(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コントローラは、前記超音波探触子を前記走査方向の一方に向けて移動させる際には、前記横方向における前記開口の一端部が前記被検査物から食み出すように前記走査機構を制御し、かつ、前記超音波探触子を前記走査方向の他方に向けて移動させる際には、前記横方向における前記開口の他端部が前記被検査物から食み出すように前記走査機構を制御する、請求項1に記載の局部水浸式の超音波探傷装置。
超音波探触子と、前記超音波探触子を保持し、被検査物に対向する対向面を有するキャリアとを備え、前記キャリアが、前記対向面に囲まれて前記超音波探触子から出力された超音波が下方に通過する開口と、前記開口に連通する水ノズルとを有する超音波探傷装置を用いた局部水浸式の超音波探傷方法であって
平面視において前記超音波探触子の走査方向に直交する横方向に前記開口の一部が前記被検査物から食み出した状態で、前記キャリアの前記対向面を前記被検査物に接触させて、前記超音波探触子に前記被検査物を走査させる、局部水浸式の超音波探傷方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。なお、以下の説明では、板バネの長手方向をX方向とし、板バネの長手方向に直交する幅方向をY方向とし、X方向及びY方向に直交する鉛直方向をZ方向と定義する。
【0011】
図1は、実施形態に係る超音波探傷装置1の斜視図である。
図2は、
図1に示す可動ケース3及びその内部の平面図である。なお、
図1では超音波探触子4の近傍を概略的に示し、後述の
図3にてその詳細を示す。
図1及び2に示すように、超音波探傷装置1は、繊維強化樹脂製の板バネ70,71の欠陥の有無を検査するための装置であり、例えば、板バネ70,71は鉄道車両用台車に用いられるものである。超音波探傷装置1は、局部水浸式である。超音波探傷装置1は、内側に検査空間Sを形成するフレーム2を備える。
【0012】
フレーム2で囲まれた検査空間Sには、被検査物である板バネ70,71を収容する可動ケース3がY方向にスライド自在に配置される。即ち、フレーム2には、可動ケース3が引出可能に収納される。フレーム2及び可動ケース3の各々の外形は、X方向に延びた略直方体形状を有する。フレーム2のY方向手前側には、可動ケース3が通過できる開口2aが形成されている。フレーム2には、検査空間Sの底側において可動ケース3をスライド自在に下方から支持可能な支持部2b(例えば、底部)が設けられている。
【0013】
フレーム2には、超音波探触子4及びそれを保持するキャリア9(
図3参照)を板バネ70,71に対して走査させる走査機構5が支持されている。走査機構5は、フレーム2に載せられてX方向に延びる第1ガイド6と、第1ガイド6にX方向に案内されてY方向に延びる第2ガイド7と、第2ガイド7にY方向に案内されたZ方向に延びる第3ガイド8とを備える。第3ガイド8には、超音波探触子4及びキャリア9を支持する支持装置10がZ方向に案内される。
【0014】
走査機構5は、第1ガイド6に沿って第2ガイド7をX方向に移動させる第1モータ11と、第2ガイド7に沿って第3ガイド8をY方向に移動させる第2モータ12と、第3ガイド8に沿って支持装置10をZ方向に移動させる第3モータ13とを備える。第3ガイド8には、超音波探傷器14が取り付けられている。即ち、走査機構5による超音波探触子4のX−Y方向の移動に伴って、超音波探傷器14もX−Y方向に移動する。超音波探触子4は、電気ケーブル15を介して超音波探傷器14に接続されている。超音波探傷器14は、プロセッサ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ及びI/Oインターフェース等を有する。超音波探傷器14は、走査機構5を制御するコントローラCと同期し超音波探傷データを記録する。
【0015】
可動ケース3は、ケース部16及び移動機構部17を備える。ケース部16は、一対の板バネ70,71を収容し、上方に開放されている。ケース部16は、X方向に延びた長方形状の底壁16aと、底壁16aの周縁部から上方に延びて透明板を有する側周壁16bとを備える。底壁16aには、排水口16cが設けられている。移動機構部17は、例えば、ケース部16の下端部に設けられた脚輪21と、フレーム2に対してスライドするケース部16のガイド体(図示せず)とで構成される。即ち、ケース部16がフレーム2に支持されるとともに、脚輪21がフレーム2の外部に配置されて地面に置かれる。フレーム2から外側に引き出された可動ケース3をY方向奥側に押すと、可動ケース3がフレーム2の開口2aを介して検査空間Sに配置される。
【0016】
板バネ70,71は、繊維強化樹脂の積層体である。板バネ70,71は、互いに同一である。板バネ70,71は、長手方向及び厚さ方向に直交する幅方向(Y方向)から見た側面視で曲面形状を有する。板バネ70,71の各々は、Y方向から見た側面視で弓形状を有し、その中央部70a,71aの肉厚はその端部70b,71bの肉厚よりも大きい。ケース部16の内部には、設置部23、端設定部24及び基準試験片設置部25が設けられている。
【0017】
設置部23には、複数の板バネ70,71が互いに平行でX方向に延びた状態で設置される。一方の板バネ70は、その表面(凹面)が超音波探触子4に向くように上方に向けた状態で設置部23に支持され、他方の板バネ71は、その裏面(凸面)が超音波探触子4に向くように上方に向けた状態で設置部23に支持される。即ち、板バネ70,71は、互いに表裏が逆転した状態で設置部23に夫々設置される。
【0018】
端設定部24は、板バネ70,71の長手方向(X方向)の端縁を位置決めする機能や板バネ70,71の長手方向(X方向)の端部に到達したキャリア9の一部等を支持する機能を有する。端設定部24の詳細構造は、
図6を用いて後述する。基準試験片設置部25は、被検査物である板バネ70,71を超音波探触子4により実際に探傷する前にゼロ補正のために試験探傷される基準試験片26が設置される台座である。基準試験片設置部25は、ケース部16内において、設置部23、端設定部24及び板バネ70,71と平面視で重ならない位置に設けられている。
【0019】
図3は、
図1に示す超音波探触子4及びその近傍の斜視図である。
図1及び3に示すように、支持装置10は、超音波探触子4及びキャリア9(ウェッジとも称す)を板バネ70の上面に沿って追従させる追従機構30を備える。即ち、追従機構30は、キャリア9(超音波探触子4)と走査機構5との間に介在する。追従機構30は、キャリア9の接触面9a(下面)が板バネ70に接触して反力を受けることにより、キャリア9の接触面9aが板バネ70の上面に対して平行状態で安定接触するように、キャリア9を上下方向、ピッチング方向及びロール方向に受動的に変位させるものである。
【0020】
追従機構30は、基部31、スライド部32、スライドバネ33,34(
図1参照)、ピッチング/ロール部35、ピッチング/ロールバネ36,37、ヘッド部38、ホイールエンコーダ40、ダミーホイール41を備える。基部31は、走査機構5の第3ガイド8に接続され、第3モータ13により第3ガイド8に沿って上下方向に移動される。スライド部32は、基部31に対して上下方向に変位可能に基部31に取り付けられている。スライドバネ33は、基部31に対してスライド部32を下方に付勢することで、間接的に基部31に対してキャリア9を下方に付勢する。別のスライドバネ34は、基部31に対してスライド部32を上方に付勢することで、間接的に基部31に対してキャリア9を上方に付勢する。即ち、スライド部32は、スライドバネ33,34により基部31に対して弾性的に保持されている。
【0021】
ピッチング/ロール部35は、スライド部32に対してヘッド部38をY方向に延びるピッチング軸線P周りに回動させることで、間接的に基部31に対してキャリア9をピッチング軸線P周りに回動させると共に、スライド部32に対してヘッド部38が上下方向にも可動しX方向に延びるロール軸線R周りのロール方向の位置調整を行う。具体的には、ピッチング/ロール部35は、スライド部32に対してヘッド部38を回動自在に接続するY方向に延び、上下方向にも可動する軸である。ピッチング軸線PのX方向位置は、超音波探触子4の中心のX方向位置と同じであり、ロール軸線RのY方向位置は、超音波探触子4の中心のY方向位置と同じである。ピッチング/ロールバネ36,37は、基部31に対してピッチング軸線P周り及びロール軸線R周りにヘッド部38を付勢する。即ち、ピッチング及びロールバネ36,37は、ピッチング軸線P周り及びロール軸線R周りにおいてヘッド部38に固定されたキャリア9の接触面9aが水平となる向きにスライド部32に対してキャリア9を付勢する。
【0022】
図4は、
図3に示すキャリア9の下方から見た斜視図である。
図5は、
図3に示す超音波探触子4及びその近傍の断面図である。
図3乃至5に示すように、ホイールエンコーダ40は、ヘッド部38のX方向一方側に配置された状態でヘッド部38に取り付けられることで、キャリア9に接続されている。ダミーホイール41は、ヘッド部38のX方向他方側に配置された状態でヘッド部38に取り付けられることで、キャリア9に接続されている。ホイールエンコーダ40及びダミーホイール41は、キャリア9の接触面9aが板バネ70の上面に接触した状態で板バネ70の上面に当接する。即ち、ヘッド部38に固定されたキャリア9が板バネ70に沿ってX方向に移動するのに伴って、ホイールエンコーダ40及びダミーホイール41が板バネ70の上面を転動する。
【0023】
ホイールエンコーダ40は、その回転数を検出することでホイールエンコーダ40のX方向の走行距離を検出し、その検出信号をコントローラCに送信する。即ち、コントローラCは、ホイールエンコーダ40からの信号により板バネ70の上面に対する超音波探触子4の移動距離を把握し、走査機構5を制御する。ダミーホイール41は、単なるローラである。ダミーホイール41が板バネ70の上面に接触することで、板バネ70の上面に対するホイールエンコーダ40の接触が保たれる。
【0024】
ホイールエンコーダ40及びダミーホイール41は、それぞれホイール支持部材46に回転自在に支持されている。ホイール支持部材46は、テンションバネ47を介してヘッド部38に固定されたブラケット48に弾性的に接続されている。即ち、ホイールエンコーダ40及びダミーホイール41は、テンションバネ47によりヘッド部38に対して下方に付勢され、板バネ70の上面に押し付けられる。
【0025】
超音波探触子4は、Y方向に並べられた複数の検出素子を有する。キャリア9は、板バネ70の上面に接触する接触面9aと、接触面9aに囲まれて超音波探触子4から出力された超音波が通過する開口9bと、接触面9aに形成されて開口9bからX方向に延びる溝9cと、溝9cに形成されて溝9cを介して開口9bに連通する水ノズル9dとを有する。開口9bは、接触面9aの法線方向から見た平面視において閉じた形状を有する。本実施形態では、開口9bは、Y方向に延びた矩形状を有する。溝9cは、Y方向において開口9bの端縁よりも開口9bの中央寄りに配置されている。複数の溝9cは、X方向及びY方向に対称に配置されている。水ノズル9dには、チューブ49を介して水ポンプ(図示せず)から水が供給される。超音波探触子4の下面(即ち、板バネ70との対向面)は、接触面9aと接触した板バネ70の上面と隙間Gをあけるように接触面9aよりも上方に位置している。開口9bに形成された隙間Gには、水ノズル9dから溝9cを介して供給される水が溜められる。
【0026】
超音波探触子4及びキャリア9は、走査機構5により板バネ70の上面をX方向に走査しながら探傷を行い、超音波探触子4で検出された探傷データは、電気ケーブル15を介して超音波探傷器14に送信される。超音波探傷器14は、超音波探触子4のX−Y方向の移動に伴ってX−Y方向に移動するので、走査距離が長い場合でも電気ケーブル15を長くせずに済み、超音波探触子4から超音波探傷器14に送信される検査信号の信頼性を確保できる。
【0027】
図6は、
図1に示す端設定部24及びその近傍の側面図である。なお、
図1及び2に示すように、複数の端設定部24は、板バネ70,71のX方向両側に夫々配置され、互いにX方向に対称構造である。また、板バネ70用の端設定部24と板バネ71用の端設定部24とは、互いに高さ位置が異なるが基本的には同構造である。そのため、
図6では1つの端設定部24について代表して説明する。
【0028】
図6に示すように、端設定部24は、ベース部51と、水平スライド部52と、位置決め壁部53と、タブ部材54と、鉛直スライド部55と、回動部56とを備える。ベース部51は、ケース部16の底壁16aに固定されている。水平スライド部52は、ベース部51に対してX方向にスライド可能に取り付けられている。位置決め壁部53は、水平スライド部52に固定され、水平スライド部52のスライド移動に伴って板バネ70のX方向の端縁に当接又は離反する。
【0029】
タブ部材54は、鉛直スライド部55及び回動部56を介して水平スライド部52に取り付けられている。タブ部材54は、設置部23に設置された板バネ70の長手方向外側にて板バネ70に隣接して配置される。タブ部材54は、鉛直スライド部55により水平スライド部52に対してZ方向に相対変位可能である。タブ部材54は、回動部56により水平スライド部52に対してY方向軸線周りに回動可能である。水平スライド部52と鉛直スライド部55と回動部56とを用いた位置調整によって、板バネ70のX方向端縁が位置決め壁部53に当接した状態において、タブ部材54の上面が板バネ70の上面と連続して面一になるように設定される。なお、水平スライド部52、鉛直スライド部55及び回動部56には、夫々の変位を規制するロック装置が設けられているとよい。
【0030】
図1及び6に示すように、一方の端設定部24の位置決め壁部53を先に板バネ70の一端に当接させてから他方の端設定部24の位置決め壁部53を板バネ70の他端に当接させる場合には、一方の端設定部24の位置決め壁部53が文字通り位置決め壁部の役目を果たし、他方の端設定部24の位置決め壁部53が押圧部の役目を果たすことになる。即ち、板バネ70が、そのX方向両側の位置決め壁部53の間に挟まれてX方向に位置決めされる。
【0031】
超音波探触子4が板バネ70のX方向端縁に到達してキャリア9の接触面9aやダミーホイール41(又はホイールエンコーダ40)が板バネ70より外方にはみ出しても、そのはみ出した部分がタブ部材54に接触することで、接触面9aを板バネ70の表面と平行に保つことができる。よって、超音波探触子4が板バネ70のX方向端縁に到達した際にもキャリア9の開口9bが水で安定的に満たされ、板バネ70のX方向端縁も正確に超音波探傷することができる。
【0032】
図7は、
図1に示す超音波探傷装置1のコントローラCに入力される板バネ70’の代表点A,Bを説明する側面図である。
図7に示すように、コントローラCには、板バネ70’の外形の代表点A,Bの位置データが入力される。なお、代表点A,Bは、個々の板バネ70,71毎に計測されたものではなく、板バネ70,71の設計上の外形(即ち、設計図面上の板バネ70’の外形)の代表点である。即ち、複数の板バネ70,71に対して超音波探傷を順次行う際に、検査対象の板バネが交換されても代表点A,Bは一定である。そのため、代表点A,Bは、板バネ70,71の実際の外形から若干ずれる可能性がある。
【0033】
板バネ70’の表面70c’(凹面)を上面として超音波探傷を行う際には、コントローラCは、板バネ70’の表面70c’の複数の代表点Aの位置データを補間(例えば、スプライン補間)して板バネ70’の表面70c’の形状を算出する。板バネ70’の裏面70d’(凸面)を上面として超音波探傷を行う際には、コントローラCは、板バネ70’の裏面70d’の複数の代表点Bの位置データを補間(例えば、スプライン補間)して板バネ70’の裏面70d’の形状を算出する。そして、コントローラCは、その算出された形状に沿って超音波探触子4が移動するように走査機構5を制御する。
【0034】
その際、側面視で曲面形状を有する実際の板バネ70において上下方向及びピッチング方向の二方向に表面形状のバラツキがあっても、前述した追従機構30により超音波探触子4及びキャリア9が板バネ70に対して正しい位置に自動修正される(
図1及び3参照)。よって、側面視で曲面形状を有する板バネ70を、大まかな複数の代表点A,Bを定義するだけで正確に探傷できる。
【0035】
具体的には、コントローラCは、Z方向に関し、キャリア9の接触面9aが代表点A,Bに基づいて算出された板バネの上面形状よりも下方の位置に到達するように、走査機構5によりスライド部32を下方に変位させる。キャリア9の接触面9aが板バネ70に接触すると、キャリア9は実際の板バネ70の上面から反力を受け、キャリア9が板バネ70に当接して停止した状態のまま基部31だけが目的位置まで下方に変位する。キャリア9と板バネ70との接触状態は、スライドバネ33の付勢力により保たれる。
【0036】
また、ピッチング方向に関し、走査機構5によりスライド部32を下方に変位させることで、ホイールエンコーダ40、キャリア9の接触面9a及びダミーホイール41が順番に板バネ70の上面に対して下方に押し付けられ、その反力によりピッチング/ロール部35においてヘッド部38がピッチング軸線P周りに回動すると共にロール方向にも可動する。よって、キャリア9の接触面9aは、板バネ70の上面のうちキャリア9の接触面9aが対向する部分に対して平行に保たれる。
【0037】
また、板バネ70の上面が曲面形状を有しても、超音波探傷器14がホイールエンコーダ40からの信号により超音波探触子4のX方向の位置を正確に検出できると共に、ダミーホイール41によりホイールエンコーダ40と板バネ70との間の接触が安定し、ホイールエンコーダ40の検出精度が向上する。
【0038】
図8は、
図3に示すキャリア9及び超音波探触子4の走査を説明する上方から見た平面図である。
図9は、
図8に示すキャリア9と板バネ70との位置関係を説明する下方から見た裏面図である。
図8及び9に示すように、コントローラCは、平面視においてY方向にキャリア9の開口9bの一部(
図9のハッチング部)が板バネ70からはみ出した状態でキャリア9の接触面9aを板バネ70の上面に接触させ、超音波探触子4が板バネ70を走査するように走査機構5を制御する。
【0039】
具体的には、コントローラは、超音波探触子4をX方向の一方に向けて移動させる際には、Y方向における開口9bの一端部が板バネ70からはみ出すように走査機構5を制御する。また、コントローラは、超音波探触子4をX方向の他方に向けて移動させる際には、Y方向における開口9bの他端部が板バネ70からはみ出すように走査機構5を制御する。その際、キャリア9の溝9c及び水ノズル9dは、Y方向において開口9bの両端よりも内側に配置されている。即ち、キャリア9の溝9c及び水ノズル9dは、平面視において板バネ70から食み出ずに板バネ70と重なるように配置される。超音波探触子4の走査時に往路から復路に折り返す際には、コントローラは、キャリア9を板バネ70から上方に離してキャリア9をY方向に平行移動させるように走査機構5を制御する。
【0040】
このようにすれば、水ノズル9dから吐出された水が、開口9bを満たして超音波探触子4と板バネ70との間に介在すると共に、その水が開口9bのうち板バネ70から食み出した部分から外部に排出されるため、超音波探触子4と板バネ70との間に気泡が混入しても当該気泡は迅速に排出される。そして、超音波探触子4を保持するキャリア9を板バネ70に接触させるので、板バネ70とキャリア9との間に一定の隙間を設けるための制御も不要になる。よって、複雑な制御を要さずに超音波探触子4と板バネ70との間に気泡が滞留することを防止できる。
【0041】
また、板バネ70のうちY方向の何れの端部を走査するかに関わらず、キャリア9の開口9bから外部への排水を円滑に保つことができる。また、超音波探触子4の走査時に往路から復路に折り返す際に、超音波探触子4の向きを反転させずに済むので、走査機構5が複雑化することも防止できる。また、溝9c及び水ノズル9dは、Y方向において開口9bの両端よりも内側に位置するので、キャリア9の開口9bを満たす水の流れがより円滑になり、気泡の滞留を好適に防止できる。このようにして、板バネ70の表面(凹面)の超音波探傷検査が完了すると、引き続き並設された板バネ71の裏面(凸面)の超音波探傷検査が同様に開始される。