特許第6874997号(P6874997)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6874997転送回路、シフトレジスタ、ゲートドライバ、表示パネル、およびフレキシブル基板
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6874997
(24)【登録日】2021年4月26日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】転送回路、シフトレジスタ、ゲートドライバ、表示パネル、およびフレキシブル基板
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/3266 20160101AFI20210510BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20210510BHJP
   G09G 3/3233 20160101ALI20210510BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20210510BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20210510BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20210510BHJP
   G11C 19/28 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   G09G3/3266
   G09G3/20 622E
   G09G3/20 622B
   G09G3/20 670E
   G09G3/3233
   H05B33/14 A
   H05B33/02
   H01L27/32
   G11C19/28 230
【請求項の数】15
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-4951(P2018-4951)
(22)【出願日】2018年1月16日
(65)【公開番号】特開2019-124806(P2019-124806A)
(43)【公開日】2019年7月25日
【審査請求日】2019年7月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】514188173
【氏名又は名称】株式会社JOLED
(74)【代理人】
【識別番号】100189430
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100190805
【弁理士】
【氏名又は名称】傍島 正朗
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲郎
【審査官】 橋本 直明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−153532(JP,A)
【文献】 特開2017−045499(JP,A)
【文献】 特開2001−134248(JP,A)
【文献】 特開2016−004112(JP,A)
【文献】 特表2017−534913(JP,A)
【文献】 特開2015−060100(JP,A)
【文献】 特開2011−253169(JP,A)
【文献】 特開2014−071452(JP,A)
【文献】 特開2014−085648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/3266
G09G 3/20
G09G 3/3233
G11C 19/28
H01L 27/32
H01L 51/50
H05B 33/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力回路、リセット回路、出力回路、出力安定化回路から構成され、クロック信号に同期して、入力端にて入力信号を取得して保持し、保持された入力信号を出力信号として出力端から出力する転送回路において、
入力端が前記転送回路の前記入力端に接続され、前記入力信号の極性を反転した反転信号を出力端から出力する第1の反転回路、および、入力端が前記転送回路の前記出力端に接続され、前記出力信号の極性を反転した反転信号を出力端から出力する第2の反転回路の少なくとも一方を含み、
前記リセット回路は、制御信号端が前記第1の反転回路の前記出力端に接続され、前記入力信号を保持する第1の容量の一端と第1の電源との間の信号経路の導通および非導通を切り替える第1のトランジスタを含み、前記第1の容量の一端と前記第1の電源との間の信号経路を導通させることで、前記第1の容量の一端に印加される電圧をリセットし、
前記出力安定化回路は、前記転送回路の前記出力信号を第2の電源の電源電位とすることで、前記出力信号を安定化させ、
前記第2の反転回路は、
一端が前記第2の反転回路の入力端に接続された第2の容量と、
第1の主信号端が第3の電源に接続され、第2の主信号端が前記第2の容量の他端に接続された第3のトランジスタと、
第1の主信号端が前記第2の反転回路の出力端に接続され、第2の主信号端が第4の電源に接続された第4のトランジスタと、
第1の主信号端が前記第2の反転回路の前記出力端に接続され、第2の主信号端が第5の電源に接続された第5のトランジスタと、から形成される、
転送回路。
【請求項2】
前記リセット回路は前記第1の反転回路を含み、前記第1の反転回路の前記入力端は前記転送回路の前記入力端接続されている、
請求項1に記載の転送回路。
【請求項3】
前記出力安定化回路は前記第2の反転回路を含み、前記第2の反転回路の前記入力端は前記転送回路の前記出力端に接続され、
前記出力安定化回路は、制御信号端が前記第2の反転回路の前記出力端に接続され、第1の主信号端が前記第2の電源に接続され、第2の主信号端が前記転送回路の前記出力端に接続されている第2のトランジスタをさらに含む、
請求項1に記載の転送回路。
【請求項4】
前記第1の反転回路は、前記リセット回路に含まれ、
前記第2の反転回路は、前記出力安定化回路に含まれ
記第1のトランジスタの制御信号端は、前記第1の反転回路の前記出力端に接続され、
前記出力安定化回路は、制御信号端が前記第2の反転回路の前記出力端に接続され、第1の主信号端が前記第2の電源に接続され、第2の主信号端が前記転送回路の前記出力端に接続されている第2のトランジスタをさらに含む、
請求項1に記載の転送回路。
【請求項5】
入力回路、リセット回路、出力回路、出力安定化回路から構成され、クロック信号に同期して、入力端にて入力信号を取得して保持し、保持された入力信号を出力信号として出力端から出力する転送回路において、
入力端が前記転送回路の前記入力端に接続され、前記入力信号の極性を反転した反転信号を出力端から出力する第1の反転回路、および、入力端が前記転送回路の前記出力端に接続され、前記出力信号の極性を反転した反転信号を出力端から出力する第2の反転回路の少なくとも一方を含み、
前記リセット回路は、制御信号端が前記第1の反転回路の前記出力端に接続され、前記入力信号を保持する第1の容量の一端と第1の電源との間の信号経路の導通および非導通を切り替える第1のトランジスタを含み、前記第1の容量の一端と前記第1の電源との間の信号経路を導通させることで、前記第1の容量の一端に印加される電圧をリセットし、
前記出力安定化回路は、前記転送回路の前記出力信号を第2の電源の電源電位とすることで、前記出力信号を安定化させ、
前記第1の反転回路は、前記リセット回路に含まれ、
前記第2の反転回路は、前記出力安定化回路に含まれ、
前記第1のトランジスタの制御信号端は、前記第1の反転回路の前記出力端に接続され、
前記出力安定化回路は、制御信号端が前記第2の反転回路の前記出力端に接続され、第1の主信号端が前記第2の電源に接続され、第2の主信号端が前記転送回路の前記出力端に接続されている第2のトランジスタをさらに含む、
転送回路。
【請求項6】
前記第1の反転回路には、前記転送回路と同一のパルスが入力されている、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の転送回路。
【請求項7】
前記出力回路は、第1の主信号端がパルス電源に接続され、第2の主信号端が前記転送回路の出力端に接続され、制御信号端が前記第1の容量の前記一端に接続された第6のトランジスタと、前記第1の容量とから構成されており、
前記入力回路は、第1の主信号端が前記転送回路の入力端に接続され、第2の主信号端が前記第6のトランジスタの制御信号端に接続されている第7のトランジスタを含み、
前記リセット回路は、前記第1の容量の前記一端と前記第1の電源との間の信号経路に前記第1のトランジスタと直列に接続された第8のトランジスタをさらに含む、
請求項に記載の転送回路。
【請求項8】
前記第7のトランジスタの制御信号端と前記第8のトランジスタの制御信号端とに同一の制御信号が入力されている、
請求項7に記載の転送回路。
【請求項9】
入力回路、リセット回路、出力回路、出力安定化回路から構成され、クロック信号に同期して、入力端にて入力信号を取得して保持し、保持された入力信号を出力信号として出力端から出力する転送回路において、
入力端が前記転送回路の前記入力端に接続され、前記入力信号の極性を反転した反転信号を出力端から出力する第1の反転回路、および、入力端が前記転送回路の前記出力端に接続され、前記出力信号の極性を反転した反転信号を出力端から出力する第2の反転回路の少なくとも一方を含み、
前記リセット回路は、制御信号端が前記第1の反転回路の前記出力端に接続され、前記入力信号を保持する第1の容量の一端と第1の電源との間の信号経路の導通および非導通を切り替える第1のトランジスタを含み、前記第1の容量の一端と前記第1の電源との間の信号経路を導通させることで、前記第1の容量の一端に印加される電圧をリセットし、
前記出力安定化回路は、前記転送回路の前記出力信号を第2の電源の電源電位とすることで、前記出力信号を安定化させ、
前記出力安定化回路は前記第2の反転回路を含み、前記第2の反転回路の前記入力端は前記転送回路の前記出力端に接続され、
前記出力安定化回路は、制御信号端が前記第2の反転回路の前記出力端に接続され、第1の主信号端が前記第2の電源に接続され、第2の主信号端が前記転送回路の前記出力端に接続されている第2のトランジスタをさらに含み、
前記出力回路は、第1の主信号端がパルス電源に接続され、第2の主信号端が前記転送回路の出力端に接続され、制御信号端が前記第1の容量の前記一端に接続された第6のトランジスタと、前記第1の容量とから構成されており、
前記入力回路は、第1の主信号端が前記転送回路の入力端に接続され、第2の主信号端が前記第6のトランジスタの制御信号端に接続されている第7のトランジスタを含み、
前記リセット回路は、前記第1の容量の前記一端と前記第1の電源との間の信号経路に前記第1のトランジスタと直列に接続された第8のトランジスタをさらに含む、
転送回路。
【請求項10】
前記第7のトランジスタの制御信号端に入力される制御信号と前記第8のトランジスタのゲートに入力される制御信号とは同時にHighレベルになることがない、
請求項9に記載の転送回路。
【請求項11】
前記転送回路を構成する各トランジスタは、酸化物半導体トランジスタである、
請求項7又は9に記載の転送回路。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の転送回路を各段に有するシフトレジスタ。
【請求項13】
請求項12に記載のシフトレジスタと、
前記シフトレジスタの各段の出力信号を処理するバッファ回路と、
を備えるゲートドライバ。
【請求項14】
請求項13に記載のゲートドライバを搭載した表示パネル。
【請求項15】
請求項13に記載のゲートドライバを搭載したフレキシブル基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転送回路、シフトレジスタ、ゲートドライバ、表示パネル、およびフレキシブル基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の画素回路をマトリクス状に配置してなる表示装置が広く実用化されている。そのような表示装置では、複数の画素回路を、行ごとに異なるタイミングの制御信号を用いて、行順次に駆動することによって、映像を表示している。行ごとの制御信号は、例えば、シフトレジスタを用いて生成される。特許文献1には、そのようなシフトレジスタの各段の転送回路として利用することができるレジスタ回路が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−45499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるレジスタ回路では、本来なら低電位側にあるべき出力信号の電位が、わずかながら上昇する場合がある。また、本発明者らが比較例として検討した、単純な2相駆動による転送回路によっても、出力信号に非所望の電位上昇が生じる(詳しくは後述する)。そのため、そのようなレジスタ回路や転送回路を複数接続してなるシフトレジスタでは、制御信号の転送を繰り返すうちに電位の上昇が積み重なり、誤動作が発生する懸念がある。
【0005】
そこで、本発明は、出力信号に非所望の電位上昇が起こりにくい転送回路、およびそのような転送回路を用いたシフトレジスタ、ゲートドライバ、表示パネル、およびフレキシブル基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の1つの態様に係る転送回路は、入力回路、リセット回路、出力回路、出力安定化回路から構成され、クロック信号に同期して、入力端にて入力信号を取得して保持し、保持された入力信号を出力信号として出力端から出力する転送回路において、入力端が前記転送回路の前記入力端および前記出力端のうちの少なくとも一方に接続され、前記入力信号および前記出力信号の少なくとも一方の極性を反転した反転信号を出力端から出力する反転回路を含み、前記リセット回路は、制御信号端が前記反転回路の前記出力端に接続され、前記入力信号を保持する第1の容量の一端と第1の電源との間の信号経路の導通と非導通とを切り替える第1のトランジスタを含む。
【発明の効果】
【0007】
このような構成によれば、閾値電圧が負の、いわゆるデプレッション型のトランジスタを用いて出力信号を出力する場合であっても、電圧設定によってトランジスタT1をオフ状態とできる。さらには、回路動作によって出力端OUTの電位が大きく増加することを抑制できる。
【0008】
そのため、複数の転送回路を連ねてなるシフトレジスタにおいて、誤転送の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一般的な表示装置の要部の構成の一例を示す機能ブロック図
図2】従来例に係る画素回路の構成の一例を示す回路図
図3】表示装置の動作の一例を示すタイミングチャート
図4】ゲートドライバの概略構成の一例を示す機能ブロック図
図5】比較例に係る転送回路の構成の一例を示す回路図
図6】比較例に係る転送回路の動作の一例を示すタイミングチャート
図7A】比較例に係る転送回路の動作状態の一例を示す回路図
図7B】比較例に係る転送回路の動作状態の一例を示す回路図
図7C】比較例に係る転送回路の動作状態の一例を示す回路図
図7D】比較例に係る転送回路の動作状態の一例を示す回路図
図8】実施の形態に係る転送回路の構成の一例を示す回路図
図9】実施の形態に係る転送回路の具体構成の一例を示す回路図
図10】実施の形態に係る反転回路の一例を示す回路図
図11】実施の形態に係る反転回路の動作の一例を示すタイミングチャート
図12A】実施の形態に係る反転回路の動作状態の一例を示す回路図
図12B】実施の形態に係る反転回路の動作状態の一例を示す回路図
図12C】実施の形態に係る反転回路の動作状態の一例を示す回路図
図12D】実施の形態に係る反転回路の動作状態の一例を示す回路図
図13】実施の形態に係る転送回路の動作の一例を示すタイミングチャート
図14A】実施の形態に係る転送回路の動作状態の一例を示す回路図
図14B】実施の形態に係る転送回路の動作状態の一例を示す回路図
図14C】実施の形態に係る転送回路の動作状態の一例を示す回路図
図14D】実施の形態に係る転送回路の動作状態の一例を示す回路図
図15A】実施の形態に係るゲートドライバの構成の一例を示す機能ブロック図
図15B】実施の形態に係るゲートドライバの駆動信号の一例を示す波形図
図16】実施の形態の変形例1に係る転送回路の構成の一例を示す回路図
図17】実施の形態の変形例2に係る転送回路の構成の一例を示す回路図
図18】実施の形態の変形例3に係る転送回路の構成の一例を示す回路図
図19】実施の形態の変形例4に係る転送回路の構成の一例を示す回路図
図20A】実施の形態の変形例4に係る転送回路の動作状態の一例を示す回路図
図20B】実施の形態の変形例4に係る転送回路の動作状態の一例を示す回路図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本発明の基礎となった知見)
本発明の実施の形態について説明する前に、従来例に係るレジスタ回路の動作、および、本発明者によって見出された誤動作の可能性について説明する。
【0011】
図1は、一般的な表示装置の要部の構成の一例を示す機能ブロック図である。図1に示されるように、表示装置1の要部は、複数の画素回路10、ライトスキャナ21、行電源スキャナ22、水平セレクタ23、走査信号線31、32、およびデータ信号線33で構成されている。
【0012】
複数の画素回路10は、マトリクス状に配置されている。当該マトリクスの各行には同じ行に配置される複数の画素回路10に共通に接続される走査信号線31、32が設けられ、当該マトリクスの各列には同じ列に配置される複数の画素回路10に共通に接続されるデータ信号線33が設けられる。
【0013】
ライトスキャナ21および行電源スキャナ22は、走査信号線31、32を介して、画素回路10に、行ごとのタイミングで画素回路10の動作を制御するための書込み信号および行電源をそれぞれ供給する。
【0014】
水平セレクタ23は、データ信号線33を介して、画素回路10に、輝度に対応するデータ信号を供給する。
【0015】
図2は、従来例に係る画素回路の構成の一例を示す回路図であり、アクティブマトリクス型有機EL表示装置における画素回路の例を示している。
【0016】
有機EL素子は電流発光素子のため、有機EL素子に流れる電流量をコントロールすることで発色の階調を得ている。図2の画素回路では、スイッチングトランジスタTsを介して保持容量Csに保持したデータ電圧に応じた量の電流を、駆動トランジスタTdからEL素子へ供給している。
【0017】
図3は、表示装置1の動作の一例を示すタイミングチャートであり、隣接する2行に位置する画素回路10に供給される書込み信号、行電源、およびデータ信号の時間波形の一例を示している。図3において符号の末尾に付与されているかっこ書きの数字は、対応する行番号を意味している。
【0018】
画素回路10は、図3に示される波形の書込み信号および行電源を供給されることにより、先行するフレームの発光終了後、4水平同期(H)期間をかけて、閾値補正準備、閾値補正、書込みおよび移動度補正を行い、後続のフレームの発光を開始する。なお、画素回路10の構成および動作の詳細は、本発明の要部ではないため、周知の技術を適宜用いるものとして説明を省略する。
【0019】
ライトスキャナ21および行電源スキャナ22が、行ごとにずれたタイミングで書込み信号および行電源を供給することで、画素回路10での発光、閾値補正準備、閾値補正、書込みおよび移動度補正動作は、行ごとに異なるタイミング(例えば、1水平同期時間ずつずれたタイミング)で実行される。
【0020】
ライトスキャナ21および行電源スキャナ22は、ドライバICに設けられてもよく、コストの削減のために表示パネルに内蔵されてもよい。ライトスキャナ21や行電源スキャナ22のように、同じ波形の複数の信号を、ずれたタイミングで出力するゲートドライバは、例えば、シフトレジスタを用いて構成することができる。
【0021】
図4は、ゲートドライバ50の概略構成の一例を示す機能ブロック図であり、ライトスキャナ21および行電源スキャナ22のいずれにも適用され得る汎用的な回路構成の一部を示している。ゲートドライバ50は、複数の転送回路100を連ねて構成されるシフトレジスタ700と、転送回路100の出力に応じて出力信号線900を駆動する複数のバッファ回路800とで構成される。転送回路100、バッファ回路800、および出力信号線900は、表示装置1の行に対応して設けられる。シフトレジスタ700は、一例として、アクティブな期間が重複しない2相のクロック信号(制御信号およびパルス電源を含む)CK1、CK2に従って動作する2相駆動のシフトレジスタである。
【0022】
周辺駆動回路や画素回路において、一般には低コスト化のためにLTPS(低温ポリシリコン)−TFTよりもプロセスが簡略化されているaSi(アモルファスシリコン)―TFTや酸化物TFTを用いることが多い。しかしながらaSi―TFTや酸化物TFTはLTPS―TFTと異なり、回路を構成するトランジスタの極性がNchトランジスタのみしか存在しないために駆動回路が複雑になってしまう。
【0023】
近年、作成の容易さに加え低リーク、高移動度といった特性から酸化物TFTが着目されている。しかし酸化物TFTは前述のようにNchトランジスタのみしか存在しないことに加え、一般に閾値電圧が負(デプレッション型)であるため、周辺駆動回路においてTFTの閾値電圧が負であっても誤動作を起こさないようにする必要がある。
【0024】
図5は、発明者らが検討した比較例に係る転送回路100の構成の一例を示す回路図であり、単純化された2相駆動のレジスタ回路を示している。以下の説明では、簡潔のため、信号と、信号を入出力するための端子とを、同一の符号で参照する。
【0025】
転送回路100は、制御信号WRおよびパルス電源ENに同期して、入力信号INを取得し、容量C1に保持し、出力信号OUTとして出力する。図4に示されるように、奇数行の転送回路100は、クロック信号CK1、CK2を、それぞれ制御信号WRおよびパルス電源ENとして動作し、偶数行の転送回路100は、クロック信号CK2、CK1を、それぞれ制御信号WRおよびパルス電源ENとして動作する。クロック信号CK1、CK2は、アクティブな(Highレベルとなる)期間が重複しない、2相のクロック信号である。
【0026】
図6は、転送回路100の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【0027】
図7A図7Dは、図6のタイミングチャートの要所における転送回路100の動作状態の一例を示す回路図である。図7A図7Dでは、オン状態にあるトランジスタを実線で示し、オフ状態にあるトランジスタを点線で示している。また、電位の伝達を破線の矢印で示している。
【0028】
期間P1において、入力信号INがVss(Lowレベル)であり、かつ制御信号WRがVdd(Highレベル)であり、出力端OUTはトランジスタT2により電源電位Vss(Lowレベル)に接地される。またトランジスタT1のゲートはトランジスタT3により電源電位Vssとなる。このとき、トランジスタT1のゲート−ソース間電圧VgsがトランジスタT1の閾値電圧Vt1以下であればトランジスタT1はオフ状態となる。期間P1の動作を、書込みと呼ぶ(図7A)。
【0029】
期間P2において、制御信号WRが電源電位Vss(Lowレベル)になった後、パルス電源ENの電位をVssからVddに変化させる。このとき、前述のようにトランジスタT1のゲートソース間電圧VgsがトランジスタT1の閾値電圧Vt1以下であればトランジスタT1はオフ状態となり、出力端の電位はVssのままとなる。容量C1によって、入力信号INの電位が保持される。期間P2の動作を、出力と呼ぶ(図7B)。
【0030】
期間P1、P2での書込み、出力の動作は、Lowレベルの入力信号の転送動作に対応する。
【0031】
期間P3において、再び書込み動作が行われる。パルス電源ENの電位がVddからVssに変化した後、入力信号INおよび制御信号WRがそれぞれLowレベルからHighレベルへ変化する。このとき、トランジスタT2、T3はオン状態となり、トランジスタT1のゲート電位はVxとなり、出力端OUTの電位はVssとなる。トランジスタT1のゲート−ソース間電圧Vgs(=Vx−Vss)は、トランジスタT1の閾値電圧Vt1よりも大きくなるように設定されている(図7C)。
【0032】
期間P4において、入力信号INおよび制御信号WRをLowレベルとし、パルス電源ENの電位をVssからVddへ変化させる(図7D)。前述のように、トランジスタT1のゲート−ソース間電圧VgsはトランジスタT1の閾値電圧よりも大きくなるように設定されているため、図7Dに示すように電流が流れ、トランジスタT1のソース電位およびゲート電位は上昇し、一定時間経過後、出力端OUTの電位は電源電圧Vdd(Highレベル)となり、次転送回路へパルス電源ENの電位Vddが転送されることとなる。その後、パルス電源ENが電位Vssとなり、トランジスタT1のゲート電位及び出力端OUTの電位は低下する。
【0033】
期間P3、P4での書込み、出力の動作は、Highレベルの入力信号の転送動作に対応する。
【0034】
後続する期間P5、P6での書込み、出力の動作では、再びLowレベルの入力信号が転送される。
【0035】
しかしながら、トランジスタT1の閾値電圧Vt1が負(デプレッション型)の場合、Lowレベルの入力信号の書込みを行う図6の期間P1、P5において、トランジスタT1のゲート−ソース間電圧はトランジスタT1の閾値電圧Vt1よりも大きくなってしまう。
【0036】
そのため、パルス電源ENがLowレベルからHighレベルに変化したとき(図6の期間P2)、出力端OUTの電位がVssよりも大きくなってしまうことで、次段の転送回路へ信号が転送されてしまう誤転送が生じ得る。
【0037】
そこで、本発明者らは、鋭意検討の結果、このような誤転送が起こりにくい転送回路を考案した。
【0038】
(実施の形態)
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0039】
図8は、実施の形態1に係る転送回路の構成の一例を示す回路図である。図8に示される転送回路101は、転送回路100と同様、2相駆動のレジスタ回路であり、入力回路110、リセット回路120、出力回路130、および出力安定化回路140から構成されている。
【0040】
リセット回路120は反転回路150を含む。反転回路150の入力端INVin1は転送回路101の入力端INに接続され、出力端INVout1はトランジスタT4のゲートに接続されている。
【0041】
出力安定化回路140は反転回路160を含む。反転回路160の入力端INVin2は転送回路101の出力端OUTに接続され、出力端INVout2はトランジスタT2のゲートに接続されている。
【0042】
ここで、反転回路150、反転回路160が、第1の反転回路および第2の反転回路のそれぞれ一例である。また、トランジスタT4が第1のトランジスタの一例であり、トランジスタT2が第2のトランジスタの一例であり、容量C1が第1の容量の一例である。
【0043】
図9は、転送回路102の具体例を示す回路図である。転送回路102では、リセット回路121、出力安定化回路141において、それぞれ反転回路151、161が具体化されている。
【0044】
転送回路102は、制御信号WR、制御信号CLRおよびパルス電源ENに同期して動作する。制御信号WRは、2相のクロック信号のうちの第1相のクロック信号に対応し、制御信号CLRおよびパルス電源ENは第2相のクロック信号に対応する。
【0045】
以下では、反転回路の構成と動作について説明したのち、転送回路102の全体的な動作について詳細に説明する。
【0046】
図9に示されるように、反転回路151と反転回路161とは同一の回路構成を有し、それぞれ3つのトランジスタおよび1つの容量から構成されている。
【0047】
図10は、反転回路161を抜粋して示す回路図である。反転回路151、161の回路構成について、図10の反転回路161の例を用いて説明する。
【0048】
反転回路161は、トランジスタT21、T22、T23および容量C21から構成されている。なお、容量C22は反転回路161の出力端INVout2の寄生容量を明示的に表したものであり、後述する回路動作の説明で参照する。
【0049】
反転回路161の入力端INVin2は、転送回路102の出力端OUTに接続されている。容量C21の一端が入力端INVin2に接続されており、容量C21の他端と固定電源Vss5との間にトランジスタT23が接続されている。固定電源Vdd2とVss4との間に直列にトランジスタT21およびT22が接続されている。
【0050】
トランジスタT22のゲートは、容量C21とトランジスタT23との接続点に接続されている。トランジスタT21とトランジスタT22との接続点が、反転回路161の出力端INVout2としてトランジスタT2のゲートに接続されている。
【0051】
ここで、トランジスタT23、T22、T21が、それぞれ第3のトランジスタ、第4のトランジスタ、および第5のトランジスタの一例であり、容量C21が第2の容量の一例である。
【0052】
反転回路161は次のように動作する。
【0053】
図11は、反転回路161の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【0054】
図12A図12Dは、図11のタイミングチャートの要所(具体的には、期間P3、P4)における反転回路161の動作状態の一例を示す回路図である。図12A図12Dでは、オン状態にあるトランジスタを実線で示し、オフ状態にあるトランジスタを点線で示している。また、電位の伝達を破線の矢印で示している。
【0055】
期間P3において、制御信号WRはHighレベルであり、転送回路102の出力端OUTの電位、つまり反転回路161の入力端INVin2の電位はLowレベルである。
【0056】
このとき、トランジスタT23によってトランジスタT22のゲートはVss5に充電される。ここで、トランジスタT22のゲート−ソース間電圧が閾値電圧よりも小さくなるように電源Vss4、Vss5を設定することで、トランジスタT22はオフ状態になる(図12A)。
【0057】
トランジスタT21がオン状態となることで、反転回路161の出力端INVout2に電源電位Vdd2が伝達する。電源電位Vdd2が制御信号WRのHighレベルの電位とトランジスタT21の閾値電圧Vt21の和以下であれば、反転回路161の出力端INVout2の電位はVdd2となる。また、電源電位Vdd2が制御信号WRのHighレベルの電位とトランジスタT21の閾値電圧Vt21の和以上であれば、反転回路の出力端INVout2の電位はVdd−Vt21となる。いずれの場合も反転回路の出力端INVout2の電位はHighレベルとなる。ここでは、電源電位Vdd2は制御信号WRのHighレベルの電位とトランジスタT21の閾値電圧Vt21との和以下としている。
【0058】
期間P3の途中で、制御信号WRがLowレベルとなる。このとき、トランジスタT21、T23はオフ状態となるが、反転回路161の各ノードの電位は、容量C21、C22によって保持されている(図12B)。
【0059】
期間P4において、転送回路102の出力端OUTの電位がLowレベルからHighレベルへ変化し、この電位変化が、容量C21を介してトランジスタT22のゲートに入力される。トランジスタT22のゲート−ソース間電圧Vgsが、トランジスタT22の閾値電圧Vt22よりも大きくなったとき、トランジスタT22はオン状態となる(図12C)。反転回路161の出力端INVout2の電位は電源電位Vss4となる。
【0060】
期間P4の途中で、転送回路102の出力端OUTの電位がHighレベルからLowレベルへ変化し、この電位変化が、容量C21を介してトランジスタT22のゲートに入力される。トランジスタT22は再びオフ状態となる(図12D)。
【0061】
期間P5において、制御信号WRがHighレベルに変化し、トランジスタT21、T23がオン状態となる。トランジスタT21によって、反転回路161の出力端INVout2は、電源電圧Vdd2に充電される。トランジスタT23によって、トランジスタT22のゲートは、電源電圧Vss5に充電される(図12A)。
【0062】
このように、反転回路161によって、転送回路102の出力端OUTの電位がLowレベルからHighレベルに変化した後、制御信号WRがLowレベルからHighレベルへ変化するまで、反転回路161の出力端OUTをLowレベルとすることが可能となっている。
【0063】
次に、転送回路102の動作について説明する。
【0064】
図13は、転送回路102の動作の一例を示すタイミングチャートである。前述したように、制御信号WRは、2相のクロック信号のうちの第1相のクロック信号に対応し、制御信号CLRおよびパルス電源ENは第2相のクロック信号に対応する。
【0065】
図13に例示するように、制御信号CLRとパルス電源ENとは、厳密に同一のタイミングである必要はなく、制御信号CLRおよびパルス電源ENと制御信号WRとで、アクティブな(Highレベルとなる)期間が重複しなければよい。
【0066】
図14A図14Dは、図13のタイミングチャートの要所における転送回路102の動作状態の一例を示す回路図である。図14A図14Dでは、オン状態にあるトランジスタを実線で示し、オフ状態にあるトランジスタを点線で示している。また、電位の伝達を破線の矢印で示している。
【0067】
期間P1において、制御信号WRがHighレベルであり制御信号CLR、パルス電源EN、および入力信号INはそれぞれLowレベルとなっている。このとき、反転回路161の出力はHighレベルとなるため、トランジスタT2がオン状態となり転送回路102の出力端OUTはVss(Lowレベル)となる(図14A)。
【0068】
トランジスタT3、T4、T5がオン状態となるため、図14Aに示すように貫通電流が流れ、トランジスタT1のゲートは電位Vxになる。トランジスタT1のゲート−ソース間電圧VgsがトランジスタT1の閾値電圧Vt1以下であれば、トランジスタT1はオフ状態となる。
【0069】
期間P2において、制御信号WRはLowレベルであり、制御信号CLR、パルス電源ENをLowレベルからHighレベルへ変化させる(図14B)。
【0070】
このとき、前述のようにトランジスタT1がオフ状態であれば転送回路102の出力端OUTはLowレベルのままである。仮に、トランジスタT1のゲート−ソース間電圧がトランジスタT1の閾値電圧Vt1以上であったとしても、トランジスタT22がオン状態にならなければ、反転回路161の出力はHighレベルのままであり、トランジスタT1、T2を介して貫通電流が流れるので(図示せず)、転送回路102の出力端OUTの電位はVssから大きく増加することがない。
【0071】
期間P3において、制御信号CLR、パルス電源ENはLowレベルであり、制御信号WRを再びHighレベルとし、入力信号INをLowレベルからHighレベルとする。このとき、反転回路151はLowレベルを出力するため、トランジスタT1のゲートはHighレベル(例えば、電位Vdd)となる。なお、反転回路161はHighレベルを出力したままである(図14C)。
【0072】
期間P4において、制御信号WRはLowレベルであり、パルス電源ENをLowレベルからHighレベルへ変化させる。これにより、パルス電源ENから電流が流れ、トランジスタT1のゲート電位およびソース電位(転送回路102の出力端OUTの電位)は増加する。これにより、反転回路161はLowレベルを出力し、トランジスタT2がオフ状態となり転送回路の出力端OUTはHighレベルとなる(図14D)。その後、パルス電源ENがHighレベルからLowレベルへ変化し、出力端OUTもLowレベルとなる。
【0073】
期間P5、P6では、期間P1、P2と同じ動作が繰り返される。
【0074】
以上説明したように、転送回路102では、転送回路102を構成するトランジスタの閾値電圧が負であっても前述のように電圧設定によってトランジスタT1をオフ状態とできるのに加え、さらに回路動作によって出力端OUTの電位は大きく増加しない。
【0075】
そのため、複数の転送回路102を連ねてなるシフトレジスタにおいて、誤転送の発生を抑制することができる。
【0076】
また、転送回路102は、2相のクロック信号で動作することから、少数の制御信号で駆動することができるため、システム規模およびコストを削減することができる。
【0077】
図15Aは、転送回路102を用いて構成されるゲートドライバ51の一例を示す機能ブロック図である。ゲートドライバ51は、例えば、図1のライトスキャナ21および行電源スキャナ22のいずれにも適用できる汎用のスキャナ回路である。ゲートドライバ51は、複数の転送回路102を連ねて構成されるシフトレジスタ701と、転送回路102の出力に応じて出力信号線900を駆動する複数のバッファ回路800とで構成される。転送回路102、バッファ回路800、および出力信号線900は、表示装置1の行に対応して設けられる。
【0078】
図15Bは、シフトレジスタ701を駆動するための信号の一例を示す波形図である。シフトレジスタ701は、相ごとのアクティブな(Highレベルの)期間が重複しない2相のクロック信号およびパルス電源によって駆動される2相駆動のシフトレジスタである。図15Bにおいて、クロック信号CK1およびパルス電源EN1が、第1相のクロック信号およびパルス電源に対応し、クロック信号CK2およびパルス電源EN2が、第2相のクロック信号およびパルス電源に対応する。
【0079】
奇数行の転送回路102は、クロック信号CK1、クロック信号CK2およびパルス電源EN2を、それぞれ、制御信号WR、制御信号CLRおよびパルス電源ENとして動作する。偶数行の転送回路102は、クロック信号CK2、クロック信号CK1およびパルス電源EN1を、それぞれ、制御信号WR、制御信号CLRおよびパルス電源ENとして動作する。
【0080】
このように構成されるシフトレジスタ701およびゲートドライバ51によれば、誤転送の発生が抑制されるので、動作の安定性および信頼性に優れたシフトレジスタおよびゲートドライバが得られる。
【0081】
以下では、転送回路のいくつかの変形例について説明する。
【0082】
図16は、変形例1に係る転送回路103の一例を示す回路図である。図16に示されるように、転送回路103は、図9の転送回路102と比べて、入力回路111が変更される。入力回路111は、3つのトランジスタT31、T32、T33から構成されてもよい。
【0083】
図17は、変形例2に係る転送回路104の構成の一例を示す回路図である。図17に示されるように、転送回路104において、リセット回路122、出力安定化回路142は、反転回路152、162をそれぞれ有する。反転回路152、162は、制御信号WR、CLRを用いず、入力信号INおよび出力信号OUTを非同期に反転出力してもよい。
【0084】
図18は、変形例3に係る転送回路105の構成の一例を示す回路図である。図18に示されるように、出力安定化回路143内の反転回路を省略し、トランジスタT2のゲートを制御信号端WRに接続してもよい。
【0085】
このような構成によれば、入力信号INがLowレベルで制御信号WRがHighレベルのとき、トランジスタT1のゲートの電位をVxとすることができ、電圧設定によってトランジスタT1をオフ状態とすることが可能となる。その結果、誤転送を対策することができる。
【0086】
図19は、変形例4に係る転送回路106の構成の一例を示す回路図である。図19に示されるように、転送回路106では、リセット回路123内の反転回路を省略し、出力安定化回路140内の反転回路160の出力端がトランジスタT2、T4の両方ののゲートに接続されている。また、トランジスタT5のゲートが制御信号端CLRに接続されている。
【0087】
転送回路106においても、入力端INがHighレベルのときは、制御信号CLRによってトランジスタT5がオフ状態になることで、リセット回路123はオフ状態となり、トランジスタT1のゲートにはHighレベルが入力される。
【0088】
図20Aに示されるように、転送回路106では、入力端INがLowレベルで制御信号WRがHighレベルのとき、トランジスタT1のゲート及びソース電圧はVssとなる。そのため、トランジスタT1の閾値電圧Vt1が負のとき、トランジスタT1はオン状態となってしまうが、パルス電源ENおよび制御信号CLRがHighレベルに変化したとき、図20Bに示されるようにトランジスタT1のゲートはVss1に接地されるため転送回路の出力はLowレベルのままとなる。
【0089】
転送回路106では、反転回路の個数を減らすことができるので、回路の高密度化により、表示パネルの高精細化に寄与できる。また貫通電流を減らすことができるので、回路の低消費電力化も可能となる。
【0090】
以上、本発明に係る転送回路および複数の転送回路を連ねて構成されるシフトレジスタについて実施の形態およびその変形例に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の主旨を逸脱しない範囲で、当業者が思いつく各種変形を施し、また実施の形態における構成要素および動作を任意に組み合わせて実現される表示装置およびその駆動方法も本発明に含まれる。
【0091】
例えば、本発明のシフトレジスタと、当該シフトレジスタの各段の出力信号を処理するバッファ回路と、を備えるゲートドライバは、本発明に含まれてもよい。
【0092】
また、例えば、本発明のゲートドライバを搭載した表示パネルは、本発明に含まれてもよく、また本発明のゲートドライバを搭載したフレキシブル基板は、本発明に含まれてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、転送回路および複数の転送回路を連ねてなるシフトレジスタとして、例えば、表示装置におけるゲートドライバに利用できる。
【符号の説明】
【0094】
10 画素回路
21 ライトスキャナ
22 行電源スキャナ
23 水平セレクタ
31、32 走査信号線
33 データ信号線
50、51 ゲートドライバ
100〜106 転送回路
110、111 入力回路
120〜123 リセット回路
130 出力回路
140〜143 出力安定化回路
150、151、152、160、161、162 反転回路
700、701 シフトレジスタ
800 バッファ回路
900 出力信号線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図13
図14A
図14B
図14C
図14D
図15A
図15B
図16
図17
図18
図19
図20A
図20B