特許第6874836号(P6874836)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6874836
(24)【登録日】2021年4月26日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】二次電池用セパレータ及び二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/409 20210101AFI20210510BHJP
   H01M 10/0566 20100101ALI20210510BHJP
【FI】
   H01M2/16 P
   H01M2/16 M
   H01M2/16 L
   H01M10/0566
【請求項の数】5
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2019-519496(P2019-519496)
(86)(22)【出願日】2018年3月27日
(86)【国際出願番号】JP2018012366
(87)【国際公開番号】WO2018216348
(87)【国際公開日】20181129
【審査請求日】2019年8月6日
(31)【優先権主張番号】特願2017-104879(P2017-104879)
(32)【優先日】2017年5月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北原 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 学
(72)【発明者】
【氏名】井口 貴視
(72)【発明者】
【氏名】浅野 和哉
(72)【発明者】
【氏名】篠田 千紘
【審査官】 増山 淳子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/083790(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/065258(WO,A1)
【文献】 特開平07−201316(JP,A)
【文献】 特開平09−161804(JP,A)
【文献】 特開2003−096377(JP,A)
【文献】 国際公開第2018/066430(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/00
H01M 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔性基材と、前記多孔性基材上に形成された多孔質膜とからなり、
前記多孔質膜は、ビニリデンフルオライドに基づく重合単位と、テトラフルオロエチレンに基づく重合単位と、下記一般式(2−2)で表される単量体(2−2)に基づく重合単位と、を有する含フッ素重合体を含む
ことを特徴とする二次電池用セパレータ。
【化1】
(式中、R、R及びRは、互いに独立に水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を表す。Rは、炭素数1〜8の炭化水素基を表す。Yは、無機カチオン及び/又は有機カチオンを表す。)
【請求項2】
前記多孔質膜は、更に、金属酸化物粒子及び金属水酸化物粒子からなる群より選択される少なくとも1種の無機粒子を含む請求項1記載の二次電池用セパレータ。
【請求項3】
前記多孔質膜は、更に、有機系粒子を含む請求項1又は2記載の二次電池用セパレータ。
【請求項4】
前記多孔性基材は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル及びポリアセタールからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂からなる請求項1、2又は3記載の二次電池用セパレータ。
【請求項5】
請求項1、2、3又は4記載の二次電池用セパレータ、正極、負極及び非水電解液を備える二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池用セパレータ及び二次電池に関する。より詳しくは、リチウム二次電池等の二次電池に好適なセパレータ及びそれを用いた二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウム二次電池に代表される非水系二次電池は、高エネルギー密度であり、携帯電話・ノートパソコンといった携帯用電子機器の主電源として広範に普及している。また、電気自動車(EV)をはじめ、地球温暖化対策の決め手の1つとして期待されている。リチウム二次電池には、更なる高エネルギー密度化が求められており、電池特性の更なる改善が求められている。また同時に、安全性の確保も技術的な課題となっている。
【0003】
リチウム二次電池は、正極と負極との間に非水電解液を、要すればセパレータを介して配置するものが基本構造である。セパレータは、正極と負極の間に介在して両極活物質の接触を防止するとともに、その空孔内に電解液を流通させることにより電極間のイオン伝導の通路を形成する。また、セパレータには、正極−負極間での短絡等の原因により電池内に異常電流が流れた場合に、電流を遮断して、過大な電流を阻止する機能(シャットダウン機能)を有することが求められており、セパレータは通常の電池の使用温度を超えた場合に、微多孔膜を閉塞することによりシャットダウンする。
【0004】
従来、セパレータとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等で作製される微多孔性ポリオレフィンフィルムが一般的に使用されてきた。近年、このセパレータの性能を改善することにより、電池特性や安全性を向上させることが検討されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、多孔性基材と、前記多孔性基材上に形成された複合多孔質膜とからなり、前記複合多孔質膜は、ビニリデンフルオライドに基づく重合単位及びテトラフルオロエチレンに基づく重合単位を含む含フッ素重合体と、金属酸化物粒子および金属水酸化物粒子からなる群より選択される少なくとも1種の無機粒子とを含み、前記含フッ素重合体は、ビニリデンフルオライドに基づく重合単位を全重合単位中40モル%以上含み、テトラフルオロエチレンに基づく重合単位を全重合単位中5モル%以上含み、重量平均分子量が20万〜200万であり、前記含フッ素重合体の含有量が、複合多孔質膜中50質量%以下であることを特徴とする二次電池用セパレータが提案されている。
【0006】
また、特許文献2には、フッ化ビニリデンと、下記式(1)で表わされる化合物とを共重合して得られるフッ化ビニリデン系共重合体、および溶媒を含む樹脂組成物を、セパレータに塗布する工程(塗布工程)および、樹脂組成物が塗布されたセパレータを乾燥する工程(乾燥工程)を有する非水電解質二次電池用樹脂膜の製造方法が提案されている。
【化1】
(式(1)において、R、R、Rは、それぞれ独立に水素原子、塩素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、X’は、主鎖が原子数1〜19で構成される分子量472以下の原子団である。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第5757363号公報
【特許文献2】国際公開第2014/002937号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、多孔性基材と多孔質膜とが強固に接着しており、かつ、低温加工性及び耐電解液性に優れる二次電池用セパレータを提供することを目的とする。
本発明は、また、高温サイクル特性に優れる二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、多孔性基材と、上記多孔性基材上に形成された多孔質膜とからなり、上記多孔質膜は、ビニリデンフルオライドに基づく重合単位と、テトラフルオロエチレンに基づく重合単位と、下記一般式(2−2)で表される単量体(2−2)に基づく重合単位と、を有する含フッ素重合体を含むことを特徴とする二次電池用セパレータ。
【化2】
(式中、R、R及びRは、互いに独立に水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を表す。Rは、炭素数1〜8の炭化水素基を表す。Yは、無機カチオン及び/又は有機カチオンを表す。)
【0010】
上記多孔質膜は、更に、金属酸化物粒子及び金属水酸化物粒子からなる群より選択される少なくとも1種の無機粒子を含むことが好ましい。
【0011】
上記多孔質膜は、更に、有機系粒子を含むことが好ましい。
【0012】
上記多孔性基材は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル及びポリアセタールからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂からなることが好ましい。
【0013】
本発明は、上記二次電池用セパレータ、正極、負極及び非水電解液を備える二次電池でもある。
【発明の効果】
【0014】
本発明の二次電池用セパレータは、上記構成を有することから、当該セパレータを構成する多孔性基材と多孔質膜とが強固に接着しており、かつ、低温加工性及び耐電解液性に優れる。
本発明の二次電池は、本発明の二次電池用セパレータを備えることから、高温サイクル特性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を具体的に説明する。
【0016】
本発明のセパレータは、多孔性基材と、上記多孔性基材上に形成された多孔質膜とからなり、上記多孔質膜は、ビニリデンフルオライドに基づく重合単位と、テトラフルオロエチレンに基づく重合単位と、下記一般式(2−2)で表される単量体(2−2)に基づく重合単位と、を有する含フッ素重合体を含む。
【化3】
(式中、R、R及びRは、互いに独立に水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を表す。Rは、炭素数1〜8の炭化水素基を表す。Yは、無機カチオン及び/又は有機カチオンを表す。)
【0017】
本発明のセパレータは、上記含フッ素重合体を含む多孔質膜からなることにより、上記多孔性基材と上記多孔質膜とが強固に接着しており、かつ、低温加工性及び耐電解液性に優れる。したがって、二次電池の製造工程や作動環境において、上記多孔質膜が上記多孔性基材から剥離しにくい。また、プレス加工温度で多孔構造が潰れる(閉塞する)ことがなく、イオン透過性が損なわれないため、良好な電池特性が得られる。更に、二次電池の電解液を構成する後述の電解質塩溶解用有機溶媒により溶解又は膨潤しにくいので、得られる二次電池が耐久性に優れ、高温サイクル特性に優れたものとなる。
本発明のセパレータは、また、二次電池を構成する電極との接着性、低圧加工性にも優れる。
【0018】
上記含フッ素重合体は、上記単量体(2−2)に基づく重合単位を有する。上記単量体(2−2)は特定の官能基を有しているため、上記多孔性基材と上記多孔質膜とを強固に接着させることができる。
【0019】
上記単量体(2−2)は、下記一般式(2−2)で表される単量体である。上記単量体(2−2)は、1種又は2種以上を用いることができる。
【0020】
【化4】
(式中、R、R及びRは、互いに独立に水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を表す。Rは、炭素数1〜8の炭化水素基を表す。Yは、無機カチオン及び/又は有機カチオンを表す。)
【0021】
上記一般式(2−2)において、Yは、無機カチオン及び/又は有機カチオンである。無機カチオンとしては、H、Li、Na、K、Mg、Ca、Al、Fe等のカチオンが挙げられる。有機カチオンとしては、NH、NH、NH、NHR、NR(Rは、互いに独立に炭素数1〜4のアルキル基を表す。)等のカチオンが挙げられる。Yとしては、H、Li、Na、K、Mg、Ca、Al、NHが好ましく、H、Li、Na、K、Mg、Al、NHがより好ましく、H、Li、Al、NHが更に好ましい。なお、上記無機カチオン及び有機カチオンの具体例は、便宜上、符号及び価数を省略して記載している。
【0022】
上記一般式(2−2)において、R、R及びRは、互いに独立に水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を表す。上記炭化水素基は1価の炭化水素基である。上記炭化水素基の炭素数は4以下が好ましい。上記炭化水素基としては、上記炭素数のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられ、メチル基、エチル基等が好ましい。R及びRは、互いに独立に水素原子、メチル基又はエチル基であることが好ましく、Rは、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
【0023】
上記一般式(2−2)において、Rは、炭素数1〜8の炭化水素基を表す。上記炭化水素基は2価の炭化水素基である。上記炭化水素基の炭素数は4以下が好ましい。上記炭化水素基としては、上記炭素数のアルキレン基、アルケニレン基等が挙げられ、中でも、メチレン基、エチレン基、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基等が好ましく、メチレン基、エチレン基がより好ましい。
【0024】
上記単量体(2−2)としては、中でも、ビニル酢酸(3−ブテン酸)及びその塩、3−ペンテン酸及びその塩、4−ペンテン酸及びその塩、3−ヘキセン酸及びその塩、4−ヘキセン酸及びその塩、5−ヘキセン酸及びその塩が好ましい。
【0025】
上記含フッ素重合体においては、上記単量体(2−2)に基づく重合単位が全重合単位に対して0.05〜2.0モル%であることが好ましい。上記重合単位の含有量が上記範囲内であると、上記多孔性基材と上記多孔質膜とが一層強固に接着しており、かつ、低温加工性及び耐電解液性に一層優れるセパレータが得られる。上記重合単位の含有量は、0.10モル%以上がより好ましく、0.30モル%以上が更に好ましく、0.40モル%以上が更により好ましく、また、1.5モル%以下がより好ましい。
【0026】
上記含フッ素重合体は、ビニリデンフルオライドに基づく重合単位を有する。これにより、上記セパレータは、耐酸化性、耐電解液性に優れる。
【0027】
上記含フッ素重合体は、テトラフルオロエチレンに基づく重合単位を有する。これにより、上記セパレータは、低温加工性、耐電解液性、柔軟性、耐薬品性(特に耐アルカリ性と耐酸化性)に優れる。
【0028】
上記含フッ素重合体においては、全重合単位に対して、ビニリデンフルオライドに基づく重合単位が50〜95モル%、テトラフルオロエチレンに基づく重合単位が4.8〜49.95モル%であることが好ましい。ビニリデンフルオライドに基づく重合単位及びテトラフルオロエチレンに基づく重合単位の含有量が上記範囲内にあると、上記含フッ素重合体の融点を、ポリオレフィン等の多孔性基材の融点(一般的に100〜160℃である)と同程度以下とすることができ、また上記含フッ素重合体の弾性率を下げることもできる。これにより多孔質膜を含むセパレータ製造工程及びセパレータと電極とのプレス加工時の温度と圧力を低下させ、多孔性基材の多孔構造を潰すことなく加工ができる。そうすることで、上記多孔性基材と上記多孔質膜とが一層強固に接着しており、かつ、耐電解液性に一層優れ、電池の容量特性と充放電耐久性も向上させることができるセパレータが得られる。より好ましくは、ビニリデンフルオライドに基づく重合単位は60〜90モル%、テトラフルオロエチレンに基づく重合単位は9.8〜39.95モル%である。
ビニリデンフルオライドに基づく重合単位の含有量の上限は、94モル%であってもよく、89モル%であってもよい。
また、上述した効果が顕著に発揮される点で、ビニリデンフルオライドに基づく重合単位の含有量は、74モル%以下が好ましく、70モル%以下がより好ましい。
テトラフルオロエチレンに基づく重合単位の含有量の上限は、49モル%であってもよく、39モル%であってもよい。
また、上述した効果が顕著に発揮される点で、テトラフルオロエチレンに基づく重合単位の含有量は、40モル%以下が好ましく、35モル%以下がより好ましく、また、25モル%以上が好ましい。
【0029】
上記含フッ素重合体は、ビニリデンフルオライドに基づく重合単位、テトラフルオロエチレンに基づく重合単位、及び、上記単量体(2−2)に基づく重合単位を有するものである限り、それらの単量体と共重合可能なその他の単量体に基づく重合単位を更に有していてもよい。
【0030】
上記その他の単量体としては、フッ化ビニル、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、フルオロアルキルビニルエーテル、ヘキサフルオロプロピレン、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン、プロピレン等を使用することができる。中でも、柔軟性と耐薬品性の観点からヘキサフルオロプロピレン、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンが特に好ましい。
これらの単量体を用いる場合、該単量体に基づく重合単位は、全重合単位に対して0.1〜50モル%であることが好ましい。
【0031】
上記含フッ素重合体の組成は、NMR分析装置を用いて測定することができる。
【0032】
上記含フッ素重合体は、均質性のある多孔質膜が得られるという点で、重量平均分子量(ポリスチレン換算)が150000〜2000000であることが好ましい。より好ましくは300000〜1700000であり、更に好ましくは500000〜1500000である。
上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミドを用い50℃で測定することができる。
【0033】
上記含フッ素重合体は、電池特性が向上するという点で、数平均分子量(ポリスチレン換算)が40000〜1000000であることが好ましい。より好ましくは130000〜600000である。
上記数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミドを用い50℃で測定することができる。
【0034】
上記含フッ素重合体は、融点が155〜100℃であることが好ましい。融点が上記範囲内にあると、上記セパレータが一層低温加工性に優れたものとなる。上記融点は、145〜110℃がより好ましく、143〜120℃が更に好ましい。
上記融点は、示差走査熱量測定(DSC)装置を用い、室温から200℃まで10℃/分の速度で昇温、降温を行い、2回目の昇温をしたときの融解熱曲線における極大値に対する温度として求めることができる。
【0035】
上記含フッ素重合体は、破断点伸度が100%以上であることが好ましい。破断点伸度が100%以上であると、上記セパレータの柔軟性が一層向上する。上記破断点伸度は、200%以上がより好ましく、300%以上が更に好ましい。
【0036】
上記破断点伸度は、以下の方法により測定できる。すなわち、上記含フッ素重合体を濃度が5質量%になるように秤量し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させて含フッ素重合体溶液を得る。当該含フッ素重合体溶液を、ガラス板上にキャストし100℃で5時間乾燥し、厚さ約30μmのフィルムを得る。当該フィルムを、ダンベル型に打ち抜きオートグラフにて25℃における破断点伸度を測定する。
【0037】
上記含フッ素重合体は、25℃における貯蔵弾性率が1000MPa以下であることが好ましい。25℃における貯蔵弾性率が1000MPa以下であると、上記セパレータの柔軟性が一層向上する。上記貯蔵弾性率は、800MPa以下がより好ましく、600MPa以下が更に好ましい。上記貯蔵弾性率は、また、100MPa以上が好ましく、200MPa以上がより好ましく、250MPa以上が更に好ましい。
【0038】
上記含フッ素重合体は、100℃における貯蔵弾性率が200MPa以下であることが好ましい。100℃における貯蔵弾性率が200MPa以下であると、上記セパレータの柔軟性が一層向上する。上記貯蔵弾性率は、160MPa以下がより好ましく、140MPa以下が更に好ましく、110MPa以下が更により好ましい。上記貯蔵弾性率は、また、10MPa以上が好ましく、20MPa以上がより好ましい。
【0039】
上記貯蔵弾性率は、長さ30mm、巾5mm、厚み40μmのサンプルについて、アイティー計測制御社製動的粘弾性装置DVA220で動的粘弾性測定により引張モード、つかみ巾20mm、測定温度−30℃から160℃、昇温速度2℃/min、周波数1Hzの条件で測定した際の25℃及び100℃での測定値である。
測定サンプルは例えば、上記含フッ素重合体を濃度が8質量%になるよう秤量し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させて得た含フッ素重合体溶液を、ガラス板上にキャストし100℃で12時間乾燥し、更に真空下で100℃で12時間乾燥し、得た厚さ40μmに成形したフィルムを、長さ30mm、巾5mmにカットすることで作製することができる。
【0040】
上記含フッ素重合体は、電解液膨潤性の重量増加率が60℃において、180%以下であることが好ましい。電解液膨潤性の重量増加率が180%以下であると、高温においても多孔性基材と多孔質膜の剥離強度が維持でき、ガーレー値の上昇も抑制ができる。このことで、得られる二次電池が耐久性に優れ、高温時に充放電サイクル特性に優れたものとなる。一方、重量増加率が180%より大きい電解液膨潤性を示すと、多孔性基材と多孔質膜の剥離強度が維持できないだけでなく、多孔質膜の空孔率が小さくなったり、金属酸化物粒子や金属水酸化物粒子を含む場合にはそれらが遊離し多孔性基材の細孔内に入り込んで大幅にガーレー値が上昇するおそれがある。上記電解液膨潤性の重量増加率は160%以下がより好ましく、145%以下が更に好ましく、また、120%以上が好ましい。
【0041】
上記重量増加率は、以下の方法により求める値である。
含フッ素重合体のNMP溶液(8質量%)をガラス製シャーレ上にキャストし、100℃で6時間真空乾燥を行うことで、含フッ素重合体の厚み200μmフィルムを作製する。得られたフィルムを10mmΦの大きさに切り取り、電解液(エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートの3/7(体積比)の溶媒にLiPFを1M濃度で溶解した溶液)が入ったサンプル瓶に入れ、60℃で1週間静置した後、次式より重量増加率を求める。
重量増加率(%)=(電解液浸漬後のフィルム重量/電解液浸漬前のフィルム重量)×100
【0042】
ビニリデンフルオライドと、テトラフルオロエチレンと、上記単量体(2−2)と、必要に応じてそれらの単量体と共重合可能なその他の単量体との共重合は、懸濁重合、乳化重合、溶液重合等の方法が採用できるが、後処理の容易さ等の点から水系の懸濁重合、乳化重合が好ましい。
【0043】
上記の共重合においては、重合開始剤、界面活性剤、連鎖移動剤、及び、溶媒を使用することができ、それぞれ従来公知のものを使用することができる。上記重合開始剤としては、油溶性ラジカル重合開始剤又は水溶性ラジカル重合開始剤を使用できる。
【0044】
油溶性ラジカル重合開始剤としては、公知の油溶性の過酸化物であってよく、例えばジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジsec−ブチルパーオキシジカーボネート等のジアルキルパーオキシカーボネート類、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシピバレート等のパーオキシエステル類、ジt−ブチルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類等が、また、ジ(ω−ハイドロ−ドデカフルオロヘプタノイル)パーオキサイド、ジ(ω−ハイドロ−テトラデカフルオロヘプタノイル)パーオキサイド、ジ(ω−ハイドロ−ヘキサデカフルオロノナノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロブチリル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロバレリル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロヘキサノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロヘプタノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロオクタノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロノナノイル)パーオキサイド、ジ(ω−クロロ−ヘキサフルオロブチリル)パーオキサイド、ジ(ω−クロロ−デカフルオロヘキサノイル)パーオキサイド、ジ(ω−クロロ−テトラデカフルオロオクタノイル)パーオキサイド、ω−ハイドロ−ドデカフルオロヘプタノイル−ω−ハイドロヘキサデカフルオロノナノイル−パーオキサイド、ω−クロロ−ヘキサフルオロブチリル−ω−クロロ−デカフルオロヘキサノイル−パーオキサイド、ω−ハイドロドデカフルオロヘプタノイル−パーフルオロブチリル−パーオキサイド、ジ(ジクロロペンタフルオロブタノイル)パーオキサイド、ジ(トリクロロオクタフルオロヘキサノイル)パーオキサイド、ジ(テトラクロロウンデカフルオロオクタノイル)パーオキサイド、ジ(ペンタクロロテトラデカフルオロデカノイル)パーオキサイド、ジ(ウンデカクロロドトリアコンタフルオロドコサノイル)パーオキサイドのジ[パーフロロ(又はフルオロクロロ)アシル]パーオキサイド類等が代表的なものとして挙げられる。
【0045】
水溶性ラジカル重合開始剤としては、公知の水溶性過酸化物であってよく、例えば、過硫酸、過ホウ酸、過塩素酸、過リン酸、過炭酸等のアンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、t−ブチルパーマレエート、t−ブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。サルファイト類、亜硫酸塩類のような還元剤を過酸化物に組み合わせて使用してもよく、その使用量は過酸化物に対して0.1〜20倍であってよい。
【0046】
上記界面活性剤としては、公知の界面活性剤が使用でき、例えば、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤等が使用できる。なかでも、含フッ素アニオン性界面活性剤が好ましく、エーテル結合を含んでもよい(すなわち、炭素原子間に酸素原子が挿入されていてもよい)、炭素数4〜20の直鎖又は分岐した含フッ素アニオン性界面活性剤がより好ましい。添加量(対重合水)は、好ましくは50〜5000ppmである。
【0047】
上記連鎖移動剤としては、例えば、エタン、イソペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族類;アセトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;メタノール、エタノール等のアルコール類;メチルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、塩化メチル等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。添加量は用いる化合物の連鎖移動定数の大きさにより変わりうるが、通常重合溶媒に対して0.01〜20質量%の範囲で使用される。
【0048】
上記溶媒としては、水、水とアルコールとの混合溶媒等が挙げられる。
【0049】
上記懸濁重合では、水に加えて、フッ素系溶媒を使用してもよい。フッ素系溶媒としては、CHCClF、CHCClF、CFCFCClH、CFClCFCFHCl等のハイドロクロロフルオロアルカン類;CFClCFClCFCF、CFCFClCFClCF等のクロロフルオロアルカン類;パーフルオロシクロブタン、CFCFCFCF、CFCFCFCFCF、CFCFCFCFCFCF等のパーフルオロアルカン類;CFHCFCFCFH、CFCFHCFCFCF、CFCFCFCFCFH、CFCFCFHCFCF、CFCFHCFHCFCF、CFHCFCFCFCFH、CFHCFHCFCFCF、CFCFCFCFCFCFH、CFCH(CF)CFCFCF、CFCF(CF)CFHCFCF、CFCF(CF)CFHCFHCF、CFCH(CF)CFHCFCF、CFHCFCFCFCFCFH、CFCFCFCFCHCH、CFCHCFCH等のハイドロフルオロカーボン類;F(CFOCH、F(CFOC、(CFCFOCH、F(CFOCH等の(ペルフルオロアルキル)アルキルエーテル類;CFCHOCFCHF、CHFCFCHOCFCHF、CFCFCHOCFCHF等のヒドロフルオロアルキルエーテル類等が挙げられ、なかでも、パーフルオロアルカン類が好ましい。フッ素系溶媒の使用量は、懸濁性及び経済性の面から、水性媒体に対して10〜100質量%が好ましい。
【0050】
重合温度としては特に限定されず、0〜100℃であってよい。重合圧力は、用いる溶媒の種類、量及び蒸気圧、重合温度等の他の重合条件に応じて適宜定められるが、通常、0〜9.8MPaGであってよい。
【0051】
水を分散媒とした懸濁重合においては、メチルセルロース、メトキシ化メチルセルロース、プロポキシ化メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ゼラチン等の懸濁剤を、水に対して0.005〜1.0質量%、好ましくは0.01〜0.4質量%の範囲で添加して使用することができる。
【0052】
この場合の重合開始剤としては、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジノルマルプロピルパーオキシジカーボネート、ジノルマルヘプタフルオロプロピルパーオキシジカーボネート、イソブチリルパーオキサイド、ジ(クロロフルオロアシル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロアシル)パーオキサイド等が使用できる。その使用量は、単量体合計量(ビニリデンフルオライドとテトラフルオロエチレンと、上記単量体(2−2)と、必要に応じてそれらの単量体と共重合可能なその他の単量体との合計量)に対して0.1〜5質量%であることが好ましい。
【0053】
また、酢酸エチル、酢酸メチル、アセトン、エタノール、n−プロパノール、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、プロピオン酸エチル、四塩化炭素等の連鎖移動剤を添加して、得られる重合体の重合度を調節することも可能である。その使用量は、通常は、単量体合計量に対して0.1〜5質量%、好ましくは0.5〜3質量%である。
【0054】
単量体の合計仕込量は、単量体合計量:水の重量比で1:1〜1:10、好ましくは1:2〜1:5であり、重合は温度10〜50℃で10〜100時間行う。
【0055】
上記の懸濁重合により、容易にビニリデンフルオライドと、テトラフルオロエチレンと、上記単量体(2−2)と、必要に応じてその他の単量体とを共重合させることができる。
【0056】
上記乳化重合は、水性媒体の存在下で実施する。上記水性媒体としては、水が好ましい。上記重合に使用される水はイオン交換水を使用することが好ましく、その電気電導度は10μS/cm以下で低いものほど好ましい。イオン分が多いと反応速度が安定しない場合がある。フッ素系溶媒においても製造工程において含まれる酸や塩素基を含有する化合物等の成分が極力少ない高純度の方が好ましい。酸分や塩素等を含有する化合物は連鎖移動性を有する場合があるので、重合速度や分子量を安定させるうえで好ましい。更に、重合で使用するその他原料(フッ化ビニリデンやテトラフルオロエチレン等のモノマー、開始剤、連鎖移動剤等)においても同様に連鎖移動性の成分が少ない高純度の物を使用することが好ましい。反応の準備段階では、水を仕込んだ状態後、槽内を撹拌しながら気密試験を行った後、槽内を減圧、窒素微加圧、減圧を繰り返し、槽内の酸素濃度を1000ppm以下のできるだけ小さい酸素濃度まで下がったことを確認した後に、再び減圧しモノマー等の原料を仕込んで反応を開始する方が、反応速度の安定化、分子量の調節には好ましい。
【0057】
上記乳化重合では、重合温度としては特に限定されず、0〜150℃であってよい。重合圧力は、重合温度等の他の重合条件に応じて適宜定められるが、通常、0〜9.8MPaGであってよい。
【0058】
上記乳化重合では、1種又は複数の界面活性剤を加えてもよい。界面活性剤としては、公知の乳化剤を使用してよく、例えば下記界面活性剤群[A]〜[G]等を使用できる。
(界面活性剤群[A])
CF(CFCOONH、CF(CFCOONH、CF(CFCOONH、CF(CFSONa、CF(CFSONH等の含フッ素アニオン性アルキル界面活性剤類
(界面活性剤群[B])
式:CFO−CF(CF)CFO−CX(CF)−Y(式中、XはH又はFを表し、Yは−COOM、−SO、−SONM又は−POを表す。上記M、M、M、M、M及びMは、同一又は異なって、H、NH又は一価カチオンを表す。)又は、式:CFO−CFCFCFO−CFXCF−Y(式中、XはH又はFを表し、Yは上記と同じ。)又は、式:CFCFO−CFCFO−CFX−Y(式中、XはH又はFを表し、Yは上記と同じ。)で表される含フッ素アニオン性アルキルエーテル界面活性剤類
(界面活性剤群[C])
CH=CFCF−O−(CF(CF)CFO)−CF(CF)−COONH等の、含フッ素アリルエーテル類
(界面活性剤群[D])
線状1−オクタンスルホン酸、線状2−オクタンスルホン酸、線状1,2−オクタンジスルホン酸、線状1−デカンスルホン酸、線状2−デカンスルホン酸、線状1,2−デカンジスルホン酸、線状1,2−ドデカンジスルホン酸、線状1−ドデカンスルホン酸、線状2−ドデカンスルホン酸、線状1,2−ドデカンジスルホン酸等のアルカンスルホン酸又はそれらの塩、1−オクチルスルフェート、2−オクチルスルフェート、1,2−オクチルジスルフェート、1−デシルスルフェート、2−デシルスルフェート、1,2−デシルジスルフェート、1−ドデシルスルフェート、2−ドデシルスルフェート、1,2−ドデシルジスルフェート等のアルキルスルフェート又はそれらの塩、ポリビニルホスホン酸又はその塩、ポリアクリル酸又はその塩、ポリビニルスルホン酸又はその塩等の非フッ素化界面活性剤類
(界面活性剤群[E])
ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールフェノールオキシド、ポリプロピレングリコールアクリレート及びポリプロピレングリコール等の非フッ素エーテル界面活性剤類
(界面活性剤群[F])
非フッ素界面活性剤(例えば、界面活性剤群[D]から選択される少なくとも1種)、及び分子量が400未満である含フッ素界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種の界面活性剤、及び官能性フルオロポリエーテル(フルオロポリオキシアルキレン鎖(例えば、式:−(CF−CFZO−(式中、ZはF又は炭素数1〜5の(パー)フルオロ(オキシ)アルキル基、jは0〜3の整数)を繰り返し単位として1つ以上含む鎖)と官能基(例えば、カルボン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基及びそれらの酸塩型の基からなる群より選択される少なくとも1種)とを含む化合物)の混合物類
(界面活性剤群[G])
不活性化させた非フッ素界面活性剤類(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、直鎖状アルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、シロキサン界面活性剤等の炭化水素含有界面活性剤を、過酸化水素又は後述する重合開始剤等と反応させたもの)
【0059】
上記界面活性剤の使用量としては、水性媒体の1〜50000ppmが好ましい。
【0060】
上記乳化重合の重合開始剤としては、油溶性ラジカル重合開始剤、又は水溶性ラジカル重合開始剤を使用でき、水溶性ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。
【0061】
油溶性ラジカル重合開始剤としては、公知の油溶性の過酸化物であってよく、例えばジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジsec−ブチルパーオキシジカーボネート等のジアルキルパーオキシカーボネート類、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシピバレート等のパーオキシエステル類、ジt−ブチルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類等が、また、ジ(ω−ハイドロ−ドデカフルオロヘプタノイル)パーオキサイド、ジ(ω−ハイドロ−テトラデカフルオロヘプタノイル)パーオキサイド、ジ(ω−ハイドロ−ヘキサデカフルオロノナノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロブチリル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロバレリル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロヘキサノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロヘプタノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロオクタノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロノナノイル)パーオキサイド、ジ(ω−クロロ−ヘキサフルオロブチリル)パーオキサイド、ジ(ω−クロロ−デカフルオロヘキサノイル)パーオキサイド、ジ(ω−クロロ−テトラデカフルオロオクタノイル)パーオキサイド、ω−ハイドロ−ドデカフルオロヘプタノイル−ω−ハイドロヘキサデカフルオロノナノイル−パーオキサイド、ω−クロロ−ヘキサフルオロブチリル−ω−クロロ−デカフルオロヘキサノイル−パーオキサイド、ω−ハイドロドデカフルオロヘプタノイル−パーフルオロブチリル−パーオキサイド、ジ(ジクロロペンタフルオロブタノイル)パーオキサイド、ジ(トリクロロオクタフルオロヘキサノイル)パーオキサイド、ジ(テトラクロロウンデカフルオロオクタノイル)パーオキサイド、ジ(ペンタクロロテトラデカフルオロデカノイル)パーオキサイド、ジ(ウンデカクロロドトリアコンタフルオロドコサノイル)パーオキサイドのジ[パーフロロ(又はフルオロクロロ)アシル]パーオキサイド類等が代表的なものとして挙げられる。
【0062】
水溶性ラジカル重合開始剤としては、公知の水溶性過酸化物であってよく、例えば、過硫酸、過ホウ酸、過塩素酸、過リン酸、過炭酸等のアンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、t−ブチルパーマレート、t−ブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。サルファイト類、亜硫酸塩類のような還元剤を過酸化物に組み合わせて使用してもよく、その使用量は過酸化物に対して0.1〜20倍であってよい。
【0063】
上記乳化重合の重合開始剤としては、なかでも、過硫酸塩がより好ましい。その使用量は、水性媒体に対して0.001〜20質量%の範囲で使用される。
【0064】
上記乳化重合においては、連鎖移動剤を使用することができる。上記連鎖移動剤としては、例えば、エタン、イソペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族類;アセトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;メタノール、エタノール等のアルコール類;メチルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、塩化メチル等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。添加量は用いる化合物の連鎖移動定数の大きさにより変わりうるが、水性媒体に対して0.001〜20質量%の範囲で使用される。
【0065】
上記乳化重合によって得られたラテックスを粉末に加工する場合、その方法は特に限定されず、従来公知の方法で行うことができる。例えば、酸添加による凝析、無機金属塩添加による凝析、有機溶剤添加による凝析、凍結凝析等を利用できる。酸凝析に用いられる凝析剤は公知の凝析剤を利用してよく、例えば塩酸、硫酸、硝酸等が挙げられる。塩凝析に用いられる凝析剤は公知の凝析剤を利用してよく、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム等が挙げられる。凝析後、水又は有機溶剤を用いて、残留する界面活性剤や重合開始剤、連鎖移動剤、余分な凝析剤等を洗浄除去してもよい。その後、濡れたポリマーを乾燥することで乾燥粉末を得ることができる。
【0066】
上記の乳化重合により、容易にビニリデンフルオライドと、テトラフルオロエチレンと、上記単量体(2−2)と、必要に応じてその他の単量体とを共重合させることができる。
【0067】
ビニリデンフルオライドとテトラフルオロエチレンと共重合させる単量体(すなわち上記単量体(2−2)、及び、必要に応じてその他の単量体)の仕込量は、得られる共重合体の接着性、耐薬品性、分子量、重合収率等を考慮して決められる。
【0068】
上記多孔質膜は、上記含フッ素重合体のみからなるものであってもよく、上記含フッ素重合体と、他の成分とからなるものであってもよい。上記多孔質膜が上記含フッ素重合体と、他の成分とからなる場合、上記含フッ素重合体の含有量は、上記多孔質膜中1〜50質量%であることが好ましい。
上記含フッ素重合体の含有量が多すぎると、上記多孔質膜中の気孔度が下がりすぎて、セパレータとしてのイオン透過機能が果たされなくなるおそれがある。上記含フッ素重合体の含有量が少なすぎると、上記多孔質膜の機械的物性が著しく低下するおそれがある。
上記含フッ素重合体の含有量は、上記多孔質膜中45質量%以下がより好ましく、40質量%以下が更に好ましく、2質量%以上がより好ましく、3質量%以上が更に好ましく、4質量%以上であることが特に好ましい。
【0069】
上記多孔質膜は、金属酸化物粒子及び金属水酸化物粒子からなる群より選択される少なくとも1種の無機粒子を含むことが好ましい。上記多孔質膜が上記無機粒子を含むと、上記セパレータが、耐熱性(熱安定性)に優れたものとなる。
【0070】
上記無機粒子の含有量は、上記多孔質膜中50〜99質量%であることが好ましい。上記無機粒子の含有量が上述の範囲内であると、リチウムイオンの透過を妨げない気孔径及び気孔度を有する多孔質膜が積層されたセパレータを得ることができる。更に、耐熱性が高く、熱による収縮が少ないセパレータを実現できる。
上記無機粒子の含有量は、上記多孔質膜中70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましく、98質量%以下がより好ましく、97質量%以下が更に好ましく、96質量%以下が特に好ましい。
上記無機粒子は、平均粒子径が25μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましく、5μm以下であることが更に好ましく、1μm以下であることが特に好ましい。上記平均粒子径の下限は、0.02μmが好ましい。
上記平均粒子径は、透過型電子顕微鏡、レーザー式粒度分布測定装置等により測定して得られる値である。
【0071】
上記金属酸化物粒子としては、セパレータのイオン伝導性、シャットダウン効果を向上させる観点からアルカリ金属及びアルカリ土類金属以外の金属酸化物が好ましく、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化バナジウム及び酸化銅からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましい。
【0072】
上記金属酸化物粒子は、平均粒子径が25μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましく、5μm以下であることが更に好ましく、1μm以下であることが特に好ましい。上記平均粒子径の下限は、0.02μmが好ましい。
上記平均粒子径は、透過型電子顕微鏡により測定して得られる値である。
【0073】
特に好ましい金属酸化物粒子は、イオン伝導性に優れる点から、平均粒子径が5μm以下の酸化アルミニウム粒子又は酸化ケイ素粒子である。
【0074】
上記金属酸化物粒子の含有量は、上記多孔質膜中50〜99質量%であることが好ましい。上記金属酸化物粒子の含有量が上述の範囲内であると、リチウムイオンの透過を妨げない気孔径及び気孔度を有する多孔質膜が積層されたセパレータを得ることができる。更に、耐熱性が高く、熱による収縮が少ないセパレータを実現できる。
上記金属酸化物粒子の含有量は、上記多孔質膜中70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましく、98質量%以下がより好ましく、97質量%以下が更に好ましく、96質量%以下が特に好ましい。
【0075】
上記金属水酸化物粒子としては、セパレータのイオン伝導性、シャットダウン効果を向上させる観点から、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物が好ましく、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化クロム、水酸化ジルコニウム及び水酸化ニッケルからなる群より選択される少なくとも1種がより好ましい。
【0076】
上記金属水酸化物粒子は、平均粒子径が25μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましく、5μm以下であることが更に好ましく、1μm以下であることが特に好ましい。上記平均粒子径の下限は、0.02μmが好ましい。
上記平均粒子径は、透過型電子顕微鏡により測定して得られる値である。
【0077】
上記金属水酸化物粒子の含有量は、上記多孔質膜中50〜99質量%であることが好ましい。上記金属水酸化物粒子の含有量が上述の範囲内であると、リチウムイオンの透過を妨げない気孔径及び気孔度を有する多孔質膜が積層されたセパレータを得ることができる。更に、耐熱性が高く、熱による収縮が少ないセパレータを実現できる。
上記金属水酸化物粒子の含有量は、上記多孔質膜中70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましく、98質量%以下がより好ましく、97質量%以下が更に好ましく、96質量%以下が特に好ましい。
【0078】
上記多孔質膜は、更に、有機系粒子を含むことが好ましい。上記有機系粒子としては、非導電性の架橋ポリマーが好ましく、架橋ポリスチレン、架橋ポリメタクリレート、架橋アクリレートがより好ましい。
【0079】
上記有機系粒子は、平均粒子径が25μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましく、5μm以下であることが更に好ましく、1μm以下であることが特に好ましい。上記平均粒子径の下限は、0.02μmが好ましい。
上記平均粒子径は、透過型電子顕微鏡により測定して得られる値である。
【0080】
上記有機系粒子の含有量は、上記多孔質膜中0〜49質量%であることが好ましい。上記有機系粒子の含有量が上述の範囲内であると、リチウムイオンの透過を妨げない気孔径及び気孔度を有する多孔質膜が積層されたセパレータを得ることができる。
上記有機系粒子の含有量は、上記多孔質膜中2質量%以上がより好ましく、5質量%以上が更に好ましく、37質量%以下がより好ましく、35質量%以下が更に好ましい。
【0081】
上記多孔質膜は、上記含フッ素重合体、上記無機粒子、上記有機系粒子以外の成分を更に含んでいてもよい。当該成分としては、他の樹脂やゴム等が挙げられる。
併用する好ましい樹脂としては、例えば、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルニトリル、ポリアミドイミド、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、VdF/HEP共重合体樹脂の1種又は2種以上等が挙げられる。
併用する好ましいゴムとしては、例えば、VdF/HFP共重合体ゴム、VdF/TFE/HFP共重合体ゴム、アクリルゴム等の1種又は2種以上が挙げられる。これらのゴムは、架橋されていてもされていなくてもよい。
【0082】
併用する樹脂又はゴムとして、特に好ましいものは、イオン伝導性の向上の点からはアクリルゴムが、またイオン伝導性の向上と耐酸化性の向上の点からは、VdF/HFP共重合体ゴム、VdF/TFE/HFP共重合体ゴム、VdF/HFP樹脂が挙げられる。
【0083】
VdF/HFP共重合体ゴムは、VdF単位/HFP単位がモル比で80/20〜65/35であることが好ましい。
VdF/TFE/HFP共重合体ゴムは、VdF単位/HFP単位/TFE単位がモル比で80/5/15〜60/30/10であることが好ましい。
VdF/HFP樹脂は、VdF単位/HFP単位がモル比で98/2〜85/15であることが好ましい。
VdF/HFP樹脂は、融点が100〜200℃であることが好ましい。
【0084】
他の樹脂又はゴムの配合量は、上記含フッ素重合体100質量部に対して好ましくは400質量部以下、より好ましくは200質量部以下、更に好ましくは150質量部以下である。下限は目的とする効果によって異なるが、10質量部程度である。
【0085】
上記多孔質膜は、上記多孔性基材の上に形成される。上記多孔質膜は、上記多孔性基材上に直接形成されていることが好ましい。
また、上記多孔質膜は、上記多孔性基材の片側のみに設けられてもよく、両側に設けられてもよい。また、上記多孔質膜は、上記多孔質膜が設けられる多孔性基材の全部を覆うように設けられてもよく、一部のみを覆うように設けられてもよい。
【0086】
上記多孔質膜の重量は、該多孔質膜を多孔性基材の片側のみに形成する場合には、0.5〜50.0g/mの範囲が好ましい。0.5g/mより少ないと電極との接着性が充分でなくなることがある。また、50.0g/mより多いと、イオン伝導を阻止し電池の負荷特性が低下する傾向にあるので好ましくない。多孔性基材の表裏両面に上記多孔質膜を形成する場合の上記多孔質膜の重量は、0.1〜6.0g/mが好ましい。
【0087】
上記多孔質膜の膜厚は、好ましくは1〜5μm、より好ましくは1〜4μm、更に好ましくは1〜3μmである。多孔質膜の膜厚が上記範囲にあると、破膜強度と絶縁性を確保でき、また多孔性基材のカールが大きくなりにくい。
【0088】
上記の多孔性基材とは、内部に空孔ないし空隙を有する基材を意味する。このような基材としては、微多孔膜や、不織布、上条シート等の繊維状物からなる多孔性シート、あるいは、これら微多孔膜や多孔性シートに他の多孔性層を1層以上積層させた複合多孔質膜等を挙げることができる。なお、微多孔膜とは、内部に多数の微細孔を有し、これら微細孔が連結された構造となっており、一方の面から他方の面へと気体あるいは液体が通過可能となった膜を意味する。
【0089】
多孔性基材を構成する材料は、電気絶縁性を有する有機材料あるいは無機材料のいずれでも使用できる。特に、基材にシャットダウン機能を付与する観点からは、基材の構成材料として熱可塑性樹脂を使用することが好ましい。ここで、シャットダウン機能とは、電池温度が高まった場合に、熱可塑性樹脂が溶解して多孔性基材の孔を閉塞することによりイオンの移動を遮断し、電池の熱暴走を防止する機能をいう。熱可塑性樹脂としては、融点200℃未満の熱可塑性樹脂が適当であり、特にポリオレフィンが好ましい。
【0090】
ポリオレフィンを用いた多孔性基材としてはポリオレフィン微多孔膜が好適である。ポリオレフィン微多孔膜としては、充分な力学物性とイオン透過性を有した、従来の非水系二次電池用セパレータに適用されているポリオレフィン微多孔膜を用いることができる。そして、ポリオレフィン微多孔膜は、上述したシャットダウン機能を有するという観点から、ポリエチレンを含むことが好ましい。
【0091】
ポリオレフィンの重量平均分子量は10万〜500万のものが好適である。重量平均分子量が10万より小さいと、十分な力学物性を確保するのが困難となる場合がある。また、500万より大きくなると、シャットダウン特性が悪くなる場合や、成形が困難になる場合がある。
【0092】
このようなポリオレフィン微多孔膜は、例えば以下の方法で製造可能である。すなわち、(i)溶融したポリオレフィン樹脂をT−ダイから押し出してシート化する工程、(ii)上記シートに結晶化処理を施す工程、(iii)シートを延伸する工程、及び(iv)シートを熱処理する工程を順次実施して、微多孔膜を形成する方法が挙げられる。また、(i)流動パラフィン等の可塑剤と一緒にポリオレフィン樹脂を溶融し、これをT−ダイから押し出し、これを冷却してシート化する工程、(ii)シートを延伸する工程、(iii)シートから可塑剤を抽出する工程、及び(iv)シートを熱処理する工程を順次実施して微多孔膜を形成する方法等も挙げられる。
【0093】
繊維状物からなる多孔性シートとしては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、芳香族ポリアミドやポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド等の耐熱性高分子等からなる繊維状物、あるいは、これらの繊維状物の混合物からなる多孔性シートを用いることができる。
【0094】
上記多孔性基材は、更に機能層を積層した複合多孔性基材であってもよい。
上記複合多孔性基材は、機能層によって更なる機能付加が可能となる点で好ましい。機能層としては、例えば耐熱性を付与するという観点では、耐熱性樹脂からなる多孔質層や、耐熱性樹脂及び無機フィラーからなる多孔質層を用いることができる。耐熱性樹脂としては、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、及びポリエーテルイミドから選ばれる1種又は2種以上の耐熱性高分子が挙げられる。無機フィラーとしては、アルミナ等の金属酸化物や、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物等を好適に使用できる。なお、複合化の手法としては、多孔性シートに機能層をコーティングする方法、接着剤で接合する方法、熱圧着する方法等が挙げられる。
【0095】
本発明における多孔性基材としては、上述したなかでも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルおよびポリアセタールからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂からなることが好ましい。
【0096】
本発明において、多孔性基材の膜厚は、良好な力学物性と内部抵抗を得る観点から、5〜50μmの範囲が好ましい。上記膜厚の上限はより好ましくは40μm、更に好ましくは30μmである。また、上記膜厚の下限はより好ましくは10μmである。
【0097】
上記多孔性基材のガーレー値は、500sec/100ccAir以下が好ましく、300sec/100ccAir以下がより好ましい。上記ガーレー値はまた、50sec/100ccAir以上が好ましい。
上記ガーレー値は、JIS P 8117に従い、ガーレー式デンソメーターにて測定して得られる値である。
【0098】
また、上記多孔性基材の空孔率は、30〜70%が好ましく、35〜60%がより好ましい。
上記空孔率は、下記式により算出する値である。
空孔率=(1−試料質量(g)/(試料密度(g/cm)×試料体積(cm)))×100
ここでの試料体積(cm)は、10cm×10cm×厚み(cm)で算出する。
【0099】
また、上記多孔性基材の平均孔径は、0.01〜0.5μmが好ましく、0.1〜0.3μmがより好ましい。
上記平均孔径は、ガス吸着法でBET式を適用し、多孔性基材の比表面積(m/g)を測定し、多孔性基材の目付(g/m)を乗算して多孔性基材1mあたりの空孔表面積Sを算出する。別途、空孔率から多孔性基材1mあたりの空孔体積Vを算出する。得られた値を用い次式から平均孔径(直径)dを算出する。
d=4・V/S
【0100】
上記多孔性基材のガーレー値、空孔率及び平均孔径が上記範囲にあると、優れたイオン透過性を持つセパレータが得られ、良好な充放電特性を有する電池を得ることができる。
【0101】
本発明のセパレータは、上記多孔性基材の上に上記多孔質膜を積層することにより製造することができる。積層方法としては、特に限定されず、従来公知の方法を採用してよい。具体的には、上記含フッ素重合体及び必要に応じてその他の成分を溶剤あるいは水に溶解又は分散させ得られた溶液又は分散液を多孔性基材にロールコーティングする方法、上記溶液又は分散液に多孔性基材をディッピングする方法、上記溶液又は分散液を多孔性基材に塗工し更に適切な凝固液に浸漬し作製する方法が好ましい。また、予め上記多孔質膜からなるフィルムを作製し、当該フィルムと多孔性基材とをラミネート等の方法により、積層してもよい。上記多孔質膜からなるフィルムを作製する方法としては、上記含フッ素重合体及び必要に応じてその他の成分を溶剤に溶解又は分散した溶液又は分散液をポリエステルフィルムやアルミフィルム等の平滑な表面を有するフィルム上にキャストしたのち剥離するという手法が例示できる。
【0102】
上記溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶剤;アセトン等のケトン系溶剤;テトラヒドロフラン等の環状エーテル系溶剤等が使用できる。また、上記含フッ素重合体及び必要に応じて配合するその他の成分を水に分散して用いてもよい。
【0103】
上記含フッ素重合体を含む溶液又は分散液は、水系の場合、乳化重合等により得られた含フッ素重合体の水性分散液に、粘度調製用の増粘剤(安定化剤)を配合して調製したものであってもよい。
上記増粘剤(安定化剤)としては、カルボキシアルキルセルロース、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース等が挙げられる。
得られた上記溶液又は分散液を上記多孔性基材上に塗布して、乾燥し、上記多孔質膜を形成するとよい。
【0104】
上記含フッ素重合体を含む溶液又は分散液は、溶剤系の場合、乳化重合等により得られた含フッ素重合体の水性分散液を凝析し、乾燥して、含フッ素重合体の粉末としたものと、溶剤とを配合して調製したものであってもよい。
得られた上記溶液又は分散液を上記多孔性基材上に塗布して、乾燥し、上記多孔質膜を形成するとよい。
【0105】
本発明のセパレータのガーレー値は、500sec/100ccAir以下が好ましく、300sec/100ccAir以下がより好ましい。上記ガーレー値はまた、50sec/100ccAir以上が好ましい。
上記ガーレー値は、JIS P 8117に従い、ガーレー式デンソメーターにて測定して得られる値である。
【0106】
本発明のセパレータは、ガーレー値の上昇率が140%以下であることが好ましく、130%以下であることがより好ましく、120%以下であることが更に好ましい。ガーレー値の上昇率はまた、103%以上であることが好ましい。
上記ガーレー値の上昇率は次式より求めることができる。
ガーレー値上昇率(%)=(多孔性基材上に多孔質膜を形成した複合多孔質膜(セパレータ)のガーレー値/多孔性基材のみのガーレー値)×100
【0107】
本発明の二次電池用セパレータは、正極、負極及び非水電解液とともに、二次電池を構成することができる。上述のように、本発明の二次電池用セパレータは、上記多孔性基材と上記多孔質膜とが強固に接着しており、かつ、低温加工性及び耐電解液性に優れるので、本発明の二次電池用セパレータを備える二次電池は、高温サイクル特性に優れる。
本発明は、上記セパレータ、正極、負極及び非水電解液を備える二次電池でもある。本発明の二次電池は、高温サイクル特性に優れる。
正極、負極及び非水電解液としては、二次電池に使用可能な公知のものを使用してよい。
【0108】
二次電池としては、なかでもリチウム二次電池が特に好ましい。以下に、本発明の二次電池がリチウム二次電池である場合の代表的な構成について説明するが、本発明の二次電池はこれらの構成に限定されるものではない。
【0109】
正極は、正極の材料である正極活物質を含む正極合剤と、集電体とから構成される。
【0110】
上記正極活物質としては、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば特に制限はない。リチウムと少なくとも1種の遷移金属を含有する物質が好ましく、例えば、リチウム・コバルト複合酸化物、リチウム・ニッケル複合酸化物、リチウム・マンガン複合酸化物等のリチウム遷移金属複合酸化物、リチウム含有遷移金属リン酸化合物等が挙げられる。
【0111】
上記正極合剤は、更に、結着剤、増粘剤、導電材を含むことが好ましい。
上記結着剤としては、電極製造時に使用する溶媒や電解液に対して安全な材料であれば、任意のものを使用することができ、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体等が挙げられる。
【0112】
上記増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼイン等が挙げられる。
【0113】
上記正極の導電材としては、グラファイト、カーボンブラック等の炭素材料等が挙げられる。
【0114】
正極用集電体の材質としては、アルミニウム、チタン若しくはタンタル等の金属、又は、その合金が挙げられる。なかでも、アルミニウム又はその合金が好ましい。
【0115】
正極の製造は、常法によればよい。例えば、上記正極活物質に、上述した結着剤、増粘剤、導電材、溶媒等を加えてスラリー状の正極合剤とし、これを集電体に塗布し、乾燥した後にプレスして高密度化する方法が挙げられる。
【0116】
負極は、負極材料を含む負極合剤と、集電体とから構成される。
【0117】
上記負極材料としては、様々な熱分解条件での有機物の熱分解物や人造黒鉛、天然黒鉛等のリチウムを吸蔵・放出可能な炭素質材料;酸化錫、酸化ケイ素等のリチウムを吸蔵・放出可能な金属酸化物材料;リチウム金属;種々のリチウム合金等を挙げることができる。これらの負極材料は、2種以上を混合して用いてもよい。
【0118】
リチウムを吸蔵・放出可能な炭素質材料としては、種々の原料から得た易黒鉛性ピッチの高温処理によって製造された人造黒鉛若しくは精製天然黒鉛、又は、これらの黒鉛にピッチその他の有機物で表面処理を施した後炭化して得られるものが好ましい。
【0119】
上記負極合剤は、更に、結着剤、増粘剤、導電材を含むことが好ましい。
上記結着剤としては、上述した、正極に用いることができる結着剤と同様のものが挙げられる。
上記増粘剤としては、上述した、正極に用いることができる増粘剤と同様のものが挙げられる。
【0120】
上記負極の導電材としては、銅やニッケル等の金属材料;グラファイト、カーボンブラック等の炭素材料等が挙げられる。
【0121】
負極用集電体の材質としては、銅、ニッケル又はステンレス等が挙げられる。なかでも、薄膜に加工しやすいという点、及び、コストの点から銅が好ましい。
【0122】
負極の製造は、常法によればよい。例えば、上記負極材料に、上述した結着剤、増粘剤、導電材、溶媒等を加えてスラリー状とし、集電体に塗布し、乾燥した後にプレスして高密度化する方法が挙げられる。
【0123】
非水電解液としては、公知の電解質塩を公知の電解質塩溶解用有機溶媒に溶解したものを使用してよい。
【0124】
電解質塩溶解用有機溶媒としては、特に限定されるものではないが、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ビニレンカーボネート等の炭化水素系溶媒;フルオロエチレンカーボネート、フルオロエーテル、フッ素化カーボネート等のフッ素系溶媒の1種又は2種以上が使用できる。
【0125】
電解質塩としては、LiClO、LiAsF、LiBF、LiPF、LiCl、LiBr、CHSOLi、CFSOLi、LiN(SOCF、LiN(SO、炭酸セシウム等が挙げられ、サイクル特性が良好な点から特にLiPF、LiBF、LiN(SOCF、LiN(SO又はこれらの組合せが好ましい。
【0126】
電解質塩の濃度は、0.8モル/リットル以上が好ましく、1.0モル/リットル以上がより好ましい。上限は電解質塩溶解用有機溶媒にもよるが、通常1.5モル/リットルである。
【0127】
リチウム二次電池の形状は任意であり、例えば、円筒型、角型、ラミネート型、コイン型、大型等の形状が挙げられる。なお、正極、負極、セパレータの形状及び構成は、本発明の効果を損なわない範囲で、それぞれの電池の形状に応じて変更して使用することができる。
【実施例】
【0128】
次に、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例中の含フッ素重合体の物性は以下の方法により測定した。
【0129】
<ポリマー組成>
ビニリデンフルオライド(VdF)とテトラフルオロエチレン(TFE)の比率(X1VdF及びXTFE)[mol%]、及び、VdFとヘキサフルオロプロピレン(HFP)の比率(X2VdF及びXHFP)[mol%]については、NMR分析装置(アジレント・テクノロジー株式会社製、VNS400MHz)を用いて、19F−NMR測定でポリマーのDMF−d溶液状態にて測定した。
3−ブテン酸、4−ペンテン酸及びカルボキシエチルアクリレート(CEA)の比率については、カルボキシ基の酸−塩基滴定によって測定した。従った手順を以下に詳述する。
約0.5gの含フッ素重合体を70〜80℃の温度で15gのアセトンに溶解させた。5mlの水を次に、ポリマーが凝固しないよう加えた。約−270mVでの中性転移で、酸性度の完全な中和まで0.1Nの濃度を有する水性NaOHでの滴定を次に実施した。測定結果から、含フッ素重合体1g中に含まれる3−ブテン酸、4−ペンテン酸及びCEAの含有物質量α[mol/g]を求めた。α、上記方法で求めた含フッ素重合体のVdF/TFE組成、VdF/HFP組成、TFE、VdF、3−ブテン酸、4−ペンテン酸及びCEAの分子量に基づき、下記式を満たすように含フッ素重合体の3−ブテン酸、4−ペンテン酸及びCEAの比率Y[mol%]を求め、得られたX1VdF、XTFE、Yの値及びX2VdF、XHFP、Yの値から、最終組成比を以下の通り計算した。
(VdF/TFE/3−ブテン酸又は4−ペンテン酸の組成比)
α=Y/[{TFEの分子量}×{XTFE×(100−Y)/100}+{VdFの分子量}×{X1VdF×(100−Y)/100}+{3−ブテン酸又は4−ペンテン酸の分子量}×Y]
VdFの割合:X1VdF×(100−Y)/100[mol%]
TFEの割合:XTFE×(100−Y)/100[mol%]
3−ブテン酸又は4−ペンテン酸の割合:Y[mol%]
(VdF/HFP/CEAの組成比)
α=Y/[{HFPの分子量}×{XHFP×(100−Y)/100}+{VdFの分子量}×{X2VdF×(100−Y)/100}+{CEAの分子量}×Y]
VdFの割合:X2VdF×(100−Y)/100[mol%]
HFPの割合:XHFP×(100−Y)/100[mol%]
CEAの割合:Y[mol%]
【0130】
<重量平均分子量>
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。東ソー株式会社製のAS−8010、CO−8020、カラム(GMHHR−Hを3本直列に接続)、及び、株式会社島津製作所製RID−10Aを用い、溶媒としてジメチルホルムアミド(DMF)を流速1.0ml/分で流して測定したデータ(リファレンス:ポリスチレン)より算出した。
【0131】
<含フッ素重合体溶液の調製>
含フッ素重合体を濃度が5質量%になるように秤量し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させて含フッ素重合体溶液を得た。
【0132】
<フィルム形成及び破断点伸度の評価>
上記で得た含フッ素重合体溶液を、ガラス板上にキャストし100℃で5時間乾燥し、厚さ約30μmのフィルムを得た。
これらのフィルムを、ASTM D1708に準拠した形状のダンベル型に打ち抜き、オートグラフにて25℃における破断点伸度を測定した。
【0133】
<フィルム形成及び貯蔵弾性率の評価>
上記で得た含フッ素重合体溶液を、ガラス板上にキャストし100℃で12時間乾燥し、更に真空下で100℃で12時間乾燥し、厚さ約40μmのフィルムを得た。これらのフィルムを長さ30mm、巾5mmにカットし、サンプルとした。アイティー計測制御社製動的粘弾性装置DVA220で長さ30mm、巾5mm、厚み40μmのサンプルについて、引張モード、つかみ巾20mm、測定温度−30℃から160℃、昇温速度2℃/min、周波数1Hzの条件で、25℃及び100℃における貯蔵弾性率を測定した。
【0134】
重合例1(含フッ素重合体Aの製造)
攪拌機を備えた内容積2Lのオートクレーブに純水0.6kgとメチルセルロース0.6gを投入し、十分に窒素置換を行った後、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン0.57kgを仕込み、系内を37℃に保った。TFE/VdF=18/82モル比の混合ガスを仕込み、槽内圧を1.5MPaにした。3−ブテン酸0.69g、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネートの50質量%メタノール溶液を1.6g添加して重合を開始した。槽内圧を保つようにTFE/VdF=33/67モル比の混合ガスを供給し、反応終了までに70gの混合ガスを追加した。3−ブテン酸を混合ガスの供給に合わせて連続的に追加し、反応終了までに0.56g追加した。混合ガス70g追加完了後、槽内ガスを放出し、反応を終了させた。
反応生成物を水洗、乾燥して、含フッ素重合体Aを67g得た。
得られた含フッ素重合体Aの組成及び物性は表1に示す。
【0135】
重合例2(含フッ素重合体Bの製造)
攪拌機を備えた内容積2Lのオートクレーブに純水0.6kgとメチルセルロース0.6gを投入し、十分に窒素置換を行った後、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン0.57kgを仕込み、系内を37℃に保った。TFE/VdF=17/83モル比の混合ガスを仕込み、槽内圧を1.5MPaにした。3−ブテン酸0.92g、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネートの50質量%メタノール溶液を1.4g添加して重合を開始した。槽内圧を保つようにTFE/VdF=32/68モル比の混合ガスを供給し、反応終了までに70gの混合ガスを追加した。3−ブテン酸を混合ガスの供給に合わせて連続的に追加し、反応終了までに0.73g追加した。混合ガス70g追加完了後、槽内ガスを放出し、反応を終了させた。
反応生成物を水洗、乾燥して、含フッ素重合体Bを66g得た。
得られた含フッ素重合体Bの組成及び物性は表1に示す。
【0136】
重合例3(含フッ素重合体Cの製造)
攪拌機を備えた内容積2Lのオートクレーブに純水0.6kgとメチルセルロース0.6gを投入し、十分に窒素置換を行った後、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン0.57kgを仕込み、系内を37℃に保った。TFE/VdF=18/82モル比の混合ガスを仕込み、槽内圧を1.5MPaにした。4−ペンテン酸0.56g、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネートの50質量%メタノール溶液を2.2g添加して重合を開始した。槽内圧を保つようにTFE/VdF=33/67モル比の混合ガスを供給し、反応終了までに70gの混合ガスを追加した。4−ペンテン酸を混合ガスの供給に合わせて連続的に追加し、反応終了までに0.65g追加した。混合ガス70g追加完了後、槽内ガスを放出し、反応を終了させた。
反応生成物を水洗、乾燥して、含フッ素重合体Cを66g得た。
得られた含フッ素重合体Cの組成及び物性は表1に示す。
【0137】
重合例4(含フッ素重合体Dの製造)
攪拌機を備えた内容積2Lのオートクレーブに純水0.6kgとメチルセルロース0.6gを投入し、十分に窒素置換を行った後、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン0.57kgを仕込み、系内を37℃に保った。TFE/VdF=17/83モル比の混合ガスを仕込み、槽内圧を1.5MPaにした。4−ペンテン酸0.74g、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネートの50質量%メタノール溶液を1.0g添加して重合を開始した。槽内圧を保つようにTFE/VdF=32/68モル比の混合ガスを供給し、反応終了までに70gの混合ガスを追加した。4−ペンテン酸を混合ガスの供給に合わせて連続的に追加し、反応終了までに0.84g追加した。混合ガス70g追加完了後、槽内ガスを放出し、反応を終了させた。
反応生成物を水洗、乾燥して、含フッ素重合体Dを66g得た。
得られた含フッ素重合体Dの組成及び物性は表1に示す。
【0138】
重合例5(含フッ素重合体Eの製造)
撹拌機を備えた内容積4Lのオートクレーブに、イオン交換水1.4kgを投入し、窒素置換を行った後、オクタフルオロシクロブタン1.2kgを仕込み、系内を37℃に保った。その後、VdF/HFP=84/16モル%の混合モノマーを、系内圧力が1.8MPaGとなるまで仕込んだ。その後、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネートの50質量%メタノール溶液を1.5g添加して重合を開始した。重合の進行と共に系内圧力が低下するので、系内を1.8MPaに保つようにVdF/HFP=93.6/6.4モル%の混合モノマーを連続して重合終了までに140g供給し重合を終了した。その後、放圧して大気圧に戻し、得られた反応生成物を水洗、乾燥して、含フッ素重合体Eを135g得た。
得られた含フッ素重合体Eの組成及び物性は表1に示す。
【0139】
重合例6(含フッ素重合体Fの製造)
攪拌機を備えた内容積3Lのオートクレーブに、乳化剤F(CFCOONHが1.0質量%になるよう調製した純水1480gを投入し、十分に窒素置換を行った後、系内を70℃に保った。その後、TFE/VdF=33/67モル比の混合ガスを仕込み、槽内圧を0.8MPaにした。その後、イソプロピルアルコール0.19g、過硫酸アンモニウム0.15gを添加し重合を開始した。槽内圧を保つようにTFE/VdF=31/69モル比の混合ガスを供給し、反応終了までに420gの混合ガスを追加した。反応開始後、反応終了までに過硫酸アンモニウムを合計0.15g追加した。混合ガス420g追加完了後、槽内ガスを放出し、反応を終了させた。
槽内を冷却して、ポリマーの固形分が20.1質量%の水性ディスパージョンを得た。得られたディスパージョンに28質量%硫酸アルミニウム水溶液を8g投入し、スラリーをろ別した。回収したスラリーを2Lの純水で水洗、乾燥して、含フッ素重合体Fを400g得た。
得られた含フッ素重合体Fの組成及び物性は表1に示す。
【0140】
重合例7(含フッ素重合体Gの製造)
撹拌機を備えた内容積4Lのオートクレーブに、イオン交換水1.4kgを投入し、窒素置換を行った後、オクタフルオロシクロブタン1.2kgを仕込み、系内を37℃に保った。その後、2−カルボキシエチルアクリレート(CEA)0.9gを投入し、VdF/HFP=83/17モル%の混合モノマーを、系内圧力が1.8MPaGとなるまで仕込んだ。その後、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネートの50質量%メタノール溶液を1.5g添加して重合を開始した。重合の進行と共に系内圧力が低下するので、系内を1.8MPaに保つようにVdF/HFP=94.5/5.5モル%の混合ガスを連続して重合終了までに140g供給し、またこの混合ガスの供給とともに、重合終了までに1.4gの2−カルボキシエチルアクリレートも連続して供給し重合を終了した。その後、放圧して大気圧に戻し、得られた反応生成物を水洗、乾燥して、PVDF系共重合体(含フッ素重合体G)の白色粉末137gを得た。
得られた含フッ素重合体Gの組成及び物性は表1に示す。
【0141】
重合例8(含フッ素重合体Hの製造)
攪拌機を備えた内容積1.8Lのオートクレーブに、純水0.6kgとメチルセルロース0.25gを投入し、十分に窒素置換を行った後、VdF430gを仕込み、系内を25℃に保った。その後、アセトン5.3g、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネートの50質量%メタノール溶液を1g添加して重合を開始した。槽内温度を25℃に保ちながら、15時間重合させた後、槽内ガスを放出し、反応を終了させた。
反応生成物を水洗、乾燥して、含フッ素重合体Hを198g得た。
得られた含フッ素重合体Hの組成及び物性は表1に示す。
【0142】
実施例及び比較例
<セパレータの作製>
上記にて得られた含フッ素重合体のN−メチルピロリドン溶液(5質量%)、アルミナ粉末(平均粒子径0.5μm)及びN−メチルピロリドンをそれぞれ39.6質量部、20質量部、40.4質量部の比率で容器に配合し、直径0.5mmの硝子ビーズを加え、25℃で12時間ペイントシェイカーを用いて混合し、次いで硝子ビーズをろ過することで、アルミナが溶媒中に分散したスラリー状塗工液(複合多孔質膜スラリー)を得た。このようにして得られたスラリー状塗工液を、ブレードコート法でポリオレフィン多孔性基材(ポリエチレン製多孔質フィルム、厚み15μm、空孔率40%、平均孔径0.15μm、ガーレー値300sec/100ccAir)に塗工した。次いで、温度22℃、相対湿度50%の調湿した環境で1分間置いた後に、N−メチルピロリドンを4.5質量%含有する水溶液中に20秒間浸漬して多孔質膜を形成し、取り出して更に水洗し70℃のオーブン内に2時間静置し乾燥させることで、ポリオレフィン多孔質フィルム上に、表1に示す厚みの含フッ素重合体/アルミナの複合多孔質膜が形成されたセパレータを得た。
【0143】
<正極>
正極活物質(NMC(532)(LiNi0.5Mn0.3Co0.2))、導電剤アセチレンブラック(AB)、及び、バインダー(PVDFホモポリマークレハKF7200)を、96/2/2の質量比で含む正極合剤を厚み20μmのアルミニウム箔の片面に塗布量25mg/cm、電極密度3.4g/ccとなるように塗布した正極を使用した。
【0144】
<負極>
人造黒鉛、バインダー(スチレン−ブタジエンゴム)、増粘剤(カルボキシメチルセルロース)を97/1.5/1.5の質量比で含む負極合剤を、厚さ18μmの銅箔の片面に塗布量12mg/cm、電極密度1.5g/ccとなるように塗布した負極を使用した。
【0145】
<二次電池>
上記にて得られたセパレータ(7.7cm×4.6cmのサイズに切り抜いたもの)、正極(7.2cm×4.1cmのサイズに切り抜いたもの)、負極(7.3cm×4.2cmのサイズに切り抜いたもの)を、正極、セパレータ、負極の順になるように組み合わせて、これら一式をアルミニウムフィルムでラミネートし、次いでプレス機にてロール温度90℃、圧力3MPaにてラミネートセルをプレスし電池を作製した。この時、多孔質膜を形成した側と正極が接触するように配置した。
【0146】
次いで、70℃の真空乾燥機で12時間以上乾燥処理を行ったラミネート電池中に、電解液を空気が残らないように注入した後、封止して、フルセル型のリチウムイオン二次電池を製造した。なお、電解液としては、LiPFを1mol/Lの濃度で、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)との混合溶媒(EC:EMC=7:3 容積比)に溶解させた後、1質量%のビニレンカーボネート(VC)を添加したものを用いた。ここで、LiPF、EC、EMC、VCはキシダ化学工業製のバッテリーグレード品を使用した。
【0147】
実施例及び比較例で用いた含フッ素重合体並びに得られたセパレータ及び二次電池について、以下に記す評価を行った。結果を表1に示す。
【0148】
<含フッ素重合体の電解液膨潤性評価>
含フッ素重合体のNMP溶液(8質量%)をガラス製シャーレ上にキャストし、100℃で6時間真空乾燥を行うことで、含フッ素重合体の厚み200μmフィルムを作製した。得られたフィルムを10mmΦの大きさに切り取り、電解液(エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートの3/7(体積比)の溶媒にLiPFを1M濃度で溶解した溶液)が入ったサンプル瓶に入れ、60℃で1週間静置した後、次式より重量増加率を求めることで、電解液膨潤性を評価した。
重量増加率(%)=(電解液浸漬後のフィルム重量/電解液浸漬前のフィルム重量)×100
【0149】
<多孔性基材と多孔質膜の剥離強度評価>
電解液浸漬前の剥離強度評価
アルミニウムフィルム内に、多孔質膜を形成したセパレータのみを挟み、次いでプレス機にてロール温度90℃、圧力3MPaにてプレスした。その後、取り出して多孔質膜が片面に形成された面に粘着テープ(3M社製)を貼り、幅20mm、長さ150mmにカットし剥離強度の試験片とした。次いで、引張試験機テンシロンを用いて、23℃、50%RH条件でピール試験法により剥離強度試験を行い、テープを剥離させるのに必要な力(剥離強度)を測定した。幅1cm換算して剥離強度(N/cm)とし、下記の基準で評価した。
◎:剥離強度が1.5N/cm以上の値である。
△:剥離強度が1.0N/cm以上、1.5N/cm未満の値である。
×:剥離強度が1.0N/cm未満の値である。
電解液浸漬後の剥離強度評価
次に、上記と同様にして得たセパレータを電解液(エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートの3/7(体積比)の溶媒にLiPFを1M濃度で溶解した溶液)が入った容器に60℃、1週間浸漬を行い、取り出して上記同様の剥離試験を行った。
【0150】
<セパレータのガーレー値の上昇率>
JIS P 8117に従い、ガーレー式デンソメーターにて測定した。
ガーレー値上昇率は下記式より算出した。
ガーレー値上昇率(%)=(多孔性基材上に多孔質膜を形成した複合多孔質膜(セパレータ)のガーレー値/多孔性基材のみのガーレー値)×100
【0151】
<二次電池の60℃サイクル特性評価>
60℃の恒温槽中に置いたリチウムイオン二次電池を、4.35V〜3.0Vの電圧範囲で、1C−0.05C Rateの定電流−定電圧充電と1C Rateの定電流放電を交互に500サイクル行った。5セルの平均値を測定値として、1サイクル目の放電容量と500サイクル目の放電容量の比(500サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量(%))で表される値から高温サイクル特性を評価した。
【0152】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0153】
本発明の二次電池用セパレータは、多孔性基材と多孔質膜とが強固に接着しており、かつ、低温加工性及び耐電解液性に優れることから、高温サイクル特性に優れる二次電池を提供することができる。