特許第6875214号(P6875214)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6875214
(24)【登録日】2021年4月26日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】携帯型巻き上げ装置
(51)【国際特許分類】
   B66D 3/20 20060101AFI20210510BHJP
   B66D 3/26 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   B66D3/20 A
   B66D3/26 A
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-125847(P2017-125847)
(22)【出願日】2017年6月28日
(65)【公開番号】特開2019-6590(P2019-6590A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2019年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097559
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 浩司
(74)【代理人】
【識別番号】100123674
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 亮
(72)【発明者】
【氏名】安田 悠
【審査官】 三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2004/0238472(US,A1)
【文献】 特開2010−042501(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0260127(US,A1)
【文献】 中国実用新案第206033103(CN,U)
【文献】 中国特許出願公開第106429935(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66D 1/00−5/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻き上げ対象物を牽引するための牽引部材が巻回される回転体と、前記回転体を回転駆動させる力を生起するための駆動力源とを備える装置本体と、
前記装置本体を取り付け固定するための支持体と、
前記支持体を所定の設置対象物に対して圧着により着脱するための着脱部と、
前記着脱部から延在するとともに、前記回転体に巻回される牽引部材を掛け渡して案内するためのガイド部を保持するアーム部と、
を備え、
前記着脱部は、
前記支持体が取り付け固定されるとともに前記設置対象物に圧着状態で接触する第1の接触部材が一体的に形成される着脱部本体と、
前記第1の接触部材と対向して配置されるとともに前記設置対象物に圧着状態で接触し、前記着脱部本体に摺動自在に挿通される前記アーム部とともに移動できる第2の接触部材と、
を備え、
前記着脱部本体は、前記第1の接触部材と前記第2の接触部材との間の離間距離を変化させるための操作部を有し、
前記装置本体、前記支持体、前記着脱部、及び、前記アーム部が一体のユニットとして構成されることを特徴とする携帯型巻き上げ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、牽引部材を電動又は手動により巻き上げて(巻き取って)及び/又は繰り降ろして(繰り出して)対象物を昇降させるための巻き上げ装置に関し、特に、人が自由に持ち運びできて所定の設置対象物に対して着脱できる携帯型巻き上げ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
モータの駆動力や手動の力を利用して寝具、梱包類、仮設足場、建造物、漁労具等の対象物を所定位置まで巻き上げたり、降ろしたりする巻き上げ装置は、工業用のウインチも含めて、従来から一般的に知られている。
【0003】
このような様々なタイプの巻き上げ装置は、電動又は手動による駆動力を用いて対象物を最適な状態で巻き上げて降ろすことができるようにする様々な機構を組み込んでおり、また、様々な構造形態を成している(例えば、特許文献1乃至特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−182506号
【特許文献2】実開平7−35481号
【特許文献3】特開平3−95098号
【特許文献4】特開平5−338994号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような巻き上げ装置の設置は、一般に、工具を用いたボルト等による締結作業を伴うとともに、大がかりな組み立て作業を必要とするため、一旦設置されると、その撤去が煩雑であり、一人の作業者が容易に組み立て設置して解体できるようなものではなかった。
【0006】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、人が自由に持ち運びできるとともに、任意の場所で所定の設置対象物に対して容易に着脱して対象物の巻き上げ及び降ろし作業を迅速に行なえる小型軽量な携帯型巻き上げ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の携帯型巻き上げ装置は、巻き上げ対象物を牽引するための牽引部材が巻回される回転体と、前記回転体を回転駆動させる力を生起するための駆動力源とを備える装置本体と、前記装置本体を取り付け固定するための支持体と、前記支持体を所定の設置対象物に対して圧着により着脱するための着脱部と、前記着脱部から延在するとともに、前記回転体に巻回される牽引部材を掛け渡して案内するためのガイド部を保持するアーム部とを備え、前記着脱部は、前記支持体が取り付け固定されるとともに前記設置対象物に圧着状態で接触する第1の接触部材が一体的に形成される着脱部本体と、前記第1の接触部材と対向して配置されるとともに前記設置対象物に圧着状態で接触し、前記着脱部本体に摺動自在に挿通される前記アーム部とともに移動できる第2の接触部材とを備え、前記着脱部本体は、前記第1の接触部材と前記第2の接触部材との間の離間距離を変化させるための操作部を有し、前記装置本体、前記支持体、前記着脱部、及び、前記アーム部が一体のユニットとして構成されることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、牽引部材を巻き取って及び/又は繰り出して対象物を昇降させるための巻き上げ機能の全てを1つのユニットとして一体化させるとともに、工具を用いたボルト等による締結ではなく圧着によって設置対象物に着脱できる着脱部を備えているため、人が自由に持ち運びできる携帯性を容易に実現できるとともに、任意の場所で所定の設置対象物に対して容易に着脱して(構造形態に応じて、片手で素早く設置・取り外しも可能になる)対象物の巻き上げ及び降ろし作業を迅速に行なえ、小型軽量化も容易に実現できる。また、着脱部は、装置本体を支持する支持体を設置対象物に着脱するため、言い換えると、着脱部に巻き取り機構としての装置本体が設けられているため、装置全体の重心を設置対象物に近づけることができ、巻き上げ対象物の巻き取り及び繰り出し時の装置全体の安定性を十分に確保できるとともに、アーム部への荷重負担も小さくできる。
【0009】
なお、上記構成の巻き上げ装置は、寝具、梱包類、仮設足場、建造物、漁労具等の対象物を所定位置まで巻き上げたり、降ろしたりするために使用できるほか、ドローンに搭載してドローンから荷物を降ろし或いは上空のドローンへと荷物を巻き上げるなど、その適用分野は限定されない。また、駆動力源は、電動及び手動の両方を含むことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、人が自由に持ち運びできるとともに、任意の場所で所定の設置対象物に対して容易に着脱して対象物の巻き上げ及び降ろし作業を迅速に行なえる小型軽量な携帯型巻き上げ装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る携帯型巻き上げ装置の正面斜視図である。
図2図1の携帯型巻き上げ装置の分解斜視図である。
図3図1の携帯型巻き上げ装置の背面斜視図である。
図4図1の携帯型巻き上げ装置を構成する支持体の斜視図である。
図5】(a)は、着脱部の第1の圧着形態を実現するための第1及び第2の接触部材の配置形態を示す側面図、(b)は、着脱部の第2の圧着形態を実現するための第1及び第2の接触部材の配置形態を示す側面図である。
図6図1の携帯型巻き上げ装置を設置対象物に設置して使用する一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る携帯型巻き上げ装置の一実施形態について具体的に説明する。なお、本実施形態の携帯型巻き上げ装置は、コンテナのような重量体を上げ下げするものとは異なり、作業者が容易に設置して対象物を上げ下げするとともに、作業後は容易に取り外すことを可能にする、いわゆる軽量タイプのものを意図するものである。このため、装置としての全重量は100g〜10kg程度であり、耐荷重は、好ましくは、100kg以下の重量のものが対象となるように構成される。
図1図3に示されるように、本実施形態に係る携帯型巻き上げ装置1は、電動式であり、回転駆動力を生起するための駆動力源としての電動モータ(図示せず)と、この電動モータの正逆回転駆動によって正逆回転されて巻き上げ対象物を牽引するためのワイヤ、チェーン、ロープ等の牽引部材L(図1図3には図示せず;図6参照)を巻き取る及び/又は繰り出す(巻回する)筒状の回転体12と、回転体12を収容保持するハウジング19とを少なくとも有する装置本体10を備える。
【0013】
この場合、回転体12は、軸受(図示せず)を介してハウジング19に回転可能に支持され、また、前記電動モータは、例えばモータハウジングに収容された状態で筒状の回転体12の内側に回転不能に支持固定されてもよく、装置本体10に取り外し可能に装着される電源(例えばバッテリ)14によって給電される(例えば、周知の魚釣用電動リールに類似した構造を成す)。なお、本実施形態では、回転体12を支持するハウジング19と電源14とがコネクタ部材16によって一体化されており、このコネクタ部材16には、電源14と電動モータとを電気的に接続する給電ラインや、コネクタ部材16及び/又はハウジング19に設けられる回転体12のための操作部と制御部(図示せず)とを電気的に接続する制御ライン等が内蔵される。
【0014】
また、電動モータ及び回転体12は、動力伝達機構(動力伝達経路)によって互いに動力伝達可能に連結されている。この場合、動力伝達機構は、電動モータの回転を回転体12側に伝達するが回転体12の回転を電動モータ側に伝達しない双方向クラッチを有してもよく、また、電動モータからの動力を減速して回転体12に伝える減速機構(本実施形態では遊星歯車機構)を備えてもよい。
【0015】
なお、本実施形態に係る携帯型巻き上げ装置1には、回転体12に対して牽引部材を平行に巻回するためのレベルワインド装置15が設けられる。このレベルワインド装置15は、電動モータが回転駆動されると、それに連動して、回転体12から繰り出される牽引部材を挿通する案内体17が左右に往復移動するよう構成されており、牽引部材の巻き取り動作に伴って、回転体12に対して牽引部材を均等に巻回する機能を有する。
【0016】
また、本実施形態に係る携帯型巻き上げ装置1は、装置本体10を支持するための支持体20と、支持体20を所定の設置対象物に対して圧着により着脱するための着脱部30と、着脱部30から延在するとともに、回転体12に巻回される牽引部材を掛け渡して案内するためのガイド部42を保持するアーム部40とを備える。そして、本実施形態では、装置本体10が支持体20に対して締結等により取り付け固定され、支持体20が着脱部30の後述する着脱部本体35に対して締結等により取り付け固定され、アーム部40が着脱部30の着脱部本体35に対して取り外し可能に且つ摺動可能に装着されることにより、装置本体10、支持体20、着脱部30、及び、アーム部40が一体のユニットとして構成されている。すなわち、装置本体10、支持体20、着脱部30、及び、アーム部40は、取り外し可能に構成されており、これらを一体化してユニット化できる構成となっているため、携帯性に優れ、必要に応じてこれらの要素を、作業現場で組み立て/分離することが容易に行なえる。
【0017】
この場合、支持体20は、例えば、図4に示されるように、装置本体10の少なくとも回転体12及びハウジング19の部位を下側から支える底板23と、装置本体10の少なくとも回転体12及びハウジング19の部位の背面側を保護するとともに例えば装置本体10のコネクタ部材16とハウジング19との間に介挿されてコネクタ部材16に対して締結により取り付け固定される背板22と、装置本体10の少なくとも回転体12及びハウジング19の部位の側方を保護するとともに着脱部30の着脱部本体35に対して締結により取り付け固定される側板21とを少なくとも有する。なお、側板21及び背板22には、ボルト等の締結具が挿通される複数の取り付け穴21a,22aが設けられる。
【0018】
また、着脱部30は、着脱部本体35と、設置対象物に圧着状態で接触する圧着面31aを有する第1の接触部材31と、この第1の接触部材31と対向して配置されるとともに設置対象物に圧着状態で接触する圧着面32aを有する第2の接触部材32と、着脱部本体35に組み込まれるとともに第1の接触部材31と第2の接触部材32との間の離間距離を変化させるための操作部50とを有する。この場合、第1の接触部材31は、着脱部30に固定され、特に本実施形態では着脱部本体35と一体に形成され、また、第2の接触部材32は、アーム部40とともに着脱部30(着脱部本体35)に対して移動できるようになっている。
【0019】
具体的には、本実施形態では、アーム部40が着脱部本体35に貫通して形成されるアーム摺動孔35aに摺動自在に挿通され、このアーム部40の基端に第2の接触部材32が着脱可能に取り付けられる。また、アーム部40の先端には、回転体12から繰り出される牽引部材の移動経路を横切るようにアーム部40に対して垂直に延びる支持部材41が設けられ、この支持部材41には、回転体12に巻回される牽引部材を掛け渡して案内するための前述したガイド部(例えば、プーリー)42が保持される。
【0020】
また、着脱部本体35に組み込まれる操作部50は、互いに対して接離可能に回動される一対の操作部材51,52を有し、これらの操作部材51,52を例えば握り込んで操作することにより、操作部材51,52とアーム部40との間に介在する図示しないラチェットクランプ機構、ネジ機構、ピニオン・ラック機構、バネ機構等を介してアーム部40を着脱部本体35に対して進退させて第1の接触部材31と第2の接触部材32との間の離間距離を変化させることができるようになっている。この場合、例えば、一対の操作部材51,52を1回握り込むことにより所定のピッチ分だけ第1の接触部材31と第2の接触部材32との間の離間距離が縮まる又は広がるようになっており、それに加えて、着脱部本体35に設けられる所定の切り換えボタン63を押圧することにより操作部材51,52とアーム部40との間の力伝達関係が解除されて、アーム部40を自在に摺動させること(第1の接触部材31と第2の接触部材32との間の離間距離を自在に変化させること)ができるようになっていてもよい。
【0021】
前述したラチェットクランプ機構としては、周知の任意の機構を採用できるが、具体的には、例えば、特開平7−68472号公報に開示されるようなバークランプの作動機構の原理や特開平6−143152号公報に開示されるような握力作動万力の作動機構の原理(その他、US2010/0276860号など)を用いることができる。また、前述したネジ機構としては、同様に周知の任意の機構を採用できるが、具体的には、例えば、特表2011−524813号公報に開示されるようなクランプの作動機構の原理、特開平6−339866号公報に開示されるようなねじクランプの作動機構の原理、或いは、特開平10−309673号公報に開示されるようなねじ万力の作動機構の原理を用いることができる。
【0022】
図5には、着脱部30の2つの異なる圧着形態を実現するための第1及び第2の接触部材31,32の配置形態の一例が示される。図5の(a)は、図1図3に示される第1及び第2の接触部材31,32の配置形態を示し、この第1の配置形態(第1の圧着形態)では、第1及び第2の接触部材31,32の圧着面31a,32a同士が向き合って第1の接触部材31と第2の接触部材32との間で設置対象物を挟持できるようになる。一方、この第1の圧着形態から、例えば、第2の接触部材32をアーム部40から取り外すとともに、アーム部40を着脱部本体35に対して逆側から挿通し直した後にアーム部40の先端に第2の接触部材32を逆向きに(圧着面32aが圧着面31aとは反対の方向を向くように)取り付けると、図5の(b)に示されるような第2の圧着形態を実現できる。この第2の圧着形態では、対向する2つの設置対象物間に着脱部30が圧着状態で挟持されるようになる。
【0023】
以上のような構成を成す携帯型巻き上げ装置1の使用形態の一例が図6に示される。この図6では、例えばマンションのベランダの壁に携帯型巻き上げ装置1を取り付けて地上から上階へと巻き上げ対象物80を牽引部材Lにより引き上げる場合を想定している。なお、図6には、前述した携帯型巻き上げ装置1が概念的且つ概略的に描かれている。
【0024】
図示のように、図6の上側のベランダ100Aには、図5の(a)に示される第1の圧着形態で携帯型巻き上げ装置1が取り付けられている。すなわち、第1の接触部材31と第2の接触部材32との間で設置対象物であるベランダ100Aの外側壁部90を挟持することにより携帯型巻き上げ装置1が取り付けられている。このベランダ100Aに位置する作業者70は、電動モータを駆動制御して回転体12を回転させることにより回転体12からガイド部42によって案内される牽引部材80を巻き取って及び/又は繰り出して地上から上階へと又はその逆へと巻き上げ対象物80を上下に搬送できる。
【0025】
一方、図6の下側のベランダ100Bには、図5の(b)に示される第2の圧着形態で携帯型巻き上げ装置1が取り付けられている。すなわち、対向する2つの設置対象物であるベランダ100Bの外側壁部90と内側壁部92との間に着脱部30が圧着状態で挟持されることにより携帯型巻き上げ装置1が取り付けられている。この場合にも、作業者70は、電動モータを駆動制御して回転体12を回転させることにより回転体12からガイド部42によって案内される牽引部材80を巻き取って及び/又は繰り出して地上から上階へと又はその逆へと巻き上げ対象物80を上下に搬送できる。
【0026】
以上説明したように、本実施形態の巻き上げ装置1によれば、牽引部材Lを巻き取って及び/又は繰り出して対象物80を昇降させるための巻き上げ機能の全てを1つのユニットとして一体化させるとともに、工具を用いたボルト等による締結ではなく圧着によって設置対象物に着脱できる着脱部30を備えているため、人が自由に持ち運びできる携帯性を容易に実現できるとともに、任意の場所で所定の設置対象物に対して容易に着脱して(特に、本実施形態では、片手で素早く設置・取り外しが可能になる)対象物80の巻き上げ及び降ろし作業を迅速に行なえ、小型軽量化も容易に実現できる。また、着脱部30は、装置本体10を支持する支持体20を設置対象物に着脱するため、言い換えると、着脱部30に巻き取り機構としての装置本体10が設けられているため、装置全体の重心を設置対象物に近づけることができ、巻き上げ対象物80の巻き取り及び繰り出し時の装置全体の安定性を十分に確保できるとともに、アーム部40への荷重負担も小さくできる。
【0027】
なお、本実施形態の巻き上げ装置1は、寝具、梱包類、仮設足場、建造物、漁労具等の対象物を所定位置まで巻き上げたり、降ろしたりするために使用できるほか、ドローンに搭載してドローンから荷物を降ろし或いは上空のドローンへと荷物を巻き上げるなど(例えば、ドローンを利用して海面で溺れている遊泳者へ浮き輪を供給するなど)、その適用分野は限定されない。
【0028】
以上、図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明してきたが、本発明は、前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。例えば、前述した実施形態では、回転駆動力を生起するための駆動力源が電動モータであったが、回転駆動力が手動で生起されても構わない。その場合には、回転体を回転操作するための操作ハンドル等が駆動力源として装置本体に設けられてもよい。また、前述した実施形態では、電動モータの駆動が、携帯電話、WiFi通信端末などを利用して遠隔制御されてもよい。また、前述した実施形態では、減速機構として遊星歯車機構が採用されたが、減速機構としては、波動歯車装置、例えばハーモニックドライブ(登録商標)や、平歯車が採用されてもよい。また、前述した実施形態では、電動モータが回転体内に収容されているが、電動モータが回転体の外部に設けられても構わない。また、前述した実施形態では、電動モータの正逆回転駆動によって回転体が正逆回転されて巻き上げ対象物を牽引するための牽引部材が巻き取られ及び/又は繰り出されるようになっているが、牽引部材の繰り出しは、電動モータの駆動力を用いることなく、クラッチ機構等により回転体を回転フリーにして牽引部材を繰り出すような形態であっても構わない。
【符号の説明】
【0029】
1 携帯型巻き上げ装置
10 装置本体
12 回転体
20 支持体
30 着脱部
31 第1の接触部材
32 第2の接触部材
40 アーム部
50 操作部
図1
図2
図3
図4
図5
図6