特許第6875216号(P6875216)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6875216ガスセンサ、および、ガスセンサの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6875216
(24)【登録日】2021年4月26日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】ガスセンサ、および、ガスセンサの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/409 20060101AFI20210510BHJP
【FI】
   G01N27/409 100
【請求項の数】7
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-129059(P2017-129059)
(22)【出願日】2017年6月30日
(65)【公開番号】特開2018-13476(P2018-13476A)
(43)【公開日】2018年1月25日
【審査請求日】2019年12月20日
(31)【優先権主張番号】特願2016-134989(P2016-134989)
(32)【優先日】2016年7月7日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】大場 健弘
(72)【発明者】
【氏名】永田 省吾
(72)【発明者】
【氏名】三原 俊哉
【審査官】 櫃本 研太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−048760(JP,A)
【文献】 特開2014−038083(JP,A)
【文献】 米国特許第05817920(US,A)
【文献】 特開2002−323470(JP,A)
【文献】 特開2014−190846(JP,A)
【文献】 特開2008−076282(JP,A)
【文献】 特許第4424435(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/406−27/419
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象ガスの検出結果を示す検出信号を外部へ出力する電極端子部を備えるセンサ素子と、
前記センサ素子の前記電極端子部に電気的に接続される金属端子と、
前記金属端子に電気的に接続されて、前記検出信号を外部に出力するための信号経路を形成する信号線と
を備えるガスセンサであって、
前記金属端子は、前記電極端子部に接触する先端側端子部材と、前記信号線と接続する後端側端子部材とを備え、
前記先端側端子部材は、前記後端側端子部材と連結するための先端側連結部を備え、
前記後端側端子部材は、前記先端側端子部材と連結するための後端側連結部を備え、
前記先端側連結部は、メス型連結部、または、オス型連結部であり、
前記後端側連結部は、前記先端側連結部が前記メス型連結部である場合には前記オス型連結部であり、前記先端側連結部が前記オス型連結部である場合には前記メス型連結部であり、
前記メス型連結部には、前記オス型連結部が挿入される挿入口が形成されており、
前記挿入口は、前記オス型連結部が前記挿入口を通って前記メス型連結部の内部に挿入されるときに、前記挿入口と前記オス型連結部とが接触しないようにすることができる形状に形成されており、
前記メス型連結部および前記オス型連結部の何れか一方は、前記オス型連結部が前記メス型連結部の内部に収容された場合に、前記メス型連結部の内部において、前記オス型連結部が前記メス型連結部へ向かうように前記オス型連結部を押し付けて、前記オス型連結部と前記メス型連結部とを接触させる端子接触部を備え、
前記オス型連結部と前記メス型連結部とが、前記オス型連結部と前記メス型連結部との接触箇所で溶接され、
前記メス型連結部は、本体部と、前記本体部と対向する切欠部とを有し、前記端子接触部は前記切欠部の周縁に設けられ、前記本体部に向けて前記オス型連結部を押し付けるガスセンサ。
【請求項2】
請求項1に記載のガスセンサであって、
前記端子接触部が前記メス型連結部および前記オス型連結部の何れか一方と接触する接触箇所と、前記メス型連結部と前記オス型連結部とが溶接された溶接箇所とは、前記メス型連結部の内部に前記オス型連結部が挿入される挿入方向に対して垂直な同一の平面上に配置されるガスセンサ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のガスセンサであって、
前記端子接触部は、前記メス型連結部の内部に前記オス型連結部が挿入される挿入方向に沿って少なくとも2つ設けられており、
少なくとも2つの前記端子接触部のうち、1つの前記端子接触部を第1端子接触部とし、前記第1端子接触部以外の1つの前記端子接触部を第2端子接触部として、
前記第1端子接触部が前記メス型連結部および前記オス型連結部の何れか一方と接触する第1接触箇所と、前記第2端子接触部が前記メス型連結部および前記オス型連結部の何れか一方と接触する第2接触箇所とは、前記メス型連結部の内部に前記オス型連結部が挿入される挿入方向に対して垂直であり且つ前記メス型連結部と前記オス型連結部とが溶接された溶接箇所を通る溶接平面を挟んで互いに反対側に配置されるガスセンサ。
【請求項4】
検出対象ガスの検出結果を示す検出信号を外部へ出力する電極端子部を備えるセンサ素子と、
前記センサ素子の前記電極端子部に電気的に接続される金属端子と、
前記金属端子を取り囲んだ状態で保持するセパレータと、
前記金属端子に電気的に接続されて、前記検出信号を外部に出力するための信号経路を形成する信号線と
を備えるガスセンサの製造方法であって、
前記金属端子は、前記電極端子部に接触する先端側端子部材と、前記信号線と接続する後端側端子部材とを備え、
前記先端側端子部材は、前記後端側端子部材と連結するための先端側連結部を備え、
前記後端側端子部材は、前記先端側端子部材と連結するための後端側連結部を備え、
前記先端側連結部は、メス型連結部、または、オス型連結部であり、
前記後端側連結部は、前記先端側連結部が前記メス型連結部である場合には前記オス型連結部であり、前記先端側連結部が前記オス型連結部である場合には前記メス型連結部であり、
前記メス型連結部には、前記オス型連結部が挿入される挿入口が形成されており、
前記挿入口は、前記オス型連結部が前記挿入口を通って前記メス型連結部の内部に挿入されるときに、前記挿入口と前記オス型連結部とが接触しないようにすることができる形状に形成されており、
前記メス型連結部および前記オス型連結部の何れか一方は、前記オス型連結部が前記メス型連結部の内部に収容された場合に、前記メス型連結部の内部において、前記オス型連結部が前記メス型連結部へ向かうように前記オス型連結部を押し付けて、前記オス型連結部と前記メス型連結部とを接触させる端子接触部を備え、
前記セパレータは、前記先端側端子部材を取り囲んだ状態で保持する先端側セパレータと、前記後端側端子部材を取り囲んだ状態で保持する後端側セパレータとを備え、
前記先端側端子部材の前記先端側連結部が前記先端側セパレータの後端側に位置するようにして、前記先端側セパレータの内部に前記先端側端子部材を挿入する先端側挿入工程と、
前記後端側端子部材の前記後端側連結部が前記後端側セパレータの先端側に位置するようにして、前記後端側セパレータの内部に前記後端側端子部材を挿入する後端側挿入工程と、
前記先端側セパレータの後端と、前記後端側セパレータの先端とを嵌め合わせることにより、前記先端側端子部材の前記先端側連結部と前記後端側端子部材の前記後端側連結部とを連結する嵌合工程と
を備えるガスセンサの製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載のガスセンサの製造方法であって、
前記セパレータは、前記先端側セパレータと前記後端側セパレータとが嵌め合わされると、前記先端側セパレータと前記後端側セパレータとが接触する箇所の周辺において、前記先端側連結部と前記後端側連結部との連結部分が前記セパレータの外部に対して露出するようにするための開口部を備えるように形成され、
前記嵌合工程が終了した後に前記連結部分を溶接する溶接工程を備えるガスセンサの製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載のガスセンサの製造方法であって、
前記連結部分を溶接する前に、前記セパレータの外部から前記開口部を撮影して、前記開口部の位置を検出し、この検出結果に基づいて前記連結部分の位置を決定する開口部決定工程を備え、
前記溶接工程は、前記開口部決定工程により決定された位置で溶接を行うガスセンサの製造方法。
【請求項7】
請求項5に記載のガスセンサの製造方法であって、
前記連結部分を溶接する前に、前記セパレータの外部から前記開口部を撮影して、前記先端側連結部と前記後端側連結部との境界を検出し、この検出結果に基づいて前記連結部分の位置を決定する境界決定工程とを備え、
前記溶接工程は、前記境界決定工程により決定された位置で溶接を行うガスセンサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電極端子部を有するセンサ素子と、検出信号を外部に出力する信号線とを備えたガスセンサに用いられるガスセンサ用金属端子に関する。
【背景技術】
【0002】
測定対象ガスに含まれる特定成分を検出するガスセンサは、例えば、電極端子部を有するセンサ素子と、センサ素子の電極端子部に電気的に接続される金属端子と、金属端子に電気的に接続されて検出信号を外部に出力するための信号経路を形成する信号線とを備えている。
【0003】
このようなガスセンサの金属端子について、単一部材で構成されるものに限られず、特許文献1のように、雄型の端子部材と雌型の端子部材とが連結されて構成されるものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−323470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、雄型の端子部材と雌型の端子部材とを嵌め合わせる作業を行う場合に、雄型の端子部材の外周面と雌型の端子部材の内周面とが接触してしまい、嵌め合わせる作業の効率が低下してしまうおそれがあった。さらに、雄型の端子部材と雌型の端子部材とを嵌め合わせた後に、雄型の端子部材と雌型の端子部材とを溶接により固定させる場合に、雄型の端子部材と雌型の端子部材との接触部分に隙間が空いて、溶接不良となるおそれがあった。
【0006】
本開示は、作業効率と溶接の安定性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、電極端子部を有するセンサ素子と、信号線とを備えたガスセンサに用いられるガスセンサ用金属端子である。電極端子部は、検出対象ガスの検出結果を示す検出信号を外部へ出力する。信号線は、検出信号を外部に出力するための信号経路を形成する。また、本開示のガスセンサ用金属端子は、電極端子部から信号線へ検出信号を伝達するために電極端子部および信号線と電気的に接続される。
【0008】
そして、本開示のガスセンサ用金属端子は、電極端子部に接触する先端側端子部材と、信号線と接続する後端側端子部材とを備える。先端側端子部材は、後端側端子部材と連結するための先端側連結部を備える。後端側端子部材は、先端側端子部材と連結するための後端側連結部を備える。
【0009】
先端側連結部は、メス型連結部、または、オス型連結部である。そして後端側連結部は、先端側連結部がメス型連結部である場合にはオス型連結部であり、先端側連結部がオス型連結部である場合にはメス型連結部である。
【0010】
さらに、メス型連結部には、オス型連結部が挿入される挿入口が形成されている。そして挿入口は、オス型連結部が挿入口を通ってメス型連結部の内部に挿入されるときに、挿入口とオス型連結部とが接触しないようにすることができる形状に形成されている。
【0011】
また、メス型連結部およびオス型連結部の何れか一方は、オス型連結部がメス型連結部の内部に収容された場合に、メス型連結部の内部において、オス型連結部がメス型連結部へ向かうようにオス型連結部を押し付けて、オス型連結部とメス型連結部とを接触させる端子接触部を備える。
【0012】
このように構成された本開示のガスセンサ用金属端子では、メス型連結部の挿入口が、オス型連結部の挿入時にオス型連結部に接触しないようにすることができる形状に形成されている。このため、本開示のガスセンサ用金属端子は、メス型連結部の内部へオス型連結部が挿入されるときに、メス型連結部とオス型連結部とが接触して挿入作業が阻害されてしまうという事態の発生を抑制することができ、メス型連結部とオス型連結部とを連結する作業の効率を向上させることができる。
【0013】
さらに、本開示のガスセンサ用金属端子では、端子接触部が、メス型連結部の内部において、オス型連結部がメス型連結部へ向かうようにオス型連結部を押し付けて、オス型連結部とメス型連結部とを接触させる。これにより、本開示のガスセンサ用金属端子は、メス型連結部の内部へオス型連結部が挿入された後に、オス型連結部とメス型連結部とが接触した状態を保持することができる。このため、オス型連結部とメス型連結部とが接触した箇所で溶接を行うようにすることができる。これにより、本開示のガスセンサ用金属端子は、メス型連結部とオス型連結部とを固定するために溶接された溶接箇所で隙間が形成される事態の発生を抑制し、溶接の安定性を向上させることができる。
【0014】
本開示の一態様では、端子接触部は、メス型連結部の内部にオス型連結部が挿入される挿入方向に対して垂直な方向に沿って少なくとも2つ設けられるようにしてもよい。
このように構成された本開示のガスセンサ用金属端子では、メス型連結部の内部において、挿入方向に対して垂直な方向に沿ったオス型連結部の移動を規制することができ、メス型連結部の内部におけるオス型連結部の位置の安定性を向上させることができる。
【0015】
本開示の一態様では、端子接触部は、メス型連結部の内部にオス型連結部が挿入される挿入方向に沿って少なくとも2つ設けられるようにしてもよい。
このように構成された本開示のガスセンサ用金属端子では、メス型連結部の内部において、挿入方向に沿ったオス型連結部の移動を規制することができ、メス型連結部の内部におけるオス型連結部の位置の安定性を向上させることができる。
【0016】
本開示の一態様では、先端側連結部は、端子接触部を備えるようにしてもよい。
このように構成された本開示のガスセンサ用金属端子では、先端側端子部材によって電極端子部との接触を保持するために、高温に繰り返し晒されても弾性を保持可能な材料を先端側端子部材に用いる場合が多い。このため、本開示のガスセンサ用金属端子では、先端側連結部が端子接触部を備えることにより、端子接触部も、高温に繰り返し晒されても弾性を保持可能な材料で形成することが可能となる。これにより、本開示のガスセンサ用金属端子は、オス型連結部を押し付けてオス型連結部とメス型連結部とを接触させる機能の低下を抑制することができる。
【0017】
本開示の別の態様は、電極端子部を備えるセンサ素子と、センサ素子の電極端子部に電気的に接続される金属端子と、金属端子に電気的に接続されて、検出信号を外部に出力するための信号経路を形成する信号線とを備えるガスセンサである。
【0018】
そして、本開示のガスセンサでは、金属端子は、電極端子部に接触する先端側端子部材と、信号線と接続する後端側端子部材とを備える。先端側端子部材は、後端側端子部材と連結するための先端側連結部を備える。後端側端子部材は、先端側端子部材と連結するための後端側連結部を備える。
【0019】
先端側連結部は、メス型連結部、または、オス型連結部である。後端側連結部は、先端側連結部がメス型連結部である場合にはオス型連結部であり、先端側連結部がオス型連結部である場合にはメス型連結部である。
【0020】
さらに、メス型連結部には、オス型連結部が挿入される挿入口が形成されている。そして挿入口は、オス型連結部が挿入口を通ってメス型連結部の内部に挿入されるときに、挿入口とオス型連結部とが接触しないようにすることができる形状に形成されている。
【0021】
また、メス型連結部およびオス型連結部の何れか一方は、オス型連結部がメス型連結部の内部に収容された場合に、メス型連結部の内部において、オス型連結部がメス型連結部へ向かうようにオス型連結部を押し付けて、オス型連結部とメス型連結部とを接触させる端子接触部を備える。
【0022】
このように構成された本開示のガスセンサは、本開示の一態様のガスセンサ用金属端子を備えたガスセンサであり、本開示のガスセンサ用金属端子と同様の効果を得ることができる。
【0023】
本開示の別の態様では、オス型連結部とメス型連結部とが、オス型連結部とメス型連結部との接触箇所で溶接されるようにしてもよい。これにより、本開示のガスセンサは、メス型連結部とオス型連結部とを固定するために溶接された溶接箇所で隙間が形成される事態の発生を抑制し、溶接の安定性を向上させることができる。
【0024】
本開示の別の態様では、端子接触部がメス型連結部およびオス型連結部の何れか一方と接触する接触箇所と、メス型連結部とオス型連結部とが溶接された溶接箇所とは、メス型連結部の内部にオス型連結部が挿入される挿入方向に対して垂直な同一の平面上に配置されるようにしてもよい。
【0025】
このように構成された本開示のガスセンサでは、端子接触部は、溶接箇所の付近で、オス型連結部がメス型連結部へ向かうようにオス型連結部を押し付けるため、溶接箇所でのメス型連結部とオス型連結部との接触をより強固にすることができ、溶接の安定性を更に向上させることができる。
【0026】
本開示の別の態様では、端子接触部は、メス型連結部の内部にオス型連結部が挿入される挿入方向に沿って少なくとも2つ設けられているようにしてもよい。そして、本開示の別の態様では、さらに、第1端子接触部がメス型連結部およびオス型連結部の何れか一方と接触する第1接触箇所と、第2端子接触部がメス型連結部およびオス型連結部の何れか一方と接触する第2接触箇所とは、溶接平面を挟んで互いに反対側に配置されるようにしてもよい。第1端子接触部は、少なくとも2つの端子接触部のうち、1つの端子接触部である。第2端子接触部は、少なくとも2つの端子接触部のうち、第1端子接触部以外の1つの端子接触部である。また、溶接平面は、メス型連結部の内部にオス型連結部が挿入される挿入方向に対して垂直であり且つメス型連結部とオス型連結部とが溶接された溶接箇所を通る平面である。
【0027】
このように構成された本開示のガスセンサでは、溶接平面を挟んだ両側に配置された第1端子接触部と第2端子接触部とによりメス型連結部とオス型連結部とが接触した状態が保持されるため、溶接箇所でのメス型連結部とオス型連結部との接触をより強固にすることができ、溶接の安定性を更に向上させることができる。
【0028】
本開示の更に別の態様は、センサ素子と、金属端子と、セパレータと、信号線とを備えるガスセンサの製造方法である。セパレータは、金属端子を取り囲んだ状態で保持する。セパレータは、先端側端子部材を取り囲んだ状態で保持する先端側セパレータと、後端側端子部材を取り囲んだ状態で保持する後端側セパレータとを備える。
【0029】
そして、本開示のガスセンサの製造方法は、先端側挿入工程と、後端側挿入工程と、嵌合工程とを備える。
先端側挿入工程では、先端側端子部材の先端側連結部が先端側セパレータの後端側に位置するようにして、先端側セパレータの内部に先端側端子部材を挿入する。
【0030】
後端側挿入工程では、後端側端子部材の後端側連結部が後端側セパレータの先端側に位置するようにして、後端側セパレータの内部に後端側端子部材を挿入する。
嵌合工程では、先端側セパレータの後端と、後端側セパレータの先端とを嵌め合わせることにより、先端側端子部材の先端側連結部と後端側端子部材の後端側連結部とを連結する。
【0031】
このように構成された本開示のガスセンサの製造方法では、先端側連結部と後端側連結部とを連結するときに先端側端子部材および後端側端子部材の何れか一方を固定して作業を行うための治具が不要となる。これにより、本開示のガスセンサの製造方法は、先端側連結部と後端側連結部とを連結する場合に、上記の治具を取り付けたり、取り外したりする作業を省略することが可能となり、ガスセンサの製造効率を向上させることができる。
【0032】
また、本開示のガスセンサの製造方法では、先端側連結部と後端側連結部とが連結された後に先端側端子部材および後端側端子部材がそれぞれ先端側セパレータおよび後端側セパレータにより保持されている。このため、本開示のガスセンサの製造方法では、先端側連結部と後端側連結部とが連結された後に、先端側連結部と後端側連結部との連結が解除されてしまう事態の発生を抑制し、先端側連結部と後端側連結部との連結の安定性を向上させることができる。
【0033】
本開示の更に別の態様では、セパレータは、先端側セパレータと後端側セパレータとが嵌め合わされると、先端側セパレータと後端側セパレータとが接触する箇所の周辺において、先端側連結部と後端側連結部との連結部分がセパレータの外部に対して露出するようにするための開口部を備えるように形成されるようにしてもよい。そして、本開示の更に別の態様では、嵌合工程が終了した後に、連結部分を溶接する溶接工程を備えるようにしてもよい。
【0034】
このように構成された本開示のガスセンサの製造方法では、セパレータの外部から開口部を介して先端側連結部と後端側連結部との連結部分に熱を加えることができるため、セパレータが金属端子を取り囲んだ状態で保持していても、先端側連結部と後端側連結部との連結部分を溶接することができる。
【0035】
本開示の更に別の態様では、具体的には、連結部分を溶接する前に、セパレータの外部から開口部を撮影して、開口部の位置を検出し、この検出結果に基づいて連結部分の位置を決定する開口部決定工程を備え、溶接工程は、開口部決定工程により決定された位置で溶接を行うようにしてもよい。あるいは、本開示の更に別の態様では、具体的には、連結部分を溶接する前に、セパレータの外部から開口部を撮影して、先端側連結部と後端側連結部との境界を検出し、この検出結果に基づいて連結部分の位置を決定する境界決定工程とを備え、溶接工程は、境界決定工程により決定された位置で溶接を行うようにしてもよい。
【0036】
このように構成された本開示のガスセンサの製造方法は、先端側連結部と後端側連結部との連結部分に精度良く熱を加えて溶接することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】ガスセンサ1の全体構成を示す断面図である。
図2】検出素子5の概略構造を示す斜視図である。
図3】先端側端子部材43と後端側端子部材45の斜視図である。
図4】先端側端子部材43と後端側端子部材45とが連結された状態を正面側で示す斜視図である。
図5】先端側端子部材43と後端側端子部材45とが連結された状態を背面側で示す斜視図である。
図6】連結された状態の先端側端子部材43と後端側端子部材45を軸線方向に対して垂直な方向に破断して示す断面図である。
図7】連結された状態の先端側端子部材43と後端側端子部材45を軸線方向に破断して示す断面図である。
図8】先端側端子部材43と後端側端子部材45とを連結するための工程を示すフローチャートである。
図9】先端側セパレータ13と後端側セパレータ14の断面図である。
図10】先端側セパレータ13と後端側セパレータ14とを接続した状態を示す断面図である。
図11】開口部OP周辺を示す図である。
図12】別の実施形態における連結された状態の先端側端子部材と後端側端子部材を軸線方向に対して垂直な方向に破断して示す断面図である。
図13】別の実施形態における連結された状態の先端側端子部材と後端側端子部材を軸線方向に破断して示す断面図である。
図14】別の実施形態における先端側端子部材43と後端側端子部材45とを連結するための工程を示すフローチャートである。
図15】別の実施形態における開口部OP周辺を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下に本開示の実施形態を図面とともに説明する。
本実施形態のガスセンサ1は、内燃機関の排気管に対して先端部分を排気管内に突出させる形態で装着されて、排気ガス中のNOxを検出するNOxセンサである。
【0039】
ガスセンサ1は、図1に示すように、主体金具3と、検出素子5と、素子プロテクタ9と、外筒11と、絶縁セパレータ12と、閉塞部材15と、複数の金属端子41と、複数のリード線37とを備えている。図1において、ガスセンサ1の下端側を先端側、ガスセンサ1の上端側を後端側、ガスセンサ1の長手方向を軸線方向という。
【0040】
主体金具3は、例えばステンレス等の耐熱金属で筒状に形成された部材である。検出素子5は、軸線方向に延びる長尺の板状に形成されており、主体金具3内に挿入されている。素子プロテクタ9は、主体金具3の先端側に配置されて検出素子5の先端側を覆う。外筒11は、溶接部11aにより主体金具3の後端側に取り付けられるとともに検出素子5の外周を覆う。絶縁セパレータ12は、外筒11の内部に配置されて検出素子5の後端側を収容する。閉塞部材15は、外筒11の後端側を閉塞する。
【0041】
検出素子5は、排気ガスに向けられる先端側に、保護層5aに覆われた検出部19が形成され、図2に示すように、後端側の外表面のうち表裏の位置関係となる第1板面21および第2板面23に、電極端子部31,32,33,34,35,36が形成されている。
【0042】
検出素子5は、図1に示すように、先端側の検出部19が排気管に固定される主体金具3の先端より突出するとともに、後端側の電極端子部31,32,33,34,35,36が主体金具3の後端より突出した状態で、主体金具3の内部に固定される。なお、電極端子部31,32,33,34,35,36は、図1には示されておらず、図2に示されている。
【0043】
電極端子部31,32,33,34,35,36には、それぞれ金属端子41が接続されている。つまり、複数の金属端子41は、絶縁セパレータ12の内部にて、検出素子5と絶縁セパレータ12との間に配置されることで、検出素子5の電極端子部31,32,33,34,35,36にそれぞれ電気的に接続される。金属端子41は、先端側端子部材43と、後端側端子部材45を備える。
【0044】
複数の金属端子41はそれぞれ、外部からガスセンサ1の内部に設置される複数のリード線37に電気的に接続されている。なお、金属端子41の詳細な構成は、後述する。
金属端子41およびリード線37は、リード線37が接続される図示しない外部機器と検出素子5との間に流れる電流の電流経路を形成する。複数のリード線37は、チューブ部材38により束ねられている。なお、図1では、2本のリード線37のみを示している。
【0045】
検出素子5は、図2に示すように、軸線方向に延びる板状の素子部51と、同じく軸線方向に延びる板状のヒータ53とが積層された直方体形状であり、その軸線方向に垂直の断面は矩形状である。図2では、保護層5aを点線で示している。なお、図2では、軸線方向における中間部分を省略して検出素子5を示している。
【0046】
検出素子5は従来公知のものであるため、その内部構造等の詳細な説明は省略するが、その概略構成を以下に説明する。
まず、素子部51は、例えば、固体電解質基板の両側に多孔質電極を形成した酸素ポンプセルと基準セルとNOx検知セルと、中空の酸素測定室とNOx測定室を形成するためのスペーサとを備えている。このうち、固体電解質基板は、例えば、イットリアを安定化剤として固溶させたジルコニアから形成され、多孔質電極は、例えば、Ptを主体に形成される。また、酸素測定室とNOx測定室を形成するスペーサは、アルミナを主体に構成されており、中空の酸素測定室の内側には、酸素ポンプセル及び基準セルの一方の多孔質電極が露出するように配置されている。スペーサは、酸素測定室が少なくとも素子部51の先端側に位置するように形成されるとともに、外部から拡散律速部を介して酸素測定室へ被測定ガスを導入するためのガス用経路を備えている。NOx測定室の内側にはNOx検知素子の一方の多孔質電極が露出するように配置されている。素子部51のうち多孔質電極と酸素測定室とNOx測定室が形成される部分が検出部19に相当する。
【0047】
一方、ヒータ53は、アルミナを主体とする絶縁基板の間に、Ptを主体とする発熱抵抗体パターンが挟み込まれて形成されている。そして、素子部51とヒータ53とは、セラミック層を介して互いに接合される。
【0048】
このような検出素子5では、図2に示すように、第1板面21の後端側(すなわち、図2における右側)に3個の電極端子部31,32,33が形成され、第2板面23の後端側に3個の電極端子部34,35,36が形成されている。電極端子部31,32,33は、素子部51に形成されるものであり、酸素ポンプセルにおける一対の多孔質電極及び基準セルの一方の多孔質電極にそれぞれ電気的に接続されている。電極端子部34,35,36は、ヒータ53に形成されるものであり、ヒータの厚さ方向に横切る図示しないビア導体を介して発熱抵抗体パターンの両端及びNOx検知素子の一方の多孔質電極に各々接続されている。
【0049】
主体金具3は、図1に示すように、その外表面に自身を排気管に固定するためのネジ部3aを備えるとともに、その軸中心に貫通孔3bを有する筒状の部材である。なお、貫通孔3bには、径方向内側に突出する棚部3cが形成されている。主体金具3は、金属材料(例えば、ステンレスなど)で形成されている。
【0050】
主体金具3の貫通孔3bの内部には、検出素子5の径方向周囲を取り囲む状態で配置された環状の絶縁性材料(例えばアルミナなど)を用いて形成されたセラミックホルダ61と、同様な環状の滑石リング63と、同様な環状の絶縁性材料(例えばアルミナなど)を用いて形成されたセラミックスリーブ67とが、この順に先端側から後端側にかけて積層されている。
【0051】
セラミックスリーブ67と主体金具3の後端部3dとの間には、加締パッキン69が配置されている。なお、主体金具3の後端部3dは、加締パッキン69を介してセラミックスリーブ67を先端側に押し付けるように、加締められている。
【0052】
主体金具3の外周のうちネジ部3aの後端側には、環状のガスケット64が配置されている。ガスケット64は、ガスセンサ1とセンサ取付位置との間の隙間からのガス抜けを抑制するものである。
【0053】
素子プロテクタ9は、主体金具3の先端側の外周に、検出素子5の突出部分を覆うように溶接部9dによって取り付けられた筒状の部材である。素子プロテクタ9は、耐熱性材料(例えばSUS310Sなど)を用いて形成されている。素子プロテクタ9は、外部プロテクタ9aおよび内部プロテクタ9bを備える二重構造である。外部プロテクタ9aおよび内部プロテクタ9bは、それぞれ、側壁または先端において、ガスの通過が可能な複数の孔部9cが形成されている。
【0054】
絶縁セパレータ12は、先端側セパレータ13と、後端側セパレータ14とに分割可能に構成されている。
先端側セパレータ13は、絶縁性材料(例えばアルミナなど)を用いて形成された筒状の部材であり、外筒11の内部に配置された筒状の保持金具73によって、外筒11の内部に保持されている。先端側セパレータ13の内部には、軸線方向に貫通する端子配置孔13bが形成されている。端子配置孔13bには、検出素子5の後端部(すなわち、電極端子部31,32,33,34,35,36)が収容されるとともに、電極端子部31,32,33,34,35,36に電気的に接続される複数の金属端子41の先端部(すなわち、先端側端子部材43)が収容されている。先端側セパレータ13は、その外表面に外向きに突出する環状の鍔部13cが設けられている。先端側セパレータ13は、鍔部13cが保持金具73に接触することで、外筒11の内部における軸線方向の設置位置が規定される。
【0055】
後端側セパレータ14は、絶縁性材料(例えばアルミナなど)を用いて形成された筒状の部材であり、外筒11の内部のうち閉塞部材15の先端側に配置されている。後端側セパレータ14の内部には、軸線方向に貫通する端子配置孔が複数箇所に形成されている。後端側セパレータ14は、複数の端子配置孔のそれぞれに金属端子41の後端部(すなわち、後端側端子部材45)を収容している。
【0056】
閉塞部材15は、可撓性材料(例えばフッ素樹脂)を用いて形成されたグロメットである。閉塞部材15は、外筒11の後端側開口部に配置されて、外筒11が外側から内側向きに加締められることで、外筒11に固定されている。閉塞部材15は、複数のリード線37を挿入するための図示しない複数の貫通孔を備えている。
【0057】
複数のリード線37は、それぞれ異なる金属端子41の後端側に、加締めによって接続されるとともに、閉塞部材15を貫いて形成された貫通孔に挿入されて外部に延びている。
【0058】
次に、金属端子41について説明する。
上述したように、金属端子41は、先端側端子部材43と、後端側端子部材45とを備える。
【0059】
先端側端子部材43は、高温に繰り返し晒されても弾性を保持可能な金属材料で構成されており、例えば、Niを主体とする合金材料(例えば、NCF718など)を用いて構成されている。先端側端子部材43は、図3に示すように、長尺薄板状の金属材料を折曲加工して形成されており、本体部101と、メス型連結部102と、延設部103と、折曲部104と、素子接触部105とを備える。
【0060】
本体部101は、軸線方向に延びる長尺板状に形成されている。
メス型連結部102は、2つの収容部111と、2つの端子接触部113とを備える。
2つの収容部111はそれぞれ、本体部101の後端側において、本体部101の両端部から本体部101における短手方向(すなわち、軸線方向に垂直な方向)に沿って延びて設けられており、2つの収容部111と本体部101とにより、後述のオス型連結部132を包囲できる形状に形成される。これにより、メス型連結部102の後端側の端部において、後端側端子部材45を挿入するための挿入口102aが形成される。図3における矢印Diは、後端側端子部材45をメス型連結部102の挿入口102aへ挿入するときの挿入方向を示す。
【0061】
なお、メス型連結部102には、本体部101と対向する箇所に切欠部115が形成されている。これにより、2つの収容部111と本体部101とによりオス型連結部132を包囲する部分は、軸線方向に垂直な断面形状が、一ヶ所で切れ目を有する円となるように形成されている。
【0062】
2つの端子接触部113は、2つの収容部111のそれぞれに対応して設けられている。端子接触部113は、収容部111における切欠部115の付近で収容部111から軸線方向先端側に向けて延びて設けられており、先端側へ向かうにつれて径が小さくなるように、収容部111との連結部分で内側へ折り曲げられている。
【0063】
延設部103は、本体部101における短手方向に沿った両端部から延びて設けられており、延びる方向は本体部101の板面に対して略垂直な方向である。先端側端子部材43は、延設部103を備えることにより、先端側端子部材43の強度が向上する。
【0064】
折曲部104は、本体部101の先端側において、本体部101の板面に対して垂直な方向に折り曲げられて形成されており、本体部101と素子接触部105とを繋ぐ連結部分である。
【0065】
素子接触部105は、折曲部104を介して本体部101に連結されており、折曲部104の弾性変形により、本体部101との隙間寸法が変更可能に形成されている。
このように構成された先端側端子部材43は、素子接触部105が検出素子5の電極端子部31,32,33,34,35,36と接触するにあたり、折曲部104の弾性変形により素子接触部105と検出素子5との接触状態を維持することができる。
【0066】
後端側端子部材45は、例えば、ステンレス合金(例えば、SUS304)を用いて構成されている。後端側端子部材45は、長尺薄板状の金属材料を折曲加工して形成されており、信号線接続部131と、オス型連結部132とを備える。
【0067】
信号線接続部131は、曲げ加工により変形することで、リード線37の芯線37aを包囲可能な筒型形状となるように構成されている。なお、リード線37の芯線37aは、図3には示されておらず、図1に示されている。信号線接続部131は、リード線37の芯線37aを包囲した状態で径方向内向きに加締め加工されることで、リード線37の芯線37aと接続される。
【0068】
オス型連結部132は、信号線接続部131の先端側において、筒型形状に形成されるとともに、軸線方向に対して垂直な断面が円形となるように形成されている。オス型連結部132の外径寸法は、メス型連結部102の挿入口102aの内径よりも小さくなるように設定されている。またオス型連結部132は、先端側に縮径部133を備えている。縮径部133は、先端側に向かうに従い縮径する形状に形成されている。
【0069】
このように構成された後端側端子部材45は、信号線接続部131がリード線37の芯線37aに電気的に接続されることで、リード線37を介して外部機器と電気的に接続される。
【0070】
図4および図5に示すように、メス型連結部102の内部にオス型連結部132が挿入されることにより、先端側端子部材43と後端側端子部材45とが連結される。
メス型連結部102の内部にオス型連結部132が挿入されると、図6および図7に示すように、メス型連結部102の端子接触部113における先端側の端部が、オス型連結部132の外周面に接触し、オス型連結部132を内側に向けて押さえ付ける。上述のように、端子接触部113は、本体部101と対向する切欠部115の付近に配置されている。このため、端子接触部113がオス型連結部132を内側に向けて押さえ付けることにより、オス型連結部132の外周面が本体部101の内周面と接触した状態で、メス型連結部102とオス型連結部132とが連結される。そして、図7に示すように、オス型連結部132と本体部101とが接触している領域の一部を溶接して溶接部150を形成することにより、後端側端子部材45が先端側端子部材43に取り付けられる。なお、本実施形態では、溶接部150と、端子接触部113における先端側の端部(すなわち、端子接触部113とオス型連結部132との接触箇所)とが、軸線方向に対して垂直な同一平面PL上に位置するように、溶接部150の位置が設定されている。
【0071】
次に、ガスセンサ1の製造工程のうち、先端側端子部材43と後端側端子部材45とを連結するための工程を説明する。
図8に示すように、まずS10にて、先端側挿入工程を行う。先端側挿入工程では、図9に示すように、先端側セパレータ13の後端面13dに形成されている4つの開口部のそれぞれに4つの先端側端子部材43を挿入する。これにより、先端側端子部材43は、先端側端子部材43のメス型連結部102が先端側セパレータ13の後端面13dから突出するとともに、素子接触部105が端子配置孔13b内に収容されるようにして先端側セパレータ13に保持される。なお、先端側セパレータ13の後端面13dには、後端側セパレータ14に嵌め合わせるための凹部13eが形成されている。
【0072】
そして、S10の先端側挿入工程が終了すると、図8に示すように、S20にて、後端側挿入工程を行う。後端側挿入工程では、図9に示すように、まず、後端側セパレータ14の後端面14bに形成されている6つの開口部のそれぞれに6本のリード線37を挿入し、後端側セパレータ14の先端面14aに形成されている6つの開口部からリード線37を引出し、後端側セパレータ14の先端側でリード線37を後端側端子部材45の信号線接続部131に接続する。そして、後端側セパレータ14の後端面14bに形成されている4つの開口部からそれぞれ4本のリード線37を引き出す。これにより、後端側端子部材45は、オス型連結部132が後端側セパレータ14の先端面14aから突出するようにして後端側セパレータ14に保持される。なお、後端側セパレータ14の先端面14aには、先端側セパレータ13に嵌め合わせるための凸部14cが形成されている。なお、図9に示すように、リード線37には後端側セパレータ14に挿入する前にチューブ部材38により束ねられている。
【0073】
そして、S20の後端側挿入工程が終了すると、図8に示すように、S30にて、嵌合工程を行う。嵌合工程では、図10に示すように、先端側セパレータ13の凹部13eに後端側セパレータ14の凸部14cを嵌め合わせる。これにより、先端側端子部材43のメス型連結部102と後端側端子部材45のオス型連結部132とが連結した状態で、先端側セパレータ13と後端側セパレータ14とが接続される。そして、先端側セパレータ13と後端側セパレータ14とが接続されることにより、先端側セパレータ13と後端側セパレータ14との間に開口部OPが形成される。
【0074】
そして、S30の嵌合工程が終了すると、図8に示すように、S40にて、開口部決定工程を行う。開口部決定工程では、まず、先端側セパレータ13および後端側セパレータ14の外側から図示しないカメラで開口部OPを撮影する。図11に示すように、先端側セパレータ13と後端側セパレータ14との間に形成される開口部OPを介して、メス型連結部102が露出している。
【0075】
カメラで撮影された画像データは、図示しないレーザ溶接装置の制御部に入力される。制御部は、レーザ溶接装置での各種制御処理を実行するものであり、CPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート及びこれらの構成を接続するバスラインなどからなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されている。
【0076】
制御部は、周知の画像認識処理を行うことにより、入力された画像データから開口部OPを抽出する。そして制御部は、抽出した開口部OPに基づいて、カメラが撮影する撮影領域における開口部OPの位置を検出する。そして、検出した開口部OPの位置に基づいて、開口部OPを介して露出している溶接点Pwを決定する。例えば、図11に示すように、開口部OPの矩形を構成する4辺のうち、右辺Lrの中点Pc1及び下辺Ldの中点Pc2を求める。次にPc1を通り下辺Ldに平行な仮想線と、Pc2を通り右辺Lrに平行な仮想線との交点Piを求め、この交点Piと、交点Piから左へ予め設定された距離L1離れている位置と、交点Piから右へ距離L2離れている位置とを、溶接点Pwの位置として決定する。
【0077】
そして、S40の開口部決定工程が終了すると、図8に示すように、S50にて、溶接工程を行う。溶接工程では、レーザ溶接装置の制御部が、S40で決定された位置に向けてレーザが照射されるように、レーザ照射部によるレーザ照射位置を設定した後に、レーザ照射部からレーザを照射させる。これにより、溶接点Pwで溶接され、後端側端子部材45が先端側端子部材43に取り付けられる。
【0078】
S50の溶接工程が終了すると、先端側端子部材43と後端側端子部材45とを連結するための工程が終了する。
このように構成された金属端子41は、電極端子部33,36を有する検出素子5と、リード線37とを備えたガスセンサ1に用いられる。電極端子部33,36は、排気ガス中のNOxの検出結果を示す検出信号を外部へ出力する。リード線37は、検出信号を外部に出力するための信号経路を形成する。また金属端子41は、電極端子部33,36からリード線37へ検出信号を伝達するために電極端子部33,36およびリード線37と電気的に接続される。
【0079】
そして金属端子41は、電極端子部33,36に接触する先端側端子部材43と、リード線37と接続する後端側端子部材45とを備える。先端側端子部材43は、後端側端子部材45と連結するためのメス型連結部102を備える。後端側端子部材45は、先端側端子部材43と連結するためのオス型連結部132を備える。
【0080】
さらにメス型連結部102には、メス型連結部102の内部にオス型連結部132が挿入される挿入口102aが形成されている。ここで、オス型連結部132の外径寸法は、メス型連結部102の挿入口102aの内径よりも小さくなるように設定されている。従って、挿入口102aは、オス型連結部132が挿入口102aを通ってメス型連結部102の内部に挿入されるときに、挿入口102aとオス型連結部132とが接触しないようにすることができる形状に形成されている。なお、挿入口102aとオス型連結部132とが接触しないようにすることができるとは、オス型連結部132をメス型連結部102の挿入口102aに挿入した際に、少なくとも一部が離間することを意味する。本実施形態のようにオス型連結部132の外径寸法がメス型連結部102の挿入口102aの内径よりも小さくなるようにしてもよいし、オス型連結部132の断面積がメス型連結部102の挿入口102aの断面積よりも小さければ良い。
【0081】
またメス型連結部102は、オス型連結部132がメス型連結部102の内部に収容された場合に、メス型連結部102の内部において、オス型連結部132がメス型連結部102へ向かうようにオス型連結部132を押し付けて、オス型連結部132とメス型連結部102とを接触させる端子接触部113を備える。
【0082】
このように金属端子41では、メス型連結部102の挿入口102aが、オス型連結部132の挿入時にオス型連結部132に接触しないようにすることができる形状に形成されている。このため、金属端子41は、メス型連結部102の内部へオス型連結部132が挿入されるときに、メス型連結部102とオス型連結部132とが接触して挿入作業が阻害されてしまうという事態の発生を抑制することができ、メス型連結部102とオス型連結部132とを連結する作業の効率を向上させることができる。
【0083】
さらに金属端子41では、端子接触部113が、メス型連結部102の内部において、オス型連結部132がメス型連結部102へ向かうようにオス型連結部132を押し付けて、オス型連結部132とメス型連結部102とを接触させる。これにより、金属端子41は、メス型連結部102の内部へオス型連結部132が挿入された後に、オス型連結部132とメス型連結部102とが接触した状態を保持することができる。このため、オス型連結部132とメス型連結部102とが接触した箇所で溶接を行うようにすることができる。これにより、金属端子41は、メス型連結部102とオス型連結部132とを固定するために溶接された溶接部150で隙間が形成される事態の発生を抑制し、溶接の安定性を向上させることができる。
【0084】
また端子接触部113は、メス型連結部102の内部にオス型連結部132が挿入される挿入方向Diに対して垂直な方向に沿って2つ設けられている。これにより、金属端子41は、メス型連結部102の内部において、挿入方向Diに対して垂直な方向に沿ったオス型連結部132の移動を規制することができ、メス型連結部102の内部におけるオス型連結部132の位置の安定性を向上させることができる。
【0085】
またメス型連結部102は、端子接触部113を備える。金属端子41では、先端側端子部材43によって電極端子部33,36との接触を保持するために、高温に繰り返し晒されても弾性を保持可能な材料を先端側端子部材43に用いる。このため、金属端子41では、メス型連結部102が端子接触部113を備えることにより、端子接触部113も、高温に繰り返し晒されても弾性を保持可能な材料で形成することが可能となる。これにより、金属端子41は、オス型連結部132を押し付けてオス型連結部132とメス型連結部102とを接触させる機能の低下を抑制することができる。
【0086】
また、端子接触部113がオス型連結部132と接触する接触箇所と、メス型連結部102とオス型連結部132とが溶接された溶接部150とは、挿入方向Diに対して垂直な同一の平面PL上に配置される。これにより、端子接触部113は、溶接部150の付近で、オス型連結部132がメス型連結部102へ向かうようにオス型連結部132を押し付けるため、溶接部150でのメス型連結部102とオス型連結部132との接触をより強固にすることができ、溶接の安定性を更に向上させることができる。
【0087】
また、ガスセンサ1の製造方法は、先端側挿入工程と、後端側挿入工程と、嵌合工程とを備える。なお、絶縁セパレータ12は、金属端子41を取り囲んだ状態で保持する。絶縁セパレータ12は、先端側端子部材43を取り囲んだ状態で保持する先端側セパレータ13と、後端側端子部材45を取り囲んだ状態で保持する後端側セパレータ14とを備える。
【0088】
先端側挿入工程では、先端側端子部材43のメス型連結部102が先端側セパレータ13の後端側に位置するようにして、先端側セパレータ13の内部に先端側端子部材43を挿入する。
【0089】
後端側挿入工程では、後端側端子部材45のオス型連結部132が後端側セパレータ14の先端側に位置するようにして、後端側セパレータ14の内部に後端側端子部材45を挿入する。
【0090】
嵌合工程では、先端側セパレータ13の後端と、後端側セパレータ14の先端とを嵌め合わせることにより、先端側端子部材43のメス型連結部102と後端側端子部材45のオス型連結部132とを連結する。
【0091】
このようにガスセンサ1の製造方法では、メス型連結部102とオス型連結部132とを連結するときに先端側端子部材43および後端側端子部材45の何れか一方を固定して作業を行うための治具が不要となる。これにより、ガスセンサ1の製造方法は、メス型連結部102とオス型連結部132とを連結する場合に、上記の治具を取り付けたり、取り外したりする作業を省略することが可能となり、ガスセンサ1の製造効率を向上させることができる。
【0092】
また、ガスセンサ1の製造方法では、メス型連結部102とオス型連結部132とが連結された後に先端側端子部材43および後端側端子部材45がそれぞれ先端側セパレータ13および後端側セパレータ14により保持されている。このため、ガスセンサ1の製造方法では、メス型連結部102とオス型連結部132とが連結された後に、メス型連結部102とオス型連結部132との連結が解除されてしまう事態の発生を抑制し、メス型連結部102とオス型連結部132との連結の安定性を向上させることができる。
【0093】
絶縁セパレータ12は、先端側セパレータ13と後端側セパレータ14とが嵌め合わされると、先端側セパレータ13と後端側セパレータ14とが接触する箇所の周辺において、メス型連結部102とオス型連結部132との連結部分が絶縁セパレータ12の外部に対して露出するようにするための開口部OPを備えるように形成される。そして、ガスセンサ1の製造方法では、嵌合工程が終了した後に、メス型連結部102とオス型連結部132との連結部分を溶接する溶接工程を備える。
【0094】
このようにガスセンサ1の製造方法では、絶縁セパレータ12の外部から開口部OPを介してメス型連結部102とオス型連結部132との連結部分に熱を加えることができるため、絶縁セパレータ12が金属端子41を取り囲んだ状態で保持していても、メス型連結部102とオス型連結部132との連結部分を溶接することができる。
【0095】
ガスセンサ1の製造方法では、具体的には、連結部分を溶接する前に、絶縁セパレータ12の外部から開口部OPを撮影して、開口部OPの位置を検出し、この検出結果に基づいて連結部分の位置を決定する開口部決定工程を備える。そして、ガスセンサ1の製造方法では、溶接工程は、開口部決定工程により決定された位置で溶接を行う。これにより、ガスセンサ1の製造方法は、メス型連結部102とオス型連結部132との連結部分に精度良く熱を加えて溶接することができる。
【0096】
なお、金属端子41はガスセンサ用金属端子に相当し、排気ガス中の酸素は検出対象ガスに相当し、電極端子部33,36は電極端子部に相当し、検出素子5はセンサ素子に相当し、リード線37は信号線に相当する。
【0097】
また、メス型連結部102は先端側連結部に相当し、オス型連結部132は後端側連結部に相当し、溶接部150は溶接箇所に相当し、平面PLは平面に相当する。
また、絶縁セパレータ12はセパレータに相当する。
【0098】
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、種々変形して実施することができる。
例えば上記実施形態では、先端側端子部材43がメス型連結部102を備え、後端側端子部材45がオス型連結部132を備えるものを示した。しかし、先端側端子部材43がオス型連結部を備え、後端側端子部材45がメス型連結部を備えるようにしてもよい。
【0099】
また上記実施形態では、メス型連結部102が端子接触部113を備えるものを示した。しかし、オス型連結部132が端子接触部を備えるようにしてもよい。
また上記実施形態では、メス型連結部102の挿入口102aが円形状であるものを示した。しかし、挿入口の形状は円形状に限定されるものではなく、オス型連結部を収容することができる形状であればよい。例えば、図12に示すように、メス型連結部の挿入口が矩形状であってもよいし、三角形状であってもよいし、五角以上の多角形状であってもよい。図12は、挿入口202aが矩形状のメス型連結部202の内部に、断面が矩形状のオス型連結部232が挿入されており、メス型連結部202が備える端子接触部213によりオス型連結部232が押さえ付けられている状態を示している。
【0100】
また上記実施形態では、挿入方向Diに対して垂直な方向に沿って2つの端子接触部113が設けられているものを示した。しかし、図13に示すように、挿入方向Diに沿って少なくとも2つ以上の端子接触部が設けられているようにしてもよい。図13は、端子接触部113の代わりに、挿入方向Diに沿って配置された端子接触部118,119を備えたメス型連結部102の内部にオス型連結部132が挿入された状態を示している。これにより、メス型連結部102の内部において、挿入方向Diに沿ったオス型連結部132の移動を規制することができ、メス型連結部102の内部におけるオス型連結部132の位置の安定性を向上させることができる。
【0101】
また上記実施形態では、端子接触部113がオス型連結部132と接触する接触箇所と、溶接部150とは、挿入方向Diに対して垂直な同一の平面PL上に配置されるものを示した。しかし、図13に示すように、端子接触部118がオス型連結部132と接触する第1接触箇所と、端子接触部119がオス型連結部132と接触する第2接触箇所とは、平面PLを挟んで互いに反対側に配置されるようにしてもよい。これにより、平面PLを挟んだ両側に配置された端子接触部118,119によりメス型連結部102とオス型連結部132とが接触した状態が保持されるため、溶接部150でのメス型連結部102とオス型連結部132との接触をより強固にすることができ、溶接の安定性を更に向上させることができる。なお、端子接触部118は第1端子接触部に相当し、端子接触部119は第2端子接触部に相当し、平面PLは溶接平面に相当する。
【0102】
また上記実施形態では、S40にて開口部決定工程を行うものを示した。しかし、図14に示すように、S40の開口部決定工程の代わりに、境界決定工程を行うようにしてもよい。すなわち、S30の嵌合工程が終了すると、S45にて、境界決定工程を行う。そして、S45の境界決定工程が終了すると、S50にて溶接工程を行う。
【0103】
なお、S45の境界決定工程を行う場合には、図15に示すように、開口部OPを介して、メス型連結部102とオス型連結部132との境界線Lbが露出している必要がある。
【0104】
境界決定工程では、まず、図示しないカメラで開口部OPを撮影する。カメラで撮影された画像データは、図示しないレーザ溶接装置の制御部に入力される。制御部は、周知の画像認識処理を行うことにより、入力された画像データから境界線Lbを抽出する。そして制御部は、抽出した境界線Lbに基づいて、カメラが撮影する撮影領域における境界線Lbの位置を検出する。そして、検出した境界線Lbの位置に基づいて、開口部OPを介して露出している溶接点Pwを決定する。例えば、図15に示すように、境界線Lbの中点Pc2から、上へ予め設定された距離L4離れている位置を溶接点Pwの位置として決定する。
【0105】
このようにガスセンサ1の製造方法では、具体的には、連結部分を溶接する前に、絶縁セパレータ12の外部から開口部OPを撮影して、メス型連結部102とオス型連結部132との境界線Lbを検出し、この検出結果に基づいて連結部分の位置を決定する境界決定工程を備える。そして、ガスセンサ1の製造方法では、溶接工程は、境界決定工程により決定された位置で溶接を行う。これにより、ガスセンサ1の製造方法は、メス型連結部102とオス型連結部132との連結部分に精度良く熱を加えて溶接することができる。
【0106】
上記各実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素に分担させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に発揮させたりしてもよい。また、上記各実施形態の構成の一部を、省略してもよい。また、上記各実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0107】
1…ガスセンサ、5…検出素子、12…絶縁セパレータ、13…先端側セパレータ、14…後端側セパレータ、33,36…電極端子部、37…リード線、41…金属端子、43…先端側端子部材、45…後端側端子部材、102…メス型連結部、113…端子接触部、132…オス型連結部
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