特許第6874972号(P6874972)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6874972
(24)【登録日】2021年4月26日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】プロテオグリカン分析方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/88 20060101AFI20210510BHJP
   G01N 30/74 20060101ALI20210510BHJP
   B01J 20/281 20060101ALI20210510BHJP
   G01N 30/26 20060101ALI20210510BHJP
   G01N 30/78 20060101ALI20210510BHJP
   C07K 1/16 20060101ALI20210510BHJP
   C07K 14/46 20060101ALI20210510BHJP
   C07K 14/47 20060101ALI20210510BHJP
   G01N 30/00 20060101ALI20210510BHJP
   G01N 1/10 20060101ALN20210510BHJP
【FI】
   G01N30/88 E
   G01N30/74 Z
   G01N30/74 E
   B01J20/281 G
   G01N30/26 A
   G01N30/78
   C07K1/16
   C07K14/46
   C07K14/47
   G01N30/00 B
   !G01N1/10 B
   !G01N1/10 H
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-46295(P2017-46295)
(22)【出願日】2017年3月10日
(65)【公開番号】特開2018-151207(P2018-151207A)
(43)【公開日】2018年9月27日
【審査請求日】2020年3月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000119472
【氏名又は名称】一丸ファルコス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】高橋 達治
(72)【発明者】
【氏名】小島 弘之
【審査官】 大瀧 真理
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−236776(JP,A)
【文献】 特開2014−141580(JP,A)
【文献】 特開2016−113382(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/099216(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 20/281 − 30/292
G01N 30/00 − 30/96
C07K 1/16
C07K 14/46
C07K 14/47
G01N 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記1)から3)の工程により軟骨または軟骨抽出物を含む組成物中のプロテオグリカンを定量する方法で、
1)プロテオグリカンを含む軟骨または軟骨抽出物を含む組成物中から水または水溶液で抽出し抽出物を回収する工程、
2)分子量分画膜を有する中空状容器にて遠心分離を行い、濃縮物を回収する工程、
3)サイズ排除クロマトグラフィーを用いたHPLC法でプロテオグリカンと他の成分を分離し、200から280nmの波長のUVでプロテオグリカンを検出する工程、
当該分子量分画膜を有する中空状容器が分子量5万から10万で篩い可能な容器であり、
サイズ排除クロマトグラフィーカラムの充填剤が、平均粒子径10μm以上の充填剤であり、
当該クロマトグラフィーの移動相がpH5.0から10.0の緩衝液であり、
当該プロテオグリカンの分子量が10万から200万である、当該方法。
【請求項2】
下記1)から3)の工程により軟骨または軟骨抽出物を含む組成物中のプロテオグリカンを定量する方法で、
1)プロテオグリカンを含む軟骨または軟骨抽出物を含む組成物中から水または水溶液で抽出し抽出物を回収する工程、
2)分子量分画膜を有する中空状容器にて遠心分離を行い、濃縮物を回収する工程、
3)サイズ排除クロマトグラフィーを用いたHPLC法でプロテオグリカンと他の成分を分離し、示差屈折率検出によりプロテオグリカンを検出する工程、
当該分子量分画膜を有する中空状容器が分子量5万から10万で篩い可能な容器であり、
サイズ排除クロマトグラフィーカラムの充填剤が、平均粒子径10μm以上の充填剤であり、
当該クロマトグラフィーの移動相がpH5.0から10.0の緩衝液であり、
当該プロテオグリカンの分子量が10万から200万である、当該方法。
【請求項3】
プロテオグリカンの検出を200から280nmの波長のUV及び示差屈折率検出により行う、請求項1記載の方法。
【請求項4】
当該波長が、200から220nmである、請求項1又は3に記載の方法。
【請求項5】
当該濃縮物中にコンドロイチン硫酸を実質的に含まない、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟骨、軟骨抽出物中又は食品中に含まれるプロテオグリカンを精密に定量する方法、及び高純度のプロテオグリカンの回収に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プロテオグリカンは、コラーゲンやヒアルロン酸と共に細胞外マトリックス中の基質を形成する主要な生体高分子であって、ヒトや牛などの哺乳動物、鮭や鮫など魚類の軟骨に含まれていることが知られており、プロテオグリカンを配合した健康食品、化粧品、プロテオグリカンの製造方法等が多く報告されている。また、プロテオグリカン自体の有用性も多く報告されており、分子量の低い50kDa〜1000kDaのプロテオグリカンは軟骨分化促進作用やひざ関節改善作用、皮膚色素沈着抑制作用など報告されている(特許文献1)。
【0003】
一方、プロテオグリカンの分析については糖鎖部分のウロン酸をカルバゾール法、タンパク質部分を280nmのUV吸収で検出した分析方法が報告されているものの(特許文献2)、遊離のコンドロイチン硫酸やヒアルロン酸、コラーゲンが存在する低分子領域では利用できない問題があった。
【0004】
また、コンドロイチン硫酸やヒアルロン酸、コラーゲンを除くためHPLCにインジェクトする前処理として、透析後100万以上の分子量で定量する方法があるがこれでは100万以下の分子量のプロテオグリカンに対して定量する事はできない(特許文献3)。
【0005】
プロテオグリカンに対し特異的に働く抗体を作成した報告もあるが、費用も高く工業的には実現されていない。(特許文献4)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016−138060
【特許文献2】特開2016−128467
【特許文献3】特開2002−069097
【特許文献4】特開2016−160226
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、HPLCを利用し、プロテオグリカンを含む組成物中の分子量10万〜200万のプロテオグリカンを定量する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、遊離のコンドロイチン硫酸を徹底的に除くため透析、分子量分画、HPLC、電気泳動、比色法等様々な条件を検討した結果、分子量分画膜を有する中空状の容器で前処理を行えば、ほぼ全てのコンドロイチン硫酸を除き、高分子量から低分子量のプロテオグリカンのみを残す事を見出した。さらにサイズ排除クロマトグラフィーを利用し、最適な条件を選択することで分子量が近いヒアルロン酸、コラーゲンとも分離できることを新たに見出した。
【発明の効果】
【0009】
本発明の分析方法によれば、分子量10万〜200万のプロテオグリカンに対してUVまたは示差屈折で検出、もしくは画分を採取することにより、プロテオグリカンを含む組成物中の定量が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】分子量分画前後のプロテオグリカン含有サケ鼻軟骨抽出末を分析対象とした、クロマトグラム
図2】プロテオグリカン標準品の検量線
図3】溶出溶媒のpHを変更したプロテオグリカンのクロマトグラム
図4】食品組成物中のプロテオグリカンのクロマトグラム(実施例2)
図5】食品組成物中のプロテオグリカンのクロマトグラム(実施例3)
図6】食品組成物中のプロテオグリカンのクロマトグラム(実施例4)
図7】食品組成物中のプロテオグリカンのクロマトグラム(実施例5)
図8】食品組成物中のプロテオグリカンのクロマトグラム(実施例6)
図9】食品組成物中のプロテオグリカンのクロマトグラム(実施例7)
図10】食品組成物中のプロテオグリカンのクロマトグラム(実施例8)
図11】食品組成物中のプロテオグリカンのクロマトグラム(実施例9)
図12】食品組成物中のプロテオグリカンのクロマトグラム(実施例10)
図13】食品組成物中のプロテオグリカンのクロマトグラム(実施例11)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の分析対象である軟骨とはプロテオグリカンを含有することが知られている魚類や軟体動物などの水棲生物、鳥類若しくは哺乳類の軟骨組織を指し、特に鮭の頭部や、鮫のヒレ部の軟骨組織が分析対象として好ましい。また、軟骨抽出物とは前記軟骨をそのまま又は粉砕後の搾取物。又は、そののまま又は粉砕後の溶媒抽出物を指し、軟骨抽出物の形状としては、液状、固形状、粉末状、ペースト状いずれの形状も含み、いずれの形状でも分析対象とすることができる。
【0012】
本発明における軟骨、軟骨抽出物、またはプロテオグリカンを含む組成物に用いる抽出溶媒としては水や水溶液を用いれば良く、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ性の水溶液や、グアニジン塩酸や尿素、酢酸、クエン酸、硫酸、硝酸などの酸性の水溶液が好ましい。
【0013】
本発明における分子量分画膜を有する中空状容器とは、主にコンドロイチン硫酸を除き使用するための容器であって、5万〜10万の間で分子篩いが可能な膜を有し、膜の篩いによって分析対象物のプロテオグリカン含量が減少しない条件に適合する容器であればよい。特に、遠心分離に対応している容器が好ましく、ミリポア社製のメンブレンアミコンウルトラ(Amicon Ultra)遠心式フィルターユニット、ジーエルサイエンス社製のモノスピンMonoSpin、バイラッド社製のスピンカラム、GEヘルスケアジャパン社製のVivaspin、日本ポール社製のマクロセップアドバンス、ザルトリウス社製のビバスピン/ビバスピンturboなどを用いるとよい。
【0014】
本発明のHPLC法におけるサイズ排除ゲルクロマトグラフィー用のカラムとしては、分析可能な分子量が10万〜200万に対応しているカラムを用いればよいが、分離能がよくなることから粒子径10 μm以上の充填剤を含むカラムやタンパク分析用のカラムを使用することが好ましく、特に基材がメタクリレートポリマーのカラムを用いることが好ましい。
【0015】
検出はUV検出器を使用し200〜280 nmであればプロテオグリカンを検出することができ、特に200〜220 nmのUV波長で検出することが好ましい。また、プロテオグリカンのピークは標準品であるプロテオグリカン, サケ鼻軟骨由来(和光純薬工業製)を用意し、分析対象の試料とクロマトグラムを重ねほぼ同じ溶出範囲にピークがあれば、そのピークがプロテオグリカンを検出したピークであることが分かる。また、予めプロテオグリカンの標準品で検量線を作成することで、試料中のプロテオグリカンの定量も行う。
【0016】
本発明の分析方法が適用可能なプロテオグリカンを含む食品としては、液状、固形状、粉末状、ペースト状、ゼリー状、ゲル状、タブレット状のいかなる形態でもよく、必要に応じて食品を粉砕、搾取、抽出を行い、HPLC法を適用し分析することが可能である。
【0017】
本発明の分析対象であるプロテオグリカンを含有する各種組成物については組成全体に対し0.001%程度以上あれば検出することができ定量することが可能である。
【実施例】
【0018】
以下の実施例は本発明におけるプロテオグリカン含有物の具体例であるが、本発明は以下実施例に限定されるものではない。
【0019】
実施例1:プロテオグリカン含有サケ鼻軟骨抽出末中のプロテオグリカンの定量
【0020】
(サケ鼻軟骨からプロテオグリカンの回収)
−30℃で冷凍保管したシロサケの頭部から摘出した鼻軟骨を400 g用意し、出発原料とした。4重量%の酢酸水溶液2000 gに出発原料を投入し、撹拌しながら72時間抽出した。
この溶出液をステンレススチールメッシュ(150 μm)でろ過し、不溶物を除去した。ろ液を透析膜にて十分に透析し、得られた液にデキストリンを加えて噴霧乾燥し、プロテオグリカン20%調製したプロテオグリカン含有サケ鼻軟骨抽出末20 gを得た。
【0021】
(分子量分画膜による分離)
前記プロテオグリカン含有サケ鼻軟骨抽出末25 mgに精製水を加えて50 mL容量に調製し、この調製液10 mLをビバスピンturbo15 100,000 MWCO(ザルトリウス社製)に量り取り、遠心分離(3000rpm、10分)した。さらに上清に精製水10 mLを加えて遠心分離し、この水洗を3回行なった。水洗した上清のプロテオグリカン濃縮液を試料1とし、分子量分画を行わなかったプロテオグリカン溶液を試料2とした。
【0022】
(標準品によるプロテオグリカンの検量線作成)
プロテオグリカンの標準品(和光純薬工業製)2 mgを精密に量り、リン酸緩衝液(pH6.8)を加えて10 mL容量に調製した(A液)。A液5 mLを取り、リン酸緩衝液(pH6.8)を加えて10 mL容量に調製したもの、A液2 mLを取り、リン酸緩衝液(pH6.8)を加えて10 mL容量に調製したもの及びA液をそれぞれ検量線作成用標準液とする。検液及び標準液について0.45 μmのメンブレンフィルターを通した後、次の操作条件で液体クロマトグラフィーを行い、得られた検量線からプロテオグリカン量を求めた。なお、標準品:プロテオグリカン,サケ鼻軟骨由来(和光純薬工業製)は、室温減圧デシケーター(シリカゲル)で3時間乾燥してから採取した。
カラム :TSKgel G5000PWXL(東ソー社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:50 μL
移動相 :リン酸緩衝液(pH6.8)
流量 :0.5 mL/min
検出器 :UV検出器(SPD−20A 島津製作所社製) 検出波長=215 nm
及び、示差屈折率検出器(RID−10A 島津製作所製)
【0023】
(プロテオグリカンの定量)
試料1の濃縮液を回収し、リン酸緩衝液(pH6.8)に溶かし、10 mL容量に調整した。試料2は、5 mgをリン酸緩衝液(pH6.8)に溶かし、10 mL容量に調製し、各々0.45 μmメンブレンフィルターを通した後、以下操作条件でHPLCを行い標準品の検量線からプロテオグリカン量を求めた。
カラム :TSKgel G5000PWXL(東ソー社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:50 μL
移動相 :リン酸緩衝液(pH6.8)
流量 :0.5 mL/min
検出器 :UV検出器(SPD−20A 島津製作所社製) 検出波長=215 nm
及び、示差屈折率検出器(RID−10A 島津製作所製)
【0024】
(移動相の条件検討)
プロテオグリカンのHPLC分析に適した移動相の条件を検討するため、プロテオグリカンの標準品(和光純薬工業製)2 mgを精密に量り、リン酸緩衝液に10 mLの溶液になるよう調製し、0.45 μmのメンブレンフィルターを通した後、移動相のリン酸緩衝液でpHの条件を変更し以下操作条件でHPLCを行った。
カラム :TSKgel G5000PWXL(東ソー社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:50 μL
移動相 :リン酸緩衝液(pH=5.0、8.0、9.6のいずれか)
流量 :0.5 mL/min
検出器 :UV検出器(SPD−20A 島津製作所社製) 検出波長=215 nm
及び、示差屈折率検出器(RID−10A 島津製作所製)
【0025】
(試験結果)
試料1と試料2を比較すると(図1)、分子量分画を行った試料1はシャープなピークが標準品のピーク溶出時間と同じ位置で検出し、プロテオグリカン以外の不純物を除外することができた。これによって標準品の検量線(図2)を利用して定量も可能となった。また、プロテオグリカンのHPLC分析に適した移動相の条件としてはpH5.0〜10.0程度であれば可能なことを確認した。(図3
【0026】
実施例2:食品組成物(錠剤)中のプロテオグリカン定量
【0027】
(錠剤中のプロテオグリカンの回収)
錠剤(プロテオグリカン含有サケ鼻軟骨抽出物、II型コラーゲン含有豚軟骨エキス、N−アセチルグルコサミン、コンドロイチン硫酸含有鮫軟骨抽出物、及びヒアルロン酸配合の市販品)を乳鉢および乳棒にて粉砕し、粉砕物150 mgに4M−グアニジン塩酸溶液15 mLを加えた。次に超音波処理にて15分間抽出し、遠心分離により上清を回収した。さらに沈殿物に4M−グアニジン塩酸溶液15 mLを加えて、同様の抽出操作を3回行った後、得られた上清液をろ過し、プロテオグリカン含有抽出液45 gを得た。
【0028】
(分子量分画膜による分離)
前記プロテオグリカン含有抽出液をAmicon Ultra−15, Ultracel 100k(ミリポア社製)に入れ、遠心分離(3500 rpm、30分)した。さらに上清に精製水15 mLを加えて遠心分離し、この水洗を7回行った。水洗した上清のプロテオグリカン濃縮液を試料3とし、分子量分画を行わなかったプロテオグリカン濃縮液を試料4とした。
【0029】
(プロテオグリカンの定量)
試料3、試料4の10 mgをリン酸緩衝液(pH6.8)に溶かし、20 mLの溶液を調整し、0.45 μmメンブレンフィルターを通した後、以下操作条件でHPLCを行い標準品の検量線からプロテオグリカン量を求めた。
カラム :TSKgel G5000PWXL(東ソー社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:50 μL
移動相 :リン酸緩衝液(pH6.8)
流量 :0.5 mL/min
検出器 :UV検出器(SPD−20A 島津製作所製)検出波長=215 nm
及び、示差屈折率検出器(RID−10A 島津製作所製)
【0030】
(試験結果)
試料3と試料4を比較すると(図4)、分子量分画を行った試料1はシャープなピークが標準品のピーク溶出時間と同じ位置で検出し、プロテオグリカン以外の不純物を除外することができ、定量も可能となった。
【0031】
実施例3:食品組成物(錠剤)中のプロテオグリカン定量
【0032】
(錠剤中のプロテオグリカンの回収)
錠剤(プロテオグリカン含有サケ鼻軟骨抽出物、γーグルタミルエチルアミド、ロングペッパーエキス、クレアチン、α-リポ酸、ビタミンB2、ビタミンB6、葉酸、及びビタミンB1配合の市販品)を乳鉢および乳棒にて粉砕し、粉砕物270 mgに4M−グアニジン塩酸溶液15 mLを加えた。次に超音波処理にて15分間抽出し、遠心分離により上清を回収した。さらに沈殿物に4M−グアニジン塩酸溶液15 mLを加えて、同様の抽出操作を4回行った後、得られた上清液をろ過し、プロテオグリカン含有抽出液60 gを得た。
【0033】
(分子量分画膜による分離)
プロテオグリカン含有抽出液をVivaspin15 Turbo MWCO 100000(ザルトリウス製)に入れ、遠心分離(3500 rpm、30分)した。さらに上清に精製水15 mLを加えて遠心分離し、この水洗を5回行なった。水洗した上清のプロテオグリカン濃縮液を試料5とした。
【0034】
(プロテオグリカンの定量)
試料5を回収し、リン酸緩衝液(pH6.8)に溶かし、25 mL容量に調製した。0.45 μmメンブレンフィルターを通した後、以下操作条件でHPLCを行い標準品の検量線からプロテオグリカン量を求めた。
カラム :TSKgel G5000PWXL(東ソー社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:50 μL
移動相 :リン酸緩衝液(pH6.8)
流量 :0.5 mL/min
検出器 :示差屈折率検出器(RID−10A 島津製作所社製)
【0035】
(試験結果)
分子量分画を行った試料5はシャープなピークが標準品のピーク溶出時間と同じ位置で検出し、プロテオグリカン以外の不純物を除外することができ、定量も可能となった(図5)。
【0036】
実施例4:食品組成物(顆粒)中のプロテオグリカン定量
【0037】
(顆粒中のプロテオグリカンの回収)
顆粒(プロテオグリカン含有サケ鼻軟骨抽出物、黒胡椒エキス、及びビタミンC配合した作製品)73 mgに4M−グアニジン塩酸溶液15 mLを加えた。次に超音波処理にて15分間抽出し、遠心分離により上清を回収した。さらに沈殿物に4M−グアニジン塩酸溶液15 mLを加えて、同様の抽出操作を4回行った後、得られた上清液をろ過し、プロテオグリカン含有抽出液60 gを得た。
【0038】
(分子量分画膜による分離)
プロテオグリカン含有抽出液をAmicon Ultra−15, Ultracel 100k(ミリポア社製)に入れ、遠心分離(3500 rpm、30分)した。さらに上清に精製水15 mLを加えて遠心分離し、この水洗を5回行なった。水洗した上清のプロテオグリカン濃縮液を試料6とした。
【0039】
(プロテオグリカンの定量)
試料6を回収し、リン酸緩衝液(pH6.8)に溶かし、20 mL容量に調製した。0.45 μmメンブレンフィルターを通した後、以下操作条件でHPLCを行い標準品の検量線からプロテオグリカン量を求めた。
カラム :TSKgel G5000PWXL(東ソー社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:50 μL
移動相 :リン酸緩衝液(pH6.8)
流量 :0.5 mL/min
検出器 :UV検出器(SPD−20A 島津製作所社製)検出波長=215 nm
及び、示差屈折率検出器(RID−10A 島津製作所社製)
【0040】
(試験結果)
分子量分画を行った試料6はシャープなピークが標準品のピーク溶出時間と同じ位置で検出し、プロテオグリカン以外の不純物を除外することができ、定量も可能となった(図6)。
【0041】
実施例5:食品組成物(錠剤)中のプロテオグリカン定量
【0042】
(錠剤中のプロテオグリカンの回収)
錠剤(プロテオグリカン含有サケ鼻軟骨抽出物、米発酵物、ロイシン、カルシウム、グルコサミン、及びビタミンD配合の市販品)を乳鉢および乳棒にて粉砕し、粉砕物1174 mgに精製水15 mLを加えた。次に超音波処理にて15分間抽出し、遠心分離により上清を回収した。さらに沈殿物に精製水15 mLを加えて、同様の抽出操作を4回行った後、得られた上清液をろ過し、そのろ液に乳酸を加えて一晩処理したプロテオグリカン含有抽出液65 gを得た。
【0043】
(分子量分画膜による分離)
プロテオグリカン含有抽出液をVivaspin15 Turbo MWCO 100000(ザルトリウス製)に入れ、遠心分離(3500 rpm、30分)した。さらに上清に精製水15 mLを加えて遠心分離し、この水洗を5回行なった。水洗した上清のプロテオグリカン濃縮液を試料7とした。
【0044】
(プロテオグリカンの定量)
試料7を回収し、リン酸緩衝液(pH6.8)に溶かし、20 mL容量に調製した。0.45 μmメンブレンフィルターを通した後、以下操作条件でHPLCを行い標準品の検量線からプロテオグリカン量を求めた。
カラム :TSKgel G5000PWXL(東ソー社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:50 μL
移動相 :リン酸緩衝液(pH6.8)
流量 :0.5 mL/min
検出器 :示差屈折率検出器(RID−10A 島津製作所社製)
【0045】
(試験結果)
分子量分画を行った試料7はシャープなピークが標準品のピーク溶出時間と同じ位置で検出し、プロテオグリカン以外の不純物を除外することができ、定量も可能となった(図7)。
【0046】
実施例6:食品組成物(錠剤)中のプロテオグリカン定量
【0047】
(錠剤中のプロテオグリカンの回収)
錠剤(プロテオグリカン含有サケ鼻軟骨抽出物、豚軟骨エキス、ヒアルロン酸、カルシウム、及び微細藻類配合の市販品)を乳鉢および乳棒にて粉砕し、粉砕物100 mgに4M−グアニジン塩酸溶液15 mLを加えた。次に超音波処理にて15分間抽出し、遠心分離により上清を回収した。さらに沈殿物に4M−グアニジン塩酸溶液15 mLを加えて、同様の抽出操作を4回行った後、得られた上清液をろ過し、プロテオグリカン含有抽出液60 gを得た。
【0048】
(分子量分画膜による分離)
プロテオグリカン含有抽出液をVivaspin15 Turbo MWCO 100000(ザルトリウス製)に入れ、遠心分離(3500 rpm、30分)した。さらに上清に精製水15 mLを加えて遠心分離し、この水洗を5回行なった。水洗した上清のプロテオグリカン濃縮液を試料8とした。
【0049】
(プロテオグリカンの定量)
試料8を回収し、リン酸緩衝液(pH6.8)に溶かし、20 mL容量に調製した。0.45 μmメンブレンフィルターを通した後、以下操作条件でHPLCを行い標準品の検量線からプロテオグリカン量を求めた。
カラム :TSKgel G5000PWXL(東ソー社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:50 μL
移動相 :リン酸緩衝液(pH6.8)
流量 :0.5 mL/min
検出器 :UV検出器(SPD−20A 島津製作所社製)検出波長=215 nm
及び、示差屈折率検出器(RID−10A 島津製作所社製)
【0050】
(試験結果)
分子量分画を行った試料8はシャープなピークが標準品のピーク溶出時間と同じ位置で検出し、プロテオグリカン以外の不純物を除外することができ、定量も可能となった(図8)。
【0051】
実施例7:食品組成物(錠剤)中のプロテオグリカン定量
【0052】
(錠剤中のプロテオグリカンの回収)
錠剤(プロテオグリカン含有サケ鼻軟骨抽出物、カルシウム、オルニチン、シアル酸、黒胡椒エキス、グルタミン、ナイアシン、ロイシン、パントテン酸、イソロイシン、バリン、ビタミンB6、ビタミンB1、及びビタミンB2配合の市販品)を乳鉢および乳棒にて粉砕し、粉砕物465 mgに4M−グアニジン塩酸溶液15 mLを加えた。次に超音波処理にて15分間抽出し、遠心分離により上清を回収した。さらに沈殿物に4M−グアニジン塩酸溶液15 mLを加えて、同様の抽出操作を4回行った後、得られた上清液をろ過し、プロテオグリカン含有抽出液60 gを得た。
【0053】
(分子量分画膜による分離)
プロテオグリカン含有抽出液をVivaspin15 Turbo MWCO 100000(ザルトリウス製)に入れ、遠心分離(3500 rpm、30分)した。さらに上清に精製水15 mLを加えて遠心分離し、この水洗を5回行なった。水洗した上清のプロテオグリカン濃縮液を試料9とした。
【0054】
(プロテオグリカンの定量)
試料9を回収し、リン酸緩衝液(pH6.8)に溶かし、25 mL容量に調製した。0.45 μmメンブレンフィルターを通した後、以下操作条件でHPLCを行い標準品の検量線からプロテオグリカン量を求めた。
カラム :TSKgel G5000PWXL(東ソー社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:50 μL
移動相 :リン酸緩衝液(pH6.8)
流量 :0.5 mL/min
検出器 :UV検出器(SPD−20A 島津製作所社製)検出波長=215 nm
及び、示差屈折率検出器(RID−10A 島津製作所社製)
【0055】
(試験結果)
分子量分画を行った試料9はシャープなピークが標準品のピーク溶出時間と同じ位置で検出し、プロテオグリカン以外の不純物を除外することができ、定量も可能となった(図9)。
【0056】
実施例8:食品組成物(錠剤)中のプロテオグリカン定量
【0057】
(錠剤中のプロテオグリカンの回収)
錠剤(プロテオグリカン含有サケ鼻軟骨抽出物、エラスチン、コラーゲン、松樹皮エキス、セラミド、ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2、及びビタミンB6配合した作製品)を乳鉢および乳棒にて粉砕し、粉砕物104 mgに4M−グアニジン塩酸溶液15 mLを加えた。次に超音波処理にて15分間抽出し、遠心分離により上清を回収した。さらに沈殿物に4M−グアニジン塩酸溶液15 mLを加えて、同様の抽出操作を4回行った後、得られた上清液をろ過し、プロテオグリカン含有抽出液60 gを得た。
【0058】
(分子量分画膜による分離)
プロテオグリカン含有抽出液をVivaspin15 Turbo MWCO 100000(ザルトリウス製)に入れ、遠心分離(3500 rpm、30分)した。さらに上清に精製水15 mlを加えて遠心分離し、この水洗を5回行なった。水洗した上清のプロテオグリカン濃縮液を試料10とした。
【0059】
(プロテオグリカンの定量)
試料10を回収し、リン酸緩衝液(pH6.8)に溶かし、25 ml容量に調製した。0.45 μmメンブレンフィルターを通した後、以下操作条件でHPLCを行い標準品の検量線からプロテオグリカン量を求めた。
カラム :TSKgel G5000PWXL(東ソー社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:50 μL
移動相 :リン酸緩衝液(pH6.8)
流量 :0.5 mL/min
検出器 :UV検出器(SPD−20A 島津製作所社製)検出波長=215 nm
及び、示差屈折率検出器(RID−10A 島津製作所社製)
【0060】
(試験結果)
分子量分画を行った試料10はシャープなピークが標準品のピーク溶出時間と同じ位置で検出し、プロテオグリカン以外の不純物を除外することができ、定量も可能となった(図10)。
【0061】
実施例9:食品組成物(ハードカプセル)中のプロテオグリカン定量
【0062】
(ハードカプセル中のプロテオグリカンの回収)
ハードカプセル(プロテオグリカン含有サケ鼻軟骨抽出物、グルコサミン塩酸塩、及びビタミンB群配合した作製品)を解体し、内容物350 mgに4M−グアニジン塩酸溶液15 mLを加えた。次に超音波処理にて15分間抽出し、遠心分離により上清を回収した。さらに沈殿物に4M−グアニジン塩酸溶液15 mLを加えて、同様の抽出操作を3回行った後、得られた上清液をろ過し、プロテオグリカン含有抽出液45 gを得た。
【0063】
(分子量分画膜による分離)
プロテオグリカン含有抽出液をVivaspin15 Turbo MWCO 100000(ザルトリウス製)に入れ、遠心分離(3500 rpm、30分)した。さらに上清に精製水15 mLを加えて遠心分離し、この水洗を5回行なった。水洗した上清のプロテオグリカン濃縮液を試料11とした。
【0064】
(プロテオグリカンの定量)
試料11を回収し、リン酸緩衝液(pH6.8)に溶かし、20 mL容量に調製した。0.45 μmメンブレンフィルターを通した後、以下操作条件でHPLCを行い標準品の検量線からプロテオグリカン量を求めた。
カラム :TSKgel G5000PWXL(東ソー社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:50 μL
移動相 :リン酸緩衝液(pH6.8)
流量 :0.5 mL/min
検出器 : 示差屈折率検出器(RID−10A 島津製作所社製)
【0065】
(試験結果)
分子量分画を行った試料11はシャープなピークが標準品のピーク溶出時間と同じ位置で検出し、プロテオグリカン以外の不純物を除外することができ、定量も可能となった(図11)。
【0066】
実施例10:食品組成物(ドリンク)中のプロテオグリカン定量
【0067】
(ドリンク中のプロテオグリカンの回収)
ドリンク(プロテオグリカン含有サケ鼻軟骨抽出物、コラーゲンペプチド、植物エキス、リグナン、セラミド、及びビタミンC配合の市販品)を均一に混合し、内容液10 mLを採取及び精秤した。
【0068】
(分子量分画膜による分離)
プロテオグリカン含有採取液をAmicon Ultra−15, Ultracel 100k(ミリポア社製)に入れ、遠心分離(4000 rpm、20分)した。さらに上清に精製水15 mLを加えて遠心分離し、この水洗を3回行なった。水洗した上清のプロテオグリカン濃縮液を試料12とした。
【0069】
(プロテオグリカンの定量)
試料12を回収し、リン酸緩衝液(pH6.8)に溶かし、10 mL容量に調製した。0.45 μmメンブレンフィルターを通した後、以下操作条件でHPLCを行い標準品の検量線からプロテオグリカン量を求めた。
カラム :TSKgel G5000PWXL(東ソー社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:50 μL
移動相 :リン酸緩衝液(pH6.8)
流量 :0.5 mL/min
検出器 :示差屈折率検出器(RID−10A 島津製作所社製)
【0070】
(試験結果)
分子量分画を行った試料12はシャープなピークが標準品のピーク溶出時間と同じ位置で検出し、プロテオグリカン以外の不純物を除外することができ、定量も可能となった(図12)。
【0071】
実施例11:食品組成物(ソフトカプセル)中のプロテオグリカン定量
【0072】
(ソフトカプセル中のプロテオグリカンの回収)
ソフトカプセル(プロテオグリカン含有サケ鼻軟骨抽出物、甘草抽出物、及びトリグリセリド配合の作製品)1粒を解体し、内容物をクロロホルム10 mLで抽出した。次に5%エタノール溶液20 mLを加えて、振とう抽出した後、上清を回収した。さらに5%エタノール溶液20 mLを加えて、同様の抽出操作を5回行った。得られた上清液をろ過し、濃縮乾固により有機溶媒を除去した。乾固物に精製水を加えてプロテオグリカン含有抽出液100 gを得た。
【0073】
(分子量分画膜による分離)
プロテオグリカン含有抽出液をVivaspin15 Turbo MWCO 100000(ザルトリウス製)に入れ、遠心分離(3500 rpm、30分)した。さらに上清に精製水15 mLを加えて遠心分離した。水洗した上清のプロテオグリカン濃縮液を試料13とした。
【0074】
(プロテオグリカンの定量)
試料13を回収し、リン酸緩衝液(pH6.8)に溶かし、20 mL容量に調製した。0.45 μmメンブレンフィルターを通した後、以下操作条件でHPLCを行い標準品の検量線からプロテオグリカン量を求めた。
カラム :TSKgel G5000PWXL(東ソー社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:50 μL
移動相 :リン酸緩衝液(pH6.8)
流量 :0.5 mL/min
検出器 :UV検出器(SPD−20A 島津製作所社製)検出波長=215 nm
及び、示差屈折率検出器(RID−10A 島津製作所社製)
【0075】
(試験結果)
分子量分画を行った試料13はシャープなピークが標準品のピーク溶出時間と同じ位置で検出し、プロテオグリカン以外の不純物を除外することができ、定量も可能となった(図13)。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、簡単で正確なプロテオグリカンの定量方法を提供することで、プロテオグリカンを高含有する製造方法への利用、日常的な品質管理業務、あるいはHPLC後の分画物を回収することによるプロテオグリカン純品の入手等産業上の利用可能性を有する。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13