(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の天井構造では、補強金具の一対の側面部間に野縁を確実に受容するために当該一対の側面部の間隔が野縁の幅より若干広く設定する必要がある。そのため、補強金具の一対の側面部と野縁との間に形成される隙間によって、補強金具を介して野縁からダイナミックダンパーへの振動の伝達の効率が低下し、ダイナミックダンパーの重量床衝撃音の低減効率が低下するおそれがある。
【0007】
本発明の目的は、衝撃音の低減効率を向上することができるダイナミックダンパーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、天井又は壁を支持する支持部材に取り付けられるダイナミックダンパーであって、錘と、前記錘に固定された弾性手段と、を有する少なくとも1つのダンパー本体と、前記ダンパー本体を前記支持部材に取り付けるための取付機構と、を備え、前記取付機構は、前記支持部材を挟持するための一対の挟持面と、前記弾性手段の弾性力を前記一対の挟持面が前記支持部材を挟持する方向の力として前記一対の挟持面に伝達する伝達機構とを備えているダイナミックダンパーを提供する。
【0009】
本発明によれば、弾性手段から一対の挟持面に対して支持部材を挟持する方向の力が伝達される。そのため、一対の挟持面間の距離が広がるように弾性手段を弾性変形させることにより、当該一対の挟持面間に支持部材に配置することができる。そして、弾性手段の弾性力が伝達機構を介して一対の挟持面に対して支持部材を挟持する方向の力として伝達されることにより、一対の挟持面と支持部材とを接触させることができる。したがって、支持部材からダイナミックダンパーへの振動の伝達効率の低下を抑制でき、衝撃音の低減効率を良好にできる。
【0010】
さらに、伝達機構によって、ダイナミックダンパーの弾性手段の弾性力を支持部材を挟持するための力として利用することができるため、一対の挟持面に対して支持部材を挟持するための力を与えるための手段を別途に設ける場合と比較して、構造を簡素化できるとともに、製造コストを低減することができる。
【0011】
ここで、ダンパー本体の弾性手段は一つの弾性体により構成されていてもよい。例えば、ダンパー本体は、錘と、錘を支持する1つの弾性体とを有し、伝達機構は、弾性体における錘と反対側の位置に取り付けられていることにより錘が弾性体に対して片持ち状に支持されてもよい。しかし、錘が弾性手段によって片持ち状に支持されている場合、支持部材から伝達される弾性手段の振動によって弾性体における伝達機構の取付位置(錘と反対側の位置)を支点として錘が回動する。そのため、支持部材の振動を低減するために錘が振動すべき方向以外の方向に振動するための力が錘に加わり、ダイナミックダンパーの振動低減効果の向上が難しい。
【0012】
また、ダンパー本体は、錘と、その長手方向の中央位置において錘が載置される一つの弾性体とを有し、伝達機構は、弾性体の長手方向の両端位置に取り付けられていてもよい。しかし、錘が弾性体の上に載置されている場合、錘の下に位置する弾性体の一部の重量が錘として作用する。そのため、ダイナミックダンパーの振動低減効果の向上が難しい。
【0013】
そこで、前記伝達機構は、前記錘の一方側を向く第一側面に対向する第一対向面と、前記錘の他方側を向く第二側面に対向する第二対向面と、を有し、前記弾性手段は、前記第一側面と前記第一対向面との間に挟持された第一弾性体と、前記第二側面と前記第二対向面との間に挟持された第二弾性体と、を有する構成とすることが好ましい。
【0014】
このように構成されることで、第一弾性体と第二弾性体とによって錘を一方側及び他方側の両側から支持することができるため、両対向面が両側面に対して対向する方向と直交する方向に錘全体を振動させることができる。この振動方向と支持部材に生じる振動の方向とを合わせることにより、ダイナミックダンパーの振動低減効果を向上することができる。
【0015】
ここで、前記伝達機構は、前記一対の挟持面のうちの一方及び前記第一対向面を有する第一挟持部材と、前記一対の挟持面のうちの他方及び前記第二対向面を有する第二挟持部材と、を備えていてもよい。この場合、両弾性体の弾性力により両挟持面が互いに近づき、かつ、前記両弾性体を弾性変形させることにより前記両挟持面が離れるように両挟持部材を回動させるための支点が第一挟持部材と第二挟持部材との間に形成されるように両挟持部材を接続することができる。しかし、この場合には、支点(第一挟持部材と第二挟持部材とが交差する点)を両弾性部材から離れた位置に配置せざるを得ず、ダイナミックダンパーの嵩が高くなってしまう。
【0016】
そこで、前記ダイナミックダンパーにおいて、前記第一挟持部材及び前記第二挟持部材は、前記両弾性体の弾性力により前記両挟持面が互いに近づき、かつ、前記両弾性体を弾性変形させることにより前記両挟持面が離れるように前記両挟持部材を回動させるための支点が前記第一挟持部材と前記第一弾性体との間及び前記第二挟持部材と前記第二弾性体との間にそれぞれ形成されるように、前記ダンパー本体に取り付けられていることが好ましい。
【0017】
この態様によれば、第一挟持部材と第一弾性体との間、及び、第二挟持部材と第二弾性体との間にそれぞれ支点を設けることができるため、ダイナミックダンパー(伝達機構)の嵩を低くすることができ、ダイナミックダンパーを狭いスペースに配置可能となる。
【0018】
ここで、一つの第一挟持部材及び第二挟持部材に対して一つのダンパー本体が設けられていてもよい。しかし、この場合、支持部材が所定方向に延び、かつ、当該支持部材に対して所定方向の複数個所にダンパー本体を取り付けるためには、ダンパー本体の数だけ当該ダンパー本体の取り付け作業が必要となり作業性が悪い。
【0019】
そこで、前記ダイナミックダンパーにおいて、前記第一挟持部材及び前記第二挟持部材は、所定方向に延び、前記少なくとも1つのダンパー本体は、前記所定方向に間隔を空けて前記両挟持部材に取り付けられた複数のダンパー本体を含み、前記一対の挟持面は、前記複数のダンパー本体の間に亘って前記所定方向に延びていることが好ましい。
【0020】
この態様によれば、一つの第一挟持部材及び第二挟持部材を支持部材に取り付けることにより複数のダンパー本体を同時に支持部材に取り付けることができるため、複数のダンパー本体を取り付ける際の作業性が向上する。
【0021】
また、一対の挟持面が複数のダンパー本体の間に亘って所定方向(両挟持部材が延びる方向)に延びているため、複数のダンパー本体間で両挟持部材により支持部材を両側から挟み込むことにより、両挟持部材を支持部材の補強部材としても機能させることができる。したがって、両挟持部材により支持部材を補強することができる。
【0022】
前記ダイナミックダンパーにおいて、前記両挟持部材は、前記両対向面から前記挟持面と反対側に延びる摘み部を有することが好ましい。
【0023】
この態様によれば、2つの摘み部を互いに近づく方向に押圧操作することにより一対の挟持面を互いに離間させて両挟持部材を支持部材に取り付けることができる。つまり、クリップのような操作性を実現することができる。そのため、例えば、特許文献1に記載の補強金具の側面部を広げて野縁に取り付ける場合(両挟持部材の一対の挟持面を有する部分を直接広げて両挟持部材を支持部材に取り付ける場合)と比較してダイナミックダンパーを支持部材に取り付ける際の力を軽減することができ、施工性を向上することができる。
【0024】
前記ダイナミックダンパーにおいて、前記両挟持部材には、前記支持部材の被係合部に係合可能な係合部が形成されていることが好ましい。
【0025】
この態様によれば、一対の挟持面により支持部材が挟持された状態で係合部を支持部材の被係合部に係合させることができる。これにより、支持部材に生じた振動が大きい場合であってもダイナミックダンパーを支持部材に確実に取り付けることができ、支持部材に生じた振動を確実に低減することができる。
【0026】
前記ダイナミックダンパーにおいて、前記弾性手段は、前記錘を支持する一つの弾性体のみを有し、前記伝達機構は、前記錘が前記弾性体に対して片持ち状に支持されるように前記弾性体における前記錘と反対側の位置に取り付けられていてもよい。
【0027】
この態様によれば、弾性体における伝達機構の取付位置(錘と反対側の位置)を支点として錘が回動することに応じて弾性体を弾性変形させることにより、支持部材に生じた振動を低減することができる。しかも、弾性体1つによって振動低減効果と支持部材の挟持機能とを得ることができるため、弾性体を複数使用する場合と比較してコスト面で有利となる。
【0028】
前記ダイナミックダンパーにおいて、前記弾性手段は、その長手方向の中央位置において前記錘が載置される一つの弾性体のみを有し、前記伝達機構は、前記弾性体の長手方向の両端位置に取り付けられていてもよい。
【0029】
この態様によれば、弾性体の長手方向の中央部分を当該長手方向と直交する方向に弾性変形させることにより(錘を振動させることにより)、支持部材に生じた振動を低減することができる。しかも、弾性体一つによって振動低減効果と支持部材の挟持機能とを得ることができるため、弾性体を複数使用する場合と比較してコスト面で有利となる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、衝撃音の低減効率を向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係るダイナミックダンパーの側面図、
図2は、
図1のダイナミックダンパーの平面図、
図3は、
図1のIII−III線断面図である。また、
図4は、
図3の一部を拡大した要部拡大断面図である。
【0033】
本発明に係るダイナミックダンパー1は、例えば住宅における上層階から下層階へ伝搬する重量床衝撃音又は壁に生じる衝撃音を低減するもので、例えば軽量鉄骨系プレハブ住宅の床及び天井に設けられる。ダイナミックダンパー1の説明に先立って、ダイナミックダンパー1が取り付けられる一実施形態の床及び天井の構造を、
図9〜
図11に基いて説明する。
【0034】
この実施形態における床及び天井の構造は、
図9〜
図11に示すように、建物上層階の床構成部材100に下層階の天井下地材110が支持されている(吊られている)。
【0035】
床構成部材100は、例えばH形鋼からなる複数の床梁102と、これら床梁102上に敷設された複数の床パネル103とを備えている。床パネル103は、互いに略平行に形成された中空部136を有する押出成形セメント板135と、中空部136内に微動可能に充填された袋詰めの砂状無機材137と、を有している。床パネル103は、その面密度が100〜120kg/m
2(好ましくは、120kg/m
2)であって、その厚みが100mm程度とされている。
【0036】
この床パネル103では、重量床衝撃音や軽量床衝撃音を伴う振動が砂状無機材137の微動により打ち消される。また、床パネル103は、床梁102の上フランジ120a上に載置された状態で止め付け金具106によって床梁102に止め付けられている。さらに、床パネル103上には、防湿シート170、パーティクルボード180、フローリング等の床仕上げ材190が順次敷設されている。
【0037】
天井下地材110は、床梁102に複数の軽量床衝撃音低減用の防振吊り具111を介して吊り下げられて互いに略平行に配された複数の野縁受け112と、野縁受け112に対して略直交する方向に延びるとともに野縁受け112の下側に取り付けられて互いに略平行に配された複数の野縁113と、これら野縁113と同じ高さレベルで野縁113と平行になるように建物内壁(図示せず)に固定された複数の壁際野縁(図示せず)と、野縁113及び壁際野縁の下面にビス止めされた石膏ボード等からなる天井板116と、を備えている。なお、天井下地材110の上側には、吸音材117(
図9に図示)が適宜設けられている。
【0038】
防振吊り具111は、
図10に示すように、床梁102に装着される梁装着部材120と、この梁装着床梁部材120に取り付けられた圧縮型の防振ゴム121と、この防振ゴム121に貫通支持されて、野縁受け112に連結される吊りボルト122とを備えている。
【0039】
梁装着床梁部材120は、
図11に示すように、一対の側面部と、これら側面部の下端部間を連結する底面部と、を有し、開放部分が上向きとなった略コ字状に形成されている。そして、一対の側面部が床梁102に係合する係合部を有し、底面部が防振ゴム121を装着する装着部を有する。
【0040】
側面部には、嵌合溝125aが横向きに夫々形成されている。これら嵌合溝125aに床梁102の下フランジ120bが嵌め込まれることにより、側面部が床梁102に係合される。この係合状態において、底面部にねじ込まれた固定ボルト127の先端が下フランジ102bの下面に押し付けられることにより、梁装着床梁部材120が床梁102に装着される。
【0041】
防振ゴム121は、梁装着床梁部材120の側面部間において底面部上から立ち上がる略円筒状のゴム体と、梁装着床梁部材120の底面部との間でゴム体を上下に挟み込む上側プレートと、を有する。
【0042】
吊りボルト122は、その上端部にカシメナット128が螺合された状態で、防振ゴム121及び梁装着床梁部材120の底面部を上下方向に貫通している。なお、カシメナット128は、防振ゴム121の上側プレートに回転可能に係合されている。
【0043】
吊りボルト122の下端部は、後述する野縁受け112の上側フランジ130を上下方向に貫通している。吊りボルト122の下端部には、上下一対のナット129が螺合されている。これらナット129により野縁受け112の上側フランジ130を上下に挟み込むことによって、吊りボルト122の下端部に野縁受け112が取り付けられている。このように、防振吊り具111を使用して天井下地材110(野縁受け112)を吊り下げ支持することで、単なる吊り具を使用して天井下地材110を吊り下げ支持するときと比べて、軽量床衝撃音の遮断性能を5dB程度向上することができる。
【0044】
野縁受け112は、例えば開放部分を側方へ向けるように配置された略U字状の断面形状を有する溝形鋼により構成されている。具体的に、野縁受け112は、上下一対のフランジ130と、フランジ130の長手方向に沿った一端部同士を連結するウエブ131とを備えている。
【0045】
野縁113は、
図11に示すように、略四角形の断面形状を有する鋼製筒材により構成されている。野縁113の両側面140のそれぞれには、野縁113の長手方向に沿って係止溝141が形成されている。各係止溝141は、側面140から略直角三角形の断面形状を有する凹部であり、係止溝141の上に配置される内側面であって後述の挟持部材本体31に係合される第一被係合部141aが形成されている。第一被係合部141aは、野縁113の側面140と略直交する方向に延びる面である。
【0046】
また、野縁113の上面113aは、後述の挟持部材本体31に係合される第二被係合部として機能する。本実施形態では、第二被係合部としての上面113aと第一被係合部141aとが被係合部を構成している。
【0047】
このように構成された野縁113は、
図10に示すように、複数の野縁受け112に跨るように複数の連結具150を介して野縁受け112の下面に取り付けられている。
【0048】
連結具150は、一対の側面部151と、これら側面部151の上端部間を連結する上面部152とを有し、開放部分が下を向く略C字状に形成されている。上面部152には、一対の係合片153が形成されており、側面部151には、係止爪154が夫々形成されている。
【0049】
連結具150は、係合片153が野縁受け112の下側フランジ130に係合することにより野縁受け112に取り付けられている。また、連結具150の側面部151間に野縁113の上部が挿入されかつ上面部152が野縁113の上面に接触した状態で係止爪154が野縁113の係止溝141の第一被係合部141aに係合することにより、連結具150が野縁113に対して取り付けられている。
【0050】
次に、天井を支持する野縁113(支持部材)に取り付けられるダイナミックダンパー1について説明する。ダイナミックダンパー1は、
図1〜
図3に示すように、少なくとも1つ(この実施形態では3つ)のダンパー本体2と、ダンパー本体2を野縁113に取り付けるための取付機構と、を備えている。
【0051】
ダンパー本体2は、錘21と、錘21の互いに逆方向を向く側面211、212に接着等により固定された2つの弾性体(弾性手段)22a、22bと、を有する。両弾性体22a、22bは、互いに同じ構成(材質、形状等)を有するものであり、本実施形態では略直方体の合成ゴムにより構成されている。
【0052】
取付機構は、野縁113を挟持するための一対の挟持面314と、弾性体22a、22bの弾性力を一対の挟持面314が野縁113を挟持する方向の力として一対の挟持面314に伝達する第一挟持部材(伝達機構)3a及び第二挟持部材(伝達機構)3bと、を有する。
【0053】
挟持部材3a、3bは、互いに間隔を隔てて配置されている。また、第一挟持部材3aは、ダンパー本体2の錘21の一方側(
図3の右側)を向く第一側面211と対向する第一対向面310aを有する。弾性体22a、22bのうちの一方の第一弾性体22aは、錘の第一側面211と第一挟持部材3aの第一対向面310aとの間に挟持されている。第二挟持部材3bは、錘21の他方側(
図3の左側)を向く第二側面212と対向する第二対向面310bを有する。弾性体22a、22bのうちの他方の第二弾性体22bは、第二側面212と第二対向面310bとの間に挟持されている。
【0054】
具体的に、第一挟持部材3aは、横方向(所定方向)に延びる板状の挟持部材本体31と、挟持部材本体31と各ダンパー本体2との間にそれぞれ介在する3つの介在部材32A、32Bと、を備えている。
【0055】
挟持部材本体31の横方向の長さW(所定方向の長さ)は、略866mmであり、隣接する2つの野縁受け112の配置間隔(例えば約2000mm)よりも短い。また、挟持部材本体31の高さHは、略65mmに設定されている。
【0056】
挟持部材本体31は、後述する介在部材32A、32Bの下方側に形成され野縁113に係脱自在に係合する係合部311、312と、野縁113の側面140を挟持するための挟持面314とを備えている。
【0057】
挟持部材本体31の介在部材32A、32Bと対向する部分には、
図3に示すように、介在部材32A、32Bに向けて突設された突片313が設けられている。
【0058】
係合部は、
図1、
図3に示すように、係止溝141の第一被係合部141aに係合する複数の第一係合部311と、野縁113の上面113a(第二被係合部)に係合する複数の第二係合部312とを備えている。
【0059】
第一係合部311は、挟持部材本体31の高さ方向の略中央部に挟持部材本体31の長手方向に沿って等間隔に配置されている。各第一係合部311は、挟持部材本体31を構成する板材の一部が第二挟持部材3b側に突出するように折り曲げられることにより形成されている。第二係合部312は、挟持部材本体31において第一係合部311よりも上で、且つ、介在部材32A、32Bよりも下に設けられている。また、第二係合部312は、挟持部材本体31の長手方向において、互いに隣接する2つの第一係合部311の間に配置されている。各第二係合部312は、第一係合部311と同様に、挟持部材本体31を構成する板材の一部が第二挟持部材3b側に突出するように折り曲げられることにより形成されている。
【0060】
第二係合部312の下面と第一係合部311の上面との上下方向の距離L1(
図3、
図5(a)に図示)は、野縁113の第一被係合部141aから野縁113の上面113aまでの距離L2(
図5(a)、
図11に図示)と同等又はこれよりも少し大きく設定されている。
【0061】
挟持面314は、挟持部材本体31の第二係合部312の下で、かつ、挟持部材本体31の長手方向の全領域に亘り設けられている。
【0062】
第二挟持部材3bは、錘21における第一側面211とは反対側(他方側)に配置されており、第一挟持部材3aと同様の構成を有し、ダンパー本体2を基準として第一挟持部材3aと対称に配置されている。そのため、第二挟持部材3bについての説明を省略する。
【0063】
介在部材32A、32Bは、挟持部材本体31の長手方向の両端部に設けられた一対のダンパー本体2と挟持部材本体31との間にそれぞれ設けられた一対の介在部材32Aと、挟持部材本体31の中央に設けられたダンパー本体2と挟持部材本体31との間に設けられた介在部材32Bと、を含む。第一挟持部材3aとダンパー本体2との間に設けられた介在部材32A、32Bは、錘21の第一側面211と対向する第一対向面310aを有する。一方、第二挟持部材3bとダンパー本体2との間に設けられた介在部材32A、32Bは、錘21の第二側面212と対向する第二対向面310bを有する。
【0064】
なお、第一挟持部材3aとダンパー本体2との間、及び第二挟持部材3bとダンパー本体2との間にそれぞれ介在部材32A、32Bが設けられているが、これらの構成は同一であるため、第一挟持部材3aとダンパー本体2との間に設けられた介在部材32A、32Bのみについて以下説明する。
【0065】
介在部材32Aは、介在部材32Bに相当する部分と、この部分から挟持面314と反対側に延びて挟持部材本体31の外側(上)に突出する摘み部34と、を有する。このように介在部材32Aのうち挟持部材本体31の上面よりも下の部分は、介在部材32Bと同じ構成を有するため、以下、
図2及び
図3を参照して介在部材32Aのうち挟持部材本体31の上面よりも下の部分を介在部材32Bとして説明する。
【0066】
介在部材32Bは、ボルト35a及びボルト35aに螺合するナット35bによって挟持部材本体31に固定され、第一弾性体22aは、接着等により介在部材32Bに固定されている。ボルト35aは、上述した挟持部材本体31の突片313よりも下の位置で、かつ、第1弾性体22aの水平方向の両側方の位置で、挟持部材本体31及び介在部材32Bをダンパー本体2と反対側から貫通する。ナット35は、両挟持部材本体31の間の位置でボルト35aに締結されている。この取付状態においては、
図4に示すように、挟持部材本体31の突片313が介在部材32Bに当接するとともに挟持部材本体31の突片313よりも下の平坦面が介在部材32Bに当接している。これにより、挟持部材本体31は、その挟持面314に近い部分が挟持面314から離れた部分よりも第二挟持部材3bの近くに配置されるように、介在部材32B(高さ方向)に対して傾いている。具体的に、挟持部材本体31は、介在部材32Bに対して2°〜3°の角度αを持った状態でダンパー本体2に取り付けられている。なお、介在部材32Bと挟持部材本体31とを固定するためにボルト35a及びナット35bに代えて又はボルト35a及びナット35bに加えて接着剤を用いてもよい。
【0067】
このように介在部材32Bを介して挟持部材本体31がダンパー本体2に取り付けられることにより、両弾性体22a、22bの弾性力により両挟持面314が互いに近づき、かつ、両弾性体22a、22bを弾性変形させることにより両挟持面314が離れるように両挟持部材3a、3bを回動させるための支点Fが両挟持部材3a、3bと弾性体22a、22bとの間にそれぞれ形成される。具体的に、支点Fは、
図4に示されるように、対向面310a、310bにおける弾性体22a、22bの上面が接触する位置に形成されている。
【0068】
そして、介在部材32Aは、支点Fを中心として両挟持部材3a、3bを回動操作するために上述した介在部材32Bに相当する部分(対向面310a、310b)から挟持面314と反対側(
図3における上側)に延びる摘み部34を有する。第一挟持部材3aの摘み部34と第二挟持部材3bの摘み部34とは、互いに対向して配置されている。
【0069】
以下、ダイナミックダンパー1を野縁113に取り付ける際の手順について説明する。
【0070】
図3に示すように、摘み部34が操作されていない通常状態において、第一挟持部材3aの挟持面314の下端部と第二挟持部材3bの挟持面314の下端部とは、距離L3を隔てて互いに対向している。ここで、距離L3は、
図3に示す通常状態で、野縁113の幅L4(
図5(a)参照)よりも狭い。
【0071】
図5(a)の矢印で示すように、互いに対向する摘み部34を近づけるように摘み部34を操作すると、弾性体22a、22bの上部の圧縮変形を伴いながら、両挟持部材3a、3bのそれぞれが支点Fを中心として回動する。これにより、両挟持部材3a、3bの挟持面314が互いに離間する。
【0072】
次いで、両挟持面314間の距離L5が野縁113の幅L4よりも広くなるように摘み部34を操作した状態で、
図5(b)に示すように、両挟持面314の間に野縁113が配置されるように野縁113に対して上からダイナミックダンパー1を被せる。
【0073】
具体的には、
図9に示すように、互いに隣接する2つの野縁受け112の間における各野縁113の2か所の取付位置114(
図9では、1つの野縁113のみに示している)にダイナミックダンパー1を取り付ける。なお、本実施形態では、野縁受け112間において取付位置114が野縁113の長手方向に沿って2カ所設定されている。
【0074】
図5(c)に示されるように、挟持面314間に野縁113を入り込んだ状態で、摘み部34の操作を止める。これにより、弾性体22a、22bの弾性力によって両挟持面314の距離L5が狭まり、当該両挟持面314によって野縁113の側面が挟持される。この状態では、第一係合部311が野縁113の第一被係合部141aの下方側に配置されるとともに、第二係合部312が野縁113の上面113aの上方側に配置される。これにより、野縁113に対するダイナミックダンパー1の上下動が規制され(ダイナミックダンパー1が抜け止めされ)、ダイナミックダンパー1が振動してもダイナミックダンパー1が野縁113から外れるのを抑制され、野縁113に取り付けられた状態が維持される。
【0075】
野縁113が振動すると、当該野縁113を挟持する両挟持部材3a、3bが野縁113とともに振動する。一方、錘21は、弾性体22a、22bの弾性変形を伴いながら錘21の位置を維持する方向に両挟持部材3a、3bに対して相対的に振動する。これにより、野縁113に生じた振動を抑えることができる。ここで、錘21は、2つの弾性体22a、22bに挟まれた状態で両側から支持されているため、両挟持部材3a、3bに対してその挟持方向と直交する方向に錘21を振動させることができる。
【0076】
以上のように構成されたダイナミックダンパー1によれば、両弾性体22a、22bから一対の挟持面314に対して野縁113を挟持する方向の力が伝達される。そのため、一対の挟持面314間の距離が広がるように弾性体22a、22bを弾性変形させることにより、当該一対の挟持面314間に野縁113を配置することができる。そして、弾性体22a、22bの弾性力が両挟持部材3a、3bを介して一対の挟持面314に対して野縁113を挟持する方向の力として伝達されることにより、一対の挟持面314と野縁113とを接触させることができる。したがって、野縁113からダイナミックダンパー1への振動の伝達効率の低下を抑制でき、衝撃音の低減効率を良好にできる。
【0077】
さらに、両挟持部材3a、3bによってダイナミックダンパー1の弾性体22a、22bの弾性力を野縁113を挟持するための力として利用することができるため、一対の挟持面314に対して野縁113を挟持するための力を与えるための手段を別途に設ける場合と比較して、構造を簡素化できるとともに、製造コストを低減することができる。
【0078】
また、前記実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
【0079】
第一弾性体22aと第二弾性体22bとによって錘21を一方側及び他方側の両側から支持することができるため、両対向面310a、310bが両側面211、212に対して対向する方向と直交する方向(本実施形態では上下方向)に錘21全体を振動させることができる。この振動方向と野縁113に生じる振動の方向とを合わせることにより、ダイナミックダンパー1の振動低減効果を向上することができる。
【0080】
第一挟持部材3aと第一弾性体22aとの間、及び、第二挟持部材3bと第二弾性体22bとの間にそれぞれ支点Fを設けることができるため、ダイナミックダンパー1(挟持部材3a、3b)の嵩を低くすることができ、ダイナミックダンパー1を狭いスペースに配置可能となる。
【0081】
一つの第一挟持部材3a及び第二挟持部材3bを野縁113に取り付けることにより3つのダンパー本体2を野縁113に取り付けることができるため、複数のダンパー本体2を取り付ける際の作業性が向上する。
【0082】
また、一対の挟持面314が3つのダンパー本体2に亘って所定方向に延びているため、3つのダンパー本体2間で両挟持部材3a、3bにより野縁113を両側から挟み込むことにより、両挟持部材3a、3bを野縁113の補強部材としても機能させることができる。したがって、両挟持部材3a、3bにより野縁113を補強することができる。
【0083】
2つの摘み部34を互いに近づく方向に押圧操作することにより一対の挟持面314を互いに離間させて両挟持部材3a、3bを野縁113に取り付けることができる。つまり、クリップのような操作性を実現することができる。そのため、例えば、特許文献1に記載の補強金具の側面部を広げて野縁に取り付ける場合(両挟持部材3a、3bの一対の挟持面を有する部分を直接広げて両挟持部材3a、3bを野縁113に取り付ける場合)と比較してダイナミックダンパー1を野縁113に取り付ける際の力を軽減することができ、施工性を向上することができる。
【0084】
一対の挟持面314により野縁113が挟持された状態で第一係合部311及び第二係合部312を野縁113の第一被係合部141a及び上面(第二被係合部)に係合させることができる。これにより、野縁113に生じた振動が大きい場合であってもダイナミックダンパー1を野縁113に確実に取り付けることができ、野縁113に生じた振動を確実に低減することができる。
【0085】
なお、上記実施形態では、2つの第一弾性体22a及び第二弾性体22bによって錘21の両端を支持する構成について説明したが、錘21の支持構造はこれに限定されない。
【0086】
例えば、
図6に示す実施形態のダイナミックダンパー1におけるダンパー本体は、錘210と、錘210を支持する一つの弾性体(弾性手段)220と、を有している。また、両挟持部材3a、3b(伝達機構)は、弾性体220における錘210と反対側の位置に取り付けられている。これにより錘210は、弾性体220に対して片持ち状に支持されている。
【0087】
具体的に、弾性体220は、両挟持部材3a、3bに固定される固定部221と、固定部から両挟持部材3a、3bの長手方向に沿って延びて錘210を支持する支持部222と、を有する。固定部221は、第一挟持部材3aの介在部材32Aと第二挟持部材3bの介在部材32Aとの間に挟まれた状態で当該介在部材32Aに固定されている。錘210の基端部210aは、支持部222の先端部に固定されている。
【0088】
野縁113が振動すると、当該野縁113を挟持する両挟持部材3a、3bが野縁113とともに振動する。一方、錘210は、弾性体220の弾性変形を伴いながら錘210の位置を維持する方向に両挟持部材3a、3bに対して相対的に振動する。これにより、野縁113に生じた振動を抑えることができる。しかも、弾性体220一つによって振動低減効果と野縁113の挟持機能とを得ることができるため、弾性体を複数使用する場合と比較してコスト面で有利となる。
【0089】
なお、錘210は、弾性体220により片持ち状に支持されているため、弾性体220における固定部221を支点として錘210が回動する。そのため、野縁113の振動を低減するために錘210が振動すべき方向以外の方向に振動するために力が錘210に加わり、ダイナミックダンパーの振動低減効果の向上が難しい。したがって、振動低減効果に関しては、第一弾性体22aと第二弾性体22bとによって錘21を両側から支持する
図1〜
図5に示される実施形態が好ましい。
【0090】
また、
図6に示す実施形態では、一つの弾性体220により錘210が片持ち状に支持されているが、一つの弾性体を用いる形態は、
図6に示すものに限定されない。例えば、
図7に示されるように、錘410が弾性体420上に載置されていてもよい。
【0091】
具体的に、
図7に示す実施形態のダンパー本体は、錘410と、その長手方向の中央位置において錘410が載置される一つの弾性体(弾性手段)420と、を有する。第一挟持部材3a及び第二挟持部材3bは、弾性体420の長手方向の両端位置に取り付けられている。具体的に、弾性体420は、第一挟持部材3aの介在部材32Aと第二挟持部材3bの介在部材32Aとの間に挟まれた状態で当該介在部材32Aに固定されている。これにより、錘410は、
図7(a)に示されるように両挟持部材3a、3bが互いに対向する方向における弾性体420の中央位置において弾性体420上に載置された状態で当該弾性体420に固定されている。
【0092】
野縁113が振動すると、当該野縁113を挟持する両挟持部材3a、3bが野縁113とともに振動する。一方、錘410は、弾性体420の弾性変形を伴いながら錘410の位置を維持する方向に両挟持部材3a、3bに対して相対的に振動する。これにより、野縁113に生じた振動を抑えることができる。しかも、弾性体420一つによって振動低減効果と支持部材の挟持機能とを得ることができるため、弾性体420を複数使用する場合と比較してコスト面で有利となる。
【0093】
なお、錘410は、弾性体420上に載置されているため、錘410の下に位置する弾性体420の一部の重量が錘の一部として作用する。そのため、ダイナミックダンパーの振動低減効果の向上が難しい。したがって、振動低減効果に関しては、第一弾性体22aと第二弾性体22bとによって錘21を両側から支持する
図1〜
図5に示される実施形態が好ましい。
【0094】
図1〜
図7に示す実施形態では、介在部材32A、32Bの対向面310a、310bにおける弾性体22a、22b、220、420の上面が接触する位置に形成されているが、支点Fの位置は限定されない。弾性体22a、22b、220、420から離れた位置に支点Fを形成することもできる。
【0095】
例えば、
図8(a)に示すダイナミックダンパー1は、上記ダンパー本体2と、ダンパー本体2を野縁113に取り付けるための取付機構と、を備えている。ダンパー本体2は、
図1〜
図5に示すものと同様の構成を有するため、その説明を省略する。
【0096】
取付機構は、野縁113を挟持するための一対の挟持面520a、520bと、弾性体22a、22bの弾性力を一対の挟持面520a、520bが野縁113を挟持する方向の力として一対の挟持面520a、520bに伝達する第一挟持部材(伝達機構)503a及び第二挟持部材(伝達機構)503bと、錘21から下に外れた位置に設けられて両挟持部材503a、503bを回動可能に接続する回動接続部540と、を備えている。
【0097】
第一挟持部材503aは、錘21の第一側面211と対向する第一対向面510aを有する対向部と、第一対向面510aと同じ側(
図8の左側)を向く挟持面520aを有する挟持部と、これらの部分を連結する第一連結部530aと、を有する。第一連結部530aは、対向部から錘21の下方位置まで延びるとともに回動接続部540で折り返して挟持部まで延びている。
【0098】
第二挟持部材503b、錘21の第二側面212と対向する第二対向面510bを有する対向部と、第二対向面510bと同じ側(
図8の右側)を向く挟持面520bを有する挟持部と、これらの部分を連結する第二連結部530bと、を有する。第二連結部530bは、対向部から錘21の下方位置まで延びるとともに回動接続部540で折り返して挟持部まで延びている。
【0099】
回動接続部540は、第一連結部530aと第二連結部530aとを回動自在に接続する軸である。
【0100】
また、第一挟持部材503aの第一対向面510aは、第一弾性体22aに固定され、第二挟持部材503bの第二対向面510bは第二弾性体22bに固定されている。
【0101】
図8(b)に示すように、第一対向面510aと第二対向面510bとが互いに近づく方向に両挟持部材503a、503bが操作されると、第一挟持部材503aが
図8の反時計回りに回動するとともに第二挟持部材503bが
図8の時計回りに回動する。これにより、両挟持面520a、520b間の距離が野縁113の幅よりも広くなる。この状態で、
図8(c)に示すように、両挟持面520a、520bの間に野縁113が配置されるように野縁113に対して上からダイナミックダンパー1を被せる。
【0102】
図8(d)に示すように、両挟持部材503a、503bの押圧操作を止めると、弾性体22a、22bの弾性力によって第一挟持部材503aが
図8の時計回りに回動するとともに第二挟持部材503bが
図8の反時計回りに回動する。これにより、両挟持面520a、520b間の距離が小さくなり、当該両挟持面520a、520bによって野縁113の側面が挟持される。
【0103】
上記実施形態では、回動接続部540(両挟持部材503a、503bの回動支点)が両挟持部材503a、503bの間、つまり、弾性体22a、22bから離れた位置に配置されている。そのため、第一挟持部材503aにおける第一対向面510aから第一挟持面520aまでの高さ及び、第二挟持部材503bにおける第二対向面510bから第二挟持面520bまでの高さが大きくなる。その結果、ダイナミックダンパー1の全体が嵩高いものになってしまう。
【0104】
従って、ダイナミックダンパー1の大きさを抑える点については、両挟持部材3a、3bの回動支点Fが第一挟持部材3aと第一弾性体22aとの間、及び、第二挟持部材3bと第二弾性体22bとの間に形成されていることが好ましい。
【0105】
なお、上記実施形態では、ダイナミックダンパー1が、3つのダンパー本体2を有しているが、一つのダイナミックダンパー1に設けられるダンパー本体2の数は限定されない。一つのダイナミックダンパー1が、一つのダンパー本体2のみを有していてもよく、また、二つのダンパー本体2を有していてもよく、さらには四つ以上のダンパー本体2を有していてもよい。
【0106】
また、上記実施形態では、建造物の天井を支持する支持部材(野縁113)に取り付けられるダイナミックダンパー1について説明したが、建造物の床(床を支持する支持部材[例えば、梁])、又は壁(壁を支持する支持部材[例えば、柱])に取り付けられていてもよい。ダイナミックダンパー1が天井を支持する支持部材に取り付けられる場合、野縁113以外のもの(例えば、野縁受け112)に取り付けられていてもよい。