特許第6875123号(P6875123)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6875123
(24)【登録日】2021年4月26日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】空気ばね及び空気ばね用ゴム座
(51)【国際特許分類】
   F16F 9/05 20060101AFI20210510BHJP
   F16F 9/54 20060101ALI20210510BHJP
   F16J 15/10 20060101ALI20210510BHJP
   F16J 3/02 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   F16F9/05
   F16F9/54
   F16J15/10 Z
   F16J3/02 C
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-254633(P2016-254633)
(22)【出願日】2016年12月28日
(65)【公開番号】特開2018-105465(P2018-105465A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年8月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106024
【弁理士】
【氏名又は名称】稗苗 秀三
(74)【代理人】
【識別番号】100167841
【弁理士】
【氏名又は名称】小羽根 孝康
(74)【代理人】
【識別番号】100168376
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 清隆
(72)【発明者】
【氏名】坂口 直紀
【審査官】 竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−163423(JP,A)
【文献】 特開2007−127168(JP,A)
【文献】 特開2007−120551(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 9/00−9/58
F16J 3/02
F16J 15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側部材と下側部材との間に筒状のダイヤフラムを介装してなる空気ばねであって、
前記下側部材に、ダイヤフラムの下側ビード部を保持するビードシートが形成されると共に、該ビードシートに、前記下側ビード部を係止するゴム座が装着され、
前記ゴム座は、ゴム製のゴム座本体に、該ゴム座本体を補強しつつビードシートに載置される補強板を設けてなり、前記補強板とビードシートとの間をシールするゴムパッキンが設けられ
前記ダイヤフラムは、下側ビード部を係止されつつゴム座の上面を覆うと共に、中央側がゴム座よりも下方に膨出し、前記ゴムパッキンは、補強板の下面とビードシートの上面との間に配置されたことを特徴とする空気ばね。
【請求項2】
前記下側部材の上端部に、上向きに突出して上側部材の変位を規制するストッパーが設けられ、該ストッパーの周囲に前記ビードシートが形成されたことを特徴とする請求項1に記載の空気ばね。
【請求項3】
上側部材と下側部材との間に筒状のダイヤフラムを介装してなる空気ばねに装備され、前記下側部材に形成されたビードシートに装着されて前記ダイヤフラムの下側ビード部を係止する空気ばね用ゴム座であって、
ゴム製のゴム座本体に、該ゴム座本体を補強しつつビードシートに載置される補強板を設けてなり、前記補強板とビードシートとの間をシールするゴムパッキンが設けられ、該ゴムパッキンは、補強板の下面とビードシートの上面との間に配置されたことを特徴とする空気ばね用ゴム座。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上側部材と下側部材との間に筒状のダイヤフラムを介装した構造で、例えば鉄道車両や自動車、各種産業機械などに装備される空気ばね、及び空気ばねに装備される空気ばね用ゴム座に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、鉄道車両などに装備される空気ばねは、上側部材と下側部材との間に筒状のゴム膜からなるダイヤフラムを介装した構造とされ、ダイヤフラムの上下端が上側部材及び下側部材によって密封されている(例えば特許文献1)。
【0003】
図4に示す特許文献1の空気ばねは、その下側部材が積層ゴム101の上側にストッパー102を設けた構造とされ、ストッパー102の周囲に、ダイヤフラムの下側ビード部103を保持するビードシート104が形成されている。下側ビード部103は、ストッパー102及びビードシート104に密着することにより、下側ビード部103を構成するゴム自体が下側部材との間をシールする。
【0004】
ビードシート104の上面側の外周縁には、下側ビード部103を係止するゴム座105が装着され、下側ビード部103が広がるのを阻止して、下側ビード部103と下側部材とのシールを維持するようになっている。図5に示すように、ゴム座105は、ゴム製のゴム座本体106の下面側に、ゴム座本体106を補強する補強板107を設けた構造とされ、補強板107をビードシート104に載置するように装着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−197893号公報(段落番号0029、図4図5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ビードシート104を積層ゴム101の上面の鋼板と一体に形成することにより、ビードシート104の上面側に装着するゴム座105の内縁部を内側に延設して、積層ゴム101の上面とストッパー102とで挟み込むことができる。
【0007】
この場合、万が一、ダイヤフラム内の空気が下側ビード部103によるシールを通過したとしても、その空気がゴム座105の下方を通過して外部に漏れるのを阻止することができ、しかも、ゴム座105の上方は、ゴム製の下側ビード部103と接触することにより、十分なシールを得ることができる。ただ、ビードシート104を積層ゴム101の鋼板と一体に形成する場合、例えば、ストッパー102をアルミニウムなどの軽い素材で形成して軽量化を図ろうとしても、その効果は限定的となる。
【0008】
これに対し、図4の下側部材は、ビードシート104をストッパー102と一体に形成する分、軽量化を十分に図ることができる。しかしながら、図6に示すように、万が一、下側ビード部103のゴムが劣化するなどして、ダイヤフラム内の空気108が下側ビード部103によるシールを通過した場合には、その空気108がゴム座105の下面側の補強板107とビードシート104との間を容易に通過して外部に漏れるおそれがある。
【0009】
本発明は、空気がゴム座の下方を通過して外部に漏れるのを防止することのできる空気ばね、及び空気ばね用ゴム座の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る空気ばねは、上側部材と下側部材との間に筒状のダイヤフラムを介装したものであり、下側部材に、ダイヤフラムの下側ビード部を保持するビードシートを形成すると共に、このビードシートに、下側ビード部を係止するゴム座を装着し、ゴム座を、ゴム製のゴム座本体に、このゴム座本体を補強しつつビードシートに載置される補強板を設けて構成し、補強板とビードシートとの間をシールするゴムパッキンを設けたものである。
【0011】
上記構成によれば、ゴムパッキンを設けて、ビードシートとこれに載置されるゴム座の補強板との間をシールするので、ダイヤフラムの内部の空気がゴム座の下方を通過して外部に漏れるのを防止することができる。なお、ゴム座がダイヤフラムを係止することにより、ゴム座の上方においては、ゴムとゴムとが接触することになり、十分なシールを得ることができる。
【0012】
さらに、本発明は、ダイヤフラムを、下側ビード部を係止されつつゴム座の上面を覆うと共に、中央側がゴム座よりも下方に膨出するようにし、ゴムパッキンを補強板の下面とビードシートの上面との間に配置するようにしたものである
【0013】
この構成によると、ダイヤフラムがその下側ビード部を係止するゴム座の上面を覆って、ダイヤフラムの中央側が下方に膨出するので、内部の空気圧により、ゴム座を下向きに押し付けることができる。さらに、ゴムパッキンを補強板の下面とビードシートの上面との間に配置するので、ゴムパッキンを狭圧して密着させることができ、ビードシートと補強板との間をより確実にシールすることができる。
【0014】
また、下側部材の上端部に、上向きに突出して上側部材の変位を規制するストッパーを設け、このストッパーの周囲にビードシートを形成するようにしてもよい。
【0015】
この構成によると、下側部材の上端部にストッパーを設けて、その周囲にビードシートを形成するので、例えば、ストッパーと共にビードシートをアルミニウムなどの軽量な素材によって形成しつつ、ストッパーの下側の部材をより高強度の素材で形成することができる。この場合、ストッパーの下側にゴム座の内周縁を挟み込んでシールすることができないが、本発明の構成を採用することにより、ゴム座の下方からの空気の漏れを防止することができる。
【0016】
また、本発明は、空気ばねに装備する空気ばね用ゴム座を提供する。すなわち、本発明は、上側部材と下側部材との間に筒状のダイヤフラムを介装してなる空気ばねに装備され、前記下側部材に形成されたビードシートに装着されて前記ダイヤフラムの下側ビード部を係止する空気ばね用ゴム座であって、ゴム製のゴム座本体に、該ゴム座本体を補強しつつビードシートに載置される補強板を設けてなり、前記補強板とビードシートとの間をシールするゴムパッキンが設けられ、該ゴムパッキンは、補強板の下面とビードシートの上面との間に配置されたことを特徴とする空気ばね用ゴム座を提供する。
【0017】
この構成によると、上記の空気ばねの構成を採用することによる効果と同じ効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のとおり、本発明によると、ゴムパッキンを設けて、ビードシートとこれに載置されるゴム座の補強板との間をシールするようにしているので、ダイヤフラムの内部の空気がゴム座の下方を通過して外部に漏れるのを防止することができる。
【0019】
さらに、例えば、下側部材の上端部にストッパーを設ける場合においては、本発明の構成を採用することにより、ストッパーの下側にゴム座の内周縁を挟み込んでシールする必要がなく、ストッパー及びその周囲のビードシートをアルミニウムなどの軽い素材によって一体に形成することができ、空気ばねの軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る空気ばねの断面図
図2】ゴム座の拡大断面図
図3】下側ビード部が劣化した空気ばねの要部拡大図
図4】従来の空気ばねの断面図
図5】従来のゴム座の拡大断面図
図6】従来の空気ばねの空気の漏れを示す図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る空気ばねの実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0022】
図1に示すように、空気ばね1は、例えば鉄道車両に装備されるものであり、例えば車体側に取り付けられる上側部材としての上面板2と、例えば台車側に取り付けられる下側部材としての積層ゴム3及びストッパー4との間に、筒状のダイヤフラム5を介装した構造とされ、そのストッパー4の周囲に、ダイヤフラム5の下側ビード部6を保持するビードシート7が形成されると共に、ビードシート7に、下側ビード部6を係止するゴム座8が装着され、さらに、ゴム座8に、ビードシート7との間をシールするゴムパッキン9が設けられている。
【0023】
上面板2は、例えば鋼製で周縁部を下向きに折曲した円板状とされ、その中央の円穴に嵌合された筒状のボス部10が、例えば車体側に係合すると共に、ダイヤフラム5の内部に空気を供給するための給気口とされる。上面板2の下面側には、ボス部10を取り囲むようにして下向きに突出するストッパー受台11が設けられ、このストッパー受台11の側面から上面板2の周縁部下面側に至る範囲に上面ゴム部12が設けられている。
【0024】
ストッパー受台11は、ストッパー4と接触して上面板2の下向きの変位を規制すると共に、上面ゴム部12を介して外側に、ダイヤフラム5の上側ビード部13を被せてシールしつつ保持するようになっている。
【0025】
積層ゴム3は、複数のドーナツ形のゴム及び鋼板を交互に積層した構造とされ、その上側にストッパー4がボルト締結されている。
【0026】
ストッパー4は、積層ゴム3とほぼ同径で、例えばアルミニウム製の厚板とされ、上向きに突出して上面板2の下向きの変位を規制すると共に、その外周部の下部が径方向外向きに突出してビードシート7を構成している。ビードシート7の外縁部には、ゴム座8が装着され、このゴム座8に係止されて径方向外向きの広がりを規制されたダイヤフラム5の下側ビード部6が、ビードシート7に保持されつつストッパー4の側周面に密着してシールするようになっている。
【0027】
図2に示すように、ゴム座8は、断面略L形でリング状のゴム製のゴム座本体14に鋼製リング15を埋設すると共に、鋼製リング15と一体化した断面L形の補強板16をゴム座本体14の下面及び内周面に加硫接着した構造とされ、鋼製リング15及び補強板16が協同してゴム座本体14を補強する。このゴム座8は、断面形状の上面側を略R状に設定され、下側ビード部6を係止したダイヤフラム5を滑らかに下方に導くようになっている。
【0028】
補強板16のL形断面の下面中央部に、ビードシート7との間をシールするゴムパッキン9が加硫接着され、このゴムパッキン9を介在させて、ビードシート7の外縁のコーナー部に補強板16を載置するようになっている。なお、ゴムパッキン9は、補強板16の一部に設けるだけでなく、補強板16の下面及び内周面の全面を覆うように設けることもできる。
【0029】
ダイヤフラム5は、筒状のゴム膜に補強コードなどを埋設して補強した構造とされ、中央側よりも増厚された上側ビード部13及び下側ビード部6を上面板2及びビードシート7に保持されて密封されている。このダイヤフラム5は、内側に空気を封入されて、下端を上向きに押し込まれ、内側の空気圧によって、例えば車体側から上面板2が受ける荷重を弾性的に支持するようになっている。
【0030】
空気を封入されて下端を上向きに押し込まれたダイヤフラム5は、増厚された下側ビード部6をゴム座8に係止されつつ、このゴム座8の上面を覆うと共に、ゴム座8の上面のR形状によって下方に導かれた中央側がゴム座8よりも外側かつ下方に膨出する。これにより、空気圧を受けたダイヤフラム5によってゴム座8が下向きに押し付けられ、補強板16の下面とビードシート7の上面との間に配置されたゴムパッキン9が狭圧されて密着し、ビードシート7とゴム座8との間をシールする。
【0031】
上記構成によれば、ゴムパッキン9によってビードシート7とゴム座8との間をシールするので、万が一、ダイヤフラム5の下側ビード部6を構成するゴムが損傷したとしても、内部の空気がゴム座8の下方を通過して外部に漏れるのを防止することができる。
【0032】
つまり、図3に示すように、万が一、熱老化などによって、下側ビード部6を構成するゴムが損傷すると、下側ビード部6とストッパー4の側周面及びビードシート7の上面との間に隙間17が生じるおそれがある。
【0033】
この隙間17によって、下側ビード部6のゴム自体によるシール機能を失うことになるが、補強板16の下面とビードシート7の上面との間をゴムパッキン9がシールするので、内部の空気がゴム座8の下方を通過して外部に漏れるのを防止することができる。しかも、空気圧を受けたダイヤフラム5がゴム座8を下向きに押し付けるので、ゴムパッキン9を補強板16及びビードシート7に密着させてシール機能を高めることができる。なお、ゴム座8の上方は、ダイヤフラム5及びゴム座本体14のゴム同士の接触であり、十分なシール機能が得られる。
【0034】
ここで、本発明品と従来品のシール機能の相違について説明する。まず、ダイヤフラム5の下側ビード部6のうち、ストッパー4の側周面と接触する部位に傷をつけた上で、空気ばねを組み立てて内圧及び変位を付与すると、従来品では空気の漏れが生じたが、本発明品では空気の漏れを生じなかった。また、100℃の環境において、本発明品と従来品を損傷のない状態で、内圧及び変位を付与して熱老化試験を行ったところ、従来品では、約140時間で空気の漏れが生じたが、本発明品では、約260時間に至っても空気の漏れを生じなかった。
【0035】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、適宜変更を加えることができる。例えば、ゴムパッキン9は、補強板16とビードシート7との間にあればよく、補強板16と一体に設けるだけでなく、ビードシート7と一体に設けることもでき、さらに、補強板16とビードシート7との間に別体のゴムパッキン9を配置することもできる。また、ビードシート7は、ストッパー4の周囲に形成するだけでなく、ストッパー4とは独立して形成することもできる。また、ダイヤフラム5は、下方に膨出するだけでなく、単に外向きに膨出するものであってもよい
【符号の説明】
【0036】
1 空気ばね
2 上面板(上側部材)
3 積層ゴム(下側部材)
4 ストッパー(下側部材)
5 ダイヤフラム
6 下側ビード部
7 ビードシート
8 ゴム座
9 ゴムパッキン
10 ボス部
11 ストッパー受台
12 上面ゴム部
13 上側ビード部
14 ゴム座本体
15 鋼製リング
16 補強板
17 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6