(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明で用いる成分(A)は、アミノ酸で処理された無機着色顔料である。
処理される無機着色顔料としては、通常の化粧料に用いられるものであればいずれでも良く、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、黄酸化鉄、ベンガラ、黒酸化鉄、紺青、群青、酸化クロム、水酸化クロム等の金属酸化物;マンガンバイオレット、チタン酸コバルト等の金属錯体;カーボンブラックなどが挙げられる。
これらのうち、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、酸化チタン、酸化亜鉛、黄酸化鉄、ベンガラ、黒酸化鉄から選ばれる1種又は2種以上がより好ましい。
【0009】
無機着色顔料を処理するアミノ酸としては、例えば、プロリン、ヒドロキシプロリン、アラニン、グリシン、サルコシン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸等が挙げられ、及びそれらの塩が含まれる。また、これらアミノ酸の誘導体、及びそれらの塩であっても良く、アシル化アミノ酸、及びそれらの塩等が挙げられる。
アシル化アミノ酸のアシル基を構成する脂肪酸は、炭素数1〜23の脂肪酸が好ましく、炭素数8〜20の脂肪酸がより好ましく、なかでも、ジラウロイルグルタミン酸、ステアロイルグルタミン酸、ラウロイルアスパラギン酸、ラウロイルリジン、ココイルグルタミン酸がさらに好ましい。
また、いくつかの実施態様では、Na、Ca、Al、Mg、Zn、Zr、Ti塩が挙げられる。
具体的には、肌へのなじみに優れ、塗布後の仕上りの青白さ、厚ぼったさ、粉っぽさを抑制する点から、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa、ステアロイルグルタミン酸2Na、ラウロイルアスパラギン酸Na、ラウロイルリジンで処理されたものが好ましい。
【0010】
無機着色顔料をアミノ酸で処理するには、通常の方法により行うことができる。
【0011】
成分(A)の無機着色顔料中のアミノ酸の処理量は、使用感や塗布後の仕上がりに優れる点から、0.1〜20質量%が好ましく、0.3〜6質量%がより好ましく、0.5〜4質量%がさらに好ましい。
【0012】
成分(A)は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、肌へのなじみに優れ、塗布後の仕上りの青白さ、厚ぼったさ、粉っぽさを抑制する点から、全組成中に0.1質量%以上であり、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、30質量%以下であり、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。また、成分(A)の含有量は、全組成中に0.1〜30質量%であり、1〜20質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。
【0013】
本発明で用いる成分(B)のフッ素変性シリコーン油としては、通常の化粧料に用いられるものであればいずれでも良く、例えば、下記一般式(1)〜(4)で表される構造単位の1以上と、下記一般式(5)で表される構造単位とを有するものを挙げることができる。
【0015】
[式中、R
f1及びR
f2 は、同一又は異なって、炭素数1〜20の直鎖若しくは分岐鎖のパーフルオロアルキル基又は次式:H(CF
2)
t−(tは1〜20の整数を示す)で表されるω−H−パーフルオロアルキル基を示し;R
11 、R
14 及びR
15 は、同一又は異なって、炭素数1〜20の直鎖若しくは分岐鎖の脂肪族炭化水素基又は炭素数5〜10の脂環式若しくは芳香族炭化水素基を示し;R
12 は、水素原子、炭素数1〜20の直鎖若しくは分岐鎖の脂肪族炭化水素基、炭素数5〜10の脂環式若しくは芳香族炭化水素基、炭素数1〜20のパーフルオロアルキル基又は次式:H(CF
2)
t−(tは1〜20の整数を示す)で表されるω−H−パーフルオロアルキル基を示し;R
13 は、炭素数2〜6の2価の炭化水素基を示し;X及びYは、単結合、−CO−又は炭素数1〜6の2価の炭化水素基を示し;sは2〜16の数を示し、t及びuはそれぞれ1〜16の数を示し、vは0〜20の数を示し、wは0〜200の数を示し、pは1〜200の数を示す]
【0016】
一般式(1)〜(5)で表される構造単位において、R
f1 及びR
f2 で示されるパーフルオロアルキル基としては、直鎖及び分岐鎖のいずれのものも用いることができ、例えば、CF
3−、C
2F
5−、C
4F
9−、C
6F
13−、C
8F
17−、C
10F
21−、H(CF
2)
2−、H(CF
2)
4−、H(CF
2)
6−、H(CF
2)
8−、(C
3F
7)C(CF
3)
2−等を挙げることができる。また、H(CF
2)
t−におけるtとしては、6〜20の整数が好ましい。
【0017】
R
11 、R
14 及びR
15 で示される炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の直鎖アルキル基;イソプロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ネオペンチル基、1−エチルプロピル基、2−エチルヘキシル基等の分岐鎖アルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基;フェニルナフチル基等の芳香族炭化水素基等を挙げることができる。また、R
13 で示される2価の炭化水素基としては、炭素数2〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基が好ましく、エチレン基、プロピレン基がより好ましい。
【0018】
このような構造単位を有するフッ素変性シリコーン油の好ましい例としては、一般式(2)及び一般式(5)で表される構造単位を有する、特開平5−247214号公報に記載された重合度2〜200のフッ素変性シリコーン油、市販品である旭硝子社製のFSL−300、FSL−400、信越化学工業社製のX−22−819、X−22−820、X−22−821、X−22−822、FL−100、東レダウコーニングシリコーン社製のFS1265等を挙げることができる。
【0019】
また、フッ素変性シリコーン油としては、下記一般式(6)及び(7)
【0021】
(式中、R
f3 は炭素数6の直鎖又は分岐鎖のパーフルオロアルキル基を示し、R
21、R
22及びR
23は、同一又は異なって、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示し、xは2〜6の数を示し、yは1〜6の数を示し、p1は3〜50の数を示し、p2は1〜5の数を示す)
で表されるポリシロキサン単位を有するものが好ましい。
【0022】
一般式(6)及び(7)中、R
21 、R
22 及びR
23 で示されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の直鎖アルキル基;イソプロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ネオペンチル基、1−エチルプロピル基等の分岐鎖アルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル等の環状アルキル基などが挙げられる。
【0023】
また、xは2〜6の数を示し、好ましくは2〜5、より好ましくは3である。yは1〜6の数を示し、好ましくは1〜4、より好ましくは2である。
p1は3〜50の数を示し、好ましくは3〜10、より好ましくは3〜6である。p2は1〜5の数を示し、好ましくは1〜3、より好ましくは1である。
【0024】
また、p1及びp2の割合、すなわち、一般式(6)で表されるポリシロキサン単位p1の、一般式(6)及び(7)で表されるポリシロキサン単位の合計、p1+p2に対する変性率は、使用感や化粧持ちに優れ、外観のムラが起こりにくく、化粧料を塗布した後の塗布ムラを起こりにくくする点から、0.66≦p1/(p1+p2)≦0.9が好ましく、0.75≦p1/(p1+p2)≦0.83がより好ましい。
【0025】
このようなフッ素変性シリコーン油は、例えば、特開平6−184312号公報に記載の方法に従って、製造することができる。
また、前記一般式(6)及び(7)で表されるポリシロキサン単位のみからなるフッ素変性シリコーン油がより好ましく、次の一般式(8)で表されるものがさらに好ましい。
【0027】
(式中、p1及びp2は、一般式(6)及び(7)と同じ意味を示し、qは5の数を示す)
本発明で用いられる成分(B)は、25℃で液状、ガム状、ペースト状のいずれでも良いが、塗布後の仕上りが自然であって、青白さ、厚ぼったさ、粉っぽさを抑制する点から、液状のものが好ましい。
【0028】
成分(B)は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、塗布後の仕上がりや化粧もちに優れる点から、全組成中に0.1質量%以上であり、0.3質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、40質量%以下であり、25質量%以下が好ましく、12質量%以下がより好ましい。また、成分(B)の含有量は、全組成中に0.1〜40質量%であり、0.3〜25質量%が好ましく、0.5〜12質量%がより好ましい。
【0029】
本発明において、成分(B)に対する成分(A)の質量割合(A)/(B)は、塗布中むらなく伸び広がり、塗布直後の肌へのなじみが良く、密着感に優れ、塗布直後の仕上がりの青白さ、厚ぼったさ、粉っぽさを抑制し、自然な仕上がりで、しかも、化粧崩れに優れる点から、0.3以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、1以上がさらに好ましく、50以下が好ましく、30以下がより好ましく、15以下がさらに好ましい。また、成分(B)に対する成分(A)の質量割合(A)/(B)は、0.3〜50が好ましく、0.5〜30がより好ましく、1〜15がさらに好ましい。
【0030】
成分(C)は、疎水化処理された無機体質顔料である。
処理される無機体質顔料としては、通常の化粧料に用いられるものであればいずれでも良く、例えば、タルク、マイカ、金雲母、合成金雲母、セリサイト、カオリン、ベントナイト、バーミキュライト、ヘクトライト、ゼオライト、シリカ、アルミナ、ハイジライト、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素、硫酸バリウム処理マイカ等が挙げられる。これらのうち、塗布中むらなく伸び広がり、塗布直後の肌へのなじみに優れる点から、タルク、マイカ、金雲母、合成金雲母が好ましく、少なくとも合成金雲母を含むことがより好ましい。
【0031】
合成金雲母としては、例えば、無水ケイ酸、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、ケイフッ化カリウムを混合・溶融後、結晶を晶出させ、粉砕、熱処理して得られるものが挙げられる。
合成金雲母の形状は薄片状であるのが好ましく、平均粒子径は、肌への密着性に優れ、肌の皮溝及び皮丘にしっかりと均一な皮膜を形成しやすく、シミ・そばかすのカバー力に優れ、効果が長時間持続する点から、5〜100μmが好ましく、5〜40μmがより好ましい。また、アスペクト比は、15〜120のものが好ましく、20〜80がより好ましい。
【0032】
本発明において、平均粒子径は、電子顕微鏡観察、レーザー回折/散乱法による粒度分布測定機によって、測定される。具体的には、レーザー回折/散乱法の場合、エタノールを分散媒として、レーザー回折散乱式粒度分布測定器(例えば、堀場製作所社製、LA−920)で測定し、50%メジアン径を平均粒子径とする。厚さは、原子間力顕微鏡により基準面との差を測定し、相加平均したものを平均厚さとする。
また、アスペクト比は、平均粒子径と平均厚さとの比により計算されるものであり、アスペクト比=(平均粒子径/平均厚さ)で定義される。
【0033】
このような合成金雲母は、上述した製法により製造して用いることができ、また、市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、トピー工業社製、PDM−1000(平均粒子径12μm、アスペクト比20)、PDM−5L(平均粒子径6μm、アスペクト比40)、PDM−10L(平均粒子径12μm、アスペクト比60)、PDM−20L(平均粒子径20μm、アスペクト比70)、PDM−40L(平均粒子径40μm、アスペクト比80)、PDM−NFES(平均粒子径5μm、アスペクト比40)等を用いることができる。
【0034】
これらの無機体質顔料の疎水化処理としては、通常の化粧料用粉体に施されている処理であれば制限されず、フッ素化合物処理、シリコーン化合物処理、金属石鹸処理、アミノ酸系化合物処理、レシチン処理、アルキルシラン処理、油剤処理、有機チタネート処理、PVP変性ポリマー処理、界面活性剤処理等が挙げられる。
これらのうち、フッ素化合物処理、シリコーン化合物処理が好ましく、より具体的には、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロポリエーテルアルキルリン酸、パーフルオロアルキルアルコキシシラン、フッ素変性シリコーン等のフッ素系化合物;ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、環状シリコーン、片末端又は両末端トリアルコキシ基変性オルガノポリシロキサン、高重合シリコーン、架橋型シリコーン、シリコーン樹脂、フッ素変性シリコーン樹脂、アクリル変性シリコーン等のシリコーン化合物などの処理が挙げられる。
【0035】
無機体質顔料の疎水化処理は、通常の方法により行えば良く、例えば、乾式処理、湿式処理することにより、疎水化処理された無機体質顔料を得ることができる。
【0036】
成分(C)の無機体質顔料中の疎水化処理量は、むらづきを抑え、化粧のりが良く、使用感に優れる点から、0.01〜20質量%が好ましく、0.1〜15質量%がより好ましく、0.3〜10質量%がさらに好ましい。
【0037】
成分(C)は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、含有量は、むらづきを抑え、化粧のりが良く、使用感に優れる点から、全組成中1質量%が好ましく、2質量%以上がより好ましく、4質量%以上がさらに好ましく、80質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。また、成分(C)の含有量は、全組成中に1〜80質量%が好ましく、2〜40質量%がより好ましく、4〜15質量%がさらに好ましい。
【0038】
本発明において、成分(C)に対する成分(A)の質量割合(A)/(C)は、塗布中むらなく伸び広がり、塗布直後の肌へのなじみが良く、密着感に優れ、塗布直後の仕上がりの青白さ、厚ぼったさ、粉っぽさを抑制する点から、0.1以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、0.8以上がさらに好ましく、30以下が好ましく、10以下がより好ましく、2以下がさらに好ましい。また、成分(C)に対する成分(A)の質量割合(A)/(C)は、0.1〜30が好ましく、0.5〜10がより好ましく、0.8〜2がさらに好ましい。
【0039】
本発明の化粧料は、さらに、揮発性シリコーン油を含有することができる。揮発性とは、35〜87℃の引火点を有するものである。
かかる揮発性シリコーン油としては、通常の化粧料に用いられるものであれば制限されず、例えば、ジメチルポリシロキサン(1.5cs)、ジメチルポリシロキサン(2cs)等の直鎖状ジメチルポリシロキサン;トリス(トリメチルシリル)メチルシラン、テトラキス(トリメチルシリル)シラン等の分岐状シロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ジメチルシロキサンなどが挙げられる。
なかでも、25℃における粘度が2mPa・s以下のものがより好ましく、ジメチルポリシロキサン(1.5cs)、ジメチルポリシロキサン(2cs)等の直鎖状ジメチルポリシロキサンがさらに好ましい。
【0040】
揮発性シリコーン油は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、含有量は、成分(A)と成分(C)の分散性に優れる点から、全組成中5質量%が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上がさらに好ましく、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましい。また、揮発性シリコーン油の含有量は、全組成中に5〜50質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましく、15〜30質量%がさらに好ましい。
【0041】
本発明において、水を含有する場合の含有量は、全組成中に5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上がさらに好ましく、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、35質量%以下がさらに好ましい。また、本発明において、水の含有量は、全組成中に5〜50質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましく、15〜35質量%がさらに好ましい。
【0042】
本発明の化粧料は、前記成分以外に、通常化粧料に用いられる成分、例えば、前記以外の粉体、前記以外の油成分、界面活性剤、顔料、水溶性高分子、酸化防止剤、香料、色素、防腐剤、増粘剤、pH調整剤、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤、保湿剤、清涼剤等を含有することができる。
【0043】
本発明の化粧料は、通常の方法に従って製造することができ、液状、乳液液、ペースト状、クリーム状、ジェル状、固形状等の剤型にすることができ、油中水型乳化化粧料として好適である。
また、本発明の化粧料は、化粧下地、ファンデーション、コンシーラー;ほお紅、アイシャドウ、マスカラ、アイライナー、アイブロウ、オーバーコート剤、口紅等のメイクアップ化粧料;日やけ止め乳液、日焼け止めクリーム等の紫外線防御化粧料;スキンケア乳液、スキンケアクリーム、BBクリーム、美容液等のスキンケア化粧料などとして適用することができる。なかでも、メイクアップ化粧料が好ましく、化粧下地、リキッドファンデーション、クリームファンデーションがより好ましい。
【実施例】
【0044】
製造例1(フッ素変性シリコーン油1)
【化4】
【0045】
C
6F
13−CH
2CH
2−O−CH
2CH=CH
2 の合成:
温度計、冷却管を備えた2Lの四つ口フラスコに、FA-6 (ユニマッテク社製)800g(2.2mol)と粒状NaOH(和光純薬社製)175.78g(4.4mol)を加えた。窒素雰囲気下で、テフロン(登録商標)製12cm三日月攪拌翼にて200rpmにて攪拌しながら、加熱し、フラスコ内温度を60℃とした。そこへ臭化アリル(和光純薬社製)398.73g(3.3mol)を2時間かけて滴下した。滴下終了後70℃で1時間、80℃で1時間撹拌した。その後130℃に昇温し、過剰の臭化アリルを除去した。60℃まで冷却後、イオン交換水800gを入れ、30分間攪拌、その後静置して分層させた。上層の水層を抜き出し、さらにイオン交換水800gを入れ、再度攪拌、静置、水層除去を行った。60℃/5KPaにて脱水し、100℃/2KPaにて蒸留し、留分として、C
6F
13−CH
2CH
2−O−CH
2CH=CH
2 774.9gを得た(収率88%)。
【0046】
温度計を備えた300mLの四つ口フラスコに、下式で表されるハイドロジェンポリシロキサン(信越化学社製)52.89g(111mmol)を加え、窒素雰囲気下、テフロン(登録商標)製8cm三日月翼にて200rpmで攪拌し、2質量%塩化白金酸6水和物/イソプロピルアルコール0.66gを加え、110℃に昇温した。
【0047】
【化5】
【0048】
C
6F
13−CH
2CH
2−O−CH
2CH=CH
2 197.11g(488mmol)を2時間で滴下した。滴下終了後、110℃で2時間撹拌した。その後、70℃まで下げた。0.1%NaOH溶液25.07gを加え、2時間攪拌した。60℃/5KPaにて脱水し、脱水終了後、同温度にてカルボラフィン3(日本エンバイロケミカルズ社製)2.51gを加え、2時間攪拌した。0.1μm PTFEメンブランフィルターにてろ過し、ろ液を100℃/5KPa、水62.5gを用いて水蒸気蒸留し、目的のフッ素変性シリコーン油 206.3gを得た(収率89%)。
【0049】
製造例2(フッ素変性シリコーン油2)
【化6】
【0050】
冷却管及び磁気攪拌子を備えた100mLの二つ口フラスコに、窒素雰囲気下、トルエン20mL、ハイドロジェンポリシロキサン(MD
2D
2M
H)(東芝シリコーン社製)8.0g(18.6mmol)、C
6F
13−CH
2CH
2−O−CH
2CH=CH
2 18.0g(44.7mmol)、塩化白金酸の2%イソプロピルアルコール溶液29μL(0.89×10
-3mmol)を加え、110℃で4時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、活性炭1.0gを加え室温で1時間攪拌した後、活性炭を濾別し、溶媒を留去した。未反応の化合物を減圧留去し、目的のフッ素変性シリコーン油 20.3gを無色透明の油状物として得た(収率87%)。
【0051】
実施例1〜9及び比較例1〜3
表1に示す組成の油中水型乳化ファンデーションを製造し、塗布直後の肌へのなじみ、塗布時の肌への密着感、塗布中のむらのない伸び広がり、塗布直後の青白くない仕上がり、塗布直後の厚ぼったくない仕上がり、塗布直後の粉っぽくない仕上がり及び化粧崩れしにくさについて評価した。結果を表1に併せて示す。
【0052】
(製造方法)
成分(A)及び(C)を含むすべての粉体成分を混合粉砕し、別途混合した成分(B)を含む油成分に添加してディスパーで分散した。その後、水成分を添加し、ディスパーで分散後、ホモミキサーで撹拌することにより、油中水型乳化ファンデーションを得た。
【0053】
(評価方法)
5名の専門パネラーが、各油中水型乳化ファンデーションを肌に塗布したとき、塗布直後の肌へのなじみ、塗布時の肌への密着感、塗布中のむらのない伸び広がり、塗布直後の青白くない仕上がり、塗布直後の厚ぼったくない仕上がり、塗布直後の粉っぽくない仕上がり及び化粧崩れしにくさについて、以下の基準で評価した。結果を、5名の積算値で示した。
【0054】
(1)塗布直後の肌へのなじみ:
5;肌へのなじみがかなり良い。
4;肌へのなじみが良い。
3;肌へのなじみがやや良い。
2;肌へのなじみがあまり良くない。
1;肌へのなじみが悪い。
【0055】
(2)塗布時の肌への密着感:
5;肌への密着性がかなりある
4;肌への密着性がある。
3;肌への密着性がややある。
2;肌への密着性があまりない。
1;肌への密着性がない。
【0056】
(3)塗布中のむらのない伸び広がり:
5;むらがなく伸び広がる。
4;あまりむらがなく伸び広がる。
3;ややむらに伸び広がる。
2;むらに伸び広がる。
1;かなりむらに伸び広がる。
【0057】
(4)塗布直後の青白くない仕上がり:
5;仕上りの青白さが全くない。
4;仕上りの青白さがない。
3;仕上りの青白さがあまりない。
2;仕上りの青白さがややある。
1;仕上りの青白さがかなりある。
【0058】
(5)塗布直後の厚ぼったくない仕上がり:
5;仕上りの厚ぼったさが全くない。
4;仕上りの厚ぼったさがない。
3;仕上りの厚ぼったさがあまりない。
2;仕上りの厚ぼったさがややある。
1;仕上りの厚ぼったさがかなりある。
【0059】
(6)塗布直後の粉っぽくない仕上がり:
5;仕上りの粉っぽさが全くない。
4;仕上りの粉っぽさがない。
3;仕上りの粉っぽさがあまりない。
2;仕上りの粉っぽさがややある。
1;仕上りの粉っぽさがかなりある。
【0060】
(7)化粧崩れしにくさ:
5;化粧崩れが全くない。
4;化粧崩れがない。
3;化粧崩れがあまりない。
2;化粧崩れがややある。
1;化粧崩れがかなりある。
【0061】
【表1】
【0062】
実施例10(リキッドファンデーション)
表2に示す組成の油中水型乳化化粧料(リキッドファンデーション)を製造した。
得られた油中水型乳化化粧料(リキッドファンデーション)は、塗布中、むらなく伸び広がり、塗布直後の肌へのなじみが良く、密着感を感じ、塗布直後の仕上がりが、青白くなく、厚ぼったくなく、粉っぽさがなく、自然な仕上がりで、しかも、化粧崩れしにくいものである。
【0063】
(製造方法)
成分(A)及び(C)を含むすべての粉体成分を混合粉砕し、別途混合した成分(B)を含む油成分に添加してディスパーで分散した。その後、水成分を添加し、ディスパーで分散後、ホモミキサーで撹拌することにより、油中水型乳化ファンデーションを得た。
【0064】
【表2】