(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の全体にわたり、各物性値、含有量等の数値の範囲は、適宜(例えば下記の各項目に記載の上限及び下限の値から選択して)設定され得る。具体的には、数値αについて、数値αの上限がA1、A2、A3等が例示され、数値αの下限がB1、B2、B3等が例示される場合、数値αの範囲は、A1以下、A2以下、A3以下、B1以上、B2以上、B3以上、A1〜B1、A1〜B2、A1〜B3、A2〜B1、A2〜B2、A2〜B3、A3〜B1、A3〜B2、A3〜B3等が例示される。
【0010】
[ウレタン(メタ)アクリレート]
本開示は、モノマー群に
飽和脂肪族ポリイソシアネート、
飽和脂肪族ポリオール、
ポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリオール、
並びに、
水酸基含有(メタ)アクリレート
を含み、
前記モノマー群100質量部に対し、前記ポリエーテルポリオール及び/又は前記ポリエステルポリオールが0.2〜10質量部含まれる前記モノマー群の反応物である、
ウレタン(メタ)アクリレート100質量部に対し、シクロアルキレン基を19〜48質量部含む、ウレタン(メタ)アクリレートを提供する。
【0011】
本開示において「(メタ)アクリレート」は「アクリレート及びメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1つ」を意味する。同様に「(メタ)アクリル」は「アクリル及びメタクリルからなる群より選択される少なくとも1つ」を意味する。
【0012】
1つの実施形態において、上記ウレタン(メタ)アクリレートは、
飽和脂肪族ポリイソシアネート由来の下記構造A、
−CO−NH−R
1−NH−CO−・・・(構造A)
(式中、R
1はアルキレン基、又はシクロアルキレン基である)
飽和脂肪族ポリオール由来の下記構造B
−O−R
2−O−・・・(構造B)
(式中、R
2はアルキレン基又はシクロアルキレン基である)
ポリエーテルポリオール由来の下記構造C1
【化5】
(式中、R
3はアルキレン基、又はシクロアルキレン基であり、nは2以上の整数である)
及び/又は
ポリエステルポリオール由来の下記構造C2、
【化6】
(式中、R
4はアルキレン基、又はシクロアルキレン基であり、mは2以上の整数である)
並びに、
水酸基含有(メタ)アクリレート由来の下記構造D
−O−R
5a−O−CO−CR
5b=CH
2・・・(構造D)
(式中、R
5aは、アルキレン基、又はシクロアルキレン基であり、R
5bは、水素又はメチル基である)
を含む。
【0013】
<飽和脂肪族ポリイソシアネート>
本開示において、「飽和脂肪族ポリイソシアネート」は、飽和脂肪族基及び2個以上のイソシアネート基(−N=C=O)からなる化合物を意味する。本開示において、「飽和脂肪族基」は、二重結合、三重結合等の不飽和結合を有していない炭化水素基を意味する。飽和脂肪族基は、アルキル基、シクロアルキル基、アルキレン基、シクロアルキレン基等が例示される。飽和脂肪族ポリイソシアネートは二種以上を併用してもよい。
【0014】
1つの実施形態において、飽和脂肪族ポリイソシアネートは構造式
O=C=N−R
1’−N=C=O・・・(構造式A)
(式中、R
1’は、アルキレン基又はシクロアルキレン基である)
で表わされる。
【0015】
飽和脂肪族ポリイソシアネートは、アルキレンポリイソシアネート、シクロアルキレンポリイソシアネート又はその付加物、変性物等が例示される。
【0016】
飽和脂肪族基の炭素数は、特に限定されないが、その上限は、30、29、25、20、15、12、10、9、8、7、6、5、4、3、2等が例示され、下限は、29、25、20、15、12、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1等が例示される。1つの実施形態において、飽和脂肪族基の炭素数は、1〜30が好ましく、1〜20がより好ましく、1〜16がさらに好ましく、1〜12が特に好ましい。
【0017】
アルキレン基は、直鎖アルキレン基、分岐アルキレン基等が例示される。
【0018】
直鎖アルキレン基は、−(CH
2)
n−(nは1以上の整数)の一般式で表現できる。直鎖アルキレン基は、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、n−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−ヘキシレン基、n−ヘプチレン基、n−オクチレン基、n−ノニレン基、n−デカメチレン基等が例示される。
【0019】
直鎖脂肪族ポリイソシアネートは、メチレンジイソシアネート、ジメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート等が例示される。
【0020】
分岐アルキレン基は、直鎖アルキレン基の少なくとも1つの水素がアルキル基によって置換された基である。分岐アルキレン基は、ジエチルペンチレン基、トリメチルブチレン基、トリメチルペンチレン基、トリメチルヘキシレン基等が例示される。
【0021】
分岐脂肪族ポリイソシアネートは、ジエチルペンチレンジイソシアネート、トリメチルブチレンジイソシアネート、トリメチルペンチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が例示される。
【0022】
シクロアルキレン基は、単環シクロアルキレン基、架橋環シクロアルキレン基、縮合環シクロアルキレン基等が例示される。またシクロアルキレン基は、1つ以上の水素が直鎖又は分岐アルキル基によって置換されていてもよい。
【0023】
本開示において、単環は、炭素の共有結合により形成された内部に橋かけ構造を有しない環状構造を意味する。また、縮合環は、2つ以上の単環が2個の原子を共有している(すなわち、それぞれの環の辺を互いに1つだけ共有(縮合)している)環状構造を意味する。架橋環は、2つ以上の単環が3個以上の原子を共有している環状構造を意味する。
【0024】
単環シクロアルキレン基は、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロデシレン基、3,5,5−トリメチルシクロヘキシレン基等が例示される。
【0025】
架橋環シクロアルキレン基は、トリシクロデシレン基、アダマンチレン基、ノルボルニレン基等が例示される。
【0026】
縮合環シクロアルキレン基は、ビシクロデシレン基等が例示される。
【0027】
シクロアルキレンポリイソシアネートは、水添ジフェニルメタンジイソシアネート(H12MDI)、水添キシレンジイソシアネート(HXDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等の単環シクロアルキレンポリイソシアネート;ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)等の架橋環シクロアルキレンポリイソシアネート;ビシクロデシレンジイソシアネート等の縮合環シクロアルキレンポリイソシアネートが例示される。
【0028】
飽和脂肪族ポリイソシアネートは、シクロアルキレンポリイソシアネートが好ましく、その中でも低透湿性の観点から水添キシレンジイソシアネート(HXDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)がさらに好ましい。
【0029】
モノマー群100質量部に対する飽和脂肪族ポリイソシアネートの含有量の上限は、50、45、40、35質量部等が例示され、下限は、45、40、35、30質量部等が例示される。1つの実施形態において、モノマー群100質量部に対する飽和脂肪族ポリイソシアネートの含有量は、30〜50質量部が好ましい。
【0030】
モノマー群100モル%に対する飽和脂肪族ポリイソシアネートの含有量の上限は、50、45、40、35モル%等が例示され、下限は、45、40、35、30モル%等が例示される。1つの実施形態において、モノマー群100モル%に対する飽和脂肪族ポリイソシアネートの含有量は、30〜50モル%が好ましい。
【0031】
飽和脂肪族ポリイソシアネートがアルキレンポリイソシアネートである場合アルキレン基の炭素数は、低透湿性の観点から6個が好ましい。また飽和脂肪族ポリイソシアネートがシクロアルキレンポリイソシアネートである場合、シクロアルキレンの炭素数は低透湿性の観点から6〜7個が好ましい。
【0032】
<飽和脂肪族ポリオール>
本開示において、「飽和脂肪族ポリオール」は、飽和脂肪族基に対し2個以上のヒドロキシ基(水酸基)が直接結合している化合物を意味する。飽和脂肪族ポリオールは二種以上を併用してもよい。1つの実施形態において、脂肪族ポリオールは、構造式B
HO−R
2’−OH・・・(構造式B)
(式中、R
2’は、アルキレン基又はシクロアルキレン基である)で表わされる。
【0033】
飽和脂肪族ポリオールは、アルキレンポリオール、シクロアルキレンポリオール又はその付加物、変性物等が例示される。
【0034】
アルキレンポリオールは、直鎖アルキレンポリオール、分岐アルキレンポリオール等が例示される。
【0035】
直鎖アルキレンポリオールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール等が例示される。
【0036】
分岐アルキレンポリオールは、ネオペンチルグリコール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジブチル−1,5−ペンタンジオール、1−メチルエチレングリコール、1−エチルエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が例示される。
【0037】
シクロアルキレンポリオールは、単環シクロアルキレンポリオール、架橋環シクロアルキレンポリオール等が例示される。
【0038】
単環シクロアルキレンポリオールは、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン等が例示される。
【0039】
架橋環シクロアルキレンポリオールは、トリシクロデカンジメタノール等が例示される。
【0040】
飽和脂肪族ポリオールがアルキレンポリオールである場合、アルキレン基の炭素数は、低透湿性の点から2〜9個が好ましい。また飽和脂肪族ポリオールがシクロアルキレンポリオールである場合、シクロアルキレンの炭素数は、入手容易な観点から6〜10個が好ましい。
【0041】
モノマー群100質量部に対する飽和脂肪族ポリオールの含有量の上限は、40、30、20、15質量部等が例示され、下限は、35、30、20、10質量部等が例示される。1つの実施形態において、モノマー群100質量部に対する飽和脂肪族ポリオールの含有量は、10〜40質量部が好ましい。
【0042】
モノマー群100モル%に対する飽和脂肪族ポリオールの含有量の上限は、40、30、20、15モル%等が例示され、下限は、35、30、20、10モル%等が例示される。1つの実施形態において、モノマー群100モル%に対する飽和脂肪族ポリオールの含有量は、10〜40モル%が好ましい。
【0043】
モノマー群中の飽和脂肪族ポリイソシアネート100質量部に対する飽和脂肪族ポリオールの含有量の上限は、80、70、60、50、40、35質量部等が例示され、下限は、75、70、60、50、40、30質量部等が例示される。1つの実施形態において、飽和脂肪族ポリイソシアネート100質量部に対する飽和脂肪族ポリオールの含有量は、30〜80質量部が好ましい。
【0044】
モノマー群中の飽和脂肪族ポリイソシアネート100モル%に対する飽和脂肪族ポリオールの含有量の上限は、80、70、60、50、40、35モル%等が例示され、下限は、75、70、60、50、40、30モル%等が例示される。1つの実施形態において、飽和脂肪族ポリイソシアネート100モル%に対する飽和脂肪族ポリオールの含有量は、30〜80モル%が好ましい。
【0045】
<ポリエーテルポリオール>
本開示において、「ポリエーテルポリオール」は、ヒドロキシ基を2個以上及びエーテル結合を含む繰り返し単位を2個以上有する化合物を意味する。ポリエーテルポリオールは二種以上を併用してもよい。1つの実施形態において、ポリエーテルポリオールは構造式C1
HO−(R
3’−O−)
nH・・・(構造式C1)
(式中、R
3’は、アルキレン基、又はシクロアルキレン基であり、nは2以上の整数である。)で表わされる。
【0046】
ポリエーテルポリオールは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が例示される。
【0047】
ポリエーテルポリオールの重量平均分子量(Mw)の上限は、10万、7.5万、5万、2.5万、1万、5000、2000等が例示され、下限は、9万、7.5万、5万、2.5万、1万、5000、2000、1000等が例示される。1つの実施形態において、ポリエーテルポリオールの重量平均分子量(Mw)は、1000〜10万が好ましい。
【0048】
ポリエーテルポリオールの数平均分子量(Mn)の上限は、10万、7.5万、5万、2.5万、1万、5000、2000等が例示され、下限は、9万、7.5万、5万、2.5万、1万、5000、2000、1000等が例示される。1つの実施形態において、ポリエーテルポリオールの数平均分子量(Mn)は、1000〜10万が好ましい。
【0049】
重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーメーションクロマトグラフィー(たとえば東ソー(株)製、商品名「HLC−8220」、カラム:東ソー(株)製、商品名「TSKgel superHZ−M」を用いる方法等により測定され得る(以下同様)。
【0050】
<ポリエステルポリオール>
本開示において、「ポリエステルポリオール」は、ヒドロキシ基を2個以上及び分子内にエステル結合を含む繰り返し単位を2個以上有する化合物を意味する。ポリエステルポリオールは二種以上を併用してもよい。1つの実施形態において、ポリエステルポリオールは構造式C2
HO−{R
4a’−OC(O)−R
4b’−C(O)O}
m−R
4a’−OH・・・(構造式C2)
(式中、R
4a’及びR
4b’はそれぞれ独立に、アルキレン基、又はシクロアルキレン基であり、mは2以上の整数である。)で表わされる。
【0051】
一般にポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールは、それぞれ親水性の結合であるエーテル結合、エステル結合を多数含むため、ポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリオールを用いて製造したウレタン(メタ)アクリレートを用いて製造した保護膜は、水分が保護膜を透過し易く(透湿度が高く)なると思われるところ、透湿度が低いフィルムを製造できることを見出したものである。
【0052】
本開示において、「ポリエステルポリオール」はポリカルボン酸又はその無水物と、ポリオールとの反応生成物である。
【0053】
ポリカルボン酸は、ジカルボン酸等が例示される。
【0054】
ジカルボン酸は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、2−メチルコハク酸、2−メチルアジピン酸、3−メチルアジピン酸、3−メチルペンタン二酸、2−メチルオクタン二酸、3,8−ジメチルデカン二酸、3,7−ジメチルデカン二酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリト酸、トリメシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等のジカルボン酸等が例示される。
【0055】
ポリカルボン酸無水物は、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水トリメリト酸等が例示される。
【0056】
ポリオールは、上記アルキレンポリオール、上記シクロアルキレンポリオール等が例示される。
【0057】
ポリエステルポリオールの重量平均分子量(Mw)の上限は、10万、7.5万、5万、2.5万、1万、5000、2000等が例示され、下限は、9万、7.5万、5万、2.5万、1万、5000、2000、1000等が例示される。1つの実施形態において、ポリエステルポリオールの重量平均分子量(Mw)は、1000〜10万が好ましい。
【0058】
ポリエステルポリオールの数平均分子量(Mn)の上限は、10万、7.5万、5万、2.5万、1万、5000、2000等が例示され、下限は、9万、7.5万、5万、2.5万、1万、5000、2000、1000等が例示される。1つの実施形態において、ポリエステルポリオールの数平均分子量(Mn)は、1000〜10万が好ましい。
【0059】
モノマー群100質量部に対するポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリオールの含有量の上限は、10、9、8、7、6、5、4、3、2,1、0.5質量部等が例示され、下限は、10、9、8、7、6、5、4、3、2,1、0.5、0.2質量部等が例示される。1つの実施形態において、モノマー群100質量部に対するポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリオールの含有量は、低透湿性の観点から0.2〜10質量部が好ましい。
【0060】
モノマー群100モル%に対するポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリオールの含有量の上限は、1、0.75、0.5、0.25、0.1、0.05モル%等が例示され、下限は、0.9、0.75、0.5、0.25、0.1、0.05、0.02モル%等が例示される。1つの実施形態において、モノマー群100モル%に対するポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリオールの含有量は、0.02〜1モル%が好ましい。
【0061】
モノマー群中の飽和脂肪族ポリイソシアネート100質量部に対するポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリオールの含有量の上限は、20、15、10、5、1、0.5質量部等が例示され、下限は、19、15、10、5、1、0.5、0.4質量部等が例示される。1つの実施形態において、飽和脂肪族ポリイソシアネート100質量部に対するポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリオールの含有量は、0.4〜20質量部が好ましい。
【0062】
モノマー群中の飽和脂肪族ポリイソシアネート100モル%に対するポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリオールの含有量の上限は、2、1、0.5、0.1モル%等が例示され、下限は、1.9、1、0.5、0.1、0.04モル%等が例示される。1つの実施形態において、飽和脂肪族ポリイソシアネート100モル%に対するポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリオールの含有量は、0.04〜2モル%が好ましい。
【0063】
モノマー群中の飽和脂肪族ポリオール100質量部に対するポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリオールの含有量の上限は、100、90、75、50、25、10、5、1、0.9質量部等が例示され、下限は、90、75、50、25、10、5、1、0.9、0.5質量部等が例示される。1つの実施形態において、飽和脂肪族ポリオール100質量部に対するポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリオールの含有量は、0.5〜100質量部が好ましい。
【0064】
モノマー群中の飽和脂肪族ポリオール100モル%に対するポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリオールの含有量の上限は、10、9、7.5、5、2.5、1、0.5、0.1、0.09モル%等が例示され、下限は、9、7.5、5、2.5、1、0.5、0.1、0.09、0.05モル%等が例示される。1つの実施形態において、飽和脂肪族ポリオール100質量部に対するポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリオールの含有量は、0.05〜10モル%が好ましい。
【0065】
<水酸基含有(メタ)アクリレート>
本開示において、「水酸基含有(メタ)アクリレート」は、水酸基及び(メタ)アクリル酸エステル部位を有する化合物を意味する。水酸基含有(メタ)アクリレートは二種以上を併用してもよい。1つの実施形態において、水酸基含有(メタ)アクリレートは、構造式D
【化7】
(式中、R
5a’はアルキレン基又はシクロアルキレン基であり、R
5b’は水素原子又はメチル基である。)で表わされる。
【0066】
水酸基含有(メタ)アクリレートは、β−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、β−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性β−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の1つのエステル部位を有する水酸基含有(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等の複数のエステル部位を有する水酸基含有(メタ)アクリレート等が例示される。
【0067】
モノマー群100質量部に対する水酸基含有(メタ)アクリレートの含有量の上限は、60、50、40、30、20、10質量部等が例示され、下限は、55、50、40、30、20、10、8質量部等が例示される。1つの実施形態において、モノマー群100質量部に対する水酸基含有(メタ)アクリレートの含有量は、8〜60質量部が好ましい。
【0068】
モノマー群100モル%に対する水酸基含有(メタ)アクリレートの含有量の上限は、40、30、20モル%等が例示され、下限は、35、30、20、15モル%等が例示される。1つの実施形態において、モノマー群100モル%に対する水酸基含有(メタ)アクリレートの含有量は、15〜40モル%が好ましい。
【0069】
モノマー群中の飽和脂肪族ポリイソシアネート100質量部に対する水酸基含有(メタ)アクリレートの含有量の上限は、240、200、150、100、50、25質量部等が例示され、下限は、230、200、150、100、50、25、18質量部等が例示される。1つの実施形態において、飽和脂肪族ポリイソシアネート100質量部に対する水酸基含有(メタ)アクリレートの含有量は、18〜240質量部が好ましい。
【0070】
モノマー群中の飽和脂肪族ポリイソシアネート100モル%に対する水酸基含有(メタ)アクリレートの含有量の上限は、100、75、50、40モル%等が例示され、下限は、90、75、50、40、30モル%等が例示される。1つの実施形態において、飽和脂肪族ポリイソシアネート100モル%に対する水酸基含有(メタ)アクリレートの含有量は、30〜100モル%が好ましい。
【0071】
モノマー群中の飽和脂肪族ポリオール100質量部に対する水酸基含有(メタ)アクリレートの含有量の上限は、500、400、300、200、150、100、50、25質量部等が例示され、下限は、400、300、200、150、100、50、25、15質量部等が例示される。1つの実施形態において、飽和脂肪族ポリオール100質量部に対する水酸基含有(メタ)アクリレートの含有量は、15〜500質量部が好ましい。
【0072】
モノマー群中の飽和脂肪族ポリオール100モル%に対する水酸基含有(メタ)アクリレートの含有量の上限は、300、200、150、100、50モル%等が例示され、下限は、200、150、100、50、25モル%等が例示される。1つの実施形態において、飽和脂肪族ポリオール100モル%に対する水酸基含有(メタ)アクリレートの含有量は、25〜300モル%が好ましい。
【0073】
モノマー群中のポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリオール100質量部に対する水酸基含有(メタ)アクリレートの含有量の上限は、125、100、90、75、50、25、10、5、1、0.9、0.5質量部等が例示され、下限は、100、90、75、50、25、10、5、1、0.9、0.5、0.3質量部等が例示される。1つの実施形態において、モノマー群中のポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリオール100質量部に対する水酸基含有(メタ)アクリレートの含有量は、0.3〜125質量部が好ましい。
【0074】
モノマー群中のポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリオール100モル%に対する水酸基含有(メタ)アクリレートの含有量の上限は、7、5、4、2、1、0.9、0.5、0.1、0.09モル%等が例示され、下限は、5、4、2、1、0.9、0.5、0.1、0.09、0.05モル%等が例示される。1つの実施形態において、モノマー群中のポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリオール100モル%に対する水酸基含有(メタ)アクリレートの含有量は、0.05〜7モル%が好ましい。
【0075】
<その他のモノマー>
ウレタン(メタ)アクリレートを飽和脂肪族ポリイソシアネート、飽和脂肪族ポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、水酸基含有(メタ)アクリレートのいずれにも該当しないモノマー(以下「その他のモノマー」ともいう)を用いてもよい。その他のモノマーは、アクリロイルモルホリン、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート等の水酸基を有さない単官能・多官能アクリレート等が例示される。
【0076】
モノマー群100質量部に対するその他のモノマーの含有量は、5、4、1質量部未満、0質量部等が例示される。
【0077】
モノマー群100モル%に対するその他のモノマーの含有量は、5、4、1モル%未満、0モル%等が例示される。
【0078】
<ウレタン(メタ)アクリレートの物性等>
ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量(Mw)の上限は、10万、7.5万、5万、2.5万、1万、5000、2000等が例示され、下限は、9万、7.5万、5万、2.5万、1万、5000、2000、1000等が例示される。1つの実施形態において、ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量(Mw)は、1000〜10万が好ましい。
【0079】
ウレタン(メタ)アクリレートの数平均分子量(Mn)の上限は、10万、7.5万、5万、2.5万、1万、5000、2000等が例示され、下限は、9万、7.5万、5万、2.5万、1万、5000、2000、1000等が例示される。1つの実施形態において、ウレタン(メタ)アクリレートの数平均分子量(Mn)は、1000〜10万が好ましい。
【0080】
ウレタン(メタ)アクリレート100質量部に対するシクロアルキレン基の含有率の上限は、48、45、40、35、30、25、20質量部等が例示され、下限は、45、40、35、30、25、20、19質量部等が例示される。1つの実施形態において、ウレタン(メタ)アクリレート100質量部に対し、シクロアルキレン基を19〜48質量部含む。本開示において、「ウレタン(メタ)アクリレート100質量部に対し、シクロアルキレン基をA質量部含む」は、例えば、シクロアルキレン基を有するモノマーとして1,4−シクロヘキサンジメタノールのみを用いてウレタン(メタ)アクリレートを製造する場合、ウレタン(メタ)アクリレートの分子量(式量)100質量部に対するシクロヘキシレン基の式量がA質量部であることを意味する。
【0081】
ウレタン(メタ)アクリレートを製造する方法としては、飽和脂肪族ポリイソシアネート、飽和脂肪族ポリオール、ポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリオール、並びに、水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させる方法であれば特に限定はされず、公知の製造方法が例示される。上記製造方法は、飽和脂肪族ポリイソシアネート、飽和脂肪族ポリオール、ポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリオール、並びに、水酸基含有(メタ)アクリレートを混合して製造する方法、飽和脂肪族ポリイソシアネート、飽和脂肪族ポリオール、ポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリオールを一括混合して反応させた後、水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させることにより製造する方法等が例示される。
【0082】
モノマー群における各モノマーが有する水酸基の物質量の合計とイソシアネート基の物質量の合計とのモル比(OH/NCO)は、毒性と低透湿性の観点から、1.0〜1.1が好ましい。
【0083】
[活性エネルギー線硬化性樹脂組成物]
本開示は上記ウレタン(メタ)アクリレートを含む、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を提供する。上記組成物は、コーティング用途において好適に用いられ得る。
【0084】
組成物中における上記ウレタン(メタ)アクリレートの含有量の上限は、100、90、80、70、60、55質量部等が例示され、下限は、95、90、80、70、60、55、50質量部等が例示される。1つの実施形態において、上記組成物100質量部に対して、上記ウレタン(メタ)アクリレートを低透湿性の観点から50〜100質量部含むことが好ましい。
【0085】
1つの実施形態において、上記組成物には、光重合開始剤が含まれる。光重合開始剤は二種以上を併用してもよい。光重合開始剤は、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−シクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド、4−メチルベンゾフェノン等が例示される。
【0086】
1つの実施形態において、光重合開始剤の含有量は組成物100質量部に対し、硬化性の観点から、3.0〜7.0質量部等が例示され、別の実施形態において、ウレタン(メタ)アクリレート100質量部に対し、3.0〜14質量部等が例示される。
【0087】
1つの実施形態において、上記組成物には希釈溶剤が含まれる。希釈溶剤は二種以上を併用してもよい。希釈溶剤は、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、アセチルアセトン、トルエン、キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ヘプタン、イソプロピルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、1,4−ジオキサン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が例示される。1つの実施形態において、希釈溶剤の含有量は組成物100質量部に対し、塗工時に適する粘度の観点から、0〜400質量部程度等が例示される。別の実施形態において、ウレタン(メタ)アクリレート100質量部に対し、0〜800質量部程度等が例示される。
【0088】
上記組成物には、ウレタン(メタ)アクリレート、光重合開始剤、希釈溶剤以外の剤を添加剤として含み得る。添加剤は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、表面調整剤、防汚染剤、無機フィラー、シランカップリング剤、コロイダルシリカ、顔料、帯電防止剤、金属酸化物微粒子分散体等が例示される。1つの実施形態において、添加剤の含有量は、組成物100質量部に対して、5、4、1質量部未満、0.1質量部未満、0.01質量部未満、0質量部等が例示され、別の実施形態において、ウレタン(メタ)アクリレート100質量部に対して、5、4、1質量部未満、0.1質量部未満、0.01質量部未満、0質量部等が例示される。
【0089】
[硬化物]
本開示は上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物を提供する。上記硬化物は、上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に、紫外線、電子線、放射線等の活性エネルギー線を照射することにより得られる。
【0090】
紫外線光源は、キセノンランプ、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、LEDランプ等が例示される。紫外線量は硬化物の厚さに応じて適宜調整することができる。
【0091】
[保護膜]
本開示は上記硬化物を含む、保護膜を提供する。上記保護膜は、基材の上に塗布する工程、活性エネルギー線を照射して硬化させて積層させる工程を含む方法により製造される。また活性エネルギー線を照射する工程は、塗布物の乾燥中及び/又は乾燥後に行われ得る。
【0092】
基材は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ノルボルネン系樹脂等が例示される。
【0093】
塗布方法は、バーコーター塗工、メイヤーバー塗工、エアナイフ塗工、グラビア塗工、リバースグラビア塗工、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷法等が例示される。
【0094】
上記保護膜は、バリアフィルム、偏光板、包装用フィルム等に用いられ得る。
【実施例】
【0095】
以下に、合成例、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明で、特に説明がない限り部及び%は質量基準である。
【0096】
<合成例1>(シクロアルキレン基を含むウレタンアクリレートの合成)
撹拌機、温度計、還流冷却機を取り付けた三つ口フラスコに、水添キシレンジイソシアネート(H−XDI)31.6部、トリシクロデカンジメタノール(以下、TCDDM)16.0部、ポリエーテルポリオール(商品名「ユニオールD−2000」、日油(株)製)3.5部、酢酸ブチル30.0部、オクチル酸スズ0.01gを仕込み、80℃で反応させた。残存イソシアネート基が8.4%となった時点で2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)18.9部、オクチル酸スズ0.01g、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.07gを加え、残存イソシアネート基が0.1%以下になるまで反応を行い、樹脂分70%のウレタンアクリレート溶液100g(A−1)を得た。
【0097】
合成例1以外の合成例及び比較合成例は、反応成分を下記表のように変更した以外、合成例1と同様にして行った。
【0098】
【表1】
1A’−6は反応が進むにつれて結晶化し、合成できなかった。
H−XDI:水添キシレンジイソシアネート
NBDI:ノルボルネンジイソシアネート
HDI:ヘキサメチレンジイソシアネート
TCDDM:トリシクロデカンジメタノール
DEPD:2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール
CHDM:1,4−シクロヘキサンジメタノール
ポリエーテルポリオール(商品名「ユニオールD−2000」、日油(株)製)
ポリエステルポリオール(商品名「クラレポリオールP−4010」、(株)クラレ製)
HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート
PE3A:ペンタエリスリトールトリアクリレート
【0099】
次に、本発明のウレタン(メタ)アクリレートの硬化物フィルムとしての実施例を示す。
実施例1
ウレタンアクリレート(A−1)54.4部、光重合開始剤であるIRGACURE184(Irg.184)1.9部、メチルエチルケトン(MEK)43.7部を均一になるように撹拌して、固形分40%の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
【0100】
実施例2〜5、比較例1〜5
以下、同様にして表2の配合比率に従い、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の調製を行った。
【表2】
【0101】
<乾燥膜の作成>
上記、実施例1から5及び比較例1から5の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、トリアセチルセルロースフィルム上又はガラス板上に、バーコータNo20を用いて、乾燥膜厚10μmになるようにハンドコートを行い、90℃で3分乾燥させた。
【0102】
<硬化膜の作成>
実施例1から5及び比較例1から5の乾燥膜の状態から、高圧水銀灯80W、1灯を用いて積算照射量300mJ/cm
2を照射させ硬化膜を作成し、以下の評価を行った。
【0103】
<硬化膜の透湿度の評価>
トリアセチルセルロースフィルム上に作成した硬化膜を用い、JIS Z 0208の透湿度試験法(カップ法)に準じて測定。温度40℃、湿度90%RHの雰囲気中、試験片の面積1m
2あたりの24時間に通過する水蒸気のグラム数を測定した。
【0104】
<硬化膜の破断強度の評価>
ガラス板上に作成した硬化膜を剥がして得た単体硬化膜を用い、JIS K 7127のフィルム及びシートの試験条件及び、JIS K 7161の引張特性の試験方法に準じて測定した。
【0105】
実施例1から5及び比較例1から5の評価結果を表3に示す。
【表3】
※破断強度弱く測定中に試験片が切れてしまうため。