特許第6874881号(P6874881)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6874881
(24)【登録日】2021年4月26日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】非常時換気装置を具えるエレベーター
(51)【国際特許分類】
   B66B 11/02 20060101AFI20210510BHJP
【FI】
   B66B11/02 F
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-50612(P2020-50612)
(22)【出願日】2020年3月23日
【審査請求日】2020年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】特許業務法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武田 佳祐
【審査官】 八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−114625(JP,A)
【文献】 特開平6−11655(JP,A)
【文献】 実開昭60−83210(JP,U)
【文献】 特開昭59−165405(JP,A)
【文献】 特開昭61−30011(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00−31/02
F16K 31/00−31/05
H01F 7/06− 7/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非常時換気口が形成されたベース部材と、前記非常時換気口を開閉する塞ぎ部材と、前記塞ぎ部材を動作させる開閉装置と、を有する非常時換気装置を具え、前記開閉装置は、前記非常時換気口よりもかごの内室側に配置されるエレベーターであって、
前記開閉装置は、
第1プランジャーを第1電磁コイルと第1永久磁石によって第1吸着位置と第1復帰位置を往復動作可能な第1一方向自己保持型ソレノイドと、第2プランジャーを第2電磁コイルと第2永久磁石によって第2吸着位置と第2復帰位置を往復動作可能な出没させる第2一方向自己保持型ソレノイドと、を具え、
前記塞ぎ部材は、前記非常時換気口を塞いでいる閉位置と、前記塞ぎ部材が前記非常時換気口から離れた開位置を往復移動可能であって、
前記第1プランジャー及び前記第2プランジャーは、前記塞ぎ部材に接続され、
前記閉位置において前記第1一方向自己保持型ソレノイドは前記第1復帰位置、前記第2一方向自己保持型ソレノイドは前記第2吸着位置となり、前記開位置において前記第1吸着位置、前記第2一方向自己保持型ソレノイドは前記第2復帰位置となるように配置される、
非常時換気装置を具えたエレベーター。
【請求項2】
前記第1一方向自己保持型ソレノイドと前記第2一方向自己保持型ソレノイドは、向きが逆になるように配置される、
請求項1に記載の非常時換気装置を具えたエレベーター。
【請求項3】
前記第2一方向自己保持型ソレノイドは、第2復帰位置で突出する第2プランジャーの先端が、L型治具により前記塞ぎ部材に接続される、
請求項1又は請求項2に記載の非常時換気装置を具えたエレベーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、かごに設けられた非常時換気装置を具えるエレベーターに関するものであり、より具体的にはかごの内室側からメンテナンスでき、省スペース化を図ることのできる非常時換気装置を具えるエレベーターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、建物の高層化に伴い、分速数百メートルの速さでかごを昇降させる高速エレベーターが種々提案されている。この種のエレベーターでは、昇降時の急激な気圧変化により乗客に違和感を与えることがないように、かご内を吸排気するブロワーの如き気圧調整装置を用いてかご内の気圧調整を行なっている。
【0003】
かご内の気圧を最適な状態に制御するためには、気密性の高い構造を有するかごを使用する必要がある。一方で、気密性を高めると、停電等によって給電が停止して気圧調整装置の稼働が停止したときに、かご内が酸欠となる虞がある。そこで、エレベーターでは、かごに非常時換気装置を設けることが望まれる。非常時換気装置は、非常時換気口と、当該非常時換気口を通常時は蓋のような塞ぎ部材で閉じる開閉装置を具える。そして、停電等によりエレベーターへの給電が停止すると、開閉装置は、塞ぎ部材が非常時換気口を開くよう制御される。このような非常時換気装置として、出願人は、特許文献1の技術を提案している。
【0004】
特許文献1では、かごの枠組みを構成する上下のベース部材に非常時換気装置を配備しており、非常時換気口は非常時換気装置に開設される。開閉装置は、塞ぎ部材を往復移動可能に保持する双方向自己保持型ソレノイドであり、非常時換気口の外側に配置され、外側から非常時換気口を塞ぐ。
【0005】
開閉装置を非常時換気口の外側に配置した場合、開閉装置をメンテナンスするには、かごの外側から開閉装置にアクセスする必要があり、作業性に問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017−114625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、段落[0056]において、開閉装置を非常時換気口よりも内室側に配置する構成についても開示している。しかしながら、双方向自己保持型ソレノイドは、2つの電磁コイル間に永久磁石を配置した構成であって大型であるから、かごの室内側に配置すると、ベース部材とキックプレートとの間に収まらないという問題がある。
【0008】
また、非常時換気装置をかごの室内側に飛び出して形成することは室内空間を占領するため望まれず、さらに、非常時換気装置には、利用者がアクセスできないように非常時換気装置は室内側にキックプレートなどを配置する必要があるから、かごの側面パネルよりも外側に配置しなければならない。
【0009】
そこで、双方向自己保持型ソレノイドが収まるように、ベース部材を塔内側に張り出すことも考えられるが、かごと塔内壁との隙間は小さいことがあり、ベース部材自体を張り出して大型化することは難しく、また、張り出して形成すると走行時に風切り音などの騒音を発生してしまうことがあるため望まれない。
【0010】
本発明の目的は、かごの内室側からメンテナンスでき、省スペース化を図ることのできる非常時換気装置を具えたエレベーターを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の非常時換気装置を具えたエレベーターは、
非常時換気口が形成されたベース部材と、前記非常時換気口を開閉する塞ぎ部材と、前記塞ぎ部材を動作させる開閉装置と、を有する非常時換気装置を具え、前記開閉装置は、前記非常時換気口よりもかごの内室側に配置されるエレベーターであって、
前記開閉装置は、
第1プランジャーを第1電磁コイルと第1永久磁石によって第1吸着位置と第1復帰位置を往復動作可能な第1一方向自己保持型ソレノイドと、第2プランジャーを第2電磁コイルと第2永久磁石によって第2吸着位置と第2復帰位置を往復動作可能な出没させる第2一方向自己保持型ソレノイドと、を具え、
前記塞ぎ部材は、前記非常時換気口を塞いでいる閉位置と、前記塞ぎ部材が前記非常時換気口から離れた開位置を往復移動可能であって、
前記第1プランジャー及び前記第2プランジャーは、前記塞ぎ部材に接続され、
前記閉位置において前記第1一方向自己保持型ソレノイドは前記第1復帰位置、前記第2一方向自己保持型ソレノイドは前記第2吸着位置となり、前記開位置において前記第1吸着位置、前記第2一方向自己保持型ソレノイドは前記第2復帰位置となるように配置される。
【0012】
前記第1一方向自己保持型ソレノイドと前記第2一方向自己保持型ソレノイドは、向きが逆になるように配置されることが望ましい。
【0013】
前記第2一方向自己保持型ソレノイドは、第2復帰位置で突出する第2プランジャーの先端が、L型治具により前記塞ぎ部材に接続することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の非常時換気装置は、開閉装置の駆動源に一方向自己保持型ソレノイドを採用している。一方向自己保持ソレノイド型は、同等の保磁力を有する双方向自己保持型ソレノイドよりも小型であるから、設置も省スペースで済み、開閉装置を非常時換気口よりも室内側に配置できる。開閉装置を室内側に配置できたことで、非常時換気装置の設置やメンテナンスはかごの室内側から行なうことができ、作業性を可及的に向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の非常時換気装置が設置されるかごの概略構成を示す断面図である。
図2図2は、非常時換気口の斜視図である。
図3図3は、非常時換気口を室内側から見た正面図である。
図4図4は、(a)が図3の断面A、(b)が図3の断面Bであり、塞ぎ部材が非常時換気口から離れた状態を示す断面図である。
図5図5は、(a)が図3の断面A、(b)が図3の断面Bであり、塞ぎ部材が非常時換気口を閉じている状態を示す断面図である。
図6図6は、図3の矢印Cに沿う断面図である。
図7図7は、図3の矢印Dに沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係るエレベーターのかご10の断面図である。図1は、紙面手前側にドアが配置されたかご10をドアの開閉方向と平行な面で切断して示す図である。かご10は、側壁を構成する側面パネル11の上下をシーリングプレート12(天井パネル)とプラットフォーム13(床板)で塞いで利用者が搭乗する室内空間を形成している。シーリングプレート12の上にはブロアーの如き気圧調整装置18が設けられており、かご10の内部の空気を給排気して、かご10の気圧を制御している。
【0018】
側面パネル11とシーリングプレート12の間には、これらを跨ぐように上ベース部材14aが設けられている。また、側面パネル11とプラットフォーム13の間には、これらを跨ぐように下ベース部材14bが設けられている。上ベース部材14a及び下ベース部材14b(適宜これらを「ベース部材14」と総称する)には、図に示すように、非常時換気装置20が配置される。図示の実施形態では、上側の非常時換気装置20の室内側には、室内を照明するカーライトボックス16が配置されている。また、下側の非常時換気装置20の室内側には、化粧パネルとなるキックプレート17が配置されている。カーライトボックス16やキックプレート17は、非常時換気装置20による換気を確保できるよう、非常時換気装置20から所定の間隔、たとえば、20mm〜30mm程度離間して配置されている。また、キックプレート17は、側面パネル11と略面一となるようにすることで、かご10内の意匠性の低下を防止している。
【0019】
非常時換気装置20は、図1に示すように、ベース部材14に非常時換気口31を直接開設し、当該非常時換気口31を塞ぎ部材41によって開閉可能とした構成を例示できる。塞ぎ部材41は、非常時換気口31よりもかご10の室内側に配置された開閉装置40によって往復移動可能としている。
【0020】
より詳細には、図2乃至図7に示すように、ベース部材14は断面コ字状であり、1又は複数の非常時換気口31が開設されている。非常時換気口31は、欧州規格(EN81)やASME規格におけるエレベーターに関する基準を満たすことが望ましい。
【0021】
非常時換気口31は、塞ぎ部材41により開閉可能となっている。本実施形態の塞ぎ部材41は、図2図3に示すように、複数の通気口42を形成し、上記した複数の非常時換気口31からの通気・換気性能を高めるように形成している。より具体的には、通気口42は、非常時換気口31とは対向しない位置、たとえば、非常時換気口31,31間に形成しており、塞ぎ部材41を非常時換気口31に押しつけた状態では、非常時換気口31と通気口42は連通せず、気密性は維持される。もちろん、塞ぎ部材41は通気口のない板状部材から構成することができる。
【0022】
塞ぎ部材41は、上記した非常時換気口31の周面と当接する位置にゴムなどのシール材を貼着しておくことで、より気密性を高めることができる。シール材は、ベース部材14に貼着しても構わない。
【0023】
塞ぎ部材41は、開閉装置40により非常時換気口31に向けて往復移動可能となっている。開閉装置40は、図2及び図3、より詳細には図4及び図5に示すように一対の自己保持型ソレノイド50,60とすることができる。なお、図示の実施形態では、非常時換気装置20の塞ぎ部材41は横長の形態としており、開閉装置40は、塞ぎ部材41の中央に接続するようにしている。従って、塞ぎ部材41がスムーズに往復移動可能となるように、塞ぎ部材41の両端には、図2図3及びより詳細には図6に示すように、リニアブッシュ43,43を配置し、塞ぎ部材41の直動を案内可能としている。リニアブッシュ43,43は、一端が塞ぎ部材41に接続され、他端がベース部材14に懸架されたコ字状フレーム32に接続されている。
【0024】
開閉装置40を構成する自己保持型ソレノイド50,60は、一方向自己保持型ソレノイド50,60を採用する。一方向自己保持型ソレノイド50,60は、たとえば、ベース部材14の開放側中央に懸架されたコ字状のフレーム33に取付板34を配置し、取付板34にビス止めすることでベース部材14に配置することができる。
【0025】
一方向自己保持型ソレノイド50,60は、図4(b)、図5(b)に内部構成を示すように、それぞれ1つの電磁コイル51,61と1つの永久磁石52,62を内装している。電磁コイル51,61及び永久磁石52,62は円環状に形成され、中央にプランジャー53,63が往復移動可能に配置されている。本実施形態では、説明のため、適宜上側の一方向自己保持型ソレノイド50やその構成部品に第1、下側の一方向自己保持型ソレノイド60やその構成部品に第2の名称を付す。
【0026】
第1一方向自己保持型ソレノイド50は、図4及び図5に示すように、塞ぎ部材41に近い側に第1永久磁石52を配置し、その後方に第1電磁コイル51を配置している。第1プランジャー53は、先端54が塞ぎ部材41側に突出しており、当該先端54は、Z型の治具44を介して塞ぎ部材41に接続されている。
【0027】
第1一方向自己保持型ソレノイド50について、図4(b)に示すように第1プランジャー53が矢印方向に後退した位置を第1吸着位置55、また、図5(b)に示すように第1プランジャー53が矢印方向に突出した位置を第1復帰位置56と称する。第1プランジャー53の第1吸着位置55と第1復帰位置56の切り替えは、第1電磁コイル51への通電により制御することができる。たとえば、図4(b)、図5(b)に示すように、第1永久磁石52は内側をN極、外側をS極としたときに、第1永久磁石52の起磁力と第1電磁コイル51の起磁力が同じ向きとなるように第1電磁コイル51に電流を瞬間的に流すことで、第1プランジャー53は図4(b)に矢印方向で示すように第1吸着位置55に移動する。他方、第1永久磁石52の起磁力を打ち消す向きの起磁力が第1電磁コイル51に発生するように第1電磁コイル51に電流を瞬間的に流すことで、第1プランジャー53は図5(b)に矢印方向で示す第1復帰位置56に移動する。
【0028】
第2一方向自己保持型ソレノイド60は、図4及び図5に示すように、第1一方向自己保持型ソレノイド50とは逆向き配置している。具体的には、塞ぎ部材41に近い側に第2電磁コイル61を配置し、その後方に第2永久磁石62を配置している。第2プランジャー63は、先端64が塞ぎ部材41とは逆方向に突出しており、当該先端64は、Z型の治具44を介して塞ぎ部材41に接続されている。なお、治具44の形状をZ型としているのは、上記した第1プランジャー53と共に塞ぎ部材41に第2プランジャー63を接続するためである。たとえば第1プランジャー53と第2プランジャー63を別々に塞ぎ部材41に接続する場合、第2プランジャー63を接続する治具はL型であればよい。
【0029】
第2一方向自己保持型ソレノイド60は、上記のとおり、第1一方向自己保持型ソレノイド50とは逆向きに配置されている。すなわち、図4(b)では第2プランジャー63は先端64が矢印方向に飛び出した第2復帰位置66となり、図5(b)では第2プランジャー63が塞ぎ部材41側に後退した第2吸着位置65となる。第2プランジャー63の第2吸着位置65と第2復帰位置66の切り替えは、第1電磁コイル51と同様に通電により制御される。具体的には、図4(b)、図5(b)に示すように、第2永久磁石62は内側をN極、外側をS極としたときに、第2永久磁石62の起磁力と第2電磁コイル61の起磁力が逆向きとなるように第2電磁コイル61に電流を瞬間的に流すことで、第2プランジャー63は図4(b)に矢印方向で示す第2復帰位置66に移動する。他方、第2永久磁石62の起磁力と同じ向きの起磁力を第2電磁コイル61に発生させることで、第2プランジャー63は図5(b)に矢印方向で示す第2吸着位置65に移動する。
【0030】
上記構成の開閉装置40に用いられる一方向自己保持型ソレノイド50,60は、同等の保磁力を有する双方向自己保持型ソレノイドに比べて小型とできるから、非常時換気装置20の小型化を図ることができる。一方で、一方向自己保持型ソレノイド50,60を2つ並べて配置したことで、塞ぎ部材41を往復移動させ、また、移動後にその位置で不動に留めることができる。たとえば、一方向自己保持型ソレノイド50,60として、DC12Vで作動する定格容量10Wのものを採用した場合、図4に示す塞ぎ部材41が非常時換気口31を開放した状態、すなわち、第1プランジャー53が第1吸着位置55、第2プランジャー63が第2復帰位置66に位置する場合、第1一方向自己保持型ソレノイド50は、第1永久磁石52による保磁力が約36.3N、また第2一方向自己保持型ソレノイド60は、無励磁吸引力が約1.4Nであり、約34.9Nの保持力で塞ぎ部材41を維持できる。同じく、図5に示す塞ぎ部材41が非常時換気口31を閉じた気密状態では、第1プランジャー53が第1復帰位置56、第2プランジャー63が第2吸着位置65に移動し、第1一方向自己保持型ソレノイド50は、無励磁吸引力が約1.4N、第2一方向自己保持型ソレノイド60は、第2永久磁石62による保磁力が約36.3Nとなり、約34.9Nの保持力で塞ぎ部材41を非常時換気口31に押し付けて維持できる。これにより、たとえば超高層エレベーターのかご10に本発明の非常時換気装置20を採用しても、十分に室内の気密性を確保でき、また、非常時には確実に非常時換気口31を開放できる。
【0031】
上記非常時換気装置20は、図1に示すように、開閉装置40をかご10の室内側からベース部材14の非常時換気口31に位置合わせすることで構成される。開閉装置40は、かご10の室内側から設置できるから、作業性にすぐれる。また、上記のとおり、非常時換気装置20は小型化できるから、設置スペースも省スペースで済み、非常時換気装置20が室内側や塔内側に飛び出すこともない。加えて、かご10の室内側から非常時換気装置20のメンテナンスを行なうことができるからメンテナンス性にもすぐれる。
【0032】
然して、非常時換気装置20は、図5に示すように一方向自己保持型ソレノイド50,60に一旦瞬間電流を流し、第1プランジャー53を第1復帰位置56、第2プランジャー63を第2吸着位置65に移動させて、塞ぎ部材41が非常時換気口31を塞いでおく。通常時は、この状態で、第2永久磁石62の保持力と第1一方向自己保持型ソレノイド50の無励磁吸引力により上記のとおり塞ぎ部材41は非常時換気口31に押し当てられ気密状態を確保できる。
【0033】
一方、停電等、かご10の気圧調整装置18が停止した場合、非常時バッテリーや非常時電源により、一方向自己保持型ソレノイド50,60に瞬間電流を流し、図4に示すように、第1プランジャー53を第1吸着位置55、第2プランジャー63を第2復帰位置66に移動させて、塞ぎ部材41を後退させて、非常時換気口31を開放する。これにより、かご10の室内は塔内と連通し、気密状態を脱することができる。塞ぎ部材41は、第1永久磁石52の保持力と第2一方向自己保持型ソレノイド60の無励磁吸引力により、非常時換気口31の開放状態を維持できる。
【0034】
この状態から再度、図5に示す気密状態に移行するには、再度一方向自己保持型ソレノイド50,60に瞬間電流を流せばよい。なお、この作業は、メンテナンス員等によって行なうことが好適である。
【0035】
上記説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或いは範囲を限縮するように解すべきではない。また、本発明の各部構成は、上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【0036】
たとえば、非常時換気口31の形状、数、また、塞ぎ部材41の形状や通気口42の有無、数などは本実施形態に限定されるものではない。
【0037】
また、上記実施形態では、かご10のベース部材14に非常時換気口31を直接形成しているが、非常時換気口を形成したケーシングに開閉装置40を配置したユニットとして非常時換気装置20を構成し、ベース部材14等に取り付けるようにしても構わない。この場合、特許請求の範囲におけるベース部材は、ケーシングと読み替えればよい。
【符号の説明】
【0038】
10 かご
20 非常時換気装置
31 非常時換気口
40 開閉装置
41 塞ぎ部材
50 第1一方向自己保持型ソレノイド
60 第2一方向自己保持型ソレノイド
【要約】
【課題】本発明は、かごの内室側からメンテナンスでき、省スペース化を図ることのできる非常時換気装置を具えたエレベーターを提供する。
【解決手段】本発明の非常時換気装置20を具えたエレベーターは、非常時換気口31が形成されたベース部材14と、前記非常時換気口を開閉する塞ぎ部材と41、前記塞ぎ部材を動作させる開閉装置40と、を有する非常時換気装置を具え、前記開閉装置は、前記非常時換気口よりもかご10の内室側に配置されるエレベーターであって、前記開閉装置は、2つの一方向自己保持型ソレノイド50,60を具える。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7