【文献】
REGISTRY[online],2008年 6月 8日,[retrieved on 2020.08.18], Retrieved from:STN, CAS登録番号 1026268-49-4
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、原料化合物に対して、フッ化水素による付加反応する工程を、触媒の存在下、気相で反応させることによって、上記一般式(1)で表されるフッ素原子を含むシクロブタンを高い選択率で製造できることを見出した。
【0021】
本開示は、かかる知見に基づき、更に研究を重ねた結果完成されたものである。
【0025】
(式中、X
1、X
2、X
3、X
4、X
5及びX
6は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、又はパーフルオロアルキル基を示す。)
で表されるシクロブタンの製造方法は、
一般式(2):
【0027】
(式中、X
1、X
2、X
3、X
4、X
5及びX
6は、前記に同じである。)
で表されるシクロブテンとフッ化水素とを反応させる工程を含む。
【0028】
本開示では、前記反応は、フッ化水素による付加反応であり、前記工程を、触媒の存在下、気相で反応させる。
【0029】
本開示においては、上記要件を満たすことにより、フッ素原子を含むシクロブタンを高い選択率で製造することができる。
【0030】
本開示において、「選択率」とは、反応器出口からの流出ガスにおける原料化合物以外の化合物(フッ素原子を含むシクロブタン等)の合計モル量に対する、当該流出ガスに含まれる目的化合物(フッ素原子を含むシクロブタン)の合計モル量の割合(mol%)を意味する。
【0031】
本開示において、「転化率」とは、反応器に供給される原料化合物(シクロブテン)のモル量に対する、反応器出口からの流出ガスに含まれる原料化合物以外の化合物(フッ素原子を含むシクロブタン等)の合計モル量の割合(mol%)を意味する。
【0032】
本開示のシクロブタンの製造方法は、工業的レベルでの生産に好適である。本開示のシクロブタンの製造方法は、原料としてシクロブテン及びフッ化水素を用いており、これら原料は工業的レベルで入手可能である。本開示のシクロブタンの製造方法は、1H-ヘプタフルオロシクロブタンを目的化合物とした場合に、高い選択率が達成できる。
【0033】
(1)原料化合物
一般式(2)で表されるシクロブテン
本開示において、原料化合物は、一般式(2):
【0035】
(式中、X
1、X
2、X
3、X
4、X
5及びX
6は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、又はパーフルオロアルキル基を示す。)
で表されるシクロブテン、及びフッ化水素である。
【0036】
X
1、X
2、X
3、X
4、X
5及びX
6は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、又はパーフルオロアルキル基を示す。
【0037】
X
1、X
2、X
3、X
4、X
5及びX
6のハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
【0038】
X
1、X
2、X
3、X
4、X
5及びX
6のパーフルオロアルキル基は、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基である。パーフルオロアルキル基は、例えば、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜6、更に好ましくは炭素数1〜4、特に好ましくは炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基であることが好ましい。パーフルオロアルキル基は、直鎖状、又は分枝鎖状のパーフルオロアルキル基であることが好ましい。前記パーフルオロアルキル基として、トリフルオロメチル基(CF
3-)、及びペンタフルオロエチル基(C
2F
5-)であることが好ましい。
【0039】
原料化合物である一般式(2)で表されるシクロブテンとしては、フッ素原子を含むシクロブタンを高い選択率で製造することができる点で、X
1、X
2、X
3、X
4、X
5及びX
6は、同一又は異なって、フッ素原子、又はパーフルオロアルキル基であることがより好ましい。
【0040】
原料化合物である一般式(2)で表されるシクロブテンとしては、例えば、次の、
【0043】
これらの一般式(2)で表されるシクロブテンは、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。このようなシクロブテンは、公知又は市販品を採用することができる。
【0044】
一般式(2)で表されるシクロブテンでは、フッ素原子を含むシクロブタンを高い選択率を高い選択率で製造することができる点で、X
1、X
2、X
3、X
4、X
5及びX
6は、フッ素原子であることがより好ましい。
【0045】
シクロブテンとフッ化水素とのモル比
フッ化水素(HF)は、通常、一般式(2)で表されるシクロブテン(原料化合物)と共に、気相状態で反応器に供給することが好ましい。フッ化水素の供給量は、上記一般式(2)で表されるシクロブテン(原料化合物)1モルに対して、0.1モル〜100モル程度で、反応させることが好ましい。フッ化水素の供給量は、上記一般式(2)で表されるシクロブテン(原料化合物)1モルに対して、0.5モル〜50モル程度がより好ましく、1モル〜30モル程度が更に好ましく、1モル〜20モル程度が特に好ましい。フッ化水素の供給量を前記範囲とすることで、フッ化水素による付加反応を良好に進行させ、不純物の生成を低減することができ、生成物のフッ素原子を含むシクロブタンの選択率が高く、高収率で回収することができる。
【0046】
(2)付加反応
本開示におけるシクロブテンとフッ化水素とを反応させる工程は、フッ化水素による付加反応であり、触媒の存在下、気相で行う。本開示におけるシクロブテンとフッ化水素とを反応させる工程(付加反応)では、気相で行い、特に固定床反応器を用いた気相連続流通式で行うことが好ましい。気相連続流通式で行う場合は、装置、操作等を簡略化できるとともに、経済的に有利である。
【0047】
本開示におけるシクロブテンとフッ化水素とを反応させる工程では、例えば、原料化合物として、一般式(2)で表されるシクロブテンでは、X
1、X
2、X
3、X
4及びX
6は、フッ素原子であることがより好ましい。
【0048】
以下の反応式に従い、フッ化水素による付加反応であることが好ましい。
【0050】
触媒
本開示におけるシクロブテンとフッ化水素とを反応させる工程は、フッ化水素による付加反応において、触媒の存在下、気相で行う。
【0051】
本工程で用いられる触媒は、活性炭であることが好ましい。
【0052】
本工程で用いられる触媒は、金属触媒であることが好ましい。金属触媒として、酸化クロム、フッ化酸化クロム、フッ化クロム等のクロム触媒、酸化アルミニウム、フッ化酸化アルミニウム、フッ化アルミニウム等のアルミニウム触媒、酸化鉄、フッ化酸化鉄、フッ化鉄等の鉄触媒、酸化ニッケル、フッ化酸化ニッケル、フッ化ニッケル等のニッケル触媒、酸化マグネシウム、フッ化酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム等のマグネシウム触媒等の金属触媒であることが好ましい。触媒は、前記金属触媒からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0053】
本工程で用いられる触媒は、活性炭及び前記金属触媒からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。これら触媒のうち、目的化合物をより高い選択率で得ることができる点から、活性炭、酸化クロム、フッ化酸化クロム、フッ化クロム等のクロム触媒がより好ましい。また、原料化合物の転化率をより向上させることも可能である。
【0054】
本工程において、気相で、原料化合物と触媒とを接触させるに当たっては、触媒を固体の状態(固相)で原料化合物と接触させることが好ましい。
【0055】
本工程において、触媒は、粉末状でもよいが、ペレット状の方が気相連続流通式の反応に好ましい。
【0056】
前記触媒のBET法により測定した比表面積(以下、BET比表面積とも称する。)は、通常10〜3,000m
2/gであり、好ましくは10〜2,500m
2/gであり、より好ましくは20〜2,000m
2/gであり、更に好ましくは30〜1,500m
2/gである。触媒のBET比表面積がこのような範囲にある場合、触媒の粒子の密度が小さ過ぎることがない為、高い選択率で目的化合物を得ることができる。また、原料化合物の転化率を向上させることも可能である。例えば、触媒として、BET比表面積は800m
2/g〜2,000m
2/gである活性炭を用いることが好ましい。
【0057】
触媒として活性炭を用いる場合、破砕炭、成形炭、顆粒炭、球状炭等の粉末活性炭を用いる事が好ましい。粉末活性炭は、JIS試験で、4メッシュ(4.76mm)〜100メッシュ(0.149mm)の粒度を示す粉末活性炭を用いることが好ましい。触媒として活性炭を用いる場合、使用前に、例えば300〜500℃の温度条件で一定時間窒素を流して処理したもの(熱処理した活性炭)を用いることができる。
【0058】
触媒として金属触媒を用いる場合、担体に担持されていることが好ましい。担体としては、例えば、炭素、アルミナ(Al
2O
3)、ジルコニア(ZrO
2)、シリカ(SiO
2)、チタニア(TiO
2)等が挙げられる。炭素としては、活性炭、不定形炭素、グラファイト、ダイヤモンド等を用いることができる。
【0059】
本開示における触媒の一例として、酸化クロム及びフッ素化された酸化クロムについて、説明する。酸化クロムは、例えば、酸化クロムをCr
2O
3・nH
2Oで表した場合に、nの値が3以下であることが好ましく、1〜1.5であることがより好ましい。また、前記酸化クロムは、組成式:CrO
mにおいて、mが通常1.5<m<3の範囲にあるものが好ましい。触媒として、フッ素化された酸化クロムは、酸化クロムをフッ素化することにより調製することができる。フッ素化としては、フッ化水素(HF)によるフッ素化、フルオロカーボン等によるフッ素化を挙げることができる。
【0060】
触媒としてのフッ素化された酸化クロムは、例えば、日本特許第3412165号に記載されている方法に従って得ることができる。酸化クロムをフッ化水素によりフッ素化(HF処理)することによってフッ素化された酸化クロムを得ることができる。フッ素化の温度は、例えば、100〜460℃が好ましい。フッ素化の圧力は、触媒反応に供される時の圧力が好ましい。本開示において、フッ素含有量の多い高フッ素化−酸化クロム触媒を用いることが特に好ましい。高フッ素化−酸化クロム触媒は、酸化クロムを通常より高温で、長時間フッ素化することにより得ることができる。
【0061】
高フッ素化−酸化クロム触媒は、フッ素含有量が30質量%以上であることが好ましく、30〜45質量%であることがより好ましい。フッ素含有量は、触媒の質量変化、又は一般的なクロム酸化物の定量分析法によって測定することができる。
【0062】
気相反応温度
本開示におけるシクロブテンとフッ化水素とを反応させる工程では、反応温度の下限値は、より効率的にフッ化水素による付加反応を進行させ、目的化合物をより高い選択率で得ることができる観点、転化率の低下を抑制する観点から、通常50℃であり、好ましくは200℃であり、より好ましくは250℃であり、更に好ましくは300℃である。
【0063】
触媒として活性炭を用いる場合、反応温度は50℃〜400℃が好ましく、100℃〜350℃がより好ましく、150℃〜300℃が更に好ましい。
【0064】
触媒としてクロム触媒を用いる場合、反応温度は50℃以上が好ましく、250℃以上がより好ましく、300℃以上が更に好ましい。
【0065】
シクロブテンとフッ化水素とを反応させる反応温度の上限値は、より効率的にフッ化水素による付加反応を進行させ、目的化合物をより高い選択率で得ることができる観点、且つ反応生成物が分解又は重合することによる選択率の低下を抑制する観点から、通常500℃であり、好ましくは450℃であり、より好ましくは400℃である。
【0066】
気相反応時間
シクロブテンとフッ化水素とを反応させる反応時間は、原料化合物の触媒に対する接触時間(W/F
0)[W:金属触媒の重量(g)、F
0:原料化合物の流量(cc/sec)]を長くすれば原料化合物の転化率を上げることができるが、触媒の量が多くなって設備が大きくなり、非効率である。
【0067】
その為、シクロブテンとフッ化水素とを反応させる反応時間は、原料化合物の転化率を向上させる点、及び設備コストを抑制する点から、原料化合物の触媒に対する接触時間(W/F
0)が、1g・sec/cc〜30g・sec/ccであることが好ましく、1.5g・sec/cc〜10g・sec/ccであることがより好ましく、2.0g・sec/cc〜5.0g・sec/ccであることが更に好ましい。
【0068】
上記原料化合物の触媒に対する接触時間とは、原料化合物及び触媒が接触する時間を意味する。
【0069】
シクロブテンとフッ化水素とのモル比
フッ化水素の供給量は、触媒として活性炭、及びクロム触媒を用いる場合、反応コスト及び生産性の観点から、上記一般式(2)で表されるシクロブテン(原料化合物)1モルに対して、0.1モル〜100モル程度で反応させることが好ましく、0.5モル〜75モル程度がより好ましく、1モル〜50モル程度が更に好ましい。
【0070】
気相反応圧力
シクロブテンとフッ化水素とを反応させる反応圧力は、より効率的にフッ化水素による付加反応を進行させる点から、-0.05MPa〜2MPaであることが好ましく、-0.01MPa〜1MPaであることがより好ましく、常圧〜0.5MPaであることが更に好ましい。なお、本開示において、圧力については表記が無い場合はゲージ圧とする。
【0071】
シクロブテンとフッ化水素との反応において、原料化合物と触媒(活性炭、クロム触媒等)とを接触させて反応させる反応器としては、上記温度及び圧力に耐えうるものであれば、形状及び構造は特に限定されない。反応器としては、例えば、縦型反応器、横型反応器、多管型反応器等が挙げられる。反応器の材質としては、例えば、ガラス、ステンレス、鉄、ニッケル、鉄ニッケル合金等が挙げられる。
【0072】
気相反応の例示
シクロブテンとフッ化水素との反応(フッ化水素による付加反応)は、反応器に原料化合物を連続的に仕込み、当該反応器から目的化合物を連続的に抜き出す流通式及びバッチ式のいずれの方式によっても実施することができる。目的化合物が反応器に留まると、更に脱離反応が進行し得ることから、流通式で実施することが好ましい。本開示におけるシクロブテンとフッ化水素とを反応させる工程では、気相で行い、特に固定床反応器を用いた気相連続流通式で行うことが好ましい。気相連続流通式で行う場合は、装置、操作等を簡略化できるとともに、経済的に有利である。
【0073】
シクロブテンとフッ化水素との反応を行う際の雰囲気については、触媒(活性炭、クロム触媒等)の劣化を抑制する点から、不活性ガス存在下及び/又はフッ化水素存在下であることが好ましい。当該不活性ガスは、窒素、ヘリウム、アルゴン及び二酸化炭素からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらの不活性ガスの中でも、コストを抑える点から、窒素がより好ましい。当該不活性ガスの濃度は、反応器に導入される気体成分の0〜50mol%とすることが好ましい。
【0074】
シクロブテンとフッ化水素との反応(フッ化水素による付加反応)終了後は、必要に応じ、常法にしたがって精製処理を行い、一般式(1)で表されるフッ素原子を含むシクロブタンを得ることができる。
【0075】
(3)目的化合物
本開示における目的化合物は、一般式(1):
【0077】
(式中、X
1、X
2、X
3、X
4、X
5及びX
6は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、又はパーフルオロアルキル基を示す。)
で表されるフッ素原子を含むシクロブタンである。
【0078】
製造しようとする一般式(1)で表されるフッ素原子を含むシクロブタンは、例えば、次の、
【0081】
一般式(1)で表されるフッ素原子を含むシクロブタンでは、X
1、X
2、X
3、X
4、X
5及びX
6は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、又はパーフルオロアルキル基を示す。
【0082】
本開示におけるシクロブタンの製造方法では、原料化合物は、一般式(2)で表されるシクロブテンとフッ化水素とを反応させる工程において、フッ化水素による付加反応を行い、例えば、原料化合物として、一般式(2)で表されるシクロブテンでは、X
1、X
2、X
3、X
4及びX
6は、フッ素原子であることがより好ましい。
【0083】
以下の反応式に従い、フッ化水素による付加反応であることが好ましい。
【0085】
目的化合物は、一般式(1)で表されるフッ素原子を含むシクロブタンとして、X
1、X
2、X
3、X
4、X
5及びX
6は、フッ素原子であることがより好ましい。
【0086】
本開示の製造方法によれば、一般式(1)で表されるフッ素原子を含むシクロブタンを目的化合物として、工業的レベルで、高い選択率で良好に製造することができる。
【0087】
(4)フッ素原子を含むシクロブタンを含む組成物
以上のようにして、一般式(1)で表されるフッ素原子を含むシクロブタンを得ることができるが、上記のように、一般式(1)で表されるフッ素原子を含むシクロブタンと、一般式(2)で表されるシクロブテンとを含有する組成物の形で得られることもある。
【0088】
組成物に含まれる一般式(1)で表されるフッ素原子を含むシクロブタンとして、X
1、X
2、X
3、X
4、X
5及びX
6は、フッ素原子であることが好ましい。
【0089】
本開示の一般式(1)で表されるフッ素原子を含むシクロブタンを含む組成物において、前記組成物の総量を100mol%として、一般式(1)で表されるフッ素原子を含むシクロブタンの含有量は99mol%以上であることが好ましい。
【0090】
本開示の一般式(1)で表されるフッ素原子を含むシクロブタンを含む組成物において、前記組成物の総量を100mol%として、一般式(1)で表されるフッ素原子を含むシクロブタンの含有量は1mol%〜99.9mol%が好ましく、5mol%〜99.9mol%がより好ましく、10mol%〜99.9mol%が更に好ましい。
【0091】
本開示の製造方法によれば、一般式(1)で表されるフッ素原子を含むシクロブタンを含む組成物として得られた場合であっても、一般式(1)で表されるフッ素原子を含むシクロブタンを特に高い選択率で得ることができ、その結果、前記組成物中の一般式(1)で表されるフッ素原子を含むシクロブタン以外の成分を少なくすることが可能である。本開示の製造方法によれば、一般式(1)で表されるフッ素原子を含むシクロブタンを得る為の精製の労力を削減することができる。
【0092】
本開示の一般式(1)で表されるフッ素原子を含むシクロブタンを含む組成物は、一般式(1)で表されるフッ素原子を含むシクロブタン単独の場合と同様に、半導体、液晶等の最先端の微細構造を形成するためのエッチングガスの他、デポジットガス、有機合成用ビルディングブロック、クリーニングガス等の各種用途に有効利用できる。
【0093】
前記デポジットガスとは、エッチング耐性ポリマー層を堆積させるガスである。
【0094】
前記有機合成用ビルディングブロックとは、反応性が高い骨格を有する化合物の前駆体となり得る物質を意味する。例えば、本開示の一般式(1)で表されるフッ素原子を含むシクロブタン、及びこれを含む組成物とCF
3Si(CH
3)
3等の含フッ素有機ケイ素化合物とを反応させると、CF
3基等のフルオロアルキル基を導入して洗浄剤や含フッ素医薬中間体となり得る物質に変換することが可能である。
【0095】
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能である。
【実施例】
【0096】
以下に実施例を挙げ、本開示を具体的に説明するが、本開示は、これら実施例によって何ら限定されるものではない。
【0097】
実施例
実施例のフッ素原子を含むシクロブタンの製造方法では、原料化合物は、一般式(2)で表されるシクロブテンにおいて、X
1、X
2、X
3及びX
4は、フッ素原子とした。
【0098】
以下の反応式に従って、シクロブテンに対してフッ化水素による付加反応を行った。
【0099】
【化12】
【0100】
目的化合物は、一般式(1)で表されるフッ素原子を含むシクロブタンとして、X
1、X
2、X
3、X
4、X
5及びX
6は、フッ素原子とした。
【0101】
実施例1(1-1〜1-5)、触媒:活性炭
反応管としてSUS配管(外径:1/2インチ)を用い、触媒として活性炭10gを充填した。前記触媒をフッ化水素による付加反応に用いた。活性炭のBET比表面積は850m
2/gであった。反応器であるSUS配管(外径:1/2インチ)に、触媒として活性炭を10g加えた。
【0102】
窒素雰囲気下、200℃で2時間乾燥した後、圧力を常圧、シクロブテンcC
4F
6(原料化合物)と活性炭(触媒)との接触時間(W/F
0)が2.0g・sec/ccとなるように、反応器に原料化合物(cC
4F
6)を流通させた。
【0103】
フッ化水素の供給量は、シクロブテンcC
4F
6(原料化合物)1モルに対して、1モル又は15モルとした。
【0104】
気相連続流通式で反応を進行させた。
【0105】
反応器を150℃、200℃、250℃又は300℃で加熱してフッ化水素による付加反応を開始した。フッ化水素による付加反応を開始してから1時間後に、除害塔を通った留出分を集めた。
【0106】
その後、ガスクロマトグラフィー(島津製作所社製、商品名「GC-2014」)を用いてガスクロマトグラフィー/質量分析法(GC/MS)により質量分析を行い、NMR(JEOL社製、商品名「400YH」)を用いてNMRスペクトルによる構造解析を行った。
【0107】
質量分析及び構造解析の結果から、目的化合物としてcC
4F
7Hが生成したことが確認された。実施例1-1では、cC
4F
6(原料化合物)からの転化率は0.364mol%であり、cC
4F
7H(目的化合物)の選択率(収率)は18.6mol%であった。
【0108】
実施例1-2では、転化率:11.6mol%、選択率:96.2mol%であった。
【0109】
実施例1-3では、転化率:4.57mol%、選択率:84.9mol%であった。
【0110】
実施例1-4では、転化率:2.30mol%、選択率:38.8mol%であった。
【0111】
実施例1-5では、転化率:0.6mol%、選択率:94.2mol%であった。
【0112】
実施例2(2-1〜2-8)、触媒:クロム触媒
反応管としてSUS配管(外径:1/2インチ)を用い、触媒としてCr
2O
3を主成分とする酸化クロム10gを充填した。前記触媒を脱離反応(脱フッ化水素反応)に使用する前処理として、反応器に無水フッ化水素を流通させ、反応器の温度を200℃から300℃としてフッ素化処理を行った。フッ素化された酸化クロムを取り出し、脱フッ化水素反応に用いた。フッ素化された酸化クロムのBET比表面積は75m
2/gであった。反応器であるSUS配管(外径:1/2インチ)に、触媒としてフッ素化した酸化クロム(フッ化酸化クロム)を10g加えた。
【0113】
窒素雰囲気下、200℃で2時間乾燥した後、圧力を常圧、シクロブテンcC
4F
6(原料化合物)とフッ素化した酸化クロム(触媒)との接触時間(W/F
0)が3.0g・sec/cc、4.0g・sec/cc又は5.0g・sec/ccとなるように、反応器に原料化合物(cC
4F
6H
2)を流通させた。
【0114】
フッ化水素の供給量は、シクロブテンcC
4F
6(原料化合物)1モルに対して、1モル、5モル又は20モルとした。
【0115】
気相連続流通式で反応を進行させた。
【0116】
反応器を50℃、200℃、250℃、300℃又は350℃で加熱してフッ化水素による付加反応を開始した。フッ化水素による付加反応を開始してから1時間後に、除害塔を通った留出分を集めた。
【0117】
その後、ガスクロマトグラフィー(島津製作所社製、商品名「GC-2014」)を用いてガスクロマトグラフィー/質量分析法(GC/MS)により質量分析を行い、NMR(JEOL社製、商品名「400YH」)を用いてNMRスペクトルによる構造解析を行った。
【0118】
質量分析及び構造解析の結果から、目的化合物としてcC
4F
7Hが生成したことが確認された。実施例2-1では、cC
4F
6(原料化合物)からの転化率は0.942mol%であり、cC
4F
7H(目的化合物)の選択率(収率)は0.7mol%であった。
【0119】
実施例2-2では、転化率:0.183mol%、選択率:1.6mol%であった。
【0120】
実施例2-3では、転化率:0.506mol%、選択率:2.4mol%であった。
【0121】
実施例2-4では、転化率:0.396mol%、選択率:0.7mol%であった。
【0122】
実施例2-5では、転化率:0.924mol%、選択率:4.2mol%であった。
【0123】
実施例2-6では、転化率:1.37mol%、選択率:3.0mol%であった。
【0124】
実施例2-7では、転化率:1.62mol%、選択率:2.0mol%であった。
【0125】
実施例2-8では、転化率:2.87mol%、選択率:0.2mol%であった。
【0126】
比較例1及び2
前記実施例の実験方法に倣い、触媒を用いずに、シクロブテンcC
4F
6(原料化合物)に対して、フッ化水素を供給し、反応を行った。
【0127】
フッ化水素の供給量は、シクロブテンcC
4F
6(原料化合物)1モルに対して、20モルとした。
【0128】
気相連続流通式で反応を進行させた。
【0129】
反応器を200℃又は350℃で加熱してフッ化水素による付加反応を開始した。フッ化水素による付加反応を開始してから1時間後に、除害塔を通った留出分を集めた。
【0130】
その後、ガスクロマトグラフィー(島津製作所社製、商品名「GC-2014」)を用いてガスクロマトグラフィー/質量分析法(GC/MS)により質量分析を行い、NMR(JEOL社製、商品名「400YH」)を用いてNMRスペクトルによる構造解析を行った。
【0131】
質量分析及び構造解析の結果から、cC
4F
6(原料化合物)からの転化率は0.801mol%(比較例1)又は0.695mol%(比較例2)であったが、cC
4F
7H(目的化合物)の生成は確認されなかった。
【0132】
各実施例の結果を以下の表1に示す。表1において、接触時間(W/F
0)とは、流通する原料ガスを流す速度を示しており、即ち、触媒及び原料ガスが接触する時間を意味する。モル比HF/cC
4F
6とは、cC
4F
6 1モルに対するHFの使用量(モル)である。
【0133】
【表1】