特許第6875206号(P6875206)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6875206複合圧電体材料、複合圧電体素子及び複合圧電体材料用フィラー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6875206
(24)【登録日】2021年4月26日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】複合圧電体材料、複合圧電体素子及び複合圧電体材料用フィラー
(51)【国際特許分類】
   H01L 41/18 20060101AFI20210510BHJP
   H01L 41/187 20060101ALI20210510BHJP
   H01L 41/37 20130101ALI20210510BHJP
【FI】
   H01L41/18
   H01L41/187
   H01L41/37
【請求項の数】20
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2017-118245(P2017-118245)
(22)【出願日】2017年6月16日
(65)【公開番号】特開2018-198300(P2018-198300A)
(43)【公開日】2018年12月13日
【審査請求日】2020年3月9日
(31)【優先権主張番号】特願2016-124286(P2016-124286)
(32)【優先日】2016年6月23日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2017-110789(P2017-110789)
(32)【優先日】2017年6月5日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000230593
【氏名又は名称】日本化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】特許業務法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田邉 信司
(72)【発明者】
【氏名】國田 肇
(72)【発明者】
【氏名】菊地 俊介
【審査官】 小山 満
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−222780(JP,A)
【文献】 特開2007−201388(JP,A)
【文献】 特開2015−050432(JP,A)
【文献】 特開2018−056287(JP,A)
【文献】 特開2005−050830(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 41/00−41/47
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子マトリックスと、該高分子マトリックス中に分散されている複合圧電体材料用フィラーと、からなる複合圧電体材料であって、
該複合圧電体材料用フィラーとして、
原子換算でナトリウム及びカリウムのモル数の合計に対するカリウムのモル数の比(K/(Na+K))が0.40〜0.60であり、且つ、原子換算でニオブのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)が0.995〜1.005であるニオブ酸アルカリ化合物からなる小粒径フィラーと、
原子換算でナトリウム及びカリウムのモル数の合計に対するカリウムのモル数の比(K/(Na+K))が0.40〜0.60であり、且つ、原子換算でニオブのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)が0.995〜1.005であるニオブ酸アルカリ化合物からなる大粒径フィラーと、を含有し、
該小粒径フィラーと該大粒径フィラーの合計含有量が、複合圧電体材料全体に対し、20〜80体積%であり、
該小粒径フィラーの平均粒径(D50)が0.1〜1.2μmであり、
該大粒径フィラーの平均粒径(D50)が1〜15μmであり、
該小粒径フィラーの平均粒径(D50)に対する該大粒径フィラーの平均粒径(D50)の比(大粒径フィラー/小粒径フィラー)が2〜150であること、
該小粒径フィラーに対する該大粒径フィラーの含有割合(大粒径フィラー:小粒径フィラー)が、体積比で、10:90〜90:10であること、
を特徴とする複合圧電体材料。
【請求項2】
前記小粒径フィラーのBET比表面積が2〜15m/gであり、前記大粒径フィラーのBET比表面積が0.1〜3m/gであることを特徴とする請求項1記載の複合圧電体材料。
【請求項3】
前記小粒径フィラーのアルカリ金属元素のモル数の合計に対するリチウムのモル数の比(Li/(Li+Na+K))が、原子換算で、0以上0.10未満であり、且つ、前記大粒径フィラーのアルカリ金属元素のモル数の合計に対するリチウムのモル数の比(Li/(Li+Na+K))が、原子換算で、0以上0.10未満であることを特徴とする請求項1又は2記載の複合圧電体材料。
【請求項4】
分極が施された請求項1〜のいずれか1項記載の複合圧電体材料を有することを特徴とする複合圧電体素子。
【請求項5】
高分子マトリックスと、該高分子マトリックス中に分散されている複合圧電体材料用フィラーと、からなる複合圧電体材料であって、
該複合圧電体材料用フィラーとして、原子換算でナトリウム及びカリウムのモル数の合計に対するカリウムのモル数の比(K/(Na+K))が0.40〜0.60であり、且つ、原子換算でニオブのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)が0.995〜1.005であるニオブ酸アルカリ化合物を含有し、
該ニオブ酸アルカリ化合物の含有量が、複合圧電体材料全体に対し、20〜80体積%であり、
該ニオブ酸アルカリ化合物が、粒度分布測定において、粒径が0.1〜1.2μmの範囲にピークトップを有する第一ピークと、粒径が1〜15μmの範囲にピークトップを有する第二ピークと、からなるバイモーダル粒径分布を示し、該第一ピークにおけるピークトップの粒径に対する該第二ピークにおけるピークトップの粒径の比(第二ピークにおけるピークトップの粒径/第一ピークにおけるピークトップの粒径)が、2〜150であり、第一ピークにおけるピークトップの粒径の頻度(%)の値(A)に対する第二ピークにおけるピークトップの粒径の頻度(%)の値(B)の比(B/A)が0.1〜20であること、
を特徴とする複合圧電体材料。
【請求項6】
前記ニオブ酸アルカリ化合物のアルカリ金属元素のモル数の合計に対するリチウムのモル数の比(Li/(Li+Na+K))が、原子換算で、0以上0.10未満であることを特徴とする請求項記載の複合圧電体材料。
【請求項7】
分極が施された請求項5又は6記載の複合圧電体材料を有することを特徴とする複合圧電体素子。
【請求項8】
原子換算でナトリウム及びカリウムのモル数の合計に対するカリウムのモル数の比(K/(Na+K))が0.40〜0.60であり、且つ、原子換算でニオブのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)が0.995〜1.005であるニオブ酸アルカリ化合物からなる小粒径フィラーと、
原子換算でナトリウム及びカリウムのモル数の合計に対するカリウムのモル数の比(K/(Na+K))が0.40〜0.60であり、且つ、原子換算でニオブのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)が0.995〜1.005であるニオブ酸アルカリ化合物からなる大粒径フィラーとの混合物であり、
該小粒径フィラーの平均粒径(D50)が0.1〜1.2μmであり、
該大粒径フィラーの平均粒径(D50)が1〜15μmであり、
該小粒径フィラーの平均粒径(D50)に対する該大粒径フィラーの平均粒径(D50)の比(大粒径フィラー/小粒径フィラー)が2〜150であること、
該小粒径フィラーに対する該大粒径フィラーの混合割合(大粒径フィラー:小粒径フィラー)が、体積比で、10:90〜90:10であること、
を特徴とする複合圧電体材料用フィラー。
【請求項9】
前記小粒径フィラーのBET比表面積が2〜15m/gであり、前記大粒径フィラーのBET比表面積が0.1〜3m/gであることを特徴とする請求項記載の複合圧電体材料用フィラー。
【請求項10】
前記小粒径フィラーのアルカリ金属元素のモル数の合計に対するリチウムのモル数の比(Li/(Li+Na+K))が、原子換算で、0以上0.10未満であり、前記大粒径フィラーのアルカリ金属元素のモル数の合計に対するリチウムのモル数の比(Li/(Li+Na+K))が、原子換算で、0以上0.10未満であることを特徴とする請求項8又は9記載の複合圧電体材料用フィラー。
【請求項11】
請求項8〜10のいずれか1項記載の複合圧電体材料用フィラーと高分子マトリックスを含むことを特徴とする複合圧電体材料。
【請求項12】
分極が施された請求項11記載の複合圧電体材料を有することを特徴とする複合圧電体素子。
【請求項13】
原子換算でナトリウム及びカリウムのモル数の合計に対するカリウムのモル数の比(K/(Na+K))が0.40〜0.60であり、且つ、原子換算でニオブのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)が0.995〜1.005であるニオブ酸アルカリ化合物からなり、
粒度分布測定において、粒径が0.1〜1.2μmの範囲にピークトップを有する第一ピークと、粒径が1〜15μmの範囲にピークトップを有する第二ピークと、からなるバイモーダル粒径分布を示し、該第一ピークにおけるピークトップの粒径に対する該第二ピークにおけるピークトップの粒径の比(第二ピークにおけるピークトップの粒径/第一ピークにおけるピークトップの粒径)が、2〜150であり、第一ピークにおけるピークトップの粒径の頻度(%)の値(A)に対する第二ピークにおけるピークトップの粒径の頻度(%)の値(B)の比(B/A)が0.1〜20であること、
を特徴とする複合圧電体材料用フィラー。
【請求項14】
前記ニオブ酸アルカリ化合物のアルカリ金属元素のモル数の合計に対するリチウムのモル数の比(Li/(Li+Na+K))が、原子換算で、0以上0.10未満であることを特徴とする請求項13記載の複合圧電体材料用フィラー。
【請求項15】
請求項13又は14記載の複合圧電体材料用フィラーと高分子マトリックスを含むことを特徴とする複合圧電体材料。
【請求項16】
分極が施された請求項15記載の複合圧電体材料を有することを特徴とする複合圧電体素子。
【請求項17】
請求項1記載の複合圧電体材料に用いられる複合圧電体材料用フィラーであり、
原子換算でナトリウム及びカリウムのモル数の合計に対するカリウムのモル数の比(K/(Na+K))が0.40〜0.60であり、且つ、原子換算でニオブのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)が0.995〜1.005であるニオブ酸アルカリ化合物からなり、
平均粒径(D50)が0.1〜1.2μmであること、
を特徴とする複合圧電体材料用フィラー。
【請求項18】
前記ニオブ酸アルカリ化合物のアルカリ金属元素のモル数の合計に対するリチウムのモル数の比(Li/(Li+Na+K))が、原子換算で、0以上0.10未満であることを特徴とする請求項17記載の複合圧電体材料用フィラー。
【請求項19】
請求項1記載の複合圧電体材料に用いられる複合圧電体材料用フィラーであり、
原子換算でナトリウム及びカリウムのモル数の合計に対するカリウムのモル数の比(K/(Na+K))が0.40〜0.60であり、且つ、原子換算でニオブのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)が0.995〜1.005であるニオブ酸アルカリ化合物からなり、
平均粒径(D50)が1〜15μmであること、
を特徴とする複合圧電体材料用フィラー。
【請求項20】
前記ニオブ酸アルカリ化合物のアルカリ金属元素のモル数の合計に対するリチウムのモル数の比(Li/(Li+Na+K))が、原子換算で、0以上0.10未満であることを特徴とする請求項19記載の複合圧電体材料用フィラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子マトリックスと、該マトリックス中に分散されているフィラーと、からなる複合圧電体材料のフィラーとして用いられる複合圧電体材料用フィラー、それを用いる複合圧電体材料、及びそれを用いる複合圧電体素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
圧電素子、センサ等に用いられる圧電セラミックスとしては、従来より、良好な圧電特性を示すチタン酸ジルコン酸鉛が多く利用されていた。しかし、近年、環境汚染に対する関心の高まりから、鉛を用いない非鉛材料の開発が求められている。そして、非鉛材料の中でも、比較的圧電特性に優れるニオブ酸系の圧電セラミックスの研究が進められている。
【0003】
ニオブ系の圧電セラミックスとしては、Li、Na、Kといったアルカリ金属のニオブ酸系のセラミックが挙げられる。例えば、特許文献1には、AMO(Aはアルカリ金属、MはNb、Oは酸素)で表されるアルカリニオブ酸系圧電セラミックスが、また、特許文献2には、(1−n)KNa1−xNbO・nMH(MHは金属酸化物又は金属炭酸塩であり、Mは価数の異なる金属元素、HはO又はCOラジカル、0.2≦x≦0.95、0≦n≦0.30)で表されるニオブ酸カリウムナトリウム系無鉛圧電セラミックスが、また、特許文献3には、KNbOセラミックスの圧電セラミックスが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−236091号公報
【特許文献2】特開2007−22854号公報
【特許文献3】特開2010−241658号公報
【特許文献4】特開2012−142546号公報
【特許文献5】特開2015−50432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような圧電セラミックスは、成形性には難がある。それ対して、成形性に優れる圧電材料としては、高分子マトリックス中に圧電体粒子を分散させた複合圧電体材料が挙げられ、高分子マトリックスからなる複合圧電体材料は、成形性の良さから、従来の圧電セラミックスには用いられなかったような利用の仕方が期待される。
【0006】
ところが、このような複合圧電体材料については、例えば、特許文献4や特許文献5には、高分子マトリックスに圧電体粒子を分散させた複合圧電体材料が開示されているものの、高分子マトリックスに圧電体粒子を分散させた複合圧電体材料については、あまり研究が行われていないのが現状である。そのため、優れた圧電特性を有する高分子マトリックスからなる複合圧電体材料の開発が望まれる。
【0007】
従って、本発明の目的は、優れた圧電特性を有する高分子マトリックスからなる複合圧電体材料を提供すること及びそれに用いられる複合圧電体材料用フィラーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明(1)は、高分子マトリックスと、該高分子マトリックス中に分散されている複合圧電体材料用フィラーと、からなる複合圧電体材料であって、
該複合圧電体材料用フィラーとして、
原子換算でナトリウム及びカリウムのモル数の合計に対するカリウムのモル数の比(K/(Na+K))が0.40〜0.60であり、且つ、原子換算でニオブのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)が0.995〜1.005であるニオブ酸アルカリ化合物からなる小粒径フィラーと、
原子換算でナトリウム及びカリウムのモル数の合計に対するカリウムのモル数の比(K/(Na+K))が0.40〜0.60であり、且つ、原子換算でニオブのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)が0.995〜1.005であるニオブ酸アルカリ化合物からなる大粒径フィラーと、を含有し、
該小粒径フィラーと該大粒径フィラーの合計含有量が、複合圧電体材料全体に対し、20〜80体積%であり、
該小粒径フィラーの平均粒径(D50)が0.1〜1.2μmであり、
該大粒径フィラーの平均粒径(D50)が1〜15μmであり、
該小粒径フィラーの平均粒径(D50)に対する該大粒径フィラーの平均粒径(D50)の比(大粒径フィラー/小粒径フィラー)が2〜150であること、
該小粒径フィラーに対する該大粒径フィラーの含有割合(大粒径フィラー:小粒径フィラー)が、体積比で、10:90〜90:10であること、
を特徴とする複合圧電体材料を提供するものである。
【0009】
また、本発明(2)は、高分子マトリックスと、該高分子マトリックス中に分散されている複合圧電体材料用フィラーと、からなる複合圧電体材料であって、
該複合圧電体材料用フィラーとして、原子換算でナトリウム及びカリウムのモル数の合計に対するカリウムのモル数の比(K/(Na+K))が0.40〜0.60であり、且つ、原子換算でニオブのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)が0.995〜1.005であるニオブ酸アルカリ化合物を含有し、
該ニオブ酸アルカリ化合物の含有量が、複合圧電体材料全体に対し、20〜80体積%であり、
該ニオブ酸アルカリ化合物が、粒度分布測定において、粒径が0.1〜1.2μmの範囲にピークトップを有する第一ピークと、粒径が1〜15μmの範囲にピークトップを有する第二ピークと、からなるバイモーダル粒径分布を示し、該第一ピークにおけるピークトップの粒径に対する該第二ピークにおけるピークトップの粒径の比(第二ピークにおけるピークトップの粒径/第一ピークにおけるピークトップの粒径)が、2〜150であり、第一ピークにおけるピークトップの粒径の頻度(%)の値(A)に対する第二ピークにおけるピークトップの粒径の頻度(%)の値(B)の比(B/A)が0.1〜20であること、
を特徴とする複合圧電体材料を提供するものである。
【0010】
また、本発明(3)は、原子換算でナトリウム及びカリウムのモル数の合計に対するカリウムのモル数の比(K/(Na+K))が0.40〜0.60であり、且つ、原子換算でニオブのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)が0.995〜1.005であるニオブ酸アルカリ化合物からなる小粒径フィラーと、
原子換算でナトリウム及びカリウムのモル数の合計に対するカリウムのモル数の比(K/(Na+K))が0.40〜0.60であり、且つ、原子換算でニオブのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)が0.995〜1.005であるニオブ酸アルカリ化合物からなる大粒径フィラーとの混合物であり、
該小粒径フィラーの平均粒径(D50)が0.1〜1.2μmであり、
該大粒径フィラーの平均粒径(D50)が1〜15μmであり、
該小粒径フィラーの平均粒径(D50)に対する該大粒径フィラーの平均粒径(D50)の比(大粒径フィラー/小粒径フィラー)が2〜150であること、
該小粒径フィラーに対する該大粒径フィラーの混合割合(大粒径フィラー:小粒径フィラー)が、体積比で、10:90〜90:10であること、
を特徴とする複合圧電体材料用フィラーを提供するものである。
【0011】
また、本発明(4)は、原子換算でナトリウム及びカリウムのモル数の合計に対するカリウムのモル数の比(K/(Na+K))が0.40〜0.60であり、且つ、原子換算でニオブのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)が0.995〜1.005であるニオブ酸アルカリ化合物からなり、
粒度分布測定において、粒径が0.1〜1.2μmの範囲にピークトップを有する第一ピークと、粒径が1〜15μmの範囲にピークトップを有する第二ピークと、からなるバイモーダル粒径分布を示し、該第一ピークにおけるピークトップの粒径に対する該第二ピークにおけるピークトップの粒径の比(第二ピークにおけるピークトップの粒径/第一ピークにおけるピークトップの粒径)が、2〜150であり、第一ピークにおけるピークトップの粒径の頻度(%)の値(A)に対する第二ピークにおけるピークトップの粒径の頻度(%)の値(B)の比(B/A)が0.1〜20であること、
を特徴とする複合圧電体材料用フィラーを提供するものである。
【0012】
また、本発明(5)は、本発明(1)の複合圧電体材料に用いられる複合圧電体材料用フィラーであり、
原子換算でナトリウム及びカリウムのモル数の合計に対するカリウムのモル数の比(K/(Na+K))が0.40〜0.60であり、且つ、原子換算でニオブのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)が0.995〜1.005であるニオブ酸アルカリ化合物からなり、
平均粒径(D50)が0.1〜1.2μmであること、
を特徴とする複合圧電体材料用フィラーを提供するものである。
【0013】
また、本発明(5)は、本発明(1)の複合圧電体材料に用いられる複合圧電体材料用フィラーであり、
原子換算でナトリウム及びカリウムのモル数の合計に対するカリウムのモル数の比(K/(Na+K))が0.40〜0.60であり、且つ、原子換算でニオブのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)が0.995〜1.005であるニオブ酸アルカリ化合物からなり、
平均粒径(D50)が1〜15μmであること、
を特徴とする複合圧電体材料用フィラーを提供するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、優れた圧電特性を有する高分子マトリックスからなる複合圧電体材料を提供すること及びそれに用いられる複合圧電体材料用フィラーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】製造例1−1で製造した小粒径フィラーのXRDチャートである。
図2】製造例1−1で製造した小粒径フィラーのSEMである。
図3】製造例1−1で製造した小粒径フィラーの粒度分布曲線である。
図4】製造例2−1で製造した大粒径フィラーのXRDチャートである。
図5】製造例2−1で製造した大粒径フィラーのSEMである。
図6】製造例2−1で製造した大粒径フィラーの粒度分布曲線である。
図7】実施例1で使用した混合複合圧電体材料用フィラーAの粒度分布曲線である。
図8】製造例1−5で製造した小粒径フィラーのXRDチャートである。
図9】製造例1−5で製造した小粒径フィラーのSEMである。
図10】製造例1−5で製造した小粒径フィラーの粒度分布曲線である。
図11】製造例2−5で製造した大粒径フィラーのXRDチャートである。
図12】製造例2−5で製造した大粒径フィラーのSEMである。
図13】製造例2−5で製造した大粒径フィラーの粒度分布曲線である。
図14】実施例9で使用した混合複合圧電体材料用フィラーEの粒度分布曲線である。
図15】実施例10で使用した混合複合圧電体材料用フィラーFの粒度分布曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の第一の形態の複合圧電体材料(以下、本発明の複合圧電体材料(1)とも記載する。)は、高分子マトリックスと、該高分子マトリックス中に分散されている複合圧電体材料用フィラーと、からなる複合圧電体材料であって、
該複合圧電体材料用フィラーとして、
原子換算でナトリウム及びカリウムのモル数の合計に対するカリウムのモル数の比(K/(Na+K))が0.40〜0.60であり、且つ、原子換算でニオブのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)が0.995〜1.005であるニオブ酸アルカリ化合物からなる小粒径フィラーと、
原子換算でナトリウム及びカリウムのモル数の合計に対するカリウムのモル数の比(K/(Na+K))が0.40〜0.60であり、且つ、原子換算でニオブのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)が0.995〜1.005であるニオブ酸アルカリ化合物からなる大粒径フィラーと、を含有し、
該小粒径フィラーと該大粒径フィラーの合計含有量が、複合圧電体材料全体に対し、20〜80体積%であり、
該小粒径フィラーの平均粒径(D50)が0.1〜1.2μmであり、
該大粒径フィラーの平均粒径(D50)が1〜15μmであり、
該小粒径フィラーに対する該大粒径フィラーの含有割合(大粒径フィラー:小粒径フィラー)が、体積比で、10:90〜90:10であること、
を特徴とする複合圧電体材料である。
【0017】
本発明の複合圧電体材料(1)は、フィラーが分散配合される母材となる高分子マトリックスと、高分子マトリックス中に分散されている複合圧電体材料用フィラーとからなる。
【0018】
本発明の複合圧電体材料(1)に係る高分子マトリックスは、合成樹脂又はゴムである。合成樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型等エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等のフェノール樹脂、ポリイミド樹脂(PI)、メラミン樹脂、シアネート樹脂類、ビスマレイミド類、ビスマレイミド類とジアミンとの付加重合物、多官能性シアン酸エステル樹脂、二重結合付加ポリフェニレンオキサイド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリビニルベンジルエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、フマレート樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂、ノボラック等のフェノール樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂(TPI)、ポリ乳酸樹脂、ナイロン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、シリコン樹脂、ABS樹脂、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂等が挙げられる。ゴムとしては、天然ゴムや、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、シリコンゴム等の合成ゴムが挙げられる。
【0019】
本発明の複合圧電体材料(1)は、複合圧電体材料用フィラーとして、小粒径フィラーと大粒径フィラーとを、を含有する。
【0020】
本発明の複合圧電体材料(1)に係る小粒径フィラー及び大粒径フィラーは、いずれも、ニオブ酸アルカリ化合物の粒子状物である。本発明の複合圧電体材料(1)に係る小粒径フィラー及び大粒径フィラーにおいて、原子換算で、ナトリウム及びカリウムのモル数
の合計に対するカリウムのモル数の比(K/(Na+K))は、0.40〜0.60、好ましくは0.45〜0.55である。ナトリウム及びカリウムのモル数の合計に対するカリウムのモル数の比(K/(Na+K))が上記範囲にあることにより、複合圧電体の圧電特性が高くなる。また、本発明の複合圧電体材料(1)に係る小粒径フィラー及び大粒径フィラーにおいて、原子換算で、ニオブのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)は、0.995〜1.005、好ましくは0.997〜1.003である。なお、小粒径フィラーと大粒径フィラーとは、上記組成を満たし、且つ、全く同一の組成であってもよいし、あるいは、上記組成を満たす範囲で、小粒径フィラーの組成と大粒径フィラーの組成が異なっていてもよい。
【0021】
本発明の複合圧電体材料(1)に係る小粒径フィラー及び大粒径フィラーは、アルカリ化合物としてナトリウム及びカリウムを含有することが必須であり、焼結性の向上、圧電特性変動の制御といった目的で、リチウムを含有してもよい。これら小粒径フィラー及び大粒径フィラーのリチウムの組成比において、前記目的を達成しつつ圧電特性を損なわない観点から、アルカリ金属元素のモル数の合計に対するリチウムのモル数の比(Li/(Li+Na+K))が、原子換算で、0以上0.10未満、好ましくは0以上0.09未満である。
【0022】
本発明の複合圧電体材料(1)に係る小粒径フィラー及び大粒径フィラーを構成するニオブ酸アルカリ化合物は、ペロブスカイト型のニオブ酸アルカリ化合物であり、下記一般式(1):
ANbO (1)
で表されるニオブ酸アルカリ化合物である。
一般式(1)で表されるニオブ酸アルカリ化合物では、Aは、ナトリウム及びカリウムが必須であり、リチウムを含んでいてもよく、原子換算でナトリウム及びカリウムのモル数の合計に対するカリウムのモル数の比(K/(Na+K))は、0.40〜0.60、好ましくは0.45〜0.55であり、原子換算でニオブのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)は、0.995〜1.005、好ましくは0.997〜1.003である。
【0023】
小粒径フィラーの平均粒径(D50)は、0.1〜1.2μm、好ましくは0.2〜1.1μmである。また、大粒径フィラーの平均粒径(D50)は、1〜15μm、好ましくは2〜12μmである。小粒径フィラー及び大粒径フィラーの平均粒径が上記範囲にあることにより、複合圧電体材料の圧電特性が高くなる。なお、本発明において平均粒径は、マイクロトラック・ベル社製のMT−3300EXIIを用いて、レーザー光散乱法により測定される体積頻度粒度分布測定により求められる積算50%(D50)の粒径である。
【0024】
小粒径フィラーのSPAN((D90−D10)/D50)は、好ましくは0.2〜2、特に好ましくは0.3〜1.5である。また、大粒径フィラーのSPAN((D90−D10)/D50)は、好ましくは0.3〜3、特に好ましくは0.4〜2である。小粒径フィラーのSPAN及び大粒径フィラーのSPANが上記範囲にあることにより、複合圧電体材料の圧電特性が高くなる。なお、本発明においてD10、D50及びD90は、マイクロトラック・ベル社製のMT−3300EXIIを用いて、レーザー光散乱法により測定される体積頻度粒度分布測定により求められる積算10%、50%、90%の粒径である。
【0025】
小粒径フィラーの平均粒径(D50)は、大粒径フィラーの平均粒径(D50)より小さく、小粒径フィラーの平均粒径(D50)に対する大粒径フィラーの平均粒径(D50)の比(大粒径フィラー/小粒径フィラー)は、好ましくは2〜150、特に好ましくは
3〜30である。小粒径フィラーの平均粒径(D50)に対する大粒径フィラーの平均粒径(D50)の比が上記範囲にあることにより、複合圧電体材料の圧電特性が高くなる。
【0026】
小粒径フィラーのBET比表面積は、好ましくは2〜15m/g、特に好ましくは2.5〜10m/gである。また、大粒径フィラーのBET比表面積は、好ましくは0.1〜3m/g、特に好ましくは0.2〜2m/gである。
【0027】
本発明の複合圧電体材料(1)中、ニオブ酸アルカリ化合物粒子からなる小粒径フィラーとニオブ酸アルカリ化合物からなる大粒径フィラーの合計含有量は、複合圧電体材料全体に対し、20〜80体積%、好ましくは40〜60体積%である。
【0028】
本発明の複合圧電体材料(1)において、小粒径フィラーに対する大粒径フィラーの含有割合(大粒径フィラー:小粒径フィラー)は、体積比で、10:90〜90:10、好ましくは20:80〜80:20である。
【0029】
本発明の複合圧電体材料(1)では、所定の平均粒径を有する小粒径フィラーと所定の平均粒径を有する大粒径フィラーとを、所定の体積割合で含有させて、小粒径フィラーと大粒径フィラーとを組み合わせることにより、小粒径フィラーと大粒径フィラーとの組み合わせでないフィラーに比べ、樹脂への複合性が向上する上に、圧電特性が高くなる。
【0030】
本発明の複合圧電体材料に係る小粒径フィラー及び大粒径フィラーは、以下に示す本発明に係るニオブ酸アルカリ化合物の製造方法により、好適に製造される。
【0031】
本発明に係るニオブ酸アルカリ化合物の製造方法は、原子換算でナトリウム及びカリウムのモル数の合計に対するカリウムのモル数の比(K/(Na+K))が0.40〜0.60であり、且つ、原子換算でニオブのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)が0.995〜1.005であるニオブ酸アルカリ化合物の製造方法であり、
アルカリ化合物と、ニオブ化合物と、を、原子換算で、Nbのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の比((Li+Na+K)/Nb)が0.900〜1.000となる量であり、且つ、Na及びKのモル数の合計に対するKのモル数の比(K/(Na+K))が、製造目的物であるニオブ酸アルカリ化合物のNa及びKの合計モル数に対するKのモル数の比との差で±0.015以内となる量で、乾式混合して、第一焼成原料を調製する第一工程と、
該第一焼成原料を、500〜750℃で焼成して、第一焼成物を得る第二工程と、
該第一焼成物に、アルカリ化合物を、原子換算で、Nbのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)が0.995〜1.005となる量であり、且つ、Na及びKのモル数の合計に対するKのモル数の比(K/(Na+K))が、製造目的物であるニオブ酸アルカリ化合物のNa及びKのモル数の合計に対するKのモル数の比(K/(Na+K))との差で±0.010以内となる量で、乾式混合して、第二焼成原料を調製する第三工程と、
該第二焼成原料を、500〜1000℃で焼成して、該ニオブ酸アルカリ化合物を得る第四工程と、
を有するニオブ酸アルカリ化合物の製造方法である。
【0032】
第一工程は、アルカリ化合物と、ニオブ化合物と、を、乾式で混合して、第一焼成原料を調製する工程である。第一工程に係るアルカリ化合物は、ナトリウム化合物とカリウム化合物の両方を含有することを必須とし、リチウム化合物を含んでいてもよい。
【0033】
第一工程に係るナトリウム化合物は、ナトリウム原子を有する化合物であり、炭酸ナト
リウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、蓚酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム等が挙げられる。ナトリウム化合物は、1種であっても2種以上の組み合わせであってもよい。ナトリウム化合物としては、ハンドリング性及び反応性が良好な点で、炭酸ナトリウム(NaCO)が好ましい。また、ナトリウム化合物の純度は、高い程好ましい。
【0034】
第一工程に係るナトリウム化合物の平均粒径(D50)は、特に制限されないが、好ましくは1000μm以下、特に好ましくは10〜100μmである。ナトリウム化合物の平均粒径(D50)が上記範囲にあることにより、他の原料との混合性が増し、組成調整が容易となり、後述する焼成において効果的に反応させることができる。また、第一工程に係るナトリウム化合物のBET比表面積は、特に制限されないが、好ましくは0.01〜5m/g、特に好ましくは0.1〜3m/gである。ナトリウム化合物のBET比表面積が上記範囲にあることにより、他の原料との混合性が増し、組成調整が容易となり、後述する焼成において効果的に反応させることができる。
【0035】
第一工程に係るカリウム化合物は、カリウム原子を有する化合物であり、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カリウム、蓚酸カリウム、酒石酸カリウム等が挙げられる。カリウム化合物は、1種であっても2種以上の組み合わせであってもよい。カリウム化合物としては、配合から焼成におけるハンドリング性及び反応性が良好な点で、炭酸カリウム(KCO)が好ましい。また、カリウム化合物の純度は、高い程好ましい。
【0036】
第一工程に係るカリウム化合物の平均粒径(D50)は、特に制限されないが、好ましくは1000μm以下、特に好ましくは10〜100μmである。カリウム化合物の平均粒径(D50)が上記範囲にあることにより、他の原料との混合性が増し、組成調整が容易となり、後述する焼成において効果的に反応させることができる。また、第一工程に係るカリウム化合物のBET比表面積は、特に制限されないが、好ましくは0.01〜5m/g、特に好ましくは0.1〜3m/gである。カリウム化合物のBET比表面積が上記範囲にあることにより、他の原料との混合性が増し、組成調整が容易となり、後述する焼成において効果的に反応させることができる。
【0037】
第一工程に係るリチウム化合物は、リチウム原子を有する化合物であり、炭酸リチウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化リチウム、蓚酸リチウム、酒石酸リチウム等が挙げられる。リチウム化合物は、1種であっても2種以上の組み合わせであってもよい。リチウム化合物としては、ハンドリング性及び反応性が良好な点で、炭酸リチウム(LiCO)が好ましい。また、リチウム化合物の純度は、高い程好ましい。
【0038】
第一工程に係るリチウム化合物の平均粒径(D50)は、特に制限されないが、好ましくは1000μm以下、特に好ましくは10〜100μmである。リチウム化合物の平均粒径(D50)が上記範囲にあることにより、他の原料との混合性が増し、組成調整が容易となり、後述する焼成において効果的に反応させることができる。また、第一工程に係るリチウム化合物のBET比表面積は、特に制限されないが、好ましくは0.01〜5m/g、特に好ましくは0.1〜3m/gである。リチウム化合物のBET比表面積が上記範囲にあることにより、他の原料との混合性が増し、組成調整が容易となり、後述する焼成において効果的に反応させることができる。
【0039】
第一工程に係るニオブ化合物は、ニオブ原子を有する化合物であり、五酸化ニオブ、水酸化ニオブ、蓚酸ニオブアンモニウム等が挙げられる。ニオブ化合物は、1種であっても2種以上の組み合わせであってもよい。ニオブ化合物としては、ハンドリング性の容易さと精密組成制御が良好な点で、五酸化ニオブ(Nb)が好ましい。また、ニオブ化合物の純度は、高い程好ましい。
【0040】
第一工程に係るニオブ化合物の平均粒径(D50)は、特に制限されないが、好ましくは0.1〜15μm、特に好ましくは0.2〜12μmである。ニオブ化合物の平均粒径(D50)が上記範囲にあることにより、他の原料との混合性が増し、組成調整が容易となり、後述する焼成において効果的に反応させることができる。また、第一工程に係るニオブ化合物のBET比表面積は、特に制限されないが、好ましくは0.1〜15m/g、特に好ましくは0.2〜10m/gである。ニオブ化合物のBET比表面積が上記範囲にあることにより、乾式法においても分散性に優れ、結晶性の良好なニオブ酸アルカリ化合物の製造が可能となる。なお、本発明において平均粒径は、マイクロトラック・ベル社製のMT3300EXIIを用いて、レーザー光散乱法により測定される体積頻度粒度分布測定により求められる積算50%(D50)の粒径である。
【0041】
そして、第一工程では、アルカリ化合物と、ニオブ化合物と、を、原子換算で、Nbのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)が、0.900〜1.000、好ましくは0.920〜0.995となる量であり、且つ、Na及びKのモル数の合計に対するKのモル数の比(K/(Na+K))が、製造目的物であるニオブ酸アルカリ化合物のNa及びKのモル数の合計に対するKのモル数の比(K/(Na+K))との差で±0.015以内となる量で、乾式混合して、第一焼成原料を得る。つまり、第一工程では、第一焼成原料中のアルカリ金属元素の量を、Nbと等モルとするか、あるいは、Nbと等モルより少し少なくする。また、第一工程では、第一焼成原料中のNaとKの量の比を、製造目的とするニオブ酸アルカリ化合物中のNaとKのモル比と同等にする。なお、製造目的物であるニオブ酸アルカリ化合物とは、本発明に係るニオブ酸アルカリ化合物の製造方法を行うことによって得ようとするニオブ酸アルカリ化合物のことである。なお、製造目的物であるニオブ酸アルカリ化合物がリチウムを含有するニオブ酸アルカリ化合物である場合、第一工程では、原子換算で、Nbのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)が、0.900〜1.000、好ましくは0.920〜0.995となるのであれば、アルカリ化合物として、リチウム化合物を、第一焼成原料に混合してもよいし、あるいは、リチウム化合物を、第一焼成原料に混合しなくてもよい。そして、製造目的物であるニオブ酸アルカリ化合物がリチウムを含有するニオブ酸アルカリ化合物である場合において、第一工程で、アルカリ化合物として、リチウム化合物を、第一焼成原料に混合したときは、第三工程では、製造目的物であるニオブ酸アルカリ化合物と比較して、リチウム原子が不足しているのであれば、第二焼成原料に、不足分のリチウム原子に相当する量のリチウム化合物を混合する。一方、製造目的物であるニオブ酸アルカリ化合物がリチウムを含有するニオブ酸アルカリ化合物である場合において、第一工程で、アルカリ化合物として、リチウム化合物を、第一焼成原料に混合しなかったときは、第三工程では、製造目的物であるニオブ酸アルカリ化合物中のリチウム原子の含有量となるように、第二焼成原料に、リチウム化合物を混合する。
【0042】
本発明において、第一焼成原料中のNa及びKのモル数の合計に対するKのモル数の比(K/(Na+K))が、製造目的物であるニオブ酸アルカリ化合物のNa及びKのモル数の合計に対するKのモル数の比(K/(Na+K))との差で±0.015以内であるとは、第一焼成原料中の原子換算でのNa及びKのモル数の合計に対するKのモル数の比(K/(Na+K))をYとし、製造目的物であるニオブ酸アルカリ化合物のNa及びKのモル数の合計に対するKのモル数の比(K/(Na+K))をZとした場合、「Y−Z」の値が±0.015以内であることを指す。例えば、Na及びKのモル数の合計に対するKのモル数の比(K/(Na+K))が0.45のニオブ酸アルカリ化合物を製造しようとするときには、第一焼成原料中のNa及びKのモル数の合計に対するKのモル数の比(K/(Na+K))を、原子換算のモル比で、0.435〜0.465にする。また、後述する第二焼成原料中のNa及びKのモル数の合計に対するKのモル数の比(K/(Na+K))についても同様である。
【0043】
第一工程においては、アルカリ化合物と、ニオブ化合物と、を乾式で混合する。乾式混合する方法としては、特に制限されず、ブレンダー、リボンミキサー、ヘンシェルミキサー、フードミキサー、スーパーミキサー、ナウターミキサー、ジュリアミキサー等を用いる混合方法が挙げられる。
【0044】
第二工程は、第一工程を行い得られる第一焼成原料を焼成して、第一焼成物を得る工程である。
【0045】
第二工程において、第一焼成原料を焼成するときの焼成温度は、500〜750℃、好ましくは550〜700℃である。また、第二工程において、第一焼成原料を焼成するときの焼成時間は、適宜選択されるが、好ましくは3〜20時間、特に好ましくは5〜15時間であり、また、焼成雰囲気は、酸素ガス、空気等の酸化性雰囲気である。
【0046】
第二工程を行い第一焼成物を得た後、必要に応じて、得られた第一焼成物を粉砕してもよい。第一焼成物の粉砕には、ジェットミル、ボールミル、ビーズミル、アルティマイザー、アトマイザー、ナノマイザー、パルヴェライザー、ピンミル等の粉砕手段を用いることができる。
【0047】
第三工程は、第二工程を行い得られる第一焼成物に、アルカリ化合物を乾式で混合して、第二焼成原料を調製する工程である。
【0048】
第三工程に係るアルカリ化合物は、第一工程に係るアルカリ化合物と同様である。第三工程で用いるナトリウム化合物は、第一工程で用いたナトリウム化合物と同一であってもよいし、第一工程で用いたナトリウム化合物と異なるナトリウム化合物であってもよい。また、第三工程で用いるカリウム化合物は、第一工程で用いたカリウム化合物と同一であってもよいし、第一工程で用いたカリウム化合物と異なるカリウム化合物であってもよい。また、第三工程で用いるリチウム化合物は、第一工程で用いたリチウム化合物と同一であってもよいし、第一工程で用いたリチウム化合物と異なるリチウム化合物であってもよい。
【0049】
そして、第三工程では、第一焼成物を組成分析して、第一焼成物のNb、Li、Na及びKのモル%を把握してから、得られた組成分析結果に基づいて、第一焼成物に、アルカリ化合物を混合して、原子換算で、Nbのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)が、0.995〜1.005、好ましくは0.997〜1.003であり、且つ、Na及びKのモル数の合計に対するKのモル数の比(K/(Na+K))が、製造目的物であるニオブ酸アルカリ化合物のNa及びKのモル数の合計に対するKのモル数の比(K/(Na+K))との差で±0.010以内である第二焼成原料を得る。つまり、第三工程では、第二焼成原料中のアルカリ金属元素の量を、Nbに対するモル比で、1.000±0.005と、Nbとほぼ等モルにする。また、第三工程では、第二焼成原料中のNaとKの量の比を、製造目的とするニオブ酸アルカリ化合物中のNaとKのモル比と同等にする。なお、製造目的物であるニオブ酸アルカリ化合物がリチウムを含有するニオブ酸アルカリ化合物である場合において、第一工程で、アルカリ化合物として、リチウム化合物を、第一焼成原料に混合したときは、第三工程では、製造目的物であるニオブ酸アルカリ化合物と比較して、リチウム原子が不足しているのであれば、第二焼成原料に、不足分のリチウム原子に相当する量のリチウム化合物を混合する。一方、製造目的物であるニオブ酸アルカリ化合物がリチウムを含有するニオブ酸アルカリ化合物である場合において、第一工程で、アルカリ化合物として、リチウム化合物を、第一焼成原料に混合しなかったときは、第三工程では、製造目的物であるニオブ酸アルカリ化合物中のリチウム原子の含有量となるように、第二焼成原料に、リチウム化合物を混合
する。
【0050】
第三工程においては、ナトリウム化合物と、カリウム化合物と、第一焼成物とを、所望により更にリチウム化合物と、を乾式で混合する。乾式混合する方法としては、特に制限されず、ブレンダー、リボンミキサー、ヘンシェルミキサー、フードミキサー、スーパーミキサー、ナウターミキサー、ジュリアミキサー等を用いる混合方法が挙げられる。
【0051】
第四工程は、第三工程を行い得られる第二焼成原料を焼成して、原子換算でナトリウム及びカリウムのモル数の合計に対するカリウムのモル数の比(K/(Na+K))が、0.40〜0.60、好ましくは0.45〜0.55であり、且つ、原子換算でニオブのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)が、0.995〜1.005、好ましくは0.997〜1.003であるニオブ酸アルカリ化合物を得る工程である。
【0052】
第四工程を行い得られるニオブ酸アルカリ化合物において、原子換算で、アルカリ金属元素のモル数の合計に対するリチウムのモル数の比(Li/(Li+Na+K))は、0以上0.10未満であることが好ましい。なお、モル比(Li/(Li+Na+K))が0の場合、つまり、アルカリ化合物として、ナトリウム化合物及びカリウム化合物を用いた場合は、得られるニオブ酸アルカリ化合物は、ニオブ酸カリウムナトリウムであり、また、モル比(Li/(Li+Na+K))が0より大きい場合、つまり、アルカリ化合物として、リチウム化合物、ナトリウム化合物及びカリウム化合物を併用した場合は、得られるニオブ酸アルカリ化合物は、ニオブ酸リチウムナトリウムカリウムである。
【0053】
第四工程において、第二焼成原料を焼成するときの焼成温度は、500〜1000℃、好ましくは550〜900℃である。また、第四工程において、第二焼成原料を焼成するときの焼成時間は、適宜選択されるが、好ましくは3〜20時間、特に好ましくは5〜15時間であり、また、焼成雰囲気は、酸素ガス、空気等の酸化性雰囲気である。
【0054】
第四工程を行い焼成物を得た後、必要に応じて、得られた焼成物を粉砕してもよい。焼成物の粉砕には、ジェットミル、ボールミル、ビーズミル、アルティマイザー、アトマイザー、ナノマイザー、パルヴェライザー、ピンミル等の粉砕手段を用いることができる。
【0055】
第四工程を行い得られたニオブ酸アルカリ化合物は、結晶性を高める目的で、好ましくは500〜1000℃、特に好ましくは700〜900℃でさらに焼成を行ってもよい。また、このときの焼成温度は、適宜選択されるが、好ましくは3〜20時間、特に好ましくは5〜15時間である。焼成雰囲気は、酸素ガス、空気等の酸化性雰囲気である。
【0056】
焼成を経て得られたニオブ酸アルカリ化合物は、必要に応じて、得られたニオブ酸アルカリ化合物を粉砕してもよい。ニオブ酸アルカリ化合物の粉砕には、ジェットミル、ボールミル、ビーズミル、アルティマイザー、アトマイザー、ナノマイザー、パルヴェライザー、ピンミル等の粉砕手段を用いることができる。
【0057】
このようにして、本発明に係るニオブ酸アルカリ化合物の製造方法により、原子換算でナトリウム及びカリウムのモル数の合計に対するカリウムのモル数の比(K/(Na+K))が、0.40〜0.60、好ましくは0.45〜0.55であり、且つ、原子換算でニオブのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)が、0.995〜1.005、好ましくは0.997〜1.003であるニオブ酸アルカリ化合物粒子を得ることができる。そして、原料となるニオブ化合物の粒径を粉砕及び分級等の予備調整により適切に管理した上で、小粒径フィラー用のニオブ酸アルカリ化合物粒子と、大粒径フィラー用のニオブ酸アルカリ化合物粒子との作り分けであるが、第
二工程を行った後に粉砕又は分級などの作業を行い、焼成物の粒径を小粒径フィラーの粒径範囲又は大粒径フィラーの粒径範囲に揃えること、第四工程を行った後に粉砕又は分級などの作業を行い、焼成物の粒径を小粒径フィラーの粒径範囲又は大粒径フィラーの粒径範囲に揃えること、第二工程での焼成時間又は第四工程での焼成時間を調整すること等により、本発明に係るニオブ酸アルカリ化合物粒子の製造方法において、小粒径フィラー用のニオブ酸アルカリ化合物粒子と、大粒径フィラー用のニオブ酸アルカリ化合物粒子とを作り分けることができる。
【0058】
得られた本発明に係るニオブ酸アルカリ化合物粒子に対し、その特性を損なわない範囲で、耐水性、安定性、分散性等の種々の特性を向上させるために、表面処理を行ってもよい。表面処理には、シラン系、チタネート系、アルミネート系、ジルコネート系のカップリング剤や、脂肪酸、脂肪酸エステル、高級アルコール、硬化油等の表面処理剤を使用することができる。
【0059】
表面処理をする方法としては、特に制限されず、公知の方法を用いて表面処理を実施することができる。例えば、表面処理方法としては、水、有機溶媒に、本発明に係るニオブ酸アルカリ化合物粒子と表面処理剤を分散し、ろ過、乾燥させて表面処理する湿式法が挙げられる。また、表面処理方法としては、ヘンシェルミキサー、ボールミル、ジェットミル等の混合、粉砕手段により、本発明に係るニオブ酸アルカリ化合物粒子を処理する工程中、表面処理剤を噴霧あるいは滴下等により添加した後、乾燥、加熱等を行うことにより表面処理する乾式法が挙げられる。
【0060】
本発明の複合圧電体材料(1)は、本発明の複合圧電体材料(1)に係る小粒径フィラー及び大粒径フィラーの他に、ニッケル粒子、カーボンブラック粒子、樹脂粒子表面をニッケルや金でめっき被覆した粒子などの電気伝導性の材料を、複合圧電体として十分な絶縁性が維持される範囲において含有してもよい。さらには、主要な電気特性に影響を与えない範囲で、硬化剤、ガラス粉末、カップリング剤、高分子添加剤、反応性希釈剤、重合禁止剤、レベリング剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、無機系充填剤、防カビ剤、調湿剤、染料溶解剤、緩衝剤、キレート剤、難燃剤、シランカップリング剤等を含有させてもよい。更に必要に応じて一般的な溶剤等を、プロセス適性の調整に用いてよい。溶剤の一例としては、トルエン、エタノール等のアルコール系、メチルエチルケトン等のケトン系、シクロヘキサン等のシクロアルカン系等が挙げられる。
【0061】
本発明の第二の形態の複合圧電体材料(以下、本発明の複合圧電体材料(2)とも記載する。)は、高分子マトリックスと、該高分子マトリックス中に分散されている複合圧電体材料用フィラーと、からなる複合圧電体材料であって、
該複合圧電体材料用フィラーとして、原子換算でナトリウム及びカリウムのモル数の合計に対するカリウムのモル数の比(K/(Na+K))が0.40〜0.60であり、且つ、原子換算でニオブのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)が0.995〜1.005であるニオブ酸アルカリ化合物を含有し、
該ニオブ酸アルカリ化合物の含有量が、複合圧電体材料全体に対し、20〜80体積%であり、
該ニオブ酸アルカリ化合物が、粒度分布測定において、粒径が0.1〜1.0μmの範囲にピークトップを有する第一ピークと、粒径が1〜15μmの範囲にピークトップを有する第二ピークと、からなるバイモーダル粒径分布を示し、第一ピークにおけるピークトップの粒径の頻度(%)の値(A)に対する第二ピークにおけるピークトップの粒径の頻度(%)の値(B)の比(B/A)が0.1〜20であること、
を特徴とする複合圧電体材料である。
【0062】
本発明の複合圧電体材料(2)は、フィラーが分散配合される母材となる高分子マトリックスと、高分子マトリックス中に分散されている複合圧電体材料用フィラーとからなる。
【0063】
本発明の複合圧電体材料(2)に係る高分子マトリックスは、合成樹脂又はゴムである。本発明の複合圧電体材料(2)に係る高分子マトリックスは、本発明の複合圧電体材料(1)に係る高分子マトリックスと同様である。
【0064】
本発明の複合圧電体材料(2)に係る複合圧電体材料用フィラーは、ニオブ酸アルカリ化合物の粒子状物である。本発明の複合圧電体材料(2)に係る複合圧電体材料用フィラーは、本発明の複合圧電体材料(1)に係る小粒径フィラー及び大粒径フィラーの製造方法と同じである。すなわち、本発明に係るニオブ酸アルカリ化合物の製造方法により、好適に製造される。
【0065】
本発明の複合圧電体材料(2)に係る複合圧電体材料用フィラーにおいて、原子換算で、ナトリウム及びカリウムのモル数の合計に対するカリウムのモル数の比(K/(Na+K))は、0.40〜0.60、好ましくは0.45〜0.55である。ナトリウム及びカリウムのモル数に対するカリウムのモル数の比(K/(Na+K))が上記範囲にあることにより、複合圧電体材料の圧電特性が高くなる。また、本発明の複合圧電体材料(2)に係る複合圧電体材料用フィラーにおいて、原子換算で、ニオブのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)は、0.995〜1.005、好ましくは0.997〜1.003である。
【0066】
本発明の複合圧電体材料(2)に係る複合圧電体材料用フィラーは、アルカリ化合物としてナトリウム及びカリウムを含有することが必須であるが、焼結性の向上、圧電特性変動の制御といった目的で、本発明の複合圧電体材料(2)に係る複合圧電体材料用フィラーは、リチウムを含有してもよい。このニオブ酸アルカリ化合物粒子のリチウムの組成比において、前記目的を達成しつつ圧電特性を損なわない観点から、アルカリ金属元素のモル数の合計に対するリチウムのモル数の比(Li/(Li+Na+K))が、原子換算で、0以上0.10未満、好ましくは0以上0.09未満である。
【0067】
本発明の複合圧電体材料(2)に係る複合圧電体材料用フィラーを構成するニオブ酸アルカリ化合物は、ペロブスカイト型のニオブ酸アルカリ化合物であり、下記一般式(1):
ANbO (1)
で表されるニオブ酸アルカリ化合物である。
一般式(1)で表されるニオブ酸アルカリ化合物では、Aは、ナトリウム及びカリウムが必須であり、リチウムを含んでいてもよく、原子換算でナトリウム及びカリウムのモル数の合計に対するカリウムのモル数の比(K/(Na+K))は、0.40〜0.60、好ましくは0.45〜0.55であり、原子換算でニオブのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)は、0.995〜1.005、好ましくは0.997〜1.003である。
【0068】
本発明の複合圧電体材料(2)中のニオブ酸アルカリ化合物は、粒度分布測定において、粒径が0.1〜1.2μm、好ましくは0.2〜1.1μmの範囲にピークトップを有する第一ピークと、粒径が1〜15μm、好ましくは2〜12μmの範囲にピークトップを有する第二ピークと、からなるバイモーダルな粒径分布を示す。なお、本発明において粒度分布測定は、マイクロトラック・ベル社製のMT−3300EXIIを用いて、レーザー光散乱法により測定される体積頻度粒度分布測定であり、第一ピーク及び第二ピークは、当該体積粒度分布測定により得られる粒度分布チャート中のピークを指す。
【0069】
本発明の複合圧電体材料(2)中のニオブ酸アルカリ化合物は、粒度分布測定において、第一ピークにおけるピークトップの粒径の頻度(%)の値(A)に対する第二ピークに
おけるピークトップの粒径の頻度(%)の値(B)の比(B/A)が0.1〜20、好ましくは0.2〜18、特に好ましくは0.3〜15である。本発明の複合圧電体材料(2)中のニオブ酸アルカリ化合物の粒度分布測定におけるB/Aの値が上記範囲にあることにより、高分子マトリックス中へのニオブ酸アルカリ化合物の分散性が向上し、また、得られる複合圧電体材料の圧電特性が高くなる。
【0070】
本発明の複合圧電体材料(2)中のニオブ酸アルカリ化合物は、粒度分布測定において、第一ピークにおけるピークトップの粒径は、第二ピークにおけるピークトップの粒径より小さく、第一ピークにおけるピークトップの粒径に対する第二ピークにおけるピークトップの粒径の比(第二ピークにおけるピークトップの粒径/第一ピークにおけるピークトップの粒径)は、好ましくは2〜150、特に好ましくは3〜30である。第一ピークにおけるピークトップの粒径に対する第二ピークにおけるピークトップの粒径の比(第二ピークにおけるピークトップの粒径/第一ピークにおけるピークトップの粒径)が上記範囲にあることにより、複合圧電体材料の圧電特性が高くなる。
【0071】
本発明の複合圧電体材料(2)中、ニオブ酸アルカリ化合物の含有量は、複合圧電体材料全体に対し、20〜80体積%、好ましくは40〜60体積%である。
【0072】
本発明の複合圧電体材料(2)は、所定の粒度分布を有するバイモーダルのニオブ酸アルカリ化合物の粒子を含有することにより、複合圧電体材料の圧電特性が高くなる。
【0073】
本発明の複合圧電体材料(1)及び本発明の複合圧電体材料(2)の形態は、特に制限されず、シート状、フィルム状、板状、多孔状、膜状、繊維状、内部電極構造を持つ積層状等種々の形態が挙げられ、複合圧電体材料の使用方法に合わせて、適宜選択される。
【0074】
本発明の複合圧電体材料(1)又は本発明の複合圧電体材料(2)を製造する方法は、特に制限されない。例えば、シート状の本発明の複合圧電体材料(1)又は本発明の複合圧電体材料(2)を製造する場合、先ず、熱硬化性樹脂に、本発明の複合圧電体材料に係る複合圧電体材料用フィラーと、硬化促進剤とを混合し、混練分散して、樹脂ペーストを得、次いで、得られた樹脂ペーストを基材上に印刷法等でシート状に成形し、次いで、基材ごと、シート状に成形された樹脂ペーストを加熱して、熱硬化させて、シート状の本発明の複合圧電体材料(1)又は本発明の複合圧電体材料(2)を製造する方法が挙げられる。また、熱可塑性樹脂に、本発明の複合圧電体材料に係る複合圧電体材料用フィラーを混合し、加熱溶融させて混合分散させた後、成形型を用いて射出成形して、所望形状の本発明の複合圧電体材料(1)又は本発明の複合圧電体材料(2)を製造する方法が挙げられる。また、ゴム基材に、本発明の複合圧電体材料に係る複合圧電体材料用フィラーと加硫促進剤とを混合し、混練分散して、ゴム原料混合物を得、次いで、得られたゴム原料混合物を基材上にシート状に成形し、次いで、基材ごと、シート状に成形されたゴム原料混合物を加熱して、加硫させて、シート状の本発明の複合圧電体材料(1)又は本発明の複合圧電体材料(2)を製造する方法が挙げられる。以上のような手法を用いて得られたシート状複合材料に対し、印刷法や蒸着法等の既存の適切な技術を用いて電極形成を行い、さらにコロナ放電システムなどを用いて適切な分極を実施することにより、極めて簡便に複合圧電体素子を得ることができる。
【0075】
本発明の複合圧電体素子は、使用形態に合わせた形状に成形された本発明の複合圧電体材料(1)、すなわち、以下に述べる本発明の第一の形態の複合圧電材料用フィラーと高分子マトリックスとを含有する複合圧電材料、又は使用形態に合わせた形状に成形された本発明の複合圧電体材料(2)、すなわち、以下に述べる本発明の第二の形態の複合圧電材料用フィラーと高分子マトリックスとを含有する複合圧電材料に対し、適切な方法で、電極形成及び分極が実施されたものである。つまり、本発明の複合圧電体素子は、分極操
作が施された本発明の複合圧電材料(1)又は分極操作が施された本発明の複合圧電材料(2)を有する複合圧電素子である。
【0076】
本発明の複合圧電体素子は、圧力センサー、圧力分布センサー、ジャイロセンサー、ショックセンサ―、着座センサー、ウェアラブルセンサー等の各種センサー、精密電子機器、自動車、建築物等に用いる制振材、人の歩行や自動車の走行などで生ずる環境振動を利用した発電素子、ライター、ガス器具などの点火装置、ラジオ、テレビなどの受信機に使用される発振回路、走査型プローブ顕微鏡や超音波モーターの駆動装置、インクジョットプリンターの液的吐出ヘッド等に使用される各種アクチュエーター、組織再生に関わる医用材料等に好適に用いることができる。
【0077】
本発明の第一の形態の複合圧電体材料用フィラー(以下、本発明の複合圧電体材料用フィラー(1)とも記載する。)は、原子換算でナトリウム及びカリウムのモル数の合計に対するカリウムのモル数の比(K/(Na+K))が0.40〜0.60であり、且つ、原子換算でニオブのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)が0.995〜1.005であるニオブ酸アルカリ化合物からなる小粒径フィラーと、原子換算でナトリウム及びカリウムのモル数の合計に対するカリウムのモル数の比(K/(Na+K))が0.40〜0.60であり、且つ、原子換算でニオブのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)が0.995〜1.005であるニオブ酸アルカリ化合物からなる大粒径フィラーとの混合物であり、
該小粒径フィラーの平均粒径(D50)が0.1〜1.2μmであり、
該大粒径フィラーの平均粒径(D50)が1〜15μmであり、
該小粒径フィラーに対する該大粒径フィラーの混合割合(大粒径フィラー:小粒径フィラー)が、体積比で、10:90〜90:10であること、
を特徴とする複合圧電体材料用フィラーである。
【0078】
本発明の複合圧電体材料用フィラー(1)は、高分子マトリックス中に分散配合することにより、高分子マトリックスとフィラーとからなる複合圧電体材料を製造するために用いられる複合圧電体材料用のフィラーである。
【0079】
本発明の複合圧電体材料用フィラー(1)は、小粒径フィラーと大粒径フィラーとの混合物である。
【0080】
本発明の複合圧電体材料用フィラー(1)に係る小粒径フィラー及び大粒径フィラーは、本発明の複合圧電体材料(1)に係る小粒径フィラー及び大粒径フィラーと同様である。すなわち、本発明の複合圧電体材料用フィラー(1)に係る小粒径フィラー及び大粒径フィラーは、いずれも、ニオブ酸アルカリ化合物の粒子状物である。本発明の複合圧電体材料用フィラー(1)に係る小粒径フィラー及び大粒径フィラーにおいて、原子換算で、ナトリウム及びカリウムのモル数の合計に対するカリウムのモル数の比(K/(Na+K))は、0.40〜0.60、好ましくは0.45〜0.55である。ナトリウム及びカリウムのモル数に対するカリウムのモル数の比(K/(Na+K))が上記範囲にあることにより、複合圧電体材料の圧電特性が高くなる。また、本発明の複合圧電体材料用フィラー(1)に係る小粒径フィラー及び大粒径フィラーにおいて、原子換算で、ニオブのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)は、0.995〜1.005、好ましくは0.997〜1.003である。なお、小粒径フィラーと大粒径フィラーとは、上記組成を満たし、且つ、全く同一の組成であってもよいし、あるいは、上記組成を満たす範囲で、小粒径フィラーの組成と大粒径フィラーの組成が異なっていてもよい。
【0081】
本発明の複合圧電体材料用フィラー(1)に係る小粒径フィラー及び大粒径フィラーは、アルカリ化合物としてナトリウム及びカリウムを含有することが必須であるが、焼結性の向上、圧電特性変動の制御といった目的で、本発明の複合圧電体材料用フィラー(1)に係る小粒径フィラー及び大粒径フィラーは、リチウムを含有してもよい。これら小粒径フィラー及び大粒径フィラーのリチウムの組成比において、前記目的を達成しつつ圧電特性を損なわない観点から、アルカリ金属元素のモル数の合計に対するリチウムのモル数の比(Li/(Li+Na+K))が、原子換算で、0以上0.10未満、好ましくは0以上0.09未満であることが好ましい。
【0082】
本発明の複合圧電体材料用フィラー(1)に係る小粒径フィラー及び大粒径フィラーを構成するニオブ酸アルカリ化合物は、ペロブスカイト型のニオブ酸アルカリ化合物であり、下記一般式(1):
ANbO (1)
で表されるニオブ酸アルカリ化合物である。
一般式(1)で表されるニオブ酸アルカリ化合物では、Aは、ナトリウム及びカリウムが必須であり、リチウムを含んでいてもよく、原子換算でナトリウム及びカリウムのモル数の合計に対するカリウムのモル数の比(K/(Na+K))は、0.40〜0.60、好ましくは0.45〜0.55であり、原子換算でニオブのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)は、0.995〜1.005、好ましくは0.997〜1.003である。
【0083】
本発明の複合圧電体材料用フィラー(1)に係る小粒径フィラーの平均粒径(D50)は、0.1〜1.2μm、好ましくは0.2〜1.1μmである。また、本発明の複合圧電体材料用フィラー(1)に係る大粒径フィラーの平均粒径(D50)は、1〜15μm、好ましくは2〜12μmである。小粒径フィラー及び大粒径フィラーの平均粒径が上記範囲にあることにより、複合圧電体材料の圧電特性が高くなる。なお、本発明において平均粒径は、マイクロトラック・ベル社製のMT−3300EXIIを用いて、レーザー光散乱法により測定される体積頻度粒度分布測定により求められる積算50%(D50)の粒径である。
【0084】
本発明の複合圧電体材料用フィラー(1)に係る小粒径フィラーのSPAN((D90−D10)/D50)は、好ましくは0.2〜2、特に好ましくは0.3〜1.5である。また、大粒径フィラーのSPAN((D90−D10)/D50)は、好ましくは0.3〜3、特に好ましくは0.4〜2である。小粒径フィラーのSPAN及び大粒径フィラーのSPANが上記範囲にあることにより、複合圧電体材料の圧電特性が高くなる。なお、本発明においてD10、D50及びD90は、マイクロトラック・ベル社製のMT−3300EXIIを用いて、レーザー光散乱法により測定される体積頻度粒度分布測定により求められる積算10%、50%、90%の粒径である。
【0085】
本発明の複合圧電体材料用フィラー(1)に係る小粒径フィラーの平均粒径(D50)は、大粒径フィラーの平均粒径(D50)より小さく、小粒径フィラーの平均粒径(D50)に対する大粒径フィラーの平均粒径(D50)の比(大粒径フィラー/小粒径フィラー)は、好ましくは2〜150、特に好ましくは3〜30である。小粒径フィラーの平均粒径(D50)に対する大粒径フィラーの平均粒径(D50)の比が上記範囲にあることにより、複合圧電体材料の圧電特性が高くなる。
【0086】
本発明の複合圧電体材料用フィラー(1)に係る小粒径フィラーのBET比表面積は、好ましくは2〜15m/g、特に好ましくは2.5〜10m/gである。また、本発明の複合圧電体材料用フィラー(1)に係る大粒径フィラーのBET比表面積は、好ましくは0.1〜3m/g、特に好ましくは0.2〜2m/gである。
【0087】
本発明の複合圧電体材料用フィラー(1)において、小粒径フィラーに対する大粒径フィラーの含有割合(大粒径フィラー:小粒径フィラー)は、体積比で、10:90〜90:10、好ましくは20:80〜80:20である。
【0088】
本発明の複合圧電体材料用フィラー(1)では、所定の平均粒径を有する小粒径フィラーと所定の平均粒径を有する大粒径フィラーとを、所定の体積割合で含有することにより、小粒径フィラーと大粒径フィラーとを組み合わせることにより、小粒径フィラーと大粒径フィラーとの組み合わせでないフィラーに比べ、圧電特性が高くなる。
【0089】
本発明の複合圧電体材料用フィラー(1)に係る小粒径フィラー及び大粒径フィラーは、上述した本発明に係るニオブ酸アルカリ化合物粒子の製造方法により、好適に製造される。そして、本発明のニオブ酸アルカリ化合物粒子の製造方法により得られた小粒径フィラーと大粒径フィラーとを、所定の体積割合で混合することにより、小粒径フィラーと大粒径フィラーが所定の割合で混合されている混合物、すなわち、本発明の複合圧電体材料用フィラー(1)を得ることができる。
【0090】
本発明の第二の形態の複合圧電体材料用フィラー(以下、本発明の複合圧電体材料用フィラー(2)とも記載する。)は、原子換算でナトリウム及びカリウムのモル数の合計に対するカリウムのモル数の比(K/(Na+K))が0.40〜0.60であり、且つ、原子換算でニオブのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)が0.995〜1.005であるニオブ酸アルカリ化合物からなり、
粒度分布測定において、粒径が0.1〜1.2μmの範囲にピークトップを有する第一ピークと、粒径が1〜15μmの範囲にピークトップを有する第二ピークと、からなるバイモーダル粒径分布を示し、第一ピークにおけるピークトップの粒径の頻度(%)の値(A)に対する第二ピークにおけるピークトップの粒径の頻度(%)の値(B)の比(B/A)が0.1〜20であること、
を特徴とする複合圧電体材料用フィラーである。
【0091】
本発明の複合圧電体材料用フィラー(2)は、高分子マトリックス中に分散配合することにより、高分子マトリックスとフィラーとからなる複合圧電体材料を製造するために用いられる複合圧電体材料用のフィラーである。
【0092】
本発明の複合圧電体材料用フィラー(2)は、本発明の複合圧電体材料(2)に係る複合圧電体材料フィラーと同様である。すなわち、本発明の複合圧電体材料用フィラー(2)は、ニオブ酸アルカリ化合物の粒子状物である。本発明の複合圧電体材料用フィラー(2)において、原子換算で、ナトリウム及びカリウムのモル数の合計に対するカリウムのモル数の比(K/(Na+K))は、0.40〜0.60、好ましくは0.45〜0.55である。ナトリウム及びカリウムのモル数の合計に対するカリウムのモル数の比(K/(Na+K))が上記範囲にあることにより、複合圧電体材料の圧電特性が高くなる。また、本発明の複合圧電体材料用フィラー(2)において、原子換算で、ニオブのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)は、0.995〜1.005、好ましくは0.997〜1.003である。
【0093】
本発明の複合圧電体材料用フィラー(2)を構成するニオブ酸カリウムナトリウムは、ペロブスカイト型のニオブ酸アルカリ化合物であり、下記一般式(1):
ANbO (1)
で表されるニオブ酸アルカリ化合物である。
一般式(1)で表されるニオブ酸アルカリ化合物では、Aは、ナトリウム及びカリウムが必須であり、リチウムを含んでいてもよく、原子換算でナトリウム及びカリウムのモル
数の合計に対するカリウムのモル数の比(K/(Na+K))は、0.40〜0.60、好ましくは0.45〜0.55であり、原子換算でニオブのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)は、0.995〜1.005、好ましくは0.997〜1.003である。
【0094】
本発明の複合圧電体材料用フィラー(2)は、粒度分布測定において、粒径が0.1〜1.2μm、好ましくは0.2〜1.1μmの範囲にピークトップを有する第一ピークと、粒径が1〜15μm、好ましくは2〜12μmの範囲にピークトップを有する第二ピークと、からなるバイモーダルな粒径分布を示す。なお、本発明において粒度分布測定は、マイクロトラック・ベル社製のMT−3300EXIIを用いて、レーザー光散乱法により測定される体積頻度粒度分布測定であり、第一ピーク及び第二ピークは、当該体積粒度分布測定により得られる粒度分布チャート中のピークを指す。
【0095】
本発明の複合圧電体材料用フィラー(2)は、粒度分布測定において、第一ピークにおけるピークトップの粒径の頻度(%)の値(A)に対する第二ピークにおけるピークトップの粒径の頻度(%)の値(B)の比(B/A)が0.1〜20、好ましくは0.2〜18、特に好ましくは0.3〜15である。本発明の複合圧電体材料(2)中のニオブ酸アルカリ化合物の粒度分布測定におけるB/Aの値が上記範囲にあることにより、高分子マトリックス中へのニオブ酸アルカリ化合物の分散性が向上し、また、得られる複合圧電体材料の圧電特性が高くなる。
【0096】
本発明の複合圧電体材料用フィラー(2)は、粒度分布測定において、第一ピークにおけるピークトップの粒径は、第二ピークにおけるピークトップの粒径より小さく、第一ピークにおけるピークトップの粒径に対する第二ピークにおけるピークトップの粒径の比(第二ピークにおけるピークトップの粒径/第一ピークにおけるピークトップの粒径)は、好ましくは2〜150、特に好ましくは3〜30である。第一ピークにおけるピークトップの粒径に対する第二ピークにおけるピークトップの粒径の比(第二ピークにおけるピークトップの粒径/第一ピークにおけるピークトップの粒径)が上記範囲にあることにより、複合圧電体材料の圧電特性が高くなる。
【0097】
本発明の複合圧電体材料用フィラー(2)は、所定の粒度分布を有するバイモーダルの粒子であることにより、複合圧電体材料の圧電特性が高くなる。
【0098】
本発明の複合圧電体材料用フィラー(2)の製造方法であるが、例えば、上述した本発明のニオブ酸アルカリ化合物の製造方法により、第一ピークの粒径分布を有する小粒径のフィラーと、第二ピークの粒径分布を有する大粒径のフィラーと製造し、それらを所定の粒径分布となるように混合することにより、本発明の複合圧電体材料用フィラー(2)を得ることができる。
【0099】
本発明の第三の形態の複合圧電体材料用フィラーは、前記本発明の複合圧電体材料(1)に用いられる複合圧電体材料用フィラーであり、原子換算でナトリウム及びカリウムのモル数の合計に対するカリウムのモル数の比(K/(Na+K))が0.40〜0.60であり、且つ、原子換算でニオブのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)が0.995〜1.005であるニオブ酸アルカリ化合物からなり、
平均粒径(D50)が0.1〜1.2μmであること、
を特徴とする複合圧電体材料用フィラーである。すなわち、本発明の第三の形態の複合圧電体材料用フィラーは、前記本発明の複合圧電体材料(1)において、小粒径フィラーとして用いられる複合圧電体材料用フィラーである。
【0100】
本発明の第三の形態の複合圧電体材料用フィラーは、本発明の複合圧電体材料(1)に係る小粒径フィラーと同様である。
【0101】
本発明の第四の形態の複合圧電体材料用フィラーは、前記本発明の複合圧電体材料(1)に用いられる複合圧電体材料用フィラーであり、原子換算でナトリウム及びカリウムのモル数の合計に対するカリウムのモル数の比(K/(Na+K))が0.40〜0.60であり、且つ、原子換算でニオブのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)が0.995〜1.005であるニオブ酸アルカリ化合物からなり、
平均粒径(D50)が1〜15μmであること、
を特徴とする複合圧電体材料用フィラーである。すなわち、本発明の第四の形態の複合圧電体材料用フィラーは、前記本発明の複合圧電体材料(1)において、大粒径フィラーとして用いられる複合圧電体材料用フィラーである。
【0102】
本発明の第四の形態の複合圧電体材料用フィラーは、本発明の複合圧電体材料(1)に係る大粒径フィラーと同様である。
【0103】
本発明の第三の形態の複合圧電体材料用フィラー及び本発明の第四の形態の複合圧電体材料用フィラーは、それぞれ別々に高分子マトリックス中に分散させることにより複合圧電体材料を得ることができ、その使用形態は、シート状、フィルム状、板状、多孔状、膜状、繊維状、内部電極構造を持つ積層状等種々の形態が挙げられ、複合圧電体材料の使用方法に合わせて、適宜選択される。例えば、シート状の複合圧電体材料を製造する場合、先ず、熱硬化性樹脂に、本発明の第三の形態の複合圧電体材料用フィラー及び本発明の第四の形態の複合圧電体材料用フィラーを同時又は別々に混練し、さらに硬化促進剤を混合し、混練分散して、樹脂ペーストを得、次いで、得られた樹脂ペーストを基材上に印刷法等でシート状に成形し、次いで、基材ごと、シート状に成形された樹脂ペーストを加熱して、熱硬化させて、シート状の複合圧電体材料を製造する方法が挙げられる。また、熱可塑性樹脂に、本発明の第三の形態の複合圧電体材料用フィラー及び本発明の第四の形態の複合圧電体材料用フィラーを同時又は別々に混練し、加熱溶融させて混合分散させた後、成形型を用いて射出成形して、所望形状の複合圧電体材料を製造する方法が挙げられる。また、ゴム基材に、本発明の第三の形態の複合圧電体材料用フィラー及び本発明の第四の形態の複合圧電体材料用フィラーを同時又は別々に混練し、さらに加硫促進剤を混合し、混練分散して、ゴム原料混合物を得、次いで、得られたゴム原料混合物を基材上にシート状に成形し、次いで、基材ごと、シート状に成形されたゴム原料混合物を加熱して、加硫させて、シート状の複合圧電体材料を製造する方法が挙げられる。以上のような手法を用いて得られたシート状複合材料に対し、印刷法や蒸着法等の既存の適切な技術を用いて電極形成を行い、さらにコロナ放電システムなどを用いて適切な分極を実施することにより、極めて簡便に複合圧電体素子を得ることができる。
【実施例】
【0104】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0105】
(製造例1−1)
<小粒径フィラーの製造>
各元素の目標組成を、ナトリウムは25.00モル%、カリウムは25.00モル%、ニオブは50.00モル%、ニオブに対するアルカリ金属の比((Li+Na+K)/Nb)は1.000、ナトリウム及びカリウムの合計に対するカリウムの比(K/(Na+K))は0.500とし、五酸化ニオブ(Nb、九江有色金属製)4485g、炭酸ナトリウム(NaCO、トクヤマ社製)893g、及び炭酸カリウム(食添用微粉
CO、日本曹達社製)1160gを、2000rpm、2.5分の条件でヘンシェルミキサー(日本コークス工業社製、FM-20B)を用いて乾式混合して第一焼成原料
を得た。
得られた第一焼成原料を、 昇降式電気炉(モトヤマ社製、SLV−6060L-SP)により650℃で7時間焼成した。室温まで冷却後、ジェットミル(セイシン企業社製、STJ−200)にて処理速度6kg/h、導入圧0.6MPa、粉砕圧0.5MPaの条件で粉砕し第一粉砕物を得た。
第一粉砕物の組成を蛍光X線により各元素の組成を分析したところ、ナトリウムは25.18モル%、カリウムは24.57モル%、ニオブは50.25モル%となり、ニオブに対するアルカリ金属の比((Na+K)/Nb)は0.990、総アルカリ金属に対するカリウムの比(K/(Na+K))は0.494であった。
ニオブに対するアルカリ金属の比((Na+K)/Nb)を1.000、総アルカリ金属に対するカリウムの比(K/(Na+K))を0.500に微調整するために、第一粉砕物5500gに炭酸カリウム27gを加え、2000rpm、3分間の条件でヘンシェルミキサーを用いて乾式混合を行い、第二焼成原料を得た。
得られた第二焼成原料を、昇降式電気炉により650℃で7時間焼成した。室温まで冷却後、ジェットミルにて処理速度10kg/h、導入圧0.6MPa、粉砕圧0.5MPaの条件で粉砕し第二粉砕物を得た。
第二粉砕物の組成を蛍光X線により分析したところ、ナトリウムは25.10%、カリウムは24.95モル%、ニオブは49.96モル%となり、ニオブに対するアルカリ金属の比((Na+K)/Nb)は1.002、総アルカリ金属に対するカリウムの比(K/(Na+K))は0.498であった。
さらに結晶化を高める目的で、この第二粉砕物を、昇降式電気炉により900℃で15時間焼成し、室温まで冷却後、ジェットミルにて処理速度5kg/h、導入圧0.30MPa、粉砕圧0.15MPaの条件で粉砕してニオブ酸カリウムナトリウム粒子を得た。
【0106】
<分析>
得られたニオブ酸カリウムナトリウム(小粒径)の組成分析を、リガク社製、ZSX100eで行ったところ、ニオブに対するアルカリ金属の比((Na+K)/Nb)は0.999、総アルカリ金属に対するカリウムの比(K/(Na+K))は0.498であった。
また、得られたニオブ酸カリウムナトリウム(小粒径)について、リガク社製、UltimaIVでX線回折分析(XRD)を行い、日立ハイテクノロージーズ者製、S−4800で走査型電子顕微鏡観察(SEM)を行った。その結果を図1及び図2示す。
図1のXRDチャートからは、得られたニオブ酸カリウムナトリウム(小粒径)が単相であることが確認された。
また、得られたニオブ酸カリウムナトリウム(小粒径)について、マイクロトラック・ベル社製 MT−3300EXIIで、D10、D50(平均粒径)、及びD90の測定を行った。その結果、D10は0.52μm、D50は0.67μm、D90は0.92μm、SPAN((D90−D10)/D50)は0.60であった。また、得られた粒径分布曲線を図3に示す。
また、得られたニオブ酸カリウムナトリウム(小粒径)について、マウンテック社製、Macsorb HM model-1208でBET比表面積を測定した。その結果、
BET比表面積は4.65m/gであった。
【0107】
(製造例1−2)
<小粒径フィラーの製造>
各元素の目標組成を、ナトリウムは25.00モル%、カリウムは25.00モル%、総アルカリ金属に対するカリウムの比(K/(Na+K))は0.500とすることに代えて、ナトリウムは26.25モル%、カリウムは23.75モル%、総アルカリ金属に
対するカリウムの比(K/(Na+K))は0.475とするために、五酸化ニオブ(Nb、九江有色金属製)4485g、炭酸ナトリウム(NaCO、トクヤマ社製)937g、及び炭酸カリウム(食添用微粉KCO、日本曹達社製)1108gを原料とすること以外は、製造例1−1と同様に行った。
得られたニオブ酸カリウムナトリウムの諸物性を表1に示す。
【0108】
(製造例1−3)
<小粒径フィラーの製造>
各元素の目標組成を、ナトリウムは25.00モル%、カリウムは25.00モル%、総アルカリ金属に対するカリウムの比(K/(Na+K))は0.500とすることに代えて、ナトリウムは27.50モル%、カリウムは22.50モル%、総アルカリ金属に対するカリウムの比(K/(Na+K))は0.450とするために、五酸化ニオブ(Nb、九江有色金属製)4485g、炭酸ナトリウム(NaCO、トクヤマ社製)981g、及び炭酸カリウム(食添用微粉KCO、日本曹達社製)1050gを原料とすること以外は、製造例1−1と同様に行った。
得られたニオブ酸カリウムナトリウムの諸物性を表1に示す。
【0109】
(製造例1−4)
<小粒径フィラーの製造>
各元素の目標組成を、ナトリウムは25.00モル%、カリウムは25.00モル%、総アルカリ金属に対するカリウムの比(K/(Na+K))は0.500とすることに代えて、ナトリウムは28.75モル%、カリウムは21.25モル%、総アルカリ金属に対するカリウムの比(K/(Na+K))は0.425とするために、五酸化ニオブ(Nb、九江有色金属製)4485g、炭酸ナトリウム(NaCO、トクヤマ社製)1026g、及び炭酸カリウム(食添用微粉KCO、日本曹達社製)991gを原料とすること以外は、製造例1−1と同様に行った。
得られたニオブ酸カリウムナトリウムの諸物性を表1に示す。
【0110】
(製造例1−5)
<小粒径フィラーの製造>
五酸化ニオブ(Nb、九江有色金属製)3512g、炭酸ナトリウム(NaCO、トクヤマ社製)668g、及び炭酸カリウム(食添用微粉KCO、日本曹達社製)820gを、ヘンシェルミキサー(日本コークス工業社製、FM−20B)に投入した。このとき、投入原料中、原子換算で、ナトリウムは24.88モル%、カリウムは23.44モル%、ニオブは51.68モル%、ニオブに対するアルカリ金属の比((Li+Na+K)/Nb)は0.935、ナトリウム及びカリウムに対するカリウムの比(K/(Na+K))は0.485である。次いで、投入した五酸化ニオブ、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムを、2000rpm、2.5分の条件でヘンシェルミキサーを用いて乾式混合して第一焼成原料を得た。
得られた第一焼成原料を、昇降式電気炉(モトヤマ社製、SLV−6060L-SP)
により650℃で7時間焼成した(第一焼成)。室温まで冷却後、ジェットミル(セイシン企業社製、STJ−200)にて処理速度6kg/h、導入圧0.6MPa、粉砕圧0.5MPaの条件で粉砕し第一粉砕物を得た。
第一粉砕物の組成を蛍光X線により分析したところ、ナトリウムは24.90モル%、カリウムは23.32モル%、ニオブは51.78モル%となり、ニオブに対するアルカリ金属元素の比((Li+Na+K)/Nb)は0.931、ナトリウム及びカリウムに対するカリウムの比(K/(Na+K))は0.484であった。
ニオブに対するアルカリ金属の比((Li+Na+K)/Nb)を1.000、ナトリウム及びカリウムに対するカリウムの比(K/(Na+K))を0.485に微調整するために、第一粉砕物4210gに炭酸リチウム(NaCO、Gang Feng社製
)54.7g、炭酸ナトリウム4.4g、炭酸カリウム9.6gを加え、2000rpm、3分間の条件でヘンシェルミキサーを用いて乾式混合を行い、第二焼成原料を得た。
得られた第二焼成原料を、昇降式電気炉により550℃で7時間焼成した(第二焼成)。室温まで冷却後、ジェットミルにて処理速度10kg/h、導入圧0.6MPa、粉砕圧0.5MPaの条件で粉砕し第二粉砕物を得た。
第二粉砕物の組成のうち、ナトリウム、カリウム及びニオブについて蛍光X線により分析したところ、ナトリウムは24.92モル%、カリウムは23.51モル%、ニオブは51.57モル%であり、ニオブに対するナトリウムとカリウムの合計量のモル比((Na+K)/Nb)は0.939、ナトリウム及びカリウムに対するカリウムのモル比(K/(Na+K))は0.486となった。また、ICP−AES分析によりリチウムとニオブの含有量を測定し、ニオブに対するリチウムのモル比を求めたところ0.06となった。この結果からニオブに対するアルカリ金属の比((Li+Na+K)/Nb)は0.999、アルカリ金属のモル数に対するリチウムのモル数の比(Li/(Li+Na+K))は0.060と計算された。
さらに結晶性を高める目的で、この第二粉砕物を、昇降式電気炉により900℃で10時間焼成し(第三焼成)、室温まで冷却後、ジェットミルにて処理速度5kg/h、導入圧0.30MPa、粉砕圧0.15MPaの条件で粉砕してニオブ酸リチウムナトリウムカリウム粒子を得た。
【0111】
<分析>
得られたニオブ酸リチウムナトリウムカリウムの組成分析のうち、リガク社製、ZSX100eによりリチウムを除いた成分の蛍光X線分析を行ったところ、ナトリウムは24.92モル%、カリウムは23.52モル%、ニオブは51.56モル%となり、ニオブに対するナトリウムとカリウムの合計量のモル比((Na+K)/Nb)は0.939、ナトリウム及びカリウムに対するカリウムのモル比(K/(Na+K))は0.486となった。また、島津製作所製ICPS−8100CLによるICP−AES分析を行い、リチウムとニオブの含有量を測定し、ニオブに対するリチウムのモル比を求めたところ0.06となった。このため最終的なニオブに対するアルカリ金属の比((Li+Na+K)/Nb)は0.999、アルカリ金属のモル数に対するリチウムのモル数の比(Li/(Li+Na+K))は0.060と計算され、各成分が目的組成に到達していることが確認された。
また、得られたニオブ酸リチウムナトリウムカリウムについて、リガク社製、UltimaIVでX線回折分析(XRD)を行い、日立ハイテクノロージーズ社製、S−4800で走査型電子顕微鏡観察(SEM)を行った。その結果を図8及び図9に示す。
図8のXRDチャートからは、得られたニオブ酸リチウムナトリウムカリウムが単相であることが確認された。
また、得られたニオブ酸リチウムナトリウムカリウムについて、マイクロトラック・ベル(株)製 MT−3300EXIIで、D10、D50(平均粒径)、及びD90の測定を行った。その結果、D10は0.57μm、D50は0.98μm、D90は1.59μm、SPAN((D90−D10)/D50)は1.05であった。また、得られた粒径分布曲線を図10に示す。
また、得られたニオブ酸リチウムナトリウムカリウムについて、マウンテック社製、Macsorb HM model-1208でBET比表面積を測定した。その結果、B
ET比表面積は2.67m/gであった。
【0112】
(製造例2−1)
<大粒径フィラーの製造>
各元素の酸化物としての目標組成を、ナトリウムは25.00モル%、カリウムは25.00モル%、ニオブは50.00モル%、ニオブに対するアルカリ金属の比((Na+K)/Nb)は1.000、総アルカリ金属に対するカリウムの比(K/(Na+K))
は0.500とし、五酸化ニオブ(Nb、楊州三和化工製)4800g、炭酸ナトリウム(NaCO、トクヤマ社製)960g、及び炭酸カリウム(食添用微粉KCO、日本曹達社製)1254gを、2000rpm、2.5分の条件でヘンシェルミキサー(日本コークス工業社製、FM−20B)を用いて乾式混合して第一焼成原料を得た。
得られた第一焼成原料を、 昇降式電気炉(モトヤマ社製、SLV−6060L-SPにより700℃で7時間焼成した。室温まで冷却後、ジェットミル(セイシン企業社製、STJ−200)にて処理速度10kg/h、導入圧0.3MPa、粉砕圧0.15MPaの条件で粉砕し第一粉砕物を得た。
第一粉砕物の組成を蛍光X線により各元素の酸化物としての組成を分析したところ、ナトリウムは25.19モル%、カリウムは24.75モル%、ニオブは50.06モル%となり、ニオブに対するアルカリ金属の比((Na+K)/Nb)は0.997、総アルカリ金属に対するカリウムの比(K/(Na+K))は0.496であった。
ニオブに対するアルカリ金属の比((Na+K)/Nb)を1.000、総アルカリ金属に対するカリウムの比(K/(Na+K))を0.500に微調整するために、第一粉砕物6000gに炭酸カリウム6gを加え、2000rpm、3分間の条件でヘンシェルミキサーを用いて乾式混合を行い、第二焼成原料を得た。
得られた第二焼成原料を、昇降式電気炉により700℃で7時間焼成した。室温まで冷却後、ジェットミルにて処理速度10kg/h、導入圧0.3MPa、粉砕圧0.15MPaの条件で粉砕し第二粉砕物を得た。
第二粉砕物の組成を蛍光X線により分析したところ、ナトリウムは25.11%、カリウムは24.86モル%、ニオブは50.03モル%となり、ニオブに対するアルカリ金属の比((Na+K)/Nb)は0.999、総アルカリ金属に対するカリウムの比(K/(Na+K))は0.497であった。
さらに結晶化を高める目的で、この第二粉砕物を、昇降式電気炉により900℃で15時間焼成し、室温まで冷却後、ジェットミルにて処理速度10kg/h、導入圧0.30MPa、粉砕圧0.15MPaの条件で粉砕してニオブ酸カリウムナトリウム粒子を得た。
【0113】
<分析>
得られたニオブ酸カリウムナトリウム(大粒径)の組成分析を行ったところ、ニオブに対するアルカリ金属の比((Na+K)/Nb)は0.999、総アルカリ金属に対するカリウムの比(K/(Na+K))は0.497であった。
また、得られたニオブ酸カリウムナトリウム(大粒径)について、X線回折分析(XRD)及び走査型電子顕微鏡観察(SEM)を行った。その結果を図4及び図5に示す。
図4のXRDチャートからは、得られたニオブ酸カリウムナトリウム(大粒径)が単相であることが確認された。
また、得られたニオブ酸カリウムナトリウム(大粒径)のD10は4.97μm、D50は10.25μm、D90は16.49μm、SPAN((D90−D10)/D50)は1.12であった。また、得られた粒径分布曲線を図6に示す。
また、得られたニオブ酸カリウムナトリウム(大粒径)のBET比表面積は1.06m/gであった。
【0114】
(製造例2−2)
<大粒径フィラーの製造>
各元素の目標組成を、ナトリウムは25.00モル%、カリウムは25.00モル%、総アルカリ金属に対するカリウムの比(K/(Na+K))は0.500とすることに代えて、ナトリウムは26.25モル%、カリウムは23.75モル%、総アルカリ金属に対するカリウムの比(K/(Na+K))は0.475とするために、五酸化ニオブ(Nb、楊州三和化工社製)4485g、炭酸ナトリウム(NaCO、トクヤマ社
製)937g、及び炭酸カリウム(食添用微粉KCO、日本曹達社製)1108gを原料とすること以外は、製造例2−1と同様に行った。
得られたニオブ酸カリウムナトリウムの諸物性を表2に示す。
【0115】
(製造例2−3)
<大粒径フィラーの製造>
各元素の目標組成を、ナトリウムは25.00モル%、カリウムは25.00モル%、総アルカリ金属に対するカリウムの比(K/(Na+K))は0.500とすることに代えて、ナトリウムは27.50モル%、カリウムは22.50モル%、総アルカリ金属に対するカリウムの比(K/(Na+K))は0.450とするために、五酸化ニオブ(Nb、楊州三和化工社製)4485g、炭酸ナトリウム(NaCO、トクヤマ社製)981g、及び炭酸カリウム(食添用微粉KCO、日本曹達社製)1050gを原料とすること以外は、製造例2−1と同様に行った。
得られたニオブ酸カリウムナトリウムの諸物性を表2に示す。
【0116】
(製造例2−4)
<大粒径フィラーの製造>
各元素の目標組成を、ナトリウムは25.00モル%、カリウムは25.00モル%、総アルカリ金属に対するカリウムの比(K/(Na+K))は0.500とすることに代えて、ナトリウムは8.75モル%、カリウムは21.25モル%、総アルカリ金属に対するカリウムの比(K/(Na+K))は0.425とするために、五酸化ニオブ(Nb、楊州三和化工社製)4485g、炭酸ナトリウム(NaCO、トクヤマ社製)1026g、及び炭酸カリウム(食添用微粉KCO、日本曹達社製)991gを原料とすること以外は、製造例1−1と同様に行った。
得られたニオブ酸カリウムナトリウムの諸物性を表2に示す。
【0117】
(製造例2−5)
<大粒径フィラーの製造>
五酸化ニオブ(Nb、楊州三和化工社製)3503g、炭酸ナトリウム(NaCO、トクヤマ社製)672g、及び炭酸カリウム(食添用微粉KCO、日本曹達社製)825gを、ヘンシェルミキサー(日本コークス工業社製、FM−20B)に投入した。このとき、投入原料中、原子換算で、ナトリウムは24.88モル%、カリウムは23.44モル%、ニオブは51.68モル%、ニオブに対するアルカリ金属の比((Li+Na+K)/Nb)は0.935、ナトリウム及びカリウムに対するカリウムの比(K/(Na+K))は0.485である。次いで、投入した五酸化ニオブ、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムを、2000rpm、2.5分の条件でヘンシェルミキサーを用いて乾式混合して第一焼成原料を得た。
得られた第一焼成原料を、昇降式電気炉(モトヤマ社製、SLV−6060L-SP)
により700℃で7時間焼成した(第一焼成)。室温まで冷却後、ジェットミル(セイシン企業社製、STJ−200)にて処理速度10kg/h、導入圧0.30MPa、粉砕圧0.15MPaの条件で粉砕し第一粉砕物を得た。
第一粉砕物の組成を蛍光X線により分析したところ、ナトリウムは25.21モル%、カリウムは23.05モル%、ニオブは51.74モル%となり、ニオブに対するアルカリ金属元素の比((Li+Na+K)/Nb)は0.933、ナトリウム及びカリウムに対するカリウムの比(K/(Na+K))は0.478であった。
ニオブに対するアルカリ金属の比((Li+Na+K)/Nb)を1.000、ナトリウム及びカリウムに対するカリウムの比(K/(Na+K))を0.480に微調整するために、第一粉砕物4000gに炭酸リチウム(NaCO、Gang Feng社製
)52.6g、炭酸ナトリウム1.9g、炭酸カリウム9.3gを加え、2000rpm、3分間の条件でヘンシェルミキサーを用いて乾式混合を行い、第二焼成原料を得た。
得られた第二焼成原料を、昇降式電気炉により650℃で7時間焼成した。室温まで冷却後、ジェットミルにて処理速度10kg/h、導入圧0.3MPa、粉砕圧0.15MPaの条件で粉砕し第二粉砕物を得た。
第二粉砕物の組成のうち、ナトリウム、カリウム及びニオブについて蛍光X線により分析したところ、ナトリウムは25.22モル%、カリウムは23.27モル%、ニオブは51.51モル%であり、ニオブに対するナトリウムとカリウムに対するカリウムのモル比(K/(Na+K))は0.480となった。また、ICP−AES分析によりリチウムとニオブの含有量を測定し、ニオブに対するリチウムのモル比を求めたところ0.06となった。この結果からニオブに対するアルカリ金属の比((Li+Na+K)/Nb)は1.001、アルカリ金属のモル数に対するリチウムのモル数の比(Li/(Li+Na+K))は0.060と計算された。
さらに結晶性を高める目的で、この第二粉砕物を、昇降式電気炉により900℃で10時間焼成し(第三焼成)、室温まで冷却後、ジェットミルにて処理速度10kg/h、導入圧0.30MPa、粉砕圧0.15MPaの条件で粉砕してニオブ酸リチウムナトリウムカリウム粒子を得た。
【0118】
<分析>
得られたニオブ酸リチウムナトリウムカリウムの組成分析のうち、リガク社製、ZSX100eによりリチウムを除いた成分の蛍光X線分析を行ったところ、ナトリウムは25.23モル%、カリウムは23.25モル%、ニオブは51.52モル%となり、ニオブに対するナトリウムとカリウムの合計量のモル比((Na+K)/Nb)は0.941、ナトリウム及びカリウムに対するカリウムのモル比(K/(Na+K))は0.480となった。また、島津製作所製ICPS−8100CLによるICP−AES分析を行い、リチウムとニオブの含有量を測定し、ニオブに対するリチウムのモル比を求めたところ0.06となった。このため最終的なニオブに対するアルカリ金属の比((Li+Na+K)/Nb)は0.999、アルカリ金属のモル数に対するリチウムのモル数の比(Li/(Li+Na+K))は0.060と計算され、各成分が目的組成に到達していることが確認された。
また、得られたニオブ酸リチウムナトリウムカリウムについて、リガク社製、UltimaIVでX線回折分析(XRD)を行い、日立ハイテクノロージーズ社製、S−4800で走査型電子顕微鏡観察(SEM)を行った。その結果を図11及び図12に示す。
図11のXRDチャートからは、得られたニオブ酸リチウムナトリウムカリウムが単相であることが確認された。
また、得られたニオブ酸リチウムナトリウムカリウムについて、マイクロトラック・ベル(株)製 MT−3300EXIIで、D10、D50(平均粒径)、及びD90の測定を行った。その結果、D10は5.37μm、D50は10.71μm、D90は17.07μm、SPAN((D90−D10)/D50)は1.09であった。また、得られた粒径分布曲線を図13に示す。
また、得られたニオブ酸リチウムナトリウムカリウムについて、マウンテック社製、Macsorb HM model-1208でBET比表面積を測定した。その結果、B
ET比表面積は0.66m/gであった。
【0119】
<混合複合圧電体材料用フィラーの調製>
製造例1−1で得た小粒径のニオブ酸カリウムナトリウムと、製造例2−1で得た大粒径のニオブ酸カリウムナトリウムとを、体積比(大粒径:小粒径)で40:60で混合して、複合圧電体材料用フィラーAを得た。
同様に、製造例1−2と製造例2−2の組み合わせで混合複合圧電体材料用フィラーB、製造例1−3と製造例2−3の組み合わせで混合複合圧電体材料用フィラーC、製造例1−4と製造例2−4の組み合わせで混合複合圧電体材料用フィラーD、製造例1−5と製造例2−5の組み合わせで混合複合圧電体材料用フィラーE及びFを得た。
次いで、得られた混合複合圧電体材料用フィラーA〜Fの粒度分布測定を行った。混合複合圧電体材料用フィラーAの粒度分布曲線を図7に示す。得られた粒度分布曲線は、小粒径側に第一ピークと、大粒径側に第二ピークとを有するバイモーダルな粒径分布を示しており、第一ピークのピークトップの位置は0.69μmであり、第二ピークのピークトップの位置は11.00μmであった。同様に、混合複合圧電体材料用フィラーEの粒度分布曲線を図14に、混合複合圧電体材料用フィラーFの粒度分布曲線を図15示す。いずれも小粒径側に第一ピークと、大粒径側に第二ピークとを有するバイモーダルな粒径分布であった。これらの諸物性について表3に示す。
【0120】
【表1】
【0121】
【表2】
【0122】
【表3】
*A:第一ピークトップの粒径の頻度(%)、B:第二ピークトップの粒径の頻度(%)
【0123】
(実施例1〜10)
<複合圧電体材料及び複合圧電体素子の作製>
高分子マトリックスと複合圧電体材料用フィラーの体積割合が、表4に示す割合となるように、エポキシ樹脂と混練し、エポキシ樹脂組成物得た。なお、ここで使用したエポキシ樹脂は、99質量%の熱硬化性エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製、商品名:JER(
登録商標)828EL、分子量約370、比重1.17、25℃での公称粘度120〜150P)と、1質量%のイミダゾール系硬化促進剤(四国化成工業株式会社製、商品名:2E4MZ)とからなるものである。得られたエポキシ樹脂組成物を140℃、5時間で硬化させて厚み0.6mmの板状の複合圧電体材料を作製した。次いで、得られた複合圧電体材料の両面に、蒸着法にて厚さ30nmの白金膜を電極として形成した後、コロナ放電システム(エレメント社製、ELC−01N)を用いて、−8.0kVを30分間印加して厚み方向に分極された複合圧電体素子を得た。
【0124】
得られた複合圧電体素子について、圧電定数(d33)、比誘電率、誘電損失を、以下の測定方法により測定した。また圧電定数(g33)は測定により得られた圧電定数(d33)および比誘電率を用いて計算により求めた。その結果を表4に示す。
【0125】
(測定方法)
<圧電定数(d33)>
ピエゾメーターシステム(Piezo Test Ltd.製、PM200)のフォースヘッドに複合圧電体素子を厚み方向に挟んで、スタティックフォースを5Nに調整した。振動周波数110Hz、フォース0.25Nにてd33計測を行った。
<比誘電率及び誘電損失>
インピーダンスアナライザー(ソーラートロン社製1255B)、インターフェース(ソーラートロン社製1296)にて、周波数100Hz、印加電圧1Vにおける比誘電率及び誘電損失の測定を行った。
【0126】
【表4】
【0127】
(実施例11〜16)
<複合圧電体材料及び複合圧電体素子の作製>
高分子マトリックスと、各製造例で得られた小粒径フィラー及び大粒径フィラーとの混練を、小粒径フィラー及び大粒径フィラーの体積割合が、表5に示す割合となるように、まず小粒径フィラーをエポキシ樹脂と混練し、次いで大粒径フィラーを混練して、エポキシ樹脂組成物を得た。なお、ここで使用したエポキシ樹脂は、99質量%の熱硬化性エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製、商品名:JER(登録商標)828EL、分子量約370、比重1.17、25℃での公称粘度120〜150P)と、1質量%のイミダゾール系硬化促進剤(四国化成工業株式会社製、商品名:2E4MZ)とからなるものである。得られたエポキシ樹脂組成物を140℃、5時間で硬化させて厚み0.6mmの板状の複合圧電体材料を作製した。次いで、得られた複合圧電体材料の両面に、蒸着法にて厚さ30nmの白金膜を電極として形成した後、コロナ放電システム(エレメント社製、ELC−01N)を用いて、−8.0kVを30分間印加して厚み方向に分極された複合圧電体素子を得た。
【0128】
得られた複合圧電体素子について、圧電定数(d33)、比誘電率、誘電損失を、以下の測定方法により測定した。また圧電定数(g33)は測定により得られた圧電定数(d33)および比誘電率を用いて計算により求めた。その結果を表5に示す。
【0129】
【表5】
【0130】
(比較例1〜12)
<複合圧電体材料及び複合圧電体素子の作製>
高分子マトリックスと、製造例で得た小粒径フィラー又は大粒径フィラーの体積割合が、表6に示す割合となるように、エポキシ樹脂と混練し、エポキシ樹脂組成物を得た。なお、ここで使用したエポキシ樹脂は、99質量%の熱硬化性エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製、商品名:JER(登録商標)828EL、分子量約370、比重1.17、25℃での公称粘度120〜150P)と、1質量%のイミダゾール系硬化促進剤(四国化成工業株式会社製、商品名:2E4MZ)とからなるものである。得られたエポキシ樹脂組成物を140℃、5時間で硬化させて厚み0.6mmの板状の複合圧電体材料を作製した。次いで、得られた複合圧電体材料の両面に、蒸着法にて厚さ30nmの白金膜を電極として形成した後、コロナ放電システム(エレメント社製、ELC−01N)を用いて、−8.0kVを30分間印加して厚み方向に分極された複合圧電体素子を得た。
【0131】
得られた複合圧電体素子について、圧電定数(d33)、比誘電率、誘電損失を、以下の測定方法により測定した。また圧電定数(g33)は測定により得られた圧電定数(d33)および比誘電率を用いて計算により求めた。その結果を表6に示す。
【0132】
【表6】
*)表中、「素子×」とは、エポキシ樹脂とフィラーの混練が困難で、素子を作製できなかったことを指す。
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