【実施例】
【0023】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0024】
本実施例は、握柄体1の先端部に、底面部3と左右両側面部4と後面部5とを備え、上部及び前面部が開口する掬い部2が設けられて成り、この掬い部2で例えば側溝内に溜まった泥や砂などの堆積物を掬い取る鋤簾である。
【0025】
以下、本実施例に係る構成各部について詳述する。
【0026】
握柄体1は、一本の金属製(本実施例ではアルミニウム製)のパイプ部材からなる構成とされ、先端部の掬い部2が取り付けられる取り付け部1aの掬い部2と当接する位置には、上下方向にリベットやネジ(ボルト)などの固定部材7を挿通配設する複数の通孔(図示省略)が設けられている。
【0027】
具体的には、本実施例の握柄体1は、図示するように取り付け部1aとなる部分が握柄体1の他の部分に比べてパイプ材が潰れない程度の角度(約10°〜15°)で折り曲げられており、この握柄体1全体に対して傾斜している取り付け部1aを掬い部2の後面部5の外側面に沿設状態に固定することで、掬い部2が水平状態にあるときに握柄体1が前傾状態になる、言い換えると、握柄体1を上下方向に真っ直ぐに持った際に掬い部2の先端部側が上方に上がり傾斜した状態になって、掬い取った泥や砂などが掬い部2からこぼれ落ちにくくなるように構成されている。
【0028】
なお、握柄体1は、上述の構成に限定されるものではなく、例えば、取り付け部1aのみを金属製のパイプ部材からなる構成とし、他の部分を別部材、例えば、木製や合成樹脂製の部材で形成し、これを取り付け部1aに差込み連結してなる構成としても良い。
【0029】
また、掬い部2は、底面部3と左右両側面部4と後面部5とを備え、上部及び前面部が開口する平面視ほぼ方形状の箱状体に形成され、前述した握柄体1の取り付け部1aにリベットやネジなどの固定部材7(本実施例においてはリベット7を採用)を用いて止着固定されている。なお、止着固定方法は前記の固定部材7を用いた方法に限らず、例えば溶接により止着固定しても良い。
【0030】
具体的には、本実施例の掬い部2は、握柄体1と同様、アルミニウム製であり、詳しくは、一枚のアルミニウム板材により折曲形成されている。
【0031】
また、掬い部2は、底面部3、左右両側面部4及び後面部5の夫々に泥や砂などと一緒に掬い取った水を排出する複数の水抜き孔8が設けられている。
【0032】
具体的には、本実施例の掬い部2は、図示するように、底面部3の後面側、底面部3と後面部5との折り曲げ境界部、左右両側面部4及び後面部5の上部側に夫々適宜な数の水抜き孔8が設けられている。
【0033】
また、本実施例の掬い部2は、後面部5に握柄体1の取り付け部1aの左右両方向に当接状態に配設される挟込板部6が後方に向けて突設されており、本実施例は、握柄体1の取り付け部1aをこの掬い部2に取り付ける際、この挟込板部6により取り付け部1aを掬い部2に対して容易に位置決めすることができ、スムーズに取り付け作業を行うことができるように構成されている。
【0034】
具体的には、この挟込板部6は、夫々、平板状に形成され、水平状態で取り付け部1aの外径寸法と同等の間隔をおいて掬い部2の後面部5の外側面に左右方向に並設されている。
【0035】
より具体的には、本実施例の挟込板部6は、図示するように、後面部5の上縁部にこの後面部5と一体に後方水平方向に折り曲げ形成されており、この後面部5の上縁部に一体に設けた挟込板部6が補強桟となって後面部5が補強され、掬い部2が変形しにくい構成とされている。
【0036】
また、本実施例の掬い部2は、図示するように、掬い部2の左右両側の底縁部9、言い換えると底面部3と左右両側面部4との折り曲げ境界部9が夫々R形状に形成されており、側溝内を移動させる際に、掬い部2が側溝内面に引っ掛かりにくく、この側溝内面に沿ってスムーズに移動させることができるように構成されている。
【0037】
またさらに、本実施例の掬い部2は、後面部5に補強板10が設けられている。
【0038】
具体的には、補強板10は、側面部4の後面部に一体的に連設形成され、後面部5側に折曲され、後面部5の外側面に重合配設されている。
【0039】
すなわち、本実施例の掬い部2は、握柄体1が止着固定され、使用時に最も負荷がかかり変形する可能性が高い後面部5が、前述した挟込板部6と共にこの補強板10により補強されて、変形しにくい構成とされている。
【0040】
また、本実施例は、前述した補強板10が、掬い部2を保形するための連結代とされており、この左右両側面部4と一体の補強板10を後面部5に重ね合わせ、リベットやネジなどの固定部材で固定することで、前述のとおり後面部5がこの補強板10により補強されると共に、左右両側面部4が後面部5に固定され、底面部3、左右両側面部4及び後面部5が一体化され展開不能になって、掬い部2が保形されている。
【0041】
さらに、本実施例の掬い部2は、図示するように、後面部5の側縁に係止爪11が設けられ、左右両側面部4とこれに連設形成される補強板10との境界部となる折り曲げ部に前記係止爪11が差し込まれる爪差込み孔12が設けられ、補強板10を後面部5側に折り曲げこの後面部5に重合配設することにより係止爪11が爪差込み孔12に嵌り込み、これにより、左右両側面部4と後面部5との上下方向の位置ずれが防止され、水分を含んだ重い泥などを掬い取り負荷がかかった場合でも、掬い部2の面部同士の境界部での位置ずれが生じたり掬い部2が変形することが防止されるように構成されている。
【0042】
以上のように構成される本実施例の作用効果について以下に説明する。
【0043】
本実施例は、握柄体1の掬い部2に止着固定される取り付け部1aがパイプ形状を保持したままの状態で掬い部2に取り付けられているから、握柄体1の強度が低下することがなく、使用中に握柄体1が折れ曲がってしまう不具合が生じることがない耐久性に優れた鋤簾となる。
【0044】
また、本実施例は、掬い部2に、握柄体1の取り付け部1aをこの掬い部2の後面部5の所定の取り付け位置に位置決めする挟込板部6が設けられているから、取り付け部1aがパイプ状のままでも容易に位置決めでき、止着固定作業が容易になる生産性に優れた鋤簾となる。
【0045】
しかも、本実施例は、この挟込板部6が取り付け部1aの左右方向から当接しているから、この挟込板部6の押さえ付け効果により握柄体1(取り付け部1a)の掬い部2(後面部5)に対する止着固定状態が一層強化される。
【0046】
さらに、本実施例は、この挟込板部6が掬い部2の後面部5と一体に形成され、この後面部5の上縁部から折り曲げ形成されているから、この挟込板部6が後面部5の補強桟となり、後面部5の耐久性が向上する。
【0047】
しかも、本実施例の掬い部2は、後面部5にさらに左右両側面部4と一体の補強板10が重合配設されるとともに、後面部5の係止爪11が左右両側面部4の爪差込み孔12に差込み係止しているから、左右両側面部4と後面部5との間に上下方向の位置ずれが生じにくく、前述した挟込板部6と相俟って優れた耐久性を備えるものとなり、変形しにくい実用性に優れた鋤簾となる。
【0048】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。