特許第6875153号(P6875153)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6875153
(24)【登録日】2021年4月26日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 7/02 20060101AFI20210510BHJP
   A47J 37/00 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   F24C7/02 551M
   F24C7/02 551L
   F24C7/02 551P
   A47J37/00 301
【請求項の数】3
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-41336(P2017-41336)
(22)【出願日】2017年3月6日
(65)【公開番号】特開2018-146165(P2018-146165A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2019年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】302071092
【氏名又は名称】三洋テクノソリューションズ鳥取株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(72)【発明者】
【氏名】萩原 伸一
(72)【発明者】
【氏名】三上 幸治
(72)【発明者】
【氏名】池淵 賢二
(72)【発明者】
【氏名】山澤 秀樹
【審査官】 山本 崇昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭64−023022(JP,A)
【文献】 実開平02−032738(JP,U)
【文献】 特開2014−216067(JP,A)
【文献】 実開平02−043944(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 7/02
A47J 27/00
A47J 37/00−37/07
A47J 43/046
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被調理物が収容される調理室と、
前記調理室内に高周波を供給する高周波供給部と、
容器本体と、当該容器本体内の被調理物を撹拌するための撹拌羽根と、当該撹拌羽根が接続される金属製の回転軸とを含み、前記調理室内に設置可能な調理容器と、
前記回転軸を回転させるための動力を供給する動力供給部と、を備え、
前記容器本体には、前記容器本体の底面から窪むとともに、高周波の波長の2分の1以下の内径を有する凹部が設けられ、
前記回転軸は、その端部が前記容器本体の底面より上方に突出せずに前記凹部内で前記撹拌羽根と接続され、
前記撹拌羽根は、前記回転軸の端部に装着される装着部と、当該装着部から外側に延びる羽根とを含み、
前記装着部は、前記羽根よりも低い位置に設けられ、前記回転軸の端部に装着された状態で前記装着部全体が前記凹部内に収まり前記容器本体の底面より上方に突出しない、
ことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
被調理物が収容される調理室と、
前記調理室内に高周波を供給する高周波供給部と、
容器本体と、当該容器本体内の被調理物を撹拌するための撹拌羽根と、当該撹拌羽根が接続される金属製の回転軸とを含み、前記調理室内に設置可能な調理容器と、
前記回転軸を回転させるための動力を供給する動力供給部と、を備え、
前記容器本体には、前記容器本体の底面から窪むとともに、高周波の波長の2分の1以下の内径を有する凹部が設けられ、
前記回転軸は、その端部が前記容器本体の底面より上方に突出せずに前記凹部内で前記撹拌羽根と接続され、
前記撹拌羽根は、前記回転軸の端部に装着される装着部と、当該装着部から外側に延びる羽根とを含み、
前記装着部の上部は、前記装着部が前記回転軸の端部に装着された状態において前記容器本体の底面より上方に突出するとともに、前記凹部よりも外径が大きく前記凹部を上方から覆う、
ことを特徴とする加熱調理器。
【請求項3】
請求項またはに記載の加熱調理器において、
前記装着部は、前記回転軸の端部を通す孔部を有し、
前記回転軸の端部が前記孔部に通された後の前記撹拌羽根と前記回転軸との間の回転によって、前記撹拌羽根が上方に抜けないように前記撹拌羽根と前記回転軸とが係合する、
ことを特徴とする加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子レンジ、オーブンレンジ等、被調理物の加熱調理を行う加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、調理室内に撹拌羽根を備えた調理容器が着脱可能に設置され、調理容器内に収容された具材を撹拌羽根で撹拌しながら加熱調理が行える加熱調理器が知られている。かかる加熱調理器は、たとえば、特許文献1に記載されている。特許文献1の加熱調理器では、撹拌モータの動力で回転する撹拌駆動軸が調理室の底面から突出し、撹拌羽根に接続された回転連結部が上方から撹拌駆動軸に接続される。撹拌モータの動力が撹拌駆動軸を介して撹拌羽根に伝達され、撹拌羽根が回転する。調理容器内の具材は、撹拌羽根によって撹拌されつつ、マグネトロンから発生した高周波によって加熱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−113518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の加熱調理器の撹拌羽根において、その羽根自身は樹脂材料により形成され得るが、羽根の回転軸は、強度が求められるため、金属材料により形成され得る。この場合、回転軸は、調理容器の底面から調理容器の内部に突出することになる。
【0005】
金属製の回転軸が調理容器の内部に突出した場合、高周波が回転軸に集中しやすく、回転軸が高温になりやすい。よって、回転軸が高温になることにより、回転軸自身の劣化等や、回転軸の周辺部品への影響(たとえば、軸受の耐熱性)等が懸念される。
【0006】
かかる課題に鑑み、本発明は、撹拌羽根の回転軸に高周波が集中にしにくく、回転軸が高温になりにくい加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る加熱調理器は、被調理物が収容される調理室と、前記調理室内に高周波を供給する高周波供給部と、容器本体と、当該容器本体内の被調理物を撹拌するための撹拌羽根と、当該撹拌羽根が接続される金属製の回転軸とを含み、前記調理室内に設置可能な調理容器と、前記回転軸を回転させるための動力を供給する動力供給部と、を備える。ここで、前記容器本体には、前記容器本体の底面から窪むとともに、高周波の波長の2分の1以下の内径を有する凹部が設けられる。前記回転軸は、その端部が前記容器本体の底面より上方に突出せずに前記凹部内で前記撹拌羽根と接続される。前記撹拌羽根は、前記回転軸の端部に装着される装着部と、当該装着部から外側に延びる羽根とを含み、前記装着部は、前記羽根よりも低い位置に設けられ、前記回転軸の端部に装着された状態で前記装着部全体が前記凹部内に収まり前記容器本体の底面より上方に突出しない。
【0008】
上記の構成によれば、高周波供給部から供給される高周波が、回転軸の端部が収められた凹部に入りにくいので、金属製である回転軸の端部に高周波が集中しにくく、回転軸の端部が高温になりにくい。さらに、装着部が存在しない分、被調理物を収容できる容器本体の容積を大きくできる。
【0011】
本発明の第2の態様に係る加熱調理器は、被調理物が収容される調理室と、前記調理室内に高周波を供給する高周波供給部と、容器本体と、当該容器本体内の被調理物を撹拌するための撹拌羽根と、当該撹拌羽根が接続される金属製の回転軸とを含み、前記調理室内に設置可能な調理容器と、前記回転軸を回転させるための動力を供給する動力供給部と、を備える。ここで、前記容器本体には、前記容器本体の底面から窪むとともに、高周波の波長の2分の1以下の内径を有する凹部が設けられ、前記回転軸は、その端部が前記容器本体の底面より上方に突出せずに前記凹部内で前記撹拌羽根と接続される。前記撹拌羽根は、前記回転軸の端部に装着される装着部と、当該装着部から外側に延びる羽根とを含み、前記装着部の上部は、前記装着部が前記回転軸の端部に装着された状態において前記容器本体の底面より上方に突出するとともに、前記凹部よりも外径が大きく前記凹部を上方から覆う。
【0012】
上記の構成によれば、凹部が装着部の上部で覆われることにより、調理容器に入れられた被調理物の滓などが凹部に侵入しにくくなる。
【0013】
上記のような構成とされた場合、さらに、前記装着部が、前記回転軸の端部を通す孔部を有し、前記回転軸の端部が前記孔部に通された後の前記撹拌羽根と前記回転軸との間の回転によって、前記撹拌羽根が上方に抜けないように前記撹拌羽根と前記回転軸とが係合するような構成が採られ得る。
【0014】
このような構成とされれば、撹拌羽根を回転軸に固定するためには、撹拌羽根の装着部の孔部に回転軸の端部が挿入され、撹拌羽根と回転軸との間の回転が行われればよく、ユーザは、凹部内で、撹拌羽根と回転軸との固定作業を容易に行える。
【発明の効果】
【0015】
以上のとおり、本発明によれば、撹拌羽根の回転軸に高周波が集中にしにくく、回転軸が高温になりにくい加熱調理器を提供することができる。
【0016】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1(a)は、実施の形態に係る、加熱調理器の正面図である。図1(b)は、実施の形態に係る、加熱調理器の正面断面図である。
図2図2(a)は、実施の形態に係る、調理室内にターンテーブルが設置された状態を示す図であり、図2(b)は、実施の形態に係る、調理室内に調理容器が設置された状態を示す図である。
図3図3は、実施の形態に係る、設置台に調理容器が装着された状態の加熱調理器の要部の正面断面図である。
図4図4は、実施の形態に係る、調理室の底面に設置台が取り付けられた状態を示す斜視図である。
図5図5は、実施の形態に係る、設置台の斜視図である。
図6図6は、実施の形態に係る、上方から見た調理容器の斜視図である。
図7図7は、実施の形態に係る、下方から見た調理容器の斜視図である。
図8図8(a)は、実施の形態に係る、翼軸の斜視図である。図8(b)ないし(d)は、それぞれ、実施の形態に係る、撹拌羽根の平面図、羽根側から見たボス部の縦断面図および羽根側と反対側から見たボス部の縦断面図である。
図9図9は、実施の形態に係る、翼軸への撹拌羽根の装着の仕方について説明するための図である。
図10図10(a)ないし(c)は、実施の形態に係る、調理容器を設置台に装着する手順について説明するための模式図である。
図11図11(a)ないし(d)は、実施の形態に係る、調理容器を設置台に装着する手順について説明するための模式図である。
図12図12(a)は、変更例1に係る、翼軸の斜視図であり、図12(b)は、変更例1に係る、撹拌羽根の斜視図である。
図13図13は、変更例1に係る、翼軸への撹拌羽根の装着の仕方について説明するための図である。
図14図14(a)は、変更例2に係る、翼軸の斜視図であり、図14(b)は、変更例2に係る、図14(a)と反対方向から見た翼軸の斜視図である。図14(c)は、変更例2に係る、撹拌羽根の側面図であり、図14(d)は、変更例2に係る、撹拌羽根の斜視図であり、図14(e)は、変更例2に係る、図14(d)と反対方向から見た撹拌羽根の斜視図である。
図15図15(a)は、変更例2に係る、翼軸への撹拌羽根の装着の仕方について説明するための図である。図15(b)は、翼軸へ撹拌羽根が装着された状態の調理容器の要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0019】
図1および図2は、加熱調理器1の構成を示す図である。図1(a)は、加熱調理器1の正面図である。図1(b)は、加熱調理器1の正面断面図である。図2(a)は、調理室20内にターンテーブル70が設置された状態を示す図であり、図2(b)は、調理室20内に調理容器80が設置された状態を示す図である。
【0020】
本実施の形態において、加熱調理器1は、ガスバーナーで加熱された熱風によるオーブン加熱調理と、マグネトロンから放出された高周波(マイクロ波)による電子レンジ加熱調理と、熱風と高周波によるコンビ加熱調理とが可能なガスオーブンレンジである。この他、加熱調理器1は、電子オーブンレンジ、電子レンジ等、他の種類の加熱調理器であっても良い。
【0021】
加熱調理器1は、ほぼ方形の箱状に形成された金属製の筐体10を備える。筐体10内には、調理室20が設けられる。調理室20は、金属材料によってほぼ方形の箱状に形成され、前面が投入口20aとして開口する。投入口20aは、筐体10のドア11で開閉される。ドア11は、下端部の両側が回転可能に支持され、ユーザが持ち手部11aを持ってドア11を前方に引くと、ドア11が下方に倒れるように開放される。
【0022】
筐体10の正面には、ドア11に隣接して操作パネル12が設けられる。操作パネル12には、各種の操作ボタンや表示器が配置される。操作ボタンは、各種調理コースを選択するためのボタン、スタート操作を行うためのボタン等を含む。
【0023】
調理室20の後方には、熱風供給ユニット30が設けられ、調理室20の後面に形成された導入口21と導出口22とが、熱風供給ユニット30に連通する。熱風供給ユニット30は、ガスバーナー、送風ファン等を含み、送風ファンによって生起されガスバーナーで加熱された熱風が導入口21から調理室20内に導入される。導入された熱風によって調理室20内の食品が加熱される。熱風は、導出口22から導出されて、その一部が熱風供給ユニット30に戻され、再び加熱される。加熱供給ユニット30に戻されない熱風は外部に排出され、その分、新たに外部の空気が熱風供給ユニット30に導入される。
【0024】
調理室20の側方には、高周波供給ユニット40が設けられる。高周波供給ユニット40は、マグネトロン41と導波管42を含み、マグネトロン41が発生した高周波が導波管42を通って調理室20内に導入される。導入された高周波によって、調理室20内の食品が高周波加熱される。
【0025】
調理室20は、取付板13等を介して筐体10に固定される。調理室20は、筐体10および筐体10に接続されたアース線を介して接地される。
【0026】
調理室20の底面には、中央部に設置台50が設けられる。設置台50は、調理室20を通じて接地されている。また、調理室20の下方には、駆動装置60が配置される。駆動装置60は、ターンテーブル70と調理容器80の撹拌羽根を回転させる。
【0027】
図2(a)に示すように、熱風や高周波により食品の単純な加熱調理を行う際には、調理室20内にターンテーブル70が設置される。ターンテーブル70の上に、食品を載せたバットや皿が置かれる。
【0028】
加熱調理器1は、調理容器80を用いた自動調理の機能を備える。自動調理の際、図2(b)に示すように、調理室20内に、撹拌羽根を有する調理容器80が設置される。調理容器80は、設置台50に取り外し可能に固定される。自動調理では、たとえば、切られた具材が調理容器80内に投入され、調理容器80内で撹拌されながら熱風供給ユニット30からの熱風と高周波供給ユニット40からの高周波とにより加熱される。このようにして、ユーザは、加熱調理器1を用いて、カレーや煮物料理を作ることができる。自動調理には、パン焼きの調理が含まれる。調理容器80内に生地材料が投入され、撹拌される。こうして、調理容器80内でパン生地が生成される。その後、熱風によりパン生地が加熱され、パンが焼き上げられる。このようにして、ユーザは、加熱調理器1を用いて、パンを焼き上げることができる。なお、カレーや煮物料理の自動調理では、その運転コースによって、熱風供給ユニット30からの熱風のみ、あるいは高周波供給ユニット40からの高周波のみによって調理容器80内の具材が加熱される場合がある。
【0029】
図3は、設置台50に調理容器80が装着された状態の加熱調理器1の要部の正面断面図である。図4は、調理室20の底面に設置台50が取り付けられた状態を示す斜視図である。図5は、設置台50の斜視図である。なお、図4では、便宜上、調理室20が下部位置で水平方向に切断されている。
【0030】
図1(b)および図3を参照して、駆動装置60は、調理容器80の撹拌羽根を回転させるための構成として、羽根駆動軸110と、出力カム120と、羽根駆動モータ130と、伝達機構部140とを含む。また、駆動装置60は、ターンテーブル70を回転させるための構成として、テーブル駆動軸150と、連結軸160と、テーブル駆動モータ170とを含む。
【0031】
羽根駆動軸110は、円筒状に形成され、その上端部に出力カム120が取り付けられる。出力カム120は、ほぼ円盤状を有する。出力カム120の上面には、ほぼ90度の間隔を置いて、4つの出力羽根121が形成される(図5参照)。羽根駆動モータ130は、たとえば、誘導モータであり、筐体10の底部に設けられたモータ取付板14に取り付けられる。羽根駆動モータ130と羽根駆動軸110とは、伝達機構部140により連結されている。伝達機構部140は、羽根駆動軸110に固定される大プーリー141と、羽根駆動モータ130に固定される小プーリー142と、大プーリー141と小プーリー142に架け渡されるベルト143とを含む。羽根駆動モータ130の動力が伝達機構部140を介して羽根駆動軸110に伝達される。
【0032】
テーブル駆動軸150は、羽根駆動軸110の内部に回転自在に配置される。テーブル駆動軸150の上端部に連結軸160が取り付けられる。図2(a)に示すように、ターンテーブル70には、底面の中央に回転軸71が形成されており、ターンテーブル70が用いられる際、回転軸71が連結軸160に連結される。テーブル駆動モータ170は、たとえば、ギアドモータであり、ステータ、ロータおよび多段のギアを含み、ロータの回転をギアによりテーブル駆動軸150に伝えて、テーブル駆動軸150を回転させる。
【0033】
図3ないし図5を参照して、調理室20の底面には、僅かに凹む円形の凹み部23が形成されており、この凹み部23のほぼ中央に設置台50が配置される。凹み部23は、ターンテーブル70上で食品を収容する容器や調理容器80からこぼれた水などの液体を回収する。これにより、液体が調理室20内から外部に漏れ出すことが防止される。
【0034】
設置台50は、台本体210と、固定部220と、ガイド板230と、軸受部240とを含む。台本体210、ガイド板230および軸受部240は、アルミダイカスト等の金属材料により一体形成される。勿論、これら台本体210、ガイド板230および軸受部240のうちの1つの部材が別体として構成されてもよいし、3つの部材ともが別体として構成されてもよい。
【0035】
台本体210は、ほぼ円盤状を有し、円形の中央部211よりも外周部212が一段低くなるように形成されている。中央部211には円形の凹部213が形成され、この凹部213の中央に出力カム120が配置される。
【0036】
中央部211の外周には、出力カム120を囲むようにして、前後左右の4か所に昇降台部214が形成される。昇降台部214は、中央部211の外周に沿うような円弧状を有する。昇降台部214は、平坦面214aと、上から見て右回り方向に平坦面214aから続く傾斜面214bとを有する。平坦面214aは、中央部とほぼ同じ高さ(実際には中央部よりやや低い高さ)を有する。傾斜面214bは、平坦面214aから下って外周部212の表面212aに繋がる。前側と右側の昇降台部214には、平坦面214aにおける傾斜面214bと反対側の端部に上方に突出する突起からなるストッパー部214cが形成される。
【0037】
台本体210の左側および右側には、外周部212の外周縁に沿って前後に延びるガイド壁部215が、外周縁から立ち上がるように形成される。また、台本体210の後側には、外周部212の外周縁に沿って左右に延びる当り壁部216が、外周縁から立ち上がるように形成される。
【0038】
固定部220は、アルミダイカスト等の金属材料により形成され、台本体210の凹部213内にネジ250により取り付けられる。固定部220は、出力カム120を囲む円筒状の胴部221と、胴部221の上部に形成された4つの係合爪部222とを含む。係合爪部222は、凹部213の内周面側に張り出すように、ほぼ90度の間隔で設けられる。係合爪部222の底面222aは、上から見て右回り方向に向うに従って、その高さが低くなるよう、即ち、凹部213の底面との隙間が狭くなるように傾斜する。
【0039】
ガイド板230は、台本体210の前方、即ち、台本体210に対し調理室20の投入口20a側に設けられ、台本体210から調理室20の凹み部23の周縁近傍まで延びる。ガイド板230は、凹み部23の底面と離れた状態で底面に対面する。ガイド板230の前端部は、凹み部23の周縁に合わせて円弧状に形成される。台本体210の中央部211の高さは、凹み部23の周囲の調理室20の底面の高さ(凹み部23の深さ)とほぼ等しく、ガイド板230の高さは、これら台本体210の中央部211および調理室20の底面の高さとほぼ等しくされる。ガイド板230の前端部と凹み部23の周縁との隙間Lが小さすぎると、マグネトロン41が発生した高周波によりスパークが発生する虞がある。このため、隙間Lは、スパークが発生しない範囲で、できるだけ小さくなるように設定されることが望ましい。さらに、ガイド板230は、ほぼコ字状に形成され、その面積の半分以上が開口している。これにより、凹み部23において、ガイド板230の下側に溜まった液体や食品の滓などを、開口230aを通じて容易に除去でき、凹み部23が清掃しやすい。
【0040】
ガイド板230には、左右の端部から立ち上がるようにガイド部231が形成される。左右のガイド部231は、前後方向に延び、その後端部が台本体210の左右のガイド壁部215に繋がる。ガイド板230の左右のガイド部231の間隔は、調理容器80の台座部(後述する)の外径よりも僅かに大きくされる。
【0041】
軸受部240は、台本体210の裏側に設けられる。軸受部240は、上下に並ぶ2つの転がり軸受241を備え、これら転がり軸受241により羽根駆動軸110を回転可能に支持する。
【0042】
図6は、上方から見た調理容器80の斜視図である。図7は、下方から見た調理容器80の斜視図である。
【0043】
図3図6および図7を参照し、調理容器80は、容器本体310と、軸受部320と、翼軸330と、撹拌羽根340と、入力カム350と、台座部360と、接触部材370とを含む。本実施の形態では、軸受部320と台座部360は一体形成されている。軸受部320と台座部360とが、別々に形成され、組み合わせられてもよい。
【0044】
容器本体310は、アルミニウム等の金属材料で形成された底の深い丸鍋である。容器本体310の形状は、丸鍋の形状に限られるものではなく、如何なるものであってもよい。容器本体310の上部には、互いに対向する位置に一対の第1取っ手部311が設けられ、これら一対の第1取っ手部311の間のほぼ真ん中の位置に第2取っ手部312が設けられる。第1取っ手部311は、調理容器80を持ち運ぶ際にユーザに持たれ、第2取っ手部312は、昇降により調理容器80を設置台50に対して着脱する際にユーザに持たれる。
【0045】
第2取っ手部312と、第2取っ手部312の右側の第1取っ手部311との間には、表記板部313が設けられる。表記板部313には、調理容器80を設置台50に装着するときの調理容器80の回転方向、即ち装着方向を指定する第1表記313aと、調理容器80を設置台50から取り外すときの調理容器80の回転方向、即ち離脱方向を指定する第2表記313bとが付される。第1表記313aは、たとえば、「しめる」の文字および回転方向を示す矢印で構成され、第2表記313bは、たとえば、「はずす」の文字および回転方向を示す矢印で構成される。さらに、第2取っ手部312には、調理容器80を設置台50に設置するときの調理容器80の方向を指定する第3表記312a、たとえば、「テマエ」の文字が付される。なお、第1表記213a、第2表記313bおよび第3表記312aが付される形態は、刻印でもよいし印刷でもよい。また、表記板部313が設けられず、第1表記313aおよび第2表記313bが、他の部位、たとえば、第2取っ手部312に付されてもよい。
【0046】
容器本体310の底部では、中央部の肉厚が周囲の肉厚よりも大きくされ、その厚肉部314の中央である容器本体310の底部の中央に、翼軸330の上端部を収容する円形の収容凹部315が形成される。容器本体310の厚肉部314には、下方から軸受部320がネジ381により取り付けられる。軸受部320の内部には、上下に並ぶように2つのすべり軸受321が設けられる。また、軸受部320には、すべり軸受321の上方に水封用のパッキン322が設けられる。パッキン322は、容器本体310に入れられた水などが収容凹部315を通じて軸受部320の内部に侵入するのを防止する。
【0047】
翼軸330は、軸受部320のすべり軸受321により回転可能に支持される。撹拌羽根340は、ボス部341と、ボス部341から外側に延びる羽根342とを含む。撹拌羽根340は、たとえば、樹脂材料により形成される。ボス部341は、羽根342よりも低い位置に形成される。ボス部341は、ほぼ円盤形状を有し、その外径が収容凹部315の内径Dよりもわずかに小さく、その高さ寸法が収容凹部315の深さ寸法よりもわずかに小さい。
【0048】
翼軸330の上端部は、容器本体310の底面よりも上方には突出せず、収容凹部315内において撹拌羽根340のボス部341に接続される。翼軸330に接続されたボス部341も、収容凹部315内に収められ、容器本体310の底面よりも上方には突出しない。収容凹部315の内径Dは、高周波供給ユニット40から供給される高周波の波長λの2分の1以下に設定される。たとえば、収容凹部315の内径Dは、26mm程度に設定され得る。これにより、収容凹部315内に高周波が入り込みにくく、金属製である翼軸330の上端部(後述する取付ピン)に高周波が集中しにくい。
【0049】
入力カム350は、翼軸330の下端部に固定される。入力カム350は、外側に突出する一対の入力羽根351を有する。
【0050】
台座部360は、軸受部320、翼軸330および入力カム350を収容するように、容器本体310の外底部に固定され、容器本体310を支える。台座部360は、その上部361の外径が小さく、その下部362の外径が大きな円筒形状を有し、アルミニウム等の金属材料により形成される。このように、台座部360は、上部361の外径が相対的に小さいので、容器本体310の底部を覆う面積が小さくなり、容器本体310の底部が調理室20内に導入された熱風で熱せられやすい。また、台座部360は、下部362の外径が相対的に大きいので、容器本体310を安定して支えられる。
【0051】
台座部360の内部には、下部362の内側に、上部361とほぼ等しい外径を有する円筒状の固定部363が形成される。固定部363の内周面の下端部には、内側に張り出すように、4つの爪部364が形成される。爪部364は、ほぼ90度の間隔で設けられる。爪部364の上面364aは、上から見て右回り方向に向うに従って、その高さが低くなるように傾斜する。爪部364の上面364aの傾斜角度は、係合爪部222の底面222aの傾斜角度とほぼ等しくされる。
【0052】
接触部材370は、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の樹脂材料により形成され、環状の上面部371と、筒状の側面部372とを含む。上面部371の裏側には、取付ボス373が4か所(図7に2か所のみ図示)に設けられる。側面部372の内周面には、設置台50の昇降台部214に対応する4つの脚部374が、ほぼ90度の間隔を置いて設けられる。脚部374は、側面部372の下端から上端に亘って上下に延びる柱状を有する。
【0053】
接触部材370は、台座部360の下部362の内側に嵌め込まれる。取付ボス373がネジ382で台座部360に止められることにより、接触部材370が台座部360に固定される。接触部材370が台座部360に取り付けられた状態において、側面部372の下端が台座部360の下端よりも僅かに突出する。その突出量は、たとえば、2.5mm程度とされる。調理容器80が調理台等に置かれたとき、金属製の台座部360の下端ではなく、樹脂製の接触部材370(側面部372)の下端が調理台等の表面に接触する。これにより、調理台等の表面が傷付きから保護される。
【0054】
図8(a)は、翼軸330の斜視図である。図8(b)ないし(d)は、それぞれ、撹拌羽根340の平面図、羽根342側から見たボス部341の縦断面図および羽根342側と反対側から見たボス部341の縦断面図である。図9は、翼軸330への撹拌羽根340の装着の仕方について説明するための図である。
【0055】
撹拌羽根340は、洗浄が行えるように、また、他の種類(形状)の撹拌羽根と取り換えができるように、翼軸330に取り外し可能に固定される。
【0056】
図8(a)に示すように、翼軸330の上端部には、ほぼ逆台形柱状を有する取付ピン331が設けられる。取付ピン331の上面の両短辺とそれらに続く両側面は、わずかに円弧形状に形成される。図8(b)ないし(d)に示すように、撹拌羽根340のボス部341には、取付ピン331が通る取付孔343が形成される。また、ボス部341には、羽根342を挟んだ両側であって上方から見て取付孔343の右回り方向側に係合部344が形成される。図9に示すように、取付ピン331が取付孔343に挿入された後に、撹拌羽根340が上方から見て左回り方向に回転されると、取付ピン331が係合部344と係合し、撹拌羽根340が翼軸330に対して上方に抜けなくなる。なお、2つの係合部344を、羽根342を挟んだ両側であって上方から見て取付孔343の左回り方向側に形成することもできる。この場合、取付ピン331が取付孔343に挿入された後に、撹拌羽根340が上方から見て右回り方向に回転されると、取付ピン331が係合部344と係合し、撹拌羽根340が翼軸330に対して上方に抜けなくなる。
【0057】
次に、調理容器80の設置台50への着脱方法について説明する。
【0058】
図10(a)ないし図11(d)は、調理容器80を設置台50に装着する手順について説明するための模式図である。図10(a)は、調理容器80がガイド板230の前側に載せられた状態を示す。また、図10(b)は、調理容器80が台本体210まで移動された状態を示し、図10(c)は、図10(b)の状態での脚部374と昇降台部214との関係および爪部364と係合爪部222との関係を示す。さらに、図11(a)は、調理容器80が、設置台50に装着される方向に回転された状態を示し、図11(b)は、図11(a)の状態での脚部374と昇降台部214との関係および爪部364と係合爪部222との関係を示す。さらに、図11(c)は、調理容器80が、設置台50に装着された状態を示し、図11(d)は、図11(c)の状態での脚部374と昇降台部214との関係および爪部364と係合爪部222との関係を示す。なお、これらの図において、便宜上、調理容器80は、容器本体310の外形と、入力カム350と、台座部360と、接触部材370とが描かれており、入力カム350と、台座部360と、接触部材370とに斜線が入れられている。
【0059】
調理容器80を設置台50に装着する際、ユーザは、第1取っ手部311を持って調理容器80を調理室20内に投入し、図10(a)に示すように、第2取っ手部312が手前に来るような状態で、調理容器80をガイド板230の前側に載せる。このとき、ユーザは、第2取っ手部312に付された第3表記312aによって、装着するときの調理容器80の向きを知ることができる(図6参照)。その後、ユーザは、第2取っ手部312を持って調理容器80を後方へ移動させる。調理容器80は、ガイド板230の左右のガイド部231に案内され、ガイド板230上を滑りながら。ほぼ真っ直ぐに台本体210へと向かう。このとき、ガイド板230には、樹脂製である接触部材370の下端が接触するため、金属製である台座部360が接触する場合に比べて、調理容器80がガイド板230上を滑りやすいとともに、擦れ音も出にくく、ガイド板230も傷つきにくい。
【0060】
図10(b)および(c)に示すように、調理容器80が台本体210上に至ると、台本体210の当り壁部216に台座部360が当たり、調理容器80が後方に移動できなくなる。調理容器80は、4つの脚部374が、それぞれに対応する昇降台部214の平坦面214aに載った状態となる。このとき、調理容器80は、上昇位置にあり、入力カム350と出力カム120は、水平方向(前後方向)には整合しているが上下方向には離間している状態にある。また、調理容器80側の爪部364は、設置台50側の係合爪部222と同じ円軌道上に載っているが、離れた状態にある。この状態から、ユーザは、第2取っ手部312を持って、調理容器80を装着方向である右回り方向に回転させる。このとき、ユーザは、表記板部313に付された第1表記313aによって、装着方向を知ることができる(図6参照)。回転される際、調理容器80は左右のガイド壁部215と当り壁部216とによってガイドされるので、ユーザは、調理容器80を回転させやすい。なお、ユーザが誤って離脱方向に調理容器80を回転させた場合、脚部374がストッパー部214cに当たり、調理容器80の回転が止められる。
【0061】
図11(a)および(b)に示すように、調理容器80が装着方向に回転されると、脚部374は昇降台部214の平坦面214aを移動して傾斜面214bへと至り、さらに傾斜面214bを下る。これにより、調理容器80が降下し、これに伴って爪部364の位置が下がる。このとき、脚部374は樹脂製であるので、昇降台部214上を滑りやすく、移動しやすい。
【0062】
脚部374が傾斜面214bを下り切って台本体210の外周部212の表面212aに至ると、爪部364の位置が、係合爪部222の下に爪部364が入り込める位置まで下がる。その後、さらに調理容器80が回転されると、図11(c)および(d)に示すように、爪部364が係合爪部222の下に重なって爪部364の上面364aと係合爪部222の底面222aとが当接する状態となる。これにより、調理容器80は、装着方向にこれ以上回転できなくなる。調理容器80は下降位置にあり、入力カム350が出力カム120に連結された状態になる。入力カム350の入力羽根351が出力カム120の出力羽根121に係合し、調理容器80の翼軸330が羽根駆動軸110に連結され、羽根駆動モータ130の動力により撹拌羽根340が回転駆動できる状態となる。また、爪部364が係合爪部222に当たることによって、調理容器80の上方への動きが規制される。
【0063】
こうして、調理容器80の設置台50への装着が完了する。
【0064】
なお、撹拌羽根340は、一方向に回転され、その回転方向は、上方から見て右回り方向、即ち、爪部364の上面364aと係合爪部222の底面222aとが当接する方向とされる。よって、撹拌羽根340の回転によって調理容器80が回転しない。また、撹拌羽根340の回転方向は、翼軸330の取付ピン331とボス部341の係合部344との係合が外れる方向と反対方向であるので、撹拌羽根340の回転中に撹拌羽根340が翼軸330から外れにくい。
【0065】
調理容器80を設置台50から取り外す場合は、装着時と逆の手順が実行される。即ち、ユーザは、第2取っ手部312を持って、調理容器80を離脱方向である左回り方向に回転させる。脚部374が昇降台部214の傾斜面214bを上って平坦面214aへと至り、調理容器80が下降位置から上昇位置まで上昇する。これにより、入力カム350が出力カム120から離間する。その後、ユーザは、調理容器80をガイド板230上で滑らせながら前方に引き出す。なお、調理容器80を離脱方向に回し過ぎた場合は、脚部374がストッパー部214cに当たり、調理容器80の回転が止められる。
【0066】
こうして、調理容器80の設置台50からの取り外しが完了する。
【0067】
<実施形態の効果>
以上、本実施の形態によれば、以下の効果が奏される。
【0068】
収容凹部315の内径Dが、高周波供給ユニット40から供給される高周波の波長λの2分の1以下に設定されるとともに、翼軸330の上端部である取付ピン331が容器本体310の底面より上方に突出せずに収容凹部315内で撹拌羽根340のボス部341と接続される。これにより、金属製である翼軸330の上端部に高周波が集中しにくく、翼軸330の上端部が高温になりにくい。
【0069】
また、翼軸330に接続されたボス部341は、収容凹部315内に収められ、容器本体310の底面よりも上方には突出しないので、その分、具材を収容できる容器本体310の容積を大きくできる。
【0070】
さらに、撹拌羽根340を翼軸330に固定するためには、ボス部341の取付孔343に取付ピン331が挿入され、撹拌羽根340と翼軸330との間の回転が行われればよく、ユーザは、収容凹部315内で、撹拌羽根340と翼軸330との固定作業を容易に行える。
【0071】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、以下に示す通り、上記以外に種々の変更が可能である。
【0072】
<変更例1>
図12(a)は、変更例1に係る、翼軸330Aの斜視図であり、図12(b)は、変更例1に係る、撹拌羽根340Aの斜視図である。図13は、変更例1に係る、翼軸330Aへの撹拌羽根340Aの装着の仕方について説明するための図である。
【0073】
撹拌羽根340Aは、翼軸330Aに取り外し可能に固定される。図12(a)に示すように、翼軸330Aの上端部には、半円柱状の取付部332が設けられる。取付部332の平坦な側面332aには、半面に、外側に向かうに従って深くなる切欠部333が形成される。図12(b)に示すように、撹拌羽根340Aは、ほぼ円盤状のボス部345と、ボス部345から外側に延びる羽根346とを含む。ボス部345は、羽根346よりも低い位置に形成される。ボス部345には、翼軸330Aの取付部332が通る半円状の取付孔347が形成される。図13に示すように、取付部332が取付孔347に挿入された後に、撹拌羽根340Aが上方から見て左回り方向に回転されると、ボス部345の一部が切欠部333に嵌まり込み(係合し)、撹拌羽根340Aが翼軸330Aに対して上方に抜けなくなる。
【0074】
<変更例2>
図14(a)は、変更例2に係る、翼軸330Bの斜視図であり、図14(b)は、変更例2に係る、図14(a)と反対方向から見た翼軸330Bの斜視図である。図14(c)は、変更例2に係る、撹拌羽根340Bの側面図であり、図14(d)は、変更例2に係る、撹拌羽根340Bの斜視図であり、図14(e)は、変更例2に係る、図14(d)と反対方向から見た撹拌羽根340Bの斜視図である。図15(a)は、変更例2に係る、翼軸330Bへの撹拌羽根340Bの装着の仕方について説明するための図である。図15(b)は、翼軸330Bへ撹拌羽根340Bが装着された状態の調理容器80の要部の断面図である。
【0075】
撹拌羽根340Bは、翼軸330Bに取り外し可能に固定される。図14(a)および(b)に示すように、翼軸330Bの上端部には、上方から見てほぼI字形状を有する取付ピン334が設けられる。取付ピン334の幅の小さい側の両側面334aは、わずかに円弧形状に形成される。取付ピン334の幅の大きい側の両側面334bは、斜めに切り欠かれ、これにより、取付ピン334の上端部に係合片335が形成される。
【0076】
図14(c)ないし(e)に示すように、撹拌羽根340Bは、ほぼ円盤状のボス部348と、ボス部348から外側に延びる羽根349とを含む。ボス部348には、取付ピン334が挿入される、ほぼI字形状の取付孔348aが形成される。また、ボス部348には、羽根349を挟んだ両側であって上方から見て取付孔348aの右回り方向側に係合部348bが形成される。
【0077】
図15(a)に示すように、取付ピン334が取付孔348aに挿入された後に、翼軸330Bが上方から見て右回り方向に回転されると、取付ピン334の係合片335がボス部348の係合部348bと係合し、撹拌羽根340Bが翼軸330Bに対して上方に抜けなくなる。即ち、自動調理が開始されて翼軸330Bが回転すれば、自動的に撹拌羽根340Bが翼軸330Bに固定されるので、ユーザは、調理前には、撹拌羽根340Bのボス部348を、調理容器80の収容凹部315内で、翼軸330Bの取付ピン334に差し込んでおくだけで良い。
【0078】
なお、翼軸330Bでは、取付ピン334の両側面334aが、取付ピン334が先端側に向かって細くなるように、僅かにテーパー状を有する。一方、撹拌羽根340Bでは、ボス部348の取付孔348aにおける、両側面334aと接する面が、同様にテーパー状を有する。これにより、取付ピン334とボス部348とが結合された状態でのこれらの間のガタツキが抑えられる。
【0079】
図15(b)に示すように、撹拌羽根340Bが翼軸330Bに装着された状態において、撹拌羽根340Bのボス部348の上部348cは、容器本体310の底面よりも僅かに上方に突出する。ボス部348の上部348cの外径D1は、収容凹部315の内径Dより大きいため、収容凹部315が、ボス部348の上部348cによって覆われた状態となる。これにより、収容凹部315内に具材の滓などが侵入しにくくなる。
【0080】
なお、本変更例において、翼軸330Bが、特許請求の範囲に記載の「回転軸に」に対応し、ボス部348が、特許請求の範囲に記載の「装着部」に対応する。
【0081】
<その他の変更例>
上記実施の形態では、翼軸330に接続されたボス部341は、収容凹部315内に収められ、容器本体310の底面よりも上方には突出しない。しかしながら、少なくとも翼軸330の上端部が収容凹部315内に収まっていればよく、ボス部341は容器本体310の底面より上方に突出していてもよい。
【0082】
また、撹拌羽根340と翼軸330とを固定する構成は、上記実施の形態の構成に限られず、如何なる構成でもよい。さらに、ユーザが翼軸330から撹拌羽根340を取り外せない構成であってもよい。
【0083】
さらに、上記実施の形態では、熱風供給ユニット30が設けられ、オーブン加熱調理機能が加熱調理器1に搭載されたが、オーブン加熱調理機能が省略され、電子レンジ加熱調理機能のみが加熱調理器1に搭載されても良い。
【0084】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0085】
1 … 加熱調理器
20 … 調理室
40 … 高周波供給ユニット(高周波供給部)
60 … 駆動装置(動力供給部)
80 … 調理容器
310 … 容器本体
315 … 収容凹部(凹部)
330 … 翼軸(回転軸)
331 … 取付ピン(端部)
340 … 撹拌羽根
341 … ボス部(装着部)
342 … 羽根
343 … 取付孔(孔部)
図1
図2
図3
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図10
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