(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IEEE802.11規格に準拠した5GHz帯の無線LAN(Local Area Network)通信技術を用いて無線子機と接続を行う無線アクセスポイントにおける無線チャネルの選択動作をコンピュータにより実行し、
各地に固定して設置されている固定レーダそれぞれが使用チャネルとして使用している無線チャネルおよび該使用チャネルの無線到達範囲のエリアに関する情報をあらかじめ設定登録しているレーダ情報登録テーブルと、
自無線アクセスポイントが現在存在している位置情報を取得する現在位置取得機能と、
自無線アクセスポイントが使用する運用チャネルと干渉を引き起こす可能性がある前記固定レーダの前記使用チャネルを、前記運用チャネルの選択対象から除外するため回避チャネルとして登録する回避チャネル登録機能と、
自無線アクセスポイントが使用する前記運用チャネルの選択決定動作を制御する制御機能と、
を有し
前記制御機能は、
前記運用チャネルの選択決定動作をあらかじめ定めたタイミングを契機にして開始して、前記現在位置取得機能により取得した自無線アクセスポイントの現在の位置情報に基づいて前記レーダ情報登録テーブルを検索し、自無線アクセスポイントの近辺に、無線チャネルを前記使用チャネルとして使用する前記固定レーダが存在することを確認した場合には、該固定レーダが使用している前記使用チャネルを、前記回避チャネルとして前記回避チャネル登録機能により登録し、該回避チャネルを選択対象から除外して、該回避チャネルとの間の干渉を回避することが可能な無線チャネルを前記運用チャネルとして選択して決定し、
自無線アクセスポイントの現在の位置情報に基づいて前記レーダ情報登録テーブルを検索し、自無線アクセスポイントの近辺に、いずれの前記固定レーダが存在していない場合であって、前記回避チャネルが登録されていた場合、登録されている該回避チャネルの情報を削除する、
ことを特徴とする無線チャネル選択プログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記特許文献1や特許文献2等に記載された本発明に関連する現状の技術においては、次のような解決するべき課題がある。
【0008】
例えば、前記特許文献1の技術においては、それぞれのセルがどの気象レーダの範囲にあるのか、また、気象レーダはどのチャネルを実際に使っているのかは、無線アクセスポイントが、レーダ情報を検出してDFSが動作するまで分からない。つまり、無線アクセスポイントを携行して移動しながら各セルにおけるレーダ情報との干渉に関するデータ収集を繰り返し、周辺情報の管理データが充実するまでは、どのセルにどんな気象レーダが存在しているのかが分からない。そこで、特許文献1の技術では、無線チャネルの選択に対する即応が困難になる可能性が高いという、解決するべき課題がある。
【0009】
また、前記特許文献2の技術においては、特定の固定レーダに対する規則性を用いた技術であり、効果を得られるのは、一定箇所に常設された無線アクセスポイントのみである。したがって、特許文献2の技術では、例えば、モバイルルータのようなユーザが持ち歩くことを前提とした無線アクセスポイントに対しては対応することができない。
【0010】
(本開示の目的)
本開示の目的は、かかる課題に鑑み、5GHz帯の無線LAN通信技術を用いて無線子機と接続を行う無線アクセスポイントが移動性を有する場合であっても、DFSの発生を確実に回避することが可能な無線アクセスポイント、無線チャネル選択方法および無線チャネル選択プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述の課題を解決するため、本発明による無線アクセスポイント、無線チャネル選択方法および無線チャネル選択プログラムは、主に、次のような特徴的な構成を採用している。
【0012】
(1)本発明による無線アクセスポイントは、
IEEE802.11規格に準拠した5GHz帯の無線LAN(Local Area Network)通信技術を用いて無線子機と接続を行い、
各地に固定して設置されている固定レーダそれぞれが使用チャネルとして使用している無線チャネルおよび該使用チャネルの無線到達範囲のエリアに関する情報をあらかじめ設定登録しているレーダ情報登録テーブルと、
自無線アクセスポイントが現在存在している位置情報を取得する現在位置取得部と、
自無線アクセスポイントが使用する運用チャネルと干渉を引き起こす可能性がある前記固定レーダの前記使用チャネルを、前記運用チャネルの選択対象から除外するため回避チャネルとして登録する回避チャネル登録部と、
自無線アクセスポイントが使用する前記運用チャネルの選択決定動作を制御する制御部と、
を有し、
前記制御部は、
前記運用チャネルの選択決定動作をあらかじめ定めたタイミングを契機にして開始して、前記現在位置取得部により取得した自無線アクセスポイントの現在の位置情報に基づいて前記レーダ情報登録テーブルを検索し、自無線アクセスポイントの近辺に、無線チャネルを前記使用チャネルとして使用する前記固定レーダが存在することを確認した場合には、該固定レーダが使用している前記使用チャネルを、前記回避チャネルとして前記回避チャネル登録部により登録し、該回避チャネルを選択対象から除外して、該回避チャネルとの間の干渉を回避することが可能な無線チャネルを前記運用チャネルとして選択して決定する、
ことを特徴とする。
【0013】
(2)本発明による無線チャネル選択方法は、
IEEE802.11規格に準拠した5GHz帯の無線LAN(Local Area Network)通信技術を用いて無線子機と接続を行い、
各地に固定して設置されている固定レーダそれぞれが使用チャネルとして使用している無線チャネルおよび該使用チャネルの無線到達範囲のエリアに関する情報をあらかじめ設定登録しているレーダ情報登録テーブルと、
自無線アクセスポイントが現在存在している位置情報を取得する現在位置取得ステップと、
自無線アクセスポイントが使用する運用チャネルと干渉を引き起こす可能性がある前記固定レーダの前記使用チャネルを、前記運用チャネルの選択対象から除外するため回避チャネルとして登録する回避チャネル登録ステップと、
自無線アクセスポイントが使用する前記運用チャネルの選択決定動作を制御する制御ステップと、
を有し
前記制御ステップは、
前記運用チャネルの選択決定動作をあらかじめ定めたタイミングを契機にして開始して、前記現在位置取得ステップにより取得した自無線アクセスポイントの現在の位置情報に基づいて前記レーダ情報登録テーブルを検索し、自無線アクセスポイントの近辺に、無線チャネルを前記使用チャネルとして使用する前記固定レーダが存在することを確認した場合には、該固定レーダが使用している前記使用チャネルを、前記回避チャネルとして前記回避チャネル登録ステップにより登録し、該回避チャネルを選択対象から除外して、該回避チャネルとの間の干渉を回避することが可能な無線チャネルを前記運用チャネルとして選択して決定する、
ことを特徴とする。
【0014】
(3)本発明による無線チャネル選択プログラムは、
IEEE802.11規格に準拠した5GHz帯の無線LAN(Local Area Network)通信技術を用いて無線子機と接続を行う無線アクセスポイントにおける無線チャネルの選択動作をコンピュータにより実行し、
各地に固定して設置されている固定レーダそれぞれが使用チャネルとして使用している無線チャネルおよび該使用チャネルの無線到達範囲のエリアに関する情報をあらかじめ設定登録しているレーダ情報登録テーブルと、
自無線アクセスポイントが現在存在している位置情報を取得する現在位置取得機能と、
自無線アクセスポイントが使用する運用チャネルと干渉を引き起こす可能性がある前記固定レーダの前記使用チャネルを、前記運用チャネルの選択対象から除外するため回避チャネルとして登録する回避チャネル登録機能と、
自無線アクセスポイントが使用する前記運用チャネルの選択決定動作を制御する制御機能と、
を有し
前記制御機能は、
前記運用チャネルの選択決定動作をあらかじめ定めたタイミングを契機にして開始して、前記現在位置取得機能により取得した自無線アクセスポイントの現在の位置情報に基づいて前記レーダ情報登録テーブルを検索し、自無線アクセスポイントの近辺に、無線チャネルを前記使用チャネルとして使用する前記固定レーダが存在することを確認した場合には、該固定レーダが使用している前記使用チャネルを、前記回避チャネルとして前記回避チャネル登録機能により登録し、該回避チャネルを選択対象から除外して、該回避チャネルとの間の干渉を回避することが可能な無線チャネルを前記運用チャネルとして選択して決定する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の無線アクセスポイント、無線チャネル選択方法および無線チャネル選択プログラムによれば、主に、以下のような効果を奏することができる。
【0016】
本発明に係る無線アクセスポイントは、自無線アクセスポイントが現在存在している位置情報を取得する現在位置取得部と、各地に設置されているそれぞれの固定レーダが使用している無線チャネルと該固定レーダの無線チャネルの無線到達範囲を示すエリアとに関する情報をあらかじめ登録しているレーダ情報登録テーブルとを少なくとも備えているので、無線アクセスポイントが現在存在している位置が、無線チャネルの干渉を引き起こす可能性があるいずれかの固定レーダのエリア内に入っているか否かを即座に把握することができる。
【0017】
而して、無線アクセスポイントがモバイルルータ等の移動性を有する無線機器の場合であっても、無線アクセスポイントは、移動先が固定レーダのエリア内であった場合には、動的に、該固定レーダが使用している無線チャネルを回避チャネルとして除外する形で、当該無線アクセスポイントが使用する運用チャネルを選択して決定することができる。その結果、無線アクセスポイントは、固定レーダとの干渉を引き起こすことを未然に防止し、DFSが動作して無線通信が阻害されてしまう事態が発生することを確実に抑止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明による無線アクセスポイント、無線チャネル選択方法および無線チャネル選択プログラムの好適な実施形態について添付図を参照して説明する。なお、以下の説明においては、本発明による無線アクセスポイントおよび無線チャネル選択方法について説明するが、かかる無線チャネル選択方法をコンピュータにより実行可能な無線チャネル選択プログラムとして実施するようにしても良いし、あるいは、無線チャネル選択プログラムをコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録するようにしても良いことは言うまでもない。また、以下の各図面に付した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではないことも言うまでもない。
【0020】
(本発明の特徴)
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明の特徴についてその概要をまず説明する。本発明は、無線アクセスポイントにGPS(Global Positioning System)などのような自無線アクセスポイントの現在の位置情報を取得する現在位置取得部を搭載して、取得した現在の位置情報に基づいて、気象観測レーダ等の公共事業用として各地に固定して設置されているレーダ(以降、「固定レーダ」と称する)が無線アクセスポイントの近辺に存在するか否かを検索し、検索結果として、条件に一致する固定レーダが近辺に存在する場合には、無線アクセスポイントにおいて運用チャネルとして使用する無線チャネルが固定レーダと干渉することを避けるために、当該固定レーダが使用する無線チャネルを回避チャネルとして登録し、無線アクセスポイントが運用チャネルを選択して決定する際の選択肢の中から該回避チャネルを除外することを主要な特徴としている。
【0021】
而して、無線アクセスポイントは、現在地の変化を反映した上で、固定レーダを要因としたDFSの発生を確実に回避することができ、より快適な通信環境を実現することができる。
【0022】
また、本発明は、公共事業用として各地に固定して設置されている固定レーダそれぞれが使用チャネルとして使用する無線チャネルと該使用チャネルの電波が到達可能なエリア(無線到達範囲)とを無線アクセスポイントにあらかじめリスト化して登録することにより、無線アクセスポイントが移動してもその近辺に公共事業用の固定レーダ(気象観測レーダや航空レーダ等)が存在していることを即座に検出し、該固定レーダが使用する無線チャネル(使用チャネル)を回避チャネルとして動的に登録することができる。而して、前記特許文献1のように、無線アクセスポイントを携行して移動しながらデータを収集することを繰り返す必要はなく、無線チャネルの選択・決定に対する即応性を確保することができる。
【0023】
[第1実施形態]
次に、本発明に係る無線アクセスポイントの第1実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0024】
(第1実施形態の無線アクセスポイントの構成例)
まず、本発明の第1実施形態に係る無線アクセスポイントの構成例について、
図1を用いて説明する。
図1は、本発明に係る無線アクセスポイントの第1実施形態のブロック構成の一例を示したブロック構成図である。
図1に示す無線アクセスポイント10は、制御部11、無線LAN通信部12、無線WAN通信部13、レーダ情報格納部14、レーダ情報登録テーブル14a、回避チャネル登録部15、現在位置取得部16を少なくとも備えて構成されている。
【0025】
制御部11は、無線アクセスポイント10の全体の動作を制御する。特に、制御部11は、自無線アクセスポイント10が使用する運用チャネルの選択決定動作をあらかじめ定めたタイミングを契機にして開始して、自無線アクセスポイント10の現在の位置情報に基づいてレーダ情報登録テーブル14aを検索する。そして、検索結果として、制御部11は、自無線アクセスポイント10の近辺に、無線チャネルを使用チャネルとして使用する固定レーダが存在することを確認した場合には、該固定レーダが使用している該使用チャネルとの間の干渉を回避するために、該固定レーダが使用している該使用チャネルを回避チャネルとして回避チャネル登録部15により登録し、該回避チャネルを選択対象から除外して、該回避チャネルとの間の干渉を回避することが可能な無線チャネルを運用チャネルとして選択して決定する動作を行う。
【0026】
ここで、制御部11が運用チャネルの選択決定動作を開始する契機とする前記タイミングは、自無線アクセスポイント10が起動した時、または、ユーザの操作により該選択決定動作を起動した時、のいずれかである。
【0027】
無線LAN通信部12は、IEEE802.11ac、IEEE802.11n規格等のプロトコルにしたがって5GHz帯の無線周波数帯を使用して無線LAN回線を介して通信を行う。無線WAN通信部13は、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)やLTE(Long Term Evolution)等の移動体通信方式もしくは別の無線アクセスポイントを介して無線WAN側に接続して通信を行う。
【0028】
また、レーダ情報格納部14は、各地に固定して設置されている固定レーダそれぞれが使用チャネルとして使用する無線チャネルおよび該使用チャネルがカバーする無線到達範囲を示すエリアに関する情報をリスト化してレーダ情報登録テーブル14aにあらかじめ登録する。回避チャネル登録部15は、無線アクセスポイント10の近辺に存在する固定レーダの使用チャネルを回避チャネルとして登録する。現在位置取得部16は、GPS(Global Positioning System)16aを内部に備えていて、無線アクセスポイント10の現在の位置情報を常時取得している。
【0029】
ここで、
図2は、
図1に示した無線アクセスポイント10のレーダ情報登録テーブル14aにあらかじめ登録されている固定レーダに関する情報の一例を示すテーブルであり、各地に公共事業用として固定して設置されている固定レーダの使用チャネル(使用する無線周波数の情報)と該使用チャネルの無線周波数の電波が到達する範囲(無線到達範囲)を示す無線エリアとに関する情報をあらかじめ一覧登録している例を示している。つまり、レーダ情報登録テーブル14aは、レーダ名称14a1、エリア情報14a2、チャネル情報14a3から構成されていて、例えば、第1行目に示すように、レーダ名称14a1が固定レーダ1の固定レーダに関しては、使用チャネルとして使用する無線チャネルの無線到達範囲を示すエリア情報14a2がエリアAであり、使用チャネルを示すチャネル情報14a3が100chである旨が登録されている。
【0030】
また、
図2のエリア情報14a2に登録されるエリアA等のエリアに関しては、それぞれの固定レーダが設置された地域において、それぞれの使用チャネル(無線チャネル)がカバーしている都道府県名ないし市町村名等が登録される。なお、各固定レーダの詳細については、例えば、気象観測レーダの場合には、気象庁から該気象観測レーダの情報が公開されており、それぞれの無線エリア情報やチャネル情報を取得することは容易である。他にも、空港において使用される航空管制レーダに関しても、設置位置および使用チャネルが特定されているので、空港付近をエリアとしてエリア情報14a2に登録し、航空管制レーダの使用チャネルをチャネル情報14a3に登録することが可能である。なお、
図2に示したレーダ情報登録テーブル14aの構成はあくまでも一例であることは言うまでもない。
【0031】
次に、
図1に示した無線アクセスポイント10の回避チャネル登録部15が回避チャネルとして登録する無線チャネル(固定レーダが使用している使用チャネル)を、無線アクセスポイント10の移動に伴って、動的に変更する様子を、
図3の模式図を用いて説明する。
図3は、
図1に示した無線アクセスポイント10の回避チャネル登録部15が、現在の位置情報と固定レーダとの位置関係を基にして回避チャネルを動的に変更して登録する様子の一例を示す模式図であり、
図2のレーダ情報登録テーブル14aに例示した固定レーダの登録例を用いて回避チャネルの変更登録の一例を説明している。
【0032】
図3の模式図においては、
図2のレーダ情報登録テーブル14aの第1行目の固定レーダ1と第2行目の固定レーダ2とが設置されている場所の近辺を無線アクセスポイント10が移動する場合について説明している。例えば、
図3において、無線アクセスポイント10の現在位置として現在地1や現在地3に存在していることを現在位置取得部16のGPS16aが検出した場合には、無線アクセスポイント10は、固定レーダが使用している無線チャネルの電波が届かない場所に存在している場合である。したがって、回避チャネル登録部15は、固定レーダの影響を受けることがないと判断して、回避チャネルを設定登録する動作は行わない。
【0033】
これに対して、
図3において、無線アクセスポイント10の現在位置として現在地2や現在地4に存在していることを現在位置取得部16のGPS16aが検出した場合には、固定レーダ1や固定レーダ2が使用している無線チャネルの電波が届くエリアAやエリアBの無線到達範囲内に存在している場合である。したがって、回避チャネル登録部15は、無線アクセスポイント10が現在固定レーダの影響範囲内に存在していて、固定レーダの干渉を受けてDFSが動作する可能性が高い位置にいると判断して、固定レーダが使用する無線チャネルを回避チャネルとして設定登録する。
【0034】
すなわち、例えば、無線アクセスポイント10が現在地2に存在する場合には、無線チャネル100chを使用する固定レーダ1の無線エリア内に存在しているので、回避チャネル登録部15は、回避チャネル(つまり、無線アクセスポイント10が使用する運用チャネル選択時に選択対象から除外する無線チャネル)として、固定レーダ1が使用している100chを設定登録する。
【0035】
(第1実施形態の無線アクセスポイントの動作例の説明)
次に、
図1に示した無線アクセスポイント10が運用チャネルを選択する際の動作の一例について、
図4のフローチャートを参照しながら詳細に説明する。
図4は、
図1に示した無線アクセスポイント10が運用チャネルを選択する際の動作の一例を説明するフローチャートである。
【0036】
図4のフローチャートにおいて、無線アクセスポイント10の制御部11は、無線アクセスポイント10が使用する運用チャネルの選択決定動作を開始すると(ステップS101)、まず、現在位置取得部16のGPS16aにより、無線アクセスポイント10の現在の位置情報を取得する(ステップS102)。なお、運用チャネルとして選択対象とする周波数帯域の範囲は、5GHz帯であり、DFSが動作するW53/W56帯が選択対象範囲に含まれているものとする。また、運用チャネルの選択動作は、当該無線アクセスポイント10の起動時に自動的に開始しても良いし、ユーザの操作によりWEB−GUIなどを通して任意のタイミングを指定して開始させるようにしても構わない。
【0037】
次いで、GPS16aにより取得した現在の位置情報とレーダ情報登録テーブル14aのエリア情報14a2にあらかじめ登録されている情報とを照合して(ステップS103)、無線アクセスポイント10が現在存在している位置を含むエリアが、固定レーダの無線エリアとしてレーダ情報登録テーブル14aのエリア情報14a2に登録されているか否かを確認する(ステップS104)。
【0038】
無線アクセスポイント10が現在存在している位置を含むエリアが固定レーダの無線エリアとして登録されていた場合には(ステップS104のYES)、制御部11は、無線アクセスポイント10が現在存在している位置を含むエリアがエリア情報14a2として登録されている固定レーダのチャネル情報を、レーダ情報登録テーブル14aのチャネル情報14a3から取り出す。そして、取り出したチャネル情報を、回避チャネル登録部15によって回避チャネルとして登録する(ステップS105)。そして、無線アクセスポイント10の制御部11は、回避チャネル登録部15により登録された回避チャネルに関しては固定レーダの影響を受けてDFSが動作する可能性があるので、該回避チャネルを除外した無線チャネルの中から使用可能ないずれかの無線チャネルを選択して運用チャネルとして決定する(ステップS106)。
【0039】
また、無線アクセスポイント10が現在存在している位置を含むエリアがエリア情報14a2として登録されていなかった場合は(ステップS104のNO)、無線アクセスポイント10が現在存在している位置が、レーダ情報登録テーブル14aにあらかじめ登録されているいずれの固定レーダに関しても、それぞれが使用する使用チャネルの無線電波が到達するエリア内ではなかった場合であって、無線アクセスポイント10の近辺には、固定レーダが存在していない場合である。したがって、運用チャネルの選択決定動作に先立って、次に、制御部11は、回避チャネル登録部15により回避チャネルが既に登録済みになっているか否かを確認する(ステップS107)。回避チャネルが登録済みではなかった場合には(ステップS107のNO)、ステップS109に移行して、使用可能な無線チャネルの中からいずれかの無線チャネルを選択して、運用チャネルとして決定する(ステップS109)。
【0040】
一方、回避チャネル登録部15によって回避チャネルが既に登録済みであった場合には(ステップS107のYES)、無線アクセスポイント10が現在存在している位置は、登録済みになっていた回避チャネルに該当する無線チャネルを使用している固定レーダのエリアからは既に離れた位置まで移動しているものと判断して、登録済みになっていた回避チャネルを削除する(ステップS108)。しかる後、ステップS109に移行して、使用可能な無線チャネルの中からいずれかの無線チャネルを選択して、運用チャネルとして決定する(ステップS109)。
【0041】
なお、ステップS109において、いずれかの無線チャネルを選択して、運用チャネルとして決定する動作を実行する前に、さらに、無線LAN通信部12に対して既に帰属して通信中の状態にある無線子機が存在しているか否かを確認して、存在していた場合には、運用チャネルの選択決定動作を中止するようにしても良い。なぜならば、選択決定した運用チャネルを無線アクセスポイント10に設定した際に、通信中の状態にある該無線子機の通信を一時的に阻害してしまう可能性が生じるからである。
【0042】
(第1実施形態の効果の説明)
以上に詳細に説明したように、本発明の第1実施形態においては、次のような効果を奏することができる。
【0043】
本発明の第1実施形態に係る無線アクセスポイント10は、
図1に示したように、自無線アクセスポイント10の現在の位置情報を取得する現在位置取得部16と、各地に固定して設置されているそれぞれの固定レーダが使用チャネルとして使用している無線チャネルと該使用チャネルの無線到達範囲を示すエリアとに関する情報をあらかじめ登録しているレーダ情報登録テーブル14aと、を少なくとも備えているので、当該無線アクセスポイント10が現在存在している位置が、無線チャネルの干渉を引き起こす可能性があるいずれかの固定レーダのエリア内に入っているか否かを即座に把握することができる。
【0044】
而して、無線アクセスポイント10がモバイルルータ等の移動性を有する無線機器の場合であっても、無線アクセスポイント10は、移動先が固定レーダのエリア内であった場合には、動的に、該固定レーダが使用している無線チャネルを回避チャネルとして除外する形で、無線アクセスポイント10が使用する運用チャネルを選択して決定することができる。その結果、無線アクセスポイント10は、固定レーダとの干渉を引き起こすことを未然に防止し、DFSが動作して無線通信が阻害されてしまう事態が発生することを確実に抑止することができる。
【0045】
[第2実施形態]
次に、本発明に係る無線アクセスポイントの第2実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。前述した第1実施形態においては、無線アクセスポイント10に搭載した現在位置取得部16のGPS16aにより取得した自無線アクセスポイント10の現在の位置が、レーダ情報登録テーブル14aに登録されているいずれかの固定レーダのエリア内であった場合には、当該固定レーダが使用している無線チャネルを回避する形で、自無線アクセスポイント10が使用する運用チャネルを選択して決定する場合について説明した。そして、かかる運用チャネルの選択決定動作は、無線アクセスポイント10が起動した時にあるいはユーザ操作により無線チャネル選択動作を開始したことを契機にして実施される場合(すなわち制御部11が運用チャネルの選択決定動作を開始する契機とするタイミングが、無線アクセスポイント10が起動した時あるいはユーザ操作により無線チャネル選択動作を開始した時の場合)について説明した。しかし、本発明はかかる場合に限るものではない。
【0046】
第1実施形態の場合は、ユーザが運用チャネルの選択決定操作を余り行わないことも想定されることから、そのまま、無線アクセスポイントを使用し続けていると、無線アクセスポイントの存在位置が、該無線アクセスポイントと同様の無線チャネルを使用している固定レーダの周辺に移動した場合には、該固定レーダとの干渉が発生してしまう事態を引き起こす可能性がある。かかる観点から、例えば、運用チャネルの選択決定動作を開始する契機とするタイミングとして、無線アクセスポイントが固定レーダの存在を捕捉したことを契機にして自動的に運用チャネルの選択決定動作を開始することを可能にしても良い。そこで、第2実施形態においては、運用チャネルの選択決定動作を、無線アクセスポイントが固定レーダの存在を捕捉したことを契機にして実施する場合について、より具体的には、運用チャネルの選択決定動作を開始する契機とするタイミングを、
図5に示す無線アクセスポイント10Aの現在位置取得部16のGPS16aが取得した現在の位置情報に基づいてレーダ情報登録テーブル14aを検索して、無線アクセスポイント10Aの近辺に、固定レーダが存在することを確認した時点とする場合について説明する。
【0047】
(第2実施形態の無線アクセスポイントの構成例)
次に、本発明の第2実施形態に係る無線アクセスポイントの構成例について、
図5を用いて説明する。
図5は、本発明に係る無線アクセスポイントの第2実施形態のブロック構成の一例を示したブロック構成図である。
図5に示す無線アクセスポイント10Aは、制御部11A、無線LAN通信部12、無線WAN通信部13、レーダ情報格納部14、レーダ情報登録テーブル14a、回避チャネル登録部15、GPS16aを内部に搭載した現在位置取得部16を少なくとも備えて構成されている。
【0048】
図5に示す無線アクセスポイント10Aは、制御部11Aが、運用チャネルの選択決定動作を開始する契機として、
図1に示した無線アクセスポイント10における制御部11とは異なり、無線アクセスポイント10Aが固定レーダの存在を捕捉したことを契機にして開始するという機能を有している。その他の処理部に関しては、
図1の無線アクセスポイント10の場合と全く同様であるので、
図1の無線アクセスポイント10の場合と同じ符号を付して、ここでの重複する説明は割愛する。
【0049】
(第2実施形態の無線アクセスポイントの動作例の説明)
次に、
図5に示した無線アクセスポイント10Aが運用チャネルを選択する際の第2実施形態の動作の一例について、
図6のフローチャートを参照しながら詳細に説明する。
図6は、
図5に示した無線アクセスポイント10Aが運用チャネルを選択する際の動作の一例を説明するフローチャートであり、本発明の第2実施形態に係る無線アクセスポイント10Aにおける運用チャネルの選択決定動作の一例について示している。
【0050】
図6のフローチャートにおいては、無線アクセスポイント10Aの制御部11Aは、当該無線アクセスポイント10Aにおいて使用する運用チャネルの選択決定動作の開始に先立って、まず、現在位置取得部16のGPS16aにより、無線アクセスポイント10Aの現在の位置情報を取得する(ステップS201)。つまり、第2実施形態においても、第1実施形態の場合と同様、無線アクセスポイント10Aは、常時、GPS16aにより、無線アクセスポイント10Aの現在の位置情報を追跡している。なお、運用チャネルとして選択対象とする周波数帯域の範囲についても、第1実施形態の場合と同様、5GHz帯であり、DFSが動作するW53/W56帯が選択対象範囲に含まれているものとする。
【0051】
次いで、第1実施形態の場合と同様、GPS16aにより取得した現在の位置情報とレーダ情報登録テーブル14aのエリア情報14a2にあらかじめ登録されている情報とを照合して(ステップS202)、無線アクセスポイント10Aが現在存在している位置を含むエリアが、固定レーダの無線エリアとしてレーダ情報登録テーブル14aのエリア情報14a2に登録されているか否かを確認する(ステップS203)。
【0052】
無線アクセスポイント10Aが現在存在している位置を含むエリアが固定レーダの無線エリアとして登録されていた場合には(ステップS203のYES)、制御部11Aは、無線アクセスポイント10Aが現在存在している位置を含むエリアがエリア情報14a2として登録されている固定レーダのチャネル情報を、レーダ情報登録テーブル14aのチャネル情報14a3から取り出す。そして、取り出したチャネル情報を、回避チャネル登録部15によって回避チャネルとして登録する(ステップS204)。
【0053】
ここで、第2実施形態においては、前述したように、無線アクセスポイント10Aが固定レーダの存在を捕捉したことを契機にして運用チャネルの選択決定動作を開始する場合である。したがって、制御部11Aは、ステップS204において、固定レーダの存在を捕捉して、回避チャネル登録部15に回避チャネルを登録したことを契機にして、以降、運用チャネルの選択決定動作を開始する。
【0054】
運用チャネルの選択決定動作を開始すると、制御部11Aは、まず、5GHz帯で動作する無線LAN通信部12に対して無線子機が既に帰属していて該無線子機が通信中の状態になっているか否かを確認する(ステップS205)。無線LAN通信部12に対して無線子機が既に帰属していて該無線子機が通信中の状態になっている場合には(ステップS205のYES)、制御部11Aは、運用チャネルの選択決定動作において新たに選択して決定した運用チャネルを無線アクセスポイント10Aに設定してしまうと、無線LAN通信部12に対して既に帰属して通信中の状態にある当該無線子機との間の無線通信を一時的に阻害してしまう可能性があると判断して(ステップS207)、運用チャネルの選択決定動作を中止する(ステップS210)。
【0055】
これに対して、無線LAN通信部12に対して既に帰属して通信中の状態にある無線子機が存在していなかった場合には(ステップS205のNO)、制御部11Aは、無線通信を一時的に阻害してしまう可能性がある無線子機は帰属していない場合であると判断して(ステップS206)、運用チャネルの選択決定動作に移行して、まず、ステップS204において登録した回避チャネル以外に、運用チャネルとして使用可能なチャネルがあるか否かを確認する(ステップS208)。運用チャネルとして使用可能なチャネルが存在していなかった場合は(ステップS208のNO)、ステップS210に移行して、運用チャネルの選択決定動作を中止する(ステップS210)。
【0056】
一方、運用チャネルとして使用可能なチャネルが存在していた場合は(ステップS208のYES)、
図4の場合と同様、回避チャネル登録部15により登録された回避チャネルは、固定レーダの影響を受けてDFSが動作する可能性があるので、該回避チャネルを除外した無線チャネルの中から使用可能ないずれかの無線チャネルを選択して運用チャネルとして決定する(ステップS209)。
【0057】
また、ステップS203において、無線アクセスポイント10Aが現在存在している位置を含むエリアが固定レーダの無線エリアとしてレーダ情報登録テーブル14aに登録されていなかった場合は(ステップS203のNO)、第1実施形態の
図4の場合とは異なり、運用チャネルの選択決定動作を行う必要はない。
【0058】
つまり、第2実施形態においては、前述したように、無線アクセスポイント10Aが固定レーダの存在を捕捉したことを契機にして運用チャネルの選択決定動作を行うので、第1実施形態の
図4の場合とは異なり、無線アクセスポイント10Aが現在存在している位置を含むエリアがレーダ情報登録テーブル14aのエリア情報14a2に登録されていなかった場合には(ステップS203のNO)、無線アクセスポイント10Aは固定レーダの存在を捕捉していない状態にあるので、運用チャネルの選択決定動作を行う必要はない。
【0059】
そこで、制御部11Aは、次に、回避チャネル登録部15により回避チャネルが既に登録済みになっているか否かを確認する(ステップS211)。回避チャネル登録部15によって回避チャネルが既に登録済みであった場合には(ステップS211のYES)、
図4の場合と同様、無線アクセスポイント10Aが現在存在している位置は、登録済みになっていた回避チャネルに該当する無線チャネルを使用している固定レーダのエリアからは既に離れた位置まで移動していると判断して、登録済みになっていた回避チャネルを削除する(ステップS212)。しかる後は、制御部11Aは、回避チャネルが登録されていなかった場合(ステップS211のNO)も含め、運用チャネルの選択決定に関する処理を終了する。
【0060】
なお、ステップS205において、運用チャネルの選択決定後の設定動作において無線通信を一時的に阻害してしまう可能性がある無線子機が無線アクセスポイント10Aに帰属しているか否かを確認するために、無線LAN通信部12に対して既に帰属して通信中の状態にある無線子機が存在しているか否かを確認している。しかし、かくのごとく、まず、無線LAN通信部12に帰属中の無線子機の有無を確認し、帰属中の無線子機が存在していた場合には、帰属中の無線子機に関してさらに通信中の状態にあるか否かを確認するという動作を行う代わりに、単に、無線LAN通信部12におけるデータ通信の有無を確認することにより、運用チャネルの選択決定後の設定動作において無線通信が阻害される可能性がある無線子機の存在の有無を判断するようにしても良い。
【0061】
また、ステップS208において、回避チャネル以外に、運用チャネルとして使用可能なチャネルがあるか否かを確認しているが、ここで、使用可能なチャネルが存在していない場合とは、無線アクセスポイント10Aが、固定レーダからのレーダ波を検知した後、あらかじめ決められている利用禁止時間の時間範囲に既に入ってしまっている場合なども含まれている。
【0062】
本第2実施形態において以上のような動作を行うことにより、第1実施形態のようなユーザ操作により無線チャネル選択動作を開始しなくても、無線アクセスポイント10Aの位置情報の変化を常時観測して、無線アクセスポイント10Aが固定レーダの存在を捕捉したことを契機にして無線チャネル選択動作を自動的に開始することにより、移動性を有する無線アクセスポイント10Aの場合であっても、無線アクセスポイント10Aに帰属している無線子機の通信を阻害することなく、動的に、運用チャネルの選択決定動作を行い、決定した運用チャネルを設定する(運用チャネルを変更する)ことができる。
【0063】
[第3実施形態]
次に、本発明に係る無線アクセスポイントの第3実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。前述した第1実施形態および第2実施形態においては、無線アクセスポイント10や無線アクセスポイント10Aに搭載した現在位置取得部16内にGPS16aを備えることによって、自無線アクセスポイント10の現在の位置情報を取得して、固定レーダとの干渉が発生する可能性がある位置に存在しているか否かを判定して、干渉が発生する可能性がある位置に存在している場合には、該固定レーダが使用するチャネルを回避チャネルとして登録する場合について説明した。
【0064】
しかし、無線アクセスポイントの現在位置取得部16としてGPS16aを搭載していなくても、自無線アクセスポイントの現在の位置情報を取得することが可能である。例えば、無線アクセスポイントの近傍に存在して該無線アクセスポイントに帰属している無線子機から、該無線子機の現在位置情報を返送させ、返送されてきた該無線子機の現在位置情報を、ほぼ当該無線アクセスポイントの現在の位置を示す情報として取得することも可能である。
【0065】
つまり、近年、スマートフォンやタブレットを始めとした無線子機の殆どは、GPSを搭載していることが多くなってきている。したがって、無線アクセスポイントの近傍に位置して帰属した状態にある無線子機から、該無線子機の現在位置に関する情報を、無線アクセスポイントに対して返送させることを容易に実現することができる状況になっている。そして、無線アクセスポイントの近傍に位置する無線子機から返送されてきた該無線子機の現在位置の情報を、当該無線アクセスポイントの現在位置を示す情報と見做すことにより、無線子機から当該無線アクセスポイントの現在の位置情報として取得することが可能になってきている。第3実施形態においては、無線アクセスポイントに帰属している無線子機の現在位置情報を利用して、当該無線アクセスポイントの現在の位置情報を取得し、該現在の位置情報に基づいて、無線アクセスポイントが使用する運用チャネルの選択決定動作を行う場合についてその一例を説明する。
【0066】
(第3実施形態の無線アクセスポイントの構成例)
次に、本発明の第3実施形態に係る無線アクセスポイントの構成例について、
図7を用いて説明する。
図7は、本発明に係る無線アクセスポイントの第3実施形態のブロック構成の一例を示したブロック構成図である。
図7に示す無線アクセスポイント10Bは、制御部11B、無線LAN通信部12、無線WAN通信部13、レーダ情報格納部14、レーダ情報登録テーブル14a、回避チャネル登録部15、現在位置取得部16Bを少なくとも備えて構成されている。ここで、現在位置取得部16Bは、
図1、
図5における現在位置取得部16の場合とは異なり、内部に、帰属子機位置取得部16bを備えている。
【0067】
すなわち、
図7に示す無線アクセスポイント10Bは、
図1の無線アクセスポイント10とは異なり、現在位置取得部16Bの内部には、自無線アクセスポイント10Bの現在の位置を取得するためのGPSを備えていない。その代り、
図7に示す無線アクセスポイント10Bは、前述したように、現在位置取得部16Bの内部に帰属子機位置取得部16bを備えている。帰属子機位置取得部16bは、制御部11Bの制御の下、自無線アクセスポイント10Bの近傍に位置して、自無線アクセスポイント10Bに帰属している無線子機から該無線子機の現在の位置情報を返送させて、返送されてきた該無線子機の現在の位置情報を、自無線アクセスポイント10Bの現在の位置情報として取得する機能を有している。
【0068】
つまり、
図7において、制御部11Bは、
図1の制御部11とは異なり、現在位置取得部16Bの帰属子機位置取得部16bを制御して、無線LAN通信部12に帰属している無線子機から返送されてきた該無線子機の現在の位置情報を、自無線アクセスポイント10Bの現在の位置情報として取得する。その他の処理部に関しては、
図1の無線アクセスポイント10の場合と全く同様であるので、
図1の無線アクセスポイント10の場合と同じ符号を付して、ここでの重複する説明は割愛する。
【0069】
(第3実施形態の無線アクセスポイントの動作例の説明)
次に、
図7に示した無線アクセスポイント10Bが運用チャネルを選択する際の第3実施形態の動作の一例について、
図8フローチャートを参照しながら詳細に説明する。
図8は、
図7に示した無線アクセスポイント10Bが運用チャネルを選択する際の動作の一例を説明するフローチャートであり、本発明の第3実施形態に係る無線アクセスポイント10Bの動作例について示している。
【0070】
図8のフローチャートにおいては、無線アクセスポイント10Bの制御部11Bは、無線アクセスポイント10Bが使用する運用チャネルの選択動作を開始すると(ステップS301)、まず、無線アクセスポイント10Bの無線LAN通信部12に帰属している無線子機が存在しているか否かを確認する(ステップS302)。ここで、無線アクセスポイント10Bの無線LAN通信部12に帰属する無線子機は、すべて、自無線子機の現在の位置情報を取得するGPSを搭載しているものとする。そして、無線アクセスポイント10Bの無線LAN通信部12に帰属する無線子機の現在の位置は、無線アクセスポイント10Bとの無線通信が可能なエリアに存在しているので、無線アクセスポイント10Bの近傍に存在している無線子機の現在の位置を、ほぼ、無線アクセスポイント10Bの現在の位置と見做すことができる。
【0071】
ステップS302において、無線LAN通信部12に帰属している無線子機が存在していなかった場合には(ステップS302のNO)、ステップS311に移行して、運用チャネルの選択決定動作を中止する。(ステップS310)。なぜならば、無線アクセスポイント10Bが固定レーダの無線子リア内に存在しているか否かが不明の状態にあるので、運用チャネルの選択決定を行って、運用チャネルの設定を行うと、固定レーダとの干渉が発生する可能性があるからである。
【0072】
これに対して、無線LAN通信部12に帰属している無線子機が存在していた場合には(ステップS302のNO)、ステップS303に移行して、制御部11Bは、現在位置取得部16Bの帰属子機位置取得部16bを起動して、無線LAN通信部12に帰属している無線子機(帰属子機)に対して、当該帰属子機の現在の位置情報を返送してくることを要求する(ステップS303)。
【0073】
現在位置取得部16Bの帰属子機位置取得部16bが、要求先の帰属子機から当該帰属子機の現在の位置情報を受け取ると、受け取った当該帰属子機の現在の位置情報を、自無線アクセスポイント10Bの現在の位置情報と見做して、制御部11Bに対して送付する。制御部11Bは、帰属子機位置取得部16bから送付されてきた帰属子機の現在の位置情報とレーダ情報登録テーブル14aのエリア情報14a2に登録されている情報とを照合して(ステップS304)、無線アクセスポイント10Bに帰属している当該帰属子機が現在存在している位置を含むエリアが、固定レーダの無線エリアとしてレーダ情報登録テーブル14aのエリア情報14a2に登録されているか否かを確認する(ステップS305)。
【0074】
図8のステップS305以降の各ステップの動作は、第1実施形態として
図4に示したステップS104以降の各ステップとほぼ同様である。すなわち、ステップS305において、無線アクセスポイント10Bに帰属している帰属子機が現在存在している位置を含むエリアが固定レーダの無線エリアとしてレーダ情報登録テーブル14aのエリア情報14a2に登録されていた場合には(ステップS305のYES)、制御部11Bは、当該帰属子機が現在存在している位置を含むエリアがエリア情報14a2として登録されている固定レーダのチャネル情報を、レーダ情報登録テーブル14aのチャネル情報14a3から取り出す。そして、取り出したチャネル情報を、回避チャネル登録部15によって回避チャネルとして登録する(ステップS306)。
【0075】
そして、無線アクセスポイント10Bの制御部11Bは、回避チャネル登録部15により登録された回避チャネルに関しては固定レーダの影響を受けてDFSが動作する可能性があるので、該回避チャネルを除外した無線チャネルの中から使用可能ないずれかの無線チャネルを選択して運用チャネルとして決定する(ステップS307)。
【0076】
また、無線アクセスポイント10Bに帰属している帰属子機が現在存在している位置を含むエリアがエリア情報14a2として登録されていなかった場合は(ステップS305のNO)、次に、運用チャネルの選択決定動作に先立って、回避チャネル登録部15により回避チャネルが既に登録済みになっているか否かを確認する(ステップS308)。回避チャネルが登録済みではなかった場合には(ステップS308のNO)、ステップS310に移行して、使用可能な無線チャネルの中からいずれかの無線チャネルを選択して、運用チャネルとして決定する(ステップS310)。
【0077】
一方、回避チャネル登録部15によって回避チャネルが既に登録済みであった場合には(ステップS308のYES)、無線アクセスポイント10Bに帰属している帰属子機が現在存在している位置は、登録済みになっていた回避チャネルに該当する無線チャネルを使用している固定レーダのエリアからは既に離れた位置まで移動しているものと判断して、登録済みになっていた回避チャネルを削除する(ステップS309)。しかる後、ステップS310に移行して、使用可能な無線チャネルの中からいずれかの無線チャネルを選択して、運用チャネルとして決定する(ステップS310)。
【0078】
なお、ステップS310においては、第1実施形態の
図4の場合と同様、いずれかの無線チャネルを選択して、運用チャネルとして決定する動作を実行する前に、無線LAN通信部12に対して既に帰属して通信中の状態にある無線子機が存在しているか否かを確認して、存在していた場合には、運用チャネルの選択決定動作を中止するようにしても良い。
【0079】
本第3実施形態において以上のような動作を行うことにより、第1実施形態や第2実施形態とは異なり、GPSを無線アクセスポイント10Bに備えていない場合であっても、無線アクセスポイント10Bに帰属している無線子機(帰属子機)の現在の位置情報を取得することにより、取得した帰属子機の現在の位置情報が、無線アクセスポイント10Bの現在の位置を示す情報と見做して、無線アクセスポイント10Bの制御部11Bは、動的に、運用チャネルの選択決定動作を行い、決定した運用チャネルを設定する(運用チャネルを変更する)ことができる。
【0080】
以上、本発明の好適な実施形態の構成を説明した。しかし、かかる実施形態は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であることが、当業者には容易に理解できよう。