(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態による環境情報収集システム及び航空機について詳細に説明する。
【0015】
〈環境情報収集システム〉
図1は、本発明の一実施形態による環境情報収集システムの概要を示す図である。
図1に示す通り、本実施形態の環境情報収集システム1は、地表GFに散布されたセンサ素子10とドローン20(航空機)とを備えており、センサ素子10が散布された地表GFに対してドローン20が特定波長の電磁波E1を送信し、センサ素子10から得られる電磁波E2をドローン20が受信することで、地表GFの環境情報(例えば、水分量、温度、pH、日照量等)を収集する。
【0016】
センサ素子10は、地表GF上の環境情報の収集が行われる領域(対象領域TA:
図7参照)に散布され、周囲の環境に応じて特定波長の電磁波E1に対する反射特性、透過特性、吸収特性、及びルミネッセンス特性、並びに発光特性の少なくとも1つの特性が変化する素子である。例えば、地表GFの温度に応じて電磁波E1に対する反射特性及び透過特性が変化する素子であり、地表GFの水分量やpHに応じてセンサ素子10から発せられる蛍光又は燐光の強度等が変化する素子(ルミネッセンス特性が変化する素子)であり、或いは地表GFの温度に応じて化学(自家)発光の発光強度が変化する素子(発光特性が変化する素子)である。尚、発光特性が変化する素子として、ルシフェラーゼ等の発光酵素を含むものを用いることができる。
【0017】
上記特性の変化は、量的な変化であってもよく、質的な変化であってもよい。量的な変化としては、例えば、環境変化に応じて特定波長の電磁波E1に対する反射率、透過率、吸収率、及び電磁波E1の蛍光又は燐光への変換率、並びに発光強度の少なくとも1つの特性が変化することを例示できる。質的な変化としては、例えば、環境変化に応じて特定波長の電磁波E1に対する反射波長、透過波長、吸収波長、及びルミネッセンス放出波長、並びに発光波長の少なくとも1つの特性が変化することを例示できる。
【0018】
センサ素子10は、固形物であって、所定の形状を有することが好ましい。センサ素子10の形状は特に限定されず、球状、板状、立方体状、円柱状、多角柱、円錐状、多角錐状、その他の任意の形状を取り得る。板状の場合としては、平面視形状が、円状、楕円状、多角形状、矩形状等の形状であるものを例示できる。尚、センサ素子の形状として上記の所定の形状を例示したが、センサ素子の形状は不定形であっても構わない。
【0019】
地表GF上に散布されるセンサ素子10の数は任意である。例えば、農業分野で用いられるセンサ素子10は、1[m
2]当たり数百〜数十万個程度であっても良い。尚、ここで例示しているセンサ素子10の数はあくまでも一例であって、例示した数より少なくても良く、例示した数より多くても良い点に注意されたい。
【0020】
センサ素子10は、生分解性を有するものであっても、生分解性を有さないものであっても良い。例えば、農業分野で使用されるセンサ素子10は、広大な農地に散布されて使用され、回収が困難であることから生分解性を有するものが望ましい。このようなセンサ素子10は、例えば農作物の種まきから農作物の収穫までの期間程度の期間を経過すると生分解により分解するのが望ましい。これに対し、例えば、ある程度限定された領域(例えば、道路等)の温度を長期に亘って測定するような用途に用いられるセンサ素子10は、長期に亘って回収されることがなく、回収もさほど困難ではないと考えられることから、生分解性を有しないものが望ましい。尚、センサ素子10の詳細については後述する。
【0021】
ドローン20は、複数(例えば、4つ)のブレード21a(回転翼)を備えており、予め設定された飛行経路に沿って自律的に飛行することが可能である。尚、ドローン20は、外部から送信されてくる制御信号を受信し、受信した制御信号に従って飛行するものであっても良い。ドローン20は、特定波長の電磁波E1を地表GFに対して送信する送信部24aと、センサ素子10から得られる電磁波E2を受信する受信部24bとを備える。尚、送信部24a及び受信部24bの数は、1つであっても良く、複数であっても良い。
【0022】
送信部24aから送信される電磁波E1は、センサ素子10が散布される地表GFの状況やセンサ素子10の特性等を考慮して適切な波長(周波数)のものが用いられる。この電磁波E1として、ミリ波、テラヘルツ波、赤外線、可視光線、紫外線、又はX線等を用いることができる。例えば、農業分野で用いられるセンサ素子10は、肥料や農薬に混ぜて散布されることから、地中(例えば、地表GFから数十[cm]程度の範囲)に存在する場合がある。このような場合には、例えば土壌に対してある程度の透過性を有する波長の電磁波E1が用いられる。
【0023】
尚、センサ素子10から得られる電磁波E2の波長は、センサ素子10の特性に応じて、ドローン20から送信される電磁波E1の波長と同じ波長になり、或いは異なる波長になる。例えば、センサ素子10が、周囲の環境に応じて電磁波E1に対する反射特性及び透過特性が変化する特性を有するものである場合には、電磁波E2は電磁波E1と同じ波長になる。これに対し、センサ素子10が、周囲の環境に応じて発する蛍光又は燐光の強度等が変化する特性を有するものである場合には、電磁波E2は電磁波E1と異なる波長になる。また、ドローン20は、センサ素子10を対象領域TA等に散布する散布装置26を備える。尚、ドローン20の詳細については後述する。
【0024】
〈センサ素子〉
以下、本発明のセンサ素子の実施形態を説明する。
実施形態のセンサ素子は、地球表面又は地球表層における環境情報の収集に使用され、上記環境情報の収集が行われる対象領域に散布されて使用されるものであり、環境に応じて特定波長の電磁波に対する反射特性、透過特性、吸収特性、及びルミネッセンス特性、並びに発光特性の少なくとも1つの特性が変化するものである。
上記環境情報は、測定可能な項目であれば特に制限されるものではないが、水分量、温度、肥料等の栄養濃度、地中菌種構成比、及びpHの少なくとも1つであることが好ましい。
【0025】
実施形態のセンサ素子は、上記環境情報が水分量及び温度の少なくとも一方であり、これらの少なくとも1つの変化に応じて形状が変化するものであってよい。
【0026】
図2は、本発明の一実施形態による環境情報収集システムで用いられるセンサ素子の第1例を示す断面図である。
図2に示すセンサ素子11は、温度の変化に応じて形状が変化するものである。
図2(a)に示す通り、センサ素子11は、第1基材11a及び第2基材11bを備え、第1基材11aの温度による熱膨張係数は、第2基材11bの温度による熱膨張係数と異なるものである。センサ素子の形状は、例えば長径が数[mm]程度であり、厚みが数百[μm]程度である円板状のものである。
【0027】
例えば、第1基材11aの熱膨張係数よりも第2基材11bの熱膨張係数の方が大きい場合には、周囲の温度が上昇すると、センサ素子11は、
図2(b)に示す通り、湾曲して形状が変化する。このような形状変化が生ずることで、電磁波E1に対する反射特性及び透過特性が変化する。
【0028】
図2(a)に示すセンサ素子11が、
図2(b)に示す通り変形すると、平面視でのセンサ素子11の大きさが小さくなる(面積が小さくなる)。センサ素子11の平面視での大きさは、例えば周囲の温度が上昇するに比例して小さくなると考えられる。このため、例えば電磁波E1に対する反射率が高い物質をセンサ素子11の表面に付着させておき(或いは、コーティングしておき)、センサ素子11の大きさの変化に応じてセンサ素子11の反射率が変わるようにしても良い。
【0029】
第1基材11a,第2基材11bの材質は、電磁波E1に対する反射特性及び透過特性、センサ素子11が散布される地表GFの状況、熱膨張係数等を考慮して選定される。第1基材11aと第2基材11bとの組み合わせとしては、例えば、熱膨張係数が10未満のものと、熱膨張係数が10以上のものとの組み合わせが挙げられる。熱膨張係数が10未満の素材としては、ポリスチレン、AS樹脂、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。熱膨張係数が10以上の素材としては、ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、セルロースアセテート等が挙げられる。
【0030】
図3は、本発明の一実施形態による環境情報収集システムで用いられるセンサ素子の第2例を示す断面図である。
図3に示すセンサ素子12は、水分量の変化に応じて形状が変化するものである。
図3(a)に示す通り、センサ素子12は、第3基材12a及び第4基材12bを備え、第3基材12aの含水による体積変化率は、第4基材12bの含水による体積変化率と異なるものである。センサ素子の形状は、例えば長径が数[mm]程度であり、厚みが数百[μm]程度である円板状のものである。
【0031】
「体積変化率」は、下記式によって定義されるものとする。
体積変化率(%)=(V1−V2)/V2×100
(上記式において、V1:温度25℃の水に15分浸漬させた後の基材の体積。V2:製造後上記V1の処理を経る前の基材の体積。)
【0032】
例えば、第3基材12aの含水による体積変化率よりも第4基材12bの含水による体積変化率の方が大きい場合には、周囲の水分量が上昇すると、センサ素子12は、
図3(b)に示す通り、湾曲して形状が変化する。このような形状変化が生ずることで、電磁波E1に対する反射特性及び透過特性が変化する。
【0033】
図3(a)に示すセンサ素子12が、
図3(b)に示す通り変形すると、平面視でのセンサ素子12の大きさが小さくなる(面積が小さくなる)。センサ素子12の平面視での大きさは、例えば周囲の水分量が上昇するに比例して小さくなると考えられる。このため、例えば電磁波E1に対する反射率が高い物質をセンサ素子12の表面に付着させておき(或いは、コーティングしておき)、センサ素子12の大きさの変化に応じてセンサ素子12の反射率が変わるようにしても良い。
【0034】
第3基材12a,第4基材12bの材質は、電磁波E1に対する反射特性及び透過特性、センサ素子12が散布される地表GFの状況、吸水性等を考慮して選定される。第3基材12aとしては、例えばセルロースフィルム等の高結晶性ポリマーの成型体を例示できる。第4基材12bとしては、例えばペクチンフィルム等の複合多糖類の成型体を例示できる。
【0035】
図4は、本発明の一実施形態による環境情報収集システムで用いられるセンサ素子の第3例を示す断面図である。
図4に示すセンサ素子13は、pHの変化に応じて、特定波長の電磁波に対する反射特性、透過特性、吸収特性、ルミネッセンス特性、並びに発光特性の少なくとも1つが変化する物質を含むものである。
図4に示す通り、センサ素子13は、例えば透明な基材13aの内部に、色素13bが設けられたものであって、例えば直径が数[mm]程度であり、厚みが数百[μm]程度である円板状のものである。尚、
図4では、理解を容易にするために、色素13bを粒状に図示しているが、色素13bが粒状である必要は必ずしもない。
【0036】
色素13bは、pH応答性色素である。pH応答性色素は、pHの変化に応じて、特定波長の電磁波に対する反射特性、透過特性、吸収特性、及びルミネッセンス特性、並びに発光特性の少なくとも1つの特性が変化するものである。
pH応答性色素としては、水素イオン濃度に応じて変色する色素が挙げられ、pH指示薬として利用されているものであってよく、例えば、リトマス、ブロモチモールブルー、ブロモフェノールブルー、ブロムクレゾールパープル、フェノールレッド、フェノールフタレイン、メチルオレンジ、メチルレッド、メチルイエロー、メチルバイオレット、チモールブルー、チモールフタレイン等が挙げられる。
pH応答性色素はpH感受性蛍光色素であってもよい。pH感受性蛍光色素としては、水素イオン濃度に応じて蛍光色又は蛍光強度が変化する蛍光色素が挙げられ、例えば、pHrodo(登録商標)、Ageladine A、CypHer5等を例示できる。
センサ素子13は、色素を1種単独で含んでいてよく、2種類以上を組合せて含んでいてもよい。
【0037】
色素13bがpH感受性蛍光色素である場合、例えば、センサ素子13に電磁波E1が照射されると、センサ素子13内に設けられた色素13bが励起され、これによりセンサ素子13から蛍光又は燐光が発せられる。この蛍光又は燐光の強度等は、センサ素子13の周囲のpHに応じて変化する。このように、色素13bがpH感受性蛍光色素である場合、
図3に示すセンサ素子13は、電磁波E1によって励起されて、周囲のpHに応じてルミネッセンス特性が変化するものである。
【0038】
基材13aの材質及び色素13bは、ルミネッセンス特性、センサ素子13が散布される地表GFの状況等を考慮して選定される。
【0039】
図5は、本発明の一実施形態による環境情報収集システムで用いられるセンサ素子の第4例を示す断面図である。
図5に示すセンサ素子14は、蛍光色素14cを含むものである。蛍光色素14cは、上記の環境に応じて上記特性の少なくとも一つが変化する色素に該当しなくともよい。
図5に示す通り、センサ素子14は、
図2に示したセンサ素子の第1例において、第1基材11a及び第2基材11bの内部に、蛍光色素14cが設けられたものである。センサ素子14が蛍光色素14cを含むことで、センサ素子から得られる波長とそれ以外の波長との区別が容易となり、情報収集の精度が向上する。
このような蛍光色素としては、アクリジンオレンジ、オーラミンO、カルコフロールホワイト、臭化エチジウム、フルオレセインイソチオシアネート、Hoechst 33258、ローダミンB等が挙げられる。
【0040】
実施形態のセンサ素子は、生分解性を有するものであっても、生分解性を有さないものであってもよいが、生分解性を有するものであることが好ましい。
したがって、実施形態のセンサ素子は、生分解性材料からなることが好ましい。実施形態のセンサ素子が、生分解性材料からなることで、環境情報の収集が行われる対象領域において分解されるため、センサ素子の回収を行わなくともよい。そのため、回収のためのコストを削減でき、環境負荷も低減される。
【0041】
生分解性材料としては、微生物又は酵素により分解可能な材料であり、生分解性プラスチックが挙げられる。生分解性材料としては、例えば、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリヒドロキシ酪酸、ポリグリコール酸、ポリビニルアルコール、カゼイン、デンプン、エステル化デンプン、セルロース、ペクチン、寒天、ゼラチン等が挙げられる。
【0042】
また、環境負荷を低減させるとの観点から、実施形態のセンサ素子は、バイオマス由来の材料からなることが好ましい。また、実施形態のセンサ素子は、石油由来の材料を実質的に含まないことが好ましい。
【0043】
実施形態のセンサ素子は、実質的に金属を含まないものであることが好ましい。従来の環境情報収集システムにおいては、観測装置が当然に電子回路等を有しているために、金属を含むことが必須であった。対して、実質的に金属を含まない実施形態のセンサ素子は、金属を含まずとも機能を果たすことが可能であるので、圃場等に散布しても金属類が圃場を汚染することがない。金属としては、銅、鉄、アルミニウム、亜鉛、水銀、金、銀、白金、リチウム、クロム、ニッケル、マンガン、バナジウム、ロジウム、パラジウム等が挙げられる。
【0044】
同様に、実施形態のセンサ素子は、電子部品を備えないものであることが好ましい。電子部品は従来の環境情報収集システムにおいては、必須の構成であったが、実施形態のセンサ素子は、電子部品を備えずとも機能を果たすことが可能である。電子部品としては、半導体素子、基板、プリント基板、アンテナ、電池、電線、リード線等が挙げられる。
実施形態のセンサ素子は、それ自体に電磁波を発信する機能を有さないことが好ましい。
【0045】
実施形態のセンサ素子の大きさや形態は、特に限定されるものではないが、一例として粒子状のものであって、平均粒子径が0.1〜5mmであることが好ましく、0.3〜3mmであることがより好ましく、1〜2mmであることがさらに好ましい。ここで「粒子径」とは、センサ素子の投影像に外接する円の直径のことをいい、上記投影像は無作為に選出された方向から投影されたものとする。「平均粒子径」は、センサ素子の集合における上記粒子径の数平均値として取得したものとする。
【0046】
〈センサ素子の製造方法〉
センサ素子の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、上記に例示した材料を成型することで、センサ素子を製造できる。例えば、上記に例示した基材を備えるセンサ素子を製造する場合、まず基材の材料と溶媒とを混錬して原料組成物を得て、それを公知のシート成型法で成型した後、得られたシートをセンサ素子の形状に切断してセンサ素子を得ることができる。センサ素子が色素を含む場合、上記原料組成物に色素を添加すればよい。シート成型法としては、溶融押出成型法、溶液流延法、カレンダー法、共押出法、ラミネート法等が挙げられる。
【0047】
〈包装体〉
本発明の一実施形態として、センサ素子が、包装資材により包装された包装体を提供できる。包装資材としては、農業用資材として通常用いられている物を使用でき、例えば、肥料、土、土壌改良剤等の包装資材を転用でき、ポリ塩化ビニルシート、ポリオレフィンシート等が挙げられる。包装体1つあたりに含まれるセンサ素子の個数としては、特に限定されるものではないが、一例として、包装体1つあたり1000個以上であってよく、1,000〜5,000,000,000,000個であってよく、10,000〜1,000,000,000個であってよく、100,000〜10,000,000個であってよい。
包装体1つあたりにセンサ素子が数多く含まれることで、センサ素子を1度に数多く使用して環境情報を取得できることにつがなり、例えば環境情報を高分解能且つ広範囲で収集できる。
【0048】
実施形態の包装体は、上記環境情報の収集が行われる対象領域に散布されて使用されるものであることの記載を含むものであってよい。すなわち、実施形態の包装体はセンサ素子の使用方法の記載を含むものであってよい。センサ素子の使用方法については、後述する〈センサ素子の使用方法〉の内容を参照できる。
当該記載は、包装資材の表面に記載されていてもよく、別添の指示書に記載され、指示書とセンサ素子とがともに包装体に備えられていてもよい。
【0049】
〈センサ素子の使用方法〉
本発明の一実施形態として、上記センサ素子を、上記環境情報の収集が行われる対象領域に散布する、センサ素子の使用方法を提供できる。散布後の、センサ素子から得られる電磁波の受信と、環境情報の取得については、〈環境情報収集システム〉、〈航空機〉、および〈環境情報収集方法〉の内容を参照されたい。
センサ素子の散布の程度は、特に限定されるものではないが、一例として、1m
2あたり1〜100,000個/m
2であってよく、10〜10,000個/m
2であってよく、100〜5,000個/m
2であってよい。1m
2あたりのセンサ素子の散布の程度が上記範囲内にあることで、環境情報を高分解能で収集できる。
センサ素子の散布の時期は、例えば、対象領域で栽培される農作物の播種前、播種と同時、播種後1週間以内などの時期が挙げられ、農作物の播種から収穫までの期間中に対象領域に位置するよう散布することが好ましい。
センサ素子の散布位置は、農作物が栽培されている栽培地の表面が好ましいが、センサ素子からの電磁波が受信可能な程度に土壌混和されていてもよい。農作物を基準とした散布位置としては、農作物の主茎から100cm以内が好ましく、10cm以内がより好ましく、1cm以内がさらに好ましい。
【0050】
〈航空機〉
図6は、本発明の一実施形態による航空機としてのドローンの要部構成を示すブロック図である。
図6に示す通り、ドローン20は、複数のロータ21、複数のESC(Electric Speed Controller)22、フライトコントローラ23(飛行制御部)、環境情報収集装置24、バッテリ25及び散布装置26を備える。尚、
図6に例示するドローン20は、ロータ21及びESC22を4対備えるものである。
【0051】
各ロータ21は、ブレード21a及びモータ21bを備える。ブレード21aは、所謂プロペラであり、ドローン20の飛行に必要となる浮力を得るためのものである。ブレード21aは、モータ21bの回転軸に連結されており、モータ21bによって回転駆動される。ブレード21aは、例えばプラスチック、カーボン、ABS樹脂等によって形成される。モータ22bは、ESC22によって回転駆動されて、回転軸に連結されたブレード21aを回転させる。モータ22としては、例えばブラシレスモータを用いることができる。
【0052】
ESC22は、複数のロータ21の各々に対応して複数設けられており、フライトコントローラ23の制御の下で、対応するロータ21に設けられたモータ21bの回転速度を制御する。具体的に、ESC22は、フライトコントローラFCから指示された速度でモータ21bを回転させる。尚、
図6に示すドローン20において、ESC22は、4つのロータ21の各々に対応して4つ設けられており、フライトコントローラ23によって個別に制御される。
【0053】
フライトコントローラ23は、飛行制御センサ群23a、位置検出部23b、受信機23c、及び制御装置23dを備えており、ドローン20の飛行制御を行う。このフライトコントローラ23は、ドローン20を自律的に飛行させること(以下、「オートパイロット」という)も、ドローン20を外部から送信されてくる制御信号に従って飛行させること(以下、「手動操縦」という)も可能である。尚、フライトコントローラ23は、オートパイロットと手動操縦の何れか一方のみ可能であっても良い。
【0054】
飛行制御センサ群23aは、ドローン20の飛行制御を行うために必要なセンサ群である。この飛行制御センサ群23aには、例えば3軸加速度センサ、3軸角速度センサ、気圧センサ(高度センサ)、地磁気センサ(方位センサ)等の各種センサが含まれる。位置検出部23bは、例えばGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)等の測位機能を備えており、この測位機能を用いてドローン20の位置情報を検出する。尚、ドローン20の位置情報を検出する方法は、GPSの測位機能を用いる方法に制限されず、任意の測位方法を用いることができる。
【0055】
受信機23cは、外部から送信されてくるドローン20の飛行を制御するための制御信号を受信する。例えば、受信機23cは、不図示の操縦装置(ドローン20を手動操縦するために用いられる装置)から無線信号として送信されてくる制御信号を受信する。尚、フライトコントローラ23が、オートパイロットのみ可能である場合には、受信機23cは省略される。
【0056】
制御装置23dは、飛行制御センサ群23a及び位置検出部23bの検出結果からドローン20の飛行状態を示す情報を取得し、取得した情報を用いてドローン20の飛行時における姿勢や基本的な飛行動作を制御する。制御装置23dは、上記の飛行状態を示す情報として、ドローン20の機体の傾き及び回転、飛行中の緯度経度、高度、及び機首の方位角、自機の位置情報等を取得することができる。制御装置23dは、上記の飛行状態を示す情報を参照しつつ、ESC22を個別に制御してロータ21の回転数を調節し、機体の姿勢や位置の乱れを補正しながらドローン20を飛行させる。
【0057】
また、制御装置23dには、オートパイロットに必要となる飛行経路情報FTを格納することができる。この飛行経路情報FTは、飛行経路、速度、高度等を含む情報である。オートパイロット時において、制御装置23dは、上記の飛行状態を示す情報及び飛行経路情報FTを参照しつつ、ロータ21の回転数を調節して、予め設定された飛行経路に沿ってドローン20を自律的に飛行させる。これに対し、手動操縦時において、制御装置23dは、上記の飛行状態を示す情報及び受信機23cで受信された制御信号を参照しつつ、ロータ21の回転数を調節して、外部からの指示に従ってドローン20を飛行させる。
【0058】
環境情報収集装置24は、送信部24a、受信部24b、記録部24c、及び出力部24dを備えており、例えば地表GFの環境情報を収集する。送信部24aは、前述の通り、特定波長の電磁波E1を地表GFに対して送信するものであり、受信部24bは、前述の通り、センサ素子10から得られる電磁波E2を受信するものである(
図1参照)。記録部24cは、RAM(読み書き可能なメモリ)等を備えており、受信部24bの受信結果を記録する。ここで、記録部24cは、受信部24bの受信結果を、前述したドローン20の飛行状態を示す情報(例えば、位置情報)とともに記録する。これにより、記録部24cには、例えば受信部24bの受信結果とドローン20の位置情報とが対応付けて記録される。
【0059】
出力部24dは、記録部24cに記録された情報を外部に出力する。例えば、出力部24dは、外部の機器(例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット等)との間で通信(有線通信又は無線通信)を行って記録部24cに記録された情報を外部に出力するものであっても良く、着脱可能な記録媒体(例えば、不揮発性メモリ)に対する各種情報の書き込みを行って記録部24cに記録された情報を外部に出力するものであっても良い。
【0060】
バッテリ25は、ドローン20が動作する上で必要となる電力を、ドローン20の各ブロックに供給する。具体的に、バッテリ25は、ロータ21(モータ21b)、ESC22、フライトコントローラ23、環境情報収集装置24、及び散布装置26に供給する。バッテリ25は、例えばドローン20の機体に対して着脱可能なリチウムイオン電池等を用いることができる。尚、
図6では、1つのバッテリ25を図示しているが、ドローン20の飛行に必要となる電力を供給するバッテリと、環境情報の収集や散布装置26の動作に必要となる電力を供給するバッテリとに分けてもよい。
【0061】
散布装置26は、センサ素子10を内部に収容可能である。この散布装置26は、内部に収容されているセンサ素子10の散布を行う。例えば、散布装置26は、対象領域TA等にセンサ素子10を散布する。具体的に、散布装置26は、外部から送信されてくる制御信号(受信機23cで受信される散布を指示する制御信号)、又は制御装置23dから出力される散布を指示する制御信号に基づいてセンサ素子10の散布を行う。このような散布装置26を備えることで、例えばセンサ素子10が生分解性を有するものであった場合に、センサ素子10を対象領域TAに散布することで、生分解性によって失われたセンサ素子10の機能を回復させることができる。
【0062】
〈環境情報収集方法〉
図7は、本発明の一実施形態による環境情報収集システムを用いた環境情報収集方法を説明するための平面図である。尚、ここでは、ドローン20をオートパイロットさせて環境情報を収集する方法を例に挙げて説明する。
図7に示す矩形領域は、ドローン20を用いた環境情報の収集が行われる対象領域TA(地表GF上に設定された領域)を示している。この対象領域TA内には、予めセンサ素子10が散布されている。尚、
図7では、図示の都合上、センサ素子10は数を減じて図示している。
【0063】
また、
図7に示す通り、対象領域TAは、複数のメッシュ状の小領域Rに区分される。この小領域Rは、環境情報を収集する単位を示すものである。この小領域Rの面積を小さく設定すれば分解能を向上させることができ、面積を大きく設定すれば分解能を低下させることができる。小領域Rの大きさは、環境情報収集装置24に設けられた受信部24bの特性やドローン20の飛行高度等によって変わる。ここで、ドローン20の飛行経路RTは、図示の通り、ドローン20が全ての小領域Rの上方を一筆書きで通過するように設定されている。尚、ここでは、説明を簡単にするために、ドローン20の飛行経路RTの高度は一定であるとする。
【0064】
ドローン20のオートパイロットは、例えばユーザがドローン20に設けられた不図示の操作部を操作し、オートパイロットの開始を指示することにより開始される。オートパイロットが開始されると、ドローン20のフライトコントローラ23に設けられた制御装置23dは、飛行制御センサ群23a及び位置検出部23bの検出結果からドローン20の飛行状態を示す情報を取得し、取得した情報及び飛行経路情報FTを参照しつつ、ロータ21の回転数を調節する。これにより、ドローン20は、
図7に示す飛行経路RTに沿って自律的に飛行する。
【0065】
以上の動作と並行して、環境情報収集装置24に設けられた送信部24aからは、対象領域TAに向けて特定波長の電磁波E1が送信され、センサ素子10から得られる電磁波E2が受信部24bで受信される。受信部24bの受信結果は、制御装置23dで取得されたドローン20の飛行状態を示す情報(例えば、位置情報)とともに記録される。このように、飛行経路RTに沿ってドローン20が自律的に飛行しつつ、センサ素子10から得られる電磁波E2の受信結果が位置情報等とともに記録部24cに記録される。
【0066】
図8は、本発明の一実施形態において収集される環境情報の一例を示す図である。尚、
図8に示す環境情報は、例えば周囲の温度に応じて電磁波E1に対する反射特性及び透過特性が変化するセンサ素子10が対象領域TA内に散布されている場合に、ドローン20が
図7中の位置P1から位置P2まで飛行経路RTに沿って飛行したときに得られたものである。ここで、対象領域TA内に散布されているセンサ素子10は、周囲の温度に応じて電磁波E1に対する反射特性及び透過特性が変化するものであることから、電磁波E1の反射率(電磁波E1と電磁波E2の受信結果との比)が得られれば、センサ素子10の周囲温度を得ることができる。つまり、電磁波E1の反射率を収集することは、センサ素子10の周囲温度を収集することと同義である。
【0067】
ドローン20が、
図7中の位置P1から位置P3まで飛行経路RTに沿って飛行することで、飛行経路RTの全長に亘る反射率(飛行経路RTに沿った反射率)が得られる。
図7に示す通り、飛行経路RTは、全ての小領域Rの上方を一筆書きで通過するように設定されているため、全ての小領域Rにおける反射率(温度)を得ることができる。このようにして、地表GFに設定された対象領域TA内における温度分布(面状の温度分布)を得ることができる。
【0068】
尚、小領域Rの反射率は、例えば、飛行経路RTに沿って連続的に得られた反射率のうち、各々の小領域Rの上方を通過する間に得られた反射率に対して所定の演算(例えば、平均演算)を行って得ても良い。或いは、飛行経路RTに沿って連続的に反射率を得るのではなく、各々の小領域Rの上方で一度だけ反射率を取得する(離散的に反射率を取得する)ことで得ても良い。
【0069】
前述の通り、電磁波E1の反射率を収集することは、センサ素子10の周囲温度を収集することと同義であるが、電磁波E1の反射率からセンサ素子10の周囲温度を求める処理は、ドローン20の内部で行っても良く、ドローン20の外部で行っても良い。ドローン20の内部で行う場合には、例えば受信部24bの受信結果(電磁波E1の反射率を示すもの)を温度に変換する演算部を環境情報収集装置24に設ければ良い。この場合には、演算部で求められた温度が位置情報等とともに記録部24cに記録されることとなる。ドローン20の外部で行う場合には、記録部24cに記録された情報を、出力部24dから外部の機器(例えば、パーソナルコンピュータ)に出力し、外部の機器で温度を求めることになる。
【0070】
以上の通り、本実施形態においては、センサ素子10が散布された地表GFの対象領域TAに対してドローン20から(環境情報収集装置24の送信部24aから)特定波長の電磁波E1を送信し、センサ素子10から得られる電磁波E2をドローン20で(環境情報収集装置24の受信部24bで)受信して、地表GFの環境情報(例えば、水分量、温度、pH、日照量等)を収集するようにしている。このため、従来のように多大な労力を必要とすることなく、短時間且つ容易に地球表面又は地球表層における環境情報を得ることができる。
【0071】
以上、本発明の一実施形態による環境情報収集システム及び航空機について説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されることなく、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態では、航空機として、無人航空機としてのドローン20を例に挙げたが、航空機が無人航空機に限定される訳ではなく、有人航空機であっても良い。尚、無人航空機は、飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他の機器であって構造上人がのることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦により飛行させることができる任意の機器であって良い。
【0072】
また、上記実施形態では、地表GFにセンサ素子10を散布して地表GFの環境情報を収集する例について説明した。しかしながら、海面、湖面、川面等にセンサ素子10を散布して海面、湖面、川面等の環境情報を収集するようにしても良い。また、電磁波E1,E2の送受信が可能であれば、地中、水中、海中等にセンサ素子10を散布して地中、水中、海中等の環境情報を収集するようにしても良い。つまり、本発明の環境情報収集システムは、地球表面又は地球表層における環境情報を収集することが可能である。
【0073】
また、上記実施形態では、ドローン20が、特定波長の電磁波E1を送信する送信部24aを備える例について説明した。しかしながら、特定波長の電磁波E1が太陽光から得られるものである場合には、送信部24aを省略することができる。また、センサ素子10が、周囲の環境に応じて発光特性が変化する素子である場合には、受信部24bで受信される電磁波E2は、センサ素子10から発せられる自家発光であるため、特定波長の電磁波E1を送信する送信部24aを省略することができる。尚、センサ素子10を散布する必要が無い場合には、散布装置26を省略することもできる。
【0074】
また、上記実施形態では、農業分野で用いられるセンサ素子10として、肥料や農薬に混ぜて散布されるものを例に挙げて説明した。しかしながら、農業分野で用いられるセンサ素子10として、例えば内部に肥料成分等を含ませたものを用いることも可能である。このようなセンサ素子10が農地に散布された場合には、内部に含まれている肥料成分が外部に放出されて農地土壌に浸透することになるが、肥料成分が放出されたセンサ素子10は、センサ素子としての機能が失われる訳ではない。