(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0019】
図1および
図2は、加熱調理器1の構成を示す図である。
図1(a)は、加熱調理器1の正面図である。
図1(b)は、加熱調理器1の正面断面図である。
図2(a)は、調理室20内にターンテーブル70が設置された状態を示す図であり、
図2(b)は、調理室20内に調理容器80が設置された状態を示す図である。
【0020】
本実施の形態において、加熱調理器1は、ガスバーナーで加熱された熱風によるオーブン加熱調理と、マグネトロンから放出された高周波(マイクロ波)による電子レンジ加熱調理と、熱風と高周波によるコンビ加熱調理とが可能なガスオーブンレンジである。この他、加熱調理器1は、電子オーブンレンジ、電子レンジ等、他の種類の加熱調理器であっても良い。
【0021】
加熱調理器1は、ほぼ方形の箱状に形成された金属製の筐体10を備える。筐体10内には、調理室20が設けられる。調理室20は、金属材料によってほぼ方形の箱状に形成され、前面が投入口20aとして開口する。投入口20aは、筐体10のドア11で開閉される。ドア11は、下端部の両側が回転可能に支持され、ユーザが持ち手部11aを持ってドア11を前方に引くと、ドア11が下方に倒れるように開放される。
【0022】
筐体10の正面には、ドア11に隣接して操作パネル12が設けられる。操作パネル12には、各種の操作ボタンや表示器が配置される。操作ボタンは、各種調理コースを選択するためのボタン、スタート操作を行うためのボタン等を含む。
【0023】
調理室20の後方には、熱風供給ユニット30が設けられ、調理室20の後面に形成された導入口21と導出口22とが、熱風供給ユニット30に連通する。熱風供給ユニット30は、ガスバーナー、送風ファン等を含み、送風ファンによって生起されガスバーナーで加熱された熱風が導入口21から調理室20内に導入される。導入された熱風によって調理室20内の食品が加熱される。熱風は、導出口22から導出されて、その一部が熱風供給ユニット30に戻され、再び加熱される。加熱供給ユニット30に戻されない熱風は外部に排出され、その分、新たに外部の空気が熱風供給ユニット30に導入される。
【0024】
調理室20の側方には、高周波供給ユニット40が設けられる。高周波供給ユニット40は、マグネトロン41と導波管42を含み、マグネトロン41が発生した高周波が導波管42を通って調理室20内に導入される。導入された高周波によって、調理室20内の食品が高周波加熱される。
【0025】
調理室20は、取付板13等を介して筐体10に固定される。調理室20は、筐体10および筐体10に接続されたアース線を介して接地される。
【0026】
調理室20の底面には、中央部に設置台50が設けられる。設置台50は、調理室20を通じて接地されている。また、調理室20の下方には、駆動装置60が配置される。駆動装置60は、ターンテーブル70と調理容器80の撹拌羽根を回転させる。
【0027】
図2(a)に示すように、熱風や高周波により食品の単純な加熱調理を行う際には、調理室20内にターンテーブル70が設置される。ターンテーブル70の上に、食品を載せたバットや皿が置かれる。
【0028】
加熱調理器1は、調理容器80を用いた自動調理の機能を備える。自動調理の際、
図2(b)に示すように、調理室20内に、撹拌羽根を有する調理容器80が設置される。調理容器80は、設置台50に取り外し可能に固定される。自動調理では、たとえば、切られた具材が調理容器80内に投入され、調理容器80内で撹拌されながら熱風供給ユニット30からの熱風と高周波供給ユニット40からの高周波とにより加熱される。このようにして、ユーザは、加熱調理器1を用いて、カレーや煮物料理を作ることができる。自動調理には、パン焼きの調理が含まれる。調理容器80内に生地材料が投入され、撹拌される。こうして、調理容器80内でパン生地が生成される。その後、熱風によりパン生地が加熱され、パンが焼き上げられる。このようにして、ユーザは、加熱調理器1を用いて、パンを焼き上げることができる。なお、カレーや煮物料理の自動調理では、その運転コースによって、熱風供給ユニット30からの熱風のみ、あるいは高周波供給ユニット40からの高周波のみによって調理容器80内の具材が加熱される場合がある。
【0029】
図3は、設置台50に調理容器80が装着された状態の加熱調理器1の要部の正面断面図である。
図4は、調理室20の底面に設置台50が取り付けられた状態を示す斜視図である。
図5は、設置台50の斜視図である。なお、
図4では、便宜上、調理室20が下部位置で水平方向に切断されている。
【0030】
図1(b)および
図3を参照して、駆動装置60は、調理容器80の撹拌羽根を回転させるための構成として、羽根駆動軸110と、出力カム120と、羽根駆動モータ130と、伝達機構部140とを含む。また、駆動装置60は、ターンテーブル70を回転させるための構成として、テーブル駆動軸150と、連結軸160と、テーブル駆動モータ170とを含む。
【0031】
羽根駆動軸110は、円筒状に形成され、その上端部に出力カム120が取り付けられる。出力カム120は、ほぼ円盤状を有する。出力カム120の上面には、ほぼ90度の間隔を置いて、4つの出力羽根121が形成される(
図5参照)。羽根駆動モータ130は、たとえば、誘導モータであり、筐体10の底部に設けられたモータ取付板14に取り付けられる。羽根駆動モータ130と羽根駆動軸110とは、伝達機構部140により連結されている。伝達機構部140は、羽根駆動軸110に固定される大プーリー141と、羽根駆動モータ130に固定される小プーリー142と、大プーリー141と小プーリー142に架け渡されるベルト143とを含む。羽根駆動モータ130の動力が伝達機構部140を介して羽根駆動軸110に伝達される。
【0032】
テーブル駆動軸150は、羽根駆動軸110の内部に回転自在に配置される。テーブル駆動軸150の上端部に連結軸160が取り付けられる。
図2(a)に示すように、ターンテーブル70には、底面の中央に回転軸71が形成されており、ターンテーブル70が用いられる際、回転軸71が連結軸160に連結される。テーブル駆動モータ170は、たとえば、ギアドモータであり、ステータ、ロータおよび多段のギアを含み、ロータの回転をギアによりテーブル駆動軸150に伝えて、テーブル駆動軸150を回転させる。
【0033】
図3ないし
図5を参照して、調理室20の底面には、僅かに凹む円形の凹み部23が形成されており、この凹み部23のほぼ中央に設置台50が配置される。凹み部23は、ターンテーブル70上で食品を収容する容器や調理容器80からこぼれた水などの液体を回収する。これにより、液体が調理室20内から外部に漏れ出すことが防止される。
【0034】
設置台50は、台本体210と、固定部220と、ガイド板230と、軸受部240とを含む。台本体210、ガイド板230および軸受部240は、アルミダイカスト等の金属材料により一体形成される。勿論、これら台本体210、ガイド板230および軸受部240のうちの1つの部材が別体として構成されてもよいし、3つの部材ともが別体として構成されてもよい。
【0035】
台本体210は、ほぼ円盤状を有し、円形の中央部211よりも外周部212が一段低くなるように形成されている。中央部211には円形の凹部213が形成され、この凹部213の中央に出力カム120が配置される。
【0036】
中央部211の外周には、出力カム120を囲むようにして、前後左右の4か所に昇降台部214が形成される。昇降台部214は、中央部211の外周に沿うような円弧状を有する。昇降台部214は、平坦面214aと、上から見て右回り方向に平坦面214aから続く傾斜面214bとを有する。平坦面214aは、中央部とほぼ同じ高さ(実際には中央部よりやや低い高さ)を有する。傾斜面214bは、平坦面214aから下って外周部212の表面212aに繋がる。前側と右側の昇降台部214には、平坦面214aにおける傾斜面214bと反対側の端部に上方に突出する突起からなるストッパー部214cが形成される。
【0037】
台本体210の左側および右側には、外周部212の外周縁に沿って前後に延びるガイド壁部215が、外周縁から立ち上がるように形成される。また、台本体210の後側には、外周部212の外周縁に沿って左右に延びる当り壁部216が、外周縁から立ち上がるように形成される。
【0038】
固定部220は、アルミダイカスト等の金属材料により形成され、台本体210の凹部213内にネジ250により取り付けられる。固定部220は、出力カム120を囲む円筒状の胴部221と、胴部221の上部に形成された4つの係合爪部222とを含む。係合爪部222は、凹部213の内周面側に張り出すように、ほぼ90度の間隔で設けられる。係合爪部222の底面222aは、上から見て右回り方向に向うに従って、その高さが低くなるよう、即ち、凹部213の底面との隙間が狭くなるように傾斜する。
【0039】
ガイド板230は、台本体210の前方、即ち、台本体210に対し調理室20の投入口20a側に設けられ、台本体210から調理室20の凹み部23の周縁近傍まで延びる。ガイド板230は、凹み部23の底面と離れた状態で底面に対面する。ガイド板230の前端部は、凹み部23の周縁に合わせて円弧状に形成される。台本体210の中央部211の高さは、凹み部23の周囲の調理室20の底面の高さ(凹み部23の深さ)とほぼ等しく、ガイド板230の高さは、これら台本体210の中央部211および調理室20の底面の高さとほぼ等しくされる。ガイド板230の前端部と凹み部23の周縁との隙間Lが小さすぎると、マグネトロン41が発生した高周波によりスパークが発生する虞がある。このため、隙間Lは、スパークが発生しない範囲で、できるだけ小さくなるように設定されることが望ましい。さらに、ガイド板230は、ほぼコ字状に形成され、その面積の半分以上が開口している。これにより、凹み部23において、ガイド板230の下側に溜まった液体や食品の滓などを、開口230aを通じて容易に除去でき、凹み部23が清掃しやすい。
【0040】
ガイド板230には、左右の端部から立ち上がるようにガイド部231が形成される。左右のガイド部231は、前後方向に延び、その後端部が台本体210の左右のガイド壁部215に繋がる。ガイド板230の左右のガイド部231の間隔は、調理容器80の台座部(後述する)の外径よりも僅かに大きくされる。
【0041】
軸受部240は、台本体210の裏側に設けられる。軸受部240は、上下に並ぶ2つの転がり軸受241を備え、これら転がり軸受241により羽根駆動軸110を回転可能に支持する。
【0042】
図6は、上方から見た調理容器80の斜視図である。
図7は、下方から見た調理容器80の斜視図である。
【0043】
図3、
図6および
図7を参照し、調理容器80は、容器本体310と、軸受部320と、翼軸330と、撹拌羽根340と、入力カム350と、台座部360と、接触部材370とを含む。本実施の形態では、軸受部320と台座部360は一体形成されている。軸受部320と台座部360とが、別々に形成され、組み合わせられてもよい。
【0044】
容器本体310は、アルミニウム等の金属材料で形成された底の深い丸鍋である。容器本体310の形状は、丸鍋の形状に限られるものではなく、如何なるものであってもよい。容器本体310の上部には、互いに対向する位置に一対の第1取っ手部311が設けられ、これら一対の第1取っ手部311の間のほぼ真ん中の位置に第2取っ手部312が設けられる。第1取っ手部311は、調理容器80を持ち運ぶ際にユーザに持たれ、第2取っ手部312は、昇降により調理容器80を設置台50に対して着脱する際にユーザに持たれる。
【0045】
第2取っ手部312と、第2取っ手部312の右側の第1取っ手部311との間には、表記板部313が設けられる。表記板部313には、調理容器80を設置台50に装着するときの調理容器80の回転方向、即ち装着方向を指定する第1表記313aと、調理容器80を設置台50から取り外すときの調理容器80の回転方向、即ち離脱方向を指定する第2表記313bとが付される。第1表記313aは、たとえば、「しめる」の文字および回転方向を示す矢印で構成され、第2表記313bは、たとえば、「はずす」の文字および回転方向を示す矢印で構成される。さらに、第2取っ手部312には、調理容器80を設置台50に設置するときの調理容器80の方向を指定する第3表記312a、たとえば、「テマエ」の文字が付される。なお、第1表記213a、第2表記313bおよび第3表記312aが付される形態は、刻印でもよいし印刷でもよい。また、表記板部313が設けられず、第1表記313aおよび第2表記313bが、他の部位、たとえば、第2取っ手部312に付されてもよい。
【0046】
容器本体310の底部では、中央部の肉厚が周囲の肉厚よりも大きくされ、その厚肉部314の中央である容器本体310の底部の中央に、翼軸330の上端部を収容する円形の収容凹部315が形成される。容器本体310の厚肉部314には、下方から軸受部320がネジ381により取り付けられる。軸受部320の内部には、上下に並ぶように2つのすべり軸受321が設けられる。また、軸受部320には、すべり軸受321の上方に水封用のパッキン322が設けられる。パッキン322は、容器本体310に入れられた水などが収容凹部315を通じて軸受部320の内部に侵入するのを防止する。
【0047】
翼軸330は、軸受部320のすべり軸受321により回転可能に支持される。撹拌羽根340は、ボス部341と、ボス部341から外側に延びる羽根342とを含む。撹拌羽根340は、たとえば、樹脂材料により形成される。ボス部341は、羽根342よりも低い位置に形成される。ボス部341は、ほぼ円盤形状を有し、その外径が収容凹部315の内径Dよりもわずかに小さく、その高さ寸法が収容凹部315の深さ寸法よりもわずかに小さい。
【0048】
翼軸330の上端部は、容器本体310の底面よりも上方には突出せず、収容凹部315内において撹拌羽根340のボス部341に接続される。翼軸330に接続されたボス部341も、収容凹部315内に収められ、容器本体310の底面よりも上方には突出しない。収容凹部315の内径Dは、高周波供給ユニット40から供給される高周波の波長λの2分の1以下に設定される。たとえば、収容凹部315の内径Dは、26mm程度に設定され得る。これにより、収容凹部315内に高周波が入り込みにくく、金属製である翼軸330の上端部(後述する取付ピン)に高周波が集中しにくい。
【0049】
入力カム350は、翼軸330の下端部に固定される。入力カム350は、外側に突出する一対の入力羽根351を有する。
【0050】
台座部360は、軸受部320、翼軸330および入力カム350を収容するように、容器本体310の外底部に固定され、容器本体310を支える。台座部360は、その上部361の外径が小さく、その下部362の外径が大きな円筒形状を有し、アルミニウム等の金属材料により形成される。このように、台座部360は、上部361の外径が相対的に小さいので、容器本体310の底部を覆う面積が小さくなり、容器本体310の底部が調理室20内に導入された熱風で熱せられやすい。また、台座部360は、下部362の外径が相対的に大きいので、容器本体310を安定して支えられる。
【0051】
台座部360の内部には、下部362の内側に、上部361とほぼ等しい外径を有する円筒状の固定部363が形成される。固定部363の内周面の下端部には、内側に張り出すように、4つの爪部364が形成される。爪部364は、ほぼ90度の間隔で設けられる。爪部364の上面364aは、上から見て右回り方向に向うに従って、その高さが低くなるように傾斜する。爪部364の上面364aの傾斜角度は、係合爪部222の底面222aの傾斜角度とほぼ等しくされる。
【0052】
接触部材370は、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の樹脂材料により形成され、環状の上面部371と、筒状の側面部372とを含む。上面部371の裏側には、取付ボス373が4か所(
図7に2か所のみ図示)に設けられる。側面部372の内周面には、設置台50の昇降台部214に対応する4つの脚部374が、ほぼ90度の間隔を置いて設けられる。脚部374は、側面部372の下端から上端に亘って上下に延びる柱状を有する。
【0053】
接触部材370は、台座部360の下部362の内側に嵌め込まれる。取付ボス373がネジ382で台座部360に止められることにより、接触部材370が台座部360に固定される。接触部材370が台座部360に取り付けられた状態において、側面部372の下端が台座部360の下端よりも僅かに突出する。その突出量は、たとえば、2.5mm程度とされる。調理容器80が調理台等に置かれたとき、金属製の台座部360の下端ではなく、樹脂製の接触部材370(側面部372)の下端が調理台等の表面に接触する。これにより、調理台等の表面が傷付きから保護される。
【0054】
図8(a)は、翼軸330の斜視図である。
図8(b)ないし(d)は、それぞれ、撹拌羽根340の平面図、羽根342側から見たボス部341の縦断面図および羽根342側と反対側から見たボス部341の縦断面図である。
図9は、翼軸330への撹拌羽根340の装着の仕方について説明するための図である。
【0055】
撹拌羽根340は、洗浄が行えるように、また、他の種類(形状)の撹拌羽根と取り換えができるように、翼軸330に取り外し可能に固定される。
【0056】
図8(a)に示すように、翼軸330の上端部には、ほぼ逆台形柱状を有する取付ピン331が設けられる。取付ピン331の上面の両短辺とそれらに続く両側面は、わずかに円弧形状に形成される。
図8(b)ないし(d)に示すように、撹拌羽根340のボス部341には、取付ピン331が通る取付孔343が形成される。また、ボス部341には、羽根342を挟んだ両側であって上方から見て取付孔343の右回り方向側に係合部344が形成される。
図9に示すように、取付ピン331が取付孔343に挿入された後に、撹拌羽根340が上方から見て左回り方向に回転されると、取付ピン331が係合部344と係合し、撹拌羽根340が翼軸330に対して上方に抜けなくなる。なお、2つの係合部344を、羽根342を挟んだ両側であって上方から見て取付孔343の左回り方向側に形成することもできる。この場合、取付ピン331が取付孔343に挿入された後に、撹拌羽根340が上方から見て右回り方向に回転されると、取付ピン331が係合部344と係合し、撹拌羽根340が翼軸330に対して上方に抜けなくなる。
【0057】
次に、調理容器80の設置台50への着脱方法について説明する。
【0058】
図10(a)ないし
図11(d)は、調理容器80を設置台50に装着する手順について説明するための模式図である。
図10(a)は、調理容器80がガイド板230の前側に載せられた状態を示す。また、
図10(b)は、調理容器80が台本体210まで移動された状態を示し、
図10(c)は、
図10(b)の状態での脚部374と昇降台部214との関係および爪部364と係合爪部222との関係を示す。さらに、
図11(a)は、調理容器80が、設置台50に装着される方向に回転された状態を示し、
図11(b)は、
図11(a)の状態での脚部374と昇降台部214との関係および爪部364と係合爪部222との関係を示す。さらに、
図11(c)は、調理容器80が、設置台50に装着された状態を示し、
図11(d)は、
図11(c)の状態での脚部374と昇降台部214との関係および爪部364と係合爪部222との関係を示す。なお、これらの図において、便宜上、調理容器80は、容器本体310の外形と、入力カム350と、台座部360と、接触部材370とが描かれており、入力カム350と、台座部360と、接触部材370とに斜線が入れられている。
【0059】
調理容器80を設置台50に装着する際、ユーザは、第1取っ手部311を持って調理容器80を調理室20内に投入し、
図10(a)に示すように、第2取っ手部312が手前に来るような状態で、調理容器80をガイド板230の前側に載せる。このとき、ユーザは、第2取っ手部312に付された第3表記312aによって、装着するときの調理容器80の向きを知ることができる(
図6参照)。その後、ユーザは、第2取っ手部312を持って調理容器80を後方へ移動させる。調理容器80は、ガイド板230の左右のガイド部231に案内され、ガイド板230上を滑りながら。ほぼ真っ直ぐに台本体210へと向かう。このとき、ガイド板230には、樹脂製である接触部材370の下端が接触するため、金属製である台座部360が接触する場合に比べて、調理容器80がガイド板230上を滑りやすいとともに、擦れ音も出にくく、ガイド板230も傷つきにくい。
【0060】
図10(b)および(c)に示すように、調理容器80が台本体210上に至ると、台本体210の当り壁部216に台座部360が当たり、調理容器80が後方に移動できなくなる。調理容器80は、4つの脚部374が、それぞれに対応する昇降台部214の平坦面214aに載った状態となる。このとき、調理容器80は、上昇位置にあり、入力カム350と出力カム120は、水平方向(前後方向)には整合しているが上下方向には離間している状態にある。また、調理容器80側の爪部364は、設置台50側の係合爪部222と同じ円軌道上に載っているが、離れた状態にある。この状態から、ユーザは、第2取っ手部312を持って、調理容器80を装着方向である右回り方向に回転させる。このとき、ユーザは、表記板部313に付された第1表記313aによって、装着方向を知ることができる(
図6参照)。回転される際、調理容器80は左右のガイド壁部215と当り壁部216とによってガイドされるので、ユーザは、調理容器80を回転させやすい。なお、ユーザが誤って離脱方向に調理容器80を回転させた場合、脚部374がストッパー部214cに当たり、調理容器80の回転が止められる。
【0061】
図11(a)および(b)に示すように、調理容器80が装着方向に回転されると、脚部374は昇降台部214の平坦面214aを移動して傾斜面214bへと至り、さらに傾斜面214bを下る。これにより、調理容器80が降下し、これに伴って爪部364の位置が下がる。このとき、脚部374は樹脂製であるので、昇降台部214上を滑りやすく、移動しやすい。
【0062】
脚部374が傾斜面214bを下り切って台本体210の外周部212の表面212aに至ると、爪部364の位置が、係合爪部222の下に爪部364が入り込める位置まで下がる。その後、さらに調理容器80が回転されると、
図11(c)および(d)に示すように、爪部364が係合爪部222の下に重なって爪部364の上面364aと係合爪部222の底面222aとが当接する状態となる。これにより、調理容器80は、装着方向にこれ以上回転できなくなる。調理容器80は下降位置にあり、入力カム350が出力カム120に連結された状態になる。入力カム350の入力羽根351が出力カム120の出力羽根121に係合し、調理容器80の翼軸330が羽根駆動軸110に連結され、羽根駆動モータ130の動力により撹拌羽根340が回転駆動できる状態となる。また、爪部364が係合爪部222に当たることによって、調理容器80の上方への動きが規制される。
【0063】
こうして、調理容器80の設置台50への装着が完了する。
【0064】
なお、撹拌羽根340は、一方向に回転され、その回転方向は、上方から見て右回り方向、即ち、爪部364の上面364aと係合爪部222の底面222aとが当接する方向とされる。よって、撹拌羽根340の回転によって調理容器80が回転しない。また、撹拌羽根340の回転方向は、翼軸330の取付ピン331とボス部341の係合部344との係合が外れる方向と反対方向であるので、撹拌羽根340の回転中に撹拌羽根340が翼軸330から外れにくい。
【0065】
調理容器80を設置台50から取り外す場合は、装着時と逆の手順が実行される。即ち、ユーザは、第2取っ手部312を持って、調理容器80を離脱方向である左回り方向に回転させる。脚部374が昇降台部214の傾斜面214bを上って平坦面214aへと至り、調理容器80が下降位置から上昇位置まで上昇する。これにより、入力カム350が出力カム120から離間する。その後、ユーザは、調理容器80をガイド板230上で滑らせながら前方に引き出す。なお、調理容器80を離脱方向に回し過ぎた場合は、脚部374がストッパー部214cに当たり、調理容器80の回転が止められる。
【0066】
こうして、調理容器80の設置台50からの取り外しが完了する。
【0067】
<実施形態の効果>
以上、本実施の形態によれば、以下の効果が奏される。
【0068】
収容凹部315の内径Dが、高周波供給ユニット40から供給される高周波の波長λの2分の1以下に設定されるとともに、翼軸330の上端部である取付ピン331が容器本体310の底面より上方に突出せずに収容凹部315内で撹拌羽根340のボス部341と接続される。これにより、金属製である翼軸330の上端部に高周波が集中しにくく、翼軸330の上端部が高温になりにくい。
【0069】
また、翼軸330に接続されたボス部341は、収容凹部315内に収められ、容器本体310の底面よりも上方には突出しないので、その分、具材を収容できる容器本体310の容積を大きくできる。
【0070】
さらに、撹拌羽根340を翼軸330に固定するためには、ボス部341の取付孔343に取付ピン331が挿入され、撹拌羽根340と翼軸330との間の回転が行われればよく、ユーザは、収容凹部315内で、撹拌羽根340と翼軸330との固定作業を容易に行える。
【0071】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、以下に示す通り、上記以外に種々の変更が可能である。
【0072】
<変更例1>
図12(a)は、変更例1に係る、翼軸330Aの斜視図であり、
図12(b)は、変更例1に係る、撹拌羽根340Aの斜視図である。
図13は、変更例1に係る、翼軸330Aへの撹拌羽根340Aの装着の仕方について説明するための図である。
【0073】
撹拌羽根340Aは、翼軸330Aに取り外し可能に固定される。
図12(a)に示すように、翼軸330Aの上端部には、半円柱状の取付部332が設けられる。取付部332の平坦な側面332aには、半面に、外側に向かうに従って深くなる切欠部333が形成される。
図12(b)に示すように、撹拌羽根340Aは、ほぼ円盤状のボス部345と、ボス部345から外側に延びる羽根346とを含む。ボス部345は、羽根346よりも低い位置に形成される。ボス部345には、翼軸330Aの取付部332が通る半円状の取付孔347が形成される。
図13に示すように、取付部332が取付孔347に挿入された後に、撹拌羽根340Aが上方から見て左回り方向に回転されると、ボス部345の一部が切欠部333に嵌まり込み(係合し)、撹拌羽根340Aが翼軸330Aに対して上方に抜けなくなる。
【0074】
<変更例2>
図14(a)は、変更例2に係る、翼軸330Bの斜視図であり、
図14(b)は、変更例2に係る、
図14(a)と反対方向から見た翼軸330Bの斜視図である。
図14(c)は、変更例2に係る、撹拌羽根340Bの側面図であり、
図14(d)は、変更例2に係る、撹拌羽根340Bの斜視図であり、
図14(e)は、変更例2に係る、
図14(d)と反対方向から見た撹拌羽根340Bの斜視図である。
図15(a)は、変更例2に係る、翼軸330Bへの撹拌羽根340Bの装着の仕方について説明するための図である。
図15(b)は、翼軸330Bへ撹拌羽根340Bが装着された状態の調理容器80の要部の断面図である。
【0075】
撹拌羽根340Bは、翼軸330Bに取り外し可能に固定される。
図14(a)および(b)に示すように、翼軸330Bの上端部には、上方から見てほぼI字形状を有する取付ピン334が設けられる。取付ピン334の幅の小さい側の両側面334aは、わずかに円弧形状に形成される。取付ピン334の幅の大きい側の両側面334bは、斜めに切り欠かれ、これにより、取付ピン334の上端部に係合片335が形成される。
【0076】
図14(c)ないし(e)に示すように、撹拌羽根340Bは、ほぼ円盤状のボス部348と、ボス部348から外側に延びる羽根349とを含む。ボス部348には、取付ピン334が挿入される、ほぼI字形状の取付孔348aが形成される。また、ボス部348には、羽根349を挟んだ両側であって上方から見て取付孔348aの右回り方向側に係合部348bが形成される。
【0077】
図15(a)に示すように、取付ピン334が取付孔348aに挿入された後に、翼軸330Bが上方から見て右回り方向に回転されると、取付ピン334の係合片335がボス部348の係合部348bと係合し、撹拌羽根340Bが翼軸330Bに対して上方に抜けなくなる。即ち、自動調理が開始されて翼軸330Bが回転すれば、自動的に撹拌羽根340Bが翼軸330Bに固定されるので、ユーザは、調理前には、撹拌羽根340Bのボス部348を、調理容器80の収容凹部315内で、翼軸330Bの取付ピン334に差し込んでおくだけで良い。
【0078】
なお、翼軸330Bでは、取付ピン334の両側面334aが、取付ピン334が先端側に向かって細くなるように、僅かにテーパー状を有する。一方、撹拌羽根340Bでは、ボス部348の取付孔348aにおける、両側面334aと接する面が、同様にテーパー状を有する。これにより、取付ピン334とボス部348とが結合された状態でのこれらの間のガタツキが抑えられる。
【0079】
図15(b)に示すように、撹拌羽根340Bが翼軸330Bに装着された状態において、撹拌羽根340Bのボス部348の上部348cは、容器本体310の底面よりも僅かに上方に突出する。ボス部348の上部348cの外径D1は、収容凹部315の内径Dより大きいため、収容凹部315が、ボス部348の上部348cによって覆われた状態となる。これにより、収容凹部315内に具材の滓などが侵入しにくくなる。
【0080】
なお、本変更例において、翼軸330Bが、特許請求の範囲に記載の「回転軸に」に対応し、ボス部348が、特許請求の範囲に記載の「装着部」に対応する。
【0081】
<その他の変更例>
上記実施の形態では、翼軸330に接続されたボス部341は、収容凹部315内に収められ、容器本体310の底面よりも上方には突出しない。しかしながら、少なくとも翼軸330の上端部が収容凹部315内に収まっていればよく、ボス部341は容器本体310の底面より上方に突出していてもよい。
【0082】
また、撹拌羽根340と翼軸330とを固定する構成は、上記実施の形態の構成に限られず、如何なる構成でもよい。さらに、ユーザが翼軸330から撹拌羽根340を取り外せない構成であってもよい。
【0083】
さらに、上記実施の形態では、熱風供給ユニット30が設けられ、オーブン加熱調理機能が加熱調理器1に搭載されたが、オーブン加熱調理機能が省略され、電子レンジ加熱調理機能のみが加熱調理器1に搭載されても良い。
【0084】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。