(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記突出部は、前記補償デバイスで反射された前記第1の信号光を前記補償デバイスの方向とは異なる方向に反射する光反射部を有する、請求項4に記載の光モジュール。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の光受信モジュールに係る好適な実施の形態について説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内ですべての変更が含まれることを意図する。また、以下の説明において、異なる図面においても同じ符号を付した構成は同様のものであるとして、その説明を省略する場合がある。
【0011】
本発明の一態様に係る光モジュールを説明するにあたって、まず、本発明の対象となる光モジュールについて説明する。
図10は、本発明の対象となる光モジュールの一例を模式的に示した図である。
図10に示す光モジュール200は、10G-EPON用のBOSA(Bi-directional Optical SubAssembly:一心双方向光トランシーバ)であり、第1の光送信ユニットである10Gbpsの半導体光送信ユニット10(以下、「10G−LD10」という。)、第2の光送信ユニットである1Gbpsの半導体光送信ユニット20(以下、「1G−LD20」という。)、および、1Gbpsと10Gbpsの信号を受信する半導体光受信ユニット60(以下、「PD60」という。PD:Photodiode)を含む。
【0012】
光モジュール200は、10G−LD10が出力する10Gbps送信光を透過し、1G−LD20が出力する1Gbpsの送信光を反射することで、2つの送信光を合波する第1の波長選択フィルタ(以下、「第1WSF」という。)121と、この合波された合波送信光を透過し、受信光を分岐する第2の波長選択フィルタ(以下、「第2WSF」という。)122を備える。10G−LD10のハウジング11内には発光素子であるLD(Laser Diode)101が搭載され、LD101からの出力光は、コリメートレンズ113によって平行な光束に変換された後、出力側に設けた第1の集光レンズ111によって集光される。また、1G−LD20の発光素子であるLD102からの出力光は第3の集光レンズ114によって集光される。10G−LD10のハウジング11は、ジョイントスリーブ(以下、「J−スリーブ」という。)30を介してハウジング40に固定されている。
【0013】
第1の集光レンズ111、第3の集光レンズ114の焦点は、第1WSF121、第2WSF122を収納するハウジング40内に搭載されている第2の集光レンズ112の焦点と一致する。第2の集光レンズ112の他方の焦点は、光ファイバ結合部50に保持されている接続ファイバ125の端面に一致する。また、PD60に設けた集光レンズ115の焦点は、一方がPD60の受光素子103に一致し、他方が接続ファイバ125の端面に一致する。このように、接続ファイバ125、10G−LD10、1G−LD20、第1から第3の集光レンズ111,112、114は収束光学系を構成する。第2の集光レンズ112と第2WSF122との間に、アイソレータ124を搭載しており、接続ファイバ125からの受信光、あるいは、外部から接続ファイバ125を介して光モジュール200内に飛び込んだ迷光が10G−LD10、1G−LD20側へ入り込むのを防いでいる。
【0014】
10G-EPONのシステムでは、1OG-LD10の出力光は波長1575〜1580nm、1G−LD20の出力光は波長1480〜1500nmであり、これら2つの出力光の波長間隔が比較的狭い上に収束光学系を採用していることから、第1WSF121に高い性能が要求される。収束光学系では、WSFへの光の入射角がビームフィールド内で一様にならないため、WSFの波長分別特性が劣化する。平行光学系を採用すればWSFへの入射角の問題は解決するが、10G−LD10、1G−LD20、PD60の光学設計が難しくなる。光路上に設置される各レンズについての焦点位置にLD、受光素子を搭載しなければならず、光学調芯が必須となるため、製造コストの増大を招くことになる。
【0015】
WSFの波長分別特性を確保するには、WSFに使用されている光学多層膜の層数を増加すればよく、その場合、カットオフ波長(λc)での光透過(反射)特性が急峻となる。しかしながら、層数を増加すると、光透過率の低下、各光学膜と母材となる誘電媒質基板(石英板)との間の熱膨張率の相違による膜中に誘起される応力の増加、等が問題となる。両者を勘案すると基板石英として0.3mm程度の厚さが現実解となる。
【0016】
一方、送信光と受信光とを分別する第2WSF122については、受信光の波長が1.3μm帯にあり、送信光の波長帯である1.5μm帯とは十分な波長間隔が確保されている。このため、層数を抑えたWSF(カットオフ波長での透過、反射特性がなまったWSF)であっても両波長帯の分別を問題なく行うことが可能となる。層数が少ないため石英板との間の応力も抑えられる。第2WSF122としては、0.1mmの厚さの石英板を用いることができる。
【0017】
図10に示す光モジュール200では、1G−LD20の出力光は、第1WSF121で反射され、10G−LD10の出力光は第1WSF121を透過する。この様な光学系では、特にそれぞれの出力光が収束光学系である場合には、有意な屈折率を有する光学平板を、それぞれの光軸に対して角度を設けて設置すると、光学平板の傾斜方向に平行な方向の焦点位置とこれとは垂直な方向の焦点位置がずれる。このことは、非点収差として一般的に知られており、光モジュール200の場合では、第1WSF121について透過光となる10G−LD10の光学系で非点収差が生ずる。また、1G−LD20の出力光については、第1WSF121の表面で反射されるため、非点収差は実質的に無視し得る。
【0018】
図1Aは、本発明の対象となる光モジュールの光学系における非点収差を説明する図である。光軸に対して透過平板を垂直に挿入した場合は、収束光であっても非点収差は生じない。しかしながら、
図1Aに示すように、透過平板(第1WSF121)を光軸に対して傾斜させた場合は、平板の傾斜方向についての第1WSF121内の実効透過距離が長くなり、一方、傾斜方向とは垂直な方向については傾斜の影響を受けることがないので、二つの方向についての焦点距離に違いが生ずる。LD101からの送信光を集光レンズ111で収束して接続ファイバ125に集光する光学系において、高いファイバ結合効率が必要となる場合は、光学系における結合ロスを低減することが重要となる。その意味で送信光をレンズで集光し、レンズの焦点位置で接続ファイバ125に結合させる系が最も結合効率を高めることになる。しかしながら、非点収差が発生している場合、ファイバの光軸に垂直な二つの方向の焦点位置がずれているため、どちらの焦点で接続ファイバ125に結合させても結合効率が低下する。
【0019】
非点収差は平板の厚さと傾斜角に関係し、傾斜角については45°で最大となる。また、透過平板が厚くなるほど非点収差が大きくなるため、この厚さを薄くすることが重要である。しなしながら光モジュール200において、非点収差が問題となる第1WSF121は、多層膜フィルタの層数を確保するためその厚さが0.3mmの母材を採用せざるを得ない。したがって、この第1WSF121に起因する非点収差が生じ、第1WSF121が無い状態の光出力に対して接続ファイバ125への結合効率が0.5dBほど低下してしまう。
【0020】
このため、本発明の一態様では、10G−LD10の光学系において、第1WSF121による非点収差を低減するため、
図1B、
図1Cに示すように、非点収差が問題となる第1WSF121の法線に対して、透過平板を補償デバイス123として集光レンズ111と第1WSF121の間に挿入し、かつこの補償デバイス123の主面の法線を前記第1WSF121の法線と直交させて搭載することで、第1WSF121で発生している非点収差を補正(相殺)している。
【0021】
ここで、透過平板の屈折率n、厚さd、光軸に対する傾斜角αとすると、非点収差δは、次の式で与えられる。
δ=d・α・(n
2−1)/n
3
したがって、第1WSF121について厚さd
1、屈折率n
1、傾斜角α
1、非点収差δ
1とし、非点収差δ
1を補正するために挿入する補償デバイス123について、厚さd
2、屈折率n
2、傾斜角α
2、非点収差δ
2とすると、それぞれ、
δ
1=d
1・α
1・(n
12―1)/n
13
δ
2=d
2・α
2・(n
22−1)/n
23
で表され、第1WSFの非点収差を補正するには、δ
1=δ
2を満足させればよく、
d
1・α
1・(n
12―1)/n
13=d
2・α
2・(n
22−1)/n
23
となる。ここで、第1WSF121はd
1=0.3mm、n
1=1.5、α
1=45°のため、補償デバイス123について、たとえば、d
2=0.3mm、n
2=1.5、α
2=45°とすれば良い。すなわち、第1WSF121と同じ材質、寸法(厚さ)の石英板を、第1WSF121の傾斜方向とは90°異ならせて挿入することで、第1WSF121で非点収差の影響を受けない方向について、第1WSF121と同じだけ等価光学長を拡大することで、ファイバ125端における非点収差を補正することができる。
【0022】
図2は、本発明の一態様に係る光モジュールの外観を示す図であり、
図3は、本発明の一態様に係る光モジュールを模式的に示した図であり、さらに、
図4は、本発明の一態様に係る光モジュールの一断面を示す図である。光モジュール100は、主に10G-EPONシステムにおいて、局側に設置されるOLTとして用いられる。
図2に示すように、第1の光送信ユニットである10Gbpsに対応する半導体光送信ユニット10G−LD10、第2の光送信ユニットである1Gbpsに対応する半導体光送信ユニット1G−LD20、10G−LD10とハウジング40とを連結するJ−スリーブ30、光ファイバ結合部50、光受光ユニットであるPD60、および、第1WSF121を固定するWSFホルダ70を有している。10G−LD10、1G−LD20いずれもデジタル信号の送信を行う。
【0023】
図4で示すように、10G−LD10はその先端に、集光レンズ111を収納する金属製のスペーサ12を備え、このスペーサ12とJ−スリーブ30との間の光軸調整を実施した後、10G−LD10はハウジング40の端部に固定される。具体的には、10G−LD10の光軸方向をZ軸方向、このZ軸と直交する方向をXY方向とした場合、J−スリーブ30をハウジング40の端面上でスライドさせてJ−スリーブ30とハウジング40との間のXY方向の調芯を、また、スペーサ12のJ−スリーブへの挿入深さを調整することでZ軸方向の調芯を行う。
【0024】
第1WSFに起因する非点収差補正を補正するため、例えば石英からなる補償デバイス123を搭載するにあたっては、この補償デバイス123は第1の集光レンズ111と第1WSF121との間に配置する必要がある。その際、第1の集光レンズ111に近いほど補償デバイス123のサイズを大きくする必要がある。逆に第1WSF121の近くに配置するためには、第1WSF121を搭載したハウジング40内に補償デバイス123を搭載するための機構を設ける必要がある。
【0025】
本実施形態では、補償デバイス123のサイズを小さくし、一方この補償デバイス123の設置機構を容易に形成するために、
図3で示すように、まず、第1の集光レンズ111の収束点(LD101が点光源とはみなせないため、厳密にはビームウェスト位置)を第1の集光レンズ111と第1WSF121との間に設定し、このビームウェスト位置に補償デバイス123を配置した。具体的には、補償デバイス123の設置面をJ−スリーブ30に設け、また、この設置面をよりビームウェスト位置に近付けるため、後述するようにJ−スリーブ30の先端に突出部を設け、この突出部に搭載面を設けた。
【0026】
図5は、本発明の一態様に係る光モジュールのJ−スリーブの俯瞰図であり、
図6は、本発明の一態様に係る光モジュールのJ−スリーブとスペーサ12の一断面図である。また、
図7は、本発明の一態様に係る光モジュールのジョイントスリーブの断面図である。以下、これらの図を参照して、J−スリーブ30と第1の集光レンズ111について説明する。
【0027】
J−スリーブ30は、第1の集光レンズ111を覆い、レンズ用開口37を形成する袴部32とレンズ用開口37に対して蓋となる蓋部31を有している。蓋部31の中央に突出部33を有し、この突出部33内に中央開口34と、この中央開口34の中心軸に対して45°度の角度で形成された傾斜開口35を有する。中央開口34の中心軸に対し傾斜開口35は内径の異なる2つの領域があり、両領域の間にJ−スリーブ30の光軸(Z軸)に対して45°の角度を有する搭載面38が形成され、この搭載面38上に非点収差補償素子としての石英板からなる補償デバイス123を搭載する。補償デバイス123はZ軸に対して45°の角度を有する。補償デバイス123の厚さは第1WSF121の母材の厚さと略同等である。また、傾斜開口35の方向については、蓋部31にインデックスを有する。
【0028】
補償デバイス123の両面は、AR(反射防止)コーティングを有している。また、傾斜開口35の奥端には、補償デバイス123の光入射面に対して平行ではない反射面を含む光吸収部36を有する。10G−LD10の出射光が補償デバイス123の光入射面で反射され、この光吸収部36に向かったとしても、光吸収部36の反射面で反射された光が、再び補償デバイス123に戻り、光入射面で反射されて再び10G−LD10に戻ることはない。このJ−スリーブ30は、後述するように、3軸調芯後に、蓋部31がハウジング40の後端面に隅肉溶接され、スペーサ12に対してはJ−スリーブ30の袴部32が貫通溶接される。このため、J−スリーブ30は金属製であり、一般的にはステンレス製である。第1の集光レンズ111はホルダ14に搭載されており、スペーサ12のフランジ13により位置決めされている。ホルダ14とスペーサ12とがレンズホルダ15を構成する。
【0029】
光モジュール100では、第1WSF121の厚さや屈折率の公差、これを搭載した際の傾斜角のバラツキ、更には各部品の寸法バラツキや組立バラツキによる光軸バラツキが発生し、その結果、非点収差にもバラツキが生じる。更に補償デバイス123をJ−スリーブ30側に設置するため、J−スリーブ30の回転方向も重要となる。補償デバイス123が回転したときの結合効率と出力のロスについては、計算によれば、±5°の範囲で制御することで光出力のロスを0.05dB以下に抑制できる。比較的粗い精度は許される。このことから、J−スリーブ30と補償デバイス搭載機構との間の機械的な調整機構を設けるよりは、補償デバイス123を固定したJ−スリーブ30をXY平面で回転し調整することにより、非点収差を実際的に補正することができる。
【0030】
図8は、本発明の一態様に係る光モジュールのハウジングの断面図である。以下、
図2から
図8を参照しつつ、本実施形態の光モジュール100全体の構造とその調心を含む組立て方法について説明する。BOSAとしての光モジュール100は、一端側から順に、箱形のハウジング11を有する10G−LD10、第1の集光レンズ111を収容したレンズホルダ15、J−スリーブ30、第1WSF121、第2WSF122の2つのWSF、第2の集光レンズ112、アイソレータ124を搭載する金属製のハウジング40と、このハウジング40の一端に接続する光ファイバ結合部50を有する。
【0031】
ハウジング40を挟んで光ファイバ結合部50と10G−LD10は対向する。ハウジング40の側面に1G−LD20とPD60が接続する。ハウンジング40は第1WSF121をWSFホルダ70を介して搭載する。WSFホルダ70は10G−LD10の光軸が通過する中央孔と、この中央孔に直交し1G−LD20の光軸が通過する側方孔を有し、中央孔と側方孔の交点に第1WSF121を両光軸に対して45°の角度で搭載する。
【0032】
WSFホルダ70の一端面に1G−LD20を溶接する。また、WSFホルダ70は、第1WSF121を10G−LD10の光軸に対し45°の角度に調芯する際に、当該一端面と反対の面にWSFホルダ70を保持するための円柱突起を有する(
図2参照)。この円柱突起の中心は1G−LD20の光軸と平行(実質一致)であり、調芯装置がこの円柱突起を保持することにより、第1WSF121の傾きを10G−LD10の光軸に対し45°に微調することができる。調芯装置は、その回転については原則同心円状の保持機構のみを備えている。円柱突起がない場合に、調芯装置は第1WSF121を収納するハウジング40を保持しなければならず、その中心を特定することが困難となる。
【0033】
第2WSF122は、ハウジング40に直接形成された45°の斜面43(PD60の光軸、第1WSF121で合波された合波送信光の光軸いずれに対しても45°の角度を有する斜面)に微調機構を設けずに直接搭載される。これは、PD60の受光素子103の受光面は比較的広く、PD60について第2WSF122に微調機構を設けなくとも、その光結合効率が十分に確保されるからである。このため、2つのLD101,102を調芯してハウジング40に固定した後、第2WSF122を調芯することなく、PD60をハウジング40上でその光軸に平行な面内だけで調芯した後に固定することができる。
【0034】
ハウジング40の前方端にはスタブ用開口41を有し、その内径はスタブ53の外径より僅かに大きい。すなわち、スタブ53はスタブ用開口41内に突出する。ハウジング40は、スタブ用開口41に続いてPD用開口42をその側面に有する。PD用開口42はハウジング40の平坦面から穿たれており、PD60はこの平坦面上で光軸に垂直な面内の調芯を行った後に溶接される。光ファイバ結合部50とハウジング40との固定も同様に溶接による。光ファイバ結合部50はスタブ53の突出部をスタブ用開口41に嵌合することにより、ハウジング40に対する位置を決定する。調芯は行わない。その後、当該平坦面に光ファイバ結合部50を隅肉溶接する。ハウジング40前方側には、第2WSF122を搭載する斜面43を有する。この斜面43は、スタブ用開口41、PD用開口42の底面を削り取りつつハウジング40外面に達する。
【0035】
ハウジング40の光ファイバ結合部50側の内面には、スタブ用開口41と中心軸を一致させて、前方側から第1開口44、第2開口45、第3開口46が形成されている。第1開口44、第2開口45、第3開口46は、この順にその内径が拡大する。そして、第2開口45にアイソレータ124を、また、第3開口46に第2の集光レンズ112を搭載する。第3開口46は10G−LD(第1の光送信ユニット)用開口47に連続する。そして、第3開口46と10G−LD用開口47の境界に、横串を貫通させる形で1G−LD(第2の光送信ユニット)用開口48形成されており、この1G−LD用開口48内をWSFホルダ70が貫通する。
【0036】
ハウジング40およびハウジング40内に搭載される光部品は、まず、10G−LD用開口47、第3開口46を経由して第2開口45内にアイソレータ124を載置する。この場合、調芯はおこなわない。アイソレータ124の後端は第2開口45内に止まる。第2開口45と第3開口46の境界には径拡大部があり、アイソレータ124の後端はこの径拡大部に相当する位置に止まる。次いで、第2の集光レンズ112を、これも10G−LD用開口47側から第3開口46内に挿入し搭載する。
【0037】
第2の集光レンズ112はホルダに支持されており、ホルダの外径は第3開口46の内径よりも僅かに小さい。第2の集光レンズ112は第3開口46内に圧入されると破壊に至る可能性があるため圧入されていない。第2の集光レンズ112を第3開口部46に挿入後、ホルダとハウジング40とを貫通溶接する。ハウジング40の第3開口46に対応する部位の肉厚が薄く、この箇所を貫通溶接して第2の集光レンズ112とハウジング40とを固定する。このため、ホルダは例えば溶接に耐えるステンレスで構成される。次いでWSFホルダ70を側方開口49に挿入し、WSFホルダ70の角度、すなわち、第1WSF121の角度を目視確認により所定角度に合わせた後、WSFホルダ70とハウジング40とを隅肉溶接する。
【0038】
なお、10G−LD10,1G−LD20,PD60は、それぞれ独立に組立てることが可能である。10G−LD10は、J−スリーブ30と一体化する前に、第1の集光レンズ111を支持したホルダ14をスペーサ12内の開口に挿入する。第2の集光レンズ112と同様に、ホルダ14の外径はスペーサ12内の開口の内径よりも僅かに小さく、挿入はスムーズに行われる。スペーサ12の10G−LD10側端にフランジ13を有し、ホルダ14はこのフランジ13に当接してスペーサ12内の開口の後端にまで挿入される。この位置で、ホルダ14とスペーサ12とをホルダ14の前端側(フランジ13とは反対側)で隅肉溶接する。そしてこの組み上がったレンズホルダ15と10G−LD10のハウジング11とを、スペーサ12の後端(10G−LD10側端)で10G−LD10のハウジング11の所定位置に無調芯で隅肉溶接する。
【0039】
次に、光ファイバ結合部50とハウジング40とを組立てる。スタブ53、ブッシュ54、樹脂製ラッチ55、スリーブ52、スリーブカバー51で構成される光ファイバ結合部50は予め組立ておく。ブッシュ54、スリーブカバー51は金属製(ステンレス)であり、両者の絶縁を確保するために樹脂製ラッチ55を介在させる。スタブ53の後端(ハウジング40側端)はブッシュ54の端から突き出ており、この突き出した部分をハウジング40のスタブ用開口部41に挿入することで両者の相対位置を確定させる。すなわち、組立てた光ファイバ結合部50を無調芯にてハウジング40に固定する。固定は、ブッシュ54フランジをハウジング40の平坦面の隅肉溶接することで行う。
【0040】
次に、10G−LD10を光ファイバ結合部50に三軸調芯した上でハウジング40に固定する。すなわち、第1の集光レンズ111上にJ−スリーブ30を被せ、このJ−スリーブ30を、ハウジング40の後端面上をスライドさせ、光軸に垂直な面内で調芯する(XY調芯)。光軸に平行な方向(Z調芯)については、J−スリーブ30のスペーサ12への被せ深さを調整することで行う。ここで、J−スリーブ30には非点収差補償部品としての補償デバイス123が搭載されており、補償デバイス123の角度を第1WSF121の傾斜角度に対して90°の角度に設定する必要があるが、WSFホルダ70がハウジング40から突出しており、またJ−スリーブ30は補償デバイス123の搭載角度を示すインデックス(マーク)を有しているので、両者の角度を略90°に設定することで、非点収差は実質的に無調芯で補正され得る。そして、Z軸調芯後に、J−スリーブ30とスペーサ12とを貫通溶接し、さらに、XY調芯を適宜の回数繰り返すことによって所定の光結合効率を得た後、ハウジング40の端面に設けられたフランジ部をJ−スリーブ30の前面に隅肉溶接して両者を固定する。
【0041】
次いで、1G−LD20の調芯を行う。WSFホルダ70の突起を治具のチャックで把持し、このチャックの中心軸に対して1G−LD20とハウジング40との間の3軸調芯を行う。1G−LD20にもジョイントスリーブがハウジング40との間に設けられておおり、ジョイントスリーブについて3軸調芯が可能である。また、WSFホルダ70の突起をチャックにより把持することで、調芯時の微調が可能となる。調芯後にジョイントスリーブをハウジング40の外面に対して隅肉溶接して、1G−LD20をハウジング40に固定する。これら10G−LD10、1G−LD20の調芯に際しては、光ファイバ結合部50にダミーコネクタを挿入し、ダミーコネクタから引き出されたファイバを介して実際に発光させた10G−LD10、1G−LD20の光出力を観測しつつ調芯を行う。
【0042】
最後に、ダミーコネクタに代え、標準光源から引き出されたファイバに付属するコネクタを光ファイバ結合部50に挿入し、標準光源からの出力をPD60で観測することにより、PD60とハウジング40との2軸調芯を行う。ここで、Z軸調芯は実施しない。受光素子103の受光面が広いため、Z調芯を施さずとも十分な結合効率を得ることができる。調芯後にPD60はハウジング40のPD用開口部42に対する平坦面に隅肉溶接で固定される。また、PD用開口部42内には受信光波長を透過し、発信光波長を遮断するフィルタを載置してもよい。
【0043】
図9は、補償デバイス123の厚さと光結合効率の関係を説明する図である。光学シミュレーションでは、補正平板を0mm(挿入しない場合)〜0.5mmまで厚さを変えた時に、LDと光ファイバ間の結合効率η、および光出力の変動量Δηを見積もった。光出力の変動量Δηは補償デバイス123の厚さ0mmの際の結合効率(略0.77)からの差をデシベル(dB)単位で示している。非点収差を補正する補償デバイス123の厚さが0.3mm〜0.4mmで最大の効果が得られる。実際に厚さが0.3mmと0.4mmの補償デバイス(n=1.2の石英板)で実験したところ、シミュレーションと同等の結果が得られることを確認した。