(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したような従来の技術では、三次元データを用いることで廃棄物の体積や質量を正確に求めることができるものの、機器によっては三次元データを利用できない場合もあり、現実的には必ずしも廃棄物量やこれを収納する容器の必要数を確実に把握できるとは言い難い。
【0007】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、三次元データとそれ以外のデータとを用いて廃棄物を収納する容器数を見積もること
が可能な廃棄物量見積装置、および廃棄物量見積方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
(1)複数の機器で構成されるプラントを順次解体する際に生じる前記機器の廃棄物量を見積もる廃棄物量見積装置であって、
前記機器の廃棄物量を見積もる際、前記機器それぞれを、三次元データを利用することが可能な機器からなる第1の機器集団と、三次元データを利用できずかつ三次元データ以外のデータを利用することが可能な機器からなる第2の機器集団とに分類する機器分類手段と、
前記第1の機器集団中の機器の廃棄物量を用い、生じる廃棄物を収納できる容器の必要数を時系列として見積もる第1の容器数見積手段と、
前記第2の機器集団中の機器の廃棄物量を用い、生じる廃棄物を収納できる容器の必要数を時系列として見積もる第2の容器数見積手段と、
前記第1および第2の容器数見積手段により見積もられた前記容器の数の見積誤差を時系列として算出する見積誤差算出手段とを備えていることを特徴とする廃棄物量見積装置、
(2)三次元データ以外のデータが、二次元図面を含んでいる前記(1)に記載の廃棄物量見積装置、
(3)見積誤差に与える影響度を機器ごとに区分して表示する表示手段を備えている前記(1)または(2)に記載の廃棄物量見積装置、
(4)第1の機器集団に属する機器と、第2の機器集団に属する機器とを区別して表示する表示手段を備えている前記(1)から(3)のいずれか1項に記載の廃棄物量見積装置、並びに
(5)複数の機器で構成されるプラントを順次解体する際に生じる前記機器の廃棄物量を見積もる廃棄物量見積方法であって、
前記機器の廃棄物量を見積もる際、前記機器それぞれを、三次元データを利用することが可能な機器からなる第1の機器集団と、三次元データを利用できずかつ三次元データ以外のデータを利用することが可能な機器からなる第2の機器集団とに分類する機器分類ステップと、
前記第1の機器集団中の機器の廃棄物量を用い、生じる廃棄物を収納できる容器の必要数を時系列として見積もる第1の容器数見積ステップと、
前記第2の機器集団中の機器の廃棄物量を用い、生じる廃棄物を収納できる容器の必要数を時系列として見積もる第2の容器数見積ステップと、
前記第1および第2の容器数見積ステップにより見積もられた前記容器の数の見積誤差を時系列として算出する見積誤差算出ステップとを備えていることを特徴とする廃棄物量見積方法
に関する。
【0009】
なお、本明細書において、「機器」とは、プラントを構成する要素を意味し、特定の機能を有する装置の他、配線、配管等を含む概念である。「三次元データ」とは、立体図面により特定される機器の形状に関するデータを意味し、「三次元データ以外のデータ」とは、立体図面以外の情報(例えば、機器の二次元図面、配置図、系統図など)により特定される機器の形状に関するデータを意味する。なお、「三次元データ以外のデータ」は、「二次元データ」とも称する。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、三次元データとそれ以外のデータとを用いて廃棄物を収納する容器数を見積もること
が可能な廃棄物量見積装置、および廃棄物量見積方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<廃棄物量見積装置>
本発明の廃棄物量見積装置の一実施形態を図面を参照して説明するが、本発明は、当該図面に記載の実施形態にのみ限定されるものではない。
【0013】
なお、本明細書において、「3D容器モデル」とは、三次元データを用いて得られた廃棄物を容器に詰めるモデルを意味する。「2D容器モデル」とは、二次元データを用いて得られた擬似的は容器モデルを意味し、例えば、配置図における機器の占有率に所定の値を乗算して得られた値を廃棄物量とみなすモデルである。また、本明細書において「容器生成元誤差要因」とは、二次元データを用いて2D容器モデルを作成する際に生じる不確定性の発生要因を意味する。この誤差要因としては、主として三次元データが比較的入手し難い配管等が挙げられる。
【0014】
図1は、本発明の廃棄物量見積装置の構成を示す概略ブロック図である。当該廃棄物量見積装置1は、複数の機器で構成されるプラントを順次解体する際に生じる機器の廃棄物量を見積もる廃棄物量見積装置であって、
図1に示すように、概略的に、第1のデータベース210と、第2のデータベース220と、機器分類手段100と、3D容器モデル生成手段310と、2D容器モデル生成手段320と、第1の容器数見積手段410と、第2の容器数見積手段420と、見積誤差算出手段500と、表示手段600とにより構成されている。
【0015】
第1のデータベース210は、機器リスト201(例えば、
図2など)中で三次元データ有りのフラグが立てられた機器について、機器ごとの三次元データを格納する。この三次元データは、例えば三次元CADなどから取り込んだ図面の三次元データ(例えば、
図3など)や、機器の仕様書等から取り込んだ各部材の体積、密度、材質など上記三次元データに関連したデータである。これらのデータは、後述する3D容器モデル生成手段310にて廃棄物量を算出するのに必要なデータであり、あらかじめ第1のデータベース210に格納されている。
【0016】
第2のデータベース220は、機器リスト201中で三次元データ有りのフラグが立てられていない機器について、三次元データ以外のデータ(二次元データ)を格納する。この二次元データとしては、例えば、各機器を設計する際に二次元CADを用いて作成した二次元図面(例えば、製作図、配置図(例えば、
図4など)、系統図(例えば、
図5など)など)のデータ、機器の仕様書等から取り込んだ各部材の体積、密度、材質などの上記二次元データに関連したデータ等が挙げられる。
【0017】
なお、三次元データ以外のデータは、二次元図面を含んでいることが好ましい。これにより、二次元図面を用いて容器の必要数および見積誤差を算出することができる。これらのデータは、後述する2D容器モデル生成手段320にて廃棄物量を算出するのに好適なデータであり、本実施形態では、あらかじめ第2のデータベース220に格納されている。
【0018】
なお、上述した機器リスト201は、第1のデータベース、第2のデータベース、並びに第1および第2のデータベース以外のデータベースのうちのいずれに格納されていてもよい。
【0019】
機器分類手段100は、機器の廃棄物量を見積もる際、機器それぞれを、三次元データを利用することが可能な機器からなる第1の機器集団と、三次元データを利用できずかつ三次元データ以外のデータを利用することが可能な機器からなる第2の機器集団とに分類する。
【0020】
この機器分類手段100は、具体的には、
図8に示すように、機器リスト201中の上記フラグの有無に従い、第1のデータベース210から配置図、系統図および三次元データを読み込む(ステップS5100)。次いで、読み込んだ三次元データに相当する機器が存在するか否かを確認し(ステップS5200)、配置
図221および/または系統
図222中の各機器に「三次元データ」の有無を示すマーキングを付す(ステップS5300)。この操作を配管を含む全ての機器について行う(ステップS5400、S5500)。これにより、三次元データを利用可能な機器の範囲が画定される。
【0021】
3D容器モデル生成手段310は、機器分類手段100により第1の機器集団に分類された機器に関し、機器の切断を模擬して仮想的に容器に収納する。
【0022】
この3D容器モデル生成手段310は、具体的には、
図9に示すように、解体するエリアに存在する機器の三次元データを第1のデータベース210から読み込み(ステップS6100)、あらかじめ設定されている切断方法(切断する工具を含む)および切断寸法に従って模擬的に機器の切断体を作成する(ステップS6200)。次いで、指定寸法の廃棄物収納容器(以下、単に「容器」ともいう)に所定の充填率で収納できるように、上述の切断体を組み合わせて切断体のグループを作成する(ステップS6300)と共に、上記グループから計算される放射線量に基づいて収納可能な容器を選択し(ステップS6400)、この選択により3D容器モデル31を作成する(ステップS6500)。次いで、上述のステップS6300〜S6500を繰り返し、第1の機器集団に属する全ての機器についての処理が完了したと判断されときに本手段による処理を終了する(ステップS6600)。
【0023】
2D容器モデル生成手段320は、機器分類手段100により第2の機器集団に分類された機器に関し、廃棄物量を推定して仮想的に容器に収納する。
【0024】
この2D容器モデル生成手段320は、具体的には、
図10に示すように、解体するエリアに存在する機器の二次元データを第2のデータベース220から読み込む(ステップS7100)。次いで、読み込んだ機器の二次元データを用いて廃棄物量を推定する(ステップS7200)。次いで、指定寸法の廃棄物収納容器に所定の充填率で収納できるようにグループを作成する(ステップS7300)と共に、上記グループから計算される放射線量に基づいて収納可能な容器を選択し(ステップS7400)、この選択により2D容器モデルを作成する(ステップS7500)。次いで、上述のステップS7300〜S7500を繰り返し、第2の機器集団に属する全ての機器についての処理が完了したと判断されときに本手段による処理を終了する(ステップS7600)。
【0025】
ここで、3D容器モデル生成手段310および2D容器モデル生成手段320により生成した各容器モデルの一例を示す。3D容器モデル31は、仮想的に切断した切断体を用いて容器に収納するため、
図6(a)に示すように、実際に生成される廃棄物収納容器の収納状態に近い状態で容器を表現することができる。一方、2D容器モデル32は、機器の二次元データを用いて仮想的に容器に収納するため、
図6(b)に示すように、実際に機器を切断して生成される廃棄物収納容器の収納状態とは大きく異なり、結果的に実際の廃棄物量および容器の必要数と異なる可能性(見積誤差)が高くなる。
【0026】
第1の容器数見積手段410は、第1の機器集団中の機器の廃棄物量を用い、生じる廃棄物を収納できる容器の必要数を時系列として見積もる。
【0027】
この第1の容器数見積手段410は、具体的には、
図11に示すように、3D容器モデル生成手段310により生成した第1の機器集団中の各機器に対する容器の必要数を読み込む(ステップS8100)と共に、各機器の廃棄順序を時系列で示した解体工程のデータを読み込む(ステップS8200)。次いで、3D容器モデル31に当該3D容器モデル31を生成する元となったデータが三次元データであることを示す容器生成元フラグを追加する(ステップS8300)。次いで、解体工程の進行度合いに対応する容器の必要数を、3D容器モデル31、2D容器モデル32、およびこれらの合計について算出する(ステップS8400)。次いで、上述のステップS8400を繰り返し、第1の機器集団に属する全ての機器についての処理が完了(解体工程が完了)したと判断されたときに本手段による処理を終了する(ステップS8500)。
【0028】
第2の容器数見積手段420は、第2の機器集団中の機器の廃棄物量を用い、生じる廃棄物を収納できる容器の必要数を時系列として見積もる。なお、この第2の容器数見積手段420による処理は、機器が第2の機器集団中の機器であること以外、上述した第1の容器数見積手段410による処理内容と同様であるので、第1の容器数見積手段410の説明を援用してここでの説明を省略する。
【0029】
見積誤差算出手段500は、第1および第2の容器数見積手段410、420により見積もられた容器の数の見積誤差を時系列として算出する。この見積誤差算出手段500は、具体的には、
図12に示すように、第1および第2の容器数見積手段410、420により見積もられた容器の必要数と、上述した容器生成元フラグとを読み込む(ステップS10100、S10200)と共に、容器生成元誤差要因を読み込む(ステップS10300)。次いで、容器生成元フラグに対応する見積誤差を公知の手法で算出する(ステップS10400)。次いで、上述のステップS10400を繰り返し、解体工程全体に係る処理が完了したと判断されたときに本手段による処理を終了する(ステップS10500)。
【0030】
表示手段600は、第1および第2の容器数見積手段410、420により見積もられた容器数および見積誤差を表示する。本実施形態では、表示手段600は、
図7に示すように、横軸に時間、縦軸に単位時間当たりの必要な容器数をとり、予測される必要な容器数の推移を、各容器数見積手段410、420による算出値ごと、およびこれらの合計値について、時系列でグラフに表示している。また、表示手段600は、見積誤差算出手段500により算出された必要な容器数の見積誤差を、上記グラフに重ねてエラーバーで表示している。
【0031】
なお、表示手段600は、見積誤差に与える影響度を、プラントを構成する機器ごとに区分して表示することが好ましい。具体的には、ディスプレイ画面上に表示された配置
図221や系統
図222等の図面中の各機器を、見積誤差に応じて色分けしてもよい。本実施形態では、
図13に示すように、ディスプレイ画面G1において、系統
図222中の各機器を見積誤差の大きさに応じて色分けによりハイライトし、マウス等で特定の機器を選択することでポップアップしたグラフと対応付けられている。これにより、機器ごとの影響度を容易に把握することができる。
【0032】
また、表示手段600は、第1の機器集団に属する機器と、第2の機器集団に属する機器とを区別して表示することも好ましい。具体的には、ディスプレイ画面上に表示された配置
図221や系統
図222等の図面中において、第1の機器集団に属する機器が配置された領域と、第2の機器集団に属する機器が配置された領域とを、枠囲いや色分け等で区別して表示するようにしてもよい。本実施形態では、
図14に示すように、上記領域ごとに枠囲いされて表示されている。これにより、見積誤差の算出に用いた機器の区分を容易に把握することができる。
【0033】
以上のように、当該廃棄物量見積装置1は、上記構成であるので、三次元データとそれ以外のデータとを用いて廃棄物を収納する容器数を見積もることができ、かつその見積誤差を算出することができる。その結果、見積誤差を踏まえてプラントの解体計画をより正確に立案することができる。
【0034】
なお、上述した機器分類手段100、3D容器モデル生成手段310、2D容器モデル生成手段320、第1の容器数見積手段410、第2の容器数見積手段420、および見積誤差算出手段500は、計算機にて実行可能なプログラムであってもよい。また、第1のデータベース210および第2のデータベース220は、上記計算機内に含まれた構成であってもよい。
【0035】
<廃棄物量見積方法>
次に、本発明の廃棄物量見積方法の一実施形態を以下に説明するが、本発明は、以下に記載の実施形態にのみ限定されるものではない。
【0036】
当該廃棄物量見積方法は、複数の機器で構成されるプラントを順次解体する際に生じる機器の廃棄物量を見積もる廃棄物量見積方法であって、概略的に、機器分類ステップと、3D容器モデル生成ステップと、2D容器モデル生成ステップと、第1の容器数見積ステップと、第2の容器数見積ステップと、見積誤差算出ステップと、表示ステップとにより構成されている。以下、上述した廃棄物量見積装置1を用いて行う各ステップについて説明するが、各ステップの詳細については、<廃棄物量見積装置>の項で記載した各手段の処理の説明を援用し、ここでの詳細な説明は省略する。
【0037】
[機器分類ステップ]
機器分類ステップは、機器の廃棄物量を見積もる際、機器それぞれを、三次元データを利用することが可能な機器からなる第1の機器集団と、三次元データを利用できずかつ三次元データ以外のデータを利用することが可能な機器からなる第2の機器集団とに分類する。この機器分類ステップは、例えば、上述した機器分類手段100を用い、ステップS5100〜S5500の処理を行うことで実行される。
【0038】
[3D容器モデル生成ステップ]
3D容器モデル生成ステップは、機器分類ステップにて第1の機器集団に分類された機器に関し、機器の切断を模擬して仮想的に容器に収納する。この3D容器モデル生成ステップは、例えば、上述した3D容器モデル生成手段310により実行することができる。
【0039】
[2D容器モデル生成ステップ]
2D容器モデル生成ステップは、機器分類ステップにて第2の機器集団に分類された機器に関し、廃棄物量を推定して仮想的に容器に収納する。この2D容器モデル生成ステップは、例えば、上述した2D容器モデル生成手段320により実行することができる。
【0040】
[第1の容器数見積ステップ]
第1の容器数見積ステップは、第1の機器集団中の機器の廃棄物量を用い、生じる廃棄物を収納できる容器の必要数を時系列として見積もる。この第1の容器数見積ステップは、例えば、上述した第1の容器数見積手段410より実行することができる。
【0041】
[第2の容器数見積ステップ]
第2の容器数見積ステップは、第2の機器集団中の機器の廃棄物量を用い、生じる廃棄物を収納できる容器の必要数を時系列として見積もる。この第2の容器数見積ステップは、例えば、上述した第2の容器数見積手段420より実行することができる。
【0042】
[見積誤差算出ステップ]
見積誤差算出ステップは、第1および第2の容器数見積ステップにより見積もられた容器の数の見積誤差を時系列として算出する。この見積誤差算出ステップは、例えば、上述した見積誤差算出手段500により実行することができる。
【0043】
[表示ステップ]
表示ステップは、第1および第2の容器数見積ステップにより見積もられた容器の数の見積誤差を、例えば時系列で表示する。この表示ステップは、例えば、上述した表示手段600により実行することができる。
【0044】
このように、当該廃棄物量見積方法は、上述した構成であるので、三次元データとそれ以外のデータとを用いて廃棄物を収納する容器数を見積もることができ、かつその見積誤差を算出することができる。
【0045】
なお、本発明は、上述した実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0046】
例えば、上述した実施形態では、3D容器モデル生成手段310、および2D容器モデル生成手段320を備えている廃棄物量見積装置1について説明したが、三次元データおよび二次元データを用いて各機器の廃棄物量を算出することができれば、これらを備えていなくてもよい。また、上述した実施形態では、3D容器モデル生成ステップ、および2D容器モデル生成ステップを備えている廃棄物量見積方法について説明したが、三次元データおよび二次元データを用いて各機器の廃棄物量を算出することができれば、これらを備えていなくてもよい。
【0047】
また、上述した実施形態では、表示手段600を備えている廃棄物量見積装置1について説明したが、容器数および見積誤差を時系列で提示できれば、いずれの方法を採用してもよい。また、上述した実施形態では、表示ステップを備えている廃棄物量見積方法について説明したが、容器数および見積誤差を時系列で提示できれば、いずれの方法を採用してもよい。