(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記吸引孔は、前記積層容器群の外周面に前記容器の積層方向に存在する複数の前記隙間のうち前記積層方向の両端に位置する一対の前記隙間と対応する位置で前記保持面に開口する一対の第1吸引口部と、前記積層方向において前記一対の前記第1吸引口部との間の位置で前記保持面に開口する1つ以上の第2吸引口部とを有することを特徴とする請求項1に記載の積層容器群の搬送装置。
前記引抜部は、前記積層容器群が収容された前記袋の端部を吸引して引き出す吸引部と、前記吸引部が引き出した前記袋の端部を把持して前記袋を前記積層容器群から引き抜く把持部とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の積層容器群の搬送装置。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1実施形態)
以下、積層容器群を搬送する積層容器群の搬送装置について、図面を参照して説明する。
図1に示す容器供給システム10は、空の容器に内容物を注入する注入装置100に設けられた供給部101(供給装置)に対して、複数の容器51が積層されてなる略柱状の積層容器群52を供給する。容器51は、例えば合成樹脂製又は紙製である。注入装置100は、容器51に例えば乾燥食物(例えば即席麺等)又は飲料物等の内容物を注入する装置である。容器供給システム10は、複数の積層容器群52が収容された箱53が配置される載置台55を備えている。載置台55は、例えば搬送コンベアからなり、搬送コンベア上において箱53はその内部の積層容器群52を吸引ヘッド30による吸着が可能な
図1に示す吸着位置に配置できる取出位置に配置される。
【0025】
容器供給システム10は、載置台55上の箱53から積層容器群52を複数本(本例では5本)ずつ吸着し、その吸着位置から供給部101へ供給する目標位置まで搬送して供給部101に所定の向きで積層容器群52を供給する供給作業を行う搬送装置11を備えている。搬送装置11は、吸引気流発生源の一例であるブロワ20と、ブロワ20が保持面31に発生させる吸引気流SFを利用して積層容器群52を負圧により吸着可能な保持面31を有する吸引ヘッド30とを備えている。
【0026】
ブロワ20は、動力源である電動モータ21と、電動モータ21により駆動される羽根車22と、羽根車22の回転により空気を吸引する吸込口部23と、吸込口部23から吸い込んだ空気を規定の吐出圧で吐出する吐出口部24とを有している。ブロワ20の吸込口部23へは電動モータ21(つまり羽根車22)の回転速度に応じた流量の空気が吸引される。
【0027】
吸引ヘッド30は、ブロワ20の吸込口部23と連通路の一例であるダクトホース25を通じて接続されている。吸引ヘッド30の保持面31は、例えば積層容器群52の外周面と対応する面形状を有している。特に、本例の保持面31は、積層容器群52の外周面の凸形状と対応する凹形状で且つ積層容器群52の積層方向の長さにほぼ等しいか又は少し短い長さの凹部32を複数有している。吸引ヘッド30は箱53に収容可能なサイズを有し、箱53内の積層容器群52を吸着して取り出すことが可能である。
【0028】
保持面31には凹部32ごとに複数の吸引孔33(
図4を参照)が開口している。ブロワ20の駆動中は、保持面31の近傍には吸引孔33へ流入する吸引気流SFが発生する。吸引孔33へ流入した吸引気流SF(空気)は、吸引ヘッド30からダクトホース25を通じてブロワ20の吸込口部23へ吸引され、所定の吐出し圧で吐出口部24から排気される。
【0029】
搬送装置11は、吸引ヘッド30が吸い込む吸引気流SFの流量を調整する流量調整弁34を有する。流量調整弁34は、例えばダクトホース25の途中の位置に設けられた例えば電動式のバタフライ弁からなり、弁の開度を変化させて吸引気流SFの流量を調整する。流量調整弁34は、吸引気流SFの流量を「零」にする全閉位置と、流量を最大にする全開位置との間で連続的又は段階的な開度調整が可能である。
【0030】
また、搬送装置11は、移動機構の一例としての多関節ロボット40(以下、単に「ロボット40」ともいう。)を備えている。ロボット40は、吸引ヘッド30を先端部に支持するアーム40Aを有している。アーム40Aは、機台40Bに対して軸回転可能かつ傾動可能な第1アーム41と、第1アーム41に連結された第2アーム42と、第2アームに連結された第3アーム43とを有している。吸引ヘッド30は、第3アーム43の先端部に固定された支持アーム44に支持されている。
【0031】
図1に示す搬送装置11は、ブロワ20、流量調整弁34及びロボット40を制御する制御部60を有している。制御部60は、ブロワ20、流量調整弁34及びロボット40を制御することにより、搬送装置11に積層容器群52を供給部101に供給する供給作業を行わせる。なお、
図1では、第2実施形態の容器供給システム10が備える仮置き部70を二点鎖線で示している。仮置き部70については第2実施形態で詳述する。
【0032】
図1及び
図2に示すように、箱53には、M×N本(但し、M,Nは、2以上の自然数)の積層容器群52が収容されている。詳しくは、箱53には、1段につきM本の積層容器群52がN段収容されている。複数本(M×N本)の積層容器群52は、箱53内に透明な合成樹脂製の1つの袋56(例えばビニール袋)にまとめて収容されている。箱53は、例えば合成樹脂製又は金属製であり、上方に向かって開放された開口を有する直方体形状の収容部53A(箱本体)と、収容部53Aの開口を開閉可能な複数の蓋部53B(フラップ)とを有している。
【0033】
箱53は、載置台55上の取出位置に配置されると、図示しない作業ロボットにより蓋部53B及び袋56がそれぞれ開放され、
図1に示す搬送装置11による搬送作業が可能な状態とされる。ここで、箱53を合成樹脂製又は金属製とする理由は、繰り返し使用されても、段ボール製の箱に比べ、収容部53A及び蓋部53Bの変形が抑えられるからである。これにより、搬送装置11が積層容器群52の供給作業を自動化した場合、箱53の変形に起因する蓋部53Bの開放ミス、袋56の開放ミス、及び吸引ヘッド30が箱53から積層容器群52を吸着する際の吸着ミス等を低減できる。なお、箱53は、この種のミス等の心配がなければ紙製(例えば段ボール)でもよいし、さらに木製でもよい。
【0034】
注入装置100は、床面12から上端部が少し突出する状態で床面12よりも下側(1階)に装置の大部分が配置される注入部102と、注入部102の上端部から上方へ延出する前述の供給部101とを有する。供給部101は、上方に向かって延出する状態で水平方向(
図1の例では紙面と直交する方向)に隣接して並ぶ複数のガイド103を有している。ガイド103は、積層容器群52の長さの2倍以上の十分な長さを有し、供給部101に対して積層容器群52をその積層方向が鉛直方向Zに一致する向きに供給可能に案内する。供給部101は、ガイド103に案内された積層容器群52Aの下端から容器51を1つずつ順番に注入部102へ供給する。
【0035】
注入部102は、供給部101から供給された空の容器51に所定の内容物を注入する。注入部102は、供給部101の複数のガイド103から一度に供給された複数(K個)の容器51に内容物を注入する注入処理を一度に複数個(K個)ずつ行う。供給部101に積層容器群52を供給可能なガイド103の数Kは、例えば吸引ヘッド30が一度に吸着可能な積層容器群52の数M、つまり凹部32の数Mの倍数に設定されている。吸引ヘッド30がM本の積層容器群52を1回(K=Mの場合)又は複数回(K>Mの場合)供給すると、供給部101の全列(K列)に積層容器群52を供給可能となっている。
【0036】
図3に示すように、複数の容器51が積層されてなる積層容器群52の積層方向の全長はL1となっている。容器51は軸線方向から見た形状が円形であるため、積層容器群52の外周面は円筒面(円弧面)となっている。容器51は開口縁部が開口側ほど拡開する形状を有する。このため、積層容器群52の外周面には積層方向にほぼ一定ピッチで容器51間の隙間C1が存在する。隙間C1は、容器51の周方向の全周に亘って延びている。隙間C1は、例えば公知の吸着パッドで積層容器群を吸着しようとした場合に積層容器群と吸着パッドとの間に密閉空間の形成を阻害する隙間流路を形成する。そこで、本実施形態の吸引ヘッド30は、空気の漏れの原因となる隙間流路が形成された状態でも、ブロワ20を利用して隙間流路を流れる吸引気流SFを、積層容器群52を保持面31に吸着しうる負圧を発生できる流量に高める。積層容器群52を構成する容器51の個数がJ個の場合、積層容器群52には(J−1)個の隙間C1が存在する。積層容器群52の積層方向において(J−1)個の隙間C1が存在する領域の長さはL2となっている。
【0037】
図4に示すように、吸引ヘッド30が保持面31に有する複数(同図では1つのみ図示)の凹部32は、どれも同じ
図4に示す構成を有している。
図4に示すように、凹部32は、積層容器群52の外周面の凸形状(例えば円弧状凸面)と対応する凹形状(例えば円弧状凹面)の内周面を有する。本実施形態の凹部32の内周面は、積層容器群52の外周面の面形状に対応する円弧面となっている。搬送装置11が扱う容器51には直径の異なる複数種類あり、容器51の直径に応じた内径の凹部32を有する吸引ヘッド30に交換される。容器51を直径の近いものが同じ群に属する複数の群に分け、群ごとに凹部32の内径の異なる吸引ヘッド30を用意している。吸引ヘッド30の凹部32は、対応する群に属する容器51の直径のうち一番大きな直径に対応する内径に形成されている。
【0038】
図4に示すように、凹部32の内周面には、積層容器群52を吸着しうる負圧を発生可能な吸引気流SFを発生させるために空気が流入する吸引孔33が開口している。
図4に示すように、本例の凹部32には吸引孔33が複数開口している。凹部32の長手方向の長さは、
図3における隙間C1の形成領域の長さL2よりも少し長くなっている。
図4に示す凹部32の内周面には、積層容器群52の積層方向にほぼ一定ピッチに複数の隙間C1が存在する領域と対向する位置に複数の吸引孔33が開口している。
【0039】
図4に示すように、複数の吸引孔33は、凹部32の長手方向の両端部の位置で開口する一対の第1吸引孔33Aと、長手方向に一対の第1吸引孔33Aの間に位置に開口する第2吸引孔33Bとを有している。本実施形態では、第1吸引孔33Aが第1吸引口部の一例に相当し、第2吸引孔33Bが第2吸引口部の一例に相当する。第1吸引孔33Aは、積層容器群52の外周面に存在する(J−1)個の隙間C1のうち少なくとも両端に位置する一対の隙間C1と対向する位置で開口する。
図4に示す例では、一対の第1吸引孔33Aは、凹部32の長手方向に複数個分の隙間C1と連通可能な長さL3を有している。第1吸引孔33Aは、凹部32の長手方向に長い細長い開口形状を有し、その幅L4は長さL3に比べ短くなっている。幅L4は、凹部32の周方向長さの1/50〜1/5の範囲内の値に設定されている。長さL3は例えば2〜30cmの範囲の値であり、幅L4は2〜20mmの範囲の値である。また、本例では、凹部32の長手方向の両端部に開口する一対の第1吸引孔33Aは、凹部32の周方向の異なる位置に複数(
図4の例では2つ)ずつ設けられている。
【0040】
また、
図4に示すように、第2吸引孔33Bは、凹部32の長手方向において一対の第1吸引孔33Aの間の位置(例えば中間位置)に1つ以上(例えば1つ)配置されている。
図4に示す例では、第2吸引孔33Bは、凹部32の周方向の中央位置に1つ開口している。なお、第2吸引孔33Bは、凹部32の長手方向の異なる位置に複数設けられたり、凹部32の周方向の異なる位置に複数設けられたりしてもよい。本例では、複数の吸引孔33(33A,33B)はどれも同じ長さL3及び同じ幅L4を有している。なお、吸引孔33の数、長さL3及び幅L4は適宜変更してもよい。また、複数の吸引孔33の中に孔形状又は孔サイズの異なるものが含まれていてもよい。
【0041】
図5に示すように、吸引ヘッド30は保持面31の凹部32に一部収容する状態で積層容器群52を吸着する。流量調整弁34が開いた状態でブロワ20(いずれも
図1を参照)が駆動されているとき、保持面31の周辺には吸引孔33へ流入する吸引気流SFが発生する。積層容器群52の外周面が凹部32の内周面に接触する
図5に示す状態では、積層容器群52の外周面と凹部32の内周面との間に容器51間の隙間C1により容器51の周方向に延びる隙間流路FPが、容器51の積層方向にほぼ一定ピッチで形成される。
【0042】
積層容器群52の外周面に沿って周方向に延びる隙間流路FPを通って空気が吸引孔33へ流れ込むことにより、
図5及び
図6に矢印で示す吸引気流SFが発生する。このとき、積層容器群52の積層方向の両端に位置する2つの隙間流路FPを流れる吸引気流SFにより積層容器群52の積層方向の両端に位置する2つの容器51が吸着される。積層容器群52は複数の容器51が積層された状態で一体に連結されているため、その積層方向の両端に位置する2つの容器51が吸着されればその間の他の容器51も一緒に吸引ヘッド30に保持される。特に本例では、(J−1)個の隙間C1(
図3を参照)のうち一部の複数の隙間C1によってできた複数の隙間流路FPに吸引気流SFを流すため、その吸引気流SFの流速を比較的高速に維持することができ、積層容器群52の両端部に比較的大きな吸引力を作用させることができる。但し、吸引ヘッド30が積層容器群52の両端部の一部の容器51のみを吸着した場合、積層容器群52の重量によっては吸着し損ねたり搬送途中で落下させる等の吸着ミスが発生したりする恐れがある。
【0043】
そこで、本例では、
図4に示すように、凹部32の長手方向における一対の第1吸引孔33Aの間の位置に第2吸引孔33Bを設けている。隙間流路FPを通って第2吸引孔33Bへ流れ込む吸引気流SFにより、積層容器群52の積層方向の中央部にも吸引力が作用し、積層容器群52は長手方向の両端部と中央部との3箇所でしっかり吸着される。吸引ヘッド30には、隙間流路FPを流れる吸引気流SFの流速に応じた大きさの負圧と、その負圧を受ける受圧面積(例えば隙間C1を形成する部分の内周面の面積)とに応じた吸着力が発生する。
【0044】
ここで、
図6に示すように、凹部32の内周面には周方向に異なる複数の位置に複数(例えば2つ)の第1吸引孔33Aが開口している。隙間流路FPへその両端開口から流入した吸引気流SFは、2つの第1吸引孔33Aへそれぞれ流入する。隙間流路FPにおいて空気が流入する2つの第1吸引孔33Aに挟まれた領域である流路部FP1では、特に高い負圧が得られる。このため、吸引ヘッド30は積層容器群52の長手方向の両端部に位置する容器51に対して相対的に高い吸引力を作用させる。なお、吸引ヘッド30の保持面31に
図5に二点鎖線で示す凸条32Aを周方向に延びるように形成し、保持面31が積層容器群52の外周面と接触する状態において積層容器群52の最も底側に位置する容器51の外周面に吸引力を作用させることが可能な吸引気流が通る隙間流路を形成する構成としてもよい。
【0045】
次に
図7を参照して、搬送装置11の電気的構成を説明する。
図7に示すように、搬送装置11は、搬送装置11を統括的に制御する制御部60を備える。制御部60は、コンピュータ61(マイクロプロセッサ)とメモリ62とを内蔵している。メモリ62には、例えば
図8にフローチャートで示される搬送制御用のプログラムが記憶されている。制御部60は、コンピュータ61がプログラムを実行することにより、搬送装置11を制御する。なお、
図8に示す各工程は、吸引ヘッド30が吸着した積層容器群52を吸着位置から目標位置まで搬送して目標位置で解放するまでの搬送方法の各工程も示している。
【0046】
図7に示すように、制御部60には、入力系として、作業者により操作される入力部63と、搬送装置11が積層容器群52を供給部101に供給する供給時期を検出するセンサ64とが電気的に接続されている。入力部63は、搬送装置11に対して各種のデータの入力及び指令を入力するために作業者により操作される。センサ64は、供給部101に供給済みの積層容器群52Aの容器数(残量)が規定値以下となり、搬送装置11が供給部101に積層容器群52を供給するべき供給時期に達したことを検出する。
【0047】
また、制御部60には、出力系として、ブロワ20、流量調整弁34及びロボット40が電気的に接続されている。制御部60は、供給時期になると、ロボット40のアーム40A及び吸引ヘッド30を駆動させて、吸引ヘッド30を用いた積層容器群52の搬送作業を開始する。制御部60は、搬送作業中にブロワ20を駆動させると共に、流量調整弁34の開度を調整して吸引ヘッド30の凹部32において吸引孔33へ流入する吸引気流SF(
図5、
図6を参照)の流量を調整する。
【0048】
入力部63は、作業者の操作で容器51の品番等の容器特定情報を入力する。容器特定情報は、容器51の形状、直径、重量、材質、積層容器群52の全長L1、箱53のサイズ、箱53に収容された積層容器群52の列数(M)・段数(N)、供給部101の容器供給速度等のデータと対応付けられている。容器51の材質には、例えば合成樹脂製と紙製とがある。
【0049】
制御部60は、入力部63から入力した容器特定情報(例えば品番)を基に吸引ヘッド30に発生させる吸引気流SFの流量を決定する。制御部60は、決定した流量が得られる開度に流量調整弁34を調整する。なお、制御部60は、流量調整弁34に替え、ブロワ20の駆動回転数を制御することにより、吸引ヘッド30に発生させる吸引気流SFの流量を調整してもよい。
【0050】
制御部60は、流量調整弁34を開いた状態でブロワ20を駆動させることにより、吸引ヘッド30に容器特定情報に応じた流量の吸引気流SFを発生させる。これにより吸引ヘッド30の凹部32への積層容器群52の吸着が可能になる。また、制御部60は、ブロワ20の駆動を停止もしくはブロワ20の回転速度を抑制するか、又は流量調整弁34を全閉もしくは規定開度未満の開度に調整することにより、吸引気流SFの発生を停止又は規定量未満の流量に抑制する。これにより、吸引ヘッド30は吸着していた積層容器群52を解放する。このように本実施形態では、吸引気流SFを発生させるために駆動されるブロワ20及び開弁側へ開度調整される流量調整弁34のうち少なくともブロワ20が、吸引気流発生部の一例を構成する。また、吸引気流SFを抑制又は停止させるために駆動停止もしくは回転速度が低下されるブロワ20及び閉弁側へ開度調整される流量調整弁34のうち少なくとも一方が、吸引気流抑制部の一例を構成する。なお、制御部60に電気的に接続された
図7に二点鎖線で示す引抜装置80の詳細は、第2実施形態で説明する。
【0051】
次に、
図1〜
図8等を参照して、積層容器群52の搬送装置11の作用を説明する。まず作業者は入力部63により搬送対象の容器51の品番等の必要なデータを入力する。制御部60は、入力されたデータを基に、吸引気流SFの流量を決める流量調整弁34の開度又はブロワ20の駆動回転数(回転速度)等を決定する。搬送装置11の運転開始後、制御部60は、供給部101に供給済みの積層容器群52Aの容器数が規定数以下になった旨の検知信号をセンサ64から入力して所定の供給時期になると、搬送装置11を駆動させて搬送作業を開始する。この搬送作業は、制御部60が
図8にフローチャートで示される搬送制御用のプログラムを実行することにより行う。以下、
図8を参照しつつ制御部60が行う搬送制御について説明する。
【0052】
ステップS11では、制御部60は吸着工程を行う。制御部60はロボット40を制御し、吸引ヘッド30を箱53の上方まで水平姿勢で移動させる。制御部60はブロワ20を駆動させ、吸引ヘッド30の保持面31に吸引気流SFを発生させた状態で吸引ヘッド30を水平姿勢のまま箱53内の最上段の積層容器群52に接触可能な高さまで下降させる。こうして吸引ヘッド30は積層容器群52を吸着する。なお、制御部60は、作業対象の箱53の位置と吸着対象の積層容器群52が箱53内の何段目の位置であるかを把握している。また、ブロワ20の駆動開始タイミングは、供給時期の旨の検知信号の入力(作業指令受け付け)以後、吸引ヘッド30を吸着位置で吸着するまでの間であればよい。
【0053】
ステップS12では、制御部60は搬送工程を行う。制御部60はブロワ20の駆動を継続させたまま、ロボット40のアーム40Aを制御して吸引ヘッド30を移動させてその保持面31に吸着した積層容器群52をその吸着位置から目標位置まで搬送する。本例の目標位置は、供給部101に積層容器群52を供給する際の供給位置である。
【0054】
制御部60は、ロボット40を制御して吸引ヘッド30が供給部101に近づくと、吸引ヘッド30の姿勢を積層容器群52がその長手方向(積層方向)を鉛直方向Zに一致させる
図1に二点鎖線で示す縦向きの姿勢角に調整する。そして、吸引ヘッド30が吸着している積層容器群52を供給部101のガイド103に沿って縦向きの姿勢で上方から挿入し、吸引ヘッド30を所定高さの解放位置まで下降させる。このとき、制御部60は、センサ64が検知したときの積層容器群52Aの残量と検知時点からの経過時間と供給部101における容器供給速度とにより供給部101に供給済みの積層容器群52Aの上面高さを取得する。制御部60は、吸引ヘッド30を吸着中の積層容器群52の下端が供給部101内の積層容器群52Aの上端に所定の距離に近づくまで下降させる。
【0055】
ステップS13では、制御部60は、吸引ヘッド30から積層容器群52を解放する解放工程を行う。詳しくは、制御部60はブロワ20の駆動を停止させるか流量調整弁34の開度を全閉にして吸引気流SFを停止させる。あるいは、制御部60は、ブロワ20の回転速度を規定値未満に低減するか流量調整弁34の開度を規定開度未満に小さくして吸引気流SFの流量を規定量未満に低減させる。その結果、吸引ヘッド30から積層容器群52が解放され、積層容器群52が積層容器群52Aの上端部に積層された状態に供給される。こうして供給部101に一度にM本(例えば5本)の積層容器群52が供給される。以下、制御部60は、供給時期にある度に、
図8におけるステップS11〜S13の各工程を同様に繰り返すことにより、供給部101へ積層容器群52を順次供給する。
【0056】
以上詳述したように、この実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)搬送装置11は、積層容器群52の外周面の凸形状と対応する凹形状の凹部32を含む保持面31と保持面31に開口する吸引孔33とを有する吸引ヘッド30と、吸引ヘッド30に連通するブロワ20とを備える。搬送装置11は、ブロワ20を駆動させて吸引ヘッド30の凹部32の内周面と積層容器群52の外周面とが接触する状態で両者の間に容器51間の隙間C1により形成される隙間流路FPに吸引気流SFを流し発生する負圧で凹部32に積層容器群52を吸着させる。また、搬送装置11は、吸引気流SFを停止又は規定量未満の流量に抑制して吸引ヘッド30に吸着された積層容器群52を解放する。
【0057】
例えば、吸着パッドで積層容器群を吸着して搬送する方法では、吸着パッドで積層容器群を吸着して持ち上げようとしても、吸着パッドと積層容器群の外周面との間の隙間流路から空気が漏れ(流入し)、吸着パッドに吸着に必要な真空を形成できないため、積層容器群を吸着することが困難である。また、チャック等の把持装置により積層容器群を把持することも考えられるが、箱内に収容された複数本の積層容器群間の隙間が狭く、隙間にチャックを差し込んで取り出すことが困難であるうえ、吸着に比べ容器を傷付け易い。このため、積層容器群を箱から取り出して搬送し供給部に供給する供給作業の自動化が困難である。これに対して本実施形態の搬送装置11では、ブロワ20を用いることにより隙間流路FPを流れる吸引気流SFの流量を、積層容器群52を負圧で吸着しうる程度の大流量としている。そのため、積層容器群52の被吸着面である外周面に容器51間の隙間C1による凹凸が存在しても、積層容器群52を吸着して搬送することができる。例えば、搬送装置11によれば、吸引ヘッド30が箱53から吸着により取り出した積層容器群52を目標位置まで搬送し、その目標位置で吸引ヘッド30が積層容器群52を解放して供給部101に供給する供給作業のうち少なくとも一部を自動化することができる。
【0058】
(2)吸引孔33は、積層容器群52の外周面に存在する複数(J−1個)の隙間C1のうち積層方向の両端に位置する一対の隙間C1と対応する位置で保持面31に開口する一対の第1吸引孔33Aと、積層方向において一対の第1吸引孔33Aとの間の位置で保持面31に開口する1つ以上の第2吸引孔33Bとを有する。よって、積層容器群52の両端に位置する2つの容器51を第1吸引孔33Aへ流入する吸引気流SFによる負圧により吸引ヘッド30に吸着できるうえ、2つの容器51の間で第1吸引孔33Aへ流入する吸引気流SFが及ばない容器51にも、第2吸引孔33Bへ流入する吸引気流SFによる負圧が及ぶ。よって、柱状形状を有する積層容器群52を吸引ヘッド30にしっかり吸着できる。例えば積層容器群52の両端に位置する2つの容器51のうち少なくとも一方を保持し損ねたり搬送途中に落下させたりする搬送ミスを低減できる。
【0059】
(3)搬送装置11は、吸引ヘッド30を移動させる多関節ロボット40と、ブロワ20、流量調整弁34及びロボット40を駆動制御する制御部60とを備える。ブロワ20、流量調整弁34及び制御部60は、吸引気流SFを発生させる吸引気流発生部として機能する。また、ブロワ20、流量調整弁34及び制御部60は、吸引気流SFを規定量未満の流量に抑制又は停止させることによって保持面31から積層容器群52を解放する吸引気流抑制部として機能する。制御部60は、ブロワ20と流量調整弁34のうち少なくともブロワ20を制御して隙間流路FPに吸引気流SFを発生させ、吸引ヘッド30に積層容器群52を吸着させる。次に制御部60は、吸引ヘッド30が吸引気流SFを発生する状態を維持しつつ、ロボット40を駆動させて吸引ヘッド30を移動させることで、積層容器群52を吸着位置から目標位置まで搬送させる。さらに制御部60は目標位置でブロワ20及び流量調整弁34のうち少なくとも一方を制御し、吸引気流SFを規定量未満の流量に抑制又は停止させることにより吸引ヘッド30から積層容器群52を解放する。よって、制御部60がロボット40及び吸引ヘッド30を制御し、積層容器群52の吸着と搬送と解放とを行うので、供給部101に積層容器群52を供給する供給作業を自動化することができる。
【0060】
(4)積層容器群の搬送方法は、吸着工程と搬送工程と解放工程とを備える。吸着工程では、隙間流路FPに吸引孔33へ流入する吸引気流SFを発生させて吸引ヘッド30の保持面31に積層容器群52を吸着させる。搬送工程では、吸着工程で吸引ヘッド30が吸着した積層容器群52を吸引気流SFが発生する状態を維持したまま吸着位置から目標位置まで搬送する。解放工程では、吸引気流SFを規定量未満の流量に抑制又は停止させることにより目標位置で吸引ヘッド30から積層容器群52を解放する。よって、箱53から吸着して取り出した積層容器群52を搬送して供給部101へ供給する供給作業を自動化できる。
【0061】
(第2実施形態)
次に第2実施形態について図面を参照して説明する。第2実施形態では、箱53に収容された積層容器群52が筒状の袋57に個別に包装されている。本実施形態の搬送装置11は、第1実施形態の構成に加え、袋57を積層容器群52から取り外す作業も自動化するために、仮置き部70及び引抜部の一例としての引抜装置80を備えている。
【0062】
図1に示すように、搬送装置11は、載置台55上の箱53から吸着して取り出した積層容器群52を仮置き部70に仮置きし、袋57を積層容器群52から取り外した後、積層容器群52を仮置位置から目標位置まで搬送する。
【0063】
図9に示すように、箱53には、複数本(例えばM×N本)の積層容器群52が筒状の袋57に個別に包装された状態で収容されている。袋57は、積層容器群52の直径よりも少し大きな直径を有し、その長さは積層容器群52の全長L1よりも容器51の直径の1/2〜3倍程度長い。袋57には長手方向の一端が開放状態で他端が封止状態であるタイプと、両端が開放状態であるタイプとがある。以下では、前者のタイプの袋57を例に袋57を積層容器群52から取り外す引抜き方法を説明する。
【0064】
図10に示すように、仮置き部70は、水平に対して45°以上90°未満の範囲内の角度θで傾斜し、積層容器群52を傾斜角θで傾けた状態に支持することが可能なガイド71を有している。また、仮置き部70は、ガイド71上に斜めの姿勢に支持された積層容器群52の重力方向Zの端部(下端)である底部を支持する支持部72を有している。
【0065】
図11(a)に示すように、ガイド71は、仮置き部70の斜面70Aからほぼ垂直に突出するとともに、容器51の直径よりも短い所定の距離を隔てて互いに平行に延びた状態で一対設けられている。ガイド71は、例えば合成樹脂製又は金属製で、
図11(a)に示すように袋57を介して積層容器群52と接触する部分が角部となった角材からなる。そのため、一対のガイド71は積層容器群52をほぼ線接触する状態で支持する。
【0066】
また、
図11(b)に示すように、支持部72は、仮置き部70の底面70Bからほぼ垂直に上方へ突出するロッド73の先端部に固定された球状部74を有している。袋57ごと仮置き部70に仮置きされた積層容器群52の底部は、支持部72の球状部74によりほぼ点接触の状態で支持される。このように仮置き部70に袋57ごと仮置きされた積層容器群52は、一対のガイド71及び球状部74により接触摩擦抵抗が比較的小さな状態で支持される。
図10に示す仮置き部70は、複数組(N組)のガイド71及び支持部72を有し、吸引ヘッド30が吸着した複数(M本)の積層容器群52を一度に仮置きすることができる。なお、
図10、
図11の例では、袋57に収容された積層容器群52は、搬送装置11により、袋57の封止部が下側(底側)となる向きに仮置きされる。
【0067】
次に
図12、
図13を参照して引抜装置80の詳細な構成を説明する。
図12に示す引抜装置80は、仮置き部70に仮置きされた積層容器群52を収容する袋57の端部を把持して袋57を引き抜いて積層容器群52から取り外す装置である。
図12に示すように、引抜装置80は、袋57の端部を把持可能な把持部の一例としての把持装置81と、袋57の端部57Aを把持した把持装置81を傾斜角θで仮置きされた積層容器群52の長手方向に沿って移動させる直動機構82とを備えている。
図12に示す例の引抜装置80は、複数(M個)の把持装置81に対して共通の直動機構82を1つ備えている。
【0068】
詳しくは、
図12に示すように、直動機構82は、複数の把持装置81が一定の間隔で同じ向きに取り付けられたベースプレート83と、ベースプレート83を把持装置81が引抜きを行える方向と平行な進退方向に移動させる移動駆動機構84とを備えている。移動駆動機構84は、例えば電動モータ85と、電動モータ85の回転を直動に変換する変換機構86とを備えている。移動駆動機構84は、電動モータ85の正逆回転が変換機構86により変換された進退運動によりベースプレート83を複数の把持装置81と共に進退方向に往復移動させる。変換機構86は、例えばボールネジ機構又はラックアンドピニオン機構等により構成される。なお、直動機構82は、ベースプレート83にピストンロッドが連結されたシリンダ又はリニアモータにより構成することもできる。
【0069】
図12に示す把持装置81は、シリンダ87と、シリンダ87により駆動される把持機構88とを備えている。把持機構88は、シリンダ87のピストンロッド87Aの先端部に連結されたリンク機構89と、シリンダ87の伸縮駆動によりリンク機構89を介して開閉するフィンガ90とを備えている。フィンガ90は、開閉する対向部分に一対の弾性部材91を有する。袋57を引き抜く際は、端部57Aは一対の弾性部材91に挟まれることでフィンガ90に把持される。なお、把持装置81の駆動源は、シリンダ87に替え、電動モータ又は電磁ソレノイド等でもよい。
【0070】
また、把持装置81には、把持する前に袋57の端部57Aを引き出すために吸引する吸引部の一例としての吸引ノズル92を有している。吸引ノズル92は、不図示の管路を通じて負圧源と接続されており、袋57の端部57Aに接触又は所定距離以内に近づくと、端部57Aを吸引する。
【0071】
図13(a)に示すように、制御部60は、シリンダ87が伸長状態にあってフィンガ90を広げた状態で、直動機構82を駆動させて吸引ノズル92を、積層容器群52を収容する袋57の端部57Aに近づける。吸引ノズル92は積層容器群52の長手方向と平行な斜め下方へ移動して端部57Aに近づく。このとき、制御部60は、負圧源又は負圧源に接続された弁を制御して吸引ノズル92に吸引力を発生させる。吸引ノズル92は下降する過程で袋57の端部57Aに接近又は接触すると、端部57Aを吸引して捕捉する。制御部60は、吸引ノズル92を所定位置まで下降し終えると、直動機構82を逆駆動させて把持装置81を引き寄せることにより、吸引ノズル92が吸引して捕捉した端部57Aを引き出す(
図13(a),(b))。
【0072】
制御部60は、シリンダ87を収縮駆動させ、
図13(b)に示すようにフィンガ90を同図に矢印で示す方向へ閉じる。その結果、
図12に示すように、把持装置81のフィンガ90が、袋57の引き出された端部57Aを把持する。そして、制御部60が直動機構82を更に逆駆動させると、端部57Aを把持した複数の把持装置81が袋57を一斉に引き抜く。このとき、制御部60は、把持装置81の移動速度を制御し、袋57を所定の距離ずつ引張り上げる動作を間欠的に複数回行い、引張り上げる動作の度に積層容器群52の荷重を袋57の下端の封止部にかけることでその封止部を破る。
【0073】
制御部60は、メモリ62に
図14にフローチャートで示される搬送制御用のプログラムを記憶している。制御部60(詳しくはコンピュータ61)は、プログラムを実行することにより
図14に示される搬送制御を行う。なお、
図14に示すフローチャートは、第2実施形態における搬送方法の各工程も示している。
【0074】
次に第2実施形態の搬送装置11の作用を説明する。制御部60は、メモリ62に記憶されたプログラムを実行して
図14にフローチャートで示される搬送制御を行う。なお、以下の説明では、第1実施形態における
図8中の処理と同じ処理についてはその旨を示して説明を省略し、特に第1実施形態と異なる処理を詳しく説明する。
【0075】
ステップS21の第1吸着工程は
図8のステップS11の吸着工程と基本的に同じである。第2実施形態では吸着対象物が袋57に収容された積層容器群52である点が第1実施形態と異なる。制御部60はロボット40のアーム40Aを制御し、吸引ヘッド30を水平な姿勢角のまま箱53内へ下降し積層容器群52を袋57ごと吸着する。
【0076】
ステップS22では、制御部60は、第1搬送工程を行う。詳しくは、制御部60は、ロボット40のアーム40Aを制御し、吸引ヘッド30が吸着した袋57ごとの積層容器群52を仮置き部70に載置可能な仮置き位置まで搬送する。このとき、制御部60は、アーム40Aを制御して吸引ヘッド30の姿勢角をガイド71の傾斜角θと同じ角度とし、吸引ヘッド30をガイド71に対する解放位置まで下降させる。
【0077】
ステップS23では、制御部60は仮置き工程を行う。すなわち、制御部60は、吸引ヘッド30から解放して積層容器群52を仮置き部70に仮置きする。詳しくは、制御部60は、吸引ヘッド30の吸引気流SFを停止又は規定流量未満の流量に抑制し、吸引ヘッド30から積層容器群52を解放する。その結果、
図10に示すように、積層容器群52は袋57ごと仮置き部70のガイド71に傾斜角θで傾く姿勢で仮置きされる。なお、本実施形態では、ステップS21〜S23の処理により吸引ヘッド30を用いてロボット40が仮置き作業を行うが、仮置き作業専用の吸着パッドを有するロボットを別途設け、吸着パッドを用いて積層容器群52を袋57ごと仮置きしてもよい。この場合、吸着パッドが袋57に密着して空気が漏れず積層容器群52を袋57ごと吸着できる。
【0078】
ステップS24では、制御部60は、引抜工程を行う。すなわち、制御部60は、
図12に示す引抜装置80を制御し、把持装置81が端部57Aを把持した袋57を積層容器群52から引き抜いて取り外す。詳しくは、
図13(a)に示すように、制御部60は、把持装置81のシリンダ87を伸長駆動させてフィンガ90を広げた状態とし、直動機構82を駆動させて吸引ノズル92を前進させることにより端部57Aに近づけ、吸引ノズル92に端部57Aを吸引させる。次に制御部60は、直動機構82を逆駆動させて吸引ノズル92を後退させることにより、吸引ノズル92が吸引力で捕捉している端部57Aを引き出す(
図13(a),(b))。
【0079】
制御部60は、シリンダ87を収縮駆動させてフィンガ90を
図13(b)に矢印で示す方向へ閉じ、
図12に示すようにフィンガ90に引き出された端部57Aを把持させる。さらに制御部60は直動機構82を逆駆動させて複数の把持装置81を積層容器群52から引き離し、積層容器群52から袋57を一斉に引き抜く。このとき、制御部60は、把持装置81の移動速度を制御し、引張り動作を間欠的に複数回行って、積層容器群52の荷重による衝撃で袋57の下端の封止部を破る。なお、積層容器群52の荷重で十分封止部を破ることができる袋57である場合又は両端が開放された袋57である場合は、間欠的な引張り動作に替え、一定速度で引き上げる引抜き動作を1回行ってもよい。
【0080】
次のステップS25では、制御部60は第2吸着工程を行う。すなわち、制御部60は、ロボット40のアーム40Aを制御し、袋57が取り外された状態で傾斜角θで仮置きされた積層容器群52を吸引ヘッド30に吸着させる。詳しくは、制御部60は、吸引ヘッド30を仮置きの積層容器群52に対してその傾斜角θと同じ姿勢角で対向させ、吸引気流SFを発生させた状態で吸引ヘッド30をその凹部32が積層容器群52の外周面に接触する位置まで下降させることにより、凹部32に積層容器群52を吸着させる。
【0081】
ステップS26では、制御部60は第2搬送工程を行う。すなわち、制御部60は、ロボット40のアーム40Aを制御して吸引ヘッド30を移動させることにより、吸引ヘッド30に吸着された積層容器群52を仮置位置から
図1に二点鎖線で示す目標位置まで搬送する。
【0082】
ステップS27では、制御部60は解放工程を行う。この解放工程は、
図8におけるステップS13の解放工程と同じである。こうして吸引ヘッド30から解放された積層容器群52は、供給部101に供給され、先に供給済みの積層容器群52Aの上端に積層される。
【0083】
この第2実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(5)搬送装置11は、長手方向の少なくとも一端が開放された袋57に個別に収容された積層容器群52から袋57を引き抜いて取り外す引抜装置80を更に備えている。吸引ヘッド30は、引抜装置80が袋57を取り外した後の積層容器群52を吸着して目標位置まで搬送する。よって、袋57から積層容器群52を取り出す作業も自動化できる。
【0084】
(6)引抜装置80は、積層容器群52が収容された袋57の端部57Aを吸引して引き出す吸引ノズル92と、その引き出された端部57Aを把持して袋57を積層容器群52から引き抜く把持装置81とを備える。よって、袋57を積層容器群52からより確実に取り外し、袋57の取外しミスを低減することができる。
【0085】
(7)吸引ヘッド30は、吸着位置で袋57ごと吸着した積層容器群52を、45度以上かつ90度未満の姿勢角で仮置き部70に仮置きする。引抜装置80は、仮置きされた積層容器群52から袋57の重力方向Zと反対側の端部57Aを把持して袋57を積層容器群52の長手方向に沿う方向に引き抜く。よって、積層容器群52が袋57に個別に収容されていても、積層容器群52の自重を利用して袋57を比較的効率よく積層容器群52から取り外し、袋57の取り外しミスを低減することができる。
【0086】
(8)搬送工程の途中の仮置位置で、端部57Aを把持して積層容器群52から袋57を引き抜いて取り外す引抜工程を更に備える。搬送工程では、袋57が取り外された積層容器群52を吸引ヘッド30が吸着して仮置位置から目標位置まで搬送する。よって、積層容器群52から袋57を取り外す作業も自動化できる。
【0087】
実施形態は、上記に限定されず、以下の態様に変更してもよい。
・容器は、軸線に直交する方向から見た形状が四角形でもよい。この場合、
図15に示すように、吸引ヘッド30は、容器が積層された略四角柱状の積層容器群52の外周面と対応する面形状の保持面31を有する。
図15に示す吸引ヘッド30は、略四角柱状の積層容器群52の外周面の凸形状と対応する凹形状の凹部32を複数(同図では1つのみ図示)含む保持面31を有している。凹部32には、その長手方向の両端部に3つずつ開口する一対の第1吸引孔33Aと、長手方向において一対の第1吸引孔33Aの間の位置に開口する第2吸引孔33Bとを有する。また、略四角柱状の積層容器群52を吸着するための吸引ヘッド30の保持面31は、
図15に示す凹部32を無くした平坦面状であってもよい。平坦面状の保持面31には、略四角柱状の積層容器群52の一側面の吸着エリアに吸引孔が開口する。特に1つの隙間流路に複数の吸引孔が連通するように吸引孔を設け、
図6に示す負圧の相対的に高い流路部FP1を形成できることが好ましい。
【0088】
・多関節ロボットを無くし、作業者が吸引ヘッド30を把持して搬送作業を行ってもよい。例えば吸引ヘッド30に作業者が把持可能なハンドルと、ハンドルを握った手の指で操作可能な操作ボタン等の操作部とを設けることが好ましい。作業者は操作部を操作して吸引ヘッド30に積層容器群52を吸着させる吸引動作の起動と積層容器群52を解放させる吸引動作の停止とを手元で切換え操作することができる。作業者は操作部を操作してブロワ20を駆動させて吸引気流SFを発生させることで吸引ヘッド30に積層容器群52を吸着させて箱53から取り出すことができる。そして、作業者は吸引ヘッド30を移動させて積層容器群52を吸着位置から目標位置まで搬送した後、操作部を操作して吸引気流SFを抑制又は停止させることで、吸引ヘッド30から積層容器群52を解放して一度に複数本の積層容器群52を供給部101に供給することができる。また、流量調整弁34を設け、流量調整弁34を操作部の操作で電気的に開度調整したり、作業者が手動で流量調整弁34を開度調整する構成としたりしてもよい。この構成によれば、作業者が手で運んで積層容器群を供給部に供給する場合に比べ、一度により多くの数の積層容器群52を搬送して供給部101に供給できるため、供給作業効率が向上する。この場合、操作部の吸着指示操作で駆動されるブロワ20及び流量調整弁34のうち少なくともブロワ20が、吸引気流発生部の一例を構成する。また、操作部の解放指示操作で駆動停止されるブロワ20及び閉弁側へ開度調整される流量調整弁34のうち少なくとも一方が、吸引気流抑制部の一例を構成する。
【0089】
・吸引気流発生源はブロワ(blower)に替えてファン(fan)でもよい。ここで、ファンは、羽根車の回転運動によって気体にエネルギーを与える機械で、単位質量当たりのエネルギーが25kNm/kg(約30kPa)未満のものを指す。また、ブロワは、羽根車又はロータの回転運動によって気体を圧送する圧縮機のうち有効吐出し圧力が200kPa以下のものを指す。なお、ブロワ又はファンは、遠心式、斜流式、軸流式のどの方式でもよい。
【0090】
・各実施形態において、作業者が箱53から取り出して仮置き部70に斜めの姿勢にセットした積層容器群52を、吸引ヘッド30が吸着してその吸着位置から目標位置まで搬送する構成でもよい。第2実施形態では、特に引抜装置80が袋57を引き抜いて袋57を積層容器群52から取り外す引抜工程の後、吸引ヘッド30が斜めに仮置きされた積層容器群52を吸着工程で吸着し、搬送工程でその吸着位置から目標位置まで搬送する。
【0091】
・吸引孔は1つでもよい。例えば凹部32の内周面に、積層容器群52の全ての隙間C1と連通可能な長さ(>L2(
図3))の1つの吸引孔を設けてもよい。この種の吸引孔を凹部32の周方向の異なる位置に複数設けてもよい。さらに吸引孔の幅L4をその長手方向の両端部(第1吸引口部)で中央部(第2吸引口部)よりも広くしてもよい。
【0092】
・第2実施形態において、引抜工程を、搬送工程の途中(第1搬送工程(S22)と第2搬送工程(S26)との間)に替え、搬送工程の前に行ってもよい。例えば作業者が箱53から袋57ごと取り出して仮置き部70に傾斜角θで斜めに置いた積層容器群52から引抜装置80が袋57を引き抜く構成でもよい。この場合、搬送工程では、引抜工程で袋57が取り外された積層容器群52を吸引ヘッド30が吸着し、吸引ヘッド30が吸着した積層容器群52をその吸着位置から目標位置まで搬送する。
【0093】
・第2実施形態において、制御部60は、複数(例えばM個)の把持装置81を同期して駆動させてもよいし、個々に独立して駆動させてもよい。例えば積層容器群52がM本より少ない端数である場合は、その端数に応じた数の把持装置81のみ駆動させてもよい。また、把持装置81の配設数はM個以外の数でもよい。把持装置81の配設数をM個未満の数(例えば1個)とし、把持装置81を積層容器群52のピッチの自然数(例えば「1」)倍の距離ずつ横移動させながら複数回(例えばM回)繰返し駆動させてM個の積層容器群52から袋57を順番に取り外す方法を採用してもよい。
【0094】
・第2実施形態において吸引ノズルを可動式としてもよい。例えば把持装置81は進退可能に設けられた吸引ノズル92を有する。制御部60は、吸引ノズル92を進出させて袋57の端部57Aを吸引した後、吸引ノズル92を退避させて端部57Aを引き出す。制御部60は、把持装置81でその引き出された端部57Aを把持して積層容器群52の長手方向に沿う方向に引き抜く引抜動作を行い、袋57を積層容器群52から取り外す。
【0095】
・第2実施形態において吸引ノズル92を廃止してもよい。例えば引抜装置80が把持装置81のフィンガ90で袋57の端部57Aを摘んで引き出してもよい。
・目標位置で解放する際の積層容器群52は容器の開口が下側となる向きでもよい。また、目標位置で解放する際の積層容器群52の姿勢は、傾斜姿勢又は水平姿勢でもよい。
【0096】
・搬送装置11が積層容器群52を供給する供給先の装置は、注入装置に限定されない。その他の装置の供給部(供給装置)に搬送装置11が容器を供給する構成でもよい。