(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者は、良好な通信状態を確保するため、複数の通信モデムをデジタルタコグラフに搭載することを考えた。デジタルタコグラフは、通信状態の良い方の通信モデムを選択して通信を行う。
【0005】
また、本願発明者は、複数の通信モデムを搭載したデジタルタコグラフの開発に当たり、車両の運行情報とともに、受信する電波の強度など通信の繋がり易さに関する情報を複数の通信会社について同一の環境条件で取得できる可能性に思い至った。
【0006】
さらに、本願発明者は、取得した通信の繋がり易さに関する情報を用いて、通信の確実性をさらに高め得る可能性に思い至った。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、複数の通信会社の繋がり易さに関する情報を、同一の環境条件で取得する手段を提供することにある。
【0008】
また、本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、通信の確実性を高め得る手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 本発明に係る移動体通信装置は、移動体に搭載されて当該移動体の外部と通信を行う移動体通信装置である。移動体通信装置は、位置情報が入力される位置情報入力部を少なくとも含む情報入力部と、第1アンテナ、及び当該第1アンテナで受信した電波の強度を検出する第1電波強度検出部を有し、第1通信キャリアと第1バンドを用いて通信を行う第1通信部と、第2アンテナ、及び当該第2アンテナで受信した電波の強度を検出する第2電波強度検出部を有し、第2通信キャリアと第2バンドを用いて通信を行う第2通信部と、記憶部と、第1制御部と、を備える。上記第1制御部は、
上記第1電波強度検出部が検出した上記第1バンドの電波強度を示す第1電波強度情報と、上記第2電波強度検出部が検出した上記第2バンドの電波強度を示す第2電波強度情報と、運行情報である上記位置情報と、を同時に取得する取得処理と、上記第1通信キャリアを示す第1キャリア情報と
上記第1電波強度情報とを対応付け、上記第2通信キャリアを示す第2キャリア情報と
上記第2電波強度情報とを対応付け、対応付けた上記第1電波強度情報及び上記第1キャリア情報と、対応付けた上記第2電波強度情報及び上記第2キャリア情報と、上記位置情報と、を対応付けて上記記憶部に記憶させる第1記憶処理と、上記第1電波強度情報及び上記第1キャリア情報と、上記第2電波強度情報及び上記第2キャリア情報と、上記位置情報と、を対応付けて、上記第1通信部または上記第2通信部のいずれか一方を用いて送信する第1送信処理と、を実行する。
【0010】
移動体は、バスやタクシーやトラックや配送車などの車両や航空機などである。通信キャリアは、典型的には通信会社である。第1制御部は、位置情報など、移動体から入力された情報を第1通信部または第2通信部を用いて外部へ送信する。また、第1制御部は、第1電波強度情報及び第1キャリア情報と、第2電波強度情報及び第2キャリア情報と、位置情報とを対応付けて送信する。すなわち、第1バンド(第1通信キャリア)の電波強度情報と第2バンド(第2通信キャリア)の電波強度情報とが、位置情報と対応付けて送信される。その結果、複数の通信キャリアについて、通信の繋がり易さが同一の環境条件で計測される。
【0011】
(2) 上記第1通信部は、SIMカードが装着される第1装着部を有し、装着された当該SIMカードによって決定される上記第1通信キャリアと通信を行ってもよい。上記第2通信部は、SIMカードが装着される第2装着部を有し、装着された当該SIMカードによって決定される上記第2通信キャリアと通信を行ってもよい。
【0012】
第1通信部が通信を行う第1通信キャリアは、第1装着部に装着されるSIMカード(Subscriber Identity Module Card)によって決まる。第2通信部が通信を行う第2通信キャリアは、第2装着部に装着されるSIMカードによって決まる。SIMカードの変更は、移動体の所有者の選択により、或いは移動体が使用される国や地域の通信キャリアに合わせて行われる。したがって、通信を行う通信キャリアをユーザに自由に変更させることができ、また、種々の国や地域で移動体通信装置を使用させることができる。
【0013】
(3) 上記第1通信部は、通信確認情報を送信し、送信した当該通信確認情報に対する応答である応答情報を受信したか否かを示す第1通信確立情報を出力してもよい。上記第2通信部は、通信確認情報を送信し、送信した当該通信確認情報に対する応答である応答情報を受信したか否かを示す第2通信確立情報を出力してもよい。上記第1制御部は、上記第1通信部と上記第2通信部とのうち、上記応答情報を受信し、かつ電波強度が強い方の上記通信部を選択する第1選択処理をさらに実行し、上記第1選択処理において選択した上記通信部を用いて上記第1送信処理を実行する。
【0014】
第1制御部は、応答情報を受信し、かつ電波強度が強い方の通信部を選択して送信を行う。すなわち、第1制御部は、通信状態の良い方の通信部を選択して通信を行う。したがって、通信の確実性が確保される。
【0015】
(4) 上記第1制御部は、上記第1記憶処理において、上記第1通信確立情報を上記第1電波強度情報及び上記第1キャリア情報と対応付けて上記記憶部に記憶させ、上記第2通信確立情報を上記第2電波強度情報及び上記第
2キャリア情報と対応付けて上記記憶部に記憶させ、上記第1送信処理において、上記第1通信確立情報、上記第1電波強度情報、及び上記第1キャリア情報と、上記第2通信確立情報、上記第2電波強度情報、及び上記第2キャリア情報と、上記位置情報と、を対応付けて送信してもよい。
【0016】
第1通信確立情報、第1電波強度情報、及び第1キャリア情報と、第2通信確立情報、第2電波強度情報、及び第2キャリア情報と、位置情報とを対応付けて送信するから、電波強度だけでなく、通信が確立しているか否かも計測することができる。
【0017】
(5) 本発明の移動体通信装置は、時刻情報を出力するクロックモジュールをさらに備えていてもよい。上記第1制御部は、上記第1記憶処理において、上記位置情報と、上記第1電波強度情報と、上記第2電波強度情報とが入力された際の上記時刻情報をさらに対応付けて上記記憶部に記憶させ、上記第1選択処理において、いずれの上記通信部も上記応答情報を受信しなかったことを条件に上記通信部を選択せずに通信を行わず、上記応答情報を受信して上記通信部が選択されて通信が再開されるまでの期間に上記記憶部に記憶された上記情報を、通信再開時に送信する。
【0018】
第1制御部は、通信障害が生じると、通信障害が生じていた期間に取得した情報を、通信障害が解消された後に送信する。したがって、通信の確実性がさらに確保される。
【0019】
(6) 上記情報入力部は、気温が入力される気温情報入力部と、湿度が入力される湿度情報入力部と、をさらに備えていてもよい。上記第1制御部は、上記第1送信処理において、上記位置情報と、上記第1電波強度情報及び上記第1キャリア情報と、上記第2電波強度情報及び上記第2キャリア情報と、気温を示す気温情報と、湿度を示す湿度情報と、を対応付けて送信する。
【0020】
気温情報及び湿度情報は、晴天や雨などの気象の判断に用いられる。すなわち、第1電波強度と、第2電波強度とが、気象と対応付けて計測される。
【0021】
(7) 上記情報入力部は、上記移動体の外部を撮影するカメラから画像情報が入力される画像情報入力部をさらに備えていてもよい。上記第1制御部は、上記第1送信処理において、上記位置情報と、上記第1電波強度情報及び上記第1キャリア情報と、上記第2電波強度情報及び上記第2キャリア情報と、上記画像情報と、を対応付けて送信する。
【0022】
カメラは、上記移動体の外部を撮影し画像情報として出力する。出力された画像情報は、画像情報入力部に入力される。画像情報は、晴天や雨や雪などの気象の判断や、場所の特定に用いられる。例えば、画像情報により、電波強度が計測された正確な位置を携帯電話の使用者等に認識させることができる。
【0023】
(8) 上記移動体は、車両であって、上記情報入力部は、上記車両の車速を示す車速情報が入力される車速情報入力部と、上記車両のエンジンの回転数を示す回転数情報が入力される回転数情報入力部と、をさらに備えていてもよい。
【0024】
すなわち、移動体通信装置は、車速情報や回転数情報が入力されるデジタルタコグラフであってもよい。車両などの移動体に搭載されるデジタルタコグラフを利用して、複数の通信キャリアの電波強度情報を収集することができる。
【0025】
(9) 本発明の移動体通信システムは、上述の移動体通信装置と、上記移動体通信装置と通信を行う情報処理装置と、を具備する。上記移動体通信装置の上記第1制御部は、上記第1送信処理において、上記第1電波強度情報及び上記第1キャリア情報と、上記第2電波強度情報及び上記第2キャリア情報と、上記位置情報とともに識別記号を送信する。上記情報処理装置は、装置メモリ及び第2制御部を備える。上記第2制御部は、上記移動体通信装置から入力された上記電波強度情報、上記キャリア情報、及び上記位置情報を上記装置メモリに記憶させる第2記憶処理と、上記第2記憶処理において記憶された上記電波強度情報及び上記位置情報から通信が困難な通信障害位置を上記第1通信キャリア及び上記第2通信キャリアについて特定する第1特定処理と、を含む情報収集処理と、上記識別記号と上記移動体の走行予定ルートとを対応付けて上記装置メモリに記憶させる計画書作成処理と、上記移動体から入力された上記識別記号から上記走行予定ルートを特定する第2特定処理と、上記第2特定処理において特定した上記走行予定ルートにおける上記第1通信キャリアの上記通信障害位置、及び上記第2通信キャリアの上記通信障害位置を示す通信障害情報を生成する生成処理と、生成した上記通信障害情報を上記移動体に送信する第2送信処理と、を実行する。上記移動体通信装置の上記第1制御部は、上記通信障害情報を受信する受信処理と、上記受信処理で受信した上記通信障害情報が示す上記通信障害位置との間の距離が閾値距離未満であるか否かを判断する判断処理と、上記判断処理において閾値距離未満であると判断したことを条件に、上記
通信障害情報が示す通信障害が生じない上記通信部を選択する第2選択処理と、上記第2選択処理で選択した上記通信部を用いて送信を行う上記第1送信処理と、を実行する。
【0026】
情報処理装置の第2制御部は、移動体から送られた電波強度情報及び位置情報を装置メモリに記憶し、記憶した電波強度情報及び位置情報から、通信が困難な通信障害位置を第1通信キャリア及び第2通信キャリアについて特定する。例えば、第2制御部は、予め定められた閾値未満の電波強度情報と対応付けられた位置情報が示す位置を通信障害位置として特定する。
【0027】
また、情報処理装置の第2制御部は、移動体から送られた識別記号を用いて走行ルートを特定し、特定した走行ルート上に通信障害位置が存在する場合、その通信障害位置と、通信障害が生じる通信キャリアとを示す通信障害情報を生成して移動体へ送信する。識別記号は、例えば、移動体通信装置の記憶部に予め記憶された移動体固有の識別IDであり、或いは、移動体の運転手が携帯する認証カードに記憶された識別IDである。通信障害情報を受け取った移動体は、通信障害位置に近づくと、通信障害が生じない通信キャリアの通信部を選択して通信を行う、したがって、通信の確実性がさらに高められる。
【0028】
(10) 本発明の移動体通信システムは、上述の移動体通信装置と、上記移動体通信装置と通信を行う情報処理装置と、を具備する。上記情報処理装置は、装置メモリ及び第2制御部を備える。上記第2制御部は、上記移動体通信装置から入力された上記電波強度情報、上記キャリア情報、及び上記位置情報を上記装置メモリに記憶させる第2記憶処理と、上記第2記憶処理において記憶された上記電波強度情報及び上記位置情報から通信が困難な通信障害位置を上記第1通信キャリア及び上記第2通信キャリアについて特定する第1特定処理と、を含む情報収集処理と、上記移動体から入力された上記位置情報が上記通信障害位置から閾値距離未満であるか否かを判断する判断処理と、上記判断処理において上記閾値距離未満であると判断したことを条件に、通信障害が生じる上記通信キャリアと通信障害が生じない上記通信キャリアとの少なくとも一方を示す通信障害情報を送信する第2送信処理と、を実行する。上記移動体通信装置の上記第1制御部は、上記通信障害情報が示す通信障害を生じない上記通信キャリアを選択する第2選択処理と、上記第2選択処理で選択した上記通信部を用いて送信を行う上記第1送信処理と、を実行する。
【0029】
情報処理装置の第2制御部は、移動体から送られた電波強度情報及び位置情報を装置メモリに記憶し、記憶した電波強度情報及び位置情報から、通信が困難な通信障害位置を上記第1通信キャリア及び上記第2通信キャリアについて特定する。例えば、第2制御部は、予め定められた閾値未満の電波強度情報と対応付けられた位置情報が示す位置を通信障害位置として特定する。
【0030】
また、情報処理装置の第2制御部は、移動体から送られた位置情報から移動体の位置を判断し、移動体が通信障害位置に近づくと、通信障害が生じる通信キャリアまたは通信障害が生じない通信キャリアを移動体に知らせる。移動体通信装置の第1制御部は、通信障害が生じない通信キャリアを選択して通信を行う。したがって、通信の確実性がさらに高められる。
【0031】
(11) 本発明の移動体通信システムは、上述の移動体通信装置と、上記移動体通信装置と通信を行う情報処理装置と、を具備する。上記情報処理装置は、上記第1電波強度を第1地図に表記し、上記第2電波強度を第2地図に表記する第1編集処理を実行する。
【0032】
通信キャリアごとに電波強度が地図に表記されるから、通信キャリアごとに、繋がり易い地域や繋がり難い地域の確認が容易になる。
【0033】
(12) 本発明の移動体通信システムは、上述の移動体通信装置と、上記移動体通信装置と通信を行う情報処理装置と、を具備する。上記情報処理装置は、上記第1電波強度及び上記第1通信キャリアと、上記第2電波強度及び上記第2通信キャリアとを第3地図に併記する第2編集処理を実行する。
【0034】
第1電波強度及び上記第1通信キャリアと、第2電波強度及び上記第2通信キャリアとが地図に併記されるから、2つの通信キャリアにおいて、通信の繋がり易さの比較が容易になる。
【0035】
(13) 上記情報処理装置は、所定の気象条件ごとに上記編集処理を実行してもよい。
【0036】
所定の気象条件とは、例えば、晴れ、雨、雪、雷などである。気象条件は、移動体から入力され、或いは、気象庁などから入手される。気象条件ごとに編集処理を実行するから、晴れの日、雨の日、雪の日、雷の日ごとに繋がり易さを確認できる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、複数の通信キャリアの繋がり易さに関する情報を同一の環境条件で計測可能な移動体通信装置を提供することができる。
【0038】
また、本発明によれば、通信の確実性を高めることができる
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0041】
本実施形態では、
図1に示される移動体通信システム10が説明される。移動体通信システム10は、複数の移動体通信装置11と、情報処理装置12とで構成される。移動体通信装置11は、車両や航空機である移動体に1台ずつ搭載される。すなわち、移動体通信システム10は、情報処理装置12を用いて複数の移動体を管理するシステムである。移動体通信システム10は、例えば、複数の移動体(車両)を所有して運送業を営む運送業者や、タクシー会社や、バス会社などにおいて、移動体の運行管理に用いられる。
【0042】
情報処理装置12は、例えば、1台の管理サーバであり、または、複数台のサーバからなるクラウドサーバである。以下では、情報処理装置12が1台の管理サーバからなり、移動体が車両20である例が説明される。
【0043】
情報処理装置12は、例えば事務所に設置される。情報処理装置12は、第2制御部17と、装置メモリ13とを備え、入力装置14及びモニタ15と有線または無線にて接続されている。
【0044】
第2制御部17は、例えばCPUであり、装置メモリ13に記憶された制御プログラムを呼び出して後述の各処理を実行する。
【0045】
入力装置14は、オペレータによる入力操作を受け付ける。オペレータは、必要なデータを入力装置14を用いて情報処理装置12に入力し、運行管理用の計画書を作成する。計画書は、使用される車両、当該車両を示す識別記号、搭乗する運転手名、目的地名、経過地名、走行予定ルートなどを項目として有する運行指示書である。作成された計画書は、情報処理装置12の装置メモリ13に記憶される。計画書を作成して装置メモリ13に記憶する処理は、本発明の計画書作成処理に相当する。なお、装置メモリ13は、内蔵メモリであってもよいし、外付けメモリであってもよい。
【0046】
情報処理装置12は、移動体通信装置11から送られた情報(運行情報)を装置メモリ13に記憶させるとともに、運行情報と計画書とを比較し、各車両20が計画書に即して運行されているか否かを監視する。
【0047】
また、情報処理装置12の第2制御部17は、移動体通信装置11から送られた情報(後述の運行情報等)を装置メモリ13に記憶させ、また、モニタ15に表示させ、或いはインターネットにアップする。
【0048】
また、情報処理装置12は、装置メモリ13に記憶させた情報を用いて、通信に関する指示を車両20に対して行う。情報処理装置12の各処理の詳細については後述される。
【0049】
移動体である車両20は、
図2に示されるように、複数のセンサやGPS( Global Positioning System)アンテナ23と、バッテリ27とを備える。複数のセンサは、車速センサ21、回転数センサ22、気温センサ24、及び湿度センサ25などである。
【0050】
車速センサ21は、車両20の速度を示す車速情報を出力する。回転数センサ22は、車両20のエンジンの回転数を示す回転数情報を出力する。気温センサ24は、車両20の車外の気温を示す気温情報を出力する。湿度センサ25は、車両20の車外の湿度を示す湿度情報を出力する。
【0051】
GPSアンテナ23は、GPS衛星16(
図1)が送信した位置情報を受信し、受信した位置情報を出力する。
【0052】
位置情報、車速情報、回転数情報、気温情報、及び湿度情報は、車両20に搭載された移動体通信装置11に入力される。車速情報や回転数情報が入力される移動体通信装置11は、いわゆるデジタルタコグラフである。ただし、移動体通信装置11は、デジタルタコグラフに限定されるものではない。
【0053】
移動体通信装置11は、車速情報等が入力される情報入力部30と、情報入力部30に入力された情報を記憶する記憶部41と、記憶部41に記憶された情報を送信する第1通信モデム50及び第2通信モデム60と、これらの動作を制御する第1制御部40と、クロックモジュール37と、電源入力部38及び電源回路39とを備える。第1制御部40は、例えばCPUであり、記憶部41に記憶された制御プログラムを呼び出して後述の各処理を実行する。記憶部41及び第1制御部40として、例えば、エイコーン社(商標)のラズベリーパイ2を用いることができる。
【0054】
電源回路39は、電源入力部38と電気的に接続されている。電源入力部38は、車両20のバッテリ27の出力端子と電気的に接続される。すなわち、電源回路39は、バッテリ27から直流電圧を入力される。電源回路39は、例えば、DC−DCコンバータやレギュレータやツェナーダイオード等を備え、入力された直流電圧を所定の安定した直流電圧(例えば、5Vや3.3V)に変換して出力する。なお、
図2では、電源回路39から各回路への給電線の図示が省略されている。
【0055】
情報入力部30は、車速センサ21と電気的に接続される車速情報入力部31と、回転数センサ22と電気的に接続される回転数情報入力部32と、GPSアンテナ23と電気的に接続される位置情報入力部33と、気温センサ24と電気的に接続される気温情報入力部34と、湿度センサ25と電気的に接続される湿度情報入力部35とを備える。
【0056】
クロックモジュール37は、時刻情報を出力する。時刻情報は、情報入力部30に入力された情報の入力時刻として、当該情報と対応付けて記憶部41に記憶される。
【0057】
記憶部41は、入力された情報の他、複数の移動体通信装置11にそれぞれ個別に付与された識別記号を予め記憶する。個々の移動体通信装置11は、識別記号によって個別に識別される。すなわち、個々の車両20は、識別記号によって個別に識別される。
【0058】
記憶部41に記憶された識別記号及び情報は、第1通信モデム50または第2通信モデム60を用いて車外へ送信される。以下では、車速情報、回転数情報、位置情報、気温情報、湿度情報、及び時刻情報は、総称して運行情報と記載されて説明がされることがある。第1通信モデム50は、本発明の第1通信部に相当し、第2通信モデム60は、本発明の第2通信部に相当する。
【0059】
第1通信モデム50は、
図3に示されるように、SIMカード57が装着される第1装着部56と、第1装着部56に装着されたSIMカード57によって決まる第1通信会社(本発明の第1通信キャリアに相当)の基地局と第1バンドにて送受信を行う第1アンテナ58と、第1アンテナ58が受信した電波の強度を検出する第1電波強度検出部55と、第1出力部52と、各部の動作を制御する第1通信ドライバ51とを備える。第1バンドは、第1通信会社に割り当てられた周波数帯である。
【0060】
第1アンテナ58は、例えば、ポールアンテナやループアンテナとして、基板のパターン箔によって形成される。第1アンテナ58は、送信及び受信を行う送受信アンテナである。但し、第1アンテナ58は、送信用アンテナと、受信用アンテナとの2つのアンテナによって構成されていてもよい。後述の第2アンテナ68についても同様である。
【0061】
第1出力部52は、例えば、送信する信号(情報)に変調を行う変調回路、変調した信号を第1アンテナ58から送出する出力回路、及び第1アンテナ58が受信した信号を復調する復調回路により構成される。変調回路及び復調回路には、変調/復調ICが使用される。
【0062】
第1出力部52は、UDP(User Datagram Protocol)通信により、運行情報などを第1通信会社の基地局へ送信する。また、第1出力部52は、通信が可能か否かを確認するため、通信確認情報を送信し、応答情報を基地局から受信する。例えば、第1出力部52は、予め定められた所定の間隔(例えば1秒間隔)で通信確認情報を送信する。
【0063】
応答情報が受信されたことにより、送信した電波を基地局が良好に受信していることが確認される。すなわち、通信可能であることが確認される。通信障害などが発生し、通信確認情報が基地局に届かない場合、第1通信モデム50は応答情報を受信しない。応答情報を受信しないことにより、通信障害が生じていることが確認される。
【0064】
第1出力部52は、UDP通信を行う第1ポート53及び第2ポート54を有する。第1ポート53は、最新の運行情報、識別記号、及び後述の通信状態情報(以下、運行情報等と記載することがある)を送信するポートである。最新の運行情報等とは、例えば、前回送信を行った運行情報等の後に入手した運行情報等を意味し、必ずしも、最も新しい運行情報等のみを意味するものではない。第1出力部52は、予め定められた所定の間隔(例えば1秒間隔)で第1ポート53から最新の運行情報等を送信する。運行情報等の送信は、例えば、パケット方式により行われる。
【0065】
第2ポート54は、通信障害が生じていた期間における運行情報等を送信するポートである。通信障害が生じていた期間とは、第1通信モデム50及び第2通信モデム60の双方において、応答情報を受信しなかった期間を意味する。すなわち、第1通信モデム50及び第2通信モデム60の双方において通信できない期間を意味する。
【0066】
第1電波強度検出部55は、受信した電波(例えば、応答情報)の強度を検出する。例えば、第1電波強度検出部55は、第1アンテナ58が受信した電波を電圧に変換する変換回路(抵抗)と、変換した電圧を増幅する増幅回路(オペアンプ)と、増幅した電圧をいくつかの基準電圧と比較する比較回路(コンパレータ)とで実現される。第1電波強度検出部55は、検出した電波強度を、第1電波強度情報として出力する。
【0067】
第1装着部56は、ユーザがSIMカード57を装着するソケットやスロットなどである。SIMカード57により、第1通信会社が特定される。SIMカード57を変更することにより、第1通信モデム50が通信を行う第1通信会社、及び第1バンドの周波数帯が変更される。なお、第1バンドの周波数帯を変更するため、複数のアンテナや、アンテナの利得調整回路などが第1通信モデム50に組み込まれる。これらは、通常、通信モデムに搭載されるから、詳しい説明は省略される。
【0068】
第1通信ドライバ51は、第1アンテナ58が応答情報を受信したか否かを示す通信確立情報と、第1電波強度検出部55から入力された第1電波強度情報と、第1会社情報(本発明の第1キャリア情報に相当)とを含む第1通信状態情報を出力する。第1会社情報は、第1装着部56に装着されたSIMカード57によって特定される第1通信会社を示す情報である。
【0069】
第2通信モデム60は、第1通信モデム50と同構成である。以下では、第2通信モデム60について簡単に説明がされる。
【0070】
第2通信モデム60は、SIMカード67が装着される第2装着部66と、第2装着部66に装着されたSIMカード67によって決まる第2通信会社(本発明の第2通信キャリアに相当)の基地局と第2バンドにて送受信を行う第2アンテナ68と、第2アンテナ68が受信した電波の強度を検出する第2電波強度検出部65と、第2出力部62と、各部の動作を制御する第2通信ドライバ61とを備える。第2バンドは、第2通信会社に割り当てられた周波数帯である。
【0071】
第2通信モデム60の第2出力部62は、第1通信モデム50の第1出力部52と同構成である。第2出力部62は、第1出力部52の第1ポート53に相当する第3ポート63と、第1出力部52の第2ポート54に相当する第4ポート64とを備える。すなわち、第3ポート63は、最新の運行情報等を送信するポートであり、第4ポート64は、通信障害が生じていた期間の運行情報等などを送信するポートである。
【0072】
第2通信モデム60の第2アンテナ68、第2電波強度検出部65、及び第2通信ドライバ61は、第1通信モデム50の第1アンテナ58、第1電波強度検出部55、及び第1通信ドライバ51と同構成である。
【0073】
第2通信モデム60の第2装着部66は、第1装着部56と同構成である。第2装着部66に装着されるSIMカード67により、第2通信会社が特定される。SIMカード67を変更することにより、第2通信モデム60が通信を行う第2通信会社、及び第2バンドの周波数帯が変更される。
【0074】
第2通信モデム60の第2通信ドライバ61は、第2アンテナ68が応答情報を受信したか否かを示す通信確立情報と、第2電波強度検出部65から入力された第2電波強度情報と、第2会社情報(本発明の第2キャリア情報に相当)とを含む第2通信状態情報を出力する。第2会社情報は、第2装着部66に装着されたSIMカード67によって特定される第2通信会社を示す情報である。第2通信ドライバ61と、上述の第1通信ドライバ51及び第1制御部40は、本発明の第1制御部に相当する。
【0075】
図4を参照して、第1制御部40が実行するメイン処理について説明する。第1制御部40は、情報入力部30、クロックモジュール37、第1通信モデム50、及び第2通信モデム60から情報が入力されるまで待機する(S11:No)。第1制御部40は、情報が入力されると(S11:Yes)、それらの情報を対応付けて記憶部41に記憶させる第1記憶処理(S12)を実行する。
【0076】
第1記憶処理について詳しく説明すると、まず、第1通信状態情報、第2通信状態情報、車速情報、回転数情報、位置情報、気温情報、湿度情報、及び時刻情報が入力される。第1通信状態情報は、第1通信モデム50から入力され、通信確立情報、第1電波強度情報、第1会社情報を含む。第2通信状態情報は、第2通信モデム60から入力され、通信確立情報、第2電波強度情報、第2会社情報を含む。車速情報、回転数情報、位置情報、気温情報、及び湿度情報は、情報入力部30から入力される。時刻情報は、クロックモジュール37から入力される。
【0077】
第1制御部40は、入力された第1通信状態情報、第2通信状態情報、及び運行情報と、これらの情報が入力された時刻を示す時刻情報とを対応付けて記憶部41に記憶させる。
【0078】
次に、第1制御部40は、通信に使用する通信モデムを選択する第1選択処理を実行する(S13)。詳しく説明すると、
図5に示されるように第1制御部40は、第1通信モデム50及び第2通信モデム60の双方から、通信状態情報が入力されるまで待機する(S21:No)。通信状態情報は、例えば、1秒間隔で第1制御部40に入力される。
【0079】
第1制御部40は、第1通信モデム50及び第2通信モデム60の双方から通信状態情報が入力されると(S21:Yes)、第1通信モデム50が通信可能か否かを判断する(S22)。第1通信モデム50が通信可能か否かは、第1通信モデム50から入力された通信状態情報に含まれる通信確立情報により判断される。通信確立情報は、第1通信モデム50が基地局から応答情報を受信したか否かを示す情報である。
【0080】
第1制御部40は、第1通信モデム50が通信不能と判断すると(S22:No)、第2通信モデム60が通信可能か否かを判断する(S23)。第2通信モデム60が通信可能か否かは、第1通信モデム50と同様にして判断される。第1制御部40は、第2通信モデム60が通信不能と判断すると(S23:No)、通信障害が生じていると判断する(S24)。第1制御部40は、通信障害が発生していると判断すると、通信障害時処理を実行する(S25)。
図6を参照して、通信障害時処理について説明がされる。
【0081】
第1制御部40は、通信障害が発生するまで待機する(S31:No)。第1制御部40は、通信障害が発生したと判断すると(S31:Yes)、通信障害発生時の時刻情報を記憶部41に記憶させる(S32)。次に、第1制御部40は、通信障害が解消されるまで待機する(S33:No)。通信障害が解消されたか否かは、第1通信モデム50及び第2通信モデム60から入力された通信状態情報により判断される。具体的には、第1通信モデム50及び第2通信モデム60の少なくとも一方において応答情報が受信された場合に、通信障害が解消されたと判断する。
【0082】
第1制御部40は、通信障害が解消されたと判断すると(S33:Yes)、使用する通信モデムを第1通信モデム50または第2通信モデム60に決定する(S34)。通信モデムの決定は、後述されるステップS26からステップS29と同様にして行われる。
【0083】
第1制御部40は、使用する通信モデムを第1通信モデム50に決定すると(S34)、第1通信モデム50の第2ポート54から、通信障害が生じていた期間に入力された運行情報等をUDP通信により送信する。第1制御部40は、通信モデムを第2通信モデム60に決定すると(S34)、第2通信モデム60の第4ポート64から、通信障害が生じていた期間に入力された運行情報等をUDP通信により送信する。
【0084】
図5に戻って、第1制御部40は、第1通信モデム50が通信可能であると判断すると(S22:Yes)、第2通信モデム60が通信可能であるか否かを判断する(S26)。第1制御部40は、第2通信モデム60が通信不能であると判断すると(S26:No)、第1通信モデム50を使用する通信モデムに決定し、最新の運行情報等をUDP通信により第1通信モデム50の第1ポート53から送信する(S28)。
【0085】
一方、第1制御部40は、第1通信モデム50が通信不能であり(S22:No)、第2通信モデム60が通信可能であると判断すると(S23:Yes)、第2通信モデム60を使用する通信モデムに決定し、最新の運行情報等をUDP通信により第2通信モデム60の第3ポート63から送信する(S29)。
【0086】
第1制御部40は、第1通信モデム50及び第2通信モデム60の双方が通信可能と判断すると(S22:Yes&S26:Yes)、第1通信モデム50が受信した電波の電波強度(第1電波強度)が、第2通信モデム60が受信した電波の電波強度(第2電波強度)より強いか否かを判断する(S27)。第1電波強度及び第2電波強度は、第1通信モデム50及び第2通信モデム60から入力された通信状態情報に含まれる第1電波強度情報及び第2電波強度情報により示される。
【0087】
第1制御部40は、第1電波強度が第2電波強度より強いと判断すると(S27:Yes)、第1通信モデム50を使用する通信モデムに決定し、最新の運行情報を第1通信モデム50の第1ポート53からUDP通信により送信する(S28)。第1制御部40は、第1電波強度が第2電波強度より弱いと判断すると(S27:No)、第2通信モデム60を使用する通信モデムに決定し、最新の運行情報を第2通信モデム60の第3ポート63からUDP通信により送信する(S29)。すなわち、第1制御部40は、第1通信モデム50及び第2通信モデム60の双方が通信可能である場合、受信した電波の電波強度が強い方の通信モデムを選択してUDP通信を行う。
【0088】
例えば、車両20が、第1通信会社の基地局の近くの場所であって、かつ第2通信会社の基地局から遠い場所を走行すると、移動体通信装置11は、電波状態の良い第1通信モデム50によって運行情報等を送信する。また、車両20と第1通信会社の基地局との間にビルなどの障害物がある場合、移動体通信装置11は、電波状態の良い第2通信モデム60によって運行情報等を送信する。
【0089】
移動体通信装置11が送信した運行情報等及び識別記号は、情報処理装置12に入力される。情報を入力された情報処理装置12の第2制御部17は、
図7に示される運行管理処理、及び
図8に示される情報収集処理を実行する。
【0090】
図7を参照して運行管理処理について説明がされる。第2制御部17は、車両20から運行情報等及び識別記号が入力されるまで待機する(S41:No)。第2制御部17は、運行情報等及び識別記号が入力されると(S41:Yes)、識別記号から計画書を特定する(S42)。具体的には、第2制御部17は、入力された識別記号と同一の識別記号を有する計画書を検索し、検索した計画書を、運行情報等を送信した車両20の計画書として特定する。
【0091】
第2制御部17は、入力された運行情報等と計画書の各項目とが一致するか否かを判断する(S43)。例えば、第2制御部17は、運行情報等に含まれる位置情報が、計画書に示された走行予定ルート上にあるか否かや、運行情報等に含まれる位置情報及び時刻情報から判断した休憩場所及び休憩時間が、計画書に示された休憩場所及び休憩時間と一致するか否かを判断する。
【0092】
第2制御部17は、入力された運行情報等と計画書の項目とが一致すると判断すると(S43:Yes)、処理を終了し、一致しないと判断すると(S43:No)、報知処理を実行する(S44)。報知処理は、例えば、警告文をモニタ15に表示したり、警告音声を出力したりすることによって実行される。報知処理がされると、例えばオペレータは、運転手の携帯電話に連絡を行う。
【0093】
次に
図8を参照して情報収集処理が説明される。第2制御部17は、移動体通信装置11から運行情報等及び識別記号が入力されるまで待機する(S51:No)。第2制御部17は、運行情報等及び識別記号が入力されると(S51:Yes)、入力された運行情報等及び識別記号を装置メモリ13に記憶させる第2記憶処理を実行する(S52)。次に第2制御部17は、通信障害が生じているか否かを判断する第1特定処理を実行する(S53)。
図9を参照して第1特定処理について説明がされる。なお、第1特定処理は、第1通信会社と第2通信会社とのそれぞれについて実行される。以下では、第1通信会社について実行される第1特定処理が説明されるが、第2通信会社についても同様である。
【0094】
第2制御部17は、運行情報等に含まれる通信確立情報から、通信が確立しているか否かを判断する(S61)。第2制御部17は、通信が確立していないと判断すると(S61:No)、通信障害障害フラグをオンにする(S62)。第2制御部17は、通信が確立していると判断すると(S61:Yes)、第1電波強度情報が示す電波強度が閾値強度未満か否かを判断する(S63)。閾値強度は、予め装置メモリ13に記憶される。閾値強度は、例えば、移動体から送信されたパケットの取得率が所定値以上となる値に設定され、或いは、カットアンドトライによって決定される。
【0095】
第2制御部17は、第1電波強度情報が示す電波強度が閾値強度未満であると判断すると(S63:Yes)、通信障害フラグをオンにする(S62)。第2制御部17は、第1電波強度情報が示す電波強度が閾値強度以上であると判断すると(S63:No)、通信障害フラグをオフにする(S64)。
【0096】
第2制御部17は、位置情報と、通信障害フラグと、第1会社情報とを対応付けて装置メモリ13に記憶させ(S65)、第1特定処理を終了する。
【0097】
第1特定処理では、上述のように、通信が確立していないか、或いは、通信が確立していても、受信電波強度が低いと、通信障害フラグがオンに設定される。したがって、通信障害フラグがオンである位置情報は、通信障害が生じる場所である。すなわち、第1特定処理は、通信障害が生じる場所を特定する処理である。
【0098】
図8に戻って、情報処理装置12は、装置メモリ13に記憶させた通信状態情報を編集する第1編集処理及び第2編集処理を実行する(S54)。
【0099】
図10(A)を参照して第1編集処理が説明される。情報処理装置12は、第1通信状態情報及び第2通信状態情報のセット及び位置情報を装置メモリ13から読み出す(S71)。第1通信状態情報及び第2通信状態情報のセットとは、同一の位置情報、同一の識別記号、同一の時刻情報と対応付けられた通信状態情報を意味する。情報処理装置12は、読み出した通信状態情報と対応付けられた位置情報と同一の位置情報を有する通信状態情報が既に地図に表記されているか否かを判断する(S72)。すなわち、同一地点の情報が既にあるか否かを確認する。
【0100】
情報処理装置12は、通信状態情報が地図に表記されていないと判断すると(S72:No)、ステップS73の処理をスキップする。
【0101】
情報処理装置12は、通信状態情報が既に地図に表記されていると判断すると(S72:Yes)、読み出した通信状態情報と対応付けられた時刻情報が、既に地図に表記された通信状態情報の時刻情報よりも後か否かを判断する(S73)。すなわち、情報処理装置12は、読み出した通信状態情報が最新の情報か否かを確認する。
【0102】
情報処理装置12は、読み出した通信状態情報が最新の情報でないと判断すると(S73:No)、ステップS74、S75の処理をスキップし、処理を終了する。
【0103】
情報処理装置12は、読み出した通信状態情報が最新の情報であると判断すると(S73:Yes)、情報を上書きして地図に表記する(S74、S75)。すなわち、最新の情報が地図に表記される。
【0104】
具体的には、情報処理装置12は、読み出した通信状態情報に含まれる第1電波強度情報及び通信確立情報を第1地図に表記する(S74)。すなわち、第1地図には、第1通信会社の電波強度、及び通信が可能か否かの情報が表記される。また、情報処理装置12は、読み出した通信状態情報に含まれる第2電波強度情報及び通信確立情報を第2地図に表記する(S75)。すなわち、第2地図には、第2通信会社の電波強度、及び通信が可能か否かの情報が表記される。
【0105】
また、情報処理装置12は、
図10(B)に示される第2編集処理を実行する。第2編集処理は、第1編集処理のステップS74、S75の代わりにステップS76の処理を実行する点において第1編集処理と相違する。ステップS71〜S73の処理は、第1編集処理のステップS71〜S73の処理と同一であるので説明が省略される。
【0106】
情報処理装置12は、読み出した情報が最新の情報であると判断すると(S73:Yes)、第1通信状態情報と第2通信状態情報とを第3地図に併記する(S76)。すなわち、情報処理装置12は、第1通信会社、第1電波強度情報、及び通信確立情報のセットと、第2通信会社、第2電波強度情報、及び通信確立情報のセットと、を第3地図に併記する。
【0107】
また、情報処理装置12は、
図11に示される気象判断処理を実行し、気象判断処理において判断した気象ごとに、上述の第1編集処理及び第2編集処理を実行する。具体的に説明する。
【0108】
情報処理装置12は、気温情報、湿度情報、及び時刻情報を装置メモリ13から読み出す(S81)。情報処理装置12は、読み出した気温情報及び湿度情報から晴れか否か(S82)、雨か否か(S83)を判断する。例えば、湿度が第1閾値より高く、気温が第2閾値より低い場合に雨と判断し、湿度が第1閾値より低い場合に晴れと判断する。第1閾値及び第2閾値は、季節や昼夜により変更される。季節や昼夜は、時刻情報が示す日時により判断される。
【0109】
情報処理装置12は、晴れと判断すると(S82:Yes)、第4地図、第5地図、及び第6地図を選択する(S84)。第4地図は、晴れの場合における第1通信会社の電波強度情報及び通信確立情報が表記される地図である。第5地図は、晴れの場合における第2通信会社の電波強度情報及び通信確立情報が表記される地図である。第6地図は、晴れの場合における第1通信会社及び第2通信会社の電波強度情報及び通信確立情報が併記される地図である。
【0110】
情報処理装置12は、雨と判断すると(S82:No&S83:Yes)、第7地図、第8地図、及び第9地図を選択する(S85)。第7地図は、雨の場合における第1通信会社の電波強度情報及び通信確立情報が表記される地図である。第8地図は、雨の場合における第2通信会社の電波強度情報及び通信確立情報が表記される地図である。第9地図は、雨の場合における第1通信会社及び第2通信会社の電波強度情報及び通信確立情報が併記される地図である。
【0111】
また、情報処理装置12は、晴れとも雨とも判断できない場合(S82:No&S83:No)は、判断を保留して(S86)処理を終了する。
【0112】
また、情報処理装置12は、気象を判断すると(S82:Yes&S83:Yes)、判断した気象を示す気象情報と、通信状態情報とを対応付けて装置メモリ13に記憶させる(S87)。対応付ける通信状態情報は、読み出した気温情報及び湿度情報と対応付けられていた通信状態情報である。なお、気象情報は、運行情報と対応付けて装置メモリ13に記憶されてもよい。
【0113】
通信状態情報が表記された地図は、モニタ15(
図1)に表示され、インターネットにアップされ、或いは、通信会社や、通信を管理する省庁に提供される。
【0114】
情報処理装置12の第2制御部17は、
図8に示される情報収集処理によって通信状態情報を収集した後、
図12に示される第1通信指示処理を実行する。通信指示処理を実行するか否かは、例えばオペレータによって判断される。オぺーレータは、通信指示処理を実行するに足る十分な通信状態情報が収集されたと判断すると、通信指示処理の実行を情報処理装置12に指示する。
【0115】
第2制御部17は、運行情報等及び識別記号が車両20から入力されるまで待機する(S91:No)。第2制御部17は、運行情報等及び識別記号が車両20から入力されると(S91:Yes)、入力された識別記号から計画書を特定する(S92)。計画書の特定は、上述のステップS42と同様にして行われる。次に、第2制御部17は、特定した計画書から車両20の走行予定ルートを特定する(S93)。ステップS93の処理は、本発明の第2特定処理に相当する。
【0116】
次に、第2制御部17は、特定した走行予定ルート上にある通信障害位置を示す位置情報(以下、通信障害位置情報と記載)及び通信障害が生じる通信会社を示す会社情報を装置メモリ13から読み出す(S94)。具体的には、走行予定ルート上の各位置の位置情報を有し、かつ通信障害フラグがオンである位置の位置情報を検索し、検索結果の位置情報及び通信フラグがオンである通信会社の会社情報を読み出す。走行予定ルート上にある通信障害位置及び通信障害が生じる通信会社を示す会社情報は、本発明の通信障害情報に相当する。また、通信障害情報を生成するステップS94の処理は、本発明の生成処理に相当する。
【0117】
次に、第2制御部17は、生成した通信障害情報を車両20の移動体通信装置11に対して送信する(S95)。ステップ95の処理は、本発明の第2送信処理に相当する。
【0118】
情報処理装置12は、
図12に示される第1通信指示処理により、通信障害が生じるおそれがある場所を移動体通信装置11に知らせる。知らせを受けた移動体通信装置11は、通信障害が生じない通信モデムを選択する第2選択処理を実行する。
図13を参照して第2選択処理が詳しく説明される。
【0119】
第1制御部40は、通信障害情報が入力されるまで待機する(S101:No)。第1制御部40は、通信障害情報が入力されると(S101:Yes)、離間距離が閾値距離未満か否かを判断する(S102)。離間距離は、車両20の現在位置と、通信障害情報に含まれる通信障害位置情報が示す位置との間の距離である。第1制御部40は、例えば、位置情報入力部33に入力した最新の位置情報を車両20の現在位置とする。閾値距離は、予め記憶部41に記憶される。閾値距離は、例えば100mである。閾値距離は、写植情報が示す車両20の車速に応じて変更されてもよい。ステップS102の処理は、本発明の判断処理に相当する。
【0120】
第1制御部40は、離間距離が閾値距離未満であると判断すると(S102:Yes)、通信障害情報に含まれる会社情報が示す通信会社でない通信会社の通信モデムを選択する(S103)。例えば、第1制御部40は、通信障害情報が第1通信会社を示す場合は、第2通信会社の第2通信モデム60を選択する。ステップ103の処理は、本発明の第2選択処理に相当する。第1制御部40は、選択した通信モデムを用いて、運行情報等及び識別記号を送信する(S104)。ステップS104の処理は、本発明の第1送信処理に相当する。
【0121】
なお、
図13に示される第2選択処理で選択される通信モデムと、
図5に示される第1選択処理で選択される通信モデムとでは、第1選択処理で選択される通信モデムが優先される。すなわち、第1通信モデム50及び第2通信モデム60の両方の通信モデムが通信可能である場合にのみ、第2選択処理で通信モデムが選択される。
【0122】
例えば、車両20が、第1通信会社の通信状態が悪い通信障害位置に近づき、通信障害と判断して第1通信モデム50から第2通信モデム60に切り替えられる前に、第1通信モデム50から第2通信モデム60に切り替えられて通信が行われる。すなわち、通信障害と判断する際に生じる僅かな通信途絶をも生じさせずに、通信が継続される。
【0124】
本実施形態では、第1通信状態情報及び第2通信状態情報を移動体通信装置11が送信する情報に含ませることにより、通信に使用されている方の通信会社の通信状態情報と、通信に使用されていない方の通信会社の通信状態情報との双方を取得することができる。
【0125】
また、第1通信状態情報と第2通信状態情報とは、同一の環境条件で計測されるから、複数の通信会社の繋がり易さを、同一条件で公平に比較することができる。
【0126】
また、運行管理に用いるデジタルタコグラフを利用して通信状態情報を収集するから、通信状態情報の収集が容易であり、かつ、通信状態情報の収集を緻密に行うことができる。
【0127】
また、SIMカード57、67が装着される装着部56、66が移動体通信装置11に設けられているから、SIMカードを変更することにより、種々の通信会社について電波強度を計測することができ、また、種々の国や地域において移動体通信装置11を使用することができる。
【0128】
また、第1選択処理(
図5)により、通信状態の良い方の通信モデムが選択されて通信が行われるから、通信の確実性が確保される。
【0129】
また、電波強度情報に加え、通信確立情報をも計測するから、送信した電波が基地局に良好に届いているか否かも確認することができる。
【0130】
また、通信障害時処理(
図6)により、通信障害が生じていた期間に取得した情報が通信障害解消後に送信されるから、通信の確実性がさらに高まる。
【0131】
また、第1編集処理(
図7(A))により、電波強度情報及び通信確立情報が通信会社ごとに地図に表記されから、携帯電話の所有者は、自分の住んでいる地域において、いずれの通信会社が良好に通信を行えるかを確認することができる。また、自己の所有する携帯電話が繋がり難い場所をピンポイントで確認することができる。
【0132】
また、第2編集処理(
図7(B))により、第1通信会社、第1電波強度情報、及び通信確立情報のセットと、第2通信会社、第2電波強度情報、及び通信確立情報のセットとが第3地図に併記されるから、携帯電話の所有者は、複数の通信会社の通信の繋がり易さの比較を容易に行うことができる。
【0133】
また、第1編集処理及び第2編集処理では、最新の情報が上書きにて地図に表記されるから、携帯電話の所有者は、ビルなどの建設により繋がり難くなったり、新たな基地局の設置により繋がり易くなったことなどの最新情報を知ることができる。
【0134】
また、
図13に示される第2選択処理が実行されることにより、車両20が通信障害位置に近づくと、通信障害が生じない方の通信モデムが選択されて通信が行われる。したがって、通信障害の判断のために生じる通信の僅かな途絶も生じない。その結果、通信の確実性がさらに高められる。
【0136】
本変形例1では、
図14に示される移動体通信装置70が説明される。移動体通信装置70は、情報入力部30(
図2)に代えて情報入力部71を備える点において移動体通信装置11と相違する。情報入力部71は、気温情報入力部34及び湿度情報入力部35(
図2)に代えて画像情報入力部36を備える点において、情報入力部30(
図2)と相違する。すなわち、本変形例1で説明される移動体通信装置70は、画像情報により気象を判断する点において、実施形態の移動体通信装置11と相違する。電源回路39、第1制御部40、記憶部41、第1通信モデム50、及び第2通信モデム60の構成は実施形態で説明された移動体通信装置11と同構成である。
【0137】
図15を参照して、本変形例1の気象判断処理を説明する。移動体通信装置70は、画像情報及び時刻情報を装置メモリ13から読み出す(S111)。移動体通信装置70は、読み出した画像情報及び時刻情報から、晴れか否か(S112)、雨か否か(S113)、雪か否か(S114)を判断する。晴れか雨か雪かの判断には、既存の手法が用いられる。
【0138】
移動体通信装置70は、晴れと判断すると(S112:Yes)、実施形態のステップS84(
図11)と同様に、第4地図、第5地図、及び第6地図を選択する(S115)。移動体通信装置70は、雨と判断すると(S112:No&S113:Yes)、実施形態のステップS85(
図11)と同様に、第7地図、第8地図、及び第9地図を選択する(S116)。移動体通信装置70は、雪と判断すると(S112:No&S113:No&S114:Yes)、第10地図、第11地図、及び第12地図を選択する(S117)。第10地図は、雪の場合における第1通信会社の電波強度情報及び通信確立情報が表記される地図である。第11地図は、雪の場合における第2通信会社の電波強度情報及び通信確立情報が表記される地図である。第12地図は、雪の場合における第1通信会社及び第2通信会社の電波強度情報及び通信確立情報が併記される地図である。
【0139】
また、情報処理装置12は、晴れとも雨とも雪とも判断できない場合(S112:No&S113:No&S114:No)は、判断を保留して(S118)処理を終了する。
【0140】
また、情報処理装置12は、気象を判断すると(S112:Yes&S113:Yes&S114:Yes)、判断した気象を示す気象情報と、通信状態情報とを対応付けて装置メモリ13に記憶させる(S119)。対応付ける通信状態情報は、読み出した画像情報と対応付けられていた通信状態情報である。なお、気象情報は、運行情報と対応付けて装置メモリ13に記憶されてもよい。
【0142】
本変形例1では、画像情報によって気象を判断するから、気象の判断が正確になり、また、雪や雷などを判断することもできる。また、雨量や雪量を段階的に判断することもできる。その結果、気象に応じてさらに詳細に分類した通信状態情報を取得することができる。
【0143】
本変形例1では、気温情報入力部34及び湿度情報入力部35に代えて画像情報入力部36が設けられた例が説明されたが、画像情報入力部36は、気温情報入力部34及び湿度情報入力部35とともに設けられてもよい。
【0144】
本変形例1では、画像情報が気象の判断に用いられる例が説明された。しかしながら、画像情報は、電波強度が計測された位置の特定に用いられてもよい。例えば、携帯電話の使用者は、画像情報が示す画像を確認することにより、電波強度が計測された正確な場所を特定する。
【0146】
本変形例2では、情報処理装置12が、
図12に示される第1通信指示処理に代えて
図16に示される第2通信指示処理を実行し、移動体通信装置11が、
図13に示される第2選択処理に代えて、
図17に示される第2選択処理を実行する点において上述の実施形態と相違する。具体的には、車両20が通信障害位置に近づいたか否かの判断を移動体通信装置11ではなく、情報処理装置12が行う点において上述の実施形態と相違する。詳しく説明する。
【0147】
まず、情報処理装置12の第2制御部17は、
図16に示されるように、第1通信指示処理(
図12)と同様にようにステップS91〜S94の処理を実行する。次に、第2制御部17は、離間距離が閾値距離未満か否かを判断する(S96)。離間距離及び閾値距離は、実施形態で説明した離間距離及び閾値距離と同じである。但し、本変形例2では、閾値距離は、移動体通信装置11の記憶部41ではなく、情報処理装置12の装置メモリ13に記憶される。ステップS96の処理は、本発明の判断処理に相当する。
【0148】
第2制御部17は、離間距離が閾値距離以上であると判断すると(S96:No)、ステップS97の処理をスキップして第2通信指示処理を終了する。第2制御部17は、離間距離が閾値距離未満であると判断すると(S96:Yes)、通信障害が生じる通信会社を示す会社情報を含む通信障害情報を送信し(S97)、第2通信指示処理を終了する。ステップS97の処理は、本発明の第2送信処理に相当する。なお、ステップS97において、通信障害が生じない通信会社を示す会社情報を含む通信障害情報が送信されてもよい。
【0149】
図17に示されるように、移動体通信装置11の第1制御部40は、通信障害情報が入力されるまで待機する(S121:No)。第1制御部40は、通信障害情報が入力されると(S121:Yes)、通信障害情報の会社情報が示す通信会社ではない通信会社の通信モデムを選択する(S122)。第1制御部40は、選択した通信モデムを用いて運行情報等及び識別記号の送信を行う(S123)。ステップ123の処理は、本発明の第1送信処理に相当する。
【0151】
本変形例では、車両20が通信障害位置に近づいたか否かの判断を情報処理装置で行うから、移動体通信装置11での処理負担が軽減される。
【0153】
上述の実施形態では、最新の運行情報と、通信障害が生じていた間の運行情報とを、共にUDP通信により送信する例が説明された。本変形例では、最新の運行情報をUDP通信により送信し、通信障害が生じていた間の運行情報をTCP(Transmission Control Protocol)通信により送信する例が説明される。なお、実施形態と同じ構成には、実施形態と同一の符号を付して説明が省略される。
【0154】
本変形例3の移動体通信装置は、実施形態で説明された第1通信モデム50及び第2通信モデム60(
図3)に加え、第3通信モデム80及び第4通信モデム90(
図18)を備える。第3通信モデム80及び第4通信モデム90は、TCP通信により、通信障害が生じていた間の運行情報を送信する。
【0155】
第3通信モデム80は、第3通信ドライバ81と、第3出力部82と、第3電波強度検出部85と、SIMカード87が装着される第3装着部86と、第3アンテナ88とを備える。第4通信モデム90は、第4通信ドライバ91と、第4出力部92と、第4電波強度検出部95と、SIMカード97が装着される第4装着部96と、第4アンテナ98とを備える。
【0156】
第3通信ドライバ81及び第4通信ドライバ91は、第1通信ドライバ51や第2通信ドライバ61と同構成である。第3出力部82及び第4出力部92は、第1出力部52や第2出力部62と同構成である。但し、第3出力部82は、TCP通信を行う第5ポート83及び第6ポート84を備え、第4出力部92は、TCP通信を行う第7ポート93及び第8ポート94を備える。第3電波強度検出部85及び第4電波強度検出部95は、第1電波強度検出部55や第2電波強度検出部65と同構成である。第3アンテナ88は、第1アンテナ58と同構成であり、第4アンテナ98は、第2アンテナ68と同構成である。第3装着部86及び第4装着部96は、第1装着部56や第2装着部66と同構成である。
【0157】
第3通信モデム80は、第3装着部86に装着されたSIMカード87に応じたバンド及び通信会社と通信を行う。以下では、第3通信モデム80が第1通信モデム50と同じ第1バンドにより通信を行う例が説明される。第4通信モデム90は、第4装着部96に装着されたSIMカード97に応じたバンド及び通信会社と通信を行う。以下では、第4通信モデム90が第2通信モデム60と同じ第2バンドにより通信を行う例が説明される。但し、第3通信モデム80及び第4通信モデム90は、第1通信会社及び第2通信会社とは異なる通信会社と通信を行ってもよい。
【0158】
第3通信モデム80と第4通信モデム90とのうち、電波状態の良い方の通信モデムが、使用する通信モデムとして決定される。通信モデムの決定は、上述の実施形態(
図5)と同様にして行われる。
【0159】
本変形例3では、最新の運行情報は、第1通信モデム50(第1バンド)と第2通信モデム60(第2バンド)とのうち、電波状態の良い方のバンドを用いて、UDP通信により送信される。一方、通信障害が生じていた間の運行情報は、第3通信モデム80(第1バンド)と第4通信モデム90(第2バンド)とのうち、電波状態の良い方のバンドを用いて、TCP通信により送信される。
【0161】
最新の情報はUDP通信により送信されるから、通信のリアルタイム性が確保される。一方、通信障害が生じていた間の運行情報等は、TCP通信により送信されるから、情報の受け渡しの確実性が確保される。
【0162】
変形例3では、第1通信会社の第1バンドにおいて、第1通信モデム50がUDP通信を行い、第3通信モデム80がTCP通信を行い、第2通信会社の第2バンドにおいて、第2通信モデム60がUDP通信を行い、第4通信モデム90がTCP通信を行う例が説明された。しかしながら、第3通信モデム80の機能を第1通信モデム50に付加し、第4通信モデム90の機能を第2通信モデム60に付加してもよい。すなわち、第1通信会社の第1バンドにおいて、第1通信モデム50がUDP通信及びTCP通信を行い、第2通信会社の第2バンドにおいて、第2通信モデム60がUDP通信及びTCP通信を行ってもよい。
【0163】
上述の実施形態では、移動体通信装置11が、第1通信モデム50及び第2通信モデム60の2個の通信モデムを備える例が説明された。しかしながら、移動体通信装置11は、3個以上の通信モデムを備えていてもよい。この場合、移動体通信装置11の第1制御部40は、全ての通信モデムが通信不能の場合に通信障害が生じていたと判断し、
図5に示される通信障害時処理を実行する。また、第1制御部40は、通信可能な通信モデムのうち、電波強度が最も強い通信モデムを用いて、運行情報等を送信する。
【0164】
また、上述の実施形態では、応答情報及び電波強度情報の双方を用いて通信モデムを決定する例が説明された。しかしながら、通信モデムの決定は、電波強度情報のみにより実行されてもよい。この場合、通信ドライバ51、61、81、91や第1制御部40の処理が簡素化され得る。
【0165】
上述の実施形態及び変形例では、第1通信モデム50、第2通信モデム60、第3通信モデム80、及び第4通信モデム90がそれぞれアンテナ58、68、88、98を備える例が説明された。しかしながら、第1通信モデム50、第2通信モデム60、第3通信モデム80、及び第4通信モデム90は、1個のアンテナを共用してもよい。
【0166】
上述の実施形態及び変形例では、移動体通信装置11、70から入力される気温情報及び湿度情報や画像情報により気象を判断する例が説明された。しかしながら、気象は、気象庁などが提供する気象データにより判断されてもよい。
【0167】
上述の実施形態や変形例では、車速情報、回転数情報、位置情報、気温情報、湿度情報、画像情報が移動体通信装置11、70に入力される例が説明された。しかしながら、移動体通信装置11、70には、ETC(Electronic Toll Collection System )受信機などから、ETCの利用区間や料金を示すETC情報が入力されてもよい。また、移動体通信装置11、70には、車両20に設けられたジャイロセンサや二酸化炭素濃度センサやアルコールセンサなどから情報が入力されてもよい。
【0168】
上述の実施形態では、第1編集処理、第2編集処理、及び第3編集処理において、最新の通信状態情報が地図に表記される例が説明された。しかしながら、複数の計測値が存在する場合において、電波強度の平均値が地図に表記されてもよい。
【0169】
上述の実施形態では、移動体通信装置11に識別記号が付された例が説明された。しかしながら、識別記号は、運転手に付されていてもよい。すなわち、運転手は、識別記号を有するIDカードを携帯する。車両20には、当該IDカードの識別記号を読み取る読取装置が設置される。当該読取装置が読み取った識別記号は、移動体通信装置11に入力される。移動体通信装置11の第1制御部は、運行情報等とともに、入力された識別記号を送信する。情報処理装置12は、識別記号から計画書(運行指示書)を特定する。