【実施例】
【0020】
検討1 高度不飽和脂肪酸含有油脂を含有する食品における、pHと風味の関係について
表1−1の配合により、高度不飽和脂肪酸含有油脂を含有する水中油型乳化物を調製した。調製法は「○水中油型乳化物の調製法」に従った。得られた水中油型乳化物を一定期間保管後、官能評価に供した。方法は、「○水中油型乳化物の評価法」に従った。結果を表1−2に示した。
【0021】
表1−1 配合
・高度不飽和脂肪酸含有油脂には、DHAとEPAを合計で62.5質量%含有する油脂を使用した。
・乳化剤1には、不二製油株式会社製の水溶性大豆多糖類「ソヤファイブ-SDA100」を使用した。
・ゲル化剤には、三栄源エフエフアイ社製のキサンタンガム「サンエース」を使用した。
【0022】
○水中油型乳化物の調製法
1.イオン交換水に3質量%のゲル化剤水溶液、5質量%の乳化剤水溶液、高度不飽和脂肪酸含有油脂を配合に従い、順次添加した。
2.TKホモミキサーにて8000rpm×5分 処理した。
3.配合に従い、pH調整した。この際、リン酸又は重曹を使用した。
4.高圧ホモゲザイザー2回(150+50bar)にて均質化した。
5.達温90℃にて殺菌した。
6.容器へ充填した。
7.5℃へ急冷した。
【0023】
○水中油型乳化物の評価法
1.「○水中油型乳化物の調製法」で得られた各サンプルを、5℃のインキュベーターで14日間保管した。
2.保管後のサンプルを、パネラー5名の合議にて、以下の基準で官能評価を行った。
4点 劣化臭を全く感じないもの。
3点 若干の臭いの変化はあるが、劣化臭とは感じられないもの。
2点 若干の劣化臭が感じられるもの。
1点 明確な劣化臭が感じられるもの。
【0024】
表1−2 結果
【0025】
考察
簡易的な評価であるが、結果に示した様に、pHが低いと、高度不飽和脂肪酸含有油脂に由来する劣化臭がより強く感じられることが示された。
なお、pHの違いによる物理的性状(外観やメディアン径など)の相違は、ほとんど無かった。
【0026】
検討2 高度不飽和脂肪酸含有油脂の抗酸化処理
表2−1の記載に従い、高度不飽和脂肪酸含有油脂の抗酸化処理をおこなった。処理法は「○高度不飽和脂肪酸含有油脂の抗酸化処理法」に従った。
【0027】
表2−1 配合
・カテキン製剤には太陽化学株式会社製「サンフェノン90S」を使用した。
・高度不飽和脂肪酸含有油脂にはDHAとEPAを合計48.5重量%含有する油脂を用いた。
・乳化剤には阪本薬品工業株式会社製ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル「CRS-75」を使用した。
【0028】
○高度不飽和脂肪酸含有油脂の抗酸化処理法
1.水相に分類されている成分、及び油相に分類されている成分をそれぞれ混合し、溶解した。
2.水相と油相を混合し、略乳化した。
3.2の乳化液を高圧ホモゲナイザー(37Mpa、20パス)にて乳化した。
【0029】
検討3 ヨーグルトの調製
表3−1の記載に従い、ヨーグルトを調製した。調製法は「○ヨーグルトの調製法」に従った。
得られたヨーグルトを、官能評価に供した。方法は「○ヨーグルトの官能評価法」に従った。結果を表3−2に示した。
【0030】
表3−1 配合
・高度不飽和脂肪酸含有油脂には、DHAとEPAを合計48.5質量%含有する油脂を使用した。
・ラウリン系油脂1には、不二製油株式会社製「精製ヤシ油」を使用した。
・非ラウリン系油脂1には、不二製油株式会社製のPMFである「パーメル26」を使用した。
・ラウリン系油脂2には、不二製油株式会社製「パーム核油」を使用した。
・ラウリン系油脂3には、不二製油株式会社製のパーム核油の硬化油である「ニューメラリン-38」(融点38℃)を使用した。
・乳化剤1には、太陽化学株式会社製「サンソフトA-181E」を使用した。本品はモノステアリン酸ペンタグリセリンであった。
・乳化剤2には、辻製油株式会社製のレシチン「SLP-ペースト」を使用した。
・牛乳、低脂肪乳、脱脂粉乳の無脂乳固形分はそれぞれ8.3質量%、10質量%、96.2質量%であった。
【0031】
○ヨーグルトの調製法
1.水相に分類されている成分、及び油相に分類されている成分をそれぞれ混合し、溶解した。
2.水相と油相を混合し、60℃に加温後略乳化した。
3.2の乳化液を高圧ホモゲナイザー(15Mpa)にて乳化した。
4.3の乳化液を70℃5分で殺菌を行った。
5.4の乳化液を45℃まで冷却し、スターターとして市販のヨーグルトを3.0%添加した。
6.5の乳化液を45℃でpH4.5になるまで発酵し、ヨーグルトを得た。
【0032】
○ヨーグルトの官能評価法
各ヨーグルトのサンプルを、10℃で14日ないし15日保管した。
実施例3-1の配合で得られたサンプルのうち、10℃ 2日目のサンプル(以下、コントロールと称した)を比較対象に、パネラー5名の合議にて、以下の評価基準で官能評価を行った。
なお、コントロールは絶対評価として、異臭は感じられず、好ましいものであった。
5点 コントロールに比べ、異臭がさらに強く、食すことができなかったもの。
4点 コントロールに比べ、異臭が強く感じられたもの。
3点 コントロールに比べわずかながら異臭が感じられたもの。
2点 コントロールに比べ、若干の相違はあるものの、差はわずかであり、許容できると判断されたもの。
1点 コントロールと同等であったもの。
14日目ないし15日目の評価で、1点もしくは2点であるものを合格と判断した。
【0033】
表3−2 結果
【0034】
考察
表3−2に示したように、DHAとEPAが合計で所定量以上含まれるヨーグルトにおいて、DHAとEPAの合計量に対する、ラウリン酸の量が所定の値となる様に、ラウリン酸を含む植物脂を配合することで、該ヨーグルトにおける経時的な異風味の発生を抑制できることが確認された。