特許第6875128号(P6875128)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ハンツマン ペトロケミカル エルエルシーの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6875128
(24)【登録日】2021年4月26日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】硫酸アルカノールアミン系水調整剤
(51)【国際特許分類】
   A01N 25/00 20060101AFI20210510BHJP
   A01N 25/02 20060101ALI20210510BHJP
   A01N 25/30 20060101ALI20210510BHJP
   A01N 37/40 20060101ALI20210510BHJP
   A01N 57/20 20060101ALI20210510BHJP
   A01N 39/04 20060101ALI20210510BHJP
   A01P 13/00 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   A01N25/00 101
   A01N25/02
   A01N25/30
   A01N37/40
   A01N57/20 G
   A01N39/04 A
   A01P13/00
【請求項の数】11
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-561714(P2016-561714)
(86)(22)【出願日】2015年9月16日
(65)【公表番号】特表2017-530087(P2017-530087A)
(43)【公表日】2017年10月12日
(86)【国際出願番号】US2015050330
(87)【国際公開番号】WO2016057170
(87)【国際公開日】20160414
【審査請求日】2018年8月23日
(31)【優先権主張番号】62/061,929
(32)【優先日】2014年10月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505318547
【氏名又は名称】ハンツマン ペトロケミカル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Huntsman Petrochemical LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】特許業務法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スターン,アラン・ジエイ
(72)【発明者】
【氏名】メレデイス,マシユー・テイ
【審査官】 早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第03948632(US,A)
【文献】 米国特許第03716351(US,A)
【文献】 中国特許出願公開第101796964(CN,A)
【文献】 特表2010−519302(JP,A)
【文献】 WEED SCIENCE,1973年,Vol.21, Issue 3,pp.249-253
【文献】 Uzbekskii Khimicheskii Zhurnal,1983年,No.1,pp.58-64
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 25/00
A01N 25/02
A01N 25/30
A01N 37/40
A01N 39/04
A01N 57/20
A01P 13/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
農学的組成物であって、少なくとも1種の農学的有効成分、および少なくとも1種の水調整剤、を含有して成っていて、
前記水調整剤が硫酸アルカノールアンモニウムを含有して成る、
農学的組成物であって、
前記硫酸アルカノールアンモニウムが、
式I:
【化1】
[式中、
1、R2、R3、R4、R5およびR6は各々独立して式:
【化2】
で表される基であり、かつ
1、R2およびR3の中の少なくとも1つおよびR4、R5およびR6の中の少なくとも1つは式(i)、(ii)または(iii)で表される基である]
で表される硫酸塩、
式II:
【化3】
[式中、
Mはナトリウムまたはカリウムであり、そして
1、R2およびR3は各々独立して式:
【化4】
で表される基でありかつR1、R2およびR3の中の少なくとも1つは式(i)、(ii)
または(iii)で表される基である]
で表される硫酸塩、
硫酸ジ(ヒドロキシエチルモルホリン、硫酸ジグリコールアンモニウム、硫酸アミノエチルエタノールアンモニウム、または、それらの組み合わせ、
であり、
ここで、前記少なくとも1種の農学的有効成分が、
i) 1種の合成オーキシン系除草剤、
ii) 2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、これの塩、またはこれらの組み合わせ、
iii) MCPA酸若しくはこれの塩、MCPP酸若しくはこれの塩、MCPB酸若しくはこれの塩、トリクロピル酸若しくはこれの塩、クロピラリド酸若しくはこれの塩、ピクロラム酸若しくはこれの塩、フルロキシピル酸若しくはこれの塩、またはキンクロラク酸若しくはこれの塩、またはこれらの組み合わせ、および、
iv) グリホセート酸若しくはこれの塩、グルホシネート酸若しくはこれの塩、またはこれらの組み合わせ、
から成る群より選択される、農薬学的組成物。
【請求項2】
前記硫酸アルカノールアンモニウムが硫酸ジ(2−ヒドロキシルエチルアンモニウム)、硫酸ジ(ビス−(2−ヒドロキシルエチル)アンモニウム)、硫酸ジ(トリス−(2−ヒドロキシルエチル)アンモニウム)、硫酸ジ(2−ヒドロキシルエトキシエチルアンモニウム)およびこれらの組み合わせから成る群より選択される請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記硫酸アルカノールアンモニウムが硫酸ナトリウムもしくはカリウムアルカノールアンモニウムである請求項1記載の組成物。
【請求項4】
前記硫酸カリウムアルカノールアンモニウムが硫酸カリウムヒドロキシエチルアンモニウム、硫酸カリウムトリス(2−ヒドロキシルエチル)アンモニウムおよびこれらの組み合わせから成る群より選択される請求項3記載の組成物。
【請求項5】
前記硫酸アルカノールアンモニウムが、硫酸ジ(ヒドロキシエチルモルホリン、硫酸ジグリコールアンモニウム、硫酸アミノエチルエタノールアンモニウム、硫酸N−メチルエタノールアンモニウム、硫酸N,N−ジメチルエタノールアンモニウム、硫酸N−メチルジエタノールアンモニウム、硫酸3−ヒドロキシプロパノールアンモニウムおよびこれらの組み合わせから成る群から選択される請求項1記載の組成物。
【請求項6】
前記硫酸アルカノールアンモニウムが少なくとも1種のアルカノールアミンと硫酸の反応生成物である請求項1記載の組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1種のアルカノールアミンがモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ヒドロキシエチルモルホリン、ジグリコールアミン、アミノエチルエタノールアミンおよびこれらの組み合わせから成る群より選択される請求項6記載の組成物。
【請求項8】
更に界面活性剤も含有して成る請求項1記載の組成物。
【請求項9】
前記界面活性剤が脂肪アミンエトキシレートである請求項記載の組成物。
【請求項10】
農学的配合物において同等な揮発性を維持しながら水を調整する方法であって、少なくとも1種の請求項1に定義された通りの硫酸アルカノールアンモニウムを含有して成る少なくとも1種の水調整剤を請求項1に定義された通りの農学的有効成分に添加することを含んで成る方法。
【請求項11】
前記農学的配合物がタンク混合物またはスプレー混合物である請求項10記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に農薬の揮発性を高めることのない水調整剤、特に硫酸アルカノールアンモニウム、およびそれらを農学的組成物で用いることに関する。
【背景技術】
【0002】
水調整剤は農薬の有効性を高める目的で幅広く用いられている。伝統的な水調整剤は硫酸ジアンモニウムであり、これは一般に“AMS”として知られている。AMSの最も大きな用途は除草剤であるグリホセートと組み合わせる使用であり、それは水の硬度に極めて敏感である。硬水のイオン、例えばカルシウム、マグネシウム、鉄などは、グリホセートと結合してそれを不活性にすることでそれの有効性を低下させる。水調整剤、例えばAMSなどを用いるとグリホセートを結合する可能性のある硬水イオンの量が少なくなる。
【0003】
AMSは安価かつ有効ではあるが、除草剤、例えばジカンバおよび2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(2,4−D)などの揮発性を高めることが知られている。多くの場合、グリホセートは、これを施す前にスプレータンク希釈で他の除草剤、例えばジカンバ、2,4−Dまたは他の合成オーキシン系除草剤などと組み合わせることが行われている。
【0004】
除草剤をこれで処理すべき領域/植物に施した後に起こる否定的な結果は揮発性である。高い揮発性を示す除草剤はそれを施す必要がある領域から蒸発/揮発して空中を浮遊する可能性が高い。その後、その除草剤は、これで処理することを意図しなかった他の領域/植物に風で運ばれる可能性がある。従って、除草剤が揮発性を示すのは好ましくない、と言うのは、最初に除草剤を施した場所に隣接して存在する作物または他の植物が損傷を受ける可能性があるからである。
【発明の概要】
【0005】
発明の簡単な要約
従って、除草剤の有効性を保持させるが結果として揮発性の高い除草剤配合物をもたらさない水調整剤が必要とされている。
【0006】
本開示の態様は、硫酸アルカノールアンモニウムである少なくとも1種の水調整剤および少なくとも1種の農学的有効成分を含有する農学的組成物を包含する。
【0007】
本開示の態様は更に農学的有効成分が農学的配合物において示す揮発性を同等程度に維持しながら水を調整する方法も包含し、この方法は、少なくとも1種の硫酸アルカノールアンモニウムを含有して成る少なくとも1種の水調整剤を農学的有効成分に添加し、いくつかの態様では硬度が中程度、高いまたは非常に高い水と混合することを含んで成る。
【0008】
発明の詳細な説明
本開示の態様では、硫酸アルカノールアンモニウムである少なくとも1種の水調整剤および少なくとも1種の農学的有効成分を含有する農学的組成物を開示する。
【0009】
本開示の態様では、少なくとも1種の農学的有効成分を含有させる。いくつかの態様における農学的有効成分は除草剤である。他の態様における農学的有効成分はオーキシンであり、それには、これらに限定するものでないが、合成オーキシン系除草剤が含まれる。合成オーキシン系除草剤には、これらに限定するものでないが、3,6−ジクロロ−2−メトキシ安息香酸(ジカンバ)およびこれの塩、2,4−D酸およびこれの塩、[(4−アミノ−3,5−ジクロロ−6−フルオロ−2−ピリジニル)オキシ]酢酸(フルロキシピル酸)およびこれの塩およびこれらの組み合わせが含まれ得る。
【0010】
他の態様における農学的有効成分は、フェノキシ系除草剤、例えば2−メチル−4−クロロフェノキシ酢酸(MCPA)酸およびこれの塩およびメチルクロロフェノキシプロピオン酸(MCPP)酸およびこれの塩、ブタン酸4−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)(MCPB)およびこれの塩およびこれらの組み合わせであり得る。
【0011】
他の態様における農学的有効成分はピリジンカルボン酸、例えば3,5,6−トリクロロ−2−ピリジニルオキシ酢酸(トリクロピル酸)およびこれの塩、3,6−ジクロロ−2−ピリジンカルボン酸(クロピラリド酸)およびこれの塩、4−アミノ−3,5,6−トリクロロ−2−ピリジンカルボン酸(ピクロラム酸)およびこれの塩、3,7−ジクロロ−8−キノリンカルボン酸(キンクロラク)およびこれの塩およびこれらの組み合わせであり得る。
【0012】
他の態様における農学的有効成分は、N−(ホスホノメチル)グリシン(グリホセート)およびこれの塩、4−[ヒドロキシル(メチル)ホスフィノイル]−DL−ホモアラニン(グルホシネート)アンモニウムまたは他の塩およびこれらの組み合わせであり得る。
【0013】
この上に示した農学的有効成分は単独または互いの組み合わせで使用可能である。用語“これの塩”および“これらの塩”は、様々な対イオンもしくは種、例えばナトリウムまたはカリウムなどで中和可能な酸である有効成分の中和形態を指す。当業者は、本開示の態様で使用可能な他の適切な農学的有効成分を認識するであろう。
【0014】
他の態様では、当該農学的有効成分を軟水、硬度が中程度、高いまたは非常に高い水のいずれかと混合する。溶解している鉱物、例えばカルシウムおよびマグネシウムなどが多い時に水の“硬度”が高いと記述される。カルシウムおよびマグネシウムの含有量が高くなるにつれて硬度が高くなる。米国地質調査所が定義するように、水の硬度は下記の如く記述される:
水の硬度は下記のように表される
CaCO3(mg/L)*
軟 0−60
硬度が中程度 61−120
硬度が高い 120−180
硬度が非常に高い 180以上
* CaCO3(mg/L)としての水硬度=2.5[Ca2+(mg/L)]+4.5[Mg2+(mg/L)]
【0015】
本開示の態様は更に少なくとも1種の硫酸アルカノールアンモニウムを含有する水調整剤組成物も包含する。このような硫酸アルカノールアンモニウムには式I
【0016】
【化1】
【0017】
[式中、
1、R2、R3、R4、R5およびR6は各々独立して式:
【0018】
【化2】
【0019】
で表される基でありかつR1、R2およびR3の中の少なくとも1つおよびR4、R5およびR6の中の少なくとも1つは式(i)、(ii)または(iii)で表される基である]
で記述される硫酸塩が含まれる。
【0020】
適切な硫酸アルカノールアンモニウムの例にはまたジ(硫酸2−ヒドロキシルエチルアンモニウム)(別名:“硫酸MEA”)、ジ(硫酸ビス−(2−ヒドロキシルエチル)アンモニウム)(別名:“硫酸DEA”)、ジ(硫酸トリス−(2−ヒドロキシルエチル)アンモニウム)(別名:“硫酸TEA”)、ジ(硫酸2−ヒドロキシルエトキシエチルアンモニウム)およびこれらの組み合わせも含まれる。
【0021】
本開示の態様で用いるに適した硫酸アルカノールアンモニウムにはまた式II
【0022】
【化3】
【0023】
[式中、
Mはナトリウム(Na)、カリウム(K)、またはカチオン電荷を持ち得る他のいずれかの原子もしくは原子群でありそしてR1、R2およびR3は各々独立して式:
【0024】
【化4】
【0025】
で表される基でありかつR1、R2およびR3の中の少なくとも1つは式(i)、(ii)または(iii)で表される基である]
で記述される如き硫酸アルカノールアンモニウム塩も含まれ得る。
【0026】
適切な硫酸アルカノールアンモニウム塩には、硫酸カリウムアルカノールアンモニウム、例えば硫酸カリウムヒドロキシエチルアンモニウム、硫酸カリウムトリス(2−ヒドロキシルエチル)アンモニウムおよびこれらの組み合わせが含まれ得る。
【0027】
他の可能な硫酸アルカノールアンモニウムには、硫酸ヒドロキシエチルモルホリン(HEM)、硫酸アミノエチルエタノールアンモニウム(AEEA)、硫酸ジグリコールアンモニウム(DGA)、硫酸N−メチルエタノールアンモニウム、硫酸N,N−ジメチルエタノールアンモニウム、硫酸N−メチルジエタノールアンモニウム、硫酸3−ヒドロキシプロパノールアンモニウムおよびこれらの組み合わせが含まれ得る。硫酸HEM、硫酸AEEAおよび硫酸DGAは下記の如く表される:
【0028】
【化5】
【0029】
この挙げた硫酸アルカノールアンモニウムは全部単独または互いの組み合わせで使用可能である。
【0030】
本開示の硫酸アルカノールアンモニウムは、少なくとも1種のアルカノールアミンと少なくとも1種の酸の反応生成物であり得る。本開示の1つの態様におけるアルカノールア
ミンはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジグリコールアミン、アミノエチルエタノールアミン、ヒドロキシエチルモルホリン、N,N−ビス−(3−アミノプロピル)メチルアミンおよびこれらの組み合わせであり得る。1つの態様における少なくとも1種の酸は硫酸である。当業者は、アルカノールアミンと反応して硫酸アルカノールアンモニウムをもたらすであろう他の適切な酸を認識するであろう。別の態様では、2種以上の異なるアルカノールアミンの混合物を硫酸と反応させる。
【0031】
本開示の態様の農学的組成物にはまた1種以上の添加剤も含有させてもよい。添加剤には農学的スプレーもしくはタンクアジュバント、界面活性剤(例えば脂肪アミンエトキシレート)、分散剤、アンチドリフト剤(anti−drift agents)、保湿剤、不凍剤、湿潤剤、粘着剤、増粘剤および消泡剤が含まれ得る。本開示の利点を習得した当業者は、農学的組成物の使用および塗布に応じて使用すべき他の適切な添加剤を認識するであろう。
【0032】
本明細書に開示する水調整剤を農薬配合物に混合することで、水調整を“組み込む”ことができるか、或は農薬成分が入っていない独立型水調整用アジュバント配合物として提供するか、或は農薬成分が入っていない多機能アジュバント配合物の一部として提供することができる。これらの配合物は典型的に濃縮液であることから、施す前に単にその濃縮液を所望量でタンク/スプレー混合物に添加することで用いることができるであろう。
【0033】
本開示の農学的組成物にはスプレーまたはタンク混合物が含まれ得る。これらの混合物は典型的に消費者、例えば農家などがタンクに注ぎ込み、水を加えそして恐らくは他のアジュバント/添加剤を加え、混合した後に畑に噴霧/施す単一の農学的製品または複数の農学的製品の組み合わせである。これらの混合物の調製は典型的に当該物質を施す畑の近くで行われる。
【0034】
タンク/スプレー混合物に入れるそのような水調整剤の使用率はAMSの使用率と同様である、即ち体積に対する重量(固体が基になった)を基準(重量/体積)にして約0.05から約3.0%である。他の態様では、当該水調整剤を約0.1から約2.0%(重量/体積)用いる。
【0035】
本開示の態様は更に少なくとも1種の水調整剤を農学的有効成分に添加(いくつかの態様では硬度が中程度、高いまたは非常に高い水と混合)することで、農学的組成物に入っている農学的有効成分が示す揮発性を同等に維持しながら水を調整する方法も包含し、ここでは、前記水調整剤に少なくとも1種の硫酸アルカノールアンモニウムを含有させる。“同等”は、当該農学的有効成分が示す揮発性を熱重量分析器(TGA)方法で試験した時にそれが実質的に高くなることも低くなることもないことを意味する。本開示の態様は更に本明細書に開示する農学的組成物を植物および土壌に施す方法も包含する。
【0036】
本開示の態様の利点には、本明細書に記述する水調整剤が農学的組成物の揮発性を有意に高くすることがないといった属性を有する点にある(アンモニウム(NH4)イオンが入っている伝統的な水調整剤とは対照的に)。
【0037】
本開示の態様を以下の実施例を考慮することで更に例示するが、それらは本開示を例示することを意図するものである。
【実施例】
【0038】
実施例1:硫酸モノエタノールアミン(MEA)水調整剤の調製
208グラムのMEAを1リットルの金属製ビーカーに入れた後、それを氷水浴の中に置いた。塔頂撹拌機を用いて、その混合物の温度を60°C未満に維持しながら水中50
%の硫酸350グラムをゆっくり加えた。その結果としてもたらされたのは6.45のpHを示す水中69%の黄色硫酸MEA溶液である。
【0039】
他の硫酸アルカノールアンモニウム水調整剤全部の調製も同様な手順で行う。また、一価金属カチオンとアルカノールアンモニウムイオンを含有する混合塩、例えば硫酸カリウム2−ヒドロキシルエチルアンモニウムなどの調製も同様に簡単である。この場合、金属カチオンとアルカノールアンモニウムイオンのモル比を0.1:1.0から1.0:0.1の範囲で変えることができる。
【0040】
実施例2:混合型硫酸アルカノールアンモニウム水調整剤の調製
ガラス製ビーカーに入れた氷浴中の氷水(98グラム)を絶えず穏やかに混合しながらこれに1モル(98グラム)の硫酸を注意深く加えた。この混合物の温度が10°Cにまで下がった時点で撹拌を行いながらトリエタノールアミン(74.5グラム、0.5モル)を注意深く加えた。次に、撹拌を行いながらモノエタノールアミン(30.5グラム、0.5モル)を注意深く加えた。その溶液のpHを脱イオン水中1%の濃度で測定した時のそれは6.0であった。
【0041】
実施例3:様々な水調整剤を用いてのオーキシン系除草剤が示す揮発性増加の比較
水と除草剤(この場合にはジカンバジグリコールアミン(DGA)塩)と水調整剤の混合物を調製することを通して、様々な水調整剤中でオーキシン系除草剤が示す揮発性の増加を比較した。これらの溶液の濃度は実際の農学的現場で用いられる濃度を模擬するものである。この試験では、対照(ジカンバ−DGA単独)に対するジカンバ−DGA+水調整剤の間の比較を熱重量分析(TGA)で行った。表1に示した結果は、本開示の硫酸アルカノールアンモニウム水調整剤の方が単一のアンモニウムイオンが入っている伝統的な水調整剤AMSに比べてジカンバの揮発性を有効に抑制することを示している。その上、表1に示したTGAの結果は、硫酸ジ(イソプロピルアンモニウム)(このチャートでは硫酸IPA)で表される硫酸アルキルアンモニウムの挙動はAMSと同様であり、ジカンバの揮発性を高くすることを示している。硫酸アルカノールアンモニウムを用いた農学的組成物は好適な揮発特性を示す。
【0042】
【表1】
【0043】
実施例4:グリホセート系除草剤溶液との適合性
950グラムの水に1000ppmのカルシウムと30グラムの硫酸MEA溶液(実施例1で得た)と20グラムのROUNDUP ULTRA(登録商標)MAX除草剤(The Scotts Company LLC(Marysville、Ohio))が入っている混合物を調製した。その結果として透明で均一な溶液が得られ、このことは、その新規な水調整剤がグリホセート含有配合物と物理的および化学的に適合し得ることを実証している。
【0044】
実施例5:グリホセートを用いた時の水調整効果
除草剤であるグリホセート[蒸留水または(カルシウム+マグネシウム)が1000ppm入っている水を用いて表示使用率よりも低い濃度に希釈した]が示す有効性を本開示の水調整剤の有り無しで比較する現場実験を実施した。この実験では、グリホセートを入れておいたスプレーを亜麻、アマランス、ヒマワリおよびトウモロコシに塗布した。この現場実験で用いたグリホセートはTouchdown(登録商標)HT除草剤であり、それの噴霧塗布率が一様に9.6fl oz/aになるように維持した。また、非イオン性界面活性剤(Activator 90界面活性剤)も前記除草剤と一緒に一様に0.5%(体積/体積)の噴霧塗布率になるように塗布した。最後に、本開示の水調整剤を存在させる場合、それを0.75%(体積/体積)および1.0%(体積/体積)の塗布率で塗布した。畑全体に渡って様々な場所に区分けした亜麻、アマランス、ヒマワリおよびトウモロコシに噴霧による処理を受けさせ、そして処理してから特定の日にちが経過した時点で損傷に関する目で見た評価を0から100%の等級で行い、ゼロは損傷“無し”を表しそして100%は“完全な”損傷または死滅を表す。この実験中に試験を受けさせる水調整剤に下記を含めた:
硫酸塩1=硫酸モノエタノールアミン(水中70%の溶液)、
硫酸塩2=硫酸トリエタノールアミン(水中70%の溶液)、および
硫酸塩3=混合型硫酸カリウム・モノエタノールアミン(水中25%の溶液)
【0045】
その結果を以下に示す:
【0046】
【表2】
【0047】
【表2A】
【0048】
【表3】
【0049】
【表3A】
【0050】
【表4】
【0051】
【表4A】
【0052】
【表5】
【0053】
【表5A】
【0054】
これらの結果は、本発明の水調整剤をグリホセート/非イオン性界面活性剤スプレー混合物に添加すると試験を受けさせた植物全部の防除%が対照であるグリホセート/非イオン性界面活性剤スプレー混合物に比べて有意に向上することを示している。このことは、本発明の水調整剤は農学的有効成分の有効性を維持すると同時にスプレー混合物における揮発性を低下させ/防止する能力を有することを示している。
【0055】
当業者は、本明細書に記述した発明は具体的に記述した事項以外の変更および修飾を受け易いことを理解するであろう。本発明は本発明の精神および範囲内に入るそのようなあらゆる変形および修飾形を包含すると理解されるべきである。本発明はまた本明細書に個別または集合的に指すか或は示した段階、特徴、組成物および化合物の全部および前記段階または特徴の中のいずれか2つ以上の組み合わせのいずれかおよび全部も包含する。