(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6874946
(24)【登録日】2021年4月26日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】岸壁クレーン
(51)【国際特許分類】
B66C 13/38 20060101AFI20210510BHJP
B66C 13/48 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
B66C13/38
B66C13/48 A
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-152523(P2019-152523)
(22)【出願日】2019年8月23日
(62)【分割の表示】特願2015-193084(P2015-193084)の分割
【原出願日】2015年9月30日
(65)【公開番号】特開2019-196274(P2019-196274A)
(43)【公開日】2019年11月14日
【審査請求日】2019年8月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】518126144
【氏名又は名称】株式会社三井E&Sマシナリー
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】林 優
(72)【発明者】
【氏名】海老原 賢治
(72)【発明者】
【氏名】高原 超士
【審査官】
加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−205531(JP,A)
【文献】
特開2000−313528(JP,A)
【文献】
特開2002−234618(JP,A)
【文献】
特公昭48−031222(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/22− 13/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
4つのドラムと、各々の前記ドラムをそれぞれ回転させる4つのモータとを備え、4つの前記ドラムが回転することによって、桁の上を横行するトロリの横行動作、及び前記トロリから吊り下げられた吊具の巻き上げ動作を実行する岸壁クレーンにおいて、
4つの前記モータを制御する制御装置を備えていて、
前記制御装置が、少なくとも前記吊具の巻き上げ動作および前記トロリの横行動作を運転者の操作なしに自動的に実行する半自動運転モードを実行する構成を有するとともに、前記巻き上げ動作の際に前記吊具の巻き上げ速度が加速されてその後定速に維持されてその後減速される制御を行なう構成を有していて、前記吊具の巻き上げ速度が減少している期間内に前記トロリの横行が開始するように、4つの前記モータを制御する構成を備えることを特徴とする岸壁クレーン。
【請求項2】
前記巻き上げ動作を行なっている際に前記吊具の巻き上げ速度の減速が開始される巻き上げ速度減速開始時より後に、前記トロリの前記横行動作が開始される横行開始時が設定される状態に、4つの前記モータを制御する構成を前記制御装置が有する請求項1に記載の岸壁クレーン。
【請求項3】
4つのドラムと、各々の前記ドラムをそれぞれ回転させる4つのモータとを備え、4つの前記ドラムが回転することによって、桁の上を横行するトロリの横行動作、及び前記トロリから吊り下げられた吊具の巻き上げ動作を実行する岸壁クレーンにおいて、
4つの前記モータを制御する制御装置を備えていて、
前記制御装置が、少なくとも前記吊具の巻き上げ動作および前記トロリの横行動作を運転者の操作なしに自動的に実行する半自動運転モードを実行する構成を有するとともに、前記吊具の巻き上げ時における前記吊具の巻き上げ速度が減少している期間内に前記トロリの横行が開始するように、4つの前記モータを制御する構成を備えていて、
前記制御装置が、前記吊具の巻き上げ速度が減少している期間内であるか否かを判定する判定部と、前記吊具の巻き上げ速度が減少している期間内であると前記判定部が判定した場合に前記トロリの横行が開始するように4つの前記モータを制御する制御部とを備えることを特徴とする岸壁クレーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は岸壁クレーンに関し、詳しくは4つのドラムを有する岸壁クレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バラ物積み付けヤード、コンテナターミナル等において、岸壁クレーンが使用されている(例えば特許文献1参照)。この岸壁クレーンは、個別に駆動する4つのドラムと、各々のドラムをそれぞれ駆動する4つのモータとを備えている。また、この岸壁クレーンは、4つのドラムのそれぞれから繰り出される、及び巻き上げられるワイヤと、ワイヤにより桁の上を横行するトロリと、トロリから昇降可能に吊り下げられた吊具とを備えている。また、この岸壁クレーンは、4つのドラムが回転することによって、トロリの横行動作及び吊具の巻き上げ動作を実行している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本国特開2014−189389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の岸壁クレーンにおいて、荷役サイクルを短縮するために、吊具の巻き上げ動作とトロリの横行動作とを同時に行うことを試みた場合、吊具の巻き上げ動作の際の加速、或いは定速運転時に、トロリの横行が開始する可能性がある。この場合、吊具の巻き上げ動作の際の加速、或いは定速運転時に要求される4つのモータの容量(kW)と、トロリの横行開始時に要求される4つのモータの容量とを合計した容量が全体として必要となる。このように、上述した岸壁クレーンでは、吊具の巻き上げ動作とトロリの横行動作とを同時に行うためには大きな容量のモータを備える必要があった。
【0005】
本発明は、上記のことを鑑みてなされたものであり、その目的は、モータの容量の小型化を図りつつ、吊具の巻き上げ動作とトロリの横行動作とを同時に行うことができ、荷役サイクルを短縮することができる岸壁クレーンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本発明に係る岸壁クレーンは、4つのドラムと、各々の前記ドラムをそれぞれ回転させる4つのモータとを備え、4つの前記ドラムが回転することによって、桁の上を横行するトロリの横行動作、及び前記トロリから吊り下げられた吊具の巻き上げ動作を実行する岸壁クレーンにおいて、4つの前記モータを制御する制御装置を備えていて、前記制御装置が、少なくとも前記吊具の巻き上げ動作および前記トロリの横行動作を運転者の操作なしに自動的に実行する半自動運転モードを実行する構成を有するとともに、
前記巻き上げ動作の際に前記吊具の巻き上げ速度が加速されてその後定速に維持されてその後減速される制御を行なう構成を有していて、前記吊具の巻き上げ速度が減少している期間内に前記トロリの横行が開始するように、4つの前記モータを制御する構成を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、トロリの横行開始を、吊具の巻き上げ減速期間内、すなわち、要求されるモータの容量が小さくて済む時期に行うことができる。これにより、モータの容量の小型化を図りつつ、吊具の巻き上げ動作とトロリの横行動作とを同時に行うことができ、荷役サイクルを短縮することができる。
【0008】
上記構成において、前記制御装置は、前記吊具の巻き上げ時における前記吊具の巻き上げ速度が減少することを開始する時点である巻き上げ減速開始時と、前記トロリの横行が開始する時点である横行開始時とが一致するように、4つの前記モータを制御する構成とすることができる。
【0009】
この構成によれば、モータの容量の小型化を図りつつ、荷役サイクルをより効果的に短縮することができる。
【0010】
上記構成において、前記制御装置は、前記吊具の巻き上げ時における4つの前記モータに関連する指標に基づいて、前記巻き上げ減速開始時になったか否かを判定する巻き上げ減速開始時判定部と、前記巻き上げ減速開始時判定部が前記巻き上げ減速開始時になったと判定した場合に、前記トロリの横行が開始するように4つの前記モータを制御する制御部と、を有する構成とすることができる。
【0011】
この構成によれば、吊具の巻き上げ減速開始時とトロリの横行開始時とを一致させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、モータの容量の小型化を図りつつ、吊具の巻き上げ動作とトロリの横行動作とを同時に行うことができ、荷役サイクルを短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態に係る岸壁クレーンを示す側面図である。
【
図2】
図1に示すトロリと吊具を駆動させる機構を示す斜視図である。
【
図3】実施形態に係る岸壁クレーンが運搬物を荷役する際における時間とワイヤの速度との関係の一例を示すサイクルタイム線図である。
【
図4】半自動運転モードの実行時において実施形態に係る制御装置が実行する制御処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る岸壁クレーン1について、図面を参照しながら説明する。なお、図面に関しては、構成が分かり易いように実際の製品から寸法を変化させており、各部材、各部品の板厚や幅や長さなどの比率も必ずしも実際の製品の比率と一致しているとは限らない。
【0015】
図1に示す本実施形態に係る岸壁クレーン1は、アンローダ、具体的にはロープトロリ式アンローダである。なお
図1において左側が海側であり、右側が陸側である。岸壁クレーン1は、岸壁に沿って岸壁クレーン1を走行可能にする走行装置2を有する脚構造物3と、脚構造物3に支持されたガーダ4と、ガーダ4の海側の端部に起伏可能に接続されたブーム5とを備えている。以下、ガーダ4とブーム5を合わせて桁6と称する。
【0016】
また、岸壁クレーン1は、桁6の上を陸側または海側に横行するトロリ7と、トロリ7から昇降可能に吊り下げられた吊具8とを備えている。吊具8の具体的な種類は特に限定されるものではないが、本実施形態においては一例として、クラブバケットを用いる。
【0017】
図2に示すように、岸壁クレーン1は、機械室10に、後述するモータにより個別に駆動される4つのドラムを備えている。この4つのドラムは、海側に配置された一対の海側ドラム、具体的には支持用ドラムD2及び開閉用ドラムD4を備えるとともに、陸側に配置された一対の陸側ドラム、具体的には支持用ドラムD1及び開閉用ドラムD3を備えている。
【0018】
また、岸壁クレーン1は、機械室10に、各々のドラムをそれぞれ回転させる4つのモータとして、モータM1、モータM2、モータM3及びモータM4を備えている。モータM1は支持用ドラムD1を回転させるためのモータであり、モータM2は支持用ドラムD2を回転させるためのモータである。またモータM3は開閉用ドラムD3を回転させるためのモータであり、モータM4は開閉用ドラムD4を回転させるためのモータである。なお、モータM1,M2,M3,M4の動作は後述する制御装置11が制御する。
【0019】
支持用ドラムD1に巻かれた支持用ワイヤW1と開閉用ドラムD3に巻かれた開閉用ワイヤW3は、それぞれガーダ4の陸側の端部(陸端側)に配置された陸端側滑車P1及び陸端側滑車P3を経由して、トロリ7上に設けられたトロリ上滑車P5及びトロリ上滑車P7を介して吊具8を吊り下げる。また、支持用ドラムD2に巻かれた支持用ワイヤW2と、開閉用ドラムD4に巻かれた開閉用ワイヤW4は、それぞれブーム5の海側の端部(海端側)に配置された海端側滑車P2及び海端側滑車P4を経由し、トロリ7上に設けられたトロリ上滑車P6及びトロリ上滑車P8を介して吊具8を吊り下げる。
【0020】
また岸壁クレーン1は、機械室10に制御装置11を備えている。制御装置11は、例えば運転者の指令に基づいて、モータM1〜モータM4を制御することにより、支持用ドラムD1、支持用ドラムD2、開閉用ドラムD3及び開閉用ドラムD4の回転を制御して、トロリ7の桁6上の横行動作、吊具8の昇降動作(巻き上げ及び巻下げ動作)、及び吊具8の開閉動作を行う。このような制御装置11は、各種の演算処理や制御処理を実行するシーケンサ12や、モータM1〜モータM4の制御を実行するインバータ13等を備えている。
【0021】
すなわち、本実施形態に係る岸壁クレーン1は、4つのドラム(D1〜D4)と、各々のドラムをそれぞれ回転させる4つのモータ(M1〜M4)とを備え、4つのドラムが回転することによって、少なくとも、桁6の上を走行するトロリ7の横行動作(陸側または海側への走行動作)及び吊具8の巻き上げ動作を実行する岸壁クレーンである。
【0022】
続いて岸壁クレーン1の動作について説明する。
図3は、岸壁クレーン1が運搬物21を荷役する際における時間(sec)とワイヤの速度(m/sec)との関係の一例を示すサイクルタイム線図である。なお、
図3に例示されている具体的な数値は、数値の一例に過ぎず、岸壁クレーン1のサイクルタイムは、この具体的な数値に限定されるものではない。
【0023】
岸壁クレーン1の吊具8による荷役作業は、次の動作によって実行される。まず、岸壁クレーン1は、吊具8で、ばら積み船20の運搬物21を掴む(掴み動作)。次いで岸壁クレーン1は、吊具8を巻き上げる(巻き上げ動作)。次いで岸壁クレーン1は、トロリ7を陸側に横行させて、運搬物受取装置としてのホッパー9上に移動させる(陸側横行動作)。次いで岸壁クレーン1は、吊具8を開いて運搬物21をホッパー9に入れる(開き動作)。次いで岸壁クレーン1は、トロリ7を海側に横行させて、ばら積み船20上に移動させる(海側横行動作)。次いで岸壁クレーン1は、吊具8を巻き下げる(巻き下げ動作)。
【0024】
ここで、本実施形態に係る制御装置11は、掴み動作時におけるワイヤの減速が終了した時点(B)から、海側横行動作時おけるワイヤの減速が終了した時点(J)までの動作を、運転者の操作なしに自動的に実行する半自動運転モードを実行する。具体的には本実施形態に係る岸壁クレーン1は、運転者によって操作される半自動運転モード実行開始用スイッチ(図示せず)を備えており、この半自動運転モード実行開始用スイッチは、制御装置11と電気的に接続されている。運転者は、半自動運転モードの実行を希望する場合、この半自動運転モード実行開始用スイッチをオンにすることで、制御装置11に半自動運転モードの実行を開始する旨の制御指令を与える。制御装置11は、この制御指令を受けた場合に半自動運転モードを実行する。
【0025】
そして、この半自動運転モードにおいて、制御装置11は、吊具8の巻き上げ時における吊具8の巻き上げ速度が減少している期間内(以下、巻き上げ減速期間内と称する)にトロリ7の横行が開始するように、4つのモータ(M1〜M4)を制御する。この具体例として、本実施形態に係る制御装置11は、吊具8の巻き上げ時における吊具8の巻き上げ速度が減少することを開始する時点である巻き上げ減速開始時(C)と、トロリ7の横行(本実施形態では一例として陸側横行)が開始する時点である横行開始時(C)とが一致するように、4つのモータ(M1〜M4)を制御する。この制御装置11の制御処理の詳細について、フローチャートを用いて説明すると次のようになる。
【0026】
図4は半自動運転モードの実行時において、制御装置11が実行する制御処理の一例を示すフローチャートである。なお
図4の各ステップは、制御装置11の具体的にはシーケンサ12が実行する。また制御装置11は、半自動運転モードの実行を開始する旨の制御指令を受けたときに、
図4のフローチャートを最初に実行する。
【0027】
ステップS10において制御装置11は、巻き上げ減速期間内か否かを判定する。この具体例として本実施形態に係る制御装置11は、前述したように、巻き上げ減速開始時になったか否かを判定する。ステップS10の具体的な処理内容は特に限定されるものではないが、本実施形態に係る制御装置11は、一例として、吊具8の巻き上げ時における4つのモータ(M1〜M4)に関連する指標に基づいて、巻き上げ減速期間内であるか否か、より具体的には巻き上げ減速開始時になったか否かを判定する。この4つのモータ(M1〜M4)に関連する指標の具体例は特に限定されるものではないが、本実施形態においては、一例として、4つのモータ(M1〜M4)の電流値(A)及びトルク値(N・m)を用いる。
【0028】
具体的には、本実施形態に係る岸壁クレーン1は、インバータ13が、4つのモータ(M1〜M4)の電流値と、4つのモータのトルク値とをそれぞれ検出する。また制御装置11の記憶部(例えばROM等)には、巻き上げ減速開始時に相当する電流値及びトルク値の組み合わせが予め記憶されている。
【0029】
そして制御装置11は、吊具8の巻き上げ動作を開始してから、電流計の検出結果及びトルク計の検出結果を常時取得することで、吊具8の巻き上げ動作を開始してからの4つのモータの電流値及びトルク値を常時取得する。制御装置11は、このようにして取得された電流値及びトルク値が、予め記憶部に記憶されている巻き上げ減速開始時に相当する電流値及びトルク値の組み合わせになったと判定した場合に、巻き上げ減速開始時になった(Yes)と判定する。なお、ステップS10はYesと判定されるまで繰り返し実行される。
【0030】
なお、上述したステップS10で用いられる4つのモータ(M1〜M4)に関連する指標は、上述した電流値及びトルク値に限定されるものではなく、例えば4つのモータ(M1〜M4)の回転速度等を用いることができる。
【0031】
ステップS10でYesと判定された場合、制御装置11は、トロリ7の横行(具体的には陸側横行)が開始するように4つのモータ(M1〜M4)を制御する(ステップS20)。次いで制御装置11はフローチャートの実行を終了する。このフローチャートの実行によって、吊具8の巻き上げ減速開始時とトロリ7の陸側横行開始時とを一致させることができる。
【0032】
なおステップS10を実行する制御装置11のシーケンサ12は、吊具8の巻き上げ時における4つのモータ(M1〜M4)に関連する指標に基づいて、巻き上げ減速期間内であるか否かを判定する判定部、具体的には巻き上げ減速期間内のうち巻き上げ減速開始時になったか否かを判定する巻き上げ減速開始時判定部に相当する。またステップS20を実行する制御装置11のシーケンサ12は、判定部が巻き上げ減速期間内であると判定した場合に、具体的には巻き上げ減速開始時判定部が巻き上げ減速開始時になったと判定した場合に、トロリ7の横行が開始するように4つのモータを制御する制御部に相当する。
【0033】
以上説明した岸壁クレーン1によれば、巻き上げ減速開始時と横行開始時(本実施形態では一例として陸側横行開始時)とが一致するように4つのモータ(M1〜M4)を制御しているので、トロリ7の陸側横行開始時を、吊具8の巻き上げ減速開始時、すなわち、要求されるモータ(M1〜M4)の容量が小さくて済む時期に一致させることができる。これにより、例えば吊具8の巻き上げ動作の際における定速運転時にトロリ7の陸側横行が開始する場合等に比較して、モータ(M1〜M4)の容量(kW)の小型化を図りつつ、吊具8の巻き上げ動作とトロリ7の陸側横行動作とを同時に行うことができる。これにより、荷役サイクルを効果的に短縮することができる。
【0034】
なお、本実施形態に係る制御装置11は、
図3及び
図4で説明したように、吊具8の巻き上げ減速開始時とトロリ7の横行開始時とを一致させているが、吊具8の巻き上げ減速期間内(
図3のC〜Dの期間)にトロリ7の横行が開始するのであれば、吊具8の巻き上げ減速開始時とトロリ7の横行開始時とを一致させる構成に限定されるものではない。この場合においても、吊具8の巻き上げ減速期間内にトロリ7の横行が開始することで、トロリ7の横行を、要求されるモータ(M1〜M4)の容量が小さくて済む時期に行うことができるので、モータ(M1〜M4)の容量の小型化を図りつつ、吊具8の巻き上げ動作とトロリ7の横行動作とを同時に行うことができ、荷役サイクルを短縮することができる。
【0035】
但し、
図3及び
図4で説明したように吊具8の巻き上げ減速開始時とトロリ7の横行開始時とを一致させる場合の方が、モータ(M1〜M4)の容量の小型化を図りつつ、荷役サイクルをより効果的に短縮することができる点で好ましい。
【0036】
なお、上述した本実施形態において、岸壁クレーン1の一例としてロープトロリ式アンローダを用いているが、本発明が適用される岸壁クレーンの種類はこれに限定されるものではなく、本発明は例えばスプレッダ等の吊具8を有する岸壁クレーン等に適用することも可能である。
【0037】
以上本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 岸壁クレーン
4 ガーダ
5 ブーム
6 桁
7 トロリ
8 吊具
11 制御装置
D1〜D4 ドラム
W1〜W4 ワイヤ
P1〜P8 滑車
M1〜M4 モータ