特許第6874786号(P6874786)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6874786トリフルオロエチレンを含む共沸又は共沸様組成物
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  • 特許6874786-トリフルオロエチレンを含む共沸又は共沸様組成物 図000007
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6874786
(24)【登録日】2021年4月26日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】トリフルオロエチレンを含む共沸又は共沸様組成物
(51)【国際特許分類】
   C09K 5/04 20060101AFI20210510BHJP
   C07C 17/383 20060101ALI20210510BHJP
   C07C 21/18 20060101ALI20210510BHJP
   C07C 19/08 20060101ALI20210510BHJP
   C07C 19/12 20060101ALN20210510BHJP
【FI】
   C09K5/04 F
   C07C17/383
   C07C21/18
   C07C19/08
   !C07C19/12
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-64670(P2019-64670)
(22)【出願日】2019年3月28日
(65)【公開番号】特開2020-164436(P2020-164436A)
(43)【公開日】2020年10月8日
【審査請求日】2020年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一博
【審査官】 松澤 優子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/178352(WO,A1)
【文献】 特開2016−130236(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第104529690(CN,A)
【文献】 特開2016−222603(JP,A)
【文献】 特開2016−222604(JP,A)
【文献】 特開平02−069425(JP,A)
【文献】 国際公開第01/064612(WO,A1)
【文献】 特開2015−145452(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/178353(WO,A1)
【文献】 HORSLEY, L. H.,Azeotopic Data-III,1973年,pp.63, 93, 96, 100
【文献】 山田 幾穂 他,二成分系共沸物の共沸圧力、共沸温度、共沸組成について,石油学会誌,1960年,Vol.3, No.1,pp.25-29
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共沸又は共沸様組成物であって、
トリフルオロエチレンと、フルオロエチレン及びトリフルオロメタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを前記共沸又は共沸様組成物全体に対して90質量%以上含む共沸又は共沸様組成物。
【請求項2】
前記共沸又は共沸様組成物の全体に対してトリフルオロエチレンを50質量%以上含む、請求項1に記載の共沸又は共沸様組成物。
【請求項3】
さらに、
(c)フルオロエタン、1,1,2-トリフルオロエタン、2-クロロ-1,1,1-トリフルオロエタン、1-クロロ-1,1,2-トリフルオロエタン、2,2-ジクロロ-1,1,1-トリフルオロエタン、1,1-ジフルオロエタン、1,2-ジフルオロエタン及び1,1,1,2-テトラフルオロエタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の追加的化合物
を含有する、請求項1又は2に記載の共沸又は共沸様組成物。
【請求項4】
前記共沸又は共沸様組成物の全体に対して、前記追加的化合物(c)を0.1質量%以上1質量%未満含有する、請求項3に記載の共沸又は共沸様組成物。
【請求項5】
熱移動媒体として用いられる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の共沸又は共沸様組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、トリフルオロエチレン(以下、HFO-1123ともいう)を含む共沸又は共沸様組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
温暖化係数の低いオレフィンのHFCであるHFO(ヒドロフルオロオレフィン)としてトリフルオロエチレン(CHF=CF2)を含む冷媒が提案されている(特許文献1)。
【0003】
トリフルオロエチレンの製造方法としては、例えば1,1,1,2-テトラフルオロエタンを触媒の存在下、脱HF反応を行うことで得ることができる(特許文献2)。また、1-クロロ-2,2,2-トリフルオロエチレンを水素で還元することにより得ることができる(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開2012/157764号公報
【特許文献2】国際公開2009/010472号公報
【特許文献3】国際公開2012/000853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、新たな共沸又は共沸様組成物、及び、それを用いた分離方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
項1.
トリフルオロエチレン(HFO-1123)と、1,1,-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)、フルオロエチレン(HFO-1141)及びトリフルオロメタン(HFC-23)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを含む共沸又は共沸様組成物。
項2.
前記共沸又は共沸様組成物の全体に対してトリフルオロエチレンを50質量%以上含む、項1に記載の共沸又は共沸様組成物。
項3.
さらに、
(c)フルオロエタン、1,1,2-トリフルオロエタン、2-クロロ-1,1,1-トリフルオロエタン、1-クロロ-1,1,2-トリフルオロエタン、2,2-ジクロロ-1,1,1-トリフルオロエタン、1,1-ジフルオロエタン、1,2-ジフルオロエタン及び1,1,1,2-テトラフルオロエタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の追加的化合物
を含有する、項1又は2に記載の共沸又は共沸様組成物。
項4.
前記共沸又は共沸様組成物の全体に対して、前記追加的化合物(c)を0.1質量%以上30質量%未満含有する、項3に記載の共沸又は共沸様組成物。
項5.
熱移動媒体として用いられる、項1〜4のいずれか一項に記載の共沸又は共沸様組成物。
【発明の効果】
【0007】
本開示により、新たな共沸又は共沸様組成物、及び、それを用いた分離方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】共沸又は共沸様組成物を用いた蒸留分離プロセスの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<用語の定義>
本明細書において用語「冷媒」には、ISO817(国際標準化機構)で定められた、冷媒の種類を表すRで始まる冷媒番号(ASHRAE番号)が付された化合物が少なくとも含まれ、さらに冷媒番号が未だ付されていないとしても、それらと同等の冷媒としての特性を有するものが含まれる。冷媒は、化合物の構造の面で、「フルオロカーボン系化合物」と「非フルオロカーボン系化合物」とに大別される。「フルオロカーボン系化合物」には、クロロフルオロカーボン(CFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)及びハイドロフルオロカーボン(HFC)が含まれる。「非フルオロカーボン系化合物」としては、プロパン(R290)、プロピレン(R1270)、ブタン(R600)、イソブタン(R600a)、二酸化炭素(R744)及びアンモニア(R717)等が挙げられる。
【0010】
本明細書において、用語「冷媒を含有する組成物」には、(1)冷媒そのもの(冷媒の混合物を含む)と、(2)その他の成分をさらに含み、少なくとも冷凍機油と混合することにより冷凍機用作動流体を得るために用いることのできる組成物と、(3)冷凍機油を含有する冷凍機用作動流体とが少なくとも含まれる。本明細書においては、これら三態様のうち、(2)の組成物のことを、冷媒そのもの(冷媒の混合物を含む)と区別して「冷媒組成物」と表記する。また、(3)の冷凍機用作動流体のことを「冷媒組成物」と区別して「冷凍機油含有作動流体」と表記する。
【0011】
本明細書において、用語「共沸様組成物」は、共沸組成物と実質的に同様に取り扱うことができる組成物を意味する。具体的には、本明細書において、用語「共沸様組成物」は、実質的に単一物質として振る舞う2つ以上の物質の定沸点の、または実質的に定沸点の混合物を意味する。共沸様組成物の特徴の一つとして、液体の蒸発又は蒸留によって発生した蒸気の組成が、液体の組成と実質的に変化しないことが挙げられる。すなわち、本明細書においては、ある混合物が、実質的な組成変化なしに沸騰、蒸留又は還流するとき、この混合物のことを、共沸様組成物と呼ぶ。具体的には、ある特定の温度での組成物のバブルポイント蒸気圧と、当該組成物の露点蒸気圧との差が3%以下(バブルポイント圧力を基準として)である場合に、当該組成物は共沸様組成物であると本開示では定義する。
【0012】
本明細書において、用語「代替」は、第一の冷媒を第二の冷媒で「代替」するという文脈で用いられる場合、第一の類型として、第一の冷媒を使用して運転するために設計された機器において、必要に応じてわずかな部品(冷凍機油、ガスケット、パッキン、膨張弁、ドライヤその他の部品のうち少なくとも一種)の変更及び機器調整のみを経るだけで、第二の冷媒を使用して、最適条件下で運転することができることを意味する。すなわち、この類型は、同一の機器を、冷媒を「代替」して運転することを指す。この類型の「代替」の態様としては、第二の冷媒への置き換えの際に必要とされる変更乃至調整の度合いが小さい順に、「ドロップイン(drop in)代替」、「ニアリー・ドロップイン(nealy drop in)代替」及び「レトロフィット(retrofit)」があり得る。
【0013】
第二の類型として、第二の冷媒を用いて運転するために設計された機器を、第一の冷媒の既存用途と同一の用途のために、第二の冷媒を搭載して用いることも、用語「代替」に含まれる。この類型は、同一の用途を、冷媒を「代替」して提供することを指す。
【0014】
本明細書において用語「冷凍機(refrigerator)」とは、物あるいは空間の熱を奪い去ることにより、周囲の外気よりも低い温度にし、かつ、この低温を維持する装置全般のことをいう。言い換えれば、冷凍機は温度の低い方から高い方へ熱を移動させるために、外部からエネルギーを得て仕事を行いエネルギー変換する変換装置のことをいう。
【0015】
本明細書において、特に断りのない限り圧力は絶対圧を意味する。
【0016】
本発明者は、従来の製造方法で得られたトリフルオロエチレンは、1,1,-ジフルオロエチレン、フルオロエチレン及びトリフルオロメタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含み、これらの化合物を含む組成物は、単一成分に近い取扱をすることができる共沸様組成物を形成することを見出し、本開示を完成するに至った。
1. 共沸又は共沸様組成物
本開示の共沸又は共沸様組成物は、トリフルオロエチレンと、1,1,-ジフルオロエチレン、フルオロエチレン及びトリフルオロメタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを含む共沸又は共沸様組成物である。
【0017】
本開示の共沸又は共沸様組成物は、精製工程における分離効率及び収率の面や熱移動媒体としての取扱い、性能、組成物の全体に対してトリフルオロエチレンを、50質量%以上含むことが好ましく、60質量%以上含むことがより好ましく、70質量%以上含むことがさらに好ましい。
【0018】
本開示の共沸又は共沸様組成物は、トリフルオロエチレンと、1,1,-ジフルオロエチレン、フルオロエチレン及びトリフルオロメタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを、組成物全体に対して60質量%以上含むことが好ましく、80質量%以上含むことがより好ましく、90質量%以上含むことがさらに好ましい。本開示の共沸又は共沸様組成物は、トリフルオロエチレンと、1,1,-ジフルオロエチレン、フルオロエチレン及びトリフルオロメタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とのみからなってもよい。
【0019】
本開示の共沸又は共沸様組成物は、
(a)トリフルオロエチレンと、
(b)1,1,-ジフルオロエチレン、フルオロエチレン及びトリフルオロメタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、
(c)フルオロエタン、1,1,2-トリフルオロエタン、2-クロロ-1,1,1-トリフルオロエタン、1-クロロ-1,1,2-トリフルオロエタン、2,2-ジクロロ-1,1,1-トリフルオロエタン、1,1-ジフルオロエタン、1,2-ジフルオロエタン及び1,1,1,2-テトラフルオロエタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の追加的化合物と
を含有する、共沸又は共沸様組成物であってもよい。
【0020】
本開示の共沸又は共沸様組成物は、上記(a)、(b)及び(c)を含む場合、熱移動媒体としての取り扱い、性能の面、組成物の全体に対して前記追加的化合物(c)を、0.1質量%以上30質量%未満含有することが好ましく、0.1質量%以上10質量%未満含有することがより好ましく、0.1質量%以上1質量%未満含有することがさらに好ましい。
【0021】
本開示の共沸又は共沸様組成物は、上記(a)、(b)及び(c)を含む場合、熱移動媒体としての取り扱い、性能の面で、(a)、(b)及び(c)の合計を、組成物の全体に対して、60質量%以上含むことが好ましく、80質量%以上含むことがより好ましく、90質量%以上含むことがさらに好ましい。本開示の共沸又は共沸様組成物は、上記(a)、(b)及び(c)のみからなってもよい。
【0022】
本開示の共沸又は共沸様組成物はGWPが、好ましくは750以下であり、より好ましくは150以下であり、さらに好ましくは10以下である。
【0023】
本開示の共沸又は共沸様組成物は、好ましくは、冷媒、熱移動媒体、発泡剤、推進剤として用いられる。これらの組成物は低い温暖化係数を持ち、従来から用いられているHFC冷媒、例えばR-410A、R-407C、R-404Aなどの冷媒と比べて遜色ない性能を持ち、なおかつその低いGWPにより地球温暖化を防ぐことができる。
【0024】
2. 熱移動媒体組成物
本開示の共沸又は共沸様組成物は、熱移動媒体組成物として用いられる場合、従来から用いられるHFC冷媒である、HFC134a、R-410A、R-407C又はR-404A等の冷媒を代替する、より低い地球温暖化係数(GWP)を有する冷媒、又は冷媒の成分としても使用しうる。
【0025】
熱移動媒体組成物として用いられる本開示の共沸又は共沸様組成物は、さらに少なくとも一種のその他の成分を含有していてもよい。本開示の共沸又は共沸様組成物は、さらに少なくとも冷凍機油と混合することにより冷凍機用作動流体を得るために用いることができる(この場合の本開示の組成物を「本開示の冷媒組成物」という)。
【0026】
本開示の冷媒組成物は、必要に応じて、以下のその他の成分のうち少なくとも一種を含有していてもよい。その他の成分は、特に限定されないが、具体的には、例えば、水、トレーサー、紫外線蛍光染料、安定剤、重合禁止剤等が挙げられる。
【0027】
本開示の冷媒組成物を、冷凍機における作動流体として使用するに際しては、通常、少なくとも冷凍機油と混合して用いられる。したがって、本開示の冷媒組成物は、好ましくは冷凍機油を実質的に含まない。具体的には、本開示の冷媒組成物は、組成物全体に対する冷凍機油の含有量が好ましくは0〜1質量%であり、より好ましくは0〜0.1質量%である。
【0028】
本開示の冷媒組成物は、微量の水を含んでもよい。冷媒組成物における含水割合は、冷媒全体に対して、0.1質量%以下とすることが好ましい。冷媒組成物が微量の水分を含むことにより、冷媒中に含まれ得る不飽和のフルオロカーボン系化合物の分子内二重結合が安定化され、また、不飽和のフルオロカーボン系化合物の酸化も起こりにくくなるため、冷媒組成物の安定性が向上する。
【0029】
トレーサーは、本開示の冷媒組成物が希釈、汚染、その他何らかの変更があった場合、その変更を追跡できるように検出可能な濃度で本開示の冷媒組成物に添加される。
【0030】
本開示の冷媒組成物は、トレーサーとして、一種を単独で含有してもよいし、二種以上を含有してもよい。
【0031】
トレーサーとしては、特に限定されず、一般に用いられるトレーサーの中から適宜選択することができる。
【0032】
トレーサーとしては、例えば、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、クロロフルオロカーボン、ハイドロクロロカーボン、フルオロカーボン、重水素化炭化水素、重水素化ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン、フルオロエーテル、臭素化化合物、ヨウ素化化合物、アルコール、アルデヒド、ケトン、亜酸化窒素(N2O)等が挙げられる。トレーサーとしては、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、クロロフルオロカーボン、ハイドロクロロカーボン、フルオロカーボン及びフルオロエーテルが特に好ましい。
【0033】
トレーサーとしては、以下の化合物が好ましい。
FC-14(テトラフルオロメタン、CF4
HCC-40(クロロメタン、CH3Cl)
HFC-23(トリフルオロメタン、CHF3
HFC-41(フルオロメタン、CH3Cl)
HFC-125(ペンタフルオロエタン、CF3CHF2
HFC-134a(1,1,1,2-テトラフルオロエタン、CF3CH2F)
HFC-134(1,1,2,2-テトラフルオロエタン、CHF2CHF2
HFC-143a(1,1,1-トリフルオロエタン、CF3CH3
HFC-152(1,2-ジフルオロエタン、CH2FCH2F)
HFC-245fa(1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン、CF3CH2CHF2
HFC-236fa(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、CF3CH2CF3
HFC-236ea(1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン、CF3CHFCHF2
HFC-227ea(1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン、CF3CHFCF3)
HCFC-22(クロロジフルオロメタン、CHClF2
HCFC-31(クロロフルオロメタン、CH2ClF)
CFC-1113(クロロトリフルオロエチレン、CF2=CClF)
HFE-125(トリフルオロメチル−ジフルオロメチルエーテル、CF3OCHF2
HFE-134a(トリフルオロメチル−フルオロメチルエーテル、CF3OCH2F)
HFE-143a(トリフルオロメチル−メチルエーテル、CF3OCH3
HFE-227ea(トリフルオロメチル−テトラフルオロエチルエーテル、CF3OCHFCF3)HFE-236fa(トリフルオロメチル−トリフルオロエチルエーテル、CF3OCH2CF3
本開示の冷媒組成物は、トレーサーを合計で、冷媒組成物全体に対して、約10重量百万分率(ppm)〜約1000ppm含んでいてもよい。本開示の冷媒組成物は、トレーサーを合計で、冷媒組成物全体に対して、好ましくは約30ppm〜約500ppm、より好ましくは約50ppm〜約300ppm含んでいてもよい。
【0034】
本開示の冷媒組成物は、紫外線蛍光染料として、一種を単独で含有してもよいし、二種以上を含有してもよい。
【0035】
紫外線蛍光染料としては、特に限定されず、一般に用いられる紫外線蛍光染料の中から適宜選択することができる。
【0036】
紫外線蛍光染料としては、例えば、ナフタルイミド、クマリン、アントラセン、フェナントレン、キサンテン、チオキサンテン、ナフトキサンテン及びフルオレセイン、並びにこれらの誘導体が挙げられる。紫外線蛍光染料としては、ナフタルイミド及びクマリンのいずれか又は両方が特に好ましい。
【0037】
本開示の冷媒組成物は、安定剤として、一種を単独で含有してもよいし、二種以上を含有してもよい。
【0038】
安定剤としては、特に限定されず、一般に用いられる安定剤の中から適宜選択することができる。
【0039】
安定剤としては、例えば、ニトロ化合物、エーテル類及びアミン類等が挙げられる。
【0040】
ニトロ化合物としては、例えば、ニトロメタン及びニトロエタン等の脂肪族ニトロ化合物、並びにニトロベンゼン及びニトロスチレン等の芳香族ニトロ化合物等が挙げられる。
【0041】
エーテル類としては、例えば、1,4-ジオキサン等が挙げられる。
【0042】
アミン類としては、例えば、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルアミン、ジフェニルアミン等が挙げられる。
【0043】
その他にも、ブチルヒドロキシキシレン、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0044】
安定剤の含有割合は、特に限定されず、冷媒全体に対して、通常、0.01〜5質量%とすることが好ましく、0.05〜2質量%とすることがより好ましい。
【0045】
本開示の冷媒組成物は、重合禁止剤として、一種を単独で含有してもよいし、二種以上を含有してもよい。
【0046】
重合禁止剤としては、特に限定されず、一般に用いられる重合禁止剤の中から適宜選択することができる。
【0047】
重合禁止剤としては、例えば、4-メトキシ-1-ナフトール、ヒドロキノン、ヒドロキノンメチルエーテル、ジメチル-t-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0048】
重合禁止剤の含有割合は、特に限定されず、冷媒全体に対して、通常、0.01〜5質量%とすることが好ましく、0.05〜2質量%とすることがより好ましい。
【0049】
本開示の組成物は、冷凍機油を含有する冷凍機用作動流体としても使用できる(この組成物を「本開示の冷凍機油含有作動流体」という)。本開示の冷凍機油含有作動流体は、本開示の冷媒組成物と、冷凍機油とを少なくとも含み、冷凍機における作動流体として用いられる。具体的には、本開示の冷凍機油含有作動流体は、冷凍機の圧縮機において使用される冷凍機油と、冷媒又は冷媒組成物とが互いに混じり合うことにより得られる。冷凍機油含有作動流体には冷凍機油は一般に10〜50質量%含まれる。
【0050】
本開示の冷凍機油含有作動流体は、冷凍機油として、一種を単独で含有してもよいし、二種以上を含有してもよい。
【0051】
冷凍機油としては、特に限定されず、一般に用いられる冷凍機油の中から適宜選択することができる。その際には、必要に応じて、前記混合物との相溶性及び前記混合物の安定性等を向上する作用等の点でより優れている冷凍機油を適宜選択することができる。
【0052】
冷凍機油の基油としては、例えば、ポリアルキレングリコール(PAG)、ポリオールエステル(POE)及びポリビニルエーテル(PVE)からなる群より選択される少なくとも一種が好ましい。
【0053】
冷凍機油は、基油に加えて、さらに添加剤を含んでいてもよい。添加剤は、酸化防止剤、極圧剤、酸捕捉剤、酸素捕捉剤、銅不活性化剤、防錆剤、油性剤及び消泡剤からなる群より選択される少なくとも一種であってもよい。
【0054】
冷凍機油として、40℃における動粘度が5〜400 cStであるものが、潤滑の点で好ましい。
【0055】
本開示の冷凍機油含有作動流体は、必要に応じて、さらに少なくとも一種の添加剤を含んでもよい。添加剤としては例えば以下の相溶化剤等が挙げられる。
【0056】
本開示の冷凍機油含有作動流体は、相溶化剤として、一種を単独で含有してもよいし、二種以上を含有してもよい。
【0057】
相溶化剤としては、特に限定されず、一般に用いられる相溶化剤の中から適宜選択することができる。
【0058】
相溶化剤としては、例えば、ポリオキシアルキレングリコールエーテル、アミド、ニトリル、ケトン、クロロカーボン、エステル、ラクトン、アリールエーテル、フルオロエーテルおよび1,1,1-トリフルオロアルカン等が挙げられる。相溶化剤としては、ポリオキシアルキレングリコールエーテルが特に好ましい。
【0059】
3.分離方法
本開示の共沸又は共沸様組成物は、トリフルオロエチレンと、1,1,-ジフルオロエチレン、フルオロエチレン及びトリフルオロメタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物との混合物、又はトリフルオロエチレンと、上記(b)の化合物と、上記(c)の追加的化合物との混合物において、トリフルオロエチレンを分離する共沸蒸留を行う際に重要な組成物となりうる。
【0060】
例えば、トリフルオロエチレンと、1,1,-ジフルオロエチレン、フルオロエチレン及びトリフルオロメタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを含む共沸又は共沸様組成物を、トリフルオロエチレンと、1,1,-ジフルオロエチレン、フルオロエチレン及びトリフルオロメタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを少なくとも含む組成物から共沸蒸留によって抜き出すことによって、トリフルオロエチレンを分離することができる場合がある。
【0061】
共沸蒸留とは、蒸留塔により分離する組成物が、1つ以上の共沸混合物または共沸混合物様組成物であり、これを分離するための条件下にそれが運転され、その共沸及び共沸様組成物の性質を利用して分離する方法である。
【0062】
共沸蒸留は、分離されるべき混合物の成分のみが蒸留される場合に、又は最初の混合物の成分の1つ以上と共沸混合物を形成する成分が添加される場合に起こる可能性がある。このように作動する、すなわち、分離を所望する混合物の成分の1つ以上と共沸混合物を形成し、蒸留によるそれらの成分の分離を容易にする分離する方法が共沸蒸留である。
【0063】
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【実施例】
【0064】
実施例1
1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)/HFO-1123の気液平衡データ(20℃)を表1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
この系においては共沸組成物は存在しないが、HFO-1132a/HFO-1123 = 0.1 / 99.9 (モル%)〜15/85 およびHFO-1132a/HFO-1123 = 85/ 15 (モル%)〜99.9/0.1の間で共沸様組成物となる。
【0067】
フルオロエチレン(HCFO-1141)/HFO-1123の気液平衡データ(40℃)を表2に示す。
【0068】
【表2】
【0069】
この条件のとき、共沸組成は HFO-1141/HFO-1123 = 75 / 25 (モル%)、80/20 (質量%)であり、HFO-1141/HFO-1123 = 0.1 / 99.9 (モル%)〜99.9/0.1の間で共沸様組成物となる。
【0070】
トリフルオロメタン(HFC-23)/HFO-1123の気液平衡データ(20℃)を表3に示す。
【0071】
【表3】
【0072】
この系においては、共沸組成物は存在しないが、HFC-23/HFO-1123 = 0.1 / 99.9 (モル%)〜15/85 およびHFC-23/HFO-1123 = 85/ 15 (モル%)〜99.9/0.1の間で共沸様組成物となる。
実施例2 HFO-1123とHFO-1141を分離するためのプロセス
図1に共沸組成物を用いた蒸留分離プロセスの一例を示す。結果を表4に示す。S11よりHFO-1123とHFO-1141を含む組成物を蒸留塔C1にフィードする。S13よりHFO-1123とHFO-1141の共沸組成物が流出し、S11と比較してHFO-1123が濃縮されたHFO-1123とHFO-1141からなる組成物が得られる。一方、S12からはHFO-1141の濃度が低下したHFO-1123が得られる。S12は次の工程に送られる。C2ではさらにHFC-161、HFC-152aなどの成分をS14に濃縮して分離する。S15からは純度の高いHFO-1123が得られる。このように、蒸留を組み合わせることで高純度のHFO-1123を回収することができる。
【0073】
【表4】
【0074】
蒸留塔の運転圧力は以下の通りに調整した。
【0075】
蒸留塔C1の運転圧力:1.5MPaG、塔頂温度:13℃、塔底温度:14℃
蒸留塔C2の運転圧力:1.4MPaG、塔頂温度:12℃、塔底温度:28℃
実施例3
各組成物の冷凍能力についてシミュレーションにより求めた。COP及び冷凍能力はR-410Aとの比で示した。結果を表5に示す。
冷凍サイクルの計算条件は以下の通りである。物性モデルとしてPeng-Robinsonを用いた。
【0076】
蒸発温度 10℃、凝縮温度 45℃、過熱度 5℃、過冷却度 5℃、圧縮効率70%
【0077】
【表5】
図1