(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6874971
(24)【登録日】2021年4月26日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】マンホールの穴カバー容器
(51)【国際特許分類】
E02D 29/14 20060101AFI20210510BHJP
E03F 5/10 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
E02D29/14 A
E02D29/14 B
E03F5/10 A
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-45834(P2017-45834)
(22)【出願日】2017年3月10日
(65)【公開番号】特開2018-150685(P2018-150685A)
(43)【公開日】2018年9月27日
【審査請求日】2019年11月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】501107101
【氏名又は名称】水仲工業 株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100083068
【弁理士】
【氏名又は名称】竹中 一宣
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(72)【発明者】
【氏名】仲川 幸造
【審査官】
高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭57−033754(JP,U)
【文献】
特開2002−004316(JP,A)
【文献】
実開昭63−009346(JP,U)
【文献】
実開昭58−016251(JP,U)
【文献】
特開2004−211415(JP,A)
【文献】
実開昭53−033269(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 29/14
E03F 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面に開口するマンホールの開口部に嵌合される蓋と、
この蓋に、一個、又は複数個設けた人の指先が掛かる凹部を備えた取手用の穴と、
この取手用の穴に取付けるカバー容器と、
このカバー容器は、前記凹部をカバーする底部を備えるマンホールの穴カバー容器において、
前記穴は、手を差込む側の第一スロープ曲面と、この第一スロープ曲面に一方側が繋がる平坦な底部と、この底部の中心の他面側より、上面に向かった指先掛け用の凹部と、この凹部より上面に到る垂直部で構成し
前記カバー容器は、前記第一スロープ曲面と相似形の第二スロープ曲面と、前記垂直部と一部が接触し、かつ前記凹部と、前記底部より離間した第三スロープ曲面とで構成し、
また、前記カバー容器は、前記第二スロープ曲面、及び前記第三スロープ曲面、並びにこのカバー容器の両側面でポケットを備えた船形を呈し、しかも、この第二スロープ曲面は、この第三スロープ曲面に対し、スロープの長さXを長く形成したことを特徴とするマンホールの穴カバー容器。
【請求項2】
前記カバー容器の外底と、前記取手用の穴の前記底部との間に隙間を形成することを特徴とした請求項1に記載のマンホールの穴カバー容器。
【請求項3】
前記カバー容器には、このカバー容器を、前記取手用の穴に、固定するための手段を備えていることを特徴とした請求項1に記載のマンホールの穴カバー容器。
【請求項4】
前記手段は、止め具、接着剤、カシメ、凹凸嵌合、又は前記カバー容器が、前記取手用の穴に嵌合の何れかの構造とすることを特徴とする請求項3に記載のマンホールの穴カバー容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンホールの穴カバー容器に関する。
【背景技術】
【0002】
マンホールの筐体の開口部を封鎖するための(開口部に嵌合される)蓋は、公共の道路用の鉄蓋と、宅地用のプラスチック蓋(ポリプロピレン蓋)とに大別される。そして、この蓋には、取付け、取外し用、又は運搬用の貫通穴とか、取付け、取外し用の有底穴、又は取付け、取外し用の有底穴で、指先を差込むための凹部を備えた有底穴等を備えている。
【0003】
本発明は、望ましくは、指先を差込むための凹部を備えた有底穴を備えたプラスチック蓋(以下、プラスチック蓋とする)を一例として説明するが、限定されず、他のマンホール蓋にも採用できる。
【0004】
プラスチック蓋は、宅地とか、幼稚園、又は幼児、子供が生活する場所にあるマンホール用として使用されている。その際に、改良が望まれている構造がある。その一例が、指先を差込むための凹部を封鎖する手段である。理由は、幼児が、凹部に指先を掛けて取外し、転落事故が発生する等の事例が発生している。また、外したままでは、大変危険である。また、凹部を、プラスチック蓋を簡易に取外すための手段として、重宝することから、埋めることは機能上で認められない。
【0005】
そこで、本発明が意図する凹部を一時的に埋める(凹部を隠蔽する)マンホールの穴カバー容器と、これに関連するカバー容器(カバー手段)に関する先行文献を考える。文献(1)は、凹部を一時的にカバーする容器でないが、穴全体をカバーする容器(構造)として、貫通穴にクランプ金具(5)とゴムカバー(37)とを、止め具(25、26等)を利用し、封鎖するマンホール蓋装置が開示されている(特開2014−173365号)。この発明は、明細書〔0001〕に記載の如く、マンホール蓋の飛散防止である。その他として、文献(2)は、蓋に工具を挿入する有底丸穴(23)と手を挿入する有底長穴(24)とを有する排水桝用蓋が開示されている(実開平6−1487号)。この考案は、明細書〔0005〕に記載の如く、蓋の開閉を容易とすることにある。
【0006】
【特許文献1】特開2014−173365号公報
【特許文献2】実開平6−1487号公報
【0007】
前述の文献(1)と文献(2)とは、ともにマンホールの蓋の改良であり、本発明が意図する「蓋の指先が掛かる凹部を一時的に埋めるための穴カバー容器」とは、意図と内容が異なると考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前述の蓋の付属品、即ち、「蓋の指先が掛かる凹部を一時的に埋めるための穴カバー容器」に関しての改良であり、これまでに、考えられなかった凹部の有効性と、この凹部の役割を担いつつ、誤った所作で発生する危険性の解消にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前述の凹部の有効性と、この凹部の役割を担いつつ、誤った所作で発生する危険性の解消が図れる、請求項1〜7を提案することにある。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明では、地面に開口するマンホールの開口部に嵌合される蓋と、
蓋に、一個、又は複数個設けた人の指先が掛かる凹部を備えた取手用の穴と、
取手用の穴に取付けるカバー容器と、
カバー容器は、
凹部をカバーする底部を備える
マンホールの穴カバー容器において、
穴は、手を差込む側の第一スロープ曲面と、第一スロープ曲面に一方側が繋がる平坦な底部と、底部の中心の他面側より、上面に向かった指先掛け用の凹部と、凹部より上面に到る垂直部で構成し
カバー容器は、第一スロープ曲面と相似形の第二スロープ曲面と、垂直部と一部が接触し、かつ凹部と、底部より離間した第三スロープ曲面とで構成し、
また、カバー容器は、第二スロープ曲面、及び第三スロープ曲面、並びにカバー容器の両側面でポケットを備えた船形を呈し、しかも、第二スロープ曲面は、第三スロープ曲面に対し、スロープの長さXを長く形成したことを特徴とするマンホールの穴カバー容器であり、
凹部の有効性と、
凹部の役割を担いつつ、誤った所作で発生する危険性の解消が図れる等の特徴がある。
さらにカバー容器は、蓋に設けた指先が掛かる凹部の形状確保と、凹部への衝撃損傷防止に有効な凹部の構造を提供できる。また、カバー容器は、蓋に設けた指先が掛かる凹部の保護と、凹部への衝撃損傷防止に有効である。
【0011】
請求項2の発明では、前記カバー容器の外底と、前記取手用の穴の底部との間に離間(空間)を形成するマンホールの穴カバー容器であり、請求項1の特徴に併せて、容器の、例えば、衝撃損傷防止に有効である。
【0012】
請求項3の発明では、前記カバー容器には、このカバー容器を、前記取手用の穴に、固定するための手段を備えているマンホールの穴カバー容器であり、請求項1の特徴に併せて、容器の、例えば、悪質な取外しにたいしても有効性が担持できる。
【0013】
請求項4の発明では、前記手段は、止め具、接着剤、カシメ、凹凸嵌合、又は前記カバー容器が、前記取手用の穴に嵌合の何れかの構造とするマンホールの穴カバー容器であり、請求項1と、請求項3と同じように有効である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】マンホールと、その蓋とを示した装置の一例であって、その要部の一部省略の縮尺俯瞰図
【
図2】本発明のカバー容器(差込み凹部被嵌容器、又は凹部嵌合容器)を取手用の穴に差込んだ(挿入、被嵌等して設けた)平面図
【
図5-1】カバー容器を取手用の穴に差込んだ断面図
【
図6】(イ)〜(ホ)は、カバー容器と取手用の穴との取付け関係を、それぞれ示した断面図
【
図7】本発明のカバー容器を取付けた状態で、カバー容器に指先を差込んでも、取手用の穴に接触せず、蓋を外すことできない状態を示した断面模式図
【
図8-1】従来の取手用の穴を備えた蓋をしめした平面図
【
図8-2】従来の取手用の穴に、指先を差込んで、蓋を外しできる状態を示した断面模式図
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1において、マンホールと、その蓋とを示した装置(マンホール装置A)の一例において、図中A1は、マンホール装置Aの下水道管に通じた立上げ管で、立上げ管の上部のフランジ部A10には、蓋受け枠A2が固定される。また、蓋受け枠A2の開口部A20には、筐体A3が嵌合支持されるとともに、蓋受け枠A2の上面の環状枠片A21は、筐体A3のフランジ部A30を支持する。そして、この筐体A3のフランジ部A30には、マンホールの蓋1が嵌合支持される。この構造では、内フランジ部A22は、マンホールの蓋1を支持する。この一例の構造では、内フランジ部A22の開口部は、マーホールの開口部となるが、限定されない。
【0018】
図3に示したマンホールの蓋1の取手用の穴2(本発明では、有底窪みであるが、限定されず、例えば、貫通穴でもよい)の一例に関して説明すると、原則として、左右対の穴2を備えている。穴2は、それぞれ対の外側2a、2b(環状輪郭)より、中心に向かった形状を説明すると、手を差込む側の第一スロープ曲面100と、この第一スロープ曲面100に一方側(始端)が繋がる平坦な底部101と、底部101の中心の他面側(底部101の終端)より、上面1aに向かった指先掛け用の凹部102(人の指先が掛かる凹部)と、この凹部102より上面1aに到る垂直部103(第一垂直入口)とで構成した、断面視して、半截の略ブーメラン形を呈する。
【0019】
そして、
図4−1と
図4−2に示した本発明のカバー容器3は、マンホールの蓋1に設けた穴2に差込まれる、このカバー容器3は、前記第一スロープ曲面100と相似形の第二スロープ曲面300と、前記垂直部103と一部が接触し、かつ前記凹部102と、前記底部101より離間302した第三スロープ曲面301とでなる。図中303、304は、カバー容器3の両側面であり、全体視して(第二スロープ曲面300と、第三スロープ曲面301、及び両側面303、304によって)、船形を呈し、ポケット305を形成する。そして、第二スロープ曲面300が、第三スロープ曲面301に対して、スロープの長さXが長く形成されている。そして、
図5−1と
図5−2で示すように、穴2にカバー容器3を差込んだ状態では、第一スロープ曲面100には第二スロープ曲面300が添接し、垂直部103には、第三スロープ曲面301の一部が接触し、かつ凹部102と、底部101の略全体より離間302した(空間を形成するようにした)状態で第三スロープ曲面301の他部が支持される。尚、離間302を設けて、カバー容器3に緩衝効果を付与することで、このカバー容器3への衝撃緩和とか、肉厚の軽減化、又は取外しの簡便化等に役立つと考えられる。カバー容器3は、プラスチック製が好ましく、例えば、肉薄で1mm〜3mmとし、望ましくは、1.5mmとする。また、蓋1のポリプロピレン樹脂と、同質か、又は異質かにする。また、カバー容器3は、可撓性か硬質性かは問わない。しかし、硬質性が、本発明の機能、例えば、後述する差込み固定において望ましい。さらには、カバー容器3は、カラー・柄等のバリエーションも有り得る。
【0020】
この穴2にカバー容器3を差込んだ状態は、
図1と、
図5−1、
図5−2と、
図6(イ)〜(ハ)等に図示されている。この状態では、凹部102はカバー容器3で隠蔽されており、
図7に示すように、指先が差込まれる(達する)のは、ポケット305迄であり、カバー容器3の下側には至らず、当然、凹部102に掛からず、蓋1を取外すことは、極めて困難である。尚、カバー容器3を取外すのは、後述する各種の取付けに相応した、例えば、スパナーの差込み操作、螺子回し操作、緊急時の破壊等の方法がある。
【0021】
図6の(イ)〜(ハ)は、カバー容器3と取手用の穴2との(凹部102を隠蔽する)取付け関係を、それぞれ示した断面図を利用して、好ましい、一例を説明する。(イ)は、接着剤10を利用して取付ける(固定、固着等する)構造である。(ロ)は、取付具11を利用して螺子込みして取付ける構造である。(ハ)は、穴2より大きくしたカバー容器3を圧嵌12して取付ける構造である。(ニ)は凹凸嵌合3を利用して取付ける構造である。(ホ)は、係合止具14(クリップ止め具、差込み止め具、割りピン等)を利用して取付ける(固定する)構造である。
【0022】
前述した各実施例等は、本発明の好ましい一例の説明である。各実施例とか図面に限定されない。従って、発明の趣旨の範囲において構成の一部を変更する構造とか、同じ特徴と効果を達成できる構造、等は、本発明の範疇である。
【符号の説明】
【0023】
1 蓋
1a 上面
100 第一スロープ曲面
101 底部
102 凹部
103 垂直部
2 取付け穴
3 カバー容器
300 第二スロープ曲面
301 第三スロープ曲面
302 離間
303 側面
304 側面
305 ポケット
10 接着剤
11 取付具
12 圧嵌
13 凹凸嵌合
14 係合止具
A マンホール装置
A1 立上げ管
A10 フランジ部
A2 蓋受け枠
A20 開口部
A21 環状枠片
A22 内フランジ部
A3 筐体
A30 フランジ部
X 長さ