(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6875148
(24)【登録日】2021年4月26日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】調整装置、及び調整装置を備える弁制御デバイス
(51)【国際特許分類】
F16H 25/20 20060101AFI20210510BHJP
F16H 25/24 20060101ALI20210510BHJP
F16D 7/02 20060101ALI20210510BHJP
F16K 31/04 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
F16H25/20 A
F16H25/20 K
F16H25/24 A
F16H25/24 B
F16D7/02 A
F16K31/04 A
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-34536(P2017-34536)
(22)【出願日】2017年2月27日
(65)【公開番号】特開2017-155935(P2017-155935A)
(43)【公開日】2017年9月7日
【審査請求日】2019年12月9日
(31)【優先権主張番号】10 2016 203 265.8
(32)【優先日】2016年2月29日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514062655
【氏名又は名称】スタビラス ゲ―エムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ミュラー
(72)【発明者】
【氏名】イェルク・ヒレン
(72)【発明者】
【氏名】トルデス・リューテヘンス
(72)【発明者】
【氏名】マティアス・ヴィーラント
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・シュット
【審査官】
前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】
独国特許出願公開第04219660(DE,A1)
【文献】
特開昭60−263763(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 25/00
F16D 7/00
F16K 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調整装置(10;100;200;300;400)であって、
a.モータ装置(18、22;118、122;218、222;318、322)からの第1のトルクを前記調整装置に入力可能とする回転式入力要素(26、126;226;326)と、
b.第2のトルクを前記調整装置を介して出力可能とする回転式出力要素(16;116;216;316;416)と、
c.前記第1のトルクを前記第2のトルクに変換するための伝達部分と、
を備えている前記調整装置(10;100;200;300;400)において、
前記伝達部分が、第1のネジ部分(30;130)と第2のネジ部分(34;134)とを有している伝達手段を備えており、
前記第1のネジ部分が、前記回転式入力要素の回転を前記伝達手段の軸線方向運動に変換し、前記第2のネジ部分が、前記伝達手段の軸線方向運動を前記回転式出力要素の回転に変換し、
前記第1のネジ部分及び前記第2のネジ部分が、互いに相違するネジピッチを有しており、
前記伝達手段(32;132;232;332)が、前記回転式出力要素(16;216;316;416)に対して、軸線方向に変位可能とされると共に回転可能に係合された状態で接続されていることを特徴とする調整装置。
【請求項2】
前記伝達手段(32;132;232;323)が、スピンドルナットを備えており、
前記第1のネジ部分と前記第2のネジ部分とが、前記スピンドルナットの異なる部分に形成されており、
好ましくは、前記第1のネジ部分及び前記第2のネジ部分のうち一方のネジ部分が、前記スピンドルナットの雌ネジを形成しており、前記第1のネジ部分及び前記第2のネジ部分のうち他方のネジ部が、前記スピンドルナットの雄ネジを形成していることを特徴とする請求項1に記載の調整装置。
【請求項3】
前記調整装置が、主軸(A)を有しており、
前記回転式入力要素(26、126;226;326)及び前記回転式出力要素(16;116;216;316;416)が、前記主軸(A)を中心として回転し、
前記伝達手段(32;132;232;332)が、前記主軸(A)に沿って、軸線方向に変位可能とされることを特徴とする請求項1又は2に記載の調整装置。
【請求項4】
前記回転式入力要素(26、126;226;326)が、前記伝達手段(32;132;232;332)の前記第1のネジ部分と螺合している、及び/又は、前記回転式出力要素(116)が、前記伝達手段(132)の前記第2のネジ部分(134)と螺合していることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の調整装置。
【請求項5】
前記第2のネジ部分が、通常の動作の際にハウジングに固定されているネジ要素(38;238;338;438)と螺合していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の調整装置。
【請求項6】
前記伝達手段(32;132;232;332)が、前記回転式入力要素に対して、及び/又は、ハウジングに固定されている部分(138)に対して軸線方向に変位可能とされると共に回転可能に係合された状態で接続されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の調整装置。
【請求項7】
前記回転式入力要素が、前記モータ装置(18、22;118、122;218;222;318、322)によって回転可能に駆動されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の調整装置。
【請求項8】
前記モータ装置が、モータ(18;118;218;318)と、好ましくは遊星変速装置とされる変速装置(22;122;222;322)とを備えており、
前記モータの出力トルクが、前記変速装置に入力され、前記変速装置の出力トルクが、前記回転式入力要素を駆動することを特徴とする請求項7に記載の調整装置。
【請求項9】
前記調整装置についての所定の過負荷トルクを超えるトルクが前記回転式出力要素において入力される過負荷が生じた場合に、過負荷制御手段(250;350;450)が、前記回転式出力要素と前記モータ装置との間における回転状態での結合を防止するように、又は、特定回転角度の範囲に亘って回転状態での結合を少なくとも低減するように設定されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の調整装置。
【請求項10】
過負荷制御手段(250)が、前記回転式入力要素(260)と前記モータ装置(218、222)との間においてトルクを伝達するように配置されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の調整装置。
【請求項11】
前記過負荷制御手段(350;450)が、前記回転式出力要素(316;416)と前記回転式入力要素(326)との間に配置されていることを特徴とする請求項9又は10に記載の調整装置。
【請求項12】
前記第2のネジ部分が、ネジ要素(338;438)と係合されており、
前記ネジ要素(338;438)が、通常の動作の際に、すなわち、前記回転式出力要素(316;416)と前記モータ装置との間におけるトルクが所定の過負荷トルクより小さい場合に、前記過負荷制御手段(350;450)によって、前記調整装置のハウジング(312;412)に対して回転可能に係合された状態で保持されており、
過負荷が生じた場合に、すなわち、前記回転式出力要素(316;416)と前記モータ装置との間における前記トルクが前記所定の過負荷トルク以上である場合に、前記ネジ要素(338;438)が、前記過負荷制御手段(350;450)によって、前記ハウジングに対する回転のために解除されることを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載の調整装置。
【請求項13】
前記過負荷制御手段が、軸線方向に移動可能とされる結合要素(258;358;458)を備えており、
過負荷が生じた場合に、すなわち、前記回転式出力要素(216;316;416)と前記モータ装置との間におけるトルクが所定の過負荷トルク以上である場合に、前記結合要素が、前記結合要素を介したトルク伝達を防止するように、復元力とは反対向きの軸線方向に移動されることを特徴とする請求項9〜12のいずれか一項に記載の調整装置。
【請求項14】
好ましくは180度以下の角度である所定の旋回角度の範囲内においてベース部分に対する弁の移動を制御するための弁制御デバイスにおいて、
前記弁制御デバイスが、弁を具備するか、又は前記弁を搭載可能とされる弁ホルダと、請求項1〜13のいずれか一項に記載の調整装置(10;100;200;300;400)とを備えており、
前記弁ホルダが、前記回転式出力要素(16;116;216;316;416)に配置されており、
前記調整装置が、前記伝達手段と、前記回転式入力要素と、前記回転式入力要素を回転駆動するためのモータ装置とを収容しているハウジング(12;112;212;312;412)を備えており、
前記ハウジングが、動作の際に前記ハウジングを前記ベース部分に堅固に保持するための保持手段(14)を備えていることを特徴とする弁制御デバイス。
【請求項15】
前記弁制御デバイスが、請求項13に記載の調整装置(400)を備えており、
前記弁の前記旋回角度が、所定の動作角度の範囲内の値に制限されており、
結合要素(458)が、前記調整装置の関連する対向歯(455)と係合可能とされる歯(456)を備えており、前記歯(456)が、前記結合要素と前記対向歯(455)との間の相対回転を阻止するようになっており、
前記歯(456)と前記対向歯(455)との間の2つの隣接する係合位置が成す角度が、前記結合要素の回転方向において前記動作角度より大きいことを特徴とする請求項14に記載の弁制御デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ装置からの第1のトルクが調整装置に入力され得る回転式入力要素と、第2のトルクが調整装置によって出力され得る回転式出力要素と、第1のトルクを第2のトルクに変換するための伝達部分とを備える調整装置に関する。さらに、本発明は、前述の種類の調整装置を備える、所定の旋回角度におけるベース部分に対する弁の移動を制御するための弁制御デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
前述の種類の調整装置は、電気機械のアクチュエータとして先行技術で知られており、電気モータの出力シャフトの比較的速い回転を、アクチュエータの出力要素のより遅い回転に変換するために、概して遊星変速装置を使用する。しかしながら、遊星変速装置は、異なるシャフトで動作可能ないくつかの歯車を必要とするため、構造上の理由により比較的高価で維持が大変である。さらに、遊星変速装置の伝達比(減速比又は増速比)は、利用可能な設置空間に依存して制限される。比較的大きな減速比を実現するために、ウォームギヤを備える調整装置がさらに知られている。しかしながら、構造上の理由のため、ウォームギヤは、互いに対して斜めに配置される2つのシャフトの搭載を必要とし、そのためこの場合でも、構造の複雑性の増加と設置空間の要件の増加とがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、比較的大きな伝達比でトルク変換を可能にし、同時に、ほとんど設置空間を取らず、低複雑性の構造で製作できる、前述の種類の調整装置を提供することである。
【0004】
さらに、本発明の目的は、ベース部分に対する弁の動作が制御できる弁制御デバイスを提供することであり、コスト効率が高く、小形であるように意図される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様において、本発明の前述の目的は、モータ装置からの第1のトルクが調整装置に入力され得る回転式入力要素と、第2のトルクが調整装置によって出力され得る回転式出力要素と、第1のトルクを第2のトルクに変換するための伝達部分とを備え、伝達部分は、第1のネジ部分と第2のネジ部分とを有する伝達手段を備え、第1のネジ部分は、入力要素の回転を伝達手段の軸線方向運動に変換し、第2のネジ部分は、伝達手段の軸線方向運動を出力要素の回転に変換し、第1のネジ部分及び第2のネジ部分は、互いと異なるネジピッチを有する、調整装置によって達成される。
【0006】
従って、本発明の重要な特徴によれば、入力要素の回転による軸線方向運動で設けられ、さらに、この軸線方向運動を出力要素の回転に変換する、軸線方向に移動可能な伝達手段が提供される。この目的のために使用される伝達手段の第1及び第2のネジ部分は、互いと異なるネジピッチを有し、トルクの変換をもたらし、言い換えると、入力要素の回転の出力要素の回転への増加又は減少をもたらす。具体的には、本発明による装置は、関与する要素についての搭載の構成を単純化するために、入力要素の回転軸と出力要素の回転軸との同軸の配置を可能にする。さらに、異なるネジピッチの選択は、本発明による調整装置を、単純な構造で、小形の設計によって実施することを可能にする。ネジ部分及びネジピッチの形成に依存して、単純な方法で非常に大きい伝達比を実現することもできる。
【0007】
好ましい実施例では、伝達手段はスピンドルナットを備えることと、第1のネジ部分及び第2のネジ部分は、スピンドルナットの異なる部分に形成され、好ましくは、2つのネジ部分のうち一方はスピンドルナットの雌ネジを形成し、2つのネジ部分のうち他方はスピンドルナットの雄ネジを形成することとが提供される。この実施例は、具体的には2つのネジ部分が同じ構成要素であるスピンドルナットに形成され得るため、特に単純な構造を可能にする。具体的には、例えばスピンドルナットといった、単一部品又は統合要素は、伝達手段として提供でき、製作コストをさらに低減し、特に小形の設計を実施することをさらに可能にする。
【0008】
調整装置は、入力要素及び出力要素が周りで回転し、伝達手段が軸線方向で変位可能に沿う主軸を有し得る。この変形例は、特に単純でコスト効率が高い調整装置を製作することを可能にするだけでなく、具体的には円筒形である細長い調整装置の形態でさらに使用することもでき、そのため、調整装置の構造は、具体的には、弁の移動を制御するための弁制御デバイスでの使用に好ましい形を有する。
【0009】
好ましくは、入力要素は伝達手段の第1のネジ部分と螺合している、及び/又は、出力要素は伝達手段の第2のネジ部分と螺合しており、そのため、関連する要素同士の間の直接的な伝達が、摩擦損失を低減し、必要な構成要素における低減に寄与する。具体的には、実際の伝達部分は、そのため実質的に3つの移動可能な要素だけ、すなわち、入力要素、伝達手段、及び出力要素だけを用いて製作できる。
【0010】
本発明のさらなる実施例では、第2のネジ部分は、ハウジングに固定されるネジ要素と螺合され得る。本発明のさらなる実施例では、伝達手段は、入力要素及び/又は出力要素及び/又はハウジングに固定された部分に、軸線方向に変位可能であるが回転可能に係合された態様で接続可能とされる。この種類の測定は、伝達手段の軸線方向運動を、入力要素及び/又は出力要素及び/又はハウジングから解除することを可能にする。
【0011】
調整装置は、入力要素が回転可能に駆動されるのに用いられるモータ装置をさらに備え得る。モータ装置が調整装置の一部である場合、機械的又は移動可能な構成要素は、組み立てするのが容易であると共に、具体的には電気的に接触されるだけのままとなる構造ユニットを形成する。モータ装置と入力要素との間の位置決めと回転可能に係合される搭載とは、必要とされない。代替的には、調整装置の入力要素は、モータ装置の出力シャフトに回転可能に係合された態様で結合されるように設定されてもよく、そのため、モータ装置は、この場合、調整装置の一部ではない。
【0012】
調整装置が構造ユニットにおいてモータ装置を備える場合、モータ装置は、好ましくは、モータと変速装置とを備え、モータの出力要素は変速装置に入力され、変速装置の出力トルクは入力要素を駆動する。従って、モータのトルクのための追加の変換段が、例えば、調整装置の特に大きい伝達比を全体として実現するために、提供され得る。これは、具体的には遊星変速装置に関連しており、遊星変速装置は、この場合、具体的にはモータと回転式入力要素との間で軸線方向に配置される。
【0013】
本発明のさらなる好ましい実施例では、調整装置は、調整装置についての所定の過負荷トルクを超えるトルクが出力要素で入力される過負荷が生じた場合に、出力要素とモータ装置との間での回転状態での結合を妨げるように、又は、特定回転角度の範囲に亘って回転状態での結合を少なくとも低減するように設定される過負荷制御手段をさらに備える。具体的には、過負荷制御は、調整装置への損傷、具体的には、出力要素において作用するトルクが予想外又は不測の大きさである場合におけるモータ装置の損傷を防止する。調整装置が、例えば、弁を制御及び移動するための弁制御デバイスの一部である場合、過負荷制御手段は、比較的大きな外力が、具体的には弁の不適切な手による作動のため、弁に作用し、そのため過剰なトルクが出力要素に作用するときに、調整装置又はモータ装置への損傷を防止できる。過負荷制御手段は、モータ装置が過負荷制御手段に接続されるように、入力要素とモータ装置との間で、又は、入力要素の上流で、トルク伝達可能に配置されている。この方法では、モータ装置は、伝達部分への大きな構造上の変化がこの目的のために必要であることなく、過負荷に対して効果的に保護される。
【0014】
しかしながら、入力要素とモータ装置との間の過負荷制御手段の配置は、この場合に、伝達部分が、外部トルクの作用位置、明確には、出力要素と、過負荷制御手段との間に配置され、従って、過負荷制御手段が比較的小さいトルクにおいてすでに有効である必要があるため、過負荷制御手段の比較的大きな許容範囲を必要とする。これは、過負荷制御手段がモータ装置のモータと、例えば遊星変速装置といったモータ装置の下流の第1の変速装置との間に配置される実施例にも、当てはまる。代替的な変形例では、過負荷制御手段は、前述の欠点を防止するために、出力要素と入力要素との間に配置できる。言い換えると、異なる動作状態において、過負荷制御手段の設置位置は、モータ駆動についての出力側の過負荷トルクと、出力要素における力の作用についての過負荷トルクとの間の差が、出力要素からの過負荷結合部の距離の増加と共に増加するように、モータ、第1の遊星変速装置(存在する場合)、入力要素、伝達部分、及び出力要素の力の伝達連鎖に沿って、調整装置の出力側の過負荷トルクに作用する。
【0015】
過負荷制御手段が、上記で開示された力の伝達連鎖において出力要素に向かって比較的長い行程で移動される本発明の変形例では、第2のネジ部分はネジ要素と係合され、ネジ要素は、通常の動作の間、つまり、出力要素とモータ装置との間のトルクが所定の過負荷トルク未満であるとき、過負荷制御手段によって、調整装置のハウジングに対して回転可能に係合された態様で保持され、ネジ要素は、過負荷が生じた場合に、すなわち、出力要素とモータ装置との間におけるトルクが所定の過負荷トルク以上である場合に、過負荷制御手段によって、ハウジングに対する回転のために解除されることが、提供され得る。第2のネジ部分が伝達部分のトルク伝達路において出力要素側に配置されるため、この方策は、過負荷制御手段を、出力要素に向かって、言い換えると、過剰なトルクが調整装置に実際に入力される場所に向かって移動させる。
【0016】
本発明のさらなる実施例では、過負荷制御手段は、軸線方向に移動可能な結合要素を備え、過負荷が生じた場合に、すなわち、出力要素とモータ装置との間におけるトルクが所定の過負荷トルク以上である場合に、その結合要素は、結合要素を介したトルク伝達を妨げるように、復元力とは反対向きの軸線方向において移動される。この種類の移動可能な結合要素を使用することで、トルク伝達は、単純な機械的手段を用いることによって、過負荷が生じた場合であっても妨げられ得る。
【0017】
本発明の第2の態様では、本発明の前述の目的は、好ましくは180度以下の角度である所定の旋回角度の範囲内でのベース部分に対する弁の移動を制御するための弁制御デバイスであって、弁制御デバイスは、弁が設けられる、又は、弁が搭載可能である弁ホルダと、本発明の第1の態様による調整装置とを備え、弁ホルダは出力要素に配置され、調整装置は、伝達手段と、入力要素と、入力要素を回転駆動するためのモータ装置とが収容されるハウジングを備え、ハウジングは、動作の間にベース部分においてハウジングを堅固に保持するための保持手段を備える、弁制御デバイスによって達成される。
【0018】
本発明の第2の態様では、本発明の第1の態様からの本発明による調整装置の前述の利点は、弁制御デバイスとしての用途において利用される。従って、本発明の第2の態様の弁制御デバイスは、小形の設計と簡単な構造とを有し、所望の速度で弁の制御された旋回移動のための比較的大きな伝達比を可能にする。ハウジングは、調整装置のハウジングと剛体の構成要素との両方として同時に使用でき、さらに、ベース部分と弁との間の機械的な支えのために、言い換えると、弁を支持するために、使用できる。
【0019】
第2の態様の本発明の好ましい実施例では、弁制御デバイスは、本発明の第1の態様の変形例に関連して前述したような、軸線方向に移動可能な結合要素を有する調整装置を備える。従って、この種類のデバイスでは、弁の旋回角度は所定の動作角度の範囲内の値に制限され、結合要素は、調整装置の関連する対向歯と係合できる歯を備えることで、結合要素と対向歯との間の相対回転を阻止し、歯と対向歯との間の2つの隣接する係合位置は、結合要素の回転方向において、動作角度より大きい角度を形成する。この種類の弁制御デバイスは、過負荷が生じた場合に、結合要素が滑り出し、モータが弁を伴うことなく回転し続けるが、例えば、阻止を排除した後に弁が先に移動されるときといった、弁作動デバイスが次に元の位置に戻されるとき、結合要素は、伝達部分の他方の移動要素、具体的には、伝達手段及び出力要素に関して、同じ相対位置に戻されるという利点を有し、これは、弁の動作角度の範囲内で、1つだけのこの種類の相対位置が通常の動作を可能とするためである。
【0020】
本発明は、好ましい実施例を用いて、添付の図面を参照しつつ、以下においてより詳細に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1の実施例における調整装置の、当該調整装置の主軸に沿った断面図である。
【
図2】第1の実施例における調整装置の部分的な斜視断面図である。
【
図3】本発明の第2の実施例における調整装置の、当該調整装置の主軸に沿った断面図である。
【
図4】本発明の第3の実施例における調整装置の、当該調整装置の主軸に沿った断面図である。
【
図5】本発明の第4の実施例における調整装置の、当該調整装置の主軸に沿った斜視断面図である。
【
図6】ハウジングを省略した、
図5に表わす斜視断面図である。
【
図7】本発明の第5の実施例における調整装置の斜視図である。
【
図8】第5の実施例における調整装置の結合ホイールの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1及び
図2に概略的に表わす、本発明の第1の実施例における調整装置10は、調整装置10を、例えば弁装置のベース部分やフレームのような外部構成要素(図示しない)に固定するための固定部分14を備えるハウジング12を備えている。調整装置10によって発生されるトルクが被駆動要素16で出力され、被駆動要素16は、弁制御デバイスにおける用途の場合、調整装置10がベース部分に対して弁を旋回できるように、弁に固定されているか、又は弁によって形成されている。被駆動要素16は、被駆動レバーとして形成されている場合がある。
【0023】
調整装置のための駆動エネルギーはモータ18によって提供でき、実施例ではモータ18は、ハウジング12に受け入れられる電気モータである。モータ18の出力シャフト20は、好ましくは、第1のトルク変換を達成するために、具体的には、モータ18の比較的大きな出力回転速度を、変速装置出力シャフト24のより小さい回転速度に変換するために、変速装置22に結合される。変速装置22は、好ましくは遊星変速装置であり、従って、モータ出力シャフト20から変速装置出力シャフト24へのトルクの同軸の伝達を、比較的大きな変換率で可能にする。
【0024】
モータ18及び変速装置22は、入力要素26において第1のトルクを提供する、本発明に係るモータ装置を形成している。代替的には、モータ装置は、モータ単体によって構成されており、言い換えると、変速装置を具備せず、構成されているか、又は遊星変速装置22の代替として別形態の変速装置を使用することもできる。
【0025】
本発明の第1の実施例では、入力要素26は、雄ネジ28が設けられ、具体的には、ハウジング12に対して軸線方向で固定であって主軸Aの周りで回転可能であるように搭載されるスピンドルとして形成され得る。スピンドル26の雄ネジ28は、伝達手段32の雌ネジ30と係合される。伝達手段32は雄ネジ34をさらに備え、雄ネジ34は、さらに、ハウジングに固定されたネジ付スリーブ38の雌ネジ36と係合される。ネジ付スリーブ38は、ハウジング12に固定されているか、又はハウジング12自体によって形成されている。
【0026】
伝達手段32の雌ネジ30は、伝達手段32の雄ネジ34のネジピッチと異なるネジピッチであって、実施例では具体的にはより小さいネジピッチを有する。対応して、入力要素26の雄ネジ28のネジピッチも、ネジ付スリーブ38の雌ネジ36と異なり、具体的にはより小さい。伝達手段32は、入力要素26とネジ付スリーブ38との間において回転可能且つ軸線方向に移動可能とされる態様で案内される。結果として、モータ装置18、22によって駆動される入力要素26の回転移動は、伝達手段32の軸線方向の移動をもたらし、伝達手段32とネジ付スリーブ38との間の制限された案内が、回転移動に重なり、この軸線方向運動において、ネジ付スリーブ38の雌ネジ36のネジピッチに対応する。この雌ネジ36のピッチが入力要素26の雄ネジ28のピッチよりはるかに大きいため、伝達手段32は、入力要素26の回転速度よりはるかに小さい回転速度で回転する。
【0027】
伝達手段32は、被駆動要素16を回転可能に駆動するために、トルク伝達可能な状態で被駆動要素16に結合される。しかしながら、好ましくは、伝達手段32と被駆動要素16との間での結合部は、例えば作動弁について望まれるものなど、被駆動要素16において回転移動を純粋に提供するために、伝達手段32の軸線方向の移動構成要素が被駆動要素16に伝達されないように構成されている。従って、伝達手段32は、トルク伝達可能であるが軸線方向に変位可能な態様で、比駆動要素16に結合可能とされる。このような結合を実現するために、伝達手段32の外周に設けられた軸線方向歯部40が、被駆動要素16の内周に設けられた対になる軸線方向歯部42と係合され、これにより、伝達手段が、軸線方向において被駆動要素16の内部に変位とされるか、又は被駆動要素16の外部に引っ張り出されるが、被駆動要素16に対して回転することができない。図示の実施例では、被駆動要素16は、軸線方向歯部42が形成されている中空シャフト44と、中空シャフト44に固定されている被駆動レバー46とを備えている。
【0028】
このように構成されている調整装置10は、比較的大きな回転の速度低減を可能にし、言い換えると、簡単で小形な構造を用いて、比較的大きな伝達比を有する伝達部分を可能にする。調整装置10の全長が調整装置10の主軸A(入力要素26の回転軸)に沿って縮小され得るように、伝達手段32の雌ネジ30と雄ネジ34とは軸線方向において重なり得る、及び/又は、ネジシャフト38の雌ネジ36と入力要素26の雄ネジ28とは軸線方向において重なり得ることが、
図1においてさらに見ることができる。
図1に表わすように、伝達要素32は、単一部品から成るスピンドルナットから形成されているので、特に単純且つコスト効率が高い方法で製造可能とされる。さらに、調整装置10のほぼすべての回転可能な部品の回転軸は、好ましくは相互に平行とされるように、略同軸とされるように方向づけられている。具体的には、モータ出力シャフト20、変速装置出力シャフト24、入力要素26、伝達手段32、及び被駆動要素16の回転軸すべてが、調整装置10の主軸Aに位置決めされているので、安定した小形の装置を実現した上で、略円筒状のハウジング12の内部における収容を可能にする。
【0029】
以下において、本発明の第2の実施例が、
図3を参照しつつ開示されている。そのようにすることで、第1の実施例との違いだけが、以下において詳細に論じられている。調整装置のすべての他の構成要素の構造及び動作モードに関しては、ここでは、第1の実施例の先の記載が明示的に参照される。
【0030】
第2の実施例の調整装置100は、モータ118及び変速装置122が収容されるハウジングを備える。モータ118及び変速装置122によって形成されるモータ装置は、入力要素126を駆動するためのトルクを提供し、入力要素126はさらに、雄ネジ128を備えるネジスピンドルとして形成される。入力要素126の雄ネジ128は、伝達手段132の雌ネジ130と螺合されている。伝達手段132は、調整装置100のハウジング112に対して回転可能に係合されるが軸線方向に変位可能とされる態様で案内される。この目的のために、具体的には、伝達手段132の外周における軸線方向歯部140は、ハウジングに固定された案内スリーブ138の内周における軸線方向歯部142において案内され得る。代替的には、例えば、軸線方向歯部142がハウジング112の内周に直接的に形成される場合、案内スリーブ138は、ハウジング112によって形成され得る。
【0031】
伝達手段132は、被駆動要素116の雌ネジ136と係合される第2のネジ、具体的には、雄ネジ134をさらに備える。被駆動要素116は、ハウジング112に対して、回転可能であるが軸線方向に変位可能とされる態様で保持されている。
【0032】
伝達要素132の雄ネジ134のネジピッチは、伝達手段132の雌ネジ130のネジピッチと異なり、具体的にはより大きくなっている。
【0033】
調整装置100の動作の間、モータ装置118、122は第1のトルクを発生し、第1のトルクは入力要素126において入力され、入力要素126を回転させる。軸線方向案内部140、142の結果として、この回転移動は、伝達手段132を、入力要素126の回転軸Aに沿って(純粋に)軸線方向に変位移動させる。最後に、伝達手段132の軸線方向の変位は、伝達手段132の雄ネジ134と被駆動要素116の雌ネジ136との間で、螺合を用いて、被駆動要素116の回転移動に変換される。伝達手段132の雌ネジ130と雄ネジ134との間の異なるネジピッチのため、伝達手段132の特定の軸線方向の変位距離は、被駆動要素116のはるかにより小さい回転の角度、又は、被駆動要素116のはるかにより遅い回転をもたらす。
【0034】
以下において、本発明の第3の実施例が、
図4を参照しつつ開示されている。第3の実施例は、第1の実施例の構造(
図1及び
図2)に基づかれている。第1の実施例からの違いだけが、以下において詳細に論じられており、繰り返して記載していない調整装置のすべての構成要素及び機能に関しては、ここでは、第1の実施例の記載が明示的に参照される。
【0035】
第3の実施例の調整装置200は、第1のトルクを提供するためのモータ218と変速装置222とを備えるモータ装置を備えており、第1のトルクは入力要素226に入力される。入力要素226におけるこの第1のトルクを被駆動要素216における第2のトルクに変換するための伝達部分が、第1の実施例においてのように、入力要素226と、伝達手段232と、ネジ付スリーブ238と、被駆動要素216とを備える。しかしながら、入力要素226と被駆動要素216との間の伝達部分は、異なる構成のものであり得る。第1の実施例と異なり、第3の実施例の調整装置200は、モータ装置218、222の変速装置出力シャフト224と入力要素226との間に配置される過負荷結合部250を備えることによって、所定の過負荷トルクを超えるトルクが被駆動要素216とモータ装置218、222との間に作用した場合に、トルク伝達路を妨げる、又は、被駆動要素216と変速装置出力シャフト224との間で相対回転を可能にする。この方法では、例えば、被駆動要素216によって作動される弁が外部抵抗に抗して動いている場合といった、大きな外力が加えられる場合、モータ装置218、222における過負荷が防止される。
【0036】
過負荷結合部250はキャリアホイール252を備え、キャリアホイール252は、変速装置出力シャフト224と回転可能に係合され、この目的のために、変速装置出力シャフト224に直接的に固定されているか、又は変速装置出力シャフト224に搭載されるアダプタホイール254に支持されるかのいずれかである。キャリアホイール252は、キャリアホイール252の端面から軸線方向に突出する歯部255を備える。キャリアホイール252の歯部255は、結合ホイール258の対応する歯部256に係合し、歯部256は、同様に、キャリアホイール252を向く結合ホイール258の端面において軸線方向に突出して形成される。歯部255、256は、各々の場合で斜めの側面又は丸い側面を有する歯及び切り欠きを備え、好ましくは、V字形の歯の側面及び切欠きの側面を備える。キャリアホイール252の歯部255及び結合ホイール258の歯部256が互いと係合される場合、キャリアホイール252と結合ホイール258との間の相対回転は、キャリアホイール252と結合ホイール258とを軸線方向で分離させ、従って、歯255、256の前述の斜めの面が互いにおいて滑るという点において、歯255、256を解除させることができる。
【0037】
過負荷結合部250は結合出力ホイール260をさらに備え、結合出力ホイール260は、軸受261において回転可能に、ハウジング212において軸線方向で移動不可能に、保持される。結合ホイール258は、結合出力ホイール260において、回転可能に係合されるが軸線方向に変位可能とされる態様で保持されている。具体的には、軸線方向の切り欠き歯部262が、結合ホイール258及び結合出力ホイール260に設けられ、互いと係合され、結合ホイール258及び結合出力ホイール260が軸線方向で互いに対して変位され得るが2つの構成要素の相対回転が阻止されることを確保してもよい。結合出力ホイール260と結合ホイール258との両方において支持されるバネ264を用いて、結合ホイール258は、キャリアホイール252に向かって、言い換えると、歯部255、256の係合に向かって、好ましくは付勢される。結合出力ホイール260は、好ましくは、入力要素226と回転可能に係合される、又は、入力要素226と一体に形成される。
【0038】
以下において、過負荷結合部250の動作モードが記載されている。通常の動作の間、モータ装置218、222が被駆動要素216を動かすために駆動され、所定の過負荷トルク未満である被駆動要素216の部品における抵抗がこの回転の動きに抗するとき、バネ264は結合ホイール258をキャリアホイール252と係合して保持し、そのため、変速装置出力シャフト224の回転移動は、キャリアホイール252、結合ホイール258、及び結合出力ホイール260を介して入力要素226に伝達され、トルク変換の後、被駆動要素216は回転可能に駆動される。被駆動要素216が外力によって阻止される場合、又は、所定の過負荷トルクを超えるトルクが、被駆動要素216とモータ装置218、222と間で何らかの他の方法で作用する場合、つまり、過負荷が生じる場合、この外部トルクは、被駆動要素216、変速手段232、及び入力要素226を介して過負荷結合部250に入力され、結合出力ホイール260及び結合ホイール258に伝達される。結合ホイール258と、モータ装置218、222に接続されたキャリアホイール252との間のトルク差は、続いて、歯部255、256の斜めの面又は丸みが沿って滑ることと、結合ホイール258とキャリアホイール252との間の係合が、バネ264の力に抗して分離されることとをもたらす。過負荷結合部250は、続いて、トルク結合がこの時点で妨げられるように、歯部255、256の歯にわたる結合ホイール258とキャリアホイール252との間の回転を可能にする。外部トルクが作用しなくなると、又は、所定の過負荷トルク未満の大きさに低減されると、過負荷結合部250は、バネ264のおかげで再び係合し、調整装置200は再び通常に動作され得る。
【0039】
以下において、本発明の第4の実施例が、
図5及び
図6を参照しつつ開示されている。第4の実施例は第3の実施例への改良であり、そのため、第3の実施例からの違いだけが、以下において詳細に論じられており、そうでない場合は、ここでは、第3及び第1の実施例の記載が明示的に参照される。
【0040】
第4の実施例の調整装置300は、変速装置出力シャフト324において第1のトルクを提供するモータ318と変速装置322とを備えるモータ装置を備える。第1及び第3の実施例にあるように、入力要素326、伝達手段332、ネジ付スリーブ338、及び被駆動要素316を備える伝達部分を用いることで、この第1のトルクは、被駆動要素316において第2のトルクに変換される。この場合でも、伝達部分は、トルク変換について異なる原理を用いて実施される。
【0041】
第4の実施例でも、調整装置300は過負荷結合器350を備える。しかしながら、第3の実施例と異なり、第4の実施例では、変速装置出力シャフト324は、入力要素326と回転可能に係合され、具体的には、これらのシャフトは、動作の間、互いに対して固定される。実施例では、アダプター要素354が変速装置出力シャフト324に固定されており、接続要素353を担持し、接続要素353は、さらに、ネジによって入力要素326に固定されている。代替的には、変速装置出力シャフト324は入力要素326に直接的に固定可能とされるか、又は変速装置出力シャフト324はそれ自体で入力要素326を直接的に形成し得る。入力要素326は、ハウジング312に対して、又は、ネジ付スリーブ338に対して、軸受361に回転するように支持され得る。
【0042】
ハウジング312に対して固定された担体部370が、軸線方向案内部362において結合ホイール358を担持し、そのため、結合ホイール358は、担体部370に対して、延いてはハウジング312に対して、軸線方向に変位可能であるが、回転可能に係合されるように保持される。担体部370は、簡単な搭載を許容するために、モータ装置と共にハウジング312に滑り込まされ得る、又は、ハウジング312から取り外され得るように、ハウジング312において直接的に固定されているか、又は第3の実施例のように変速装置322に固定されている。
【0043】
図6において具体的に見ることができるように、結合ホイール358は、軸線方向に向く端面において、合致する歯部355と係合させられ得る歯部356を備え、歯部355は、軸線方向において反対を向く変速装置スリーブ338の端面に設けられる。歯部355、356の歯は、それらのそれぞれの構成要素338、358から、言い換えると、各々の場合で軸線方向において、突出しており、互いを向いている。歯部355、356の歯側面又は切り欠き側面が、斜めに又は丸くされており、言い換えると、軸線方向のシャフトに対して斜めとなっており、そのため、結合ホイール358とネジ付スリーブ338とが相対的に回転する場合に、斜めの面又は丸みが互いに沿って滑り、歯の係合が解除されるまで2つの要素が互いから離されることが、さらに見ることができる。担体部370と結合ホイール358との両方に支えられるバネ364は、歯部355、356を互いと係合して保持するために、結合ホイール358を軸線方向においてネジ付スリーブ338に向けて引っ張る。
【0044】
第1及び第3の実施例の構造と比較して、第4の実施例では、ネジ付スリーブ338は、ハウジング312において、回転可能に係合された状態で固定されていないが、ハウジング312に対して回転できる。通常の動作では、言い換えると、所定の過負荷トルク未満の外部トルクが被駆動要素316とモータ装置318、322との間に作用するとき、バネ364は結合ホイール358をネジ付スリーブ338と係合させて保持し、そのため、ネジ付スリーブ338は、ハウジング312に対して回転可能に係合された態様で保持されており、調整装置300は、第1の実施例に記載したのと同じ方法で動作され得る。過負荷が生じた場合に、所定の過負荷トルクを超えるトルクが被駆動要素316とモータ装置318、322との間に作用するとき、過剰なトルクが被駆動要素316を介して伝達手段332に入力される。伝達手段332と入力要素326とは、第1の実施例に関連して開示された態様でネジ付スリーブ338を介して相互接続されているので、トルク変換の際に、トルクがネジ付スリーブ338にも作用する。過負荷が生じた場合に、ネジ付スリーブ338へのトルクは、歯部355、356を互いに沿って滑らせ、結合ホイール358をバネ364の力と反対の軸線方向で変位させるのに十分な大きさである。結合ホイール358とネジ付スリーブ338との間の歯係合を解除することで、ネジ付スリーブ338が、伝達手段332の回転に従って、延いては入力要素326の回転から独立して、ハウジング312に対して回転することを可能にする。従って、被駆動要素316とモータ装置318、322との間のトルク伝達はこの時点において取り除かれ、モータ装置318、322への過剰なトルクの導入が防止され得る。過負荷状態でなくなった場合に、バネ364が結合ホイール358をネジ付スリーブ338との係合状態に復帰するように移動させ、これにより、再度、ネジ付スリーブ338がハウジングに回転可能に係合された状態で保持されるので、再び通常の動作が可能となる。
【0045】
以下において、本発明の第5の実施例が、
図7及び
図8を参照しつつ開示されている。第5の実施例は第4の実施例への改良であり、そのため、第4の実施例からの違いだけが、以下において詳細に論じられており、すべての他の構成要素の構造及び動作に関しては、ここでは、第3及び第1の実施例の記載との関連で適用可能である第4の実施例の先の記載が明示的に参照される。
【0046】
第5の実施例では、過負荷結合部450は、実質的に、第3の実施例においてと同一の構造のものであるが、結合ホイール458及びネジ付スリーブ438の歯部455及び456の形が異なっている。
図7及び
図8において明確に見ることができるように、結合ホイールは、120°の角度で相互にずらして配置されている3つの突起又は歯456−1、456−2、及び456−3を単に備える。対応して、3つの切り欠き455−1、455−2、及び455−3が、ネジ付スリーブ438の端面において120°の角度で相互にずらして配置される。従って、結合ホイール458及びネジ付スリーブ438は、3つの異なる回転位置で係合され得るだけである。
【0047】
第5の実施例の調整装置400は、被駆動要素416が120°未満の通常の動作角度を有する用途において特別な効果を実現する。しばしば生じる用途は、例えば、被駆動要素416に固定されている弁が、例えば約90°といった120°未満である開位置と閉位置との間で旋回角度だけ旋回される弁作動装置である。この種類の用途では、過負荷結合部450は次の効果を有する。動作角度の範囲内の被駆動要素416の移動の間、被駆動要素416が阻止される、又は、被駆動要素416において何らかの他の過剰な圧力がある場合、トルク伝達は過負荷結合部450の領域で断たれ、従って、入力要素426の回転は、伝達手段432の線形の変位を介してネジ付スリーブ438の回転に変換される。従って、ネジ付スリーブ438の回転の角度は、被駆動要素416が阻止されていない場合に回転する回転の角度に対応する。被駆動要素416の動作角度が120°未満である用途、延いては、この動作角度が網羅されるまでモータ装置が両方の回転において回転するだけであるように設定され得る用途では、モータの回転、延いてはネジ付スリーブ438の回転は、結合ホイール458の歯部456がネジ付スリーブ438の次に来る歯部455に引っ掛かる前に終わる。これは、この種類の妨害の場合、モータが切られた後、被駆動要素416は、例えば、通常の動作角度の端の位置に到達するまで手動で再位置決めでき、その後、結合ホイール458の各々の歯は、ネジ付スリーブ438の同じ関連する切り欠きに正確に戻るように移動し、それによって、歯は、過負荷が生じるまで、調整装置400の通常の動作の間に係合していることにもなる。これは、過負荷手段が、具体的には、過負荷が生じない場合、及び、調整装置400が、代わりに、通常の動作において、関連する終端位置に進行される場合、取ることになる位置において、長手方向軸に対して非常に正確に位置付けられることを、必然的に意味している。このようにして、過負荷が除荷された後に、簡単な方法で調整装置400を動作準備位置に確実に復帰させることができる。
【0048】
第5の実施例の前述の効果は、当然ながら、結合ホイール458が、歯456−1、456−2、456−3の代わりに、3つの対応する切り欠き又は窪みを備え、合致する歯がネジ付スリーブ438に代わりに設けられる場合にも実現できる。さらに、結合ホイール458及びネジ付スリーブ438における3つの歯及び3つの窪みの代わりに、より多くの歯及びより多くの窪み、又は、2つだけの歯及び2つだけの窪み、又は、さらには1つだけの歯及び1つだけの関連する窪みが設けられてもよい。前述の効果について重要なことは、結合ホイール458及びネジ付スリーブ438の隣接する引っ掛かりの位置(引っ掛かり回転位置)同士の間の中間角度が、例えば、弁制御デバイスの場合に弁の最大旋回角度といった、被駆動要素416の動作角度より大きいことである。
【0049】
最後に、第5の実施例では、ネジ付スリーブ438が2つの部品で形成されてもよく、明確には、歯455を担持する第1の部分438−1と、第2の部分438−2とを備えてもよく、第1の部分438−1及び第2の部分438−2が堅固に相互に接続されることは、留意されるべきである。代替的には、ネジ付スリーブ438は、第3の実施例にあるように、単一部品で形成され得る。
【符号の説明】
【0050】
10 調整装置
12 ハウジング
14 固定部分
16 被駆動要素
18 モータ、モータ装置
20 モータ出力シャフト
22 変速装置、モータ装置
24 変速装置出力シャフト
26 入力要素、スピンドル
28 雄ネジ
30 雌ネジ
32 伝達手段、伝達要素
34 雄ネジ
36 雌ネジ
38 ネジ付スリーブ、ネジシャフト
40 歯部
42 歯部
44 中空シャフト
46 被駆動レバー
100 調整装置
112 ハウジング
116 被駆動要素
118 モータ、モータ装置
122 変速装置、モータ装置
126 入力要素
128 雄ネジ
130 雌ネジ
132 伝達手段、伝達要素
134 雄ネジ
136 雌ネジ
138 案内スリーブ
140 歯部、軸線方向案内部
142 歯部、軸線方向案内部
200 調整装置
212 ハウジング
216 被駆動要素
218 モータ、モータ装置
222 変速装置、モータ装置
224 変速装置出力シャフト
226 入力要素
232 伝達手段
238 ネジ付スリーブ
250 過負荷結合部
252 キャリアホイール
254 アダプタホイール
255 歯部
256 歯部
258 結合ホイール
260 結合出力ホイール
261 軸受
262 切り欠き歯部
264 バネ
300 調整装置
312 ハウジング
316 被駆動要素
318 モータ
322 変速装置
324 変速装置出力シャフト
326 入力要素
332 伝達手段
338 ネジ付スリーブ、変速装置スリーブ
350 過負荷結合器
353 接続要素
355 歯部
356 歯部
358 結合ホイール
361 軸受
362 軸線方向案内部
364 バネ
370 担体部
400 調整装置
416 被駆動要素
426 入力要素
432 伝達手段
438 ネジ付スリーブ
438−1 第1の部分
438−2 第2の部分
450 過負荷結合部
455 歯部
455−1、455−2、455−3 切り欠き
456 歯部
456−1、456−2、456−3 突起、歯
458 結合ホイール
A 主軸、回転軸