(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記負荷軽減機構は、前記排紙トレイに前記逆負荷が伝達されない逆負荷非伝達状態と、前記排紙トレイに前記逆負荷が伝達される逆負荷伝達状態と、を切り替え可能な切替機構を備える
請求項1から6の何れか一項に記載のシート後処理装置。
前記負荷軽減機構は、前記シートの積載により前記排紙トレイに生じる負荷と、前記逆負荷から前記排紙トレイに生じる負荷を引いた差引負荷とが同じになるタイミングで、前記逆負荷伝達状態に切り替える
請求項7に記載のシート後処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態のシート後処理装置を、図面を参照して説明する。なお、各図において、同一構成については同一の符号を付す。
【0010】
シート後処理装置1について説明する。
図1は、実施形態に係るシート後処理装置1を示す斜視図である。
図1においては、シート後処理装置1の外形を二点鎖線で示す。
図1に示すように、シート後処理装置1は、排紙トレイ2と、ガイド機構3と、駆動モータ4と、動力伝達部5と、負荷軽減機構6と、を備える。
【0011】
シート後処理装置1は、不図示の画像形成装置に隣接して配置されている。シートは、画像形成装置からシート後処理装置1へ搬送される。シート後処理装置1は、搬送されたシートに、ユーザーの操作を受け付けるコントロールパネル(不図示)を通じて指定された後処理を実行する。例えば、シート後処理装置1は、ステープル処理およびソート処理を行う。例えば、シート後処理装置1は、シートを二つ折りにして排出するシート折り処理を行う。
【0012】
排紙トレイ2について説明する。
排紙トレイ2は、排出されたシートを積載可能である。例えば、排紙トレイ2には、不図示の搬送ベルトによって、ステープル処理またはソート処理が行われたシート(シート束)が排出される。排紙トレイ2は、駆動モータ4の回転力を利用して昇降される。排紙トレイ2は、排出されるシートを受け止める。排紙トレイ2は、シートの排出方向V1及び鉛直方向V2と直交するシート幅方向V3に長手を有する矩形板状をなす。
【0013】
ガイド機構3について説明する。
ガイド機構3は、排紙トレイ2を上下に案内可能である。ガイド機構3は、ガイドプレート3aと、ガイドレール3bと、を備える。
【0014】
ガイドプレート3aは、シート幅方向V3に一対設けられている。一対のガイドプレート3aは、排紙トレイ2の両端に取り付けられている。ガイドプレート3aは、排紙トレイ2の両端からガイドレール3bの隙間を通ってシート幅方向外方に延出している。ガイドプレート3aの延出端(外端)は、タイミングベルト24に連結されている。
【0015】
ガイドレール3bは、シート幅方向V3に一対設けられている。一対のガイドレール3bは、排紙トレイ2の両側方に設けられている。ガイドレール3bは、上下に長手を有する。ガイドレール3bは、自身の長手方向に沿ってガイドプレート3aを案内可能である。すなわち、排紙トレイ2は、ガイドプレート3aを介して、ガイドレール3bに沿って案内される。
【0016】
駆動モータ4について説明する。
駆動モータ4は、排紙トレイ2を昇降させる。駆動モータ4は、回転角度、回転速度の制御が可能なモータである。例えば、駆動モータ4は、DCモータである。シート後処理装置1は、駆動モータ4の回転を制御する不図示の制御部を備える。例えば、駆動モータ4には、不図示の制御部によって駆動制御される駆動回路が設けられている。
【0017】
動力伝達部5について説明する。
動力伝達部5は、駆動モータ4から排紙トレイ2まで動力を伝達可能である。
図2は、実施形態に係る動力伝達部5の構成を示す斜視図である。
図3は、実施形態に係る動力伝達部5の構成を示す平面図である。
図2においては、駆動モータ4を併せて示す。
図2に示すように、動力伝達部5は、第1動力伝達部10、第2動力伝達部20及び動力伝達遮断機構30を備える。
【0018】
第1動力伝達部10について説明する。
第1動力伝達部10は、駆動モータ4から動力伝達遮断機構30まで動力を伝達する。第1動力伝達部10は、モータプーリ11、モータ駆動ベルト12、ウオームギアプーリ13、ウオームギア14、ウオームホイール15、ウオームホイールシャフト16及び歯車17を備える。
図2において、符号C1は駆動モータ4の回転軸の軸線、符号C2はウオームギア14の軸部の軸線、符号C3はウオームホイールシャフト16の軸線をそれぞれ示す。
【0019】
モータプーリ11は、駆動モータ4の回転軸に取り付けられている。ウオームギア14は、駆動モータ4の軸線C1と平行な軸線C2を有する。ウオームギアプーリ13は、ウオームギア14の軸部に取り付けられている。モータ駆動ベルト12は、モータプーリ11とウオームギアプーリ13とに架け渡されている。
【0020】
ウオームギア14は、ウオームホイール15に噛み合う。ウオームホイールシャフト16は、ウオームギア14の軸部とねじれの位置関係にある。ウオームホイールシャフト16は、ウオームギア14の軸部と直交する方向に軸線C3を有する。ウオームホイール15及び歯車17は、ウオームホイールシャフト16に取り付けられている。歯車17とウオームホイール15とは、同軸に配置されている。歯車17とウオームホイール15とは、一体的に回転可能である。歯車17は、ラチェットギア31に噛み合う。
【0021】
第1動力伝達部10は、第2動力伝達部20よりも大きい減速比を有する。例えば、第1動力伝達部10の減速比は、50程度である。第1動力伝達部10が第2動力伝達部20よりも大きい減速比を有することで、以下の効果を奏する。第1動力伝達部10が第2動力伝達部20以下の減速比を有する場合と比較して、小さい駆動力で排紙トレイ2を昇降駆動させることができる。したがって、排紙トレイ2が大量のシートが積載された高負荷状態であっても、小型の駆動モータ4で排紙トレイ2を駆動させることができる。
【0022】
第2動力伝達部20について説明する。
第2動力伝達部20は、動力伝達遮断機構30から排紙トレイ2(
図1参照)まで動力を伝達する。
図1に示すように、第2動力伝達部20は、主軸歯車21、トレイ駆動シャフト22、タイミングプーリ23、タイミングベルト24及びタイミングアイドラ25を備える。
図2において、符号C4はトレイ駆動シャフト22の軸線を示す。
【0023】
図2に示すように、主軸歯車21及びタイミングプーリ23は、トレイ駆動シャフト22に取り付けられている。トレイ駆動シャフト22は、ウオームホイールシャフト16と平行な方向に軸線C4を有する。主軸歯車21とタイミングプーリ23とは、同軸に配置されている。主軸歯車21とタイミングプーリ23とは、一体的に回転可能である。
図1に示すように、タイミングベルト24は、タイミングプーリ23とタイミングアイドラ25とに架け渡されている。
【0024】
第2動力伝達部20は、第1動力伝達部10よりも小さい減速比を有する。例えば、第2動力伝達部20の減速比は、5程度である。第2動力伝達部20が第1動力伝達部10よりも小さい減速比を有することで、以下の効果を奏する。第2動力伝達部20が第1動力伝達部10以上の減速比を有する場合と比較して、排紙トレイ2に上向きの外力が加わったときにバックドライブ(逆回転)しやすい。すなわち、排紙トレイ2に加わった外力が動力伝達遮断機構30に伝わりやすい。したがって、排紙トレイ2の下方の障害物に対する挟み込みを防止することができる。
【0025】
動力伝達遮断機構30について説明する。
図2に示すように、動力伝達遮断機構30は、第1動力伝達部10と第2動力伝達部20との間に配置されている。動力伝達遮断機構30は、排紙トレイ2(
図1参照)に上向きの外力が加わったときに、駆動モータ4から排紙トレイ2までの動力伝達を遮断する。
【0026】
ここで、排紙トレイ2に加わる「上向きの外力」は、閾値以上の外力を意味する。閾値は、排紙トレイ2に上向きの外力が加わったときに、不図示の付勢部材の付勢力に抗して付勢部材を引き離すことが可能な力である。例えば、上向きの外力には、駆動モータ4が排紙トレイ2を下降させている場合、排紙トレイ2が下方の障害物に当たったときの衝撃力が含まれる。動力伝達遮断機構30は、排紙トレイ2に上向きの外力が加わっていないときに、駆動モータ4から排紙トレイ2までの動力伝達を許容する。
【0027】
動力伝達遮断機構30は、ラチェットギア31、アイドラギア32及び挟み込み防止機構シャフト33を備える。
図2において、符号C5は挟み込み防止機構シャフト33の軸線を示す。
【0028】
ラチェットギア31及びアイドラギア32は、挟み込み防止機構シャフト33に取り付けられている。挟み込み防止機構シャフト33は、ウオームホイールシャフト16と平行な方向に軸線C5を有する。ラチェットギア31とアイドラギア32とは、同軸に配置されている。
図3に示すように、ラチェットギア31とアイドラギア32とは、結合部34によって一体的に回転可能である。アイドラギア32は、主軸歯車21に噛み合う。
【0029】
ラチェットギア31は、排紙トレイ2に上向きの外力が加わったときに、排紙トレイ2の下向きへの移動を制限する。ラチェットギア31は、排紙トレイ2に上向きの外力が加わったときに、排紙トレイ2を定位置に止まらせてもよい。ラチェットギア31は、排紙トレイ2に上向きの外力が加わったときに、排紙トレイ2の上向きへの移動を許容してもよい。
【0030】
例えば、ラチェットギア31は、不図示の付勢部材によってアイドラギア32に付勢されている。ラチェットギア31は、排紙トレイ2に上向きの外力が加わったときに、結合部34の作用によって、付勢部材の付勢力に抗して挟み込み防止機構シャフト33の軸線方向でアイドラギア32から離れる方向に移動可能である。ラチェットギア31は、駆動モータ4の動力が伝達された状態で排紙トレイ2に上向きの外力が加わったときに、付勢部材を押し返して空転する。駆動モータ4の動力が伝達された状態で排紙トレイ2に上向きの外力が加わったときに、アイドラギア32は、結合部34の作用によるラチェットギア31との結合が解除される。すなわち、ラチェットギア31の空転時、アイドラギア32は、動力遮断状態になる。
【0031】
以下、アイドラギア32がラチェットギア31と結合している状態を「動力伝達状態」、アイドラギア32とラチェットギア31との結合が解除された状態を「動力遮断状態」ともいう。
【0032】
駆動モータ4の動力伝達について
図2を参照して説明する。
図2に示すように、駆動モータ4の回転動力は、モータプーリ11、モータ駆動ベルト12及びウオームギアプーリ13を介してウオームギア14に伝達される。ウオームギア14の動力は、ウオームホイール15に伝達される。ウオームホイール15は、ウオームギア14の回転に連動して回転する。歯車17は、ウオームホールと一体的に回転する。
【0033】
動力伝達状態において、ラチェットギア31は、歯車17の回転に従動して回転する。アイドラギア32は、ラチェットギア31と一体的に回転する。主軸歯車21は、ラチェットギア31の回転に従動して回転する。タイミングプーリ23は、主軸歯車21と一体的に回転する。タイミングベルト24は、タイミングプーリ23の回転に従動して回転(上下動)する。ガイドプレート3aは、タイミングベルト24の回転(上下動)に従動して昇降する。排紙トレイ2は、ガイドプレート3aと一体的に昇降する。例えば、駆動モータ4が正回転する場合、排紙トレイ2は上昇する。一方、駆動モータ4が逆回転する場合、排紙トレイ2は下降する。
【0034】
動力遮断状態において、ラチェットギア31は、駆動モータ4から排紙トレイ2までの動力伝達を遮断する。動力遮断状態において、ラチェットギア31は、空転する。
【0035】
負荷軽減機構6について説明する。
負荷軽減機構6は、シートの積載により排紙トレイ2に生じる負荷とは逆方向の逆負荷を排紙トレイ2に与える。排紙トレイ2には、シート束の重量などの鉛直方向下向きの負荷が作用する。排紙トレイ2に生じる負荷は、排紙トレイ2に対し下方に作用する負荷である。逆負荷は、排紙トレイ2に対し上方に作用する負荷である。
【0036】
図1に示すように、負荷軽減機構6は、シート幅方向V3において排紙トレイ2の外方に配置されている。負荷軽減機構6は、ワイヤプーリ40、ワイヤ41、ワイヤアイドラ42及び定荷重バネ43を備える。
図2において、符号C6はワイヤアイドラ42の軸部の軸線を示す。
【0037】
図2に示すように、ワイヤプーリ40は、ウオームホイールシャフト16の一端部に取り付けられている。
ワイヤ41の一端(上端)は、ワイヤプーリ40に取り付けられている。
図1に示すように、ワイヤ41の他端(下端)は、定荷重バネ43に取り付けられている。排紙トレイ2が下方へ移動すると、ワイヤ41はワイヤプーリ40に巻き取られる。
【0038】
ワイヤアイドラ42は、ウオームホイールシャフト16と平行な方向に軸線C6を有する。ワイヤアイドラ42は、ワイヤ41を移動可能に支持する。ワイヤアイドラ42は、ワイヤ41の上下動を許容する。
【0039】
ワイヤアイドラ42は、ワイヤプーリ40を介してガイド機構3とは反対側に配置されている。ワイヤアイドラ42がワイヤプーリ40を介してガイド機構3とは反対側に配置されていることで、定荷重バネ43及びワイヤ41がガイド機構3と干渉することを回避することができる。
【0040】
定荷重バネ43は、逆負荷を排紙トレイ2に与える。例えば、定荷重バネ43は、一定の曲率で曲げられた長尺の板ばねである。定荷重バネ43は、変位にかかわらず荷重が一定となる。定荷重バネ43は、排紙トレイ2に生じる負荷の大きさに関わらず一定の逆負荷を排紙トレイ2に与える。すなわち、定荷重バネ43は、排紙トレイ2の上下位置にかかわらず、一定の逆負荷を排紙トレイ2に与える。言い換えると、定荷重バネ43は、ワイヤ41の巻取量にかかわらず、一定の逆負荷を排紙トレイ2に与える。
【0041】
図3に示すように、負荷軽減機構6は、第1動力伝達部10に接続されている。負荷軽減機構6は、第1動力伝達部10における動力伝達遮断機構30の側(
図2に示す駆動モータ4とは反対側)に接続されている。具体的に、負荷軽減機構6におけるワイヤプーリ40は、第1動力伝達部10におけるウオームホイールシャフト16に接続されている。
【0042】
駆動モータ4の駆動制御について
図1を参照して説明する。
図1に示すように、駆動モータ4は、排紙トレイ2上のシート(一番上のシート)の位置が所定の高さになるように、排紙トレイ2を昇降させる。以下、排紙トレイ2上のシート(一番上のシート)の位置を「シート位置」ともいう。シート後処理装置1には、シート位置を検知する不図示のシート位置検知センサが設けられている。駆動モータ4は、シート位置検知センサの検知結果に基づいて、シート位置が所定の高さになるように排紙トレイ2を昇降させる。
【0043】
排紙トレイ2に生じる負荷と、排紙トレイ2の位置との関係を
図4及び
図5を参照して説明する。
図4及び
図5は、実施形態に係る排紙トレイ2に生じる負荷と、排紙トレイ2の位置との関係を示す図である。
図4は、排紙トレイ2に小量のシートが積載された低負荷状態を示す。
図5は、排紙トレイ2に大量のシートが積載された高負荷状態を示す。排紙トレイ2に生じる負荷は、排紙トレイ2に積載されるシート束の総重量である。以下、排紙トレイ2に生じる負荷を「トレイ負荷」、排紙トレイ2の上下位置を「トレイ位置」ともいう。
【0044】
図4に示すように、排出されたシートは排紙トレイ2に積載されていく。
図5に示すように、高負荷状態におけるトレイ位置は、低負荷状態におけるトレイ位置よりも低い。排紙トレイ2に積載されるシートの枚数が多くなるほど、排紙トレイ2は下方へ移動する。排紙トレイ2に積載されるシートの枚数(シート束の全重量)とトレイ位置とは、比例関係にある。シート排出経路がシートで塞がれないように、シートが積載された排紙トレイ2を下げる。
【0045】
排紙トレイ2は、シート束の全重量を支えつつ昇降動作する。排紙トレイ2は、駆動モータ4(
図1参照)の正逆回転によって上下に振動可能である。
図4及び
図5において、符号K1は排紙トレイ2の振動方向を示す。
【0046】
排紙トレイ2が上下に振動することによって、以下の効果を奏する。排出されたシート(一番上のシート)の一端が排紙トレイ2の手前の排紙ガイド(不図示)上に残ることを回避することができる。すなわち、排出されたシートを、排紙トレイ2上または排紙トレイ2上のシート束上に、整然と載せることができる。したがって、排紙ガイド上のシート残りに起因するジャムを回避することができる。
【0047】
負荷軽減機構6によって、排紙トレイ2には一定の逆負荷が付与されている。以下、排紙トレイ2に積載されているシートの枚数を「積載シート枚数」ともいう。
【0048】
例えば、積載シート枚数が閾値枚数未満の場合、トレイ負荷よりも逆負荷が大きいため、駆動モータ4は逆負荷に逆らうようにトルクを出力する。すなわち、駆動モータ4は、排紙トレイ2が上昇しようとするのを所定の高さで止める。
【0049】
例えば、積載シート枚数が閾値枚数と同じ場合、トレイ負荷と逆負荷とがつり合うため、駆動モータ4は回転を停止する。
【0050】
例えば、積載シート枚数が閾値枚数を超える場合、逆負荷よりもトレイ負荷が大きいため、駆動モータ4はトレイ負荷に逆らうようにトルクを出力する。すなわち、駆動モータ4は、排紙トレイ2が下降しようとするのを所定の高さで止める。
【0051】
実施形態に係る負荷軽減機構6の効果について
図6及び
図7を参照して説明する。
図6及び
図7は、実施形態に係る負荷軽減機構6の効果を説明する図である。
図6において、横軸はトレイ負荷(トレイ位置)、縦軸は排紙トレイ2の昇降速度(以下「トレイ速度」ともいう。)を示す。
図7において、横軸はトレイ負荷(トレイ位置)、縦軸は消費電力を示す。
図6及び
図7において、実線L1は負荷軽減機構6を有する場合(実施形態)、破線LXは負荷軽減機構6を有しない場合(以下「比較例」ともいう。)をそれぞれ示す。
図6のトレイ速度は、排紙トレイ2の昇降運動を想定した平均値である。
【0052】
図6に示すように、比較例の場合(破線LX参照)、トレイ速度はトレイ負荷が高くなるほど遅くなる。比較例の場合、高負荷状態においては目標速度で排紙トレイ2を動作させることができない可能性がある。
【0053】
一方、実施形態の場合(実線L1参照)、トレイ速度は出発点Paからトレイ負荷が高くなるほど速くなった後、折り返し点P1を経て、トレイ負荷が高くなるほど遅くなる。例えば、出発点Paは、トレイ負荷がない状態である。排紙トレイ2にシートが積載されていき所定枚数溜まると、トレイ負荷と逆負荷とが相殺される(折り返し点P1)。実施形態においては、比較例に対して、トレイ負荷とトレイ速度との関係が高負荷側に平行移動する。
【0054】
実施形態によれば、高負荷状態において目標速度で排紙トレイ2を動作させることができる。例えば、
図6のように高負荷状態までトレイ動作範囲を設定した場合でも、トレイ動作範囲の全域において、目標速度で排紙トレイ2を動作させることができる。
【0055】
図7のグラフは、
図6のグラフと裏返しの関係にある。
具体的に、
図7に示すように、比較例の場合(破線LX参照)、消費電力はトレイ負荷が高くなるほど大きくなる。
【0056】
一方、実施形態の場合(実線L1参照)、消費電力は出発点Paからトレイ負荷が高くなるほど小さくなった後、折り返し点P1を経て、トレイ負荷が高くなるほど大きくなる。実施形態においては、比較例に対して、トレイ負荷と消費電力との関係が高負荷側に平行移動する。
図6及び
図7において、折り返し点P1はトレイ負荷と逆負荷とがつり合う点である。
【0057】
実施形態によれば、高負荷状態において消費電力を抑えることができる。例えば、
図7のように高負荷状態までトレイ動作範囲を設定した場合でも、トレイ動作範囲の全域において、消費電力を抑えることができる。
【0058】
実施形態によれば、シート後処理装置1は、排紙トレイ2と、駆動モータ4と、動力伝達遮断機構30と、第1動力伝達部10と、第2動力伝達部20と、負荷軽減機構6と、を持つ。排紙トレイ2は、シートを積載可能である。駆動モータ4は、排紙トレイ2を昇降させる。動力伝達遮断機構30は、排紙トレイ2に上向きの外力が加わったときに、駆動モータ4から排紙トレイ2までの動力伝達を遮断可能である。第1動力伝達部10は、駆動モータ4から動力伝達遮断機構30まで動力を伝達する。第2動力伝達部20は、動力伝達遮断機構30から排紙トレイ2まで動力を伝達する。負荷軽減機構6は、シートの積載により排紙トレイ2に生じる負荷とは逆方向の逆負荷を排紙トレイ2に与える。負荷軽減機構6は、第1動力伝達部10に接続されている。以上の構成によって、以下の効果を奏する。トレイ負荷とは逆方向の逆負荷が排紙トレイ2に与えられることで、排紙トレイ2の昇降駆動が低出力で済むため、駆動モータ4の小型化を図ることができる。加えて、排紙トレイ2に上向きの外力が加わったときに駆動モータ4から排紙トレイ2までの動力伝達が遮断されるため、排紙トレイ2の下方の障害物に対する挟み込みを防止することができる。したがって、駆動モータ4の小型化を図りつつ、排紙トレイ2の下方の障害物に対する挟み込みを防止することができる。
【0059】
実施形態によれば、シート後処理装置1は、排紙トレイ2と、駆動モータ4と、動力伝達部5と、負荷軽減機構6と、を持つ。排紙トレイ2は、シートを積載可能である。駆動モータ4は、排紙トレイ2を昇降させる。動力伝達部5は、駆動モータ4から排紙トレイ2まで動力を伝達可能である。負荷軽減機構6は、シートの積載により排紙トレイ2に生じる負荷とは逆方向の逆負荷を排紙トレイ2に与える。動力伝達部5は、第1動力伝達部10と、第2動力伝達部20と、を備える。第2動力伝達部20は、第1動力伝達部10よりも低い減速比を有する。負荷軽減機構6は、第1動力伝達部10に接続されている。以上の構成によって、以下の効果を奏する。第1動力伝達部10が第2動力伝達部20以下の減速比を有する場合と比較して、小さい駆動力で排紙トレイ2を昇降駆動させることができる。したがって、排紙トレイ2が高負荷状態であっても、小型の駆動モータ4で排紙トレイ2を駆動させることができる。加えて、第2動力伝達部20が第1動力伝達部10以上の減速比を有する場合と比較して、排紙トレイ2に上向きの外力が加わったときにバックドライブ(逆回転)しやすい。すなわち、排紙トレイ2に加わった外力が動力伝達遮断機構30に伝わりやすい。したがって、排紙トレイ2の下方の障害物に対する挟み込みを防止することができる。したがって、駆動モータ4の小型化を図りつつ、排紙トレイ2の下方の障害物に対する挟み込みを防止することができる。
【0060】
また、動力伝達遮断機構30は、排紙トレイ2に上向きの外力が加わったときに、排紙トレイ2の下向きへの移動を制限するラチェットギア31を備えることで、以下の効果を奏する。排紙トレイ2の下方に障害物がある場合、排紙トレイ2を下降させない対策が必要とされる。排紙トレイ2を下降させない対策としては、逆方向のトルク又はトレイ位置を検知して、駆動モータ4を停止する機構(以下「停止機構」ともいう。)がある。また、逆方向のトルクによって駆動モータ4から排紙トレイ2までの動力伝達を遮断する機構(以下「トルクによる遮断機構」ともいう。)がある。しかし、トレイ位置の検知では、排紙トレイ2の下方に位置するものが変形する障害物の場合、障害物を検知できない可能性がある。一方、トルクによる遮断機構または停止機構では、排紙トレイ2に直接的に逆負荷をかける場合、障害物による影響を十分に受けず、動力伝達遮断機能または駆動モータ停止機能が働かない可能性がある。実施形態によれば、排紙トレイ2に上向きの外力が加わったときに、ラチェットギア31によって排紙トレイ2の下向きへの移動が制限される。加えて、負荷軽減機構6は第1動力伝達部10に接続されており、排紙トレイ2に直接的に逆負荷をかける構成ではないため、動力伝達遮断機構30が障害物による影響を十分に受けることができる。したがって、排紙トレイ2の下方の障害物に対する挟み込みをより一層効果的に防止することができる。
【0061】
また、第1動力伝達部10は、ウオームギア14、ウオームホイール15、ウオームホイールシャフト16及び歯車17を備える。ウオームギア14は、駆動モータ4により回転駆動される。ウオームギア14は、ウオームホイール15に噛み合う。ウオームホイール15は、ウオームホイールシャフト16に取り付けられている。ウオームホイールシャフト16は、ウオームギア14の軸部とねじれの位置関係にある。歯車17は、ウオームホイールシャフト16に取り付けられている。歯車17は、動力伝達遮断機構30に接続されている。以上の構成によって、以下の効果を奏する。第1動力伝達部10が複数のギアの組合せで構成されるため、装置構成の簡素化を図ることができる。加えて、ウオームギア14のセルフロック機能を利用することができるため、逆負荷によって駆動モータ4が回されることを回避することができる。
【0062】
また、負荷軽減機構6は、ウオームホイールシャフト16に接続されていることで、以下の効果を奏する。負荷軽減機構6の接続態様としては、負荷軽減機構6をウオームギア14よりも駆動モータ4側または第2動力伝達部20に接続する構成が考えられる。しかし、負荷軽減機構6をウオームギア14よりも駆動モータ4に接続した場合、ウオームギア14によるセルフロックが機能しないため、逆負荷によって駆動モータ4が回されてしまう可能性がある。加えて、負荷軽減機構6をウオームギア14よりも駆動モータ4に接続した場合、駆動モータ4の回転力が負荷軽減機構6にダイレクトに伝わり過ぎる可能性がある。一方、負荷軽減機構6を第2動力伝達部20に接続した場合、排紙トレイ2が障害物に当たったことによる負荷であるか、又は負荷軽減機構6による逆負荷であるかを判別することができない可能性がある。実施形態によれば、負荷軽減機構6がウオームホイールシャフト16に接続されていることで、ウオームギア14によるセルフロックが機能するため、逆負荷によって駆動モータ4が回されてしまうことはない。加えて、負荷軽減機構6が駆動モータ4から離反するため、駆動モータ4の回転力が負荷軽減機構6にダイレクトに伝わり過ぎることもない。加えて、負荷軽減機構6が第2動力伝達部20から離反するため、排紙トレイ2が障害物に当たったことによる負荷であるか、又は負荷軽減機構6による逆負荷であるかを判別することができる。
【0063】
また、負荷軽減機構6は、排紙トレイ2に生じる負荷の大きさに関わらず一定の逆負荷を排紙トレイ2に与える定荷重バネ43を備えることで、以下の効果を奏する。ユーザーの使用頻度が多い積載シート枚数に合わせて定荷重バネ43の設定荷重(逆負荷)を変えることによって、目標速度で排紙トレイ2を動作させつつ、消費電力を抑えることができる。
【0064】
実施形態の変形例について説明する。
まず、実施形態の第1変形例について
図8から
図12を参照して説明する。
図8は、実施形態の第1変形例に係る負荷軽減機構6Aの構成を示す斜視図である。
図8に示すように、負荷軽減機構6Aは、逆負荷非伝達状態と逆負荷伝達状態とを切り替え可能な切替機構50を更に備えていてもよい。ここで、逆負荷非伝達状態は、排紙トレイ2に逆負荷が伝達されない状態である。逆負荷伝達状態は、排紙トレイ2に逆負荷が伝達される状態である。
【0065】
切替機構50は、負荷軽減機構6Aにおけるワイヤアイドラ42と定荷重バネ43との上下間において、一対のワイヤ41a,41bに取り付けられている。
【0066】
第1変形例において、一対のワイヤ41a,41bは、第1ワイヤ41aと、第2ワイヤ41bと、である。
第1ワイヤ41aの一端(上端)は、ワイヤプーリ40に取り付けられている。第1ワイヤ41aの他端(下端)は、切替機構50に取り付けられている。
第2ワイヤ41bの一端(上端)は、切替機構50に取り付けられている。第2ワイヤ41bの他端(下端)は、定荷重バネ43に取り付けられている。
【0067】
図9(a)は、実施形態の第1変形例に係る切替機構50の構成を示す正面図である。
図9(a)に示すように、切替機構50は、切替バー51、切替ストッパ52及び切替ベース53を備える。
【0068】
切替バー51は、第1ワイヤ41aと一体的に移動する。切替バー51は、上下に長手を有する棒状部材である。切替バー51の上端部には、第1ワイヤ41aの下端が取り付けられている。
【0069】
切替ストッパ52は、切替バー51と一体的に移動する。切替ストッパ52は、切替ベース53の内側空間53aを上下に移動可能に配置されている。切替ストッパ52は、切替バー51の長手方向と直交する方向に長手を有する板状部材である。切替ストッパ52は、切替バー51の下端部に取り付けられている。切替バー51と切替ストッパ52との結合体は、逆T字状をなしている。
【0070】
切替ベース53は、上下に長手を有する矩形の枠状部材である。切替ベース53は、不図示の支持部材によって定位置に支持されている。切替ベース53の内側空間53aは、切替ストッパ52の上下動を許容する大きさを有する。切替ベース53の上端部には、上下に開口する貫通孔53hが形成されている。貫通孔53hは、切替バー51の上下動を許容する大きさを有する。切替ベース53の下端部には、第2ワイヤ41bの上端が取り付けられる第2ワイヤ接続部54が設けられている。
【0071】
切替機構50の動作について説明する。
図9(b)及び
図9(c)は、実施形態の第1変形例に係る切替機構50の動作を説明する図である。
以下、排紙トレイ2(
図1参照)が上方に位置し且つ排紙トレイ2にシート束が積載されていない状態を「トレイ負荷がない状態」ともいう。トレイ負荷がない状態では、
図9(a)に示すように、切替ストッパ52は、切替ベース53の内側下面に接触している。加えて、トレイ負荷がない状態では、切替バー51の大部分は、切替ベース53の内側空間53aに収容された状態である。
【0072】
トレイ負荷がない状態から排紙トレイ2を下方に移動させると、はじめは、切替ベース53は移動しない。すなわち、排紙トレイ2を下方に移動させる初期段階においては、切替バー51及び切替ストッパ52のみが上方へ移動する。排紙トレイ2を下方へ移動させ続けると、
図9(b)に示すように、切替ストッパ52が切替ベース53の内側上面に接触する。
【0073】
切替ストッパ52が切替ベース53の内側上面に接触した状態から排紙トレイ2を更に下方へ移動させると、
図9(c)に示すように、切替ストッパ52とともに切替ベース53が上方へ移動する。切替ベース53が上方へ移動することによって、定荷重バネ43による逆負荷が排紙トレイ2に伝わるようになる。
【0074】
実施形態の第1変形例に係る負荷軽減機構6Aの効果について
図10から
図12を参照して説明する。
図10から
図12は、実施形態の第1変形例に係る負荷軽減機構6Aの効果を説明する図である。
図10及び
図12において、横軸はトレイ負荷(トレイ位置)、縦軸はトレイ速度を示す。
図11において、横軸はトレイ負荷(トレイ位置)、縦軸は消費電力を示す。
図10から
図12において、実線L2は負荷軽減機構6Aを有する場合(第1変形例)を示す。一方、一点鎖線L1は切替機構50を有しない場合、さらに破線LXは負荷軽減機構6Aを有しない場合(比較例)をそれぞれ示す。
図10及び
図12のトレイ速度は、排紙トレイ2の昇降運動を想定した平均値である。
【0075】
図10に示すように、第1変形例の場合(実線L2参照)、トレイ速度は出発点Paからトレイ負荷が高くなるほど遅くなった後、第1の折り返し点P11を経て、トレイ負荷が高くなるほど速くなる。さらに、トレイ速度は、第2の折り返し点P12を経て、トレイ負荷が高くなるほど遅くなる。
【0076】
第1変形例の場合(実線L2参照)、トレイ負荷がない状態(
図9(a)参照)では、定荷重バネ43の逆負荷が排紙トレイ2に伝わらないため、
図10中の点Paの状態となる。
図10中の点P11(第1の折り返し点)は、切替ストッパ52が切替ベース53の内側上面に接触した状態(
図9(b)参照)に相当する。
図10中の点P12(第2の折り返し点)は、切替ストッパ52とともに切替ベース53が上方へ移動する状態(
図9(c)参照)に相当する。すなわち、
図10中の点P12は、定荷重バネ43による逆負荷が排紙トレイ2に伝わっている状態である。
図10中の点Pbは、点P12よりも高いトレイ負荷側の点である。
【0077】
負荷軽減機構6Aは、シートの積載により排紙トレイ2に生じる負荷と、逆負荷から排紙トレイに生じる負荷を引いた差引負荷とが同じになるタイミングで、逆負荷伝達状態に切り替える。例えば、
図10中の点P11が
図6の実線L1と破線LXとの交点となるように、切替ベース53の内側空間53aにおける切替ストッパ52の動作範囲を設定する。
【0078】
第1変形例によれば、
図6の例と比較して低負荷状態において排紙トレイ2を目標速度で動作させやすい。例えば、
図10のトレイ動作範囲を設定することで、トレイ動作範囲の全域において、トレイ速度を目標速度以上に維持することができる。
【0079】
図11のグラフは、
図10のグラフと裏返しの関係にある。
図11に示すように、第1変形例の場合(実線L2参照)、消費電力は出発点Paからトレイ負荷が高くなるほど大きくなった後、第1の折り返し点P11を経て、トレイ負荷が高くなるほど小さくなる。さらに、消費電力は、第2の折り返し点P12を経て、トレイ負荷が高くなるほど大きくなる。
図10及び
図11において、第2の折り返し点P12は、トレイ負荷と逆負荷とがつり合う点である。
【0080】
第1変形例によれば、
図7の例と比較して低負荷状態において消費電力を抑えやすい。例えば、
図11のトレイ動作範囲を設定することで、トレイ動作範囲の全域において、消費電力を抑えることができる。
【0081】
図12のグラフは、
図10のグラフに対し、定荷重バネ43の逆負荷を高くし、トレイ負荷とトレイ速度との関係を高負荷側に移動させつつ、トレイ動作範囲を広げた関係にある。
【0082】
定荷重バネ43の逆負荷を高くすると、低負荷状態でのトレイ速度が遅くなる。第1変形例では、低負荷状態のトレイ速度を速くすることができるため、定荷重バネ43の逆負荷を高くすることができる。したがって、トレイ動作範囲を広げることができる。
例えば、
図12の拡大されたトレイ動作範囲を設定することで、
図10の例よりも広い範囲において、トレイ速度を目標速度以上に維持することができる。
【0083】
第1変形例によれば、負荷軽減機構6は、逆負荷非伝達状態と逆負荷伝達状態とを切り替え可能な切替機構50を備えることによって、以下の効果を奏する。低負荷状態において排紙トレイ2を目標速度で動作させやすくするとともに、消費電力を抑えやすくすることができる。
【0084】
また、負荷軽減機構6Aは、シートの積載により排紙トレイ2に生じる負荷と、逆負荷から排紙トレイに生じる負荷を引いた差引負荷とが同じになるタイミングで、逆負荷伝達状態に切り替えることによって、以下の効果を奏する。トレイ速度が急激に変わることを回避することができるため、逆負荷非伝達状態と逆負荷伝達状態とをスムーズに切り替えることができる。
【0085】
実施形態の第2変形例について
図13(a)から
図14を参照して説明する。
図13(a)は、実施形態の第2変形例に係る切替機構50Aの構成を示す正面図である。
図13(a)に示すように、切替機構50Aは、2つの切替ベース53,55を備えた二段式切替機構である。
【0086】
言い換えると、第2変形例に係る切替機構50Aは、第1変形例に係る切替バー51、切替ストッパ52、切替ベース53に加え、更に第2切替ベース55を備える。第2変形例において、切替機構50Aは、3本のワイヤ41a,41b,41cに取り付けられている。3本のワイヤ41a,41b,41cは、第1ワイヤ41a、第2ワイヤ41b及び第3ワイヤ41cである。
【0087】
第2ワイヤ41bの一端(上端)は、第2ワイヤ接続部54に取り付けられている。第2ワイヤ41bの他端(下端)は、不図示の第1定荷重バネに取り付けられている。第3ワイヤ41cの他端(下端)は、不図示の第2定荷重バネに取り付けられている。第1定荷重バネと第2定荷重バネとは、互いに同じ逆負荷を有する定荷重バネであってもよいし、互いに異なる逆負荷を有する定荷重バネであってもよい。
【0088】
第2切替ベース55は、上下に長手を有する矩形の枠状部材である。第2切替ベース55は、不図示の付勢部材によって定位置に付勢されている。第2切替ベース55の内側空間55aは、切替ベース53の上下動を許容する大きさを有する。
【0089】
第2切替ベース55の上端部には、上下に開口する上貫通孔55hが形成されている。上貫通孔55hは、切替バー51を挿通可能であり、切替バー51の上下動を許容する大きさを有する。
第2切替ベース55の下端部には、上下に開口する下貫通孔55iが形成されている。下貫通孔55iは、第2ワイヤ接続部54を収容可能であり、第2ワイヤ接続部54の上下動(進退移動)を許容する大きさを有する。
第2切替ベース55の下端部には、第3ワイヤ41cの上端が取り付けられる第3ワイヤ接続部56が設けられている。
【0090】
切替機構50の動作について説明する。
図13(b)及び
図13(c)は、実施形態の第2変形例に係る切替機構50Aの動作を説明する図である。
トレイ負荷がない状態では、
図13(a)に示すように、切替ストッパ52は、切替ベース53の内側下面に接触している。加えて、トレイ負荷がない状態では、切替バー51は、切替ベース53の内側空間53aに収容された状態である。
【0091】
トレイ負荷がない状態から排紙トレイ2を下方に移動させると、はじめは、切替ベース53は移動しない。すなわち、排紙トレイ2を下方に移動させる初期段階においては、切替バー51及び切替ストッパ52のみが上方へ移動する。排紙トレイ2を下方へ移動させ続けると、
図13(b)に示すように、切替ストッパ52が切替ベース53の内側上面に接触する。
【0092】
切替ストッパ52が切替ベース53の内側上面に接触した状態から排紙トレイ2を更に下方へ移動させると、
図13(c)に示すように、切替ストッパ52とともに切替ベース53が上方へ移動する。切替ベース53が上方へ移動することによって、第1定荷重バネによる逆負荷が排紙トレイ2に伝わるようになる。排紙トレイ2を下方へ移動させ続けると、切替ベース53が第2切替ベース55の内側上面に接触する。
【0093】
切替ベース53が第2切替ベース55の内側上面に接触した状態から排紙トレイ2を更に下方へ移動させると、切替ベース53とともに第2切替ベース55が上方へ移動する。第2切替ベース55が上方へ移動することによって、第1定荷重バネに加え、第2定荷重バネによる逆負荷が排紙トレイ2に伝わるようになる。すなわち、第2切替ベース55が上方へ移動することによって、第1定荷重バネ及び第2定荷重バネの双方による逆負荷が排紙トレイ2に伝わるようになる。以下、第1定荷重バネ及び第2定荷重バネの双方による逆負荷を「合成逆負荷」ともいう。
【0094】
実施形態の第2変形例に係る負荷軽減機構の効果について
図14を参照して説明する。
図14は、実施形態の第2変形例に係る負荷軽減機構の効果を説明する図である。
図14において、横軸はトレイ負荷(トレイ位置)、縦軸はトレイ速度を示す。
図14において、実線L3は第2変形例の負荷軽減機構(二段式切替機構50)を有する場合(第2変形例)を示す。一方、破線LXは負荷軽減機構を有しない場合(比較例)、一点鎖線L1は切替機構50を有しない場合、二点鎖線は一点鎖線L1の逆負荷を高くした場合をそれぞれ示す。
図14のトレイ速度は、排紙トレイ2の昇降運動を想定した平均値である。
【0095】
図14に示すように、第2変形例の場合(実線L3参照)、トレイ速度は出発点Paからトレイ負荷が高くなるほど遅くなった後、第1の折り返し点P21を経て、トレイ負荷が高くなるほど速くなる。さらに、トレイ速度は、第2の折り返し点P22を経て、トレイ負荷が高くなるほど遅くなる。さらに、トレイ速度は、第3の折り返し点P23を経て、トレイ負荷が高くなるほど速くなる。さらに、トレイ速度は、第4の折り返し点P24を経て、トレイ負荷が高くなるほど遅くなる。
【0096】
第2変形例の場合(実線L3参照)、トレイ負荷がない状態(
図13(a)参照)では、第1定荷重バネの逆負荷が排紙トレイ2に伝わらないため、
図14中の点Paの状態となる。
図14中の点P21(第1の折り返し点)は、切替ストッパ52が切替ベース53の内側上面に接触した状態(
図13(b)参照)に相当する。
図14中の点P22(第2の折り返し点)は、切替ストッパ52とともに切替ベース53が上方へ移動する状態に相当する。すなわち、
図14中の点P22は、第1定荷重バネによる逆負荷が排紙トレイ2に伝わっている状態である。点P22は、第1定荷重バネによる逆負荷とトレイ負荷とがつり合っている状態である。
図14中の点P23(第3の折り返し点)は、切替ベース53が第2切替ベース55の内側上面に接触した状態(
図13(c)参照)に相当する。例えば、
図14中の点P23が
図12の実線L2と一点鎖線L1との交点となるように、第2切替ベース55の内側空間53aにおける切替ベース53の動作範囲を設定する。
図14中の点P24(第4の折り返し点)は、切替ベース53とともに第2切替ベース55が上方へ移動する状態に相当する。すなわち、
図14中の点P24は、第1定荷重バネ及び第2定荷重バネの合成逆負荷が排紙トレイ2に伝わっている状態である。点P24は、合成逆負荷とトレイ負荷とがつり合っている状態である。
【0097】
第2変形例によれば、
図6の例と比較して低負荷状態において排紙トレイ2を目標速度で動作させやすい。例えば、
図14の拡大されたトレイ動作範囲を設定することで、
図10の例よりも広い範囲において、トレイ速度を目標速度以上に維持することができる。
【0098】
第2変形例によれば、負荷軽減機構6は、切替機構50Aが2つの切替ベース53を備えた二段式切替機構であることによって、以下の効果を奏する。低負荷状態において排紙トレイ2を目標速度で動作させやすくするとともに、消費電力を抑えやすくすることができる。
【0099】
なお、上述の第2変形例では、切替機構50Aが2つの切替ベース53を備えた二段式切替機構である場合に説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、切替機構50Aは、3つ以上の複数の切替ベース53を備えた多段式切替機構であってもよい。
【0100】
実施形態の第3変形例について
図15から
図17を参照して説明する。
図15は、実施形態の第3変形例に係る負荷軽減機構6Cの構成を示す斜視図である。
図15に示すように、負荷軽減機構6Cは、定荷重バネに替えて線形バネ62を備えていてもよい。負荷軽減機構6Cは、排紙トレイ2(
図1参照)に生じる負荷の大きさに応じて、排紙トレイ2に与える逆負荷の大きさを変化させてもよい。すなわち、負荷軽減機構6Cは、排紙トレイ2の位置に応じて、排紙トレイ2に与える逆負荷の大きさを変化させてもよい。
【0101】
負荷軽減機構6Cは、減速機ボックス60、ワイヤ41、線形バネ62及びバネ固定部63を備える。
減速機ボックス60は、不図示の歯車、歯車列及びワイヤプーリを備える。
歯車は、ウオームホイールシャフト16(
図2参照)に取り付けられている。
歯車列は、歯車に噛み合う。
ワイヤプーリは、歯車列の最終段と同軸上に接続されている。
ワイヤ41の上端は、ワイヤプーリに取り付けられている。ワイヤ41はワイヤプーリに巻き取られる。ワイヤ41の下端は、線形バネ62の上端に取り付けられている。
【0102】
線形バネ62は、排紙トレイ2の変位量に応じて反力が変化するバネである。例えば、線形バネ62は、引張バネである。線形バネ62は、引張バネに限らず、圧縮バネであってもよい。
【0103】
線形バネ62の下端は、バネ固定部63に取り付けられている。線形バネ62は、逆負荷を排紙トレイ2に与える。排紙トレイ2が下方へ移動すると、線形バネ62が引っ張られて、排紙トレイ2に対して上向きの力が働く。線形バネ62のバネ定数は、排紙トレイ2の下方向への移動量dzと、排紙トレイ2に作用する負荷の大きさと、排紙トレイ2に与える逆負荷の大きさdwと、の関係を考慮して設定することが好ましい。
【0104】
実施形態の第3変形例に係る負荷軽減機構6Cの効果について
図16及び
図17を参照して説明する。
図16及び
図17は、実施形態の第3変形例に係る負荷軽減機構6Cの効果を説明する図である。
図16において、横軸はトレイ負荷(トレイ位置)、縦軸はトレイ速度を示す。
図17において、横軸はトレイ負荷(トレイ位置)、縦軸は消費電力を示す。
図16及び
図17において、実線L4は負荷軽減機構6Cを有する場合(第3変形例)を示す。一方、破線LXは負荷軽減機構6Cを有しない場合(比較例)を示す。
図16のトレイ速度は、排紙トレイ2の昇降運動を想定した平均値である。
【0105】
図16に示すように、第3変形例の場合(実線L4参照)、排紙トレイ2の位置によって線形バネ62の変位が変わるため、逆負荷の大きさが変化する。トレイ負荷と逆負荷とがつり合っている状態は、
図16中の一点鎖線L4aの関係である。一点鎖線L4aの状態から排紙トレイ2が上下に移動すると、
図16中の二点鎖線L4bの関係となる。よって、一点鎖線L4aと二点鎖線L4bとを平均すると実線L4の関係となる。
【0106】
第3変形例によれば、定荷重バネを備えた構成と比較して、排紙トレイ2を目標速度で動作させやすい。例えば、
図16のトレイ動作範囲を設定することで、トレイ動作範囲の全範囲において、トレイ速度を目標速度以上に維持することができる。
【0107】
図17のグラフは、
図16のグラフと裏返しの関係にある。
図17に示すように、第3変形例の場合(実線L4参照)、消費電力はトレイ負荷の高低に関わらず一定となる。
【0108】
第3変形例によれば、定荷重バネを備えた構成と比較して、消費電力を抑えることができる。例えば、
図17のトレイ動作範囲を設定することで、トレイ動作範囲の全範囲において、消費電力を抑えることができる。
【0109】
第3変形例によれば、負荷軽減機構6Cは、排紙トレイ2に生じる負荷の大きさに応じて、排紙トレイ2に与える逆負荷の大きさを変化させることによって、以下の効果を奏する。排紙トレイ2に生じる負荷の大きさに関わらず一定の逆負荷を排紙トレイ2に与える場合と比較して、トレイ速度を目標速度以上に安定して維持するとともに、消費電力を安定して抑えることができる。
【0110】
また、負荷軽減機構6Cは、排紙トレイ2の変位量に応じて反力が変化する線形バネ62を備えることで、以下の効果を奏する。トレイ位置とシート積載量との関係に見合うバネ定数の線形バネ62を設定することで、定荷重バネを備えた構成と比較して、トレイ速度を目標速度以上に安定して維持するとともに、消費電力を安定して抑えることができる。
【0111】
なお、上述の第3変形例では、負荷軽減機構6Cが切替機構を備えていない場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、負荷軽減機構6Cは、切替機構を更に備えていてもよい。
【0112】
実施形態の他の変形例について説明する。
なお、上述の実施形態では、シート後処理装置1が動力伝達遮断機構30を備えている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、シート後処理装置1は、動力伝達遮断機構30を備えていなくてもよい。
【0113】
また、上述の実施形態では、動力伝達遮断機構30は、排紙トレイ2に上向きの外力が加わったときに、排紙トレイ2の下向きへの移動を制限するラチェットギア31を備える場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、動力伝達機構は、外力検知センサと、電磁クラッチと、を備えていてもよい。
外力検知センサは、排紙トレイ2(
図1参照)に加わる外力を検知する。
電磁クラッチは、外力検知センサの検知結果に基づいて、外力が閾値を超えたときに排紙トレイ2の下向きへの移動を制限する。
本変形例によれば、排紙トレイ2に加わる外力が閾値を超えたときに、電磁クラッチによって排紙トレイ2の移動方向が上向きに制限される。したがって、排紙トレイ2の下方の障害物に対する挟み込みをより一層効果的に防止することができる。
【0114】
また、上述の実施形態の切替機構では、動力伝達の切替を機械的に行う場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、動力伝達の切替を制御的に行ってもよい。
【0115】
例えば、シート後処理装置は、位置センサと、切替制御部と、を備えていてもよい。位置センサは、トレイ位置を検知する。切替制御部は、位置センサの検知結果に基づいて、トレイ位置が所定位置よりも高いときは逆負荷伝達状態とするよう切替機構を制御する。切替制御部は、位置センサの検知結果に基づいて、トレイ位置が所定位置よりも低いときは逆負荷非伝達状態とするよう切替機構を制御する。
本変形例によれば、排紙トレイ2の上下位置に対応して、排紙トレイ2に対する逆負荷の伝達と非伝達とが切り替えられるため、トレイ位置が低いときのトレイ負荷による駆動モータ4のアシスト力を効率良く活用することができる。加えて、トレイ位置が高いときは逆負荷のアシストを利用することができる。したがって、消費電力を抑えることができる。
【0116】
例えば、シート後処理装置は、動作方向検知センサと、切替制御部と、を備えていてもよい。動作方向検知センサは、排紙トレイ2の動作方向を検知する。切替制御部は、動作方向検知センサの検知結果に基づいて、排紙トレイ2が上昇しているときは逆負荷伝達状態とするよう切替機構を制御する。切替制御部は、動作方向検知センサの検知結果に基づいて、排紙トレイ2が下降しているときは逆負荷非伝達状態とするよう切替機構を制御する。
本変形例によれば、排紙トレイ2の上昇時と下降時とに対応して、排紙トレイ2に対する逆負荷の伝達と非伝達とが切り替えられるため、排紙トレイ2の下降時のトレイ負荷による駆動モータ4のアシスト力を効率良く活用することができる。加えて、排紙トレイ2の上昇時は逆負荷のアシストを利用することができる。したがって、消費電力を抑えることができる。
【0117】
以上述べた少なくともひとつの実施形態によれば、排出されたシートを積載可能な排紙トレイ2と、排紙トレイ2を昇降させる駆動モータ4と、排紙トレイ2に上向きの外力が加わったときに、駆動モータ4から排紙トレイ2までの動力伝達を遮断する動力伝達遮断機構30と、駆動モータ4から動力伝達遮断機構30まで動力を伝達する第1動力伝達部10と、動力伝達遮断機構30から排紙トレイ2まで動力を伝達する第2動力伝達部20と、シートの積載により排紙トレイ2に生じる負荷とは逆方向の逆負荷を排紙トレイ2に与える負荷軽減機構6と、を備え、負荷軽減機構6は、第1動力伝達部10に接続されていることにより、駆動モータ4の小型化を図りつつ、排紙トレイ2の下方の障害物に対する挟み込みを防止することができるシート後処理装置1を提供することができる。
【0118】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。