特許第6874935号(P6874935)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6874935包装システムの滅菌プロセス、及び容器を滅菌するための装置と充填機械との間の境界開口部を閉鎖するための要素
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6874935
(24)【登録日】2021年4月26日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】包装システムの滅菌プロセス、及び容器を滅菌するための装置と充填機械との間の境界開口部を閉鎖するための要素
(51)【国際特許分類】
   B65B 55/02 20060101AFI20210510BHJP
   B65B 55/04 20060101ALI20210510BHJP
   B65B 55/10 20060101ALI20210510BHJP
   A61L 2/20 20060101ALI20210510BHJP
   A61L 101/22 20060101ALN20210510BHJP
【FI】
   B65B55/02 E
   B65B55/04 N
   B65B55/10 A
   A61L2/20 106
   A61L101:22
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-544162(P2018-544162)
(86)(22)【出願日】2017年3月16日
(65)【公表番号】特表2019-509944(P2019-509944A)
(43)【公表日】2019年4月11日
(86)【国際出願番号】EP2017056293
(87)【国際公開番号】WO2017158118
(87)【国際公開日】20170921
【審査請求日】2020年1月16日
(31)【優先権主張番号】102016000027985
(32)【優先日】2016年3月17日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】517421493
【氏名又は名称】アイ.エム.エー. インダストリア マシーン オートマチック エス.ピー.エー. イン シグラ アイエムエー エス.ピー.エー.
【氏名又は名称原語表記】I.M.A. INDUSTRIA MACCHINE AUTOMATICHE S.P.A IN SIGLA IMA S.P.A
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】メオーニ, エディ
【審査官】 矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−002433(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第0570946(EP,A1)
【文献】 特表2002−512156(JP,A)
【文献】 米国特許第5022165(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 53/00−55/24
A61L 2/00− 2/28
A61L 11/00−12/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(C)を滅菌するための滅菌装置(A)と充填機械(B)とによって構成された包装システムの滅菌プロセスであって、
容器(C)を滅菌するための前記滅菌装置(A)と前記充填機械(B)との間に定められた境界開口部(2)を閉鎖するようにドア(3)を配置するステップであって、各々がそれ自体で閉じた少なくとも2つの拡大可能なガスケット(4、5)が、前記ドア(3)と前記開口部(2)との間に介在し、前記ドア(3)又は前記開口部の境界縁部のどちらかから選択された構成要素の外周領域に結合されている、ステップと、
前記滅菌装置(A)の最も近くに位置する前記ガスケット(4)を、非作動状態、したがって最小空間占有状態で、前記ドア(3)から離し、前記滅菌装置(A)から最も遠くに位置する前記ガスケット(5)を、拡大状態、したがって最大空間占有状態で、前記ドア(3)に気密に当接させたままで、前記滅菌装置(A)を滅菌に供するステップと、
前記充填機械(B)の最も近くに位置する前記ガスケット(5)を、非作動状態、したがって最小空間占有状態で、前記ドア(3)から離し、前記充填機械(B)から最も遠くに位置する前記ガスケット(4)を、拡大状態、したがって最大空間占有状態で、前記ドア(3)に気密に当接させたままで、前記充填機械(B)を滅菌に供するステップと
を含む、滅菌プロセス。
【請求項2】
前記ガスケット(4、5)の前記拡大が、それらの独立した膨張によって得られることを特徴とする、請求項1に記載の滅菌プロセス。
【請求項3】
前記滅菌装置(A)から前記充填機械(B)への前記容器(C)の搬送路を中断する予備ステップであって、前記搬送路のうち前記滅菌装置(A)の内部で終端をなす部分と、前記搬送路のうち前記充填機械(B)の内部で始端をなす部分との間に配置された相互接続ブリッジ(6)を取り外すことを含む予備ステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の滅菌プロセス。
【請求項4】
容器(C)を滅菌するための滅菌装置(A)と充填機械(B)との間の境界開口部(2)を閉鎖するための要素において、
前記開口部(2)と並んだ閉鎖位置にある第1の構成と、前記開口部(2)とずれた開放位置にある第2の構成との間で移動することができるドア(3)と、
前記ドア(3)と前記開口部(2)の縁部との間に介在し、前記ドア(3)又は前記開口部の境界縁部のどちらかから選択された構成要素の外周領域に結合され、前記第1の構成において前記ドア(3)および前記開口部(2)の縁部と並置される、少なくとも2つの連続して閉じた外周ガスケット(4、5)であって、前記開口部(2)の境界を定めており、各ガスケット(4、5)が、独立して拡大可能であり、少なくとも1つの第1のガスケット(4、5)が拡大すると、拡大していない少なくとも1つの第2のガスケット(5、4)が、前記滅菌装置(A)又は前記充填機械(B)のどちらかの内部区画に連通され、したがって前記内部区画と同時にそれぞれの滅菌処置を受ける、外周ガスケット(4、5)と
を備えることを特徴とする、閉鎖要素。
【請求項5】
前記拡大可能なガスケット(4、5)は、対応する制御管理ユニットによって制御される対応する空気圧供給回路によって膨張させることができるタイプのものであることを特徴とする、請求項4に記載の閉鎖要素。
【請求項6】
前記ドア(3)は、前記開口部(2)に平行に摺動することができ、前記開口部(2)と並んだ閉鎖位置にある前記第1の構成において、前記ドア(3)の外周フレーム(8)は、前記開口部(2)の前記縁部(9)と位置合わせされて前記開口部(2)の前記縁部(9)に近接しており、前記拡大可能なガスケット(4、5)は、実質的に前記開口部(2)の外周に沿って、一方が他方の内側に配置され、前記ドア(3)の前記外周フレーム(8)と前記開口部(2)の前記縁部(9)との間に介在していることを特徴とする、請求項4に記載の閉鎖要素。
【請求項7】
前記開口部(2)の前記外周縁部(9)は、前記ガスケット(4、5)を収容するための対応するスロット(10)を備え、前記ガスケット(4、5)は、非作動構成において、したがって最小空間占有状態のとき、前記スロット(10)内に収容されており、拡大構成において、したがって最大空間占有状態のとき、前記スロット(10)から少なくとも部分的に突出して前記ドア(3)の前記外周フレーム(8)に気密に当接していることを特徴とする、請求項6に記載の閉鎖要素。
【請求項8】
前記ドア(3)は、前記開口部(2)に対して揺動することができ、前記開口部(2)と並んだ閉鎖位置にある前記第1の構成において、前記開口部(2)の内側に実質的に止まり嵌めで入るように構成されており、前記ドア(3)の外周輪郭部は、前記開口部(2)の前記縁部と位置合わせされて前記開口部(2)の前記縁部に近接しており、前記拡大可能なガスケット(4、5)は、実質的に前記開口部(2)の内壁に沿って横ならびに配置され、前記ドア(3)の前記外周輪郭部と前記開口部(2)の内壁との間に介在していることを特徴とする、請求項4に記載の閉鎖要素。
【請求項9】
前記開口部(2)の前記内壁は、前記ガスケット(4、5)を収容するための対応する凹部を備え、前記ガスケット(4、5)は、非作動構成において、したがって最小空間占有状態のとき、前記凹部内に収容されており、拡大構成において、したがって最大空間占有状態のとき、前記凹部から少なくとも部分的に突出して、前記ドア(3)の前記外周輪郭部に気密に当接していることを特徴とする、請求項8に記載の閉鎖要素。
【請求項10】
前記滅菌装置(A)から前記充填機械(B)への前記容器(C)の搬送路に沿って配置された相互接続ブリッジ(6)を備え、前記ブリッジ(6)は、前記搬送路のうち前記滅菌装置(A)の内部で終端をなす部分及び前記搬送路のうち前記充填機械(B)の内部で始端をなす部分に位置合わせされて輸送中の前記容器(C)のための案内通路を構成する作動配置と、前記滅菌装置(A)の前記部分及び前記充填機械(B)の前記部分と実質的にずれて前記搬送路を中断する配置との間で移動可能であることを特徴とする、請求項4〜9のいずれか一項に記載の閉鎖要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装システムの滅菌プロセス、及び容器を滅菌するための装置と充填機械との間の境界開口部を閉鎖するための要素に関する。
【背景技術】
【0002】
幾つかの工業分野において(特に薬学分野であるが、場合によっては食品工業、化粧品工業等において)、容器を滅菌し、その後で(エンドユーザ用の当該)製品を充填することが必要である。
【0003】
容器をあらかじめ滅菌する目的は、該容器に充填される製品を決して汚染しないようにすることの必要性に関連づけられる。
【0004】
この理由で、滅菌ステップが存在し、そこで滅菌装置全体(特に容器が搬送されるその内部チャンバ)及び充填機械(この場合もやはり容器又は製品が搬送される領域だけに集中した)の滅菌が行われる。滅菌装置と充填機械との組合せが包装システムを構成する。
【0005】
通常、滅菌装置においては、汚染を排除するために容器搬送用のチャンバの内部で高温を発生させる。
【0006】
特に、該装置は、容器の入口ステーション(これは必ずしも滅菌に供される必要はない)と、滅菌ステーション(この中で容器は高温に供される)と、冷却ステーション(この中で容器はその後の充填に適した温度に戻される)とを備える。
【0007】
滅菌装置を稼働させる前の予備ステップにおいて、冷却ステーションを、その内部の容器が決して汚染されないようにすることを保証するために高温に供することも必要とされる。
【0008】
冷却ステーション内で必要な滅菌温度が発生されるようにするために、かかるステーションから容器が出てくる開口部(これは下流に配置された充填機械への入口に接続される開口部である)は、適合された閉鎖ドアを用いて閉鎖される。
【0009】
同様に、充填機械を、その内部に存在するすべての潜在的な汚染残留物を排除し及び/又は不活性化させるべく、予備滅菌処理に供することもまた必要である。
【0010】
特に、これらの滅菌操作を実行するために、機械の内部に拡散するVHP(過酸化水素蒸気)の使用が知られている。
【0011】
滅菌蒸気が漏れること及び上流に配置された滅菌装置の冷却ステーションに(接続開口部を通って)進入することを防止するために、滅菌装置を閉鎖するためのドアは、充填機械の内部容積を(過酸化水素蒸気が循環できる容積の境界を定めることによって)隔離することもまた可能にする。
【0012】
これらの操作によって、包装ライン全体の厳密な滅菌を実行することが可能であることは、明らかである。
【0013】
しかしながら現実には、滅菌に供されない領域が1つある。すなわち閉鎖ドアがその上に重ね合わされる開口部縁部である。
【0014】
ドアは、実際、滅菌装置と充填機械との一時的な相互隔離を保証するために、上記開口部縁部と並置される、特定のガスケットが介在する表面によって特徴づけられる。
【0015】
したがって、滅菌操作は、ドアのガスケットの上流及び下流では有効であるが、開口部の、ガスケットと並置される部分は滅菌を受けないことになるので、なんらかの汚染物質を含み得ることが明白である。
【発明の概要】
【0016】
本発明の目標は、容器の搬送路に面したすべての部分及び構成要素に拡張された、包装システムの滅菌プロセスを提供することによって、上記欠点を解消することにある。
【0017】
この目標の範囲内で、本発明の目的は、容器を滅菌するための装置と充填機械との間の境界開口部を閉鎖するための要素であって、該装置及び該機械のあらゆる部分、特に開口部の境界を定める縁部の全表面を滅菌操作に供することを可能にする要素を提供することである。
【0018】
本発明の別の目的は、容器を滅菌するための装置と充填機械との間の境界開口部を閉鎖するための要素であって、該装置及び該機械の顕著な滅菌操作の実行を在来方式で可能にする要素を提供することである。
【0019】
本発明の別の目的は、容器を滅菌するための装置と充填機械との間の境界開口部を閉鎖するための要素であって、形状、技術的構造及び操作が従来の包装システムのものとは実質的に異なる要素を提供することである。
【0020】
本発明の別の目的は、容器を滅菌するための装置と充填機械との間の境界開口部を閉鎖するための要素であって、低コストであり、容易にかつ実用的に実装され、安全に使用される要素を提供することである。
【0021】
この目標、ならびにこれらの目的及びこの後で明らかになるその他の目的は、容器を滅菌するための装置と充填機械とによって構成される包装システムの滅菌プロセスによって達成され、この滅菌プロセスは、
容器を滅菌するための装置と充填機械との間に定められた境界開口部を閉鎖するようにドアを配置するステップであって、各々がそれ自体で閉じた少なくとも2つの拡大可能なガスケットが、ドアと開口部との間に介在し、ドア、又は開口部の境界縁部のどちらかから選択された構成要素の外周領域に結合される、ステップと、
該装置の最も近くに位置するガスケットを、非作動状態(inactive)、したがって最小空間占有状態で、ドアから離し、該装置から最も遠くに位置するガスケットを、拡大状態、したがって最大空間占有状態で、ドアに気密に当接させたままで、滅菌装置を滅菌に供するステップと、
該機械の最も近くに位置するガスケットを、非作動状態、したがって最小空間占有状態で、ドアから離し、機械から最も遠くに位置する前記ガスケットを、拡大状態、したがって最大空間占有状態で、ドアに気密に当接させたままで、充填機械を滅菌に供するステップと
を含む。
【0022】
かかる目標及びかかる目的はまた、容器を滅菌するための装置と充填機械との間の境界開口部を閉鎖するための要素において、開口部と並んだ閉鎖位置(juxtaposition and closure)にある第1の構成と、開口部とずれた開放位置(misalignment and opening)にある第2の構成との間で移動することができるドアと、ドアと開口部の縁部との間に介在し、ドア又は開口部の境界縁部のどちらかから選択された構成要素の外周領域に結合され、第1の構成においてドアおよび開口部の縁部と並置される、少なくとも2つの連続して閉じた外周ガスケットであって、開口部の境界を定め、各ガスケットが、独立して拡大可能であり、少なくとも1つの第1のガスケットが拡大すると、拡大されていない少なくとも1つの第2のガスケットが、滅菌装置又は充填機械のどちらかの内部区画に連通され、したがって該区画と同時にそれぞれの滅菌処置を受ける、外周ガスケットとを備えることを特徴とする、閉鎖要素によって達成される。
【0023】
本発明のさらなる特徴及び利点は、添付の図面において非限定的な例として示される、本発明による包装システムの滅菌方法及び容器を滅菌するための装置と充填機械との間の境界開口部を閉鎖するための要素の好ましいが非排他的な実施形態の以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】滅菌装置と充填機械の間に定められた接続領域の横面に沿った側断面図であり、これは本発明による閉鎖要素がその上に重ね合わされる境界開口部を備える。
図2】滅菌装置と充填機械との間の滅菌された容器の流れの横面に沿った模式的な側断面図である。
図3】滅菌装置と充填機械との間の滅菌された容器の流れを中断するステップの横面に沿った模式的な側断面図である。
図4】滅菌装置と充填機械との間の容器の搬送路を中断するステップの横面に沿った模式的な側断面図である。
図5】滅菌装置と充填機械との間の開口部を滅菌装置の滅菌を行うために閉鎖するステップの横面に沿った模式的な側断面図である。
図6】滅菌装置と充填機械との間の開口部を充填機械の滅菌を行うために閉鎖するステップの横面に沿った模式的な側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図面を参照すると、容器Cを滅菌するための装置Aと充填機械Bとの間の境界開口部2を閉鎖するための要素は、全般的に符号1で示され、滅菌装置A及び充填機械Bは、包装システムを構成する。
【0026】
本発明によれば、革新的な包装システムの滅菌プロセスは、容器Cが通過し得るプラントのすべての部分の最適な滅菌を保証することを意図した一連の連続的なステップを(容器が包装ステップの間に汚染剤に曝されることを防ぐ目的で)伴う。
【0027】
最初に、ドア3を、滅菌装置Aと充填機械Bとの間に定められた境界開口部2を閉鎖するように配置することが必要とされる。
【0028】
各々がそれ自体で閉じた少なくとも2つの拡大可能なガスケット4及び5が、ドア3と開口部2との間に介在し、ドア3又は開口部の境界縁部のいずれかから選択された構成要素の外周領域に結合される。
【0029】
次いで、装置Aの最も近くに位置するガスケット4を、非作動状態、したがって最小空間占有状態で、ドア3から離したままで、滅菌装置Aを滅菌に供することが必要とされる。このステップにおいて、ガスケット5、すなわち装置Aから最も遠いガスケットが代わりに拡大し、したがって最大空間占有状態になり、かかる状態は、(拡大した)ガスケット5のドア3に対する当接を決定し、相互気密篏合を定めるようになっている。
【0030】
装置Aの滅菌のこのステップ中に、装置Aの内部温度を、極めて高レベル(少なくとも100℃より高温、しばしばさらに高温)に上昇させる。装置A内部の高温空気は、その内部の全容積内を自由に循環することができ、ドア3の、非作動ガスケット4に面してこれに近接する表面にも衝突することができる。
【0031】
このようにして、装置Aの滅菌の間に、非作動ガスケット4の滅菌、ならびにガスケット5(これは本来の装置Aの気密閉鎖を保証する)の上流に配置されたドア3及び開口部2の部分の滅菌も行われる。
【0032】
次に、機械Bの最も近くに位置するガスケット5を、非作動状態、したがって最小空間占有状態で、ドア3から離し、機械Bから最も遠くに位置するガスケット4を、拡大状態、したがって最大空間占有状態で、ドアに気密に当接させたままで、充填機械Bを滅菌に供することが必要になる。
【0033】
機械Bの滅菌のこのステップ中に、VHP(過酸化水素蒸気)を機械Bの内部に拡散させる。機械Bの内部に存在するこのような蒸気は、その内部の全容積内を自由に循環することができ、ドア3の、非作動ガスケット5に面してこれに近接する表面にも衝突することができる。
【0034】
このようにして、機械Bの滅菌の間に、非作動ガスケット5の滅菌、ならびにガスケット4(これは本来の装置Aの気密閉鎖を保証する)の上流に配置されたドア3及び開口部2の部分の滅菌も行われる。
【0035】
装置Aの滅菌のステップから機械Bの滅菌のステップへの移行中に、ガスケット4及び5が両方とも拡大構成になる中間ステップが存在する。
【0036】
ガスケット4及び5の両方が最小空間占有状態に対応する非作動構成に戻ることができるのは、滅菌ステップが両方とも終了した時点のみであり、この時点で開口部2を再度開放するためにドア3を外すことも可能である。
【0037】
本発明によるプロセスの実行の特定の形態によれば、ガスケット4及び5の拡大は、明確に、それらの独立した膨張によって得ることができる。かかる場合には、制御管理ユニットによって制御される電磁弁(又はそれと等価な他の構成要素)によって制御されるそれぞれの空気圧供給回路を有することが必要とされる。
【0038】
容器Cを滅菌するための装置Aと、機械Bとは、分離した装置であり、容器Cのための搬送路は、したがって必然的に装置Aと機械Bの間で不連続点を有することに留意されたい。
【0039】
装置Aから機械Bへの容器Cの容易な搬送を可能にするために、装置A上及び機械B上にそれぞれ定められた搬送路の不連続な領域に並置することができるガイドブリッジ6が存在する。
【0040】
装置A及び機械Bの滅菌を行う必要があるとき、容器Cの搬送路を中断する予備ステップを有することが必要とされ、この予備ステップは、ガイドブリッジ6(搬送路のうち装置Aの内部で終端をなす部分と、搬送路のうち機械Bの内部で始端をなす部分との間に相互接続を形成するように設計される)を取り外すことを含む。
【0041】
本発明によるプロセスを、本出願に添付した図2から図6に簡単に示す。
【0042】
図2は、包装システムの動作の標準ステップを示し、容器Cは、装置A内で滅菌に供された後、(ガイドブリッジ6に沿って摺動することによって)開口部2を通過し、充填機械Bに到達し、その内部で該容器に特定の製品(例えば薬品)が充填される。
【0043】
図3は、例えば保守操作のためのシステムへの介入の必要性の結果としての、容器Cの流れの中断を示す。
【0044】
容器Cは、装置Aの内部の能動的なコンベヤを離れると、もはやそれ自体ではステーションBに向かって前進することはできない(ガイドブリッジ6はいかなる駆動機構も備えていない)ことを強調しておくことは有用である。
【0045】
したがって、容器Cをガイドブリッジ6に沿って機械Bへ移動させるプッシャ7が知られている。
【0046】
ひとたびすべての容器Cが処理されると、包装システムの動作を中断することが可能になり、このことはまた、搬送路(装置Aの内部の部分及び機械Bの内部の部分の両方)の動きの中断にも対応し得る。
【0047】
図4において、この時点に達すると、ガイドブリッジ6を移動させることにより、搬送路内(装置Aの内部の部分と機械Bの内部の部分との間)に不連続性を生じさせることが可能になることがわかる。
【0048】
図5は、装置Aを滅菌するステップを示す。
【0049】
最初に、ドア3は、この構成においては開口部2を閉鎖していることに留意されたい。ガスケット4(最も外側、装置Aに最も近い)は非作動状態(最小空間占有状態にあり、ドア3から離れている)にある一方、ガスケット5(最も内側、装置Aから最も遠い)は拡大している(最大空間占有状態にあり、ドア3に気密に当接している)ことがわかる。
【0050】
したがって、装置Aの滅菌中にその内部にある高温空気は、ドア3の輪郭部から、機械Bの方に向けられたその表面に沿って流れて、非作動ガスケット4、及び拡大ガスケット5の外面、ならびにガスケット4と5との間で境界を定められたドア3及び開口部2の縁部の部分に衝突することができる。
【0051】
ひとたび装置Aの滅菌が完了すると、ガスケット4の拡大が開始される。
【0052】
図6は、機械Bの滅菌のステップを示し、ガスケット5(最も内側、機械Bに最も近い)は非作動状態(最小空間占有状態にあり、ドア3から離れている)にある一方、ガスケット4(最も外側、機械Bから最も遠い)は拡大している(最大空間占有状態にあり、ドア3に気密に当接している)。
【0053】
したがって、機械Bの滅菌中にその内部にある過酸化水素蒸気もまた、ドア3の輪郭部から、装置Aの方に向けられたその表面に沿って流れて、非作動ガスケット5、及び拡大ガスケット4の外面、ならびにガスケット4と5との間で境界を定められたドア3及び開口部2の縁部の部分に衝突することができる。
【0054】
このようにして、本発明による滅菌のプロセスは、包装システムのあらゆる部分上、特にドア3上、及びそれに近接した開口部2の部分上(ならびにガスケット4及び5上)の汚染のリスクを排除することを可能にすることが示された。
【0055】
本発明はまた、滅菌操作を最適化することを可能にする、容器Cを滅菌するための装置Aと充填機械Bとの間の境界開口部2を閉鎖するための革新的な要素1に関する。
【0056】
本発明による要素1は、ドア3を備え、これは、開口部2と並んだ閉鎖位置にある第1の構成(例として添付の図1図5及び図6で見ることができる)と、開口部2とずれた開放位置にある第2の構成(例として添付の図2図3及び図4で見ることができる)との間で移動することができる。
【0057】
第1の構成(例として添付の図1図5及び図6で見ることができる)において互いに並置されるドア3と開口部2の縁部との間に、連続して閉じた少なくとも2つの外周ガスケット4及び5が介在する。
【0058】
ガスケット4及び5は、開口部2の境界を定め、各ガスケット4及び5は、独立して拡大可能である。
【0059】
少なくとも1つの第1のガスケット4又は5が拡大すると、拡大していない少なくとも1つの第2のガスケット5又は4は、滅菌装置A又は充填機械Bのどちらかの内部区画に都合よく連通され、したがってかかる区画と同時にそれぞれの滅菌処置を受けることになる。
【0060】
拡大可能なガスケット4及び5は膨張可能であり、それぞれの膨張は、対応する制御管理ユニット(添付の図面には示されていない)によって制御される対応する空気圧供給回路によって行われることを指摘することは有用である。
【0061】
疑う余地なく応用的に興味深い特定の実施形態によれば、ドア3は、明確に、開口部2に対して平行に摺動可能とすることができ、かかる実施形態は、例として添付の図面において示したものである。
【0062】
開口部2と並んだ閉鎖位置にある第1の構成において、ドア3の外周フレーム8は、開口部2の縁部9に位置合わせされてこれに近接する。
【0063】
拡大可能なガスケット4及び5は、一方が他方の内側にあり(本来の開口部2の幾何学的形状構造に対して実質的に相補的な幾何学的形状構造を有する)、ガスケット4及び5は、開口部2の外周に実質的に沿って配置され、ドア3の外周フレーム8と開口部2の縁部9との間に介在する。
【0064】
上記で定めた実施形態において、開口部2の縁部9は、ガスケット4及び5を収容するためのそれぞれのスロット10を備えることにさらに留意されたい。
【0065】
ガスケット4及び5は、非作動構成、したがって最小空間占有状態のとき、スロット10内に都合よく収まることができ、他方、ガスケット4及び5は、拡大構成、したがって最大空間占有状態のとき、スロットから少なくとも部分的に突出し、したがってドア3の外周フレーム8に気密に当接する。
【0066】
実装に関して等しく有利な代替的な実施形態によれば、ドア3は、開口部2に対して揺動することができ、その内側に実質的に止まり嵌め(snug fit)で入るように構成される。
【0067】
この場合、ドア3は、開口部2に対して、開口部2と並んだ閉鎖位置にある第1の構成を定め、そのときドア3の外周輪郭部は、有効に開口部2の縁部に位置合わせされてこれに近接する。
【0068】
この実施形態において、拡大可能なガスケット4及び5は、開口部2の内壁に実質的に沿って横ならびに配置され、ドア3の外周輪郭部と開口部2の内壁との間に介在する。
【0069】
かかる実施形態を特に参照すると、開口部2の内壁は、ガスケット4及び5を収容するためのそれぞれの凹部を備える。
【0070】
かかる場合のガスケット4及び5は、非作動構成において、したがって最小空間占有状態のとき、凹部内に収容され、一方、拡大構成において、したがって最大空間占有状態のとき、凹部から少なくとも部分的に突出して、ドア3の外周輪郭部に気密に当接する。
【0071】
包装システムの最適な動作を可能にする実施形態を具体的に参照すると、装置Aと機械Bとの間の容器Cの搬送路の連続性を定めると同時に、かかる連続性を簡単かつ迅速に中断することを可能にすることによって、閉鎖要素1は、滅菌装置Aから充填機械Bへの容器Cの搬送路に沿って配置された相互接続ブリッジ6によって制御される。
【0072】
ブリッジ6は、搬送路のうち装置Aの内部で終端をなす部分及び搬送路のうち機械Bの内部で始端をなす部分に位置合わせされた作動配置との間で移動することができる。
【0073】
ブリッジ6は、輸送中の容器Cのための案内通路を構成し、また、(例えば図1図5及び図6に示すように)装置A及び機械Bのかかる部分と実質的にずれているとき、搬送路を中断する配置を定める。
【0074】
有利には、本発明の目標は、容器Cの搬送路に面したすべての部分及び構成要素に拡大された、包装システム(滅菌装置Aと充填機械Bとによって構成される)の滅菌プロセスを提供することによって、上述欠点を解消することである。
【0075】
これまで示したように、本発明によるプロセスを採用することによって、包装システムのすべての部分が滅菌に供される。
【0076】
明確に、本発明はまた、容器Cを滅菌するための装置Aと充填機械Bとの間の境界開口部2を閉鎖するための要素1であって、装置A及び機械Bのあらゆる部分、特に開口部2の境界を定める縁部9の全表面を滅菌操作に供することを可能にする要素に関連する。
【0077】
好都合に、本発明による閉鎖要素1は、装置A及び機械Bの顕著な滅菌操作の実行を在来方式で可能にするものであり、すなわち装置Aと機械Bとの間の境界領域の適正な滅菌も保証するために、さらなるステップを実行することも、外部機械を採用することも必要としない。滅菌の完全さを保証するには、拡大可能なガスケット4及び5を使用して、装置A及び機械Bの滅菌中にこれらを独立して拡大させる可能性を利用することで、実際に十分である。
【0078】
明確に、開口部2を閉鎖するための要素1は、従来の包装システムのものとは実質的に異なる形状、技術的構造及び動作を有し、したがってそれらと比べて新規かつ革新的である。
【0079】
好都合に、本発明による滅菌プロセス及び本発明による閉鎖要素1は、比較的単純に、実質的に低コストで実装することができ、かかる特徴は、説明した技術的ソリューションの実際の適用を容易かつ安全なものにする。
【0080】
このようにして考案された本発明は、多くの修正及び変更を受け入れる余地があり、それらのすべてが添付の特許請求の範囲内である。さらに、すべての細部は、他の技術的に均等な要素で置き換えることができる。
【0081】
例証した実施形態において、特定の例に関連して示した個々の特徴は、実際には、他の実施形態において存在する他の異なる特徴と交換することができる。
【0082】
実際には、使用される材料、ならびに寸法は、要件及び技術水準に応じて、任意のものとすることができる。
【0083】
本出願が優先権を主張する伊国特許出願番号第102016000027985号(UA2016A001756)の開示は、引用により本明細書に組み入れられる。
【0084】
いずれかの請求項において言及される技術的特徴の後に符号が付されている場合、これらの符号は、請求項の理解度を高めることのみを目的として組み入れられたものであり、従って、かかる符号は、かかる符号によって例示目的で識別された各要素の解釈に対するいかなる限定効果も有さない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6