特許第6875101号(P6875101)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6875101
(24)【登録日】2021年4月26日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】ポンプディスペンサー付き袋容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/00 20060101AFI20210510BHJP
   B65D 33/38 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   B65D83/00 K
   B65D33/38
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-215673(P2016-215673)
(22)【出願日】2016年11月2日
(65)【公開番号】特開2018-70253(P2018-70253A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2019年9月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 真司
【審査官】 ▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−101525(JP,A)
【文献】 実開平07−026348(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3066831(JP,U)
【文献】 特開2002−179169(JP,A)
【文献】 特開2016−003055(JP,A)
【文献】 特開2009−057055(JP,A)
【文献】 特開2014−122067(JP,A)
【文献】 特開2002−347867(JP,A)
【文献】 特開2008−230618(JP,A)
【文献】 特開2008−213909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00、83/08−83/76
B65D 30/00−33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面シート、背面シート、天面シート、及び底面シートを含んで形成される袋本体と、該袋本体の天面シートによる天面部に取り付けられた口具及びポンプディスペンサーとを備えるポンプディスペンサー付き袋容器であって、
前記底面シートは、2つ折りされて前記正面シートと前記背面シートとの間に挟み込まれた状態から広げられることにより、前記袋本体の底面部を形成するようになっており、
前記ポンプディスペンサーは、空気置換を行わせる機構は設けられておらず、前記底面シートに向けて延設する吸上げ筒部を備えており、該吸上げ筒部は、前記底面シートが2つ折りされた状態で、先端開口部を前記底面シートの折幅の範囲内に位置させる長さを有しており、
且つ前記天面シートに前記正面シート及び前記背面シートの一部が密着している状態で、前記吸上げ筒部は、前記先端開口部を前記底面シートの折幅の範囲内に位置させる長さを有しているポンプディスペンサー付き袋容器。
【請求項2】
前記天面シートの縁部が前記正面シート及び前記背面シートの縁部に接合されており、前記底面シートの縁部が前記正面シート及び前記背面シートの縁部に接合されていることで、前記袋本体が形成されている請求項1記載のポンプディスペンサー付き袋容器。
【請求項3】
載置面に載置される底板部と、該底板部から縦方向に立設して設けられた立設部と、該立設部の上端部から横方向に張り出して設けられた張出し係止部を備える容器ホルダーの前記張出し係止部に、前記口具を係止して、吊り下げた状態で用いられる請求項1又は2記載のポンプディスペンサー付き袋容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプディスペンサー付き袋容器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばシャンプー液、リンス液、化粧液、薬剤等の液体状の内容物を収容すると共に、収容された内容物を吸い出すポンプディスペンサーを取り付けて使用される容器が知られている。また、このようなポンプディスペンサー付き容器として、容器本体がプラスチック製やガラス製の硬質の容器からなるものに代えて、樹脂製のシート材料を用いて形成された袋状の容器本体を用いたポンプディスペンサー付き袋容器も知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
また、ポンプディスペンサー付き袋容器の場合、袋状の容器本体は、軟質の柔らかいシート材料を用いて形成されており、容器本体によって、ポンプディスペンサーを操作する際の押し下げ力を支持できないことから、ポンプディスペンサーの吸入口に、袋状の容器本体の底部まで延設する棒状の筒部を設けて、つっかい棒のように機能させたり(例えば、特許文献1参照)、袋容器を、底板部と、底板部から立設して設けられた立設部と、立設部の上端部から張り出して設けられた張出し係止部とを備える容器ホルダーから吊り下げて、この容器ホルダーによって押し下げ力を支持させるようにする工夫がなされている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−132463号公報
【特許文献2】実用新案登録第3066831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に記載の発明のように、ポンプディスペンサー付き袋容器を容器ホルダーから吊り下げて用いる場合、内容液が吐出されて行くのに伴って、袋状の容器本体が潰れてゆく際の形状がなり行きまかせとなって安定しないことから、内部に内容液を残留させる空間を生じ易くなって、残量を極力ゼロに近づけることが可能なように、容器本体をきれいに折り畳んでゆくことが困難になる。
【0006】
特に、袋状の容器本体が、正面シート、背面シート、天面シート、及び底面シートを含んで形成されており、底面シートは、2つ折りされて正面シートと背面シートとの間に挟み込まれた状態から広げられることにより、袋本体の底面部を形成するようになっているものであると、例えば天面シートによる天面部に取り付けられた口具を介して吊り下げられた容器本体は、内容液が吐出されて行くのに伴って、底面部が持ち上げられることで、底面部と天面部との間隔が小さくなるため、ポンプディスペンサーから底面シートに向けて延設する筒部の長さが適切でないと、内部に内容液を残留させる空間をさらに生じ易くなる。
【0007】
本発明は、内容液が吐出されて行くのに伴って、袋状の容器本体(袋本体)が潰れてゆく際の形状を安定させて、残量を極力ゼロに近づけることが可能なように、袋本体をきれいに折り畳んでゆくことのできるポンプディスペンサー付き袋容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、正面シート、背面シート、及び底面シートを含んで形成される袋本体と、該袋本体の天面シートによる天面部に取り付けられた口具及びポンプディスペンサーとを備えるポンプディスペンサー付き袋容器であって、前記底面シートは、2つ折りされて前記正面シートと前記背面シートとの間に挟み込まれた状態から広げられることにより、前記袋本体の底面部を形成するようになっており、前記ポンプディスペンサーは、前記底面シートに向けて延設する吸上げ筒部を備えており、該吸上げ筒部は、前記底面シートが2つ折りされた状態で、先端開口部を前記底面シートの折幅の範囲内に位置させる長さを有しているポンプディスペンサー付き袋容器を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のポンプディスペンサー付き袋容器によれば、内容液が吐出されて行くのに伴って、袋本体が潰れてゆく際の形状を安定させて、残量を極力ゼロに近づけることが可能なように、袋本体をきれいに折り畳んでゆくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の好ましい一実施形態に係るポンプディスペンサー付き袋容器の、袋本体の内部を透視して示す内容液が充填された状態の斜視図である。
図2】本発明の好ましい一実施形態に係るポンプディスペンサー付き袋容器の、袋本体の内部を透視して示す底面シートが2つ折りされた状態の斜視図である。
図3】本発明の好ましい一実施形態に係るポンプディスペンサー付き袋容器を容器ホルダーに吊り下げた状態の斜視図である。
図4】容器ホルダーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に示す本発明の好ましい一実施形態に係るポンプディスペンサー付き袋容器10は、内容液として、例えばシャンプー液、リンス液、化粧液、薬剤等を袋本体11に充填した状態で収容すると共に、ポンプディスペンサー20のノズルヘッド(押圧操作部)24を押し下げることにより、所定量の内容液をノズル部24aから吐出させる。本実施形態のポンプディスペンサー付き袋容器10では、ポンプディスペンサー20は、袋本体11の内部との間で空気置換させることなく、内容液を吐出させるようになっており、これによって袋本体11は、内容液が吐出されて減少して行くのに伴って、潰れてゆくことになる(図2参照)。本実施形態のポンプディスペンサー付き袋容器10は、内容液の減少に伴って袋本体11が潰れてゆく際に、袋本体11が安定した状態できれいに折り畳まれるようにすることで、内容液の残量を極力ゼロに近づけることができるようになっている。
【0012】
そして、本実施形態のポンプディスペンサー付き袋容器10は、図1及び図2に示すように、正面シート12、背面シート13、及び底面シート14を含んで形成される袋本体11と、袋本体11の天面シート15による天面部16に取り付けられた口具22及びポンプディスペンサー20とを備える袋容器であって、底面シート14は、2つ折りされて正面シート12と背面シート13との間に挟み込まれた状態から広げられることにより、袋本体11の底面部17を形成するようになっている(図1参照)。ポンプディスペンサー20は、底面シート14に向けて延設する吸引チューブ等からなる吸上げ筒部21を備えており、吸上げ筒部21は、底面シート14が2つ折りされた状態で、先端開口部21aを底面シート14の折幅Bの範囲内に位置させる長さLを有している(図2参照)。
【0013】
また、本実施形態では、広げられた天面シート15に正面シート13及び背面シート13の一部が密着している状態で(図2参照)、吸上げ筒部21は、先端開口部21aを底面シート14の折幅Bの範囲内に位置させる長さLを有している。
【0014】
さらに、本実施形態では、ポンプディスペンサー付き袋容器10は、図3に示すように、載置面に載置される底板部31と、底板部31から縦方向に立設して設けられた立設部32と、立設部32の上端部から横方向に張り出して設けられた張出し係止部33を備える容器ホルダー30の張出し係止部33に、口具22を係止して、吊り下げた状態で用いられるようになっている。
【0015】
本実施形態のポンプディスペンサー付き袋容器10を構成する袋本体11は、図1及び図2に示すように、正面シート12、背面シート13、底面シート14、及び天面シート15を有しており、天面シート15により天面部16が、正面シート12により正面部18が、背面シート13により背面部19が、底面シート14により底面部17が、各々形成されている。袋容器10においては、正面シート12の両側の縁部12a,12aと背面シート13の両側の縁部13a,13aとが接合されており、下端部においては、2つ折りされた底面シート14における両側の縁部14a,14aが、正面シート12の縁部12aと背面シート13の縁部13aとの間に挟まれた状態で一体に接合されている。また、袋容器10の上端部においては、天面シート15における両側の縁部15a,15aが、正面シート12の縁部12aと背面シート13の縁部13aとに一体に接合されている。なお、図1及び図2においては、天面シート15による天面部16に接合された口具22に、ポンプディスペンサー20が取り付けられた状態で示されている。
【0016】
このように、本実施形態におけるポンプディスペンサー付き袋容器10は、天面シート15、正面シート12、背面シート13、及び底面シート14の縁部15a,12a,13a,14aが互いに接合されることによって、内部に内容液を収容する袋本体11が形成されている。各々のシート間の接合には、ヒートシール、超音波シール、高周波シール、接着剤等の各種公知の方法を用いることができるが、ヒートシール、超音波シール等による熱融着が、加工が容易であることや接着剤の使用抑制の観点から好ましい。
【0017】
袋本体11の天面シート15による天面部16には、ポンプディスペンサー20を着脱可能に取り付けるための口具22(一部のみ図示)が設けられている。口具22は、外周面に螺条が形成された円筒状のキャップ装着部(図示せず)と、キャップ装着部の下端から外方に向かって略水平に延出するフランジ部22aとを有しており、キャップ装着部を、天面シート15に設けた貫通孔(図示せず)に挿通させるとともに、天面シート15の下面にフランジ部22aの上面を接合することによって取り付けられている。
【0018】
天面シート15と口具22のフランジ部22aとを接合する方法としては、ヒートシール、超音波シール、高周波シール、接着剤等の各種公知の方法を用いることができるが、ヒートシール、超音波シール等による熱融着が、加工が容易であることや接着剤の使用抑制の観点から好ましい。
【0019】
袋本体11を構成する正面シート12、背面シート13、底面シート14、及び天面シート15は、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂といったポリオレフィン樹脂等からなる合成樹脂製のフィルム材シート、該合成樹脂製のフィルムとアルミニウム等の金属との積層体からなるフィルム材シート、或いは該合成樹脂製のフィルムにアルミニウム等の金属を蒸着したフィルム材シートを用いて形成されている。袋本体11を形成した際の、正面シート12、背面シート13、底面シート14、及び天面シート15の各々の内面は、ポリオレフィン樹脂を主成分とするシーラント層から構成されていることが好ましい。袋本体11を構成するフィルム材シートは、使用資材の抑制やゴミの減容等の観点から、厚さが、好ましくは50μm以上150μm以下、より好ましくは90μm以上120μm以下となっている。
【0020】
袋本体11の収容部に収容される内容液としては、例えばシャンプー液、リンス液、コンディショナー液、化粧液、薬剤、ボディソープ液等を挙げることができる。
【0021】
袋本体11と共に、本実施形態のポンプディスペンサー付き袋容器10を構成するポンプディスペンサー20は、図1及び図2に示すように、ポンプハウジング23内に形成されたポンプ室(図示せず)を、ピストン(図示せず)で拡縮させることによって、吸上げ筒部21からの内容液の吸い込み、及び吸い込んだ内容液のノズルヘッド24のノズル部24aからの吐出を行う、公知のポンプ式の吐出機構を備えている。
【0022】
より詳細に説明すると、ポンプディスペンサー20は、内周面に螺条を有し袋本体11に取り付けた口具22の周囲に螺合させることにより、当該ポンプディスペンサー20を袋本体の天面部16に固定可能な固定用キャップ部25と、ポンプハウジング23と、吸上げ筒部21とを備えている。公知のポンプ式の吐出機構を構成する要素として、ポンプハウジング23と、ポンプハウジング23に往復運動可能に収容され、ポンプハウジング23内に画成されるポンプ室を拡縮可能とするピストン(図示せず)と、ピストンによって圧縮状態にあるポンプ室と連通可能な吐出通路を備えるステム(図示せず)と、ポンプハウジング23の外部に突出するステムの端部に固定され、ステムの吐出通路に連通するノズル部24aを備えたノズルヘッド24(押圧操作部)とを備えている。ポンプディスペンサー20が備える吐出機構では、ノズルヘッド24を押し下げることにより、ステムが往動してピストンが下降すると、そのピストンによって圧縮されたポンプ室内の内容液が、ステム内の吐出通路を経てノズル部24aから吐出される。他方、吐出後に、バネ等の付勢力等によりステムが復動すると、袋本体11の内部の収容部に収容された内容液が、吸上げ筒部21を介して、ポンプハウジング23内の減圧されたポンプ室に吸い込まれる。なお、ポンプハウジング23は、吸上げ筒部21との境界部付近にボール弁を内蔵している。また、本実施形態では、ポンプディスペンサー20には、空気置換を行わせる機構は設けられておらず、内容液が吐出されるのに伴って、袋本体11が潰れてゆくようになっている。
【0023】
このようなポンプディスペンサー20としては、例えば、実開平6−39752号公報に記載のポンプ式吐出容器に用いたものと同様の構成を備えるものを用いることができる。
【0024】
また、本実施形態では、ディスペンサー20が装着される上述の口具22には、固定用キャップ部25の下方に配置されると共に、外側に円環状に張り出して、環状係止ツバ部26が、上下方向に間隔をおいて一対設けられている。これらの環状係止ツバ部26の間の部分を、後述する容器ホルダー30の張出し係止部33のコの字形状に切り欠かれた切欠き係止部34に差し込むようにして、口具22及びポンプディスペンサー20を張出し係止部33に係止させることにより、ポンプディスペンサー付き袋容器10を、容器ホルダー30に吊り下げた状態で保持できるようになっている。
【0025】
そして、本実施形態では、ポンプディスペンサー20は、底面シート14に向けて延設する、吸引チューブ等からなる吸上げ筒部21を備えており、吸上げ筒部21は、上述のように、底面シート14が2つ折りされた状態で(図2参照)、先端開口部21aを底面シート14の折幅Bの範囲内に位置させる長さLを有している。
【0026】
すなわち、本実施形態では、底面シート14は、折幅Bを例えば30〜40mmとして、2つ折りされた状態で、正面シート12と背面シート13との間に挟み込まれて、これらの間に接合されている。また、吸上げ筒部21は、例えば10〜13mm程度の外径を有しており、先端開口部21aを底面シート14の折幅Bの範囲内に位置させる長さLとして、先端開口部21aが、2つ折りされた底面シート14の上端から、好ましくは0mm以上、より好ましくは10mm以上、さらに好ましくは20mm以上、下方に配置されるような長さを有している。さらに、吸上げ筒部21は、先端開口部21aを底面シート14の折幅Bの範囲内に位置させる長さLとして、先端開口部21aが、2つ折りされた底面シート14の下端から、好ましくは0mm以上、より好ましくは10mm以上、さらに好ましくは15mm以上、上方に配置されるような長さを有している。これらによって、内容液が吐出されるのに伴って、底面シート14が元の2つ折りされた状態へ戻り易くなると共に、吸上げ筒部21の先端開口部21aが折幅Bの範囲内に収まり易くなり、且つ袋本体11の正面部18及び背面部19による胴部と底面部17が平坦状に潰れ易くなることで、内容液の残量を極力ゼロに近づけること可能になる。また、吸上げ筒部21の長さが長過ぎると、底面シート14が折り畳まれる時に吸上げ筒部21が底面シート14につっかえることで、正面部18及び背面部19による胴部と底面部17が平坦状に潰れ難くなって、内容液を残留させる空間を生じ易くなる。吸上げ筒部21の長さが短かすぎると、正面部18及び背面部19による胴部と底面部17は平坦状に潰れることが可能であるが、底面シート14の折幅Bの範囲内にある内容液を、吸い上げきれなくなる。
【0027】
本実施形態のポンプディスペンサー付き袋容器10は、図3に示すように、容器ホルダー30の張出し係止部33に、口具22を係止することで、吊り下げた状態として、容器ホルダー30と組み合わせて用いることができる。ポンプディスペンサー付き袋容器10の袋本体11は、軟質の柔らかいシート材料を用いて形成されており、袋本体11は、ポンプディスペンサー20を操作する際の押し下げ力を支持できないが、袋容器10を容器ホルダー30に装着して用いることによって、押し下げ力を支持させることが可能になる。
【0028】
本実施形態では、容器ホルダー30は、図4にも示すように、載置面に載置される底板部31と、底板部31から縦方向に立設して設けられた立設部32と、立設部32の上端部から横方向に張り出して設けられた張出し係止部33とを備えている。張出し係止部33には、張り出し側の先端部を基端部側にコの字形状に切り欠いて、切欠き係止部34が形成されている。この切欠き係止部34に、口具22に設けられた環状係止ツバ部26を差し込むようして係止させることにより、ポンプディスペンサー付き袋容器10を、底面シート14による底面部17を底板部31に近接配置させるか又は接触させた状態で、容器ホルダー30に吊り下げて保持できるようになっている。
【0029】
これによって、ポンプディスペンサー20を操作する際の押し下げ力を、張出し係止部33及び立設部32を介して、載置面に載置された底板部31に伝えることで、安定した状態で支持させることが可能になる。またこれによって、内容液を所定量吐出させる操作を、よりスムーズに且つ容易に行うことが可能になる。
【0030】
本実施形態では、容器ホルダー30には、張出し係止部33の直下部分に配置されて、底部折畳み誘導突リブ35が、底板部31から上方に突出して設けられている。底部折畳み誘導突リブ35は、吊り下げられたポンプディスペンサー付き袋容器10の袋本体11の、底板部31に近接して又は接触して配置された底面シート14による底面部17の中央部分を、上方に押し上げることで、底面部17の底面シート14が折り畳まれるように誘導するようになっている。
【0031】
これによって、内容液が吐出されて行くのに伴って、袋本体11が潰れてゆく際の形状を、より安定させて、底面部17の底面シート14が、さらにきれいに折り畳まれるように誘導することが可能になる。
【0032】
さらに、本実施形態では、袋本体11の底面シート14は、2つ折りされて正面シート12と背面シート13との間に挟み込まれた状態から広げられることにより、袋本体11の底面部17を形成するようになっており、底部折畳み誘導突リブ35は、吊り下げられた袋本体11の底面部17を形成する底面シート14の折れ線14b(図1図2参照)に沿った方向に、横長に形成されている。
【0033】
これによって、内容液が吐出されて行くのに伴って、袋本体11が潰れてゆく際の形状を、より一層安定させて、底面部17の底面シート14が、さらに一層きれいに折り畳まれるように誘導することが可能になる。
【0034】
さらにまた、本実施形態では、底部折畳み誘導突リブ35の上端面35aが、湾曲する形状となるように、好ましくは円弧状に面取りされている。これによって、底部折畳み誘導突リブ35の上端面35aが平坦な状態の場合よりも、底面部17の中央部分をより効果的に上方に押し上げることができ、底面部17の底面シート14を一層きれに折り畳むことが可能になる。
【0035】
そして、上述の構成を備える本実施形態のポンプディスペンサー付き袋容器10によれば、内容液が吐出されて行くのに伴って、袋本体11が潰れてゆく際の形状を安定させて、残量を極力ゼロに近づけることが可能なように、袋本体11をきれいに折り畳んでゆくことが可能になる。
【0036】
すなわち、上述の構成を備える本実施形態のポンプディスペンサー付き袋容器10によれば、ポンプディスペンサー20に設けられて、底面シート14に向けて延設する吸上げ筒部21は、底面シート14が2つ折りされた状態で、先端開口部21aを底面シート14の折幅Bの範囲内に位置させる長さLを有している。これによって、本実施形態によれば、袋本体11が、正面シート12、背面シート13、底面シート14、及び天面シート15を含んで形成されており、底面シート14は、2つ折りされて正面シート12と背面シート13との間に挟み込まれた状態から広げられることによって、袋本体11の底面部17を形成するようになっており、内容液が吐出されて行くのに伴って、例えば天面シート15に正面シート12及び背面シート13の上端部の一部が密着した状態となることで、底面部17が持ち上げられることにより、底面部17と天面部16との間隔が小さくなった場合でも、先端開口部21aは、折幅Bの範囲内に位置する状態を保持することができるので、先端開口部21aを介してポンプディスペンサー20からの内容液の吸い上げ力を、折幅Bの範囲内に効率良く伝えることが可能になり、これによって袋本体11が潰れてゆく際の形状を安定させて、袋本体11をきれいに折り畳んでゆくことが可能になる。またこれによって、内容液の残量を極力ゼロに近づけるようにすることが可能になる。
【0037】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、袋本体は、正面シート、背面シート、天面シート、及び底面シートのみからなるものである必要は必ずしも無く、2つ折りされて、正面シートの側部と背面シートの側部との間に挟み込まれた、側面シートをさらに含んでいても良い。また、本発明のポンプディスペンサー付き袋容器は、底板部と、立設部と、張出し係止部を備える容器ホルダーと組み合わせて用いる必要は必ずしも無い。
【符号の説明】
【0038】
10 ポンプディスペンサー付き袋容器
11 袋本体
12 正面シート
12a 縁部
13 背面シート
13a 縁部
14 底面シート
14a 縁部
14b 折れ線
15 天面シート
15a 縁部
16 天面部
17 底面部
18 正面部
19 背面部
20 ポンプディスペンサー
21 吸上げ筒部
21a 先端開口部
22 口具
22a フランジ部
23 ポンプハウジング
24 ノズルヘッド
24a ノズル部
25 固定用キャップ部25
26 環状係止ツバ部
30 容器ホルダー
31 底板部
32 立設部
33 張出し係止部
34 切欠き係止部
35 底部折畳み誘導突リブ
35a 上端面
B 底面シートの折幅
L 吸上げ筒部の長さ
図1
図2
図3
図4