特許第6874968号(P6874968)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6874968
(24)【登録日】2021年4月26日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】塗布具及び塗布具付容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 24/22 20060101AFI20210510BHJP
   A45D 24/00 20060101ALI20210510BHJP
   A45D 34/00 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   A45D24/22 B
   A45D24/00 E
   A45D34/00 510A
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-40572(P2017-40572)
(22)【出願日】2017年3月3日
(65)【公開番号】特開2018-143425(P2018-143425A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2020年2月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000113274
【氏名又は名称】ホーユー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 美紀
(72)【発明者】
【氏名】永井口 梨恵
(72)【発明者】
【氏名】森下 奈那
(72)【発明者】
【氏名】関谷 梨乃
(72)【発明者】
【氏名】北林 由嗣
【審査官】 粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−033274(JP,A)
【文献】 特開2002−325622(JP,A)
【文献】 中国実用新案第202489416(CN,U)
【文献】 特開平10−075815(JP,A)
【文献】 特開平08−070929(JP,A)
【文献】 特開2005−000378(JP,A)
【文献】 特開2009−178313(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/103740(WO,A1)
【文献】 特開2004−313588(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 24/22
A45D 24/00
A45D 34/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布剤を収容するための容器に装着して用いられ、前記容器に収容された塗布剤を吐出して毛髪に塗布するように構成された塗布具であって、
厚み方向に沿って列設された複数の板状櫛歯を備え、
前記複数の板状櫛歯には、少なくとも1つの吐出口と、前記容器の収容空間と前記吐出口とを連通する内部流路と、を有する吐出櫛歯が含まれ、
前記吐出櫛歯は、前記複数の板状櫛歯が列設されている方向である列設方向から見た外形が、同一幅の本体部と、前記本体部から三角形状に突出した先端部と、を有する形状であり、
前記少なくとも1つの吐出口には、前記先端部に少なくとも一部が位置するように設けられた先端側吐出口と、前記先端側吐出口よりも根元側且つ前記本体部に位置するように設けられた本体側吐出口と、が含まれ
前記先端部は、前記列設方向から見て当該先端部の頂点を挟む両側に直線部を有し、前記直線部のなす角度が80〜110度の範囲内である、塗布具。
【請求項2】
請求項1に記載の塗布具であって、
前記複数の板状櫛歯には、前記列設方向において最も外側となる両側に位置し、前記列設方向から見た外形が前記吐出櫛歯と異なる端部櫛歯が含まれる、塗布具。
【請求項3】
塗布剤を収容するための容器に装着して用いられ、前記容器に収容された塗布剤を吐出して毛髪に塗布するように構成された塗布具であって、
厚み方向に沿って列設された複数の板状櫛歯を備え、
前記複数の板状櫛歯には、
少なくとも1つの吐出口と、前記容器の収容空間と前記吐出口とを連通する内部流路と、を有する吐出櫛歯と、
前記複数の板状櫛歯が列設されている方向である列設方向において最も外側となる両側に位置し、前記列設方向から見た外形が前記吐出櫛歯と異なる端部櫛歯と、
が含まれ、
前記吐出櫛歯は、前記列設方向から見た外形が、同一幅の本体部と、前記本体部から三角形状に突出した先端部と、を有する形状であり、
前記端部櫛歯は、前記列設方向から見た外形が、前記吐出櫛歯よりも横幅が狭い形状であり、
前記少なくとも1つの吐出口には、前記先端部に少なくとも一部が位置するように設けられた先端側吐出口が含まれる、塗布具。
【請求項4】
請求項3に記載の塗布具であって、
前記少なくとも1つの吐出口には、前記先端側吐出口よりも根元側に設けられた本体側吐出口が含まれる、塗布具。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の塗布具であって、
前記先端部は、前記列設方向から見て当該先端部の頂点を挟む両側に直線部を有し、前記直線部のなす角度が80〜110度の範囲内である、塗布具。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の塗布具であって、
前記列設方向において前記複数の板状櫛歯と交互に配置される複数の棒状櫛歯を更に備え、
前記複数の棒状櫛歯は、前記先端側吐出口と同じ高さに形成されている、塗布具。
【請求項7】
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の塗布具であって、
前記先端部は、前記列設方向から見て当該先端部の頂点を挟む両側に突起を有する、塗布具。
【請求項8】
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の前記塗布具と、
前記容器と、
を備える、塗布具付容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、塗布具及び塗布具付容器に関する。
【背景技術】
【0002】
染毛剤等の塗布剤を収容するための容器に、塗布剤を吐出して毛髪に塗布するように構成された塗布具が装着された塗布具付容器が知られている。塗布具は、厚み方向に沿って列設された複数の板状櫛歯を備える。複数の板状櫛歯のうち少なくとも一部の板状櫛歯は、吐出口と、容器の収容空間と吐出口とを連通する内部流路と、を有する。このような構成により、容器に収容された塗布剤が内部流路を介して吐出口から吐出される。吐出口から吐出された塗布剤は、板状櫛歯同士の隙間で保持され、ユーザが板状櫛歯で毛髪を梳くことにより毛髪に塗布される。例えば毛髪の生え際など、毛髪の根元に塗布剤を塗布しやすくするという観点では、例えば特許文献1に記載のように、板状櫛歯における先端寄りに吐出口を配置することが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−000378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の板状櫛歯は、先端付近の横幅が狭く形成されており、吐出口を板状櫛歯の先端側により近づけることについては十分に考慮されていなかった。このため、毛髪の根元への塗布剤の塗布のしやすさに課題があった。
【0005】
本開示の一局面は、毛髪の根元に塗布剤を塗布しやすくすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、塗布剤を収容するための容器に装着して用いられ、容器に収容された塗布剤を吐出して毛髪に塗布するように構成された塗布具である。塗布具は、厚み方向に沿って列設された複数の板状櫛歯を備える。複数の板状櫛歯には、少なくとも1つの吐出口と、容器の収容空間と吐出口とを連通する内部流路と、を有する吐出櫛歯が含まれる。吐出櫛歯は、複数の板状櫛歯が列設されている方向である列設方向から見た外形が、同一幅の本体部と、本体部から三角形状に突出した先端部と、を有する形状である。少なくとも1つの吐出口には、先端部に少なくとも一部が位置するように設けられた先端側吐出口が含まれる。
【0007】
このような態様によれば、毛髪の根元に塗布剤を塗布しやすくすることができる。すなわち、毛髪の根元に塗布剤を塗布しやすくするためには、塗布剤を塗布するための吐出口を、板状櫛歯の先端側にできるだけ近づけるように設計することが求められる。ただし、製造上の理由などから、板状櫛歯における吐出口の周囲にはある程度の幅を確保する必要がある。この点、上記態様では、吐出櫛歯の本体部が同一幅に形成され、先端部が本体部から三角形状に突出している。このため、吐出櫛歯の先端付近の横幅を大きく、換言すれば、吐出櫛歯の先端の角度を大きく設計することが可能となる。したがって、先端側吐出口を吐出櫛歯の先端側にできるだけ近づけた構成を実現することができる。加えて、吐出櫛歯は、先端部が三角形状に突出しているため、板状櫛歯に求められる櫛通りも得られやすくすることができる。
【0008】
本開示の一態様は、列設方向において最も外側となる両側に位置し、列設方向から見た外形が吐出櫛歯と異なる端部櫛歯が、複数の板状櫛歯に含まれていてもよい。このような態様によれば、端部櫛歯に付加的な機能、例えば毛髪の束を取り分ける機能を持たせることが可能となる。
【0009】
本開示の一態様は、列設方向において複数の板状櫛歯と交互に配置される複数の棒状櫛歯を更に備えてもよい。複数の棒状櫛歯は、先端側吐出口と同じ高さに形成されていてもよい。このような態様によれば、棒状櫛歯により毛髪の束が分離されるため、毛髪に塗布される塗布剤の偏りを抑制することができる。
【0010】
本開示の一態様は、少なくとも1つの吐出口に、先端側吐出口よりも根元側に設けられた本体側吐出口が含まれていてもよい。このような態様によれば、板状櫛歯によって保持される塗布剤の量を増やすことができる。その結果、塗布剤の塗布作業に要する時間を短くすることができる。
【0011】
本開示の一態様は、先端部が、列設方向から見て当該先端部の頂点を挟む両側に直線部を有し、直線部のなす角度が80〜110度の範囲内であってもよい。このような態様によれば、先端側吐出口を吐出櫛歯の先端側にできるだけ近づけた構成を実現しつつ、良好な櫛通りも得ることができる。
【0012】
本開示の一態様は、先端部が、列設方向から見て当該先端部の頂点を挟む両側に突起を有していてもよい。このような態様によれば、櫛通りをより良好にすることができる。
本開示の別の態様は、塗布具付容器であって、前述したいずれかの態様の塗布具と、容器と、を備える。このような態様によれば、前述した塗布具と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態の塗布具付容器の正面図である。
図2】塗布具の正面図である。
図3】第1種の板状櫛歯の厚み方向から見た外観図である。
図4】第3種の板状櫛歯の厚み方向から見た外観図である。
図5】塗布具の部分的な上面図である。
図6】変形例の第1種の板状櫛歯の厚み方向から見た外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.全体構成]
図1に示す塗布具付容器1は、染毛剤を収容するための容器10と、容器10の上端部に装着して用いられ、容器10に収容された染毛剤を吐出して毛髪に塗布するように構成された塗布具20と、を備える。なお、図1では、塗布具付容器1の一部、具体的には容器10の上部右側半分及び塗布具20の右側半分が、断面図として示されている。
【0015】
容器10は、可撓性を有する樹脂材料で形成された有底円筒状の容器、いわゆるスクイズ容器である。容器10は、当該容器10の大部分を占める胴部11よりも外径が小さい円筒状の口部12を上端部に有する。口部12の外周面には、塗布具20を装着するための雄ねじ部12aが形成されている。
【0016】
一方、図2にも示すように、塗布具20は、口部12を外側から覆うように口部12に装着可能な蓋体30と、染毛剤を毛髪に塗布するための複数の板状櫛歯40及び複数の棒状櫛歯50と、を備える。蓋体30、複数の板状櫛歯40及び複数の棒状櫛歯50は、樹脂により一体的に成型されている。なお、図2では、塗布具20の右側半分が断面図として示されている。
【0017】
蓋体30は、口部12の外径とほぼ同じ内径の円筒状の装着部31を有する。装着部31の内周面には、口部12に形成された雄ねじ部12aと螺合する雌ねじ部31aが形成されている。
【0018】
板状櫛歯40は、上方へ延びる板状の櫛歯である。ここでいう板状とは、二次元方向の寸法に対し、当該二次元方向に直交する方向、換言すれば厚み方向の寸法が比較的小さい形状を意味する。つまり、ここでいう板状は、例えば厚みが一定の形状といった厳密な板の形状に限定されない。なお、図1及び図2においては、横方向が厚み方向である。
【0019】
複数の板状櫛歯40は、厚み方向に沿って列設されている。以下の説明では、複数の板状櫛歯40が列設されている方向を「列設方向」という。この例では、塗布具20は、列設方向に沿って列設された8つの板状櫛歯40を備える。
【0020】
8つの板状櫛歯40は、列設方向から見た形状及び内部流路の有無により、大きく3種類に分類される。
第1種の板状櫛歯41は、容器10に収容された染毛剤を吐出可能な複数の板状櫛歯40である。この例では、8つの板状櫛歯40のうち、列設方向に沿った中央の4つが第1種の板状櫛歯41である。なお、第1種の板状櫛歯41は吐出櫛歯の一例である。
【0021】
図3に示すように、第1種の板状櫛歯41は、列設方向から見た外形が、横幅が同一の本体部41aと、本体部41aから三角形状に突出した先端部41bと、を有する形状である。ここでいう横幅とは、列設方向及び板状櫛歯40の高さ方向のいずれにも直交する方向に沿った長さを意味する。図3においては、横方向が横幅の方向である。また、ここでいう横幅が同一とは、厳密に同一であることに限定されるものではなく、概略同一であればよい。また、ここでいう三角形状とは、厳密な三角形に限定されるものではなく、概略三角形であればよい。三角形状には、例えば本実施形態の先端部41bのように、角部が丸みを帯びた形状も含まれる。また例えば、角部が直線状にカットされたような形状、換言すれば概略台形状であってもよい。その場合、当該直線状の部分の長さが2mm以下であれば、櫛通りを良好にすることができる。なお、図3では、第1種の板状櫛歯41の右側半分が断面図として示されている。
【0022】
第1種の板状櫛歯41は、先端側吐出口41cと、本体側吐出口41dと、内部流路41eと、を有する。先端側吐出口41cは、第1種の板状櫛歯41を厚み方向に貫通する円形の貫通孔である。第1種の板状櫛歯41において、先端側吐出口41cは、当該先端側吐出口41cの全体が先端部41bに含まれる高さに設けられている。本体側吐出口41dは、長方形状の孔である。第1種の板状櫛歯41において、本体側吐出口41dは、先端側吐出口41cよりも第1種の板状櫛歯41の根元側、具体的には、当該本体側吐出口41dの全体が本体部41aに含まれる高さに設けられている。内部流路41eは、容器10の収容空間と、先端側吐出口41c及び本体側吐出口41dと、を連通する。
【0023】
先端側吐出口41cは、第1種の板状櫛歯41の先端寄りに配置されている。これは、染毛剤が毛髪の根元まで塗布されやすくするためである。このような観点において、先端側吐出口41cは、第1種の板状櫛歯41の先端にできるだけ近い位置であることが好ましい。ただし、先端側吐出口41cが第1種の板状櫛歯41の外縁に近すぎると、第1種の板状櫛歯41の製造に支障を来し得る。これは、塗布具20を樹脂で成型する際に、第1種の板状櫛歯41における先端側吐出口41cの周囲の幅が小さいと、第1種の板状櫛歯41の先端となる部分まで樹脂が流れにくくなるからである。
【0024】
一方、第1種の板状櫛歯41には、櫛通りのよい形状であることも要求される。ここでいう櫛通りのよい形状とは、毛髪をかき分けて地肌まで届きやすい形状という意味である。このため、従来の板状櫛歯は、列設方向から見た外形が、先端に向かって横幅が狭くなる形状となっており、特に先端付近の横幅が狭く形成されていた。このため、従来の板状櫛歯では、吐出口の位置を先端側に寄せることが難しかった。
【0025】
そこで、本実施形態では、列設方向から見た先端の角度が、従来の板状櫛歯と比較して大きくなるように設計されている。具体的には、先端部41bは、列設方向から見て当該先端部41bの頂点を挟む両側に直線部41f,41gを有している。直線部41f,41gのなす角度は、80〜110度の範囲内であることが好ましく、85〜100度の範囲内であることが更に好ましく、本実施形態では90度に設計されている。このため、先端の角度が狭い従来の板状櫛歯と比較して、先端側吐出口41cをより先端側に配置することが可能となる。
【0026】
図1及び図2に示すように、第2種の板状櫛歯42は、第1種の板状櫛歯41を列設方向の両側から挟む位置に設けられた複数の板状櫛歯40である。この例では、8つの板状櫛歯40のうち、4つの第1種の板状櫛歯41を列設方向における両側から挟む位置に設けられた2つが、第2種の板状櫛歯42である。第2種の板状櫛歯42は、列設方向から見た外形が第1種の板状櫛歯41と同一である。ただし、第2種の板状櫛歯42は、内部流路を有しない。
【0027】
第3種の板状櫛歯43は、列設方向において最も外側となる両側に設けられた複数の板状櫛歯40である。この例では、8つの板状櫛歯40のうち、列設方向に沿った位置が最も外側の2つが、第3種の板状櫛歯43である。なお、第3種の板状櫛歯43は端部櫛歯の一例である。
【0028】
第3種の板状櫛歯43は、内部流路を有していない点で第2種の板状櫛歯42と共通する。ただし、第3種の板状櫛歯43は、列設方向から見た外形が、第1種の板状櫛歯41及び第2種の板状櫛歯42と異なる。具体的には、図4に示すように、第3種の板状櫛歯43は、列設方向から見た外形が、根元から先端にかけて徐々に横幅が狭くなる形状である。この例では、第1種の板状櫛歯41の本体部41aに相当する部分の左右の辺が曲線状であり、先端に近づくほど本体部41aよりも横幅が狭くなる。つまり、第3種の板状櫛歯43は、全体として第1種の板状櫛歯41よりも横幅が狭く設計されている。ただし、前述した理由により、第3種の板状櫛歯43も、従来の板状櫛歯と比較すると、先端付近の横幅が広い形状、換言すれば、列設方向から見た先端の角度が大きい形状に設計されている。
【0029】
図1及び図2に示すように、第1種の板状櫛歯41、第2種の板状櫛歯42及び第3種の板状櫛歯43は、列設方向においてほぼ等間隔に、具体的には中心線同士の間隔が5.0〜5.5mmとなるように列設される。本実施形態では、第1種の板状櫛歯41及び第2種の板状櫛歯42が列設される間隔が同一に設計され、第2種の板状櫛歯42と第3種の板状櫛歯43との間隔が、第1種の板状櫛歯41及び第2種の板状櫛歯42が列設される間隔よりも若干狭く設計されている。なお、第2種の板状櫛歯42及び第3種の板状櫛歯43には、製造の都合上、第1種の板状櫛歯41の先端側吐出口41cと同軸位置に、これらと同一形状の貫通孔42c,43cがそれぞれ形成されている。
【0030】
図1図2及び図5に示すように、棒状櫛歯50は、上方へ延びる棒状の櫛歯である。ここでいう棒状とは、一次元方向の寸法に対し、当該一次元方向に直交する方向の寸法が比較的小さい形状を意味する。つまり、ここでいう棒状は、例えば断面積が一定の形状といった厳密な棒の形状に限定されない。本実施形態の棒状櫛歯50は、高さ方向に垂直な断面の直径が1.4±0.28mmである。
【0031】
複数の棒状櫛歯50は、列設方向において、複数の板状櫛歯40と交互に配置されている。具体的には、複数の棒状櫛歯50は、第3種の板状櫛歯43を除く複数の板状櫛歯40において、互いに隣り合う板状櫛歯40同士の隙間に配置されている。換言すれば、棒状櫛歯50は、第1種の板状櫛歯41から染毛剤が吐出される隙間に配置され、染毛剤が吐出されない隙間、具体的には第2種の板状櫛歯42と第3種の板状櫛歯43との隙間には配置されていない。
【0032】
本実施形態では、棒状櫛歯50は、1つの隙間に対して2つ配置されている。具体的には、2つの棒状櫛歯50は、隣接する第1種の板状櫛歯41の先端側吐出口41c及び本体側吐出口41dを挟む両側に配置されている。
【0033】
また、各棒状櫛歯50は、先端側吐出口41cと同じ高さに形成されている。ここでいう同じ高さとは、先端側吐出口41cの下端部から上端部までの範囲内に含まれる高さを意味する。
【0034】
[2.作用]
次に、塗布具付容器1の作用について説明する。
ユーザが容器10の胴部11を押圧すると、容器10の収容空間が加圧され、容器10に収容された染毛剤が複数の第1種の板状櫛歯41が有する内部流路41eへ供給され、先端側吐出口41c及び本体側吐出口41dのそれぞれから吐出される。第1種の板状櫛歯41の先端側吐出口41c及び本体側吐出口41dのそれぞれから吐出された染毛剤は、当該第1種の板状櫛歯41と隣り合う他の板状櫛歯40との隙間で保持される。ここで、先端側吐出口41cは、第1種の板状櫛歯41の先端近くに位置しているため、第1種の板状櫛歯41の先端付近においても染毛剤が保持されやすくなる。
【0035】
このように複数の板状櫛歯40によって染毛剤が保持されている状態で、ユーザが毛髪を梳くことにより、染毛剤が毛髪に塗布される。その際、棒状櫛歯50により毛髪の束が分離されるため、毛髪に塗布される染毛剤の偏りが抑制される。なお、第3種の板状櫛歯43は、第1種の板状櫛歯41よりも横幅が狭く設計されているため、第3種の板状櫛歯43を用いて毛髪の束を取り分けること、いわゆるスライスを取ることが可能となる。
【0036】
[3.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)塗布具20において、第1種の板状櫛歯41は、本体部41aが同一幅に形成され、先端部41bが本体部41aから三角形状に突出している。このため、例えば全体として三角形状に近い形状と比較して、第1種の板状櫛歯41の先端付近の横幅を大きく、換言すれば、第1種の板状櫛歯41の先端の角度を大きく設計することが可能となる。したがって、先端側吐出口41cを第1種の板状櫛歯41の先端側にできるだけ近づけた構成を実現することができ、毛髪の根元に染毛剤を塗布しやすくすることができる。加えて、第1種の板状櫛歯41は、先端部41bが三角形状に突出しているため、必要な櫛通りも得られやすくすることができる。
【0037】
(2)列設方向において最も外側となる両側に、列設方向から見た外形が第1種の板状櫛歯41及び第2種の板状櫛歯42と異なる第3種の板状櫛歯43が設けられている。このため、第3種の板状櫛歯43に付加的な機能、例えば毛髪の束を取り分ける機能を持たせることが可能となる。
【0038】
(3)列設方向において複数の板状櫛歯40と交互に複数の棒状櫛歯50が配置されている。このため、棒状櫛歯50により毛髪の束が分離され、毛髪に塗布される染毛剤の偏りを抑制することができる。また、複数の棒状櫛歯50は、先端側吐出口41cと同じ高さに形成されている。このため、棒状櫛歯50が地肌に当たることを抑制しつつ、染毛剤の偏りを抑制することができる。その結果、例えば毛髪の染まり方が不均一になることを抑制することができる。
【0039】
(4)第1種の板状櫛歯41は、先端側吐出口41cよりも根元側に設けられた本体側吐出口41dを有する。このため、板状櫛歯40によって保持される染毛剤の量を増やすことができる。その結果、染毛剤の塗布作業に要する時間を短くすることができる。
【0040】
(5)第1種の板状櫛歯41の先端の角度が80〜110度の範囲内、具体的には90度に設計されている。このため、先端側吐出口41cを第1種の板状櫛歯41の先端側にできるだけ近づけた構成を実現しつつ、良好な櫛通りも得ることができる。
【0041】
[4.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0042】
(1)板状櫛歯40の形状は、上記実施形態で例示した形状に限定されない。例えば、図6に示す変形例の第1種の板状櫛歯61は、上記実施形態の第1種の板状櫛歯41に対し、2つの突起部61h,61iが設けられた形状である。2つの突起部61h,61iは、列設方向から見て先端部の頂点を挟む両側に配置されている。各突起部61h,61iは、第1種の板状櫛歯61の先端よりも上方へ突出している。このような形状の第1種の板状櫛歯61によれば、櫛通りをより良好にすることができる。また、先端部の頂点に突起部を設けた構成と比較して、毛髪の根元に染毛剤を塗布しやすくする効果を損ないにくくすることができる。
【0043】
なお、図6に示す突起部の形状や配置や個数等は一例であり、これ以外の態様であってもよい。例えば、突起部の形状は特に限定されないが、列設方向から見て円形状、例えば半球形状が好ましい。その場合、半球形状の直径は、例えば0.5〜2mmであることが好ましい。先端部における突起部の位置も特に限定されないが、先端部の高さ方向中央位置よりも上方であって、先端部の頂点よりも下方に配置されることが好ましい。また、図6の例のように、突起部は左右対称に2箇所設けられることが好ましい。突起部の素材、ひいては塗布具の素材も特に限定されないが、例えばオレフィン系樹脂等を用いることができる。また、このような突起部が第1種の板状櫛歯61以外に設けられてもよい。
【0044】
(2)板状櫛歯40の配置や個数等も、上記実施形態で例示した構成に限定されない。例えば、板状櫛歯40が列設される間隔は、上記実施形態とは異なる間隔であってもよい。具体的には、板状櫛歯40の中心線同士の間隔が2〜7mmであることが好ましく、5.0〜5.5mmであることが更に好ましい。
【0045】
(3)第1種の板状櫛歯41の形状は特に限定されないが、本体部41aの横幅が5〜15mmであることが好ましく、8〜12mmであることが更に好ましい。また、本体部41aの高さ方向の寸法が10〜20mmであることが好ましく、13〜17mmであることが更に好ましい。また、先端部41bの高さ方向の寸法が2〜10mmであることが好ましく、3〜7mmであることが更に好ましい。また、先端側吐出口41cの中心位置と本体側吐出口41dの中心位置との距離が10mm以内であることが好ましい。また、先端側吐出口41cから先端部41bの頂点までの距離が2〜5mmであることが好ましい。先端側吐出口41cは、上記実施形態で例示したように円形が好ましい。この場合、先端側吐出口41cの直径が1〜4mmであることが好ましく、1.5〜3mmであることが更に好ましい。
【0046】
(4)先端側吐出口41c及び本体側吐出口41dの形状や配置や個数等も、上記実施形態で例示した構成に限定されない。例えば、第1種の板状櫛歯41が有する吐出口の数は、1つであってもよく、3つ以上であってもよい。
【0047】
(5)棒状櫛歯50の構成、例えば形状や配置や個数等も、上記実施形態で例示した構成に限定されない。また、塗布具20は、棒状櫛歯50を備えない構成であってもよい。
(6)上記実施形態では、塗布剤として染毛剤を例示したが、例えば脱色剤やスタイリング剤など、染毛剤以外の毛髪化粧料が塗布剤として用いられてもよい。また、例えば育毛剤など、毛髪化粧料以外の薬剤が塗布剤として用いられてもよい。
【0048】
(7)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0049】
1…塗布具付容器、10…容器、20…塗布具、30…蓋体、40…板状櫛歯、41…第1種の板状櫛歯、41a…本体部、41b…先端部、41c…先端側吐出口、41d…本体側吐出口、41e…内部流路、41f,41g…直線部、42…第2種の板状櫛歯、43…第3種の板状櫛歯、50…棒状櫛歯、61…板状櫛歯、61h,61i…突起部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6