(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6874952
(24)【登録日】2021年4月26日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】分散型バッテリ、バッテリ制御方法、及び電気自動車
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20210510BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20210510BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20210510BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
H02J7/00 303C
H02J7/02 J
H01M10/48 P
H01M10/44 Q
【請求項の数】16
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2019-560092(P2019-560092)
(86)(22)【出願日】2018年4月28日
(65)【公表番号】特表2020-519223(P2020-519223A)
(43)【公表日】2020年6月25日
(86)【国際出願番号】CN2018085068
(87)【国際公開番号】WO2018202003
(87)【国際公開日】20181108
【審査請求日】2019年11月22日
(31)【優先権主張番号】201710304859.5
(32)【優先日】2017年5月3日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】504161984
【氏名又は名称】ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ、クイ
(72)【発明者】
【氏名】フアン、ボニン
(72)【発明者】
【氏名】トン、ウェンピン
【審査官】
田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−033785(JP,A)
【文献】
特開2016−195530(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/049963(WO,A1)
【文献】
米国特許第06304059(US,B1)
【文献】
中国特許出願公開第104425852(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H01M 10/44
H01M 10/48
H02J 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリパックを備える分散型バッテリであって、前記分散型バッテリはさらに、制御装置、双方向電圧変換回路、バイパス回路、充電回路、及び充電入力端を備え、それぞれのバッテリパックは、1つのバイパス回路及び1つの双方向電圧変換回路に対応し、
前記バイパス回路は4つのポートを有し、第1のスイッチングデバイスが第1のポートと第3のポートとを接続して、有効又は無効になり得る回路を形成し、第2のスイッチングデバイスが第2のポートと第4のポートとを接続して、有効又は無効になり得る回路を形成し、
前記双方向電圧変換回路は、第1のポート、第2のポート、第3のポート、及び第4のポートという4つのポートを有し、前記第1のポート及び前記第2のポートは前記バッテリパックに接続される側にあるポートであり、前記第3のポート及び前記第4のポートは前記充電回路に接続される側にあるポートであり、前記双方向電圧変換回路は、前記バッテリパックと前記充電回路との間で双方向電圧変換を行うように構成され、
前記バッテリパックの正電極が、前記バイパス回路の前記第1のポートと前記双方向電圧変換回路の前記第1のポートとに別々に接続され、前記バッテリパックの負電極が、前記バイパス回路の前記第2のポートと前記双方向電圧変換回路の前記第2のポートとに別々に接続され、前記バイパス回路の前記第3のポートと前記双方向電圧変換回路の前記第3のポートとは前記充電回路の第1の出力端に別々に接続され、前記バイパス回路の前記第4のポートと前記双方向電圧変換回路の前記第4のポートとは前記充電回路の第2の出力端に別々に接続され、
前記充電回路の入力端が前記充電入力端に接続され、
前記制御装置は、前記バッテリパック、前記双方向電圧変換回路、前記バイパス回路、及び前記充電回路に接続され、前記制御装置は、前記第1のスイッチングデバイスのオンオフ状態、前記第2のスイッチングデバイスのオンオフ状態、及び前記双方向電圧変換回路の動作状態を、前記バッテリパックの電圧と前記バッテリパックのパラメータとに基づいて制御するように構成される、分散型バッテリ。
【請求項2】
前記双方向電圧変換回路は、6つのスイッチングデバイスと1つのインダクタとを有し、第1のスイッチの一端が前記双方向電圧変換回路の前記第1のポートに接続され、第2のスイッチの一端が前記双方向電圧変換回路の前記第2のポートに接続され、第5のスイッチの一端が前記双方向電圧変換回路の前記第3のポートに接続され、第6のスイッチの一端が前記双方向電圧変換回路の前記第4のポートに接続され、前記第1のスイッチの他端が第3のスイッチの一端と前記インダクタの一端とに接続され、前記第5のスイッチの他端が第4のスイッチの一端と前記インダクタの他端とに接続され、前記第2のスイッチの他端、前記第3のスイッチの他端、前記第4のスイッチの他端、及び前記第6のスイッチの他端が互いに接続される、請求項1に記載の分散型バッテリ。
【請求項3】
前記制御装置はさらに、
前記複数のバッテリパックのタイプを判定し、具体的には、前記複数のバッテリパックのうちの2つについて、これら2つのバッテリパックの化学系が一致しているかどうかを判定し、
前記化学系が一致している場合、前記2つのバッテリパックの容量が一致しているかどうかを判定し、
前記2つのバッテリパックの前記容量が一致している場合、前記2つのバッテリパックの内部抵抗が一致しているかどうかを判定し、
前記内部抵抗が一致している場合、前記2つのバッテリパックのサイクル寿命が一致しているかどうかを判定し、
前記サイクル寿命が一致している場合、前記2つのバッテリパックは同じタイプのバッテリパックであると判定する、又は、
前記2つのバッテリパックが、前記化学系、前記容量、前記内部抵抗、及び前記サイクル寿命のうちのいずれか1つにおいて一致しない場合、前記2つのバッテリパックは異なるバッテリパックタイプからなる2つのバッテリパックであると判定する
ように構成され、充電/放電率が高い方のバッテリパックがパワー型バッテリパックであり、充電/放電率が低い方のバッテリパックがエネルギー型バッテリパックである、請求項2に記載の分散型バッテリ。
【請求項4】
前記複数のバッテリパックは少なくとも第1のバッテリパック及び第2のバッテリパックを有し、前記第1のバッテリパック及び前記第2のバッテリパックは同じタイプであり、
前記制御装置はさらに、
前記第1のバッテリパックと前記第2のバッテリパックとの間の電位差を測定し、
前記電位差が第1の閾値より小さい又はそれと等しい場合、前記充電回路が動作状態であるときに、前記第1のバッテリパックに接続された前記バイパス回路内の第1のスイッチングデバイス及び第2のスイッチングデバイスを閉じるよう制御して、前記バイパス回路を有効にし、また前記第2のバッテリパックに接続された前記バイパス回路内の第1のスイッチングデバイス及び第2のスイッチングデバイスを閉じるよう制御して、前記バイパス回路を有効にし、
前記充電回路の出力電流を、前記第1のバッテリパック及び前記第2のバッテリパックの充電電流の合計より小さい又はそれと等しくなるよう制御する
ように構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の分散型バッテリ。
【請求項5】
前記複数のバッテリパックは少なくとも第1のバッテリパック及び第2のバッテリパックを有し、前記第1のバッテリパック及び前記第2のバッテリパックは同じタイプであり、
前記制御装置はさらに、
前記第1のバッテリパックと前記第2のバッテリパックとの間の電位差を充電中に測定し、
前記電位差が第1の閾値より大きい場合、前記充電回路が動作状態であるときに、前記第1のバッテリパックに接続された前記バイパス回路内の第1のスイッチングデバイス及び第2のスイッチングデバイスを閉じるよう制御して、前記バイパス回路を有効にし、前記充電回路の出力電流を前記第1のバッテリパックの充電電流より小さい又はそれと等しくなるよう制御して、前記第1のバッテリパックを充電することであって、前記第1のバッテリパックの電圧が前記第2のバッテリパックの電圧より低い、充電すること、又は
前記第1のバッテリパックと前記第2のバッテリパックとの間の前記電位差が第2の閾値より小さい場合、前記第2のバッテリパックに接続された前記バイパス回路内の第1のスイッチングデバイス及び第2のスイッチングデバイスを閉じるよう制御して、前記バイパス回路を有効にし、前記充電回路の出力電流を、これら2つのバッテリパックの充電電流の合計より小さい又はそれと等しくなるよう制御すること
を行うように構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の分散型バッテリ。
【請求項6】
前記複数のバッテリパックは、少なくともエネルギー型バッテリパック及びパワー型バッテリパックを有し、
前記制御装置はさらに、
前記エネルギー型バッテリパックの電圧が前記パワー型バッテリパックの電圧より低い又はそれと等しいかどうかを充電中に判定し、
前記エネルギー型バッテリパックの前記電圧が前記パワー型バッテリパックの前記電圧より低い又はそれと等しい場合、前記エネルギー型バッテリパックに対応する双方向電圧変換回路を降圧モードで動作するよう制御する、又は
前記エネルギー型バッテリパックの前記電圧が前記パワー型バッテリパックの前記電圧より高い場合、前記双方向電圧変換回路を昇圧モードで動作するよう制御して、前記双方向電圧変換回路の出力電流を、前記エネルギー型バッテリパックの充電電流より小さい又はそれと等しくなるよう制御し、
前記パワー型バッテリパックに対応する前記バイパス回路内の第1のスイッチングデバイス及び第2のスイッチングデバイスを閉じるよう制御して、前記バイパス回路を有効にし、
前記エネルギー型バッテリパックの外側にある前記双方向電圧変換回路の動作モードを決定した後に、前記充電回路を動作するよう制御し、前記充電回路の出力電流を、前記双方向電圧変換回路の入力電流と前記パワー型バッテリパックの充電電流との合計より小さい又はそれと等しくなるよう設定する
ように構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の分散型バッテリ。
【請求項7】
前記複数のバッテリパックは少なくとも第1のバッテリパック及び第2のバッテリパックを有し、前記双方向電圧変換回路の前記第3のポート及び前記第4のポートは、前記分散型バッテリの負荷に接続され、
前記制御装置はさらに、
前記第1のバッテリパックと前記第2のバッテリパックとの間の電位差を測定し、
前記分散型バッテリが放電状態であるときに、前記電位差が第3の閾値より小さい又はそれと等しい場合、前記第1のバッテリパックに接続された前記バイパス回路内の第1のスイッチングデバイス及び第2のスイッチングデバイスを閉じるよう制御して、前記バイパス回路を有効にし、また前記第2のバッテリパックに接続された前記バイパス回路内の第1のスイッチングデバイス及び第2のスイッチングデバイスを閉じるよう制御して、前記バイパス回路を有効にする
ように構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の分散型バッテリ。
【請求項8】
前記複数のバッテリパックは少なくとも第1のバッテリパック及び第2のバッテリパックを有し、前記第1のバッテリパック及び前記第2のバッテリパックは同じタイプであり、前記双方向電圧変換回路の前記第3のポート及び前記第4のポートは前記分散型バッテリの負荷に接続され、
前記制御装置は、
前記第1のバッテリパックと前記第2のバッテリパックとの間の電位差を測定し、
前記分散型バッテリが放電状態であるときに、前記電位差が第3の閾値より大きい場合、前記第1のバッテリパックに接続された前記バイパス回路内の第1のスイッチングデバイス及び第2のスイッチングデバイスを閉じるよう制御して、前記バイパス回路を有効にし、前記第1のバッテリパックを放電することであって、前記第1のバッテリパックの電圧が前記第2のバッテリパックの電圧より高い、放電すること、又は
前記電位差が第4の閾値より小さい又はそれと等しい場合、前記第2のバッテリパックに接続された前記バイパス回路内の第1のスイッチングデバイス及び第2のスイッチングデバイスを閉じるよう制御して、前記バイパス回路を有効にすること
を行うように構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の分散型バッテリ。
【請求項9】
前記複数のバッテリパックは、少なくともエネルギー型バッテリパック及びパワー型バッテリパックを有し、
前記制御装置は、
前記エネルギー型バッテリパックの電圧が前記パワー型バッテリパックの電圧より高いかどうかを判定し、
前記エネルギー型バッテリパックの前記電圧が前記パワー型バッテリパックの前記電圧より低い又はそれと等しい場合、前記エネルギー型バッテリパックに対応する双方向電圧変換回路を昇圧モードで動作するよう制御する、又は
前記エネルギー型バッテリパックの前記電圧が前記パワー型バッテリパックの前記電圧より高い場合、前記エネルギー型バッテリパックに対応する双方向電圧変換回路を降圧モードで動作するよう制御し、前記双方向電圧変換回路の入力電流を、前記エネルギー型バッテリパックの放電電流より小さい又はそれと等しくなるよう制御し、
前記パワー型バッテリパックに接続された前記バイパス回路内の第1のスイッチングデバイス及び第2のスイッチングデバイスを閉じるよう制御して、前記バイパス回路を有効にする
ように構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の分散型バッテリ。
【請求項10】
分散型バッテリ用の充電制御方法であって、前記分散型バッテリは少なくとも第1のバッテリパック及び第2のバッテリパックと、前記第1のバッテリパック及び前記第2のバッテリパックのそれぞれに設けられた双方向電圧変換回路をバイパスするバイパス回路とを備え、前記充電制御方法は、
前記第1のバッテリパック及び前記第2のバッテリパックが同じタイプのバッテリパックである場合、前記第1のバッテリパックと前記第2のバッテリパックとの間の電位差が第1の閾値より大きいかどうかを判定する段階と、
前記第1のバッテリパックと前記第2のバッテリパックとの間の前記電位差が前記第1の閾値より小さい又はそれと等しい場合、並列に接続されている前記第1のバッテリパック及び前記第2のバッテリパックを充電するよう前記分散型バッテリの前記バイパス回路を制御する段階、又は、
前記第1のバッテリパックと前記第2のバッテリパックとの間の前記電位差が前記第1の閾値より大きい場合、前記第1のバッテリパックを最初に充電するよう前記分散型バッテリの前記バイパス回路を制御する段階であって、前記第1のバッテリパックの電圧が前記第2のバッテリパックの電圧より低い、段階と、
前記第1のバッテリパックと前記第2のバッテリパックとの間の前記電位差が第2の閾値より小さい又はそれと等しいと判定した後に、並列に接続されている前記第1のバッテリパック及び前記第2のバッテリパックを充電するよう前記分散型バッテリの前記バイパス回路を制御する段階と
を備える、充電制御方法。
【請求項11】
前記充電制御方法はさらに、
前記第1のバッテリパック及び前記第2のバッテリパックが異なるタイプのバッテリパックである場合、すなわち、前記第1のバッテリパックがエネルギー型バッテリパックであり、前記第2のバッテリパックがパワー型バッテリパックである場合、前記エネルギー型バッテリパックの電圧が前記パワー型バッテリパックの電圧より低い又はそれと等しいかどうかを判定する段階と、
前記エネルギー型バッテリパックの前記電圧が前記パワー型バッテリパックの前記電圧より低い又はそれと等しい場合、前記エネルギー型バッテリパックに対応する双方向電圧変換回路を降圧モードで動作するよう制御する段階、又は、
前記エネルギー型バッテリパックの前記電圧が前記パワー型バッテリパックの前記電圧より高い場合、前記双方向電圧変換回路を昇圧モードで動作するよう制御し、前記双方向電圧変換回路の出力電流を、前記エネルギー型バッテリパックの充電電流より小さい又はそれと等しくなるよう制御する段階と、
前記エネルギー型バッテリパックを充電する段階と、
並列に接続されている前記パワー型バッテリパック及び前記エネルギー型バッテリパックを充電するよう、前記分散型バッテリの前記バイパス回路を制御する段階と
を備える、請求項10に記載の充電制御方法。
【請求項12】
前記充電制御方法はさらに、
前記第1のバッテリパック及び前記第2のバッテリパックのタイプを判定する段階、具体的には、これら2つのバッテリパックの化学系が一致しているかどうかを判定する段階と、
前記化学系が一致している場合、前記2つのバッテリパックの容量が一致しているかどうかを判定する段階と、
前記2つのバッテリパックの前記容量が一致している場合、前記2つのバッテリパックの内部抵抗が一致しているかどうかを判定する段階と、
前記内部抵抗が一致している場合、前記2つのバッテリパックのサイクル寿命が一致しているかどうか判定する段階と、
前記サイクル寿命が一致している場合、前記2つのバッテリパックは同じタイプのバッテリパックであると判定する段階、又は、
前記2つのバッテリパックが、前記化学系、前記容量、前記内部抵抗、及び前記サイクル寿命のうちのいずれか1つにおいて一致しない場合、前記2つのバッテリパックは、異なるバッテリパックタイプからなる2つのバッテリパックであると判定する段階であって、放電率が高い方のバッテリパックがパワー型バッテリパックであり、充電/放電率が低い方のバッテリパックがエネルギー型バッテリパックである、段階と
を備える、請求項10に記載の充電制御方法。
【請求項13】
分散型バッテリ用の放電制御方法であって、前記分散型バッテリは、少なくとも第1のバッテリパック及び第2のバッテリパックと、前記第1のバッテリパック及び前記第2のバッテリパックのそれぞれに設けられた双方向電圧変換回路をバイパスするバイパス回路とを備え、前記放電制御方法は、
前記第1のバッテリパック及び前記第2のバッテリパックが同じタイプのバッテリパックである場合、前記第1のバッテリパックと前記第2のバッテリパックとの間の電位差を測定する段階と、
前記電位差が第3の閾値より小さい又はそれと等しい場合、並列に接続されている前記第1のバッテリパック及び前記第2のバッテリパックを放電するよう制御する段階、又は、
前記電位差が第3の閾値より大きい場合、前記第1のバッテリパックを放電するよう、前記第1のバッテリパックに接続された前記バイパス回路を制御する段階であって、前記第1のバッテリパックの電圧が前記第2のバッテリパックの電圧より高い、段階と、
前記第1のバッテリパックと前記第2のバッテリパックとの間の前記電位差を検出する段階と、
前記電位差が第4の閾値より小さい又はそれと等しい場合、並列に接続されている前記第1のバッテリパック及び前記第2のバッテリパックを放電するよう制御する段階とを備える、放電制御方法。
【請求項14】
前記放電制御方法はさらに、
前記第1のバッテリパック及び前記第2のバッテリパックが異なるタイプのバッテリパックである場合、すなわち、前記第1のバッテリパックがエネルギー型バッテリパックであり、前記第2のバッテリパックがパワー型バッテリパックである場合、前記エネルギー型バッテリパックの電圧が前記パワー型バッテリパックの電圧より高いかどうかを判定する段階と、
前記エネルギー型バッテリパックの前記電圧が前記パワー型バッテリパックの前記電圧より低い又はそれと等しい場合、前記エネルギー型バッテリパックが昇圧された後に放電する動作モードになるよう前記エネルギー型バッテリパックを制御する段階、又は、
前記エネルギー型バッテリパックの前記電圧が前記パワー型バッテリパックの前記電圧より高い場合、前記エネルギー型バッテリパックが降圧された後に放電する動作モードになるよう前記エネルギー型バッテリパックを制御し、双方向電圧変換回路の入力電流を、前記エネルギー型バッテリパックの放電電流より小さい又はそれと等しくなるよう制御する段階と、
並列に接続されている前記パワー型バッテリパック及び前記エネルギー型バッテリパックを放電するよう前記分散型バッテリの前記バイパス回路を制御する段階と
を備える、請求項13に記載の放電制御方法。
【請求項15】
前記放電制御方法はさらに、
前記第1のバッテリパック及び前記第2のバッテリパックのタイプを判定する段階、具体的には、これら2つのバッテリパックの化学系が一致しているかどうかを判定する段階と、
前記化学系が一致している場合、前記2つのバッテリパックの容量が一致しているかどうかを判定する段階と、
前記2つのバッテリパックの前記容量が一致している場合、前記2つのバッテリパックの内部抵抗が一致しているかどうかを判定する段階と、
前記内部抵抗が一致している場合、前記2つのバッテリパックのサイクル寿命が一致しているかどうかを判定する段階と、
前記サイクル寿命が一致している場合、前記2つのバッテリパックは同じタイプのバッテリパックであると判定する段階、又は、
前記2つのバッテリパックが、前記化学系、前記容量、前記内部抵抗、及び前記サイクル寿命のうちのいずれか1つにおいて一致しない場合、前記2つのバッテリパックは異なるバッテリパックタイプからなる2つのバッテリパックであると判定する段階であって、放電率が高い方のバッテリパックがパワー型バッテリパックであり、充電/放電率が低い方のバッテリパックがエネルギー型バッテリパックである、段階と
を備える、請求項13又は14に記載の放電制御方法。
【請求項16】
モータを備える電気自動車であって、前記電気自動車はさらに分散型バッテリシステムを備え、前記分散型バッテリシステムは前記モータに電力を供給し、前記分散型バッテリシステムは、請求項1から9のいずれか一項に記載の分散型バッテリを含む、電気自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、パワーエレクトロニクス技術に関し、具体的には、分散型バッテリパック電源システム、充電制御方法、及び放電制御方法に関し、特に分散型バッテリパックを電源システムとして用いる電気自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車技術の持続的な開発によって、電気自動車やハイブリッド電気自動車などの、新たなエネルギーによる自動車が広く利用されている。
図1は、自動車の電源システムの部分構造についての概略図である。
図1に示すように、m個の電気化学電池が並列に接続されて回路を形成し、回路電圧は単一の電気化学電池の電圧と同じであるが、回路容量は単一の電気化学電池の容量のm倍の大きさである。複数の回路が直列に接続されてモジュールグループを形成し、n個のモジュールグループが直列に接続されて、電源システムのバッテリパックを形成する。バッテリパックは、継電器を用いて、高電圧負荷に電力を供給する。バッテリパックの全体電圧は、直列に接続されている回路の総数で決まり、[アンペア時]の総量は、回路の内部で並列に接続されている電気化学電池の個数で決まる。
【0003】
しかしながら、
図1の代表的な直列バッテリパック電源システムでは、充電/放電の際に、並列パターン又は直列パターンを柔軟に選択することが困難である。並列パターン及び直列パターンは両方とも、技術的課題を持っている。1つのバッテリパック又はバッテリグループが充電/放電する場合、キャスク効果(cask effect)が発生する。具体的には、複数の電気化学電池のうちの1つが放電終止電圧又は充電終止電圧に達すると、バッテリパック全体又はバッテリグループ全体が放電又は充電をすることができなくなる。より深刻なのは、複数の電気化学電池のうちの1つが(例えば、内部ショート、内部抵抗の増加、又は過剰な高温によって)故障した場合、バッテリパック全体又はバッテリグループ全体が使用できなくなることである。この場合、複数のバッテリパック又はバッテリグループを並列に接続して用いる必要がある。複数のバッテリパック又はバッテリグループを直接的に並列に接続して用いる場合、まず複数の電気化学電池は同じタイプ(化学系、サイクル寿命、容量、及び内部抵抗など)である必要があり、次に、複数の電気化学電池は高い一致性を有する必要があり(これらの電気化学電池が同じタイプであったとしても、製造の際に、容量や内部抵抗などの間に一定の偏差が生じることがあり、偏差が小さいほど高い一致性を示す)、最後に、これらのバッテリパック又はバッテリグループは同じ電圧を有する必要がある。これら全ての要件が、複数のバッテリパック又はバッテリグループを並列に接続して用いる際の難しさを増大させる。異なるタイプ、低い一致性、又は異なる電圧のバッテリパック又はバッテリグループでは、直接的に並列に接続して用いることができない。先行技術では、バッテリパック又はバッテリグループの外側に充電/放電回路を追加することによって、異なるタイプ、低い一致性、又は異なる電圧のバッテリパック又はバッテリグループを間接的に並列に接続して用いることができる。
【発明の概要】
【0004】
本発明の実施形態が、分散型バッテリ電源システム、充電制御方法、及び放電制御方法を提供して、並列式バッテリ充電/放電と直列式バッテリ充電/放電との間の柔軟な選択及び切り替えを実現する。
【0005】
複数のバッテリパック又はバッテリグループが並列に接続されて用いられる2つの一般的な方式は次のとおりである。複数のバッテリパック又はバッテリグループは、同じタイプ、高い一致性、及び同じ電圧を有する場合、直接的に並列に接続されて用いられる。複数のバッテリパック又はバッテリグループが、異なるタイプであり、一致性が低く、又は異なる電圧を有する場合、充電/放電回路がそれぞれのバッテリパック又はバッテリグループの外側に追加され、複数のバッテリパック又はバッテリグループは間接的に並列に接続されて用いられる。
【0006】
第1の態様によると、本発明の一実施形態が、複数のバッテリパックを含む分散型バッテリを提供する。分散型バッテリはさらに、制御装置、双方向電圧変換回路、バイパス回路、充電回路、及び充電入力端を含む。それぞれのバッテリパックは、1つのバイパス回路及び1つの双方向電圧変換回路に対応している。本発明の本実施形態では、双方向電圧変換回路は、双方向昇圧/降圧モジュール又は双方向昇圧/降圧回路とも呼ばれる。バイパス回路は4つのポートを含み、第1のスイッチングデバイスが第1のポートと第3のポートとを接続して、有効又は無効にすることができる回路を形成し、第2のスイッチングデバイスが第2のポートと第4のポートとを接続して、有効又は無効にすることができる回路を形成する。双方向電圧変換回路は、第1のポート、第2のポート、第3のポート、及び第4のポートという4つのポートを含む。第1のポート及び第2のポートは、バッテリパックに接続される側のポートであり、第3のポート及び第4のポートは、充電回路に接続される側のポートである。双方向電圧変換回路は、バッテリパックと充電回路との間で双方向電圧変換を行うように構成される。バッテリパックの正電極が、バイパス回路の第1のポートと双方向電圧変換回路の第1のポートとに別々に接続され、第1のバッテリパックの負電極が、バイパス回路の第2のポートと双方向電圧変換回路の第2のポートとに別々に接続され、バイパス回路の第3のポートと双方向電圧変換回路の第3のポートとは、充電回路の第1の出力端に別々に接続され、バイパス回路の第4のポートと双方向電圧変換回路の第4のポートとは、充電回路の第2の出力端に別々に接続される。充電回路の入力端が充電入力端に接続される。制御装置は、バッテリパック、双方向電圧変換回路、バイパス回路、及び充電回路に接続され、制御装置は、第1のスイッチングデバイスのオンオフ状態、第2のスイッチングデバイスのオンオフ状態、及び双方向電圧変換回路の動作状態を、バッテリパックの電圧とバッテリパックのパラメータとに基づいて制御するように構成される。
【0007】
特定の実装例では、本発明の実施形態において、バッテリパックのパラメータは、化学系、バッテリパックの容量、内部抵抗、及びサイクル寿命などのうちの1つ又は複数を含んでよい。
【0008】
第1の態様での双方向電圧変換回路の一実装例では、双方向電圧変換回路は6つのスイッチングデバイスと1つのインダクタとを含み、第1のスイッチが双方向電圧変換回路の第1のポートに接続され、第2のスイッチの一端が双方向電圧変換回路の第2のポートに接続され、第5のスイッチの一端が双方向電圧変換回路の第3のポートに接続され、第6のスイッチの一端が双方向電圧変換回路の第4のポートに接続され、第1のスイッチの他端は第3のスイッチの一端と第1のインダクタの一端とに接続され、第5のスイッチの他端は第4のスイッチの一端と第1のインダクタの他端とに接続され、第2のスイッチの他端、第3のスイッチの他端、第4のスイッチの他端、及び第6のスイッチの他端は互いに接続される。
【0009】
第1の態様の一実装例では、制御装置はさらに、複数のバッテリパックのタイプを判定し、具体的には複数のバッテリパックのうちの2つについて、2つのバッテリパックの化学系が一致しているかどうかを判定し、化学系が一致している場合、バッテリパックの容量が一致しているかどうかを判定し、バッテリパックの容量が一致している場合、バッテリパックの内部抵抗が一致しているかどうかを判定し、内部抵抗が一致している場合、バッテリパックのサイクル寿命が一致しているかどうかを判定し、寿命が一致している場合、2つのバッテリパックが同じタイプのバッテリパックであると判定する、又は2つのバッテリパックが、化学系、バッテリパックの容量、内部抵抗、及びサイクル寿命のうちのいずれか1つにおいて一致しない場合、これらのバッテリパックが異なるバッテリパックタイプからなる2つのバッテリパックであると判定するように構成され、放電率が高い方のバッテリパックがパワー型バッテリパックであり、充電/放電率が低い方のバッテリパックがエネルギー型バッテリパックである。
【0010】
第1の態様の一実装例では、複数のバッテリパックは、少なくとも第1のバッテリパック及び第2のバッテリパックを含み、第1のバッテリパック及び第2のバッテリパックは同じタイプであり、制御装置はさらに、第1のバッテリパックと第2のバッテリパックとの間の電位差を測定し、電位差が第1の閾値より小さい又はそれと等しい場合、充電回路が動作状態であるときに、第1のバッテリパックに接続されたバイパス回路の第1のスイッチングデバイス及び第2のスイッチングデバイスを閉じて回路を有効にするよう制御し、第2のバッテリパックに接続されたバイパス回路内の第1のスイッチングデバイス及び第2のスイッチングデバイスを閉じて回路を有効にするよう制御し、充電回路の出力電流を、第1のバッテリパック及び第2のバッテリパックの充電電流の合計より小さい又はそれと等しくなるよう制御するように構成される。
【0011】
第1の態様の一実装例では、複数のバッテリパックは、少なくとも2つのバッテリパック、すなわち、第1のバッテリパック及び第2のバッテリパックを含む。実際には、分散型バッテリ内の複数のバッテリパックは、同じタイプのバッテリパックであってよい。例えば、第1のバッテリパック及び第2のバッテリパックは同じタイプである。本実装例では、制御装置はさらに、第1のバッテリパックと第2のバッテリパックとの間の電位差を充電中に測定し、電位差が第1の閾値より大きい場合、充電回路が動作状態であるときに、第1のバッテリパックに接続されたバイパス回路内の第1のスイッチングデバイス及び第2のスイッチングデバイスを閉じて回路を有効にするよう制御し、充電回路の出力電流を、第1のバッテリパックの充電電流より小さい又はそれと等しくなるよう制御して、第1のバッテリパックを充電する(第1のバッテリパックの電圧は第2のバッテリパックの電圧より低い)、又は第1のバッテリパックと第2のバッテリパックとの間の電位差が第2の閾値より小さい場合、第2のバッテリパックに接続されたバイパス回路内の第1のスイッチングデバイス及び第2のスイッチングデバイスを閉じて回路を有効にするよう制御し、充電回路の出力電流を、2つのバッテリパックの充電電流の合計より小さい又はそれと等しくなるよう制御するように構成される。
【0012】
第1の態様の実行可能な一実装例では、分散型バッテ
リは、複数のタイプのバッテリパックを含んでよい。例えば、複数のバッテリパックは、少なくともエネルギー型バッテリパック及びパワー型バッテリパックを含む。そのような分散型バッテ
リの場合、制御装置はさらに、エネルギー型バッテリパックの電圧がパワー型バッテリパックの電圧より低い又はそれと等しいかどうかを充電中に判定し、エネルギー型バッテリパックの電圧がパワー型バッテリパックの電圧より低い又はそれと等しい場合、エネルギー型バッテリパックに対応する双方向電圧変換回路を、降圧モードで動作するよう制御する、又はエネルギー型バッテリパックの電圧がパワー型バッテリパックの電圧より高い場合、双方向電圧変換回路を昇圧モードで動作するよう制御し、双方向電圧変換回路の出力電流を、エネルギー型バッテリパックの充電電流より小さい又はそれと等しくなるよう制御し、パワー型バッテリパックに対応するバイパス回路内の第1のスイッチングデバイス及び第2のスイッチングデバイスを閉じて回路を有効にするよう制御し、エネルギー型バッテリパックの外側にある双方向電圧変換回路の動作モードを決定した後に、充電回路を動作するよう制御し、充電回路の出力電流を双方向電圧変換回路の入力電流とパワー型バッテリパックの充電電流との合計より小さい又はそれと等しくなるよう設定するように構成される。
【0013】
第1の態様実行可能な一実装例では、複数のバッテリパックは、少なくとも2つのバッテリパック、つまり第1のバッテリパック及び第2のバッテリパックを含み、双方向電圧変換回路の第3のポート及び第4のポートは、分散型バッテリの負荷に接続され、制御装置はさらに、第1のバッテリパックと第2のバッテリパックとの間の電位差を測定し、分散型バッテリが放電状態であるときに、電位差が第3の閾値より低い又はそれと等しい場合、第1のバッテリパックに接続されたバイパス回路内の第1のスイッチングデバイス及び第2のスイッチングデバイスを閉じて回路を有効にするよう制御し、第2のバッテリパックに接続されたバイパス回路内の第1のスイッチングデバイス及び第2のスイッチングデバイスを閉じて回路を有効にするよう制御するように構成される。
【0014】
第1の態様の実行可能な一実装例では、複数のバッテリパックは少なくとも2つのバッテリパック、すなわち、第1のバッテリパック及び第2のバッテリパックを含む。実際には、分散型バッテリ内の複数のバッテリパックは、同じタイプのバッテリパックであってよい。電圧変換回路の第3のポート及び第4のポートは、分散型バッテリの負荷に接続される。制御装置は、第1のバッテリパックと第2のバッテリパックとの間の電位差を測定し、分散型バッテリが放電状態であるときに、電位差が第3の閾値より大きい場合、第1のバッテリパックに接続されたバイパス回路内の第1のスイッチングデバイス及び第2のスイッチングデバイスを閉じて回路を有効にするよう制御して、第1のバッテリパックを放電する(第1のバッテリパックの電圧は第2のバッテリパックの電圧より高い)、又は電位差が第4の閾値より小さい又はそれと等しい場合、第2のバッテリパックに接続されたバイパス回路内の第1のスイッチングデバイス及び第2のスイッチングデバイスを閉じて回路を有効にするよう制御するように構成される。
【0015】
第1の態様の実行可能な一実装例では、複数のバッテリパックは、少なくとも2つのバッテリパックを含む。実際には、分散型バッテリ内の複数のバッテリパックは、異なるタイプのバッテリパックであってよい。例えば、複数のバッテリパックは、少なくともエネルギー型バッテリパック及びパワー型バッテリパックを含む。制御装置は、エネルギー型バッテリパックの電圧がパワー型バッテリパックの電圧より高いかどうかを判定し、エネルギー型バッテリパックの電圧がパワー型バッテリパックの電圧より低い又はそれと等しい場合、エネルギー型バッテリパックに対応する双方向電圧変換回路を昇圧モードで動作するよう制御する、又はエネルギー型バッテリパックの電圧がパワー型バッテリパックの電圧より高い場合、エネルギー型バッテリパックに対応する双方向電圧変換回路を降圧モードで動作するよう制御し、双方向電圧変換回路の入力電流を、エネルギー型バッテリパックの放電電流より小さい又はそれと等しくなるよう制御し、パワー型バッテリパックに接続されたバイパス回路内の第1のスイッチングデバイス及び第2のスイッチングデバイスを閉じて回路を有効にするよう制御するように構成される。
【0016】
第2の態様によれば、本発明の一実施形態がさらに、分散型バッテリ用の充電制御方法を提供する。本方法が適用される分散型バッテリは、少なくとも第1のバッテリパック及び第2のバッテリパックを含む。本方法は、第1のバッテリパック及び第2のバッテリパックが同じタイプのバッテリパックである場合、第1のバッテリパックと第2のバッテリパックとの間の電位差が第1の閾値より大きいかどうかを判定する段階と、第1のバッテリパックと第2のバッテリパックとの間の電位差が第1の閾値より小さい又はそれと等しい場合、並列に接続されている第1のバッテリパック及び第2のバッテリパックを充電するよう分散型バッテリのバイパス回路を制御する、又は第1のバッテリパックと第2のバッテリパックとの間の電位差が第1の閾値より大きい場合、第1のバッテリパックを最初に充電するよう分散型バッテリパックのバイパス回路を制御する段階であって、第1のバッテリパックの電圧が第2のバッテリパックの電圧より低い、段階と、第1のバッテリパックと第2のバッテリパックとの間の電位差が第2の閾値より小さい又はそれと等しいと判定した後に、並列に接続されている第1のバッテリパック及び第2のバッテリパックを充電するよう分散型バッテリのバイパス回路を制御する段階とを含む。
【0017】
第2の態様の実行可能な一実装例では、本方法はさらに、第1のバッテリパック及び第2のバッテリパックが異なるタイプのバッテリパックである場合、すなわち、第1のバッテリパックがエネルギー型バッテリパックであり、第2のバッテリパックがパワー型バッテリパックである場合、エネルギー型バッテリパックの電圧がパワー型バッテリパックの電圧より低い又はそれと等しいかどうかを判定する段階と、エネルギー型バッテリパックの電圧がパワー型バッテリパックの電圧より低い又はそれと等しい場合、エネルギー型バッテリパックに対応する双方向電圧変換回路を降圧モードで動作するよう制御する段階、又はエネルギー型バッテリパックの電圧がパワー型バッテリパックの電圧より高い場合、双方向電圧変換回路を昇圧モードで動作するよう制御し、双方向電圧変換回路の出力電流を、エネルギー型バッテリパックの充電電流より小さい又はそれと等しくなるよう制御する段階と、エネルギー型バッテリパックを充電する段階と、並列に接続されているパワー型バッテリパック及びエネルギー型バッテリパックを充電するよう分散型バッテリのバイパス回路を制御する段階とを含んでよい。
【0018】
第2の態様の実行可能な一実装例では、本方法はさらに、第1のバッテリパック及び第2のバッテリパックのタイプを判定する、具体的には、2つのバッテリパックの化学系が一致するかどうかを判定する段階と、化学系が一致する場合、2つのバッテリパックの容量が一致するかどうかを判定する段階と、2つのバッテリパックの容量が一致する場合、2つのバッテリパックの内部抵抗が一致するかどうかを判定する段階と、内部抵抗が一致する場合、2つのバッテリパックのサイクル寿命が一致するかどうかを判定する段階と、寿命が一致する場合、2つのバッテリパックが同じタイプのバッテリパックであると判定する段階、又は化学系、バッテリパックの容量、内部抵抗、及びサイクル寿命のうちのいずれか1つにおいて2つのバッテリパックが一致しない場合、2つのバッテリパックは、異なるバッテリパックタイプからなる2つのバッテリパックであると判定する段階であって、放電率が高い方のバッテリパックがパワー型バッテリパックであり、充電/放電率が低い方のバッテリパックがエネルギー型バッテリパックである、段階とを含んでよい。
【0019】
第3の態様によれば、本発明の一実施形態がさらに、分散型バッテリパック用の放電制御方法を提供する。分散型バッテリは、少なくとも第1のバッテリパック及び第2のバッテリパックを含む。本方法は、第1のバッテリパック及び第2のバッテリパックが同じタイプのバッテリパックである場合、第1のバッテリパックと第2のバッテリパックとの間の電位差を測定する段階と、電位差が第3の閾値より小さい又はそれと等しい場合、並列に接続されている第1のバッテリパック及び第2のバッテリパックを放電するよう制御する段階、又は電位差が第3の閾値より大きい場合、第1のバッテリパックを放電するよう、第1のバッテリパックに接続されたバイパス回路を制御する段階であって、第1のバッテリパックの電圧が第2のバッテリパックの電圧より高い、段階と、第1のバッテリパックと第2のバッテリパックとの間の電位差を検出する段階と、電位差が第4の閾値より小さい又はそれと等しい場合、並列に接続されている第1のバッテリパック及び第2のバッテリパックを放電するよう制御する段階とを含む。
【0020】
第3の態様の実行可能な一実装例では、本方法はさらに、第1のバッテリパック及び第2のバッテリパックが異なるタイプのバッテリパックである場合、すなわち、第1のバッテリパックがエネルギー型バッテリパックであり、第2のバッテリパックがパワー型バッテリパックである場合、エネルギー型バッテリパックの電圧がパワー型バッテリパックの電圧より高いかどうかを判定する段階と、エネルギー型バッテリパックの電圧がパワー型バッテリパックの電圧より低い又はそれと等しい場合、昇圧後にエネルギー型バッテリパックが放電する動作モードになるようエネルギー型バッテリパックを制御する、又はエネルギー型バッテリパックの電圧がパワー型バッテリパックの電圧より高い場合、降圧後にエネルギー型バッテリパックが放電する動作モードになるようエネルギー型バッテリパックを制御し、双方向電圧変換回路の入力電流をエネルギー型バッテリパックの放電電流より小さい又はそれと等しくなるよう制御する段階と、並列に接続されているパワー型バッテリパック及びエネルギー型バッテリパックを充電するよう分散型バッテリのバイパス回路を制御する段階とを含んでよい。
【0021】
第3の態様の実行可能な一実装例では、本方法はさらに、第1のバッテリパック及び第2のバッテリパックのタイプを判定する、具体的には、2つのバッテリパックの化学系が一致するかどうかを判定する段階と、化学系が一致する場合、2つのバッテリパックの容量が一致するかどうかを判定する段階と、2つのバッテリパックの容量が一致する場合、2つのバッテリパックの内部抵抗が一致するかどうかを判定する段階と、内部抵抗が一致する場合、2つのバッテリパックのサイクル寿命が一致するかどうかを判定する段階と、寿命が一致する場合、2つのバッテリパックは同じタイプのバッテリパックであると判定する段階、又は化学系、バッテリパックの容量、内部抵抗、及びサイクル寿命のうちのいずれか1つにおいて2つのバッテリパックが一致しない場合、2つのバッテリパックは、異なるバッテリパックタイプからなる2つのバッテリパックであると判定する段階であって、放電率が高い方のバッテリパックがパワー型バッテリパックであり、充電/放電率が低い方のバッテリパックがエネルギー型バッテリパックである、段階とを含んでよい。
【0022】
本発明の一実施形態がさらに、前述の分散型バッテリシステムを含む電気自動車を提供する。また、前述の制御方法はさらに、本発明の電気自動車に用いられてよい。電気自動車の動力部分が、本発明の実施形態において提供される分散型バッテリを含み、バッテリシステム、車載充電器、充電ポート、モータ、及びモータ制御装置としての役割を果たす。バッテリシステムが放電して電力をモータに供給し、バッテリシステムは、車載充電器及び充電ポートを用いて充電される。バッテリシステムの具体的な構造が、本発明の実施形態において説明される。本発明の実施形態において提供される方法及びポリシーは、具体的な充電/放電ポリシーとして用いられてよい。
【0023】
本発明の実施形態では、回路内に設計されたバイパス回路及び双方向電圧変換回路を用いて、また制御回路による制御によって、複数のバッテリパック又はバッテリグループが、必要に応じて、直接的に並列に接続されても、間接的に並列に接続されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明の実施形
態での技術的解決手段をより分かり易く説明するために、以下では、これらの実施形
態を説明するのに必要な添付図面を簡潔に紹介する。以下の説明にある添付図面は、本発明の一部の実施形態を示しており、当業者であれば、創造的努力をすることなく、これらの添付図面から他の図面を導き出し得ることは明らかである。
【0025】
【
図1】電気自動車の電源システムの部分構造についての概略図である。
【0026】
【
図2A】本発明による分散型バッテリパック電源システムの一実施形態についての概略構造図である。
【
図2B】本発明による分散型バッテリパック電源システムの一実施形態についての概略構造図である。
【0027】
【
図3】本発明の一実施形態による制御モジュールの概略構造図である。
【0028】
【
図4】本発明の一実施形態による制御ポリシーの全体的なフローチャートである。
【0029】
【
図5】本発明の一実施形態による、バッテリパックのタイプを決定するフローチャートである。
【0030】
【
図6】本発明の一実施形態による、バッテリパック充電ポリシーを選択するフローチャートである。
【0031】
【
図7】本発明の一実施形態による、別のバッテリパック充電ポリシーを選択するフローチャートである。
【0032】
【
図8】本発明の一実施形態による、バッテリパック放電ポリシーを決定するフローチャートである。
【0033】
【
図9】本発明の一実施形態による、別のバッテリパック放電ポリシーを決定するフローチャートである。
【0034】
【
図10】本発明の一実施形態による電気自動車の動力部分についての概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の実施形態の目的、技術的解決手段、及び利点をより分かり易くするために、以下では、本発明の実施形態の添付図面を参照して、本発明の実施形態における技術的解決手段を分かり易
く説明する。説明される実施形態が、本発明の実施形態の全てではなく一部であることは明らかである。本発明の実施形態に基づいて、当業者が創造的努力をすることなく取得する他の全ての実施形態は、本発明の保護範囲に含まれることになる。
【0036】
複数のバッテリパック又はバッテリグループが並列に接続されて用いられる一般的な方式が2つある。第1の方式では、複数のバッテリパック又はバッテリグループは、同じタイプ、高い一致性、及び同じ電圧を有する場合、直接的に並列に接続されて用いられる。第2の方式では、複数のバッテリパック又はバッテリグループが異なるタイプであり、一致性が低く、又は異なる電圧を有する場合、それぞれのバッテリパック又はバッテリグループの外側に充電/放電回路が追加され、複数のバッテリパック又はバッテリグループは間接的に並列に接続されて用いられる。直接的な並列接続と間接的な並列接続との切り替えをランダムに行うことはできないので、低い互換性と低い拡張性とがもたらされる。本発明の実施形態では、特別な充電/放電回路と対応する制御ポリシーとに従って、複数のバッテリパック又はバッテリグループを、必要に応じて、直接的に並列に接続することも、間接的に並列に接続することもできる。
【0037】
図2A及び
図2Bは、本発明による分散型バッテリパック電源システムの一実施形態についての概略構造図である。
図2A及び
図2Bに示すように、本実施形態の分散型バッテリパック電源システムは、2つのバッテリパック(a及びb)、2つの双方向昇圧/降圧モジュール(a及びb)、2つのバイパスモジュール(a及びb)、1つの充電回路、及び1つの制御モジュールを含んだマルチバッテリパック充電/放電システムを含んでよい。それぞれのバッテリパックは、1つの双方向昇圧/降圧モジュール及び1つのバイパスモジュールに対応している。2つのバッテリパックがある一例が、一実施形態として本明細書の説明に用いられるが、より多くのバッテリパックが同様の方式で追加されてもよい。より多くのバッテリパックがある場合、2つのバッテリパックの間の接続関係が本実施形態の接続関係と同様であり、システム要件に基づいて、本実施形態の方式で追加されてよい。
【0038】
バッテリパックaと、バッテリパックaに対応している双方向昇圧/降圧モジュールa及びバイパスモジュールaとが、一例として説明に用いられる。それぞれの双方向昇圧/降圧モジュールは4つのポートを有し、それぞれのバイパスモジュールも4つのポートを有する。バイパスモジュールaは第1のバイパスモジュールとも呼ばれ、バッテリパックaは第1のバッテリパックとも呼ばれ、双方向昇圧/降圧モジュールaは第1の双方向昇圧/降圧モジュールとも呼ばれ、バッテリパックbは第2のバッテリパックとも呼ばれる。第1のバイパスモジュールの第1のポートが第1の双方向昇圧/降圧モジュールの第1のポートに接続され、第1のバイパスモジュールの第1のポートと第1の双方向昇圧/降圧モジュールの第1のポートとは両方とも、第1のバッテリパックaの正電極に接続される。第1のバイパスモジュールの第2のポートが第1の双方向昇圧/降圧モジュールの第2のポートに接続され、第1のバイパスモジュールの第2のポートと第1の双方向昇圧/降圧モジュールの第2のポートとは両方とも、第1のバッテリパック
aの負電極に接続される。第1のバイパスモジュールの第3のポートが第1の双方向昇圧/降圧モジュールの第3のポートに接続され、第1のバイパスモジュールの第3のポートと第1の双方向昇圧/降圧モジュールの第3のポートとは両方とも、負荷の正電極及び充電回路の出力側正電極に接続される。第1のバイパスモジュールの第4のポートが第1の双方向昇圧/降圧モジュールの第4のポートに接続され、第1のバイパスモジュールの第4のポートと第1の双方向昇圧/降圧モジュールの第4のポートとは両方とも、負荷の負電極及び充電回路の出力側負電極に接続される。
【0039】
制御モジュールは、2つのバッテリパック(a及びb)、2つの双方向昇圧/降圧モジュール(a及びb)、2つのバイパスモジュール(a及びb)、及び1つの充電回路に接続される。それぞれの双方向昇圧/降圧モジュールは、6つのスイッチと1つのインダクタとを含む。バッテリパックaに対応する双方向昇圧/降圧モジュールaが、一例として説明に用いられる。第1のスイッチSa1の一端が、第1のバッテリパックの正電極に接続される。第2のスイッチSa2の一端が、第1のバッテリパックの負電極に接続される。第5のスイッチSa5の一端が、負荷の正電極と充電回路の出力側正電極とに接続される。第6のスイッチSa6の一端が、負荷の負電極と充電回路の出力側負電極とに接続される。第1のスイッチSa1の他端は、第3のスイッチSa3の一端と第1のインダクタLaの一端とに接続される。第5のスイッチSa5の他端は、第4のスイッチSa4の一端と第1のインダクタLaの他端とに接続される。第2のスイッチSa2の他端、第3のスイッチSa3の他端、第4のスイッチSa4の他端、及び第6のスイッチSa6の他端は、互いに接続される。各バイパスモジュールは、2つのスイッチを含む。第1のバッテリパック、すなわちバッテリパックaに対応するバイパスモジュールaが、一例として用いられる。第7のスイッチSa7の一端が、第1のバッテリパックの正電極に接続される。第8のスイッチSa8の一端が、第1のバッテリパックの負電極に接続される。第7のスイッチSa7の他端は、負荷の正電極と充電回路の出力側正電極とに接続される。第8のスイッチSa8の他端は、負荷の負電極と充電回路の出力側負電極とに接続される。
【0040】
一実装例では、双方向昇圧/降圧モジュール及びバイパスモジュールのスイッチはそれぞれ、MOSFET、IGBT、継電器、又は接触器のうちの1つ又は複数であってよい。双方向昇圧/降圧モジュールが動作状態であるときに、双方向昇圧/降圧モジュールが昇圧モードである場合、インダクタLaはエネルギーを蓄え、S1、S2、及びS4はオンになり、S3、S5、及びS6はオフになる、又はインダクタLaはエネルギーを放出し、S1、S2、S5、及びS6はオンになり、S3及びS4はオフになる。双方向昇圧/降圧モジュールが降圧モードである場合、インダクタはエネルギーを蓄え、S1、S2、S5、及びS6はオンになり、S3及びS4はオフになる、又はインダクタLaはエネルギーを放出し、S3、S5、及びS6はオンになり、S1、S2、及びS4はオフになる。ここでS1は、Sa1及びSb1などを指す。
【0041】
本発明の本実施形態では、6つのスイッチングデバイスが双方向昇圧/降圧モジュールに配置されているため、バッテリパックの正電極が双方向昇圧/降圧モジュールの出力ポートの負電極に接続され、且つバッテリパックの負電極が双方向昇圧/降圧モジュールの出力ポートの正電極に接続されている場合、充電/放電回路の内部にあるスイッチングトランジスタのボディダイオードによって直接的なショートが引き起こされるというリスクがない。したがって、逆極性保護機能が実装されている。
【0042】
特定の実装例における、これらの実施形態について、制御モジュールが
図3に示されている。制御モジュールは電圧サンプリングユニットを含み、それぞれのバッテリパックは1つの電圧サンプリングユニットに対応している。例えば、第1のバッテリパックaの電圧と第2のバッテリパックbの電圧とが、対応するそれぞれの電圧サンプリングユニットによって検出されてよい。制御モジュールはさらに、電圧比較ユニットを含む。バッテリパックの電圧がサンプリングされた後に、電圧比較ユニットは比較を行い、比較結果をプロセッサCPUに出力する。CPUは、信号を処理して計算する能力を有するデバイスである。CPUは、電圧比較ユニットから取得した信号に基づいて、制御信号をそれぞれのバッテリパックに出力する。それぞれのバッテリパックのバイパスモジュールを制御するのに用いられ得るバイパスモジュール制御信号が、バイパスモジュール内の各スイッチングデバイスの開閉を制御するのに用いられる。CPUは、それぞれのバッテリパックの双方向電圧変換モジュール用制御信号を出力して、それぞれのバッテリパックに対応する双方向昇圧/降圧モジュール内の各スイッチングデバイスの開閉を制御する。CPUはさらに、充電回路制御信号を出力して、充電回路の動作を制御してよい。
【0043】
前述の分散型バッテリパックの応用では、制御モジュールはバッテリパックを制御する。特定の実施形態では、全体的な制御ポリシー手順が、バッテリパックタイプの判定、バッテリパック充電ポリシーの選択及び充電開始、充電終了、バッテリパック放電ポリシーの選択及び放電開始、放電終了という5つの段階を含む。全体的な制御ポリシーのフローチャートが
図4に示されている。分散型バッテリパック内の第1のバッテリパック及び第2のバッテリパックなどの、それぞれのバッテリパックのタイプが最初に判定される。第1のバッテリパック及び第2のバッテリパックが同じタイプのバッテリパックであるかどうかについての判定結果に基づいて、バッテリパック充電ポリシー又はバッテリパック放電ポリシーが選択される。選択したポリシーに従って、充電/放電オペレーションがバッテリパックに対して行われ、充電/放電終了条件又は時間が制御される。
【0044】
図5に示すように、バッテリパックタイプ判定手順が、実行可能な一実装例において説明されている。最初に、バッテリパックの化学系が一致するかどうかが判定される。化学系が一致している場合、バッテリパックの容量(Ah)が一致しているかどうかが判定される。容量が一致している場合、バッテリパックの内部抵抗が一致しているかどうかが判定される。内部抵抗が一致している場合、バッテリパックのサイクル寿命が一致しているかどうかが判定される。サイクル寿命が一致している場合、2つのバッテリパックが同じタイプであると判定される。2つのバッテリパックが異なるタイプであると判定されるのは、化学系、容量、内部抵抗、及びサイクル寿命のうちのいずれか1つにおいて、2つのバッテリパックが一致しない場合である。2つのバッテリパックが異なるタイプである場合、2つのバッテリパックの充電/放電率が比較される。充電/放電率が高い方のバッテリパックがパワー型バッテリパックであると判定され、充電/放電率が低い方のバッテリパックがエネルギー型バッテリパックであると判定される。本発明の実施形態では、パラメータが一致しているかどうかを判定する場合、同一の数値を有するパラメータが一致していることに加えて、特定の範囲内に入る差異を有するパラメータも一致しているとみなされてよいことに留意されたい。特定の許容差が、バッテリの応用シナリオによって変わってよい。例えば、ある大容量のバッテリパックの場合、1Ahの範囲内に入る差異を有する容量が一致しているとみなされてよい。ある比較的小容量のバッテリパックの場合、0.1Ahの範囲内に入る差異を有する容量だけが、一致しているとみなされてよい。本明細書では、一例が説明に用いられている。本明細書における「一致」とは、工学的意味での数値の誤差が許容されること、又は全体的なシステム品質パラメータの要件を満たす誤差が許容されることを意味することに留意されたい。
【0045】
図6に示すように、実行可能な一実装例において、バッテリパックが同じタイプである場合のバッテリパック充電ポリシー選択手順が説明される。バッテリパックが同じタイプである場合、2つのバッテリパック間の電位差が最初に算出される。電位差の絶対値が第1の閾値Uth1(例えば5V)より小さい又はそれと等しい場合、2つのバッテリパックにそれぞれ対応するバイパスモジュールが同時に動作する、言い換えれば、2つのバイパスモジュールのそれぞれの内部にある2つのスイッチが同時にオンになる。次に、充電回路が動作し、充電回路の出力電流が、2つのバッテリパックの充電電流の合計より小さい又はそれと等しくなるよう設定される。最後に、2つのバッテリパックは、充電のために、直接的に並列に接続される。電位差の絶対値が第1の閾値Uth1より大きい場合、電圧が低い方のバッテリパックに対応するバイパスモジュールが動作する、言い換えれば、当該バイパスモジュールの内部にある2つのスイッチが同時にオンになる。次に、充電回路が動作し、充電回路の出力電流が、電圧が低い方のバッテリパックの充電電流より小さい又はそれと等しくなるよう設定される。電圧が低い方のバッテリパックは充電を開始し、2つのバッテリパック間の電位差は、充電中に常に監視される。電位差の絶対値が第2の閾値Uth2(例えば3V)より小さい又はそれと等しい場合、2つのバッテリパックにそれぞれ対応するバイパスモジュールが同時に動作し、言い換えれば、2つのバイパスモジュールのそれぞれの内部にある2つのスイッチが同時にオンになり、充電回路の出力電流は、2つのバッテリパックの充電電流の合計より小さい又はそれと等しくなるよう設定される。最後に、2つのバッテリパックは、充電のために、直接的に並列に接続される。
【0046】
図7に示すように、実行可能な一実装例において、バッテリパックが異なるタイプである場合のバッテリパック充電ポリシー選択手順が説明される。エネルギー型バッテリパックに対応する双方向昇圧/降圧モジュールが動作する。エネルギー型バッテリパックの電圧がパワー型バッテリパックの電圧より低い又はそれと等しい場合、双方向昇圧/降圧モジュールは、降圧モードで動作するように設定される。エネルギー型バッテリパックの電圧がパワー型バッテリパックの電圧より高い場合、双方向昇圧/降圧モジュールは、昇圧モードで動作するように設定される。昇圧モード及び降圧モードでは両方とも、双方向昇圧/降圧モジュールの出力電流が、エネルギー型バッテリパックの充電電流より小さい又はそれと等しくなるよう設定される。パワー型バッテリパックに対応するバイパスモジュールが動作し、当該バイパスモジュールの内部にある2つのスイッチが同時にオンになる。バッテリパックの外側にある双方向昇圧/降圧モジュールの動作モードが決定された後に、充電回路が、動作するよう制御され、充電回路の出力電流が、双方向昇圧/降圧モジュールの入力電流とパワー型バッテリパックの充電電流との合計より小さい又はそれと等しくなるよう設定される。最後に、2つのバッテリパックは、充電のために、間接的に並列に接続される。特定の例において、パワー型バッテリパックに対応するバイパスモジュールが動作し、バイパスモジュールのスイッチングデバイスが同時にオン状態になり、エネルギー型バッテリパックに対応する双方向昇圧/降圧モジュールが動作する。エネルギー型バッテリパックの電圧がパワー型バッテリパックの電圧より低い又はそれと等しい場合、双方向昇圧/降圧モジュールは降圧モードで動作する。エネルギー型バッテリパックの電圧がパワー型バッテリパックの電圧より高い場合、双方向昇圧/降圧モジュールは昇圧モードで動作する。双方向昇圧/降圧モジュールの出力電流がエネルギー型バッテリパックの充電電流より小さい又はそれと等しくなるよう設定されると、充電回路は動作を開始し、充電回路の出力電流は、双方向昇圧/降圧モジュールの入力電流とパワー型バッテリパックの充電電流との合計より小さい又はそれと等しくなるよう設定される。最後に、2つのバッテリパックは、充電のために、間接的に並列に接続される。
【0047】
実際の実装例では、バッテリパックが充電のために直接的に並列に接続されると、充電手順を終了するかどうかが判定される。2つのバッテリパックが充電のために直接的に並列に接続されている場合、2つのバッテリパックのそれぞれの電圧が常に監視される。電圧が飽和閾値(例えば400V)より高い場合、充電回路が動作を停止するよう制御され、2つのバイパスモジュールが動作を停止するよう制御される、言い換えれば、2つのバイパスモジュールのそれぞれの内部にある2つのスイッチが同時にオフになる。最後に、バッテリパックの充電が停止する。
【0048】
実際の実行可能な実装例では、エネルギー型バッテリパックが充電される場合の充電終了手順が次のとおりである。バッテリパックの電圧が常に監視される。電圧が飽和閾値Uth3(例えば400V)より高い場合、双方向昇圧/降圧モジュールが動作を停止するよう制御される。最後に、エネルギー型バッテリパックの充電が停止する。
【0049】
実際の実行可能な実装例では、パワー型バッテリパックが充電される場合の充電終了手順が次のとおりである。バッテリパックの電圧が常に監視される。電圧が飽和閾値(例えば400V)より高い場合、バイパスモジュールが動作を停止するよう制御される、言い換えれば、バイパスモジュールの内部にある2つのスイッチが同時にオフになる。最後に、パワー型バッテリパックの充電が停止する。
【0050】
実際の実行可能な実装例での、バッテリパック放電ポリシー決定手順が
図8に示されている。バッテリパックが同じタイプである場合、2つのバッテリパック間の電位差が最初に算出される。電位差の絶対値が第3の閾値Uth3(例えば5V)より小さい又はそれと等しい場合、2つのバッテリパックにそれぞれ対応するバイパスモジュールが同時に動作する、言い換えれば、2つのバイパスモジュールのそれぞれの内部にある2つのスイッチが同時にオンになる。最後に、2つのバッテリパックは、放電のために、直接的に並列に接続される。電位差の絶対値が第3の閾値Uth3より大きい場合、電圧が高い方のバッテリパックに対応するバイパスモジュールが動作する、言い換えれば、当該バイパスモジュールの内部にある2つのスイッチが同時にオンになる。次に、電圧が高い方のバッテリパックが放電を開始し、2つのバッテリパック間の電位差は、放電中に常に監視される。この場合、電圧が低い方のバッテリパックは動作せず、電力を負荷に供給することはない。電位差の絶対値が第4の閾値Uth4(例えば3V)より小さい又はそれと等しい場合、2つのバッテリパックにそれぞれ対応するバイパスモジュールが同時に動作する、言い換えれば、2つのバイパスモジュールのそれぞれの内部にある2つのスイッチが同時にオンになる。最後に、2つのバッテリパックは、放電のために直接的に並列に接続される。特定の実施形態では、2つのバッテリパック、例えば、バッテリパックa及びバッテリパックbが同じタイプである場合、2つのバッテリパック間の電位差が第3の閾値より小さい又はそれと等しいかどうかが判定される。2つのバッテリパック間の電位差が第3の閾値より小さい又はそれと等しい場合、2つのバッテリパック、すなわち、バッテリパックa及びバッテリパックbにそれぞれ対応するバイパスモジュールが同時に動作する、言い換えれば、それぞれのバイパスモジュールの内部にある2つのスイッチが同時にオンになる。2つのバッテリパックは、放電のために、直接的に並列に接続される。2つのバッテリパック間の電位差が第3の閾値より大きい場合、電圧が高い方のバッテリパックに対応するバイパスモジュールが動作し、言い換えれば、バッテリパックa及びバッテリパックbのうち、電圧が高い方のバッテリパックに対応するバイパスモジュールが動作し、電圧が高い方のバッテリパックが放電する。2つのバッテリパック間の電位差が第4の閾値より小さい又はそれと等しいかどうかが、常に検出される。2つのバッテリパック間の電位差が第4の閾値より小さい又はそれと等しい場合、2つのバッテリパック、すなわち、バッテリパックa及びバッテリパックbにそれぞれ対応するバイパスモジュールが同時に動作する。2つのバッテリパック間の電位差が第4の閾値より大きい場合、電圧が高い方のバッテリパックだけが放電する。
【0051】
実際の実行可能な実装例での、バッテリパック放電ポリシー決定手順が
図9に示される。バッテリパックが
異なるタイプである場合、エネルギー型バッテリパックに対応する双方向昇圧/降圧モジュールが動作する。エネルギー型バッテリパックの電圧がパワー型バッテリパックの電圧より低い又はそれと等しい場合、双方向昇圧/降圧モジュールは、昇圧モードで動作するように設定される。エネルギー型バッテリパックの電圧がパワー型バッテリパックの電圧より高い場合、双方向昇圧/降圧モジュールは、降圧モードで動作するように設定される。昇圧モード及び降圧モードでは両方とも、双方向昇圧/降圧モジュールの入力電流が、エネルギー型バッテリパックの放電電流より小さい又はそれと等しくなるよう設定される。パワー型バッテリパックに対応するバイパスモジュールが動作し、当該バイパスモジュールの内部にある2つのスイッチが同時にオンになる。バッテリパックの外側にある双方向昇圧/降圧モジュールの動作モードが決定された後に、2つのバッテリパックは、放電のために間接的に並列に接続される。
【0052】
実行可能な一実装例において、放電手順の終了方法が説明される。2つのバッテリパックが放電のために直接的に並列に接続されている場合、それぞれのバッテリパックの電圧が常に監視される。電圧が低電圧閾値(例えば300V)より低い場合、2つのバイパスモジュールは、動作を停止するよう制御される、言い換えれば、2つのバイパスモジュールのそれぞれの内部にある2つのスイッチが同時にオフになる。最後に、バッテリパックの放電が停止する。さらに、エネルギー型バッテリパックが放電する場合、バッテリパックの電圧が常に監視される。電圧が特定の閾値(例えば300V)より高い場合、双方向昇圧/降圧モジュールが動作を停止するよう制御される。最後に、エネルギー型バッテリパックの放電が停止する。パワー型バッテリパックが放電する場合、バッテリパックの電圧が常に監視される。電圧が低電圧閾値(例えば300V)より高い場合、バイパスモジュールが動作を停止するよう制御される、言い換えれば、バイパスモジュールの内部にある2つのスイッチが同時にオフになる。最後に、パワー型バッテリパックの
放電が停止する。
【0053】
本発明はさらに、分散型バッテリパックを有する電気自動車の一実施形態を提供する。
図10を参照すると、電気自動車は、分散型バッテリ、車載充電器、モータ、及びモータ制御装置を含む。分散型バッテリは車載充電器を用いて充電され、車載充電器は充電ポート(交流充電ポート)を用いて外部電力を取得する。分散型バッテリは電気自動車のモータに電力を供給し、モータは、分散型バッテリから電力を取得する場合、モータ制御装置により制御されてよく、モータは電気自動車に動力を供給する。ある方式では、第1のバッテリパックaがパワー型バッテリパックであってよく、第2のバッテリパックbがエネルギー型バッテリパックであってよい。実行可能な事例では、例えば、電気自動車が充電される場合、充電制御ポリシーに従って、パワー型バッテリパックとしての役割を果たす第1のバッテリパックaのバイパスモジュールaが動作し、エネルギー型バッテリパックとしての役割を果たす第2のバッテリパックのバイパスモジュールbは動作しない。エネルギー型バッテリパックとしての役割を果たす第2のバッテリパックの双方向昇圧/降圧モジュールbが動作し、パワー型バッテリパックとしての役割を果たす第1のバッテリパックの双方向昇圧/降圧モジュールaは動作しない。車載充電器は、交流充電ポートを用いて外部電源を取得する。車載充電器は、パワー型バッテリパックのバイパスモジュールを用いてパワー型バッテリパックを直接充電するために出力を供給する。車載充電器は、双方向昇圧/降圧モジュールbを用いてエネルギー型バッテリパックを充電するために出力を供給する。2つのバッテリパックを充電する場合の他のポリシー選択及び回路動作モードについては、前述の実施形態の説明を参照されたい。電気自動車が走行するとき、分散型バッテリパックは放電状態である。第1のバッテリパックaがパワー型バッテリパックであり、第2のバッテリパックbがエネルギー型バッテリパックである場合、放電制御ポリシーに従って、パワー型バッテリパックとしての役割を果たす第1のバッテリパックaのバイパスモジュールaが動作し、エネルギー型バッテリパックとしての役割を果たす第2のバッテリパックbのバイパスモジュールbは動作しない。エネルギー型バッテリパックとしての役割を果たす第2のバッテリパックbの双方向昇圧/降圧モジュールbが動作し、パワー型バッテリパックとしての役割を果たす第1のバッテリパックaの双方向昇圧/降圧モジュールaは動作しない。パワー型バッテリパックは、バイパスモジュール及びモータ制御装置を用いて、モータに電力を直接的に供給する。エネルギー型バッテリパックは、双方向昇圧/降圧モジュール及びモータ制御装置を用いて、モータに電力を供給する。2つのバッテリパックを放電する場合の他の実行可能なポリシー選択及び回路動作モードについては、前述の実施形態の説明を参照されたい。
【0054】
本発明の実施形態の分散型バッテリは、マルチバッテリパックバッテリとも呼ばれることがある。バイパスモジュール及び双方向昇圧/降圧モジュールを含む前述の充電/放電回路を用いて、また実施形態において提供される制御ポリシーに従って、複数のバッテリパック又はバッテリグループを、必要に応じて、直接的に並列に接続することも、間接的に並列に接続することもできる。