(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書において、「転化率」とは、反応器に供給されるフルオロメタン類のモル量に対する、反応器出口からの流出ガス(=反応ガス)に含まれる、フルオロメタン類以外の化合物の合計モル量の割合(モル%)を意味するものとする。
【0009】
本明細書において、「選択率」とは、反応器出口からの流出ガス(=反応ガス)に含まれる、フルオロメタン類以外の化合物の合計モル量に対する当該流出ガスに含まれる目的化合物(R−1132(E))のモル量の割合(モル%)を意味するものとする。
【0010】
本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
【0011】
本開示の(E)−1,2−ジフルオロエチレン(R−1132(E))を含む反応ガスの製造方法は、
クロロジフルオロメタン(R−22)、クロロフルオロメタン(R−31)、ジフルオロメタン(R−32)及びフルオロメタン(R−41)からなる群から選択される少なくとも一種のフルオロメタン類を含む原料ガスを熱分解を含む反応(当該フルオロメタン類の熱分解を伴う合成反応)に供することにより、R−1132(E)を含む反応ガスを得る工程を有することを特徴とし、具体的には下記の実施形態1〜4に大別することができる。
(実施形態1)
(E)−1,2−ジフルオロエチレン(R−1132(E))を含む反応ガスの製造方法であって、
(1)クロロジフルオロメタン(R−22)、ジフルオロメタン(R−32)及びフルオロメタン(R−41)からなる群から選択される少なくとも一種のフルオロメタン類を含む原料ガスを熱分解を含む反応に供することにより、当該反応ガスを得る工程を有し、
(2)当該原料ガスは、水蒸気含有量が1体積%以下である、
製造方法。
(実施形態2)
(E)−1,2−ジフルオロエチレン(R−1132(E))を含む反応ガスの製造方法であって、
(1)クロロジフルオロメタン(R−22)、クロロフルオロメタン(R−31)、ジフルオロメタン(R−32)及びフルオロメタン(R−41)からなる群から選択される少なくとも一種のフルオロメタン類を含む原料ガスを熱分解を含む反応に供することにより、当該反応ガスを得る工程を有し、
(2)当該反応は、鉄含有量が10質量%以下の金属製反応容器を用いて行う、
製造方法。
(実施形態3)
(E)−1,2−ジフルオロエチレン(R−1132(E))を含む反応ガスの製造方法であって、
(1)クロロジフルオロメタン(R−22)、クロロフルオロメタン(R−31)、ジフルオロメタン(R−32)及びフルオロメタン(R−41)からなる群から選択される少なくとも一種のフルオロメタン類を含む原料ガスを熱分解を含む反応に供することにより、当該反応ガスを得る工程を有し、
(2)当該原料ガスは、窒素、アルゴン、ハイドロフルオロカーボン及び二酸化炭素からなる群から選択される少なくとも一種の不活性ガスの含有量が10〜90体積%である、
製造方法。
(実施形態4)
(E)−1,2−ジフルオロエチレン(R−1132(E))を含む反応ガスの製造方法であって、
(1)クロロジフルオロメタン(R−22)、クロロフルオロメタン(R−31)、ジフルオロメタン(R−32)及びフルオロメタン(R−41)からなる群から選択される少なくとも一種のフルオロメタン類を含む原料ガスを熱分解を含む反応に供することにより、前記反応ガスを得る工程を有し、
(2)前記原料ガスは、前記フルオロメタン類の含有量が90〜100体積%である、
製造方法。
【0012】
上記特徴を有する本開示のR−1132(E)を含む反応ガスの製造方法によれば、従来法よりも高い選択率(反応ガス中の選択率)でR−1132(E)を含む反応ガスを製造することができる。
【0013】
1.
R−1132(E)を含む反応ガスの製造方法
以下、前述の実施形態1〜4に分けて説明する。
(実施形態1)
実施形態1は、R−1132(E)を含む反応ガスの製造方法であって、
(1)クロロジフルオロメタン(R−22)、ジフルオロメタン(R−32)及びフルオロメタン(R−41)からなる群から選択される少なくとも一種のフルオロメタン類を含む原料ガスを熱分解を含む反応に供することにより、当該反応ガスを得る工程を有し、
(2)当該原料ガスは、水蒸気含有量が1体積%以下である、
ことを特徴とする。
【0014】
原料ガスは、熱分解を含む反応(以下、単に「反応」ともいう。)により、目的化合物であるR−1132(E)を含む反応ガスを合成できる、クロロジフルオロメタン(R−22)、ジフルオロメタン(R−32)及びフルオロメタン(R−41)からなる群から選択される少なくとも一種のフルオロメタン類を含む原料ガスを用いる。これらのフルオロメタン類の中でも、副生物の生成を抑制する観点からR−32が好ましい。
【0015】
なお、実施形態1では、原料ガスとして、水蒸気含有量が1体積%以下であるものを用いる。これにより、反応ガス中のR−1132(E)の選択率が向上する。原料ガス中の水蒸気含有量は1体積%以下であればよいが、最良の実施態様では水蒸気を含有しないことが好ましい。つまり、原料ガスとしては、実質的に上記フルオロメタン類(R−22、R−32及びR−41からなる群から選択される少なくとも一種)のみから構成されるものであってもよい。また、実施形態1では、副生物の生成の観点から原料ガス中の水蒸気含有量も少ないことが好ましく、原料ガス中の水蒸気含有量の上限は1体積%が好ましく、0.5体積%がより好ましく、0.1体積%が特に好ましい。更に、実施形態1では、原料ガス中の水蒸気含有量の下限は0体積ppmが好ましく、0.1体積ppmがより好ましく、1体積ppmが特に好ましい。なお、実施形態1において、原料ガス中の水蒸気含有量が0体積ppmである場合は、脱水処理が困難で工程管理が複雑であるが、問題無い。
【0016】
実施形態1では、原料ガスの水蒸気含有量が1体積%以下であることにより、原料転化率は下がるが、反応ガス中のR−1132(E)の選択率と収率の双方を、従来法よりも向上させることができる。特にR−1132(E)の反応ガス中の選択率は15モル%以上と大きくすることができ、従来技術に対する優位性が大きい。
【0017】
実施形態1において、原料ガスはR−32を含み、且つ、当該原料ガス中の水蒸気含有量は1体積%以下であることが好ましい。実施形態1において、原料ガスはR−32を含み、且つ、当該原料ガス中の水蒸気含有量は0体積%以上0.5体積以下であることがより好ましい。実施形態1において、原料ガスはR−32を含み、且つ、当該原料ガス中の水蒸気含有量は0体積%以上0.1体積%以下であることが特に好ましい。
【0018】
実施形態1では、原料ガスはフルオロメタン類のみを反応器にそのまま供給してもよく、又は窒素、アルゴン、二酸化炭素等の不活性ガスで希釈して供給してもよい。また、必要に応じて原料ガスを任意温度に予熱した後で供給してもよい。
【0019】
原料ガスを上記反応に供する温度(反応温度)は、750〜1050℃が好ましく、800〜950℃がより好ましく、850〜900℃が更に好ましい。反応温度をかかる範囲内に設定することにより、フルオロメタン類の転化率、及びR−1132(E)の選択率の双方を向上させることができる。なお、特に反応温度を850℃以上とすることにより、反応ガス中にR−1132(E)に加えてトリフルオロエチレン(R−1123)を含有し易くなる。この場合には、冷媒として有望なR−1132(E)とR−1123とを併産できる利点がある。このような併産を目的とする場合には反応温度を好ましくは850〜1050℃、より好ましくは850〜950℃、特に好ましくは850〜900℃に設定する。
【0020】
原料ガスを上記反応に供する際の加熱方法としては、公知の方法を使用できる。反応器(反応容器)を電気炉内で加熱する方法、電気ヒータ又は熱媒体が流通するジャケットで反応器を加熱する方法、反応器をマイクロウェーブにより加熱する方法、希釈ガスとしての上記不活性ガスを加熱した上でフルオロメタン類と混合する方法等が挙げられる。なお、必要に応じて原料ガスを任意温度に予熱した後で供給してもよい。
【0021】
原料ガスを上記反応に供する圧力(反応圧力)は、0〜0.6MPaGが好ましく、0〜0.3MPaGがより好ましい。圧力をかかる範囲内に設定することにより、フルオロメタン類の転化率、及びR−1132(E)の選択率の双方を向上させることができる。圧力の下限値は、例えば0.01MPaG、0.1MPaG等に設定することができる。
【0022】
原料ガスを上記反応に供する時間(滞留時間)は、フルオロメタン類の種類、反応温度、反応圧力等によって一概ではないが、0.2〜3秒が好ましく、0.5〜1秒がより好ましい。滞留時間を上記範囲の下限値以上にするとフルオロメタン類の熱分解が促進されてR−1132(E)が効率よく得られる。上記範囲の上限値以下にすることで副反応が抑制され且つフルオロメタン類の熱分解が促進されて生産性が良好となる。なお、R−1132(E)とR−1123との併産を目的として反応温度を850℃〜1050℃に設定した場合は、滞留時間を0.1〜0.5秒に設定することが好ましい。
【0023】
原料ガスを上記反応に供する反応器の形態は特に限定されるものではなく、上記反応温度及び反応圧力に耐え得る公知の反応器を広く使用できる。例えば、触媒を充填した管型の流通型反応器を用いることができる。触媒としては、例えば、Al
2O
3、CoO2などの金属酸化物触媒;Fe、Zn、Coなどの金属触媒;Pd/C、Pd/TiO2などの酸化物又はカーボン担体に金属粒子を担持した触媒が挙げられる。また、触媒の不存在下に反応を行う場合には、空塔の断熱反応器、原料ガスの混合状態を向上させるための多孔質又は非多孔質の金属又は媒体を充填した断熱反応器等を用いてもよい。それ以外にも、熱媒体を用いて除熱及び/又は反応器内の温度分布を均一化した多管型反応器等を用いることもできる。
【0024】
空塔の反応器を使用する場合、内径の小さい反応器を用いて伝熱効率を良くする方法では、例えば、原料ガスの流量と、反応器の内径の関係は、線速度が大きくかつ伝熱面積が大きくなるようにすることが好ましい。
【0025】
反応器としては、具体的には、ハステロイ(HASTALLOY)、インコネル(INCONEL)、モネル(MONEL)、インコロイ(INCOLLOY)、ステンレス系材質(SUS316等)等をはじめとする腐食作用に抵抗性がある材料によって構成されるものを用いることが好ましい。なお、詳細は実施形態2において説明するが、上記反応器の中でもハステロイ(HASTALLOY)、インコネル(INCONEL)等の鉄含有量が10質量%以下の金属製反応容器を用いる場合には、従来法よりも反応器内壁へのコーキングの発生を抑制することもできる。
【0026】
実施形態1により得られたR−1132(E)を含む反応ガスは、適宜精製工程に供することによりR−1132(E)の純度を高めて取り出すことができる。精製方法については蒸留などの公知の精製方法が利用できる。
【0027】
実施形態1により得られたR−1132(E)を含む反応ガスは、更にR−1123及びR−32を含むことがより好ましい。即ち、本開示において、実施形態1により得られる反応ガスは、R−1132(E)と、R−1123と、R−32とを含むことがより好ましい。
【0028】
(実施形態2)
実施形態2は、R−1132(E)を含む反応ガスの製造方法であって、
(1)クロロジフルオロメタン(R−22)、クロロフルオロメタン(R−31)、ジフルオロメタン(R−32)及びフルオロメタン(R−41)からなる群から選択される少なくとも一種のフルオロメタン類を含む原料ガスを熱分解を含む反応に供することにより、当該反応ガスを得る工程を有し、
(2)当該反応は、鉄含有量が10質量%以下の金属製反応容器を用いて行う、
ことを特徴とする。
【0029】
原料ガスは、熱分解を含む反応により、目的化合物であるR−1132(E)を含む反応ガスを合成できる、クロロジフルオロメタン(R−22)、クロロフルオロメタン(R−31)、ジフルオロメタン(R−32)及びフルオロメタン(R−41)からなる群から選択される少なくとも一種のフルオロメタン類を含む原料ガスを用いる。これらのフルオロメタン類の中でも、副生物の生成を抑制する観点からR−32が好ましい。
【0030】
実施形態2では、原料ガスはフルオロメタン類のみを反応器にそのまま供給してもよく、又は窒素、アルゴン、二酸化炭素等の不活性ガスで希釈して供給してもよい。また、必要に応じて原料ガスを任意温度に予熱した後で供給してもよい。
【0031】
実施形態2では、鉄含有量が10質量%以下の金属製反応容器を用いて上記反応を行う。このような金属製反応容器としては、例えば、ハステロイ(HASTALLOY)、インコロイ(INCOLLOY)、インコネル(INCONEL)、モネル(MONEL)等が挙げられる。実施形態2では、鉄含有量が10質量%以下の金属製反応容器としてINCONELを使用することが特に好ましい。実施形態2では、鉄含有量10質量%以下の金属製反応容器を用いて上記反応を行うことにより、従来法よりも反応器内壁へのコーキングの発生を抑制することができる。また、従来法よりも反応器内壁と原料ガスの反応によるCO
2の発生を抑制することができる。
【0032】
当該CO
2の発生は、例えば、反応温度が比較的高い領域においてフルオロメタン類が熱分解してフッ素ラジカルが生成し、フッ素ラジカルが金属製反応容器に含まれる鉄原子近傍の酸素原子と置換して酸素ラジカルが生成し、酸素ラジカルがコーキングした反応器内壁で反応してCO
2が発生することが反応の挙動として考えられるが、実施形態2のように鉄含有量10質量%以下の金属製反応容器を用いることにより上記挙動に例示されるCO
2の発生を抑制することができる。
【0033】
原料ガスを上記反応に供する反応器の形態については、鉄含有量の上記規定を満たす限り特に限定されるものではなく、後述の反応温度及び反応圧力に耐え得る公知の反応器を広く使用することが可能である。例えば、触媒を充填した管型の流通型反応器を用いることができる。触媒としては、例えば、Al
2O
3、CoO2などの金属酸化物触媒;Fe、Zn、Coなどの金属触媒;Pd/C、Pd/TiO2などの酸化物又はカーボン担体に金属粒子を担持した触媒が挙げられる。また、触媒の不存在下に反応を行う場合には、空塔の断熱反応器、原料ガスの混合状態を向上させるための多孔質又は非多孔質の金属又は媒体を充填した断熱反応器等を用いてもよい。それ以外にも、熱媒体を用いて除熱及び/又は反応器内の温度分布を均一化した多管型反応器等を用いることもできる。
【0034】
空塔の反応器を使用する場合、内径の小さい反応器を用いて伝熱効率を良くする方法では、例えば、原料ガスの流量と、反応器の内径の関係は、線速度が大きくかつ伝熱面積が大きくなるようにすることが好ましい。
【0035】
原料ガスを上記反応に供する温度(反応温度)は、750〜1050℃が好ましく、800〜950℃がより好ましく、850〜900℃が更に好ましい。反応温度をかかる範囲内に設定することにより、フルオロメタン類の転化率、及びR−1132(E)の選択率の双方を向上させることができる。なお、特に反応温度を850℃以上とすることにより、反応ガス中にR−1132(E)に加えてトリフルオロエチレン(R−1123)を含有し易くなる。この場合には、冷媒として有望なR−1132(E)とR−1123とを併産できる利点がある。このような併産を目的とする場合には反応温度を好ましくは850〜1050℃、より好ましくは850〜950℃、特に好ましくは850〜900℃に設定する。
【0036】
原料ガスを上記反応に供する際の加熱方法としては、公知の方法を使用できる。反応器(反応容器)を電気炉内で加熱する方法、電気ヒータ又は熱媒体が流通するジャケットで反応器を加熱する方法、反応器をマイクロウェーブにより加熱する方法、希釈ガスとしての上記不活性ガスを加熱した上でフルオロメタン類と混合する方法等が挙げられる。なお、必要に応じて原料ガスを任意温度に予熱した後で供給してもよい。
【0037】
原料ガスを上記反応に供する圧力(反応圧力)は、0〜0.6MPaG(ゲージ圧)が好ましく、0〜0.3MPaGがより好ましい。圧力をかかる範囲内に設定することにより、フルオロメタン類の転化率、及びR−1132(E)の選択率の双方を向上させることができる。圧力の下限値は、例えば0.01MPaG、0.1MPaG等に設定することができる。
【0038】
原料ガスを上記反応に供する時間(滞留時間)は、フルオロメタン類の種類、反応温度、反応圧力等によって一概ではないが、0.2〜3秒が好ましく、0.5〜1秒がより好ましい。滞留時間を上記範囲の下限値以上にするとフルオロメタン類の熱分解が促進されてR−1132(E)が効率よく得られる。上記範囲の上限値以下にすることでフルオロメタン類及びR−1132(E)がコーキングし難く生産性が良好となる。なお、R−1132(E)とR−1123との併産を目的として反応温度を850℃以上に設定した場合には、滞留時間は0.1〜0.5秒に設定することが好ましい。
【0039】
実施形態2により得られたR−1132(E)を含む反応ガスは、適宜精製工程に供することによりR−1132(E)の純度を高めて取り出すことができる。精製方法については蒸留などの公知の精製方法が利用できる。
【0040】
(実施形態3)
実施形態3は、R−1132(E)を含む反応ガスの製造方法であって、
(1)クロロジフルオロメタン(R−22)、クロロフルオロメタン(R−31)、ジフルオロメタン(R−32)及びフルオロメタン(R−41)からなる群から選択される少なくとも一種のフルオロメタン類を含む原料ガスを熱分解を含む反応に供することにより、当該反応ガスを得る工程を有し、
(2)当該原料ガスは、窒素、アルゴン、ハイドロフルオロカーボン及び二酸化炭素からなる群から選択される少なくとも一種の不活性ガスの含有量が10〜90体積%である、
ことを特徴とする。
【0041】
原料ガスは、熱分解を含む反応により、目的化合物であるR−1132(E)を含む反応ガスを合成できる、クロロジフルオロメタン(R−22)、クロロフルオロメタン(R−31)、ジフルオロメタン(R−32)及びフルオロメタン(R−41)からなる群から選択される少なくとも一種のフルオロメタン類を含む原料ガスを用いる。これらのフルオロメタン類の中でも、副生物の分離が容易で、精留等の工程数を減らせることや副生物の生成を抑制する観点からR−32が好ましい。
【0042】
なお、実施形態3では、原料ガスとして、窒素、アルゴン、ハイドロフルオロカーボン及び二酸化炭素からなる群から選択される少なくとも一種の不活性ガスの含有量が10〜90体積%であるものを用いる。つまり、実施形態3では、当該不活性ガスを希釈ガスとして用いることにより、フルオロメタン類(R−22、R−31、R−32及びR−41からなる群から選択される少なくとも一種)を希釈して用いる。上記ハイドロフルオロカーボンとしては、例えば、1,1,2,2−テトラフルオロエタン(R134)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(R134a)及びペンタフルオロエタン(R125)からなる群から選択される少なくとも一種が挙げられる。
【0043】
実施形態3では、原料ガス中の上記不活性ガスの含有量が10〜90体積%であることにより、フルオロメタン類の転化率、及びR−1132(E)の選択率の双方を従来法よりも向上させることができる。特にR−1132(E)の反応ガス中の選択率は15モル%以上と大きくすることができ、従来技術に対する優位性が大きい。
【0044】
実施形態3では、原料ガス中の上記不活性ガスの含有量が、好ましくは30〜90体積%、より好ましくは50〜89体積%、特に好ましくは70〜88体積%である。
【0045】
実施形態3では、必要に応じて原料ガスを任意温度に予熱した後で供給してもよい。
【0046】
原料ガスを上記反応に供する温度(反応温度)は、750〜1050℃が好ましく、800〜950℃がより好ましく、850〜900℃が更に好ましい。反応温度をかかる範囲内に設定することにより、フルオロメタン類の転化率、及びR−1132(E)の選択率の双方を向上させることができる。なお、特に反応温度を850℃以上とすることにより、反応ガス中にR−1132(E)に加えてトリフルオロエチレン(R−1123)を含有し易くなる。この場合には、冷媒として有望なR−1132(E)とR−1123とを併産できる利点がある。このような併産を目的とする場合には反応温度を好ましくは850〜1050℃、より好ましくは850〜950℃、特に好ましくは850〜900℃に設定する。
【0047】
原料ガスを上記反応に供する際の加熱方法としては、公知の方法を使用できる。反応器(反応容器)を電気炉内で加熱する方法、電気ヒータ又は熱媒体が流通するジャケットで反応器を加熱する方法、反応器をマイクロウェーブにより加熱する方法、前記希釈ガスとしての不活性ガスを加熱した上でフルオロメタン類と混合する方法等が挙げられる。
【0048】
原料ガスを上記反応に供する圧力(反応圧力)は、0〜0.6MPaGが好ましく、0〜0.3MPaGがより好ましい。圧力をかかる範囲内に設定することにより、フルオロメタン類の転化率、及びR−1132(E)の選択率の双方を向上させることができる。圧力の下限値は、例えば0.01MPaG、0.1MPaG等に設定することができる。
【0049】
原料ガスを上記反応に供する時間(滞留時間)は、フルオロメタン類の種類、反応温度、反応圧力等によって一概ではないが、0.2〜3秒が好ましく、0.5〜1秒がより好ましい。滞留時間を上記範囲の下限値以上にするとフルオロメタン類の熱分解が促進されてR−1132(E)が効率よく得られる。上記範囲の上限値以下にすることで副反応が抑制され且つフルオロメタン類の熱分解が促進されて生産性が良好となる。なお、R−1132(E)とR−1123との併産を目的として反応温度を850℃〜1050℃に設定した場合には、滞留時間は0.1〜0.5秒に設定することが好ましい。
【0050】
原料ガスを上記反応に供する反応器の形態は特に限定されるものではなく、上記反応温度及び反応圧力に耐え得る公知の反応器を広く使用できる。例えば、触媒を充填した管型の流通型反応器を用いることができる。触媒としては、例えば、Al
2O
3、CoO2などの金属酸化物触媒;Fe、Zn、Coなどの金属触媒;Pd/C、Pd/TiO2などの酸化物又はカーボン担体に金属粒子を担持した触媒が挙げられる。また、触媒の不存在下に反応を行う場合には、空塔の断熱反応器、原料ガスの混合状態を向上させるための多孔質又は非多孔質の金属又は媒体を充填した断熱反応器等を用いてもよい。それ以外にも、熱媒体を用いて除熱及び/又は反応器内の温度分布を均一化した多管型反応器等を用いることもできる。
【0051】
空塔の反応器を使用する場合、内径の小さい反応器を用いて伝熱効率を良くする方法では、例えば、原料ガスの流量と、反応器の内径の関係は、線速度が大きくかつ伝熱面積が大きくなるようにすることが好ましい。
【0052】
反応器としては、具体的には、ハステロイ(HASTALLOY)、インコネル(INCONEL)、モネル(MONEL)、インコロイ(INCOLLOY)、ステンレス系材質(SUS316等)等をはじめとする腐食作用に抵抗性がある材料によって構成されるものを用いることが好ましい。なお、前述の通り、上記反応器の中でもハステロイ(HASTALLOY)、インコネル(INCONEL)等の鉄含有量が10質量%以下の金属製反応容器を用いる場合には、従来法よりも反応器内壁へのコーキングの発生を抑制することもできる。
【0053】
実施形態3により得られたR−1132(E)を含む反応ガスは、適宜精製工程に供することによりR−1132(E)の純度を高めて取り出すことができる。精製方法については蒸留などの公知の精製方法が利用できる。
【0054】
(実施形態4)
実施形態4は、R−1132(E)を含む反応ガスの製造方法であって、
(1)クロロジフルオロメタン(R−22)、クロロフルオロメタン(R−31)、ジフルオロメタン(R−32)及びフルオロメタン(R−41)からなる群から選択される少なくとも一種のフルオロメタン類を含む原料ガスを熱分解を含む反応に供することにより、前記反応ガスを得る工程を有し、
(2)前記原料ガスは、前記フルオロメタン類の含有量が90〜100体積%である、
ことを特徴とする。
【0055】
原料ガスは、熱分解を含む反応により、目的化合物であるR−1132(E)を含む反応ガスを合成できる、クロロジフルオロメタン(R−22)、クロロフルオロメタン(R−31)、ジフルオロメタン(R−32)及びフルオロメタン(R−41)からなる群から選択される少なくとも一種のフルオロメタン類を含む原料ガスを用いる。これらのフルオロメタン類の中でも、副生物の分離が容易で、精留等の工程数を減らせることや副生物の生成を抑制する観点からR−32が特に好ましい。
【0056】
実施形態4において、原料ガス中のフルオロメタン類(R−22、R−31、R−32及びR−41からなる群から選択される少なくとも一種)の含有量は90〜100体積%である。原料ガス中の上記フルオロメタン類の含有量は、好ましくは95〜100体積%、より好ましくは99〜100体積%、更に好ましくは99.5〜100体積%、特に好ましくは99.9〜100体積である。原料ガス中の上記フルオロメタン類の含有量がこのような範囲内であれば、上記フルオロメタン類の転化率や、R−1132(E)の選択率を向上させることができ、反応ガス中のカーボンの選択率を抑制することができる。
【0057】
実施形態4において、原料ガスは、R−32の含有量が100体積%であることが特に好ましい。これにより、R−32の転化率及びR−1132(E)の選択率の双方を従来法よりも向上させることができ、且つ、反応ガス中のカーボンの選択率を抑制することができる。
【0058】
実施形態4では、原料ガスとして、窒素、アルゴン、ハイドロフルオロカーボン及び二酸化炭素からなる群から選択される少なくとも一種の不活性ガスの含有量が10体積%未満であるものを用いることが好ましい。つまり、実施形態4では、当該不活性ガスを希釈ガスとして用いることにより、フルオロメタン類を希釈して用いることが好ましい。上記ハイドロフルオロカーボンとしては、例えば、1,1,2,2−テトラフルオロエタン(R134)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(R134a)及びペンタフルオロエタン(R125)からなる群から選択される少なくとも一種が挙げられる。
【0059】
実施形態4では、原料ガス中の上記不活性ガスの含有量が好ましくは10体積%未満である。これにより、フルオロメタン類の転化率や、R−1132(E)の選択率を向上させることができ、反応ガス中のカーボンの選択率を抑制することができる。
【0060】
実施形態4では、原料ガス中の上記不活性ガスの含有量は、より好ましくは5体積%以下、より一層好ましくは1体積%以下、更に好ましくは0,5体積%以下、特に好ましくは0.1体積%以下である。原料ガス中の上記不活性ガスの含有量がこのような範囲内であれば、フルオロメタン類の転化率や、R−1132(E)の選択率をより向上させることができ、反応ガス中のカーボンの選択率をより抑制することができる。更に、原料ガス中の上記不活性ガスの含有量がこのような範囲内であれば、熱分解を含む反応後にR−1132(E)と上記不活性ガスとを分離が容易になるため設備の製造コストを下げることができる。実施形態4において、原料ガス中の上記不活性ガスの含有量は、0体積%であることが最も好ましい。
【0061】
実施形態4では、必要に応じて原料ガスを任意温度に予熱した後で供給してもよい。
【0062】
原料ガスを上記反応に供する温度(反応温度)は、750〜1050℃が好ましく、800〜900℃がより好ましい。反応温度をかかる範囲内に設定することにより、フルオロメタン類の転化率、及びR−1132(E)の選択率の双方を向上させることができる。なお、特に反応温度を800℃以上とすることにより、反応ガス中にR−1132(E)に加えてトリフルオロエチレン(R−1123)を含有し易くなる。この場合には、冷媒として有望なR−1132(E)とR−1123とを併産できる利点がある。このような併産を目的とする場合には反応温度を800〜900℃に設定することが好ましい。
【0063】
原料ガスを上記反応に供する際の加熱方法としては、公知の方法を使用できる。反応器(反応容器)を電気炉内で加熱する方法、電気ヒータ又は熱媒体が流通するジャケットで反応器を加熱する方法、反応器をマイクロウェーブにより加熱する方法、前記希釈ガスとしての不活性ガスを加熱した上でフルオロメタン類と混合する方法等が挙げられる。
【0064】
原料ガスを上記反応に供する圧力(反応圧力)は、0〜0.6MPaGが好ましく、0〜0.3MPaGがより好ましい。圧力をかかる範囲内に設定することにより、フルオロメタン類の転化率、及びR−1132(E)の選択率の双方を向上させることができる。圧力の下限値は、例えば0.01MPaG、0.1MPaG等に設定することができる。
【0065】
原料ガスを上記反応に供する時間(滞留時間)は、フルオロメタン類の種類、反応温度、反応圧力等によって一概ではないが、0.03〜5秒が好ましく、0.04〜4秒がより好ましい。滞留時間を上記範囲の下限値以上にするとフルオロメタン類の熱分解が促進されてR−1132(E)が効率よく得られる。上記範囲の上限値以下にすることで副反応が抑制され且つフルオロメタン類の熱分解が促進されて生産性が良好となる。なお、R−1132(E)とR−1123との併産を目的として反応温度を750℃〜1050℃に設定した場合には、滞留時間は0.04〜4秒に設定することが好ましい。
【0066】
原料ガスを上記反応に供する反応器の形態は特に限定されるものではなく、上記反応温度及び反応圧力に耐え得る公知の反応器を広く使用できる。例えば、触媒を充填した管型の流通型反応器を用いることができる。触媒としては、例えば、Al
2O
3、CoO2などの金属酸化物触媒;Fe、Zn、Coなどの金属触媒;Pd/C、Pd/TiO2などの酸化物又はカーボン担体に金属粒子を担持した触媒が挙げられる。また、触媒の不存在下に反応を行う場合には、空塔の断熱反応器、原料ガスの混合状態を向上させるための多孔質又は非多孔質の金属又は媒体を充填した断熱反応器等を用いてもよい。それ以外にも、熱媒体を用いて除熱及び/又は反応器内の温度分布を均一化した多管型反応器等を用いることもできる。
【0067】
空塔の反応器を使用する場合、内径の小さい反応器を用いて伝熱効率を良くする方法では、例えば、原料ガスの流量と、反応器の内径の関係は、線速度が大きくかつ伝熱面積が大きくなるようにすることが好ましい。
【0068】
反応器としては、具体的には、ハステロイ(HASTALLOY)、インコネル(INCONEL)、モネル(MONEL)、インコロイ(INCOLLOY)、ステンレス系材質(SUS316等)等をはじめとする腐食作用に抵抗性がある材料によって構成されるものを用いることが好ましい。なお、前述の通り、上記反応器の中でもハステロイ(HASTALLOY)、インコネル(INCONEL)等の鉄含有量が10質量%以下の金属製反応容器を用いる場合には、従来法よりも反応器内壁へのコーキングの発生を抑制することもできる。実施形態4では、鉄含有量が10質量%以下の金属製反応容器としてINCONELを使用することが特に好ましい。
【0069】
実施形態4により得られたR−1132(E)を含む反応ガスは、適宜精製工程に供することによりR−1132(E)の純度を高めて取り出すことができる。精製方法については蒸留などの公知の精製方法が利用できる。
【0070】
2.
組成物
本開示の組成物は、(E)−1,2−ジフルオロエチレン(R−1132(E))と、3,3,3−トリフルオロプロピン(TFP)、プロピン及び1,1,1,2−テトラフルオロエタン(R−134a)からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物と、を含む。
【0071】
本開示の組成物は、上記実施形態1〜4に記載の製造方法より得られたR−1132(E)と、TFP、プロピン及びR−134aからなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物と、を含むことが好ましい。
【0072】
本開示の組成物は、上記実施形態1〜4に記載の製造方法より得られたR−1132(E)と、TFP及びR−134aからなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物と、を含むことがより好ましい。
【0073】
本開示の組成物は、上記実施形態1〜4に記載の製造方法より得られたR−1132(E)と、TFPと、R−134aと、を含むことが特に好ましい。
【0074】
本開示の組成物において、TFPの含有量が当該組成物全量に対して1質量%以下であることが好ましい。
【0075】
本開示の組成物において、TFPの含有量が当該組成物全量に対して0.3質量%以下であり、R−134aの含有量が当該組成物全量に対して0.2質量%以下であることがより好ましい。
【0076】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示はこれらの例に何ら限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【実施例】
【0077】
以下、実施例に基づき、本開示の製造方法の実施形態1〜4をより具体的に説明する。但し、本開示の製造方法は実施例の範囲に限定されるものではない。
【0078】
以下の実施例1〜9において、各成分の組成はガスクロマトグラフィー(MS検出器)を用いて分析した。
【0079】
実施例1〜3(実施形態1:水蒸気含有量の反応成績への影響)
表1に示す反応条件にて、フルオロメタン類としてR−32のみを含む原料ガスを熱分解を含む反応に供することによりR−1132(E)を含む反応ガスを得た。実施例2の反応成績によれば、実施例1、3の反応成績に比してR−1132(E)の収率が高いことが分かる。
【0080】
【表1】
【0081】
実施例4及び5(実施形態2:反応器材質による反応成績のへの影響)
表2に示す反応条件にて、フルオロメタン類としてR−32のみを含む原料ガスを熱分解を含む反応に供することによりR−1132(E)を含む反応ガスを得た。実施例4の反応成績によれば、実施例5の反応成績に比してR−32の転化率及びR−1132(E)の収率が共に高いことが分かる。また、実施例4の反応成績によれば、実施例5の反応成績と比べて反応器内壁に付着したカーボン量が少ない点(コーキングが抑制されている点)及びCO
2が発生していないことがわかる。
【0082】
【表2】
【0083】
実施例6及び7(実施形態3:不活性ガス90体積%におけるR−32とR−31の違いにおける反応成績への影響)
表3に示す反応条件にて、フルオロメタン類(R−32、R−31)を含む原料ガスを熱分解を含む反応に供することによりR−1132(E)を含む反応ガスを得た。原料ガス中の不活性ガス(希釈ガス)の含有量を90体積%とした同じ条件下、フルオロメタン類としてR−32のみを含む原料ガスを用いた実施例6の反応成績によれば、フルオロメタン類としてR−31のみを含む原料ガスを用いた実施例7の反応成績よりもR−1132(E)の収率が高いことが分かる。原料ガスに含まれるフルオロメタン類としては、R−31よりもR−32の方が好ましいことが分かる。
【0084】
【表3】
【0085】
実施例6、8及び9(実施形態3:不活性ガス90体積%における反応温度の違いの反応成績への影響)
表4に示す反応条件にて、フルオロメタン類としてR−32のみを含む原料ガスを熱分解を含む反応に供することによりR−1132(E)を含む反応ガスを得た。実施例6は反応温度が850℃であり、実施例8及び実施例9はそれぞれ反応温度が950℃、1050℃である以外は同じ条件で比較をした。反応温度が高くなるにつれて、R−32の転化率及びR−1132(E)の収率が共に高くなることが分かる。また、反応温度が高くなるにつれて、R−1132(E)とともにトリフルオロエチレン(R−1123)の併産割合が高くなることが分かる。併産を目的とする場合には、反応温度を高目に設定することが有利であることが分かる。
【0086】
【表4】
【0087】
以下の実施例10〜17において、各成分の組成はガスクロマトグラフィー(FID検出器)を用いて分析した。
【0088】
実施例10〜17(実施形態4:原料ガス中のフルオロメタン類の含有量の反応成績への影響)
表5に示す反応条件にて、フルオロメタン類としてR−32のみを含む原料ガスを熱分解を含む反応に供することによりR−1132(E)を含む反応ガスを得た。なお、表5の「その他」とは、炭素数3〜6のフルオロカーボン等が挙げられる。炭素数3〜6のフルオロカーボンの一例としては、例えば1,1,2−トリフルオロ−1,3−ブタジエン、1,3,5−トリフルオロベンゼンが挙げられる。
【0089】
実施例12〜17の反応成績によれば、実施例11の反応成績に比してR−1132(E)の収率が高いことが分かる。更に、実施例13、17の反応成績と、実施例10との結果から、実施例10のR−1132(E)の収率と、実施例13、17のR−1132(E)の収率とは同程度であったが、実施例13、17では、実施例10と比べて反応ガス中のカーボン(C)の選択率が大きく低下することが示された。よって、反応ガス中のカーボンの選択率を低下させる効果及びR−1132(E)の収率を向上させる効果を得るためには、原料ガスを窒素で希釈しない(原料ガス中の窒素含有量=0体積%)ことが特に有利であることがわかった。以上の結果から、後工程での希釈ガスの分離コストを考慮すると、原料ガス中のR−32の含有量が90〜100体積%とすることが有利であり、原料ガス中のR−32の含有量が100体積%とすることが特に有利であることが確認できた。
【0090】
【表5】
【0091】
実施例18(冷媒としての特性の確認)
実施例18及び参考例1(R410A)に示される混合冷媒の地球温暖化係数(GWP:Global Warming Potential)は、IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)第4次報告書の値に基づいて評価した。
【0092】
これらの混合冷媒の成績係数(COP:Coefficient of Performance)は、Refprop 10.0(National Institute of Science and Technology(NIST)製)を使用し、以下の条件で混合冷媒の冷凍サイクル理論計算を実施することにより求めた。
蒸発温度 10℃
凝縮温度 45℃
過熱温度 5K
過冷却温度 5K
圧縮機効率 70%
【0093】
成績係数(COP)は、次式により求めた。
COP=(冷凍能力又は暖房能力)/消費電力量
【0094】
【表6】
【0095】
実施例18の混合冷媒はR410Aと同等のCOPを有し、GWPが十分に小さいという特性を有することを確認できた。