(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
入力端子、出力端子及び制御端子を有するスイッチ部とダイオードとを有するORing回路におけるダイオードの順方向電圧に基づいて設定される基準電圧と、前記入力端子と前記出力端子との間の電圧とを比較し、比較した結果に応じた比較結果信号を出力するコンパレータと、
前記入力端子と前記出力端子との間の接続状態を制御する接続状態制御信号、及び、前記比較結果信号に基づいて、前記スイッチ部における不具合の有無を判定する不具合判定部と、
遅延回路によって遅延した起動信号に係る信号と、前記比較結果信号との論理積を演算する第1論理ゲートと、
前記第1論理ゲートが演算した前記論理積と、前記接続状態制御信号に係る信号との論理積を演算する第2論理ゲートと、
を備え、
前記不具合判定部は、
前記第2論理ゲートが演算した演算結果に基づいて、前記不具合の有無を判定する、
不具合判定装置。
入力端子、出力端子及び制御端子を有するスイッチ部とダイオードとを有するORing回路におけるダイオードの順方向電圧に基づいて設定される基準電圧と、前記入力端子と前記出力端子との間の電圧とを比較し、比較した結果に応じた比較結果信号を出力するコンパレータと、遅延回路によって遅延した起動信号に係る信号と、前記比較結果信号との論理積を演算する第1論理ゲートと、前記第1論理ゲートが演算した前記論理積と、接続状態制御信号に係る信号との論理積を演算する第2論理ゲートと、を備える不具合判定装置の判定方法であって、
前記入力端子と前記出力端子との間の接続状態を制御する前記接続状態制御信号、前記比較結果信号、及び、前記第2論理ゲートが演算した演算結果に基づいて、前記スイッチ部における不具合の有無を判定すること、
を含む不具合判定装置の判定方法。
入力端子、出力端子及び制御端子を有するスイッチ部とダイオードとを有するORing回路におけるダイオードの順方向電圧に基づいて設定される基準電圧と、前記入力端子と前記出力端子との間の電圧とを比較し、比較した結果に応じた比較結果信号を出力するコンパレータと、遅延回路によって遅延した起動信号に係る信号と、前記比較結果信号との論理積を演算する第1論理ゲートと、前記第1論理ゲートが演算した前記論理積と、接続状態制御信号に係る信号との論理積を演算する第2論理ゲートと、を備える不具合判定装置のコンピュータに、
前記入力端子と前記出力端子との間の接続状態を制御する前記接続状態制御信号、前記比較結果信号、及び、前記第2論理ゲートが演算した演算結果に基づいて、前記スイッチ部における不具合の有無を判定すること、
を実行させるプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態>
本発明の一実施形態による電源システム1の構成について説明する。
本発明の一実施形態による電源システム1は、
図1に示すように、複数の電源装置2、負荷3と、を備える。電源システム1では、負荷3に常に電力を供給できるように電源装置2を複数備え、冗長性を持たせている。
【0013】
電源装置2のそれぞれは、コンバータ部10と、ORing回路20と、不具合判定装置30と、を備える。
【0014】
コンバータ部10は、
図2に示すように、DC/DC(Direct Current/Direct Current)コンバータ101と、コンデンサ102と、を備える。
【0015】
DC/DCコンバータ101は、直流電圧Viを受ける。DC/DCコンバータ101は、受けた直流電圧Viを所定の直流電圧Voに変換する。DC/DCコンバータ101は、変換後の直流電圧Voを出力する。なお、直流電圧Voは、後述するダイオード201bの順方向電圧VFよりも高い電圧である。
【0016】
コンデンサ102は、DC/DCコンバータ101が出力する直流電圧Voを安定させるためのコンデンサである。コンデンサ102の第1端子は、DC/DCコンバータ101の出力端子に接続される。コンデンサ102の第2端子は、グラウンドGNDに接続される。
【0017】
ORing回路20は、
図3に示すように、スイッチ部201と、ORing制御部202(制御部)と、を備える。
スイッチ部201は、スイッチ素子201aと、ダイオード201bと、を備える。
【0018】
スイッチ素子201aは、入力端子INと、出力端子OUTと、制御端子Gと、を有する。入力端子INは、DC/DCコンバータ101の出力端子に接続される。出力端子OUTは、負荷3に接続される。制御端子Gは、ORing制御部202に接続される。
スイッチ素子201aは、制御端子Gに入力される接続状態制御信号SW_ONに基づいて、入力端子INと出力端子OUTとの間の接続状態が決定される。接続状態とは、スイッチ素子201aの入力端子INと出力端子OUTとが短絡状態または開放状態のことである。
【0019】
ダイオード201bは、スイッチ素子201aの入力端子INと出力端子OUTとの間に接続される。具体的には、ダイオード201bのアノードは、スイッチ素子201aの入力端子INに接続される。また、ダイオード201bのカソードは、スイッチ素子201aの出力端子OUTに接続される。
ダイオード201bは、スイッチ素子201aの入力端子INと出力端子OUTとが短絡状態である場合、動作しない。すなわち、ダイオード201bのアノードとカソードの間の電圧は0ボルトとなり、ダイオード201bは電流を流さない。また、ダイオード201bは、スイッチ素子201aの入力端子INと出力端子OUTとが開放状態である場合、動作する。すなわち、ダイオード201bのアノードとカソードの間の電圧はダイオード201bの順方向電圧VFとなり、ダイオード201bは電流を流す。
【0020】
ORing制御部202(制御部)は、スイッチ素子201aにおける接続状態を制御する。
具体的には、ORing制御部202は、スイッチ素子201aの制御端子Gに接続状態制御信号SW_ONを入力する。スイッチ素子201aは、制御端子Gに入力される接続状態制御信号SW_ONに応じた接続状態になる。
本発明の実施形態においては、例えば、スイッチ素子201aの制御端子GにHighレベルの接続状態制御信号SW_ONが入力されると、スイッチ素子201aの入力端子INと出力端子OUTとの間の接続状態が短絡状態となる。また、スイッチ素子201aの制御端子GにLowレベルの接続状態制御信号SW_ONが入力されると、スイッチ素子201aの入力端子INと出力端子OUTとの間の接続状態が開放状態となる。
また、本発明の別の実施形態においては、例えば、スイッチ素子201aの制御端子GにHighレベルの接続状態制御信号SW_ONが入力されると、スイッチ素子201aの入力端子INと出力端子OUTとの間の接続状態が開放状態となる。また、スイッチ素子201aの制御端子GにLowレベルの接続状態制御信号SW_ONが入力されると、スイッチ素子201aの入力端子INと出力端子OUTとの間の接続状態が短絡状態となる。
【0021】
また、具体的には、例えば、スイッチ素子201aがエンハンスメント形のnMOSトランジスタ201aであるものとする。nMOSトランジスタ201aの入力端子INは、
図3に示すように、nMOSトランジスタ201aの基板に接続される。ここでの基板とは、ボディ、バルク、バックゲート、場合によっては、アイランド、pウェル、pサブストレートなどと呼ばれることもある、nMOSトランジスタ201aが形成される領域のことである。このとき、nMOSトランジスタ201aの入力端子INと出力端子OUTとの間に、入力端子IN側がアノードで出力端子OUT側がカソードの寄生ダイオードが存在する。スイッチ素子201aがnMOSトランジスタ201aである場合、この寄生ダイオードがダイオード201bとして機能する。
後述する例のように、負荷3が抵抗負荷であり、第1端子が出力端子OUTに接続され、第2端子がグラウンドGNDに接続されているものとする。この場合、入力端子INの電位は、出力端子OUTの電位よりも高くなる。
ゲート−ソース間電圧VGS、ドレイン−ソース間電圧VDS、nMOSトランジスタ201aのしきい値電圧VTHとする。ORing制御部202は、電圧の関係が(VDS≧VGS−VTH)の条件を満足する接続状態制御信号SW_ONをスイッチ素子201aの制御端子Gに入力する。すると、スイッチ素子201aの入力端子INと出力端子OUTとの間の接続状態が短絡状態となる。また、電圧の関係が(VDS<VGS−VTH)の条件を満足すると、スイッチ素子201aの入力端子INと出力端子OUTとの間の接続状態が開放状態となる。
【0022】
また、具体的には、例えば、スイッチ素子201aがエンハンスメント形のpMOSトランジスタ201aであるものとする。pMOSトランジスタ201aの入力端子INは、pMOSトランジスタ201aの基板に接続される。ここでの基板とは、ボディ、バルク、バックゲート、場合によっては、アイランド、nウェル、nサブストレートなどと呼ばれることもある、pMOSトランジスタ201aが形成される領域のことである。このとき、pMOSトランジスタ201aの入力端子INと出力端子OUTとの間に、入力端子IN側がカソードで出力端子OUT側がアノードの寄生ダイオードが存在する。後述する例のように、負荷3が抵抗負荷であり、第1端子が出力端子OUTに接続され、第2端子がグラウンドGNDに接続されているものとする。この場合、寄生ダイオードは、動作しない。
ゲート−ソース間電圧VGS、ドレイン−ソース間電圧VDS、nMOSトランジスタ201aのしきい値電圧VTHとする。ORing制御部202は、電圧の関係が(絶対値VDS≧絶対値(VGS−VTH))の条件を満足する接続状態制御信号SW_ONをスイッチ素子201aの制御端子Gに入力する。すると、スイッチ素子201aの入力端子INと出力端子OUTとの間の接続状態が短絡状態となる。また、電圧の関係が(絶対値VDS<絶対値(VGS−VTH))の条件を満足すると、スイッチ素子201aの入力端子INと出力端子OUTとの間の接続状態が開放状態となる。
また、ダイオード201bは、スイッチ素子201aの入力端子INと出力端子OUTとの間に接続される。具体的には、ダイオード201bのアノードは、スイッチ素子201aの入力端子INに接続される。また、ダイオード201bのカソードは、スイッチ素子201aの出力端子OUTに接続される。
ダイオード201bは、スイッチ素子201aの入力端子INと出力端子OUTとが短絡状態である場合、動作しない。すなわち、ダイオード201bのアノードとカソードの間の電圧は0ボルトとなり、ダイオード201bは電流を流さない。また、ダイオード201bは、スイッチ素子201aの入力端子INと出力端子OUTとが開放状態である場合、動作する。すなわち、ダイオード201bのアノードとカソードの間の電圧はダイオード201bの順方向電圧VFとなり、ダイオード201bは電流を流す。
【0023】
負荷3は、
図1に示すように、複数の電源装置2のそれぞれに共通の負荷である。負荷3は、
図4に示すように、例えば、抵抗負荷3である。抵抗負荷3の第1端子は、スイッチ素子201aの出力端子OUTに接続される。抵抗負荷3の第2端子は、グラウンドGNDに接続される。
【0024】
不具合判定装置30は、スイッチ素子201aの入力端子INと出力端子OUTとの間で短絡の不具合が発生しているか否かを判定する装置である。不具合判定装置30は、
図5に示すように、コンパレータ301と、電圧源302と、遅延回路303と、ANDゲート304(第1論理ゲート)と、INVゲート305と、ANDゲート306(第2論理ゲート)と、ラッチ回路307と、不具合判定部308と、を備える。
【0025】
コンパレータ301は、電圧源302が出力する直流電圧Vrefと、ダイオード201bの出力端子OUTと入力端子INとの間の電圧とを比較する。コンパレータ301は、第1入力端子と、第2入力端子と、出力端子と、を備える。第1入力端子は、電圧源302の出力端子に接続される。第2入力端子は、図示していない差動増幅器の出力端子に接続される。出力端子は、ANDゲート304の第1入力端子に接続される。コンパレータ301は、比較結果に応じたHighレベルの電圧、または、Lowレベルの電圧をANDゲート304に出力する。
【0026】
具体的には、例えば、スイッチ素子201aの出力端子OUTにおける電圧を基準とした入力端子INにおける電圧を電圧ΔVとする。スイッチ素子201aが短絡状態である場合、電圧ΔVは0ボルトである。このとき、スイッチ素子201aの入力端子INにおける電圧は、直流電圧Voである。また、スイッチ素子201aの出力端子OUTにおける電圧も直流電圧Voである。スイッチ素子201aの入力端子INと出力端子OUTのそれぞれを、図示していない差動入力端子(ディファレンシャル入力)と単出力端子(シングルエンド出力)とを有する差動増幅器の差動入力端子のそれぞれに接続する。差動増幅器の単出力端子のバイアス電圧を0ボルトに設定し、または、差動増幅器における信号経路にデカップリンコンデンサ、バイパスコンデンサなどと呼ばれる直流電圧を遮断するコンデンサを挿入する。そして、コンパレータ301の第1入力端子に、電圧源302の出力を接続し、コンパレータ301の第2入力端子に、差動増幅器の単出力端子を接続する。
このようにして、コンパレータ301の第1入力端子に、直流電圧Vrefが印加され、コンパレータ301の第2入力端子に単出力端子に、差動入力端子間の電圧ΔVそのもの、または、差動入力端子間の電圧ΔVを差動増幅器の増幅率Avで増幅した電圧AvΔVを印加する。
【0027】
なお、コンパレータ301の第2入力端子に電圧ΔVが印加される場合、電圧ΔVは、スイッチ素子201aが短絡状態では、0ボルトとなる。また、コンパレータ301の第2入力端子に電圧ΔVが入力される場合、電圧ΔVは、スイッチ素子201aが開放状態では、ダイオード201bの順方向電圧VFとなる。そのため、直流電圧Vrefは、0ボルトとダイオード201bの順方向電圧VFとの間の電圧(例えば、電圧(VF/2))に設定される。
コンパレータ301は、例えば、電圧ΔVが直流電圧Vrefよりも高い場合、出力端子を介して、Lowレベルの電圧をANDゲート304に出力する。また、コンパレータ301は、例えば、電圧ΔVが直流電圧Vrefよりも低い場合、出力端子を介して、Highレベルの電圧をANDゲート304に出力する。
【0028】
また、コンパレータ301の第2入力端子に電圧AvΔVが入力される場合、電圧AvΔVは、スイッチ素子201aが短絡状態では、0ボルトとなる。また、コンパレータ301の第2入力端子に電圧AvΔVが印加される場合、電圧AvΔVは、スイッチ素子201aが開放状態では、電圧AvVFとなる。そのため、直流電圧Vrefは、0ボルトと電圧AvVFとの間の電圧(例えば、電圧(AvVF/2))に設定される。
コンパレータ301は、例えば、電圧AvΔVが直流電圧Vrefよりも高い場合、出力端子を介して、Lowレベルの電圧をANDゲート304に出力する。また、コンパレータ301は、例えば、電圧AvΔVが直流電圧Vrefよりも低い場合、出力端子を介して、Highレベルの電圧をANDゲート304に出力する。
【0029】
また、本発明の別の実施形態では、具体的には、スイッチ素子201aの出力端子OUTにおける電圧を基準とした入力端子INにおける電圧を電圧ΔVとする。コンパレータ301の第1入力端子に、電圧源302の出力を接続し、コンパレータ301の第2入力端子に、スイッチ素子201aの出力端子OUTを接続する。このようにして、コンパレータ301の入力端子に、直流電圧Vrefと、スイッチ素子201aの出力における直流電圧(Vo−ΔV)とを印加する。なお、コンパレータ301の入力端子に直流電圧(Vo−ΔV)が印加される場合、直流電圧(Vo−ΔV)は、スイッチ素子201aが短絡状態では、直流電圧Voとなる。また、コンパレータ301の入力端子に直流電圧(Vo−ΔV)が印加される場合、直流電圧(Vo−ΔV)は、スイッチ素子201aが開放状態では、直流電圧(Vo−VF)となる。そのため、直流電圧Vrefは、直流電圧Voと直流電圧(Vo−VF)との間の直流電圧(例えば、直流電圧(Vo−(VF/2)))に設定される。
コンパレータ301は、例えば、直流電圧Voが直流電圧Vrefよりも高い場合、出力端子を介して、Lowレベルの電圧をANDゲート304に出力する。また、コンパレータ301は、例えば、直流電圧Voが直流電圧Vrefよりも低い場合、出力端子を介して、Highレベルの電圧をANDゲート304に出力する。
【0030】
遅延回路303は、入力端子と、出力端子と、を備える。遅延回路303は、入力端子から起動信号PS_ONを受ける。遅延回路303は、受けた起動信号PS_ONを、所定の時間(例えば、時間(t1−t0))だけ遅延させて出力端子からANDゲート304に出力する。
【0031】
ANDゲート304は、第1入力端子と、第2入力端子と、出力端子と、を備える。ANDゲート304の第1入力端子には、コンパレータ301の出力端子が接続され、Highレベルの電圧またはLowレベルの電圧が印加される。ANDゲート304の第2入力端子には、遅延回路303の出力端子が接続され、起動信号PS_ONが印加される。ANDゲート304は、入力端子に印加された電圧について論理積を演算する。ANDゲート304は、演算結果を出力端子からANDゲート306に出力する。
【0032】
INVゲート305は、入力端子から接続状態制御信号SW_ONを受ける。INVゲート305は、受けた接続状態制御信号SW_ONを反転させた反転信号を出力端子からANDゲート306に出力する。
【0033】
ANDゲート306は、第1入力端子と、第2入力端子と、出力端子と、を備える。ANDゲート306の第1入力端子には、ANDゲート304の出力端子が接続され、ANDゲート304の演算結果を示すHighレベルの電圧またはLowレベルの電圧が印加される。ANDゲート306の第2入力端子には、INVゲート305の出力端子が接続され、接続状態制御信号SW_ONを反転させた反転信号が印加される。ANDゲート306は、入力端子に印加された電圧について論理積を演算する。ANDゲート306は、演算結果を出力端子からラッチ回路307に出力する。
【0034】
ラッチ回路307は、入力端子と、出力端子と、を備える。ラッチ回路307は、入力端子からANDゲート306の演算結果を受ける。ラッチ回路307は、受けた演算結果を保持する。ラッチ回路307は、保持した演算結果を出力端子から不具合判定部308に出力する。
【0035】
不具合判定部308は、入力端子と、出力端子と、を備える。不具合判定部308は、入力端子からラッチ回路307が保持した演算結果を受ける。不具合判定部308は、受けた演算結果に基づいて、スイッチ素子201aの入力端子INと出力端子OUTとの間で短絡の不具合が発生したか否かを判定する。
具体的には、不具合判定部308は、接続状態制御信号SW_ONがLowレベルである場合に、電圧ΔVが0ボルトであるか電圧VFであるかを判定する。より具体的には、不具合判定部308は、時刻t2と時刻t3との間におけるラッチ回路307の出力端子の電圧がLowレベルの電圧であるかHighレベルの電圧であるかを特定する。不具合判定部308は、ラッチ回路307の出力端子の電圧がLowレベルの電圧である場合、スイッチ素子201aの入力端子INと出力端子OUTとの間で短絡の不具合は発生していないと判定する。また、不具合判定部308は、ラッチ回路307の出力端子の電圧がHighレベルの電圧である場合、スイッチ素子201aの入力端子INと出力端子OUTとの間で短絡の不具合が発生していると判定する。
【0036】
次に、本発明の一実施形態による電源システム1の正常時の動作について説明する。
なお、時刻t0において、起動信号PS_ONは、Lowレベルの信号である。また、時刻t0において、接続状態制御信号SW_ONは、Lowレベルの信号である。
【0037】
図6は、本発明の一実施形態による電源システム1の正常時の信号波形を示す図である。
時刻t0は、電源装置2の起動前の状態を示し、起動信号PS_ONは、時刻t1までLowレベルの信号、すなわち、電源装置2はオフ状態である。したがって、電源装置2の出力端子における電圧は0ボルトであり、スイッチ素子201aの入力端子INと出力端子OUTとの間の電圧ΔVは0ボルトとなる。
【0038】
時刻t1において起動信号PS_ONがLowレベルからHighレベルへ変化すると、電源装置2は起動する。電源装置2が起動すると、電源装置2の出力端子における電圧は直流電圧Voとなる。直流電圧Voは、ダイオード201bの順方向電圧VFよりも高い電圧である。そのため、電源装置2が起動すると、ダイオード201bにおいて順方向電圧VFが発生し、スイッチ素子201aの入力端子INと出力端子OUTとの間の電圧ΔVは電圧VFとなる。このとき、負荷3には、直流電圧(Vo−VF)の電圧が印加される。
【0039】
コンパレータ301は、時刻t1まで、出力端子からANDゲート304の第1入力端子にHighレベルの電圧を出力する。時刻t1において、電圧ΔVが0ボルトから電圧VFに変化すると、コンパレータ301は、時刻t1以降、出力端子からANDゲート304の第1入力端子にLowレベルの電圧を出力する。
また、時刻t1において、起動信号PS_ONは、LowレベルからHighレベルに変化する。遅延回路303が遅延させる遅延時間を遅延時間T1とすると、遅延回路303は、時刻(t1+T1)によって示される時刻t2まで、出力端子からANDゲート304の第2入力端子にLowレベルの電圧を出力し、時刻t2以降、Highレベルの電圧を出力する。
したがって、ANDゲート304は、時刻t2以降、出力端子からANDゲート306の第1入力端子にLowレベルの電圧を出力する。
【0040】
また、時刻t3において、接続状態制御信号SW_ONは、LowレベルからHighレベルに変化する。したがって、INVゲート305は、時刻t3まで、出力端子からANDゲート306の第2入力端子にHighレベルの電圧を出力し、時刻t3以降、Lowレベルの電圧を出力する。
したがって、ANDゲート306は、時刻t0以降、出力端子からラッチ回路307の入力端子にLowレベルの電圧を出力する。
【0041】
ラッチ回路307は、時刻t0以降、ANDゲート306からLowレベルの電圧を受ける。ラッチ回路307は、受けた電圧を保持する。ラッチ回路307は、受けた電圧を不具合判定部308に出力する。
【0042】
不具合判定部308は、時刻t0以降、ラッチ回路307からLowレベルの電圧を受ける。不具合判定部308は、時刻t0以降、受けた電圧に基づいて、スイッチ素子201aの入力端子INと出力端子OUTとの間で短絡の不具合が発生したか否かを判定する。
この場合、不具合判定部308は、時刻t2と時刻t3との間におけるラッチ回路307の出力端子の電圧がLowレベルであるため、スイッチ素子201aの入力端子INと出力端子OUTとの間で短絡の不具合は発生していないと判定する。
【0043】
次に、本発明の一実施形態による電源システム1の不具合発生時の動作について説明する。ここでの不具合は、スイッチ素子201aの入力端子INと出力端子OUTとが制御端子Gに印加する接続状態制御信号SW_ONと無関係に短絡状態となる不具合である。
なお、時刻t0において、起動信号PS_ONは、Lowレベルの信号である。また、時刻t0において、接続状態制御信号SW_ONは、Lowレベルの信号である。
【0044】
図7は、本発明の一実施形態による電源システム1の不具合発生時の信号波形を示す図である。
時刻t0は、電源装置2の起動前の状態を示し、起動信号PS_ONは、時刻t1までLowレベルの信号、すなわち、電源装置2はオフ状態である。したがって、電源装置2の出力端子における電圧は0ボルトであり、スイッチ素子201aの入力端子INと出力端子OUTとの間の電圧ΔVは0ボルトとなる。
【0045】
時刻t1において起動信号PS_ONがLowレベルからHighレベルへ変化すると、電源装置2は起動する。電源装置2が起動すると、電源装置2の出力端子における電圧は直流電圧Voとなる。直流電圧Voは、ダイオード201bの順方向電圧VFよりも高い電圧である。スイッチ素子201aの入力端子INと出力端子OUTとの間は、短絡状態である。そのため、電源装置2が起動しても、スイッチ素子201aの入力端子INと出力端子OUTとの間の電圧ΔVは0ボルトである。このとき、負荷3には、直流電圧Voの電圧が印加される。
【0046】
時刻t0以降、電圧ΔVは0ボルトである。この場合、コンパレータ301は、時刻t0以降、出力端子からANDゲート304の第1入力端子にHighレベルの電圧を出力する。
また、時刻t1において、起動信号PS_ONは、LowレベルからHighレベルに変化する。遅延回路303が遅延させる遅延時間を遅延時間T1とすると、遅延回路303は、時刻(t1+T1)によって示される時刻t2まで、出力端子からANDゲート304の第2入力端子にLowレベルの電圧を出力し、時刻t2以降、Highレベルの電圧を出力する。
したがって、ANDゲート304は、時刻t2まで、出力端子からANDゲート306の第1入力端子にLowレベルの電圧を出力し、時刻t2以降、Highレベルの電圧を出力する。
【0047】
また、時刻t3において、接続状態制御信号SW_ONは、LowレベルからHighレベルに変化する。したがって、INVゲート305は、時刻t3まで、出力端子からANDゲート306の第2入力端子にHighレベルの電圧を出力し、時刻t3以降、Lowレベルの電圧を出力する。
したがって、ANDゲート306は、時刻t2まで、出力端子からラッチ回路307の入力端子にLowレベルの電圧を出力する。また、ANDゲート306は、時刻t2以降時刻t3まで、Highレベルの電圧を出力する。ANDゲート306は、時刻t3以降、Lowレベルの電圧を出力する。
【0048】
ラッチ回路307は、時刻t2まで、ANDゲート306からLowレベルの電圧を受ける。また、ラッチ回路307は、時刻t2以降時刻t3まで、ANDゲート306からHighレベルの電圧を受ける。また、ラッチ回路307は、時刻t3以降、ANDゲート306からLowレベルの電圧を受ける。ラッチ回路307は、時刻t0以降、受けた電圧を保持する。ラッチ回路307は、受けた電圧を不具合判定部308に出力する。
【0049】
不具合判定部308は、時刻t2まで、ラッチ回路307からLowレベルの電圧を受ける。また、不具合判定部308は、時刻t2以降、ラッチ回路307からHighレベルの電圧を受ける。不具合判定部308は、時刻t0以降、受けた電圧に基づいて、スイッチ素子201aの入力端子INと出力端子OUTとの間で短絡の不具合が発生したか否かを判定する。
この場合、不具合判定部308は、時刻t2と時刻t3との間におけるラッチ回路307の出力端子の電圧がHighレベルであるため、スイッチ素子201aの入力端子INと出力端子OUTとの間で短絡の不具合が発生していると判定する。不具合判定部308は、スイッチ素子201aの入力端子INと出力端子OUTとの間で短絡の不具合が発生していると判定した場合、電源装置2をOFF状態にする制御を行うものであってもよい。
【0050】
以上、本発明の一実施形態による電源システム1について説明した。電源システム1において、不具合判定装置30は、コンパレータ301と、不具合判定部308と、を備える。コンパレータ301は、入力端子IN、出力端子OUT及び制御端子Gを有するスイッチ部201の入力端子INと出力端子OUTとの間のダイオード201bの順方向電圧VFに基づいて設定される基準電圧Vrefと、入力端子INと出力端子OUTとの間の電圧ΔVとを比較する。コンパレータ301は、比較した結果に応じた比較結果信号を出力する。不具合判定部308は、入力端子INと出力端子OUTとの間の接続状態を制御する接続状態制御信号SW_ON、比較結果信号、及び、自電源装置2を起動させる起動信号に基づいて、スイッチ部201における不具合の有無を判定する。
このようにすれば、電源システム1において、ORing回路20におけるスイッチ部201に不具合が発生したことをより正確に判定することができる。
【0051】
次に、本発明の実施形態による最小構成の不具合判定装置30について説明する。
本発明の実施形態による最小構成の不具合判定装置30は、
図8に示すように、コンパレータ301と、不具合判定部308と、を備える。
コンパレータ301は、入力端子IN、出力端子OUT及び制御端子Gを有するスイッチ部201の入力端子INと出力端子OUTとの間のダイオード201bの順方向電圧VFに基づいて設定される基準電圧Vrefと、入力端子INと出力端子OUTとの間の電圧ΔVとを比較する。コンパレータ301は、比較した結果に応じた比較結果信号を出力する。
不具合判定部308は、入力端子INと出力端子OUTとの間の接続状態を制御する接続状態制御信号SW_ON、比較結果信号、及び、自電源装置2を起動させる起動信号に基づいて、スイッチ部201における不具合の有無を判定する。
このようにすれば、電源システム1において、ORing回路20におけるスイッチ部201に不具合が発生したことをより正確に判定することができる。
【0052】
なお、本発明の実施形態における記憶部や記憶装置(レジスタ、ラッチを含む)は、適切な情報の送受信が行われる範囲においてどこに備えられていてもよい。また、記憶部や記憶装置は、適切な情報の送受信が行われる範囲において複数存在しデータを分散して記憶していてもよい。
【0053】
なお、本発明の実施形態における処理は、適切な処理が行われる範囲において、処理の順番が入れ替わってもよい。
【0054】
本発明の実施形態における記憶部のそれぞれは、適切な情報の送受信が行われる範囲においてどこに備えられていてもよい。また、記憶部のそれぞれは、適切な情報の送受信が行われる範囲において複数存在しデータを分散して記憶していてもよい。
【0055】
本発明の実施形態について説明したが、上述の電源システム1、電源装置2、不具合判定装置30、その他の制御装置は内部に、コンピュータシステムを有していてもよい。そして、上述した処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。コンピュータの具体例を以下に示す。
図9は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ5は、
図9に示すように、CPU6、メインメモリ7、ストレージ8、インターフェース9を備える。
例えば、上述の電源システム1、電源装置2、不具合判定装置30、その他の制御装置のそれぞれは、コンピュータ5に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ8に記憶されている。CPU6は、プログラムをストレージ8から読み出してメインメモリ7に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU6は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ7に確保する。
【0056】
ストレージ8の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD−ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ8は、コンピュータ5のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インターフェース9または通信回線を介してコンピュータ5に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ5に配信される場合、配信を受けたコンピュータ5が当該プログラムをメインメモリ7に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ8は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0057】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現してもよい。さらに、上記プログラムは、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるファイル、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0058】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例であり、発明の範囲を限定しない。これらの実施形態は、発明の要旨を逸脱しない範囲で、追加、種々の省略、置き換え、変更を行ってよい。