えば所定時間間隔(例えば数ms〜数10ms間隔)にて、
図16に示す処理を起動する。なお、
図16に示すフローチャートは、
図9に示すフローチャートに対して、ステップS135A、S140A、S145A、S155A、S160A、S165Aの処理が異なり、他の処理は同じである。以下、フローチャートの相違点について主に説明する。
【0076】
ステップS130に進んだ場合、機台制御装置40は、操作手段操作状態に基づいた操作レバーの傾倒方向が前または後ろであるか否かを判定し、前または後ろである場合(Yes)はステップS135Aに進み、前または後ろでない場合(No)は、操作レバーが中立位置であるので、処理を終了する。
【0077】
[ローテートとシフトの自動同期制御の実行]
ステップS135A〜S165Aの処理は、(操作レバーが操作されて)フォーク35の状態を右ホームポジションにする右ホームポジション指示、あるいはフォーク35の状態を左ホームポジションにする左ホームポジション指示、が入力された場合の処理である。
【0078】
なお、機台制御装置40の記憶装置には、
図17に示すシフト・ローテート同期基準特性(同期基準特性に相当)が記憶されている。なお、
図17に示す同期基準直線Sは、
図15に示す同期基準直線Sと同じである。以下では、
図17中において、左右方向の位置、及びローテート角度が、P2(現在のシフト関連量、現在のローテート角度)=P2(−60、−50)の状態から、操作レバーを「後ろ」に傾倒(操作角度=θ2)させて、右ホームポジション指示をした場合を、具体的な例として説明する。
【0079】
ステップS135Aに進んだ場合、機台制御装置40は、操作手段操作状態に基づいた操作レバーの傾倒方向(この場合、前または後ろ)及び操作量(操作角度)と、
図14に示す前後操作量・加算シフト関連量特性に基づいて、加算シフト関連量を求める。そして加算シフト関連量を求めた機台制御装置40は、現在シフト関連量に、求めた加算シフト関連量を加算して目標シフト関連量を求め、求めた目標シフト関連量を記憶し、ステップS140Aに進む。なお、機台制御装置40は、目標シフト関連量を求める際、目標シフト関連量の上限を+90[°]、下限を−90[°]にする。
【0080】
具体的には、機台制御装置40は、操作手段操作状態に基づいた操作レバーの傾倒方向=「後ろ」、操作量=θ2と、
図14の前後操作量・加算シフト関連量より、加算シフト関連量=+R2s[°]を求める。そして機台制御装置40は、現在シフト関連量+加算シフト関連量(+R2s)より、目標シフト関連量を求め、求めた目標シフト関連量を記憶する。これを
図17中に示すと、現在の状態であるP2(−60、−50)における現在シフト関連量P2s(=−60)に対して求めた目標シフト関連量であるT2sは、−60+R2sである。ここで仮に+R2s=20[°]とすると、目標シフト関連量であるT2s=−60+20=−40[°]となる。なお、ステップS135Aは、目標シフト関連量算出ステップに相当している。
【0081】
ステップS140Aにて機台制御装置40は、目標シフト関連量と、現在シフト関連量と、の偏差に基づいてシフトフィードバック制御を実行して、シフト関連量が目標シフト関連量に近づくようにシフトモータを駆動して、ステップS145Aに進む。現在シフト関連量に、操作レバーの操作量に応じた加算シフト関連量を加算した値を目標シフト関連量としているので、操作量が大きな場合は偏差が大きくなってシフト動作の速度が大きくなる。また操作量が小さな場合は偏差が小さくなるのでシフト動作の速度が小さくなる。従って、オペレータは、シフト動作とローテート動作の自動同期制御中であっても、操作量(操作角度)を調整することでシフト動作の速度を調整することができる。また、目標シフト関連量の上限を+90[°]、下限を−90[°]とすることで、+90[°]または−90[°]に近づいた場合に徐々に速度を低下させて、+90[°]または−90[°]に達したところでシフト動作を停止させることができる。
【0082】
具体的には、機台制御装置40は、目標シフト関連量T2s(=−40[°])と、現在シフト関連量P2s(=−60[°])と、の偏差に基づいて、フィードバック制御量を求め、求めた制御量に基づいて、シフト関連量が目標シフト関連量に近づくようにシフトモータを駆動する。また、ステップS140Aは、シフトフィードバック制御ステップに相当している。
【0083】
ステップS145Aにて機台制御装置40は、操作手段操作状態に基づいた操作レバーの傾倒方向(この場合、前または後ろ)及び操作量(操作角度)と、
図13に示す前後操作量・加算ローテート量特性に基づいて、加算ローテート量を求める。なお、前後操作量・加算ローテート量特性は、機台制御装置40の記憶装置に記憶されている。前後操作量・加算ローテート量特性は、横軸が前後の操作量(操作角度)、縦軸が加算ローテート量とされている。なお、前後操作量・加算ローテート量特性は、
図13に示す特性に限定されるものではない。
【0084】
具体的には、機台制御装置40は、操作手段操作状態に基づいた操作レバーの傾倒方向=「後ろ」、操作量=θ2と、
図13の前後操作量・加算ローテート量特性より、加算ローテート量=−R2r[°]を求める。
【0085】
加算ローテート量を求めた機台制御装置40は、現在シフト関連量と、
図17に示すシフト・ローテート同期基準特性とに基づいて、現在シフト関連量に対応するローテート角度である同期ローテート角度を求め、求めた同期ローテート角度に加算ローテート量を加算して目標ローテート角度を求め、求めた目標ローテート角度を記憶し、ステップS150に進む。なお、機台制御装置40は、目標ローテート角度を求める際、目標ローテート角度の上限を+90[°]、下限を−90[°]にする。
【0086】
具体的には、機台制御装置40は、
図17中の同期基準直線S上において、現在のフォークの状態であるP2(−60、−50)における現在シフト関連量であるP2s(=−60[°])に対応するローテート角度である同期ローテート角度となるP2r(=+60[°])を求める。そして機台制御装置40は、同期ローテート角度P2r(=+60[°])+加算ローテート角度(=−R2r)より、目標ローテート角度を求め、求めた目標ローテート角度を記憶する。これを
図17中に示すと、現在の状態であるP2(−60、−50)に対応する同期ローテート角度P2r(=+60)+加算ローテート量(=−R2r)=目標ローテート角度である。ここで仮に−R2r=−20[°]とすると、目標ローテート角度であるT2r=+60−20=+40[°]となる。すなわち、ステップS135Aにて求めた目標シフト関連量T2s(=−40)と、ステップS145Aにて求めた目標ローテート角度T2r(=+40)で表されるT2(−40、+40)が、現在のフォークの状態のP2(−60、−50)から向かうべき目標状態である。なお、ステップS145Aは、目標ローテート角度算出ステップに相当している。
【0087】
ステップS150にて機台制御装置40は、操作手段操作状態に基づいた操作レバーの傾倒方向が前であるか否かを判定し、前である場合(Yes)はステップS155Aに進み、前でない場合(No)はステップS160Aに進む。
【0088】
ステップS155Aに進んだ場合、機台制御装置40は、ステップS145Aにて求めた目標ローテート角度が、現在ローテート角度よりも左旋回側(−の側)にあるか否かを判定し、左旋回側(−の側)にある場合(Yes)は処理を終了し、左旋回側(−の側)でない場合(No)はステップS165Aに進む。つまり、左ホームポジション指示が入力された際に求めた目標ローテート角度が、現在ローテート角度に対して、フォークを左ローテート動作させると判定した場合、ローテートフィードバック制御を中止(スキップ)する。
【0089】
ステップS160Aに進んだ場合、機台制御装置40は、ステップS145Aにて求めた目標ローテート角度が、現在ローテート角度よりも右旋回側(+の側)にあるか否かを判定し、右旋回側(+の側)にある場合(Yes)は処理を終了し、右旋回側(+の側)でない場合(No)はステップS165Aに進む。つまり、右ホームポジション指示が入力された際に求めた目標ローテート角度が、現在ローテート角度に対して、フォークを右ローテート動作させると判定した場合、ローテートフィードバック制御を中止(スキップ)する。
【0090】
具体的には、
図17中において、オペレータが、操作レバーを傾倒方向=「後ろ」に操作して、現在のフォークの状態であるP2(−60、−50)から右ホームポジション指示をしたにもかかわらず、目標ローテート角度T2r(=+40)が、現在ローテート角度(=−50)よりも右旋回側(+の側)にある場合、フォークは右ローテート動作することになる(ただし、しばらく右ローテート動作した後、目標ローテート角度が、現在ローテート角度よりも左旋回側(−の側)になり、左ローテート動作になる)。オペレータは、「右」ホームポジションへと向かう指示をしたにもかかわらず、フォークが「右」ローテート動作を開始すると、誤操作をしたと勘違いして、逆に操作(この場合、操作レバーを「前」に傾倒)してしまう可能性があるので、あまり好ましくない。そこで、右ホームポジション指示をした場合、目標ローテート角度が、現在ローテート角度よりも右旋回側(+の側)にある場合は、ローテートフィードバック制御を行わず、シフトフィードバック制御のみを行う。ステップS155Aも同様の考えであり、ステップS155Aでは、左ホームポジション指示をした場合、目標ローテート角度が、現在ローテート角度よりも左旋回側(−の側)にある場合は、ローテートフィードバック制御を行わず、シフトフィードバック制御のみを行う。なお、
図17中において、現在のフォークの状態がP2(−60、−50)から右ホームポジション指示をした場合、ステップS150、S155A、S160Aによって、P2(−60、−50)から、実線にて示す軌跡Ktにて、シフト及びローテートの同期動作を行いながら右ホームポジションへと向かう。なお、ステップS150、S155A、S160Aを省略して、ステップS145Aの後、ステップS165Aを実行するようにしてもよいが、その場合は、
図17中に示す軌跡Keに沿って動作する。
【0091】
ステップS165Aに進んだ場合、機台制御装置40は、目標ローテート角度と、現在ローテート角度と、の偏差に基づいてローテートフィードバック制御を実行して、ローテート角度が目標ローテート角度に近づくようにローテートモータを駆動して、処理を終了する。現在シフト関連量に対応するローテート角度である同期ローテート角度に、操作レバーの操作量に応じた加算ローテート量を加算した値を目標ローテート角度としているので、操作量が大きな場合は偏差が大きくなってローテート動作の速度が大きくなる。また操作量が小さな場合は偏差が小さくなるのでローテート動作の速度が小さくなる。また、同期基準直線Sから離れているほど偏差が大きくなってローテート動作の速度が大きくなる。従って、オペレータは、シフト動作とローテート動作の自動同期制御中であっても、操作量(操作角度)を調整することでローテート動作の速度を調整することができる。また、右ホームポジションや左ホームポジションでなくても、上記のとおり、現在のフォークのシフト位置やローテート角度にかかわらず、右ホームポジションや左ホームポジションへの移動を実行することができる。また、目標ローテート角度の上限を+90[°]、下限を−90[°]とすることで、+90[°]または−90[°]に近づいた場合に徐々に速度を低下させて、+90[°]または−90[°]に達したところでローテート動作を停止させることができる。なお、ステップS165Aは、ローテートフィードバック制御ステップに相当している。
【0092】
なお、
図17における現在のフォークがP2(−60、−50)の状態のとき、オペレータが左ホームポジション指示を入力した場合、フォークは二点鎖線にて示す軌跡Ksに沿って左ホームポジションへと移動する。
【0093】
本発明のフォークリフトの荷役制御方法、及びフォークリフトの荷役制御装置は、本実施の形態で説明した構成、構造、外観、形状、処理手順等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
【0094】
本実施の形態の説明では、ローテート駆動装置及びシフト駆動装置として、電動式のローテートモータ及びシフトモータを用いた例を説明したが、油圧式のローテートモータ及びシフトモータ(シフトシリンダ)を用いてもよい。つまり、種々のローテート駆動装置及びシフト駆動装置に適用することができる。
【0095】
本実施の形態の説明では、前後・左右に傾倒可能な操作レバーで操作手段を構成した例を示したが、操作手段はオペレータが操作方向と操作量を操作できるものであればよく、レバータイプとシーソータイプのスイッチの組み合わせや、十字式のシーソータイプのスイッチであってもよい。なお、シーソータイプは、傾け量によって操作量を変更できるものである。
【0096】
本実施の形態の説明では、機台制御装置40が「制御装置」である例を説明したが、2台以上の複数の制御装置で「制御装置」を構成してもよい。本実施の形態の説明では、特殊ボタン44が、ボタン形状の例を示したが、特殊ボタン44は、ボタン形状に限定されず、種々の形状のスイッチであってもよい。
【0097】
また、本実施の形態の説明に用いた数値は一例であり、この数値に限定されるものではない。