(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1〜
図7を参照して、
図1に示す上部スプレッダ取付装置50を備えるクレーン1について説明する。
【0010】
クレーン1は、ブーム20(起伏部材)を用いた作業を行う作業機械であり、例えば建設作業を行う建設機械である。クレーン1は、下部本体11と、上部旋回体13と、ブーム20と、ガントリ30(起伏部材)と、下部スプレッダ41と、ガイライン43と、起伏ウインチ45と、起伏ロープ47と、上部スプレッダ取付装置50と、を備える。
【0011】
下部本体11は、上部旋回体13を下側Z2から支持する。下部本体11は、走行可能でもよく、走行不可能でもよい。クレーン1は、移動式クレーンでもよく、固定式クレーンでも良い。上部旋回体13(クレーン本体)は、下部本体11に対して旋回可能である。上部旋回体13には、ブーム20が回転可能に取り付けられる。上部旋回体13には、ガントリ30が取り付けられる。下部本体11に対する上部旋回体13の回転軸が延びる方向を上下方向Zとする。上下方向Zにおいて、下部本体11から上部旋回体13に向かう側を上側Z1とし、その逆側を下側Z2とする。上部旋回体13に対するブーム20の回転軸が延びる方向を、横方向Yとする。横方向Yおよび上下方向Zのそれぞれに直交する方向を、前後方向Xとする。前後方向Xにおいて、上部旋回体13へのガントリ30の取り付け位置から、上部旋回体13へのブーム20の取り付け位置に向かう側を前側X1とし、その逆側を後側X2とする。
【0012】
ブーム20(起伏部材)は、上部旋回体13に回転(起伏)可能に取り付けられる。ブーム20は、上部旋回体13の前側X1部分に取り付けられる。例えば、ブーム20は、パイプを組み合わせたラチス構造を有するラチスブームなどである。ブーム20の中心軸であって、ブーム20の長手方向に延びる中心軸を、ブーム中心軸20aとする。ブーム中心軸20aが延びる方向が水平方向となるようにブーム20を伏せた状態のときの、ブーム20の上面となる面をブーム背面20bとし、ブーム20の下面となる面をブーム腹面20cとする。ブーム20は、下部ブーム21と、中間ブーム23と、上部ブーム25と、を備える。
【0013】
(ブーム20に関する方向)
ブーム中心軸20aが延びる方向を、ブーム軸方向Xbとする。ブーム軸方向Xbにおいて、ブーム20の基端部(上部旋回体13に取り付けられる側の部分)から先端部(上部旋回体13に取り付けられる側とは反対側の部分)に向かう側をブーム先端側Xb1とし、その逆側をブーム基端側Xb2とする。上部旋回体13に対するブーム20の回転軸が延びる方向(横方向Y)を、ブーム横方向Ybともいう。ブーム軸方向Xbおよびブーム横方向Ybのそれぞれに直交する方向を、ブーム上下方向Zbとする。ブーム上下方向Zbにおいて、ブーム腹面20cからブーム背面20bに向かう側をブーム上側Zb1(起伏部材上側)とし、その逆側をブーム下側Zb2(起伏部材下側)とする。
【0014】
下部ブーム21は、ブーム20の基端部を含む。上部ブーム25は、ブーム20の先端部を含む。中間ブーム23は、下部ブーム21と上部ブーム25との間に設けられる。下部ブーム21、中間ブーム23、および上部ブーム25は、例えばピンなどの連結具によって連結される。中間ブーム23の個数(
図1に示す例では2個)が調整されることで、ブーム20全体の長さが調整される。
【0015】
ガントリ30(起伏部材)、下部スプレッダ41、ガイライン43、起伏ウインチ45、起伏ロープ47、および上部スプレッダ60(後述)は、上部旋回体13に対してブーム20を起伏させるブーム起伏装置を構成する。
【0016】
ガントリ30は、上部旋回体13に取り付けられ、Aフレームとも呼ばれる。ガントリ30は、ブーム20よりも後側X2に配置される。ガントリ30は、コンプレッションメンバ31と、テンションメンバ33と、を備える。
【0017】
コンプレッションメンバ31は、上部旋回体13に回転(起伏)可能に取り付けられる。コンプレッションメンバ31は、上部旋回体13に、ピンを介して、着脱可能に取り付けられる。クレーン1の使用時(クレーン作業時、吊荷を吊り上げる作業などが行われる時)には、コンプレッションメンバ31は、基端部から先端部に向かって、後側X2および上側Z1に延びるように配置される。クレーン1の分解時および組立時などには、コンプレッションメンバ31は、倒伏姿勢となる場合がある。倒伏姿勢のコンプレッションメンバ31は、基端部から先端部に向かって後側X2に延びるように、コンプレッションメンバ31の長手方向が前後方向Xに延びるように配置される。コンプレッションメンバ31が倒伏姿勢のときの、コンプレッションメンバ31の上面を、ガントリ背面30bとする。例えば、コンプレッションメンバ31は、横方向Yに間隔をあけて配置される2本の(左右一対の)構造物を備える。
【0018】
テンションメンバ33は、コンプレッションメンバ31の先端部(コンプレッションメンバ31のうち上部旋回体13に取り付けられる側とは反対側の部分)と上部旋回体13とに接続される。テンションメンバ33は、横方向Yに間隔をあけて配置される2本の(左右一対の)部材を備える。例えば、左右の部材のそれぞれは、リンク部材を連結したものなどである。
【0019】
下部スプレッダ41は、ガントリ30の(コンプレッションメンバ31の)先端部に設けられる。下部スプレッダ41は、複数の下部スプレッダシーブ41sを有する。下部スプレッダシーブ41sは、起伏ロープ47が掛けられる滑車である。下部スプレッダシーブ41sは、横シーブと縦シーブとを備えてもよく、縦シーブのみを備えてもよい。縦シーブの下部スプレッダシーブ41sの回転軸の方向は、横方向Yである。横シーブの下部スプレッダシーブ41sの回転軸の方向は、下部スプレッダ41と上部スプレッダ60とをつなぐ直線方向、および横方向Yのそれぞれに直交する方向である。
【0020】
ガイライン43は、クレーン1の使用時などに、上部スプレッダ60とブーム20の先端部(上部ブーム25)とに接続される。ガイライン43は、クレーン1の分解時には、上部スプレッダ60に接続されない場合がある。例えば、ガイライン43は、ロープ(ガイロープ、ペンダントロープ)を備えてもよく、リンク(ガイリンク)を備えてもよく、ロープおよびリンクを備えてもよい。
【0021】
起伏ウインチ45(ブーム起伏ウインチ)は、起伏ロープ47の巻き取りおよび繰り出しを行う。起伏ウインチ45は、上部旋回体13に取り付けられてもよく、コンプレッションメンバ31に取り付けられてもよい(
図1において二点鎖線で示す起伏ウインチ45を参照)。
【0022】
起伏ロープ47は、起伏ウインチ45に巻き付けられる。起伏ロープ47は、起伏ウインチ45から引き出され、下部スプレッダ41に掛けられ、下部スプレッダ41および上部スプレッダ60に掛け回される。起伏ロープ47の先端部は、所定の箇所に固定される。起伏ウインチ45が、起伏ロープ47を巻き取りおよび繰り出しすると、下部スプレッダ41と上部スプレッダ60との間隔が変わる。クレーン1の使用時には、上部スプレッダ60とブーム20の先端部とがガイライン43で接続されているので、下部スプレッダ41と上部スプレッダ60との間隔が変わると、上部旋回体13に対してブーム20が起伏する。
【0023】
上部スプレッダ取付装置50は、上部スプレッダ60を起伏部材(ブーム20など)に取り付けるための装置である。上部スプレッダ取付装置50は、上部スプレッダ60の起伏部材(ブーム20など)への取り付けを容易にする。上部スプレッダ取付装置50は、上部スプレッダ60と、取付部80と、取付ピン90(
図5参照)と、を備える。
【0024】
上部スプレッダ60は、ブーム起伏装置を構成する。上部スプレッダ60は、
図2に示す上部スプレッダフレーム61と、上部スプレッダシーブ63と、
図7に示す上部スプレッダ側取付孔65と、被ガイド部支持部67と、被ガイド部70と、を備える。
【0025】
(上部スプレッダ60に関する方向)
上部スプレッダ60に関する方向には、
図3に示すように、スプレッダ前後方向Xsと、スプレッダ横方向Ysと、スプレッダ上下方向Zsと、がある。
図1において二点鎖線で示すように、起伏ロープ47およびガイライン43が上部スプレッダ60に接続され、起伏ロープ47およびガイライン43が略直線状に配置された状態(以下、この状態を上部スプレッダ60の「使用状態」という)になる場合がある。
図3に示すように、スプレッダ前後方向Xsは、上部スプレッダ60が使用状態のときの、起伏ロープ47およびガイライン43が延びる方向である。スプレッダ前後方向Xsにおいて、起伏ロープ47からガイライン43に向かう側をスプレッダ前側Xs1とし、その逆側をスプレッダ後側Xs2とする。スプレッダ横方向Ysは、上部スプレッダ60が使用状態のときに、横方向Yと一致(または略一致)する方向である。
図2に示すスプレッダ横方向Ysにおいて、上部スプレッダ60の中央部(スプレッダ横方向Ysにおける中央部)に向かう側をスプレッダ横方向Ys内側とし、上部スプレッダ60の中央部から遠ざかる側をスプレッダ横方向Ys外側とする。
図3に示すように、スプレッダ上下方向Zsは、スプレッダ前後方向Xsおよびスプレッダ横方向Ysのそれぞれに直交する方向である。
【0026】
上部スプレッダフレーム61は、上部スプレッダシーブ63および被ガイド部70を支持するフレーム(構造物)である。例えば、
図2に示すように、上部スプレッダフレーム61は、上下部材61aと、側部部材61bと、ガイライン接続部61dと、を備える。上下部材61aは、上部スプレッダフレーム61のスプレッダ上下方向Zsの両側(上下)部分を構成する。例えば、上下部材61aは、スプレッダ上下方向Zsに間隔を開けて配置される2枚の板を備える。
【0027】
側部部材61bは、上部スプレッダフレーム61の、スプレッダ横方向Ys外側の両側(左右)部分を構成する。左右の側部部材61bのそれぞれは、内側側部部材61biと、外側側部部材61boと、を備える。内側側部部材61biは、スプレッダ前後方向Xsおよびスプレッダ上下方向Zsに延びる板状部材などである(外側側部部材61boも同様)。
図7に示すように、内側側部部材61biには、上部スプレッダ側取付孔65が形成される(外側側部部材61boも同様)。
図2に示すように、外側側部部材61boは、内側側部部材61biよりもスプレッダ横方向Ys外側に配置される。外側側部部材61boは、上部スプレッダフレーム61のスプレッダ横方向Ys外側の面(側面)を構成する。
【0028】
ガイライン接続部61dは、ガイライン43(
図3参照)が取り付けられる部分である。ガイライン接続部61dは、例えばピン孔を備え、例えば上部スプレッダ60にガイライン43を取り付けるためのピンを差し込み可能なピン孔を備える。ガイライン接続部61dは、
図2に示す例のように上下部材61aに設けられてもよく、側部部材61bに設けられてもよい。
【0029】
上部スプレッダシーブ63は、
図3に示すように、起伏ロープ47が掛けられる滑車である。上部スプレッダシーブ63は、上部スプレッダフレーム61に回転可能に取り付けられる。上部スプレッダシーブ63は、横シーブを備えてもよく、縦シーブを備えてもよい。横シーブの上部スプレッダシーブ63の回転軸の方向は、スプレッダ上下方向Zsである。縦シーブの上部スプレッダシーブ63の回転軸の方向は、スプレッダ横方向Ysである。例えば、上部スプレッダシーブ63は、上下部材61aの間(スプレッダ上下方向Zsにおける間)に配置される。例えば、
図2に示すように、上部スプレッダシーブ63は、側部部材61bの間(スプレッダ横方向Ysにおける間)に配置される。
【0030】
上部スプレッダ側取付孔65は、
図7に示すように、取付ピン90を差し込み可能な孔(さらに詳しくは孔の内面)である。上部スプレッダ側取付孔65は、取付部80に上部スプレッダ60を取付ピン90で連結するための部分である。上部スプレッダ側取付孔65は、上部スプレッダフレーム61に形成される。上部スプレッダ側取付孔65は、例えば、側部部材61bに形成され、例えば、内側側部部材61biおよび外側側部部材61boのそれぞれに形成される。
【0031】
被ガイド部支持部67は、上部スプレッダフレーム61に対して被ガイド部70を回転可能に支持する。被ガイド部支持部67は、上部スプレッダフレーム61に固定される。被ガイド部支持部67は、上部スプレッダフレーム61からスプレッダ横方向Ysに突出する。被ガイド部支持部67は、上部スプレッダフレーム61のスプレッダ横方向Ys両側(左右)に設けられる。上部スプレッダフレーム61に対する被ガイド部支持部67の配置は、後述する上部スプレッダフレーム61に対する被ガイド部70の配置と同様である。例えば、被ガイド部支持部67は、円筒状(中空の円筒状、円筒ピン)であり、円筒状の突出物である。被ガイド部支持部67の内面は、上部スプレッダ側取付孔65を構成する。被ガイド部支持部67の径方向の内側(さらに詳しくは被ガイド部支持部67の内面よりも径方向内側)の部分は、中空である(中空部70cを参照)。被ガイド部支持部67の中心軸(円筒の中心軸)の方向は、スプレッダ横方向Ysである。
【0032】
被ガイド部70は、
図2に示すように、ガイド部83(後述)に沿って移動可能であり、ガイド部83にガイドされる。被ガイド部70は、上部スプレッダフレーム61に設けられる。被ガイド部70は、被ガイド部支持部67の径方向の外側(被ガイド部支持部67よりも径方向外側)に配置される。被ガイド部70の少なくとも一部(例えばガイド部83と接触する部分など)は、例えば、金属製でもよく、樹脂製でもよい。被ガイド部70の少なくとも一部が樹脂製の場合は、被ガイド部70の全体が金属製である場合などに比べ、被ガイド部70を軽量にできる。
【0033】
この被ガイド部70は、上部スプレッダフレーム61のスプレッダ横方向Ys両側(左右)に設けられる。例えば、被ガイド部70は、上部スプレッダフレーム61のスプレッダ横方向Ys外側の面よりも、スプレッダ横方向Ys外側に配置されてもよく、スプレッダ横方向Ys内側に配置されてもよい(図示なし)。さらに詳しくは、被ガイド部70は、外側側部部材61boよりも、スプレッダ横方向Ys外側に配置されてもよく、スプレッダ横方向Ys内側に配置されてもよい(図示なし)。例えば、被ガイド部70は、外側側部部材61boよりもスプレッダ横方向Ys内側、かつ、内側側部部材61biよりもスプレッダ横方向Ys外側などに配置されてもよい。例えば、被ガイド部70は、内側側部部材61biよりもスプレッダ横方向Ys内側に配置されてもよい。被ガイド部70には、被ガイド部中心軸70aと、中空部70cと、がある。また、被ガイド部70は、軸受70bを備える。
【0034】
被ガイド部中心軸70aは、被ガイド部70の中心軸であって、スプレッダ横方向Ysに延びる中心軸である。被ガイド部中心軸70aは、スプレッダ横方向Ysと一致する方向に延びてもよく、スプレッダ横方向Ysとほぼ一致する方向に延びてもよい。例えば、
図7に示すように、被ガイド部70は、被ガイド部中心軸70aを中心とする円筒状(中空の円筒状)である。なお、被ガイド部70は、被ガイド部中心軸70aを中心とする円柱状などでもよい。
【0035】
この被ガイド部中心軸70aは、スプレッダ横方向Ysから見て、上部スプレッダ側取付孔65と重なる位置に配置される。なお、スプレッダ横方向Ysから見て、被ガイド部中心軸70aと上部スプレッダ側取付孔65とが、実際に重なって見える必要はない。好ましくは、被ガイド部中心軸70aと、上部スプレッダ側取付孔65の中心軸とが略一致する。好ましくは、被ガイド部中心軸70aと、上部スプレッダ側取付孔65の中心位置と、が一致する。
【0036】
軸受70bは、上部スプレッダフレーム61に対して被ガイド部70を回転可能にする。被ガイド部70は、被ガイド部中心軸70a(スプレッダ横方向Ysの回転軸)を中心に、上部スプレッダフレーム61に取り付けられるローラである。なお、軸受70bは設けられなくてもよく、被ガイド部70はローラでなくてもよい。
図2に示す被ガイド部70は、上部スプレッダフレーム61に対して固定されてもよい。被ガイド部70は、ガイド部83および規制部85に被ガイド部70が接触したときに(詳細は後述)、被ガイド部70を中心として上部スプレッダ60が回転移動するように構成されればよい。
【0037】
中空部70cは、
図7に示すように、被ガイド部70よりも径方向内側の空間(部分)である。中空部70cが設けられることで、中空部70cが設けられない場合に比べ、被ガイド部70の質量を抑制しつつ、被ガイド部70を大径にできる。被ガイド部70が大径であるほど、ガイド部83にし対して被ガイド部70が安定してガイドされやすい(ガイド部83に部に対する被ガイド部70の位置が安定する)。中空部70cは、上部スプレッダ側取付孔65にスプレッダ横方向Ysに連続する。中空部70cは、中空部70cおよび上部スプレッダ側取付孔65を貫通するように、取付ピン90を差し込み可能となるように構成される。なお、被ガイド部70は、中空部70cを有さなくてもよい(中空でなくてもよい)。
【0038】
取付部80は、
図1に示すように、上部スプレッダ60が取り付けられる部分である。取付部80には、ブーム20に設けられるブーム側取付部80Bと、ガントリ30に設けられるガントリ側取付部80Gと、がある。例えば、ブーム側取付部80Bは、ブーム背面20bに取り付けられる。例えば、ガントリ側取付部80Gは、ガントリ背面30bに取り付けられる。ブーム側取付部80Bとガントリ側取付部80Gとは、同様またはほぼ同様に構成される。以下では、主にブーム側取付部80Bについて説明する。
図2に示すように、取付部80は(具体的にはブーム側取付部80Bは)、ブーム20のブーム横方向Yb両側(左右)に設けられる。取付部80には、左側(ブーム先端側Xb1に向かって見て左側)の取付部80である左側取付部80Lと、右側の取付部80である右側取付部80Rと、がある。右側取付部80Rと、左側取付部80Lとは、ブーム横方向Ybに互いに対称(または略対称)に設けられる。以下では、取付部80として、主に、ブーム側取付部80Bの右側取付部80Rについて説明する。取付部80は、取付部フレーム81と、ガイド部83と、規制部85と、取付部側取付孔89と、を備える。
【0039】
取付部フレーム81は、取付部80を構成する構造物である。例えば、取付部フレーム81は、第1取付部フレーム81aと、第2取付部フレーム81bと、を備える。
【0040】
第1取付部フレーム81aは、上部スプレッダ60が連結されるブラケットである(
図4参照)。第1取付部フレーム81aは、ブーム20に固定される。第1取付部フレーム81aのブーム20への固定は、例えば溶接による固定でもよく、固定部材(例えばボルトおよびナット、例えばピンなど)などによる固定でもよい。例えば、第1取付部フレーム81aは、下部ブーム21に固定されてもよく、中間ブーム23(
図1参照)に固定されてもよい。例えば、第1取付部フレーム81aは、下部ブーム21のブーム先端側Xb1部分に固定されてもよい(
図1参照)。例えば、第1取付部フレーム81aは、
図2に示す例のようにブーム20のブーム横方向Yb外側部分に固定されてもよく、ブーム20のブーム横方向Yb外側部分(例えば外側端部)よりもブーム横方向Yb内側部分に固定されてもよい(図示なし)。第1取付部フレーム81aは、ブーム背面20bから、ブーム上側Zb1に突出する。第1取付部フレーム81aは、例えば板状などであり、例えば、ブーム上下方向Zbおよびブーム軸方向Xbに延びる(第2取付部フレーム81bも同様)。
【0041】
第2取付部フレーム81bは、第1取付部フレーム81aに取り付けられる。第2取付部フレーム81bは、ガイド部83を含む部材(案内部材、例えば案内板など)である。第2取付部フレーム81bは、第1取付部フレーム81aに回転可能に取り付けられる。
図3に示すように、第2取付部フレーム81bは、ブーム横方向Ybに延びる回転軸を中心に第1取付部フレーム81aに対して回転可能であり、支点ピンP1(案内板取付支点ピン)を中心に第1取付部フレーム81aに対して回転可能である。第2取付部フレーム81bは、固定ピンP2(案内板取付固定ピン)により、第1取付部フレーム81aに対して固定される。第2取付部フレーム81bは、
図2に示す例では、第1取付部フレーム81aよりもブーム横方向Yb外側に配置され、また、第1取付部フレーム81aよりもブーム横方向Yb内側に配置されてもよい(図示なし)。第2取付部フレーム81bは、ブーム横方向Ybから見て、例えば略三角形状などでもよく、例えば略三角形状でなくてもよい。
【0042】
この第2取付部フレーム81bは、取付部80の使用時(上部スプレッダ60が取付部80に取り付けられるとき)には、第1取付部フレーム81aに対してブーム上側Zb1に突出する(起立する)ように配置される。
図4において二点鎖線で示すように、第2取付部フレーム81bは、取付部80の不使用時(クレーン作業時など)には、使用時よりも、第1取付部フレーム81aに対するブーム上側Zb1への突出量が小さくなるように配置(格納)される。よって、クレーン作業時などに、第2取付部フレーム81bにロープ(例えば吊荷を巻き上げるための巻き上げロープなど)が引っ掛かりにくい。また、ブーム20の輸送時などに、第2取付部フレーム81bを他の部材にぶつけにくく、第2取付部フレーム81bの損傷を抑制できる。また、ブーム20の輸送時に、ブーム軸方向Xbが略水平方向となるようにブーム20が配置された姿勢(輸送姿勢)にされる場合があるところ、輸送姿勢のブーム20の全高を低くできる場合がある。よって、ブーム20の輸送時に有利になる。具体的には例えば、ブーム20および取付部80の高さの、輸送制限高さに対する余裕を大きくできる。なお、第2取付部フレーム81bは、第1取付部フレーム81aに対して回転可能でなくてもよい。また、第2取付部フレーム81bは、第1取付部フレーム81aに対して着脱可能でもよい。また、取付部フレーム81は、第1取付部フレーム81aと第2取付部フレーム81bとに分かれていなくてもよい。例えば、第2取付部フレーム81bを格納する必要がない場合などには、第1取付部フレーム81aと第2取付部フレーム81bとが一体的に構成されてもよい。
【0043】
ガイド部83は、被ガイド部70に接触可能であり、傾斜方向D1に沿って被ガイド部70をガイドする。さらに詳しくは、ガイド部83は、ガイド部83に被ガイド部70を接触させながら、傾斜方向D1に沿って被ガイド部70を移動させる。ガイド部83は、ブーム20に対して固定される。ガイド部83は、例えば、取付部フレーム81に設けられ、例えば、第2取付部フレーム81bに形成される。
図3に示すように、ガイド部83(傾斜部、傾斜面)の傾斜方向D1は、ブーム軸方向Xbに対して傾斜する。ガイド部83は、ブーム先端側Xb1ほどブーム下側Zb2に配置されるように(前下がりに)、ブーム軸方向Xbに対して傾斜する。なお、ガイド部83は、ブーム基端側Xb2ほどブーム下側Zb2に配置されるように(後ろ下がりに)、ブーム軸方向Xbに対して傾斜してもよい。以下では、ガイド部83が前下がりに傾斜する場合について説明する。なお、ガイド部83が後ろ下がりに傾斜する場合は、例えば以下の説明におけるブーム先端側Xb1とブーム基端側Xb2とを逆にすればよい。
【0044】
このガイド部83の傾斜方向D1は、ガイド部83の傾斜に沿った方向である。ブーム横方向Ybから見たとき、ガイド部83の傾斜方向D1は、直線(1本および折れ線を含む)に沿った方向でもよく、曲線に沿った方向でもよく、直線と曲線とを含む線に沿った方向でもよい。ガイド部83の傾き(ブーム軸方向Xbに対する傾斜方向D1の傾き)は、ガイド部83に沿って段階的に変化してもよく、連続的に変化してもよく、変化しなくてもよい。
図3に示す例では、ガイド部83の傾きは、3種類(3段階)ある。この例では、ガイド部83のブーム基端側Xb2部分の傾きよりも、ガイド部83のブーム先端側Xb1部分の傾きの方が大きい。傾斜方向D1において、ガイド部83に沿って被ガイド部70が下側Z2(ブーム下側Zb2)に移動するときの被ガイド部70の移動の向き(進行方向)を傾斜下側D1aとし、その逆向きを傾斜上側D1b(
図6参照)とする。
【0045】
このガイド部83は(例えば第2取付部フレーム81bは)、
図2に示すように、上部スプレッダ60のブーム横方向Ybへの移動を規制してもよい。例えば、上部スプレッダフレーム61の側面(例えば側部部材61b)がガイド部83に接触したときに、ガイド部83は、上部スプレッダ60のブーム横方向Ybへの移動を規制してもよい。左右のガイド部83・83は、上部スプレッダフレーム61をスプレッダ横方向Ysから挟むように配置されてもよい。左右のガイド部83・83は、左右の側部部材61b・61b(さらに詳しくは左右の外側側部部材61bo・61bo)をスプレッダ横方向Ysから挟むように配置されてもよい。
【0046】
規制部85は、
図5に示すように、被ガイド部70に接触可能であり、取付部80に対する被ガイド部70の移動を規制する。規制部85は、
図5に示す例ではガイド部83と不連続であり(離れており)、ガイド部83と連続してもよい。規制部85は、ブーム20に対して固定される。規制部85は、例えば、取付部フレーム81に固定され、例えば、取付部フレーム81に溶接により固定される。
図2に示すように、規制部85は、第1取付部フレーム81aのブーム横方向Yb外側の面(側面)から、ブーム横方向Yb外側に突出する。なお、規制部85は、第2取付部フレーム81bに固定されてもよい。規制部85は、板状でもよく、ブロック状などでもよい。
図5に示す例では、規制部85は、ブーム横方向Ybから見て略J字状の板状部材である。
図6に示すように、規制部85は、傾斜方向規制部85aと、離間方向規制部85bと、円弧状部分85cと、を備える。
【0047】
傾斜方向規制部85aは、傾斜方向D1への(傾斜下側D1aへの)被ガイド部70の移動であって、ガイド部83に沿った被ガイド部70の移動を規制する。例えば、傾斜方向規制部85aは、被ガイド部70の表面の第1範囲A85aの少なくとも一部に接触可能な位置に配置される。第1範囲A85aは、被ガイド部70の表面のうち傾斜下側D1aを向く表面の範囲である。なお、
図6では、被ガイド部70から離れた位置に第1範囲A85aを示した(第2範囲A85bも同様)。
【0048】
離間方向規制部85bは、ガイド部83から被ガイド部70が離れる向きへの、被ガイド部70の移動を規制する。さらに詳しくは、離間方向規制部85bは、ガイド部83および傾斜方向規制部85aに被ガイド部70が接触した状態のときの、ガイド部83から被ガイド部70が離れる向き(離間方向D2)への、被ガイド部70の移動を規制する。離間方向D2は、傾斜方向D1に直交する方向であって、ブーム先端側Xb1を向く向きである。離間方向規制部85bは、被ガイド部70の離間方向D2への移動を規制することで、ガイド部83から被ガイド部70が外れることを抑制し、上部スプレッダ60(
図5参照)の離間方向D2への移動を規制する。例えば、離間方向規制部85bは、被ガイド部70の表面の第2範囲A85bの少なくとも一部に接触可能な位置に配置される。第2範囲A85bは、被ガイド部70の表面のうち、離間方向D2を向く表面(ただし傾斜上側D1bを向く部分を除く)の範囲である。離間方向規制部85bの少なくとも一部は、傾斜方向規制部85aの一部でもよく、傾斜方向規制部85aとは別に設けられてもよい。
【0049】
この規制部85は、
図5に示す取付部80から上部スプレッダ60が取り外される際に、被ガイド部70との干渉を抑制できるように配置される。具体的には、規制部85は、次のように配置される。取付部80から上部スプレッダ60が取り外されるときの姿勢をブーム20がとり、かつ、ガイド部83および規制部85に被ガイド部70が接触した状態(例えば
図5に示す状態)を、状態αとする。この状態αのとき、
図6に示すように、規制部85は、被ガイド部70の真上の領域(真上領域A70)の外側のみに配置される。真上領域A70は、仮に、状態αの状態から、上側Z1と一致する向きに直線的に被ガイド部70を移動させたとしたときに、被ガイド部70が通る領域である。なお、
図5に示す取付部80から上部スプレッダ60が取り外される際に、被ガイド部70が通る領域(軌跡)は、
図6に示す真上領域A70と一致してもよく、ほぼ真上領域A70でもよい。ここで、取付部80から上部スプレッダ60が取り外されるときのブーム20の姿勢(以下「状態αのときのブーム20の姿勢」)は、次の通りである。例えば、状態αのときのブーム20の姿勢は、
図1に示す下部ブーム21と、下部ブーム21よりも先端側のブーム20(中間ブーム23および上部ブーム25)と、が分離された姿勢などである。例えば、状態αのときのブーム20の姿勢は、下部ブーム21の前側X1かつ下側Z2の端部が着地した姿勢などである。状態αのときのブーム20の姿勢は、例えば
図5などに示すように、ブーム背面20bが水平方向に配置された姿勢でもよく、ブーム背面20bが略水平方向に配置された姿勢でもよい。なお、
図1に示すガントリ側取付部80Gから上部スプレッダ60が取り外されるときのガントリ30の姿勢は、例えば、ガントリ背面30bが水平方向または略水平方向に配置された姿勢などである。
【0050】
円弧状部分85cは、
図6に示すように、被ガイド部70を安定した状態で保持するための部分である。円弧状部分85cは、ブーム横方向Ybから見たときに円弧状である。円弧状部分85cは、被ガイド部70の外周面に沿うように形成される。円弧状部分85cの曲率半径は、被ガイド部70の半径と等しい、または略等しい。円弧状部分85cは、被ガイド部70の外周面に面接触、または略面接触するように構成される。円弧状部分85cは、傾斜方向規制部85aおよび離間方向規制部85bの少なくともいずれかに設けられ、両方に設けられてもよい。
【0051】
取付部側取付孔89は、
図7に示すように、取付ピン90を差し込み可能な孔(さらに詳しくは孔の内面)である。取付部側取付孔89は、ブーム20に対して固定される。取付部側取付孔89は、例えば第1取付部フレーム81aに形成される。取付部側取付孔89の位置の詳細は後述する。
【0052】
取付ピン90は、上部スプレッダ60を取付部80に取り付けるための部材(取付部材、連結部材)である。取付ピン90は、上部スプレッダ側取付孔65と、取付部側取付孔89と、に差し込まれる。これにより、取付ピン90は、上部スプレッダ60と取付部80とを連結する。取付ピン90は、
図7に示す例では中空部70cに差し込まれ、中空部70cに差し込まれなくてもよい。
【0053】
(取付部側取付孔89の位置)
取付部側取付孔89は、次のように配置される。
図5に示すように、取付部側取付孔89は、ガイド部83および規制部85に被ガイド部70が接触したときに、上部スプレッダ側取付孔65と合う位置に配置される。このように取付部側取付孔89と上部スプレッダ側取付孔65の位置が合うように、規制部85の位置が設定される。このとき、ブーム横方向Ybから見て、取付部側取付孔89は、上部スプレッダ側取付孔65と重なる位置に配置される。このとき、取付部側取付孔89と上部スプレッダ側取付孔65とが、ブーム横方向Ybに連続する。
図7に示す例では、上部スプレッダ側取付孔65と中空部70cとは、スプレッダ横方向Ysに連続する。よって、この場合、中空部70cと、取付部側取付孔89と、上部スプレッダ側取付孔65とが、ブーム横方向Yb(スプレッダ横方向Ys)に連続する。よって、中空部70cと、取付部側取付孔89と、上部スプレッダ側取付孔65とに、取付ピン90を差し込み可能である。
【0054】
(作動)
図1に示すクレーン1(特に上部スプレッダ取付装置50)は、以下のように作動するように構成される。クレーン1の輸送時には、クレーン1が分解された状態になる。これは、クレーン1の部品を輸送車(トレーラなど)に搭載するため、また、輸送時の質量および寸法を規制値以内に収めるためである。例えば、輸送時には、下部ブーム21と、下部ブーム21よりも先端側のブーム20(中間ブーム23および上部ブーム25)と、が分離された状態になる。例えば、輸送時には、下部ブーム21は、上部旋回体13に取り付けられた状態でもよく、上部旋回体13から分離された状態でもよい。
【0055】
(クレーン1の分解)
クレーン1は、次のように分解される。クレーン1が作業可能な状態のとき、ブーム20は、上部旋回体13に対して上側Z1に起こされた状態になる(図示なし)。この状態で、起伏ロープ47が、起伏ウインチ45により繰り出される(緩められる)。すると、ブーム20の先端部(上部ブーム25)が着地する。そして、起伏ロープ47が、起伏ウインチ45により、さらに繰り出される。すると、上部スプレッダ60は、取付部80(ここではブーム側取付部80B)に向かって、下側Z2に移動する。このとき、上部スプレッダ60は、起伏ロープ47の張力の影響、ガイライン43の張力の影響、ならびに、上部スプレッダ60、起伏ロープ47、およびガイライン43のそれぞれの重心位置の影響を受ける。そのため、上部スプレッダ60は、様々な方向に傾きながら(前後方向X、上下方向Z、および横方向Yを回転軸として回転しながら)、取付部80に向かって移動する。
【0056】
図3に示すように、上部スプレッダ60が取付部80の位置まで移動すると、被ガイド部70は、ガイド部83に接触し、ガイド部83に沿って傾斜下側D1aに移動する。被ガイド部70がガイド部83に沿って移動している際には、上部スプレッダ60は、様々な方向に傾く場合がある。被ガイド部70がさらに傾斜下側D1aに移動すると、
図5に示すように、被ガイド部70が、ガイド部83だけでなく、規制部85にも接触する。このとき、
図6に示すように、傾斜方向規制部85aは、ガイド部83の傾斜方向D1(傾斜下側D1a)への、被ガイド部70の移動を抑制する。また、離間方向規制部85bは、ガイド部83から被ガイド部70が離れる向き(離間方向D2)への、被ガイド部70の移動を規制する。
【0057】
図5に示すように、被ガイド部70が、ガイド部83および規制部85に接触したとき、上部スプレッダ側取付孔65と取付部側取付孔89との位置が合う。上部スプレッダ側取付孔65と取付部側取付孔89とに、取付ピン90が差し込まれることにより、取付部80に上部スプレッダ60が取り付けられる。このように、上部スプレッダ60を下側Z2に移動させるだけで、被ガイド部70がガイド部83に沿って移動し、上部スプレッダ側取付孔65と取付部側取付孔89との位置が合う。よって、取付孔の位置合わせのために、ブーム20に対して上部スプレッダ60を手作業で移動させる(例えば揺する)など、手間のかかる作業を無くせる、または減らせる。また、ブーム20に対して上部スプレッダ60を所定の位置に配置するために、例えばロープなどで上部スプレッダ60を引っ張るなどの作業を行う必要性を減らせる。この場合、上部スプレッダ60を引っ張るためのロープを不要にしやすく、またロープを引っ張るための装置(例えばウインチなど)を不要にしやすい。なお、本実施形態において、手作業やロープを用いた作業により、ブーム20に対して上部スプレッダ60を移動させてもよい。
【0058】
図4に示すように、被ガイド部70は、上部スプレッダ60のスプレッダ横方向Ys両側に(左右に)設けられる。また、ガイド部83および規制部85のそれぞれは、ブーム20のブーム横方向Yb両側に(左右に)設けられる。よって、左右の被ガイド部70が、左右のガイド部83に接触し、左右の規制部85に接触する。よって、スプレッダ横方向Ysとブーム横方向Ybとが一致または略一致するように、上部スプレッダ60が配置される。このとき、ブーム軸方向Xbから見て、ブーム20に対して上部スプレッダ60が、左右に傾かない(またはほぼ傾かない)。よって、上部スプレッダ60の左右の部分および左右の取付部80(右側取付部80Rおよび左側取付部80L)において、
図7に示す上部スプレッダ側取付孔65と取付部側取付孔89との位置が合う。よって、左右それぞれの上部スプレッダ側取付孔65および取付部側取付孔89に、左右それぞれの取付ピン90を、容易に差し込める。
【0059】
図5に示すように、ガイド部83および規制部85のそれぞれに被ガイド部70が接触しているとき、上部スプレッダ60は、被ガイド部70を中心として(例えば被ガイド部中心軸70aを中心として)、ブーム20に対して回転し得る。そこで、上部スプレッダ側取付孔65は、スプレッダ横方向Ysから見て、被ガイド部中心軸70aと重なる位置に配置される。そのため、ブーム20に対して上部スプレッダ60が回転しても、ブーム20に対する上部スプレッダ側取付孔65の位置は変わらない(またはほぼ変わらない)。よって、上部スプレッダ側取付孔65と取付部側取付孔89とに、取付ピン90を容易に差し込める。
【0060】
図4に示すように、被ガイド部70は、上部スプレッダフレーム61のスプレッダ横方向Ys外側部分よりもスプレッダ横方向Ys外側に配置される。また、
図7に示すように、被ガイド部70の中空部70cと、上部スプレッダ側取付孔65と、がスプレッダ横方向Ysに連続する。よって、上部スプレッダフレーム61よりもスプレッダ横方向Ys外側であって、被ガイド部70よりもスプレッダ横方向Ys外側の位置から、取付ピン90を、中空部70c、上部スプレッダ側取付孔65、および取付部側取付孔89に差し込める。よって、上部スプレッダフレーム61のスプレッダ横方向Ys外側部分よりもスプレッダ横方向Ys内側の位置から取付ピン90を差し込む必要がある場合に比べ、取付ピン90を容易に差し込める。
【0061】
次に、
図1に示す上部スプレッダ60が取付部80に取り付けられた状態で、ガイライン43が、上部スプレッダ60から取り外される。また、下部ブーム21よりも先端側のブーム20(中間ブーム23および上部ブーム25)が、下部ブーム21から取り外される。その後、コンプレッションメンバ31が、コンプレッションメンバ31を起伏させる装置(例えば図示しないシリンダなど)により、倒伏姿勢とされる。次に、上部スプレッダ60が、補助クレーン(図示なし)により吊り上げられ、
図5に示す上部スプレッダ側取付孔65および取付部側取付孔89から取付ピン90が取り外される。この補助クレーンは、例えば、
図1に示すクレーン1の組立および分解に用いられる、クレーン1とは別のクレーンであり、例えばブーム20の組立および分解に用いられるものなどである。
【0062】
取付ピン90(
図5参照)が取り外された状態で、上部スプレッダ60が吊り上げられる。ここで、
図6に示すように、規制部85は、被ガイド部70の真上領域A70よりも外側のみにある。そのため、上部スプレッダ60が吊り上げられ、被ガイド部70が上側Z1に移動する際に、被ガイド部70が規制部85に干渉しにくい。このとき、例えば、被ガイド部70が規制部85に接触しない。また、例えば、被ガイド部70が規制部85に接触しても、被ガイド部70が容易に上側Z1に移動する。その結果、
図1に示す上部スプレッダ60が、滑らかに上側Z1に移動しやすい。
【0063】
上部スプレッダ60が吊り上げられながら、起伏ロープ47が、起伏ウインチ45に巻き取られる。すると、上部スプレッダ60は、倒伏状態のコンプレッションメンバ31の上方(真上の位置など)に移動する。次に、上部スプレッダ60が、ガントリ側取付部80Gに取り付けられる。上部スプレッダ60をガントリ側取付部80Gに取り付けるための作動は、上部スプレッダ60をブーム側取付部80Bに取り付けるための作動と同様である。
【0064】
上部スプレッダ60がガントリ30に取り付けられた状態で、補助クレーンなどにより、ガントリ30が吊り上げられる。このとき、コンプレッションメンバ31と上部旋回体13とを連結するピンが取り外され、テンションメンバ33と上部旋回体13とを連結するピンが取り外される。そして、ガントリ30が吊り上げられると、ガントリ30が上部旋回体13から取り外される。このガントリ30は、例えば輸送車などに積み込まれる。このとき、ガントリ30には、起伏ウインチ45(
図1において二点鎖線で示す起伏ウインチ45を参照)、起伏ロープ47、下部スプレッダ41、および上部スプレッダ60が取り付けられた状態である。このとき、起伏ロープ47は、起伏ウインチ45に巻き付けられた状態であり、下部スプレッダ41および上部スプレッダ60に掛け回された状態である。よって、ガントリ30の着脱時に、起伏ロープ47の掛け回しなどの煩雑な作業を行う必要がない。なお、起伏ウインチ45、起伏ロープ47、および上部スプレッダ60の少なくともいずれかが、ガントリ30とは別に(分離した状態で)輸送されてもよい。また、上部スプレッダ60は、ガントリ30に取り付けられた状態で輸送されなくてもよく、ガントリ側取付部80Gは、設けられなくてもよい。
【0065】
(クレーン1の組立)
クレーン1の組立は、上記のクレーン1の分解とは逆の手順、またはほぼ逆の手順により行われる。ただし、クレーン1の組立時に、
図5に示す被ガイド部70がガイド部83にガイドされる作動は、クレーン1の分解時には、規制部85から被ガイド部70が上げられる作動となる。また、クレーン1の組立時に、規制部85から被ガイド部70が上げられる作動は、クレーン1の分解時には、被ガイド部70がガイド部83にガイドされる作動となる。
【0066】
(効果)
図1に示す上部スプレッダ取付装置50による効果は次の通りである。なお、以下の効果の説明では、取付部80がブーム側取付部80Bである場合について説明するが、取付部80はガントリ側取付部80Gでもよい。取付部80がガントリ側取付部80Gである場合は、以下の説明におけるブーム20をガントリ30に代えればよい。
【0067】
(第1の発明の効果)
上部スプレッダ取付装置50は、クレーン1のブーム20(起伏部材)に設けられる。上部スプレッダ取付装置50は、上部スプレッダ60と、取付部80と、を備える。取付部80は、ブーム20に取り付けられる。取付部80には、上部スプレッダ60が取り付けられる。
図3に示すように、上部スプレッダ60は、上部スプレッダフレーム61と、被ガイド部70と、上部スプレッダ側取付孔65と、を備える。被ガイド部70は、上部スプレッダフレーム61に設けられ、スプレッダ横方向Ysに延びる被ガイド部中心軸70a(中心軸)を有する。上部スプレッダ側取付孔65は、上部スプレッダフレーム61に形成され、取付ピン90(
図5参照)を差し込み可能である。
【0068】
[構成1−1]上部スプレッダ側取付孔65は、スプレッダ横方向Ysから見て被ガイド部70の中心軸(被ガイド部中心軸70a)と重なる位置に配置される。
【0069】
[構成1−2]取付部80は、ガイド部83と、取付部側取付孔89と、を備える。ガイド部83は、被ガイド部70に接触可能であり、ブーム軸方向Xb(起伏部材の軸方向)に対して傾斜する方向である傾斜方向D1に沿って被ガイド部70をガイドする。規制部85は、被ガイド部70に接触可能であり、傾斜方向D1への被ガイド部70の移動を規制する。取付部側取付孔89は、取付ピン90(
図5参照)を差し込み可能である。
【0070】
[構成1−3]
図5に示すように、取付部側取付孔89は、ガイド部83および規制部85に被ガイド部70が接触したときに、上部スプレッダ側取付孔65と合う位置に配置される。
【0071】
上記[構成1−2]では、被ガイド部70は、ガイド部83に沿って移動し、規制部85に接触し、傾斜方向D1への移動が規制される。このとき、ガイド部83および規制部85に被ガイド部70が接触した状態になる。この状態のとき、取付部側取付孔89は、上部スプレッダ側取付孔65と合う位置に配置される(上記[構成1−3])。ここで、被ガイド部70は、スプレッダ横方向Ysに延びる被ガイド部中心軸70aを有する構成(形状)である。そのため、ガイド部83および規制部85に被ガイド部70が接触した状態のときに、被ガイド部70の位置を中心として、上部スプレッダ60が回転する場合がある。そこで、上記[構成1−1]では、上部スプレッダ側取付孔65は、スプレッダ横方向Ysから見て、被ガイド部中心軸70aと重なる位置に配置される。したがって、被ガイド部70の位置を中心として上部スプレッダ60が回転しても、上部スプレッダ側取付孔65の位置は変化しない、またはほぼ変化しない。よって、ガイド部83および規制部85に被ガイド部70が接触した場合、被ガイド部70の位置を中心として上部スプレッダ60が回転しても、上部スプレッダ側取付孔65と取付部側取付孔89との位置が合った状態を保つことができる。よって、上部スプレッダ側取付孔65の位置と取付部側取付孔89の位置とが合った状態を、容易に保つことができる。したがって、取付部80に上部スプレッダ60を取り付けるための取付ピン90の取付孔(上部スプレッダ側取付孔65、取付部側取付孔89)の位置合わせを容易に行える。その結果、取付ピン90の取付孔の位置合わせのための作業負担を軽減でき、作業効率を向上させることができる。
【0072】
(第2の発明の効果)
[構成2]
図6に示すように、規制部85(具体的には離間方向規制部85b)は、被ガイド部70が規制部85に接触したときに、ガイド部83から被ガイド部70が離れる向き(離間方向D2)への被ガイド部70の移動を規制する。
【0073】
上記[構成2]により、ガイド部83から被ガイド部70が離れる向き(離間方向D2)への被ガイド部70の移動が規制されない場合に比べ、ガイド部83および規制部85に被ガイド部70が接触した状態を保ちやすい。その結果、上部スプレッダ側取付孔65と取付部側取付孔89との位置が合った状態を保ちやすい。よって、
図5に示す取付ピン90の取付孔(上部スプレッダ側取付孔65、取付部側取付孔89)の位置合わせを、より容易に行える。
【0074】
(第3の発明の効果)
[構成3]取付部80から上部スプレッダ60が取り外されるときの姿勢をブーム20がとり、かつ、ガイド部83および規制部85に被ガイド部70が接触した状態を状態αとする。状態αのとき、
図6に示すように、規制部85は、被ガイド部70の真上の領域(真上領域A70)の外側のみに配置される。
【0075】
上記[構成3]により、
図5に示す取付部80から上部スプレッダ60が上側Z1に取り外される際に、被ガイド部70が規制部85に干渉しにくい。よって、取付部80から上部スプレッダ60を上側Z1に取り外す作業を容易に行える。
【0076】
(第4の発明の効果)
[構成4]
図2に示すように、被ガイド部70は、スプレッダ横方向Ysの回転軸を中心に回転可能に上部スプレッダフレーム61に取り付けられるローラである。
【0077】
上記[構成4]により、被ガイド部70が上部スプレッダフレーム61に固定される場合に比べ、ガイド部83に対して被ガイド部70を滑らかに移動させることができる。
【0078】
(第5の発明の効果)
[構成5]
図6に示すように、規制部85は、円弧状部分85cを備える。円弧状部分85cは、ブーム横方向Ybから見たときに円弧状であり、被ガイド部70の外周面に沿うように形成される。
【0079】
上記[構成5]により、規制部85が被ガイド部70の外周面に沿っていない場合に比べ、規制部85が被ガイド部70をより確実に保持できる。その結果、ガイド部83および規制部85に被ガイド部70が接触した状態を保ちやすい。その結果、上部スプレッダ側取付孔65と取付部側取付孔89との位置が合った状態を保ちやすい。よって、
図5に示す取付ピン90の取付孔(上部スプレッダ側取付孔65、取付部側取付孔89)の位置合わせをより容易に行える。
【0080】
(第6の発明の効果)
[構成6]
図7に示すように、被ガイド部70は、上部スプレッダフレーム61のスプレッダ横方向Ys外側の面よりもスプレッダ横方向Ys外側に配置される。被ガイド部70よりも径方向内側の部分は中空である(中空部70cを参照)。被ガイド部70よりも径方向内側の部分の空間(中空部70c)は、上部スプレッダ側取付孔65にスプレッダ横方向Ysに連続する。
【0081】
上記[構成6]により、上部スプレッダフレーム61のスプレッダ横方向Ys外側の面よりもスプレッダ横方向Ys外側の位置から、中空部70cを介して、上部スプレッダ側取付孔65に、取付ピン90を取り付けることができる。よって、上部スプレッダフレーム61のスプレッダ横方向Ys外側の面よりもスプレッダ横方向Ys内側の位置から、上部スプレッダ側取付孔65に、取付ピン90を取り付ける場合に比べ、取付ピン90を取り付ける作業を容易に行える。
【0082】
(変形例)
上記実施形態は様々に変形されてもよい。例えば、各構成要素の配置や形状が変更されてもよい。例えば、クレーン1の組立および分解の手順は変更されてもよく、手順の一部が行われなくてもよい。例えば、構成要素の数が変更されてもよく、構成要素の一部が設けられなくてもよい。例えば、構成要素どうしの固定や連結などは、直接的でも間接的でもよい。例えば、互いに異なる複数の構成要素として説明したものが、一つの部材や部分とされてもよい。例えば、一つの部材や部分として説明したものが、互いに異なる複数の部材や部分に分けて設けられてもよい。
【0083】
例えば、
図1に示すブーム側取付部80Bおよびガントリ側取付部80Gのうち、一方のみが設けられてもよい。例えば、
図2に示す上部スプレッダフレーム61および取付部フレーム81の構成(形状、構成要素の数など)などは様々に変更されてもよい。