(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記第1通信装置から前記印字用データを受信した後に、前記複数の通信装置のうち前記第1通信装置以外の通信装置から印字用データを受信した場合、前記第1通信装置以外の通信装置から受信した印字用データを無効化する、
請求項1又は2に記載されたプリンタ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の記録用紙印字システムの一実施形態に係る帳票印字システム1について説明する。
実施形態に係る帳票印字システム1は、荷物の発送のために複数枚の票が綴りとなった記録用紙である帳票を印字するためのシステムである。
【0010】
(1)帳票印字システム1の概要
本実施形態の帳票印字システム1について、
図1〜4を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る帳票印字システム1のシステム構成図である。
図2は、オフライン発行において、印字のための二次元コードの一例を示す。
図2では、2次元コードの一例としてQRコード(登録商標)を示している。
図3は、オンライン発行において、通信装置の表示パネルにおいて印字のための指示ボタンが表示された状態を示す図である。
図4は、本実施形態に係る帳票印字システム1において印字される帳票CPの一例を示す。
なお、オフライン発行は、プリンタに対して無線通信を経ずに印字指示を行うことによって帳票を印字発行することを意味し、オンライン発行は、プリンタに対して無線通信により印字指示を行うことによって帳票を印字発行することを意味する。
【0011】
図1に示すように、帳票印字システム1は、ハンディスキャナ2、プリンタ3、通信装置5、および、通信装置7を含む。通信装置5,7は、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ、スマートフォン等である。ここで、ハンディスキャナ2および通信装置7は、複数の通信装置の一例である。通信装置7は、第2通信装置、および無線で通信可能な通信装置の一例である。ハンディスキャナ2は、第3通信装置、および有線で通信可能な通信装置の一例である。帳票CPは、記録用紙の一例である。
【0012】
帳票印字システム1では、通信装置5又は通信装置7のユーザが発送対象の荷物を持って配送会社に行き、配送会社に設置されているハンディスキャナ2および/またはプリンタ3を使用して、配送のための帳票を印字する場合を想定している。すなわち、ユーザには2通りの方法によって帳票を印字することが可能である。
第1の方法は、通信装置5を所持するユーザが通信装置5に印字のための2次元コードQ1を表示させ、当該2次元コードQ1をハンディスキャナ2に読み取りさせることによって帳票CPを印字する方法である。
第2の方法は、通信装置7を所持するユーザが通信装置7の画面上で所定の操作を行うことでプリンタ3に印字用データを送信させ、帳票CPを印字する方法である。
【0013】
ユーザは、配送会社に荷物の発送を依頼する前に、本実施形態の帳票印字システム1とは異なるシステムを利用して、
図2に示すように2次元コードQ1を含む画面、又は
図3に示すように印字を行うためのボタンB1を含む画面を表示させる。なお、ここでは、通信装置5を利用するユーザと、通信装置7を利用するユーザとは、別個のユーザであることを想定している。
これらの画面を取得するためのシステムは特に限定するものではないが、例えば、インターネット上のオークションシステムである。かかるオークションシステムにおいてユーザ間で物品の売買契約が成立した場合、一方のユーザから他方のユーザに対して売買に係る物品を梱包した荷物を配送するために、オークションシステムが物品の所有者(つまり、荷物の発送依頼者)に対して2次元コードQ1(
図2参照)を含む画像、あるいは印字を指示するためのボタンB1(
図3参照)を含む画像をユーザの通信装置に送信する。当該画像は、例えばウェブページである。
【0014】
図2に示すように、印字用の2次元コードQ1には、帳票番号、追跡番号、依頼者情報、届け先情報、および、荷物情報が含まれる。
帳票番号は、帳票の種類を特定する番号であり、例えば、元払い用の帳票、着払い用の帳票、匿名配送用の帳票等の複数の種類の帳票の中から、発送依頼者が予め選択した種類の帳票に対応している。追跡番号は、届け先までの荷物の配送状況をユーザが追跡できるように印字される番号である。原則的に同一の追跡番号の帳票が2回以上印字されることはない。
依頼者情報は、荷物の発送依頼者の名前と住所の情報を含む。届け先情報は、荷物の届け先の名前と住所の情報を含む。荷物情報は、荷物の内容物(例えば、物品の名称若しくはコード、および、物品の個数)についての情報である。
帳票番号、追跡番号、依頼者情報、届け先情報、および、荷物情報は、上記オークションシステムにおいてユーザが入力若しくは選択する情報であるか、あるいはオークションシステムが発行する情報である。オークションシステムを管理するサーバ(図示せず)は、これらの情報を含む2次元コードQ1を生成し、発送依頼者の通信装置5へ送信する。
【0015】
図3に示す通信装置7の画面には、
図2の2次元コードQ1に含まれている情報と同様の情報がテーブル形式によりテキストで含まれてもよい。つまり、
図3の通信装置7の表示パネル7aには、帳票番号、追跡番号、依頼者情報、届け先情報、および、荷物情報の具体的な情報がテキストで表示されてもよい。
【0016】
帳票印字システム1では、通信装置5の画面上に表示される2次元コードQ1を読み取らせることで印字発行するオフライン発行、および、通信装置7の画面上に表示されるボタンB1に対する操作により印字発行するオンライン発行のいずれかについて、ユーザが選択可能である。
具体的には、オフライン発行では、荷物の発送依頼者は、当該荷物と2次元コードQ1を受信した通信装置5とを持って、配送会社で荷物の発送のための帳票を印字する。すなわち、配送会社において発送依頼者は、通信装置5に2次元コードQ1を表示させ、表示させた2次元コードQ1をハンディスキャナ2に読み取らせることで、プリンタ3から
図4に例示した帳票CPを印字させることができる。
他方、オンライン発行では、荷物の発送依頼者は、当該荷物と通信装置7とを持って、配送会社で荷物の発送のための帳票を印字する。すなわち、配送会社において当該発送依頼者は、通信装置7にボタンB1を含む画像を表示させ、表示させたボタンB1に操作(例えばタッチ操作)することで、プリンタ3から
図4に例示した帳票CPが印字させることができる。
【0017】
従って、本実施形態の帳票印字システム1では、配送会社に設置されているプリンタ3に帳票CPを印字させるために、ある発送依頼者はオフライン発行により帳票CPの印字を行い、別の発送依頼者はオンライン発行により帳票CPの印字を行うということが発生しうる。つまり、帳票CPを印字しようとする複数の発送依頼者が、オフライン方式又はオンライン方式のいずれかを選択して帳票CPを印字することを想定している。
その場合、仮に何らの制御を行わないとしたならば、両者が帳票CPを印字させるタイミングによっては、ハンディスキャナ2および通信装置7からプリンタ3に送信される2つの印字用データがプリンタ3内に混在し、適切な処理を行うことができない虞がある。そのような状況を防止するために、本実施形態の帳票印字システム1では、後述するように、一方の印字用データを受信した場合には、当該印字処理が完了するまでの間、他方の印字用データを受信しても印字しないように制御する。この制御については後に詳細に説明する。
【0018】
図4に例示する帳票は、着払い用の帳票CPの例を示しており、第1票P1、第2票P2、第3票P3、および、第4票P4が綴りとなっている。第1票P1は、荷物に貼り付けるための用紙である。第2票P2は、荷物の届け先に投函等するための配達証のための用紙である。第3票P3は、配送会社の控えとなる用紙である。第4票P4は、荷物の発送依頼者の控え(お客様控)となる用紙である。各票には、「届け先」、「依頼者」、「品名」、「追跡番号」の情報が印字されている。これらの情報は、ハンディスキャナ2に読み取らせた2次元コードQ1の届け先情報、依頼者情報、荷物情報、追跡番号の各情報に対応し、かつ、
図3に示す表示パネル7aに表示された各情報に対応している。
【0019】
本実施形態の帳票印字システム1では、いったん帳票CPが印字された後は、原則的に当該帳票CPに印字されている追跡番号と同じ追跡番号の帳票CPを再度印字することはできない。同一の追跡番号の帳票CPが2個以上存在したならば、当該追跡番号によって正しく荷物を追跡することができない場合が生ずるためである。
【0020】
(2)帳票印字システム1の構成
次に、本実施形態の帳票印字システム1の構成について、
図5〜7を参照して説明する。
図5は、オフライン発行を行う場合の本実施形態に係る帳票印字システム1のブロック図である。
図6は、オンライン発行を行う場合の本実施形態に係る帳票印字システム1のブロック図である。
図7は、印字履歴データベースのデータ構成の例を示す図である。
【0021】
(2−1)オフライン発行を行う場合の構成
図5に示すように、ハンディスキャナ2は、制御部21、発光駆動回路22、光源23、光学機構24、イメージセンサ25、波形成形部26、および、通信インタフェース27を備える。
制御部21は、マイクロプロセッサを主体として構成され、ハンディスキャナ2の全体を制御する。例えば、制御部21は、発光駆動回路22に対する制御、波形成形部26からのデジタル信号の処理、および、通信インタフェース27を介したプリンタ3との通信を行う。
光源23は、2次元コードに照射するための光(出射光EL)の光源であり、例えばLEDである。発光駆動回路22は、制御部21による制御の下、光源23を駆動するための回路である。例えば、発光駆動回路22は、制御部21による制御に基づいて、光源23の発光を行い、あるいは光源23の発光を停止する。
光学機構24は、光源23から出射された出射光ELを反射する反射ミラーと、当該出射光ELが2次元コードによって反射された反射光RLを反射する反射ミラー、反射光RLをイメージセンサ25上で結像する結像レンズ等を含む。イメージセンサ25は、例えばCCD(Charge Coupled Device)方式のエリアセンサであり、受光素子がマトリクス状に配列されている。
【0022】
ハンディスキャナ2による2次元コードの読み取りは、以下のようにして行われる。
発光駆動回路22により光源23が発光すると、出射光ELが光学機構24を介して外部の2次元コードを照射する。2次元コードによって反射された反射光RLは、再度、光学機構24内に入り、イメージセンサ25上で結像する。イメージセンサ25は、反射光RLを光の強弱を表す電気信号(アナログ)に変換する。当該電気信号は波形成形部26によって波形成形され、制御部21に入力される。
制御部21は、反射光RLに対応する電気信号をデジタル化し解析することで、読み取った2次元コードに含まれるデータ(以下、適宜「印字用データ」という。)を抽出する。制御部21は印字用データを暗号化して、通信インタフェース27および配線C1を介してプリンタ3へ送信する。
【0023】
図5に示すように、プリンタ3は、制御部31、搬送部32、印字部33、操作入力部34、表示部35、音声出力部36、メモリ37、および、通信インタフェース38を備える。通信インタフェース38は、ハンディスキャナ2との間で通信を行う。後述するように、通信インタフェース38は、通信装置7との間でBluetooth(登録商標)による通信を行う。
図示しないが、プリンタ3には、帳票がミシン目によって区切られた連続紙が装填されている。この連続紙の印字面には、予め決められた温度領域に達すると特定の色に発色する感熱発色層が形成されている。
【0024】
制御部31は、マイクロプロセッサを主体として構成され、プリンタ3の全体を制御する。例えば、制御部31に含まれるマイクロプロセッサは、メモリ37に記録されているファームウェアをロードして実行することで、様々な機能を実現する。例えば、制御部31は、ハンディスキャナ2から受信した印字用データのデコード(復号処理)、印字データの生成、印字のための搬送部32および印字部33に対する制御等、後述する印字処理などを行う。
【0025】
メモリ37は、不揮発性のメモリであり、例えばフラッシュメモリ等のSSD(Solid State Drive)であってもよい。メモリ37には、上述したファームウェアのほか、発送依頼者によって選択されうる様々な種類の帳票形式のデータと、印字履歴データベースとが記録されている。
図7に例示するように、印字履歴データベースの各レコードは、帳票の印字日時および当該帳票の追跡番号の各フィールドのデータが対応付けられている。印字履歴データベースは、印字日付の早い順に所定数のレコード(例えば、10レコード)から構成されており、最新の印字日付のレコードを追加する場合には、最古の印字日付のレコードが削除される。
印字履歴データベースは、追跡番号が同一の帳票の重複印字を防止するために設けられている。
なお、印字履歴データベースには、帳票の印字日時のデータが含まなくてもよい。その場合、印字順に追跡番号を印字履歴データベースに記録し、FIFO(First In First Out)方式により印字履歴データベースを更新していく。
【0026】
搬送部32は、図示しないプラテンローラ、モータ駆動回路、および、ステッピングモータを含み、プリンタ3内の印字用紙(連続紙)の搬送を行う。例えば、制御部31による搬送要求に基づき、モータ駆動回路が、プラテンローラの回転を制御するステッピングモータを駆動することによって、連続紙を搬送させる。制御部31による搬送要求では、搬送方向(順方向あるいは逆方向)および搬送量が指定される。
【0027】
制御部31は、印字データに基づき帳票を印字する場合、印字用データの帳票番号によって指定される種類の帳票形式のデータをメモリ37から読み出す。次いで制御部31は、読み出したデータに印字用データに含まれる追跡情報、依頼者情報、届け先情報、および、荷物情報を埋め込むことにより印字データを生成し、印字データのライン毎のデータであるラインデータを順次、印字部33へ送出する。
印字部33は、図示しないサーマルヘッドおよびヘッド駆動回路を含む。サーマルヘッドは上記プラテンローラとの間で連続紙を挟む。ヘッド駆動回路は、制御部31によって順次送出されるラインデータに基づき、サーマルヘッドの各発熱素子に電流を流す(発熱させる)、あるいは流さないようにする(発熱させないようにする)ことで、印字を行う。
【0028】
操作入力部34は、ユーザからプリンタ3に対する操作入力を受け入れる部分であり、例えば、入力ボタンおよび入力インタフェース回路を含む。表示部35、および、音声出力部36は、それぞれ、制御部31による処理結果に基づき、ユーザに対して通知すべき情報の表示出力および音声出力を行う。
【0029】
(2−2)オンライン発行を行う場合の構成
図6において、プリンタ3の構成は
図5に示したものと同一である。
図6に示すように、通信装置7は、制御部71、操作入力部74、表示部75、メモリ77、および、通信インタフェース78を備える。
制御部71は、マイクロプロセッサを主体として構成され、通信装置7の全体を制御する。例えば、制御部71は、通信インタフェース78を介したプリンタ3との通信を行うほか、ウェブブラウザを動作させ、上記オークションシステムとのHTTP通信によりオークションシステムのウェブページを表示部75に表示する。
図3は、当該ウェブページの表示例を示している。
メモリ77には、ウェブブラウザ、プリンタ3に対応するプリンタドライバ、および、通信用アプリケーションソフトウェアを含む。通信装置7の起動後、必要に応じてこれらのプログラムは制御部31にロードされ、実行される。ここで、通信用アプリケーションソフトウェア(以下、「通信用アプリケーション」という。)は、プリンタドライバと協働してプリンタ3との間で通信を行うためのプログラムである。
通信インタフェース78は、プリンタ3の通信インタフェース38との間で所定のプロトコルの無線通信を行うためのインタフェース回路を含む。本実施形態では、通信インタフェース78は、プリンタ3の通信インタフェース38との間でBluetooth(登録商標)による非接触の無線通信を行う。なお、プリンタ3との間で行われる無線通信の規格はその限りではなく、NFC(Near Field Communication)等であってもよい。
【0030】
オンライン発行時には、プリンタ3の通信インタフェース38は、通信装置7の通信インタフェース78との間で無線通信を行う。つまり、通信インタフェース38は、通信装置7から印字用データを無線で受信する。
プリンタ3の制御部31は、通信装置7から受信した印字用データのデコード、印字データの生成、印字のための搬送部32および印字部33に対する制御等、後述する印字処理などを行う。
【0031】
通信装置7の表示パネル7aはタッチパネル方式の入力手段を含み、操作入力部74はタッチ入力による入力信号を制御部71へ送信する。
例えば、通信装置7では、
図3のボタンB1のタッチ入力が制御部71へ送信される。制御部71は、当該タッチ入力に応じて表示パネル7aに表示された情報を含む印字用データを生成し、プリンタ3へ送信する。印字用データを受信したときのプリンタ3の動作は、オフライン発行の場合と同じである。
【0032】
(3)帳票印字システム1の動作
次に、帳票印字システム1の動作について、
図8〜11を参照して説明する。
図8、
図10、および
図11は、それぞれ本実施形態に係る帳票印字システム1において帳票を印字するときのシーケンスチャートの例である。
図9は、本実施形態のプリンタ3における印字処理のフローチャートである。
なお、プリンタ3は、印字用データに基づく印字処理を行っていない状態で、ハンディスキャナ2によるデータ送信と、通信装置7からの接続要求とがほぼ同時に行われた場合には、データ受信のタイミングが早い方を優先して処理する。
【0033】
(3−1)ハンディスキャナ2からの印字用データを先に受信した場合の処理(
図8、
図9)
先ず、
図8および
図9を参照して、プリンタ3が印字用データに基づく印字処理を行っていない状態でハンディスキャナ2から印字用データを受信した場合の処理について説明する。この処理では、ハンディスキャナ2が第1通信装置の一例である。
【0034】
荷物の発送依頼者は、自身の通信装置5と荷物を持って配送会社を訪れ、通信装置5に表示させた2次元コードQ1を配送会社に設置されているハンディスキャナ2に読み取らせる。すると
図8において、ハンディスキャナ2は印字用データを生成し、印字用データをプリンタ3へ送信する(ステップS10)。プリンタ3は、印字用データの受信処理を行う(ステップS12)。
【0035】
この受信処理には、印字用データの受信を開始してから当該印字用データをすべて受信したか否かチェックすることが含まれる。例えば、ハンディスキャナ2の制御部21は、送信する印字用データの最後に所定のコードを付加するようにし、プリンタ3の制御部31は、逐次受信する印字用データの中に当該所定のコードが含まれていることを認識した場合に印字用データの受信が完了したと判断する。
受信処理には、受信した印字用データ(暗号化されたデータ)のデコード(復号処理)を行い、印字用データを制御部31が認識可能なデータに変換することを含む。認識可能なデータの例として、例えば
図2において示す項目番号および各情報の内容が関連付けられたCSV形式のデータが挙げられるが、そのようなデータ形式に限られない。
【0036】
ステップS12の受信処理において印字用データの受信が完了したと判断した場合、プリンタ3の制御部31は、受信した印字用データの処理を行うために、ハンディスキャナ2に対して発光停止要求のコマンドを送信することが好ましい(ステップS16)。発光停止要求のコマンドを受信したハンディスキャナ2の制御部21は、光源23が発光しないように発光駆動回路22を制御する(ステップS18)。発光が停止されると、2次元コードからの反射光が得られないため、新たな印字用データの生成が停止される。すなわち、ハンディスキャナ2側で同一の2次元コードQ1を再度読み取ることが防止される。
【0037】
プリンタ3の制御部31は、ステップS20s〜S20eの間で印字処理を行う。印字処理の詳細については、
図9を参照して後述する。
プリンタ3により印字処理が行われている場合に、通信装置7においてボタンB1(
図3参照)が操作された場合、通信装置7からプリンタ3に対して接続要求が送信される(ステップS19)。その場合には、プリンタ3の制御部31は、通信装置7との接続を確立しないように制御する。
印字処理が終了すると(ステップS20e)、プリンタ3はハンディスキャナ2に対して発光要求コマンドを送信する(ステップS23)。それによってハンディスキャナ2の制御部21は、光源23が発光を開始するように発光駆動回路22を制御する(ステップS26)。
【0038】
以下、
図9のフローチャートを参照して、
図8のステップS20s〜S20eの間に行われる印字処理について説明する。
印字処理では先ず、ステップS12で受信した印字用データのデータチェックを行う(ステップS40)。データチェックは、ステップS12で得られたデータの特定の項目番号の情報について適切な値であるか否かのチェックである。例えば、
図2において項目番号:1の帳票番号が適正な値であるか否かについてチェックされる。データチェックがOKでない場合(ステップS40:NO)、制御部31はエラー出力を行い(ステップS50)、印字を行うことなく印字処理を終了する。エラー出力は、表示部35によるエラー表示、および/または、音声出力部36によるエラーの音声出力である。
【0039】
制御部31は、データチェックの結果がOKである場合(ステップS40:YES)、印字用データに含まれる追跡番号が登録済みであるか否かについて印字履歴データベース(
図7参照)を参照して判定する(ステップS42)。印字履歴データベースには直近に印字された所定数の帳票の追跡番号が記録(登録)されている。制御部31は、印字用データに含まれる追跡番号が印字履歴データベースに記録されているいずれかの追跡番号と一致するか否かの判定する(つまり、重複印字の判定を行う)。一致すると判定した場合には(ステップS42:YES)、制御部31は、同一の追跡番号の帳票を2個以上印字させないようにエラー出力を行い(ステップS50)、印字を行うことなく印字処理を終了する。
【0040】
印字用データに含まれる追跡番号が印字履歴データベースに記録されているいずれかの追跡番号と一致しないと判定した場合(ステップS42:NO)、制御部31は、印字用データに基づいて帳票の印字を行うように印字部33を制御する(ステップS44)。すなわち、制御部31は、印字用データに含まれる帳票番号によって指定される種類の帳票形式のデータをメモリ37から読み出し、読み出したデータに印字用データに含まれる追跡情報、依頼者情報、届け先情報、および、荷物情報を埋め込むことにより印字データを生成する。そして制御部31は、印字データに対応するラインデータを順次、印字部33へ送出し、印字部33がラインデータに基づいて連続紙に印字を行って帳票を印字する。
【0041】
制御部31は、印字が正常に終了しなかった場合には(ステップS46:NO)、エラー出力を行い(ステップS50)、印字処理を終了する。印字が正常に終了した場合には(ステップS46:YES)、重複印字を防止するために印字履歴データベースに追跡番号を登録する(ステップS48)。つまり、印字履歴データベースにおいて新たなレコードを追加して印字日付と追跡番号を記録するとともに、印字履歴データベース内の最古の印字日付のレコードを削除する。
以上が
図8のステップS20s〜S20eの間に行われる印字処理の詳細である。
【0042】
(3−2)ハンディスキャナ2からの印字用データを先に受信した場合の処理(
図10)
次に、
図10を参照して、ハンディスキャナ2からの印字用データを先に受信した場合の別の処理について説明する。なお、
図10では、
図8と同一の処理については同一の符号を付している。
図10では、プリンタ3において、ハンディスキャナ2からの印字用データの受信が通信装置7からの接続要求よりも僅かに早い場合についての処理である。かかる場合には、通信装置7とプリンタ3の間で接続が確立してしまうことがある。
そのような場合でもプリンタ3の制御部31は、ハンディスキャナ2からの印字用データに基づく印字処理を行っている間、通信装置7からの印字用データに基づく印字を行わないように制御する。具体的には、ステップS14でプリンタ3と通信装置7とで通信が確立した後、通信装置7の通信用アプリケーションは、印字用データを送信するために定期的にプリンタ3に対して、ステータス要求コマンドENQを送信する。それに対してプリンタ3は、オフライン発行中であることを示すコード“r”を返信する(ステップS22)。そのため、印字用データに基づく印字処理を行っているステップS20s〜S20eの間、通信装置7は、印字用データをプリンタ3へ送信することはできない。
【0043】
印字処理が終了すると(ステップS20e)、プリンタ3はハンディスキャナ2に対して発光要求コマンドを送信するが(ステップS23)、通信装置7と無線接続が確立中であるため、直ぐに発光停止要求コマンドを送信する(ステップS24)。それによってハンディスキャナ2の制御部21は、光源23が発光しないように発光駆動回路22を制御する(ステップS26)。
発光停止要求コマンドを送信した後は、通信装置7からの印字用データに基づく印字を可能とするために、プリンタ3の制御部31は、通信装置7からのステータス要求コマンドENQに対して受信待ちであることを示すコード“A”を返信する(ステップS28)。コード“A”が返信されたことを受けて通信装置7は、印字用データを含む印字用コマンドをプリンタ3へ送信する(ステップS30)。
【0044】
なお、上述した説明では、印字用データがステップS30において通信装置7からプリンタ3へ送信される場合について説明したが、それよりも前に印字用データがプリンタ3へ送信されてもよい。例えば、ステップS14において印字用データが通信装置7からプリンタ3へ送信されてもよいが、その場合であってもプリンタ3は、オフラインによる印字処理を実行中であるため、通信装置7から受信済みの印字用データに基づいて印字を実行することはない。その場合、好ましくは、通信装置7から受信済みの印字用データは削除する等、無効化される。
【0045】
(3−2)通信装置7からの印字用データを先に受信した場合の処理(
図11)
次に
図11を参照して、プリンタ3が印字用データに基づく印字処理を行っていない状態で通信装置7から印字用データを受信した場合の処理について説明する。この処理では、通信装置7が第1通信装置の一例である。
【0046】
荷物の発送依頼者は、自身の通信装置7と荷物を持って配送会社を訪れ、プリンタ3の近くで通信装置7に表示させたボタンB1(
図3参照)を操作する。すると
図11において、通信装置7からプリンタ3に対してなされた接続要求に応じて(ステップS54)、プリンタ3と通信装置7の間での無線接続が確立する。
次いでプリンタ3の制御部31は、通信装置7からのステータス要求コマンドENQに対して受信待ちであることを示すコード“A”を返信する(ステップS56)。コード“A”が返信されたことを受けて通信装置7は、印字用データを含む印字用コマンドをプリンタ3へ送信する(ステップS58)。プリンタ3は、受信した印字用データの受信処理を行う(ステップS60)。受信処理の内容は、
図8のステップS12と同じである。
【0047】
ここで、プリンタ3が通信装置7から印字用データを受信した後に、ハンディスキャナ2により2次元コードQ1が読み取られたことを受け、プリンタ3がハンディスキャナ2から印字用データを受信した場合を想定する(ステップS62)。プリンタ3の制御部31は、印字用データを受信したため、さらに2次元コードQ1を読み取ることがないようにハンディスキャナ2に対して発光停止要求コマンドを送信する(ステップS64)。それによって、ハンディスキャナ2の制御部21は、光源23が発光しないように発光駆動回路22を制御する(ステップS66)。
【0048】
なお、ステップS62ではプリンタ3がハンディスキャナ2から印字用データを受信した場合が想定されている。ステップS66以降では発光が停止されるため、ハンディスキャナ2から印字用データが送信されないが、通信装置7による接続要求とハンディスキャナ2による読み取りが近いタイミングで行われた場合、発光が停止される前にハンディスキャナ2から印字用データを受信することが生じうる。このような場合、ハンディスキャナ2から受信した印字用データを無効化することが好ましい(ステップS68)。それによって、通信装置7からの印字用データとハンディスキャナ2からの印字用データとがプリンタ3内に確実に混在しないようになる。なお、印字用データの無効化として、例えば、印字用データの削除、印字用データを無効なデータに変換すること等が挙げられる。
【0049】
プリンタ3の制御部31は、先に受信した通信装置7からの印字用データに対する印字処理を実行する(ステップS70s〜S70e)。
図11のステップS70s〜S70eの間に行われる印字処理は、
図9に示したものと同じであるため、重複説明を省略する。
プリンタ3が印字処理を行っている間、ハンディスキャナ2では発光が停止されているため、印字用データがハンディスキャナ2から送信されることはない。
【0050】
印字処理が終了すると(ステップS70e)、プリンタ3の制御部31は通信装置7との接続を終了し、ハンディスキャナ2からの印字用データの送信を可能とするために、発光要求コマンドをハンディスキャナ2へ送信する(ステップS74)。それによってハンディスキャナ2の制御部21は、光源23が発光するように発光駆動回路22を制御する(ステップS76)。
【0051】
以上説明したように、本実施形態の帳票印字システム1によれば、ハンディスキャナ2および通信装置7と通信可能なプリンタ3において、ハンディスキャナ2からの印字用データと通信装置7からの印字用データとがプリンタ3に混在することがない。そのため、ハンディスキャナ2又は通信装置7からの印字用データに基づく印字処理を適切に行うことができる。
【0052】
以上、本発明のプリンタ、記録用紙印字システムの一実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。
【0053】
例えば、上述した実施形態では、複数の通信装置の例としてハンディスキャナ2および通信装置7の2個の通信装置を挙げたが、複数の通信装置の数は3以上であってもよい。その場合でも、複数の通信装置のいずれから送信された印字用データの印字処理が完了するまでの間は、2以上の他の通信装置からの印字用データを受信しないか、受信しても印字しないように制御される。
【0054】
上述した実施形態では、一方から送信された印字用データに基づく印字処理が完全に終了してから(つまり、帳票CPにすべて印字されてから)他方から送信された印字用データに基づく印字処理が開始可能である場合について説明した。すなわち、
図10では、ハンディスキャナ2からの印字用データに基づく印字処理が終了した後に(ステップS20eの後に)、ステップS28においてプリンタ3が通信装置7に対してコード“A”を返信する場合について説明した。また、
図11では、通信装置7からの印字用データに基づく印字処理が終了した後に(ステップS70eの後に)、ステップS74においてプリンタ3がハンディスキャナ2に対して発光要求コマンドを送信する場合について説明した。
しかし、一方から送信された印字用データに基づく印字処理が完全に終了する前に他方から送信された印字用データに基づく印字処理が開始可能となるように構成してもよい。例えば、一方から送信された印字用データを受信し、印字部33においてサーマルヘッドを駆動するライン毎のデータが生成された時点で、他方から送信された印字用データに基づく印字処理を開始可能とするようにしてもよい。