特許第6875231号(P6875231)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6875231
(24)【登録日】2021年4月26日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/04 20120101AFI20210510BHJP
【FI】
   G06Q10/04
【請求項の数】7
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-171462(P2017-171462)
(22)【出願日】2017年9月6日
(65)【公開番号】特開2019-46376(P2019-46376A)
(43)【公開日】2019年3月22日
【審査請求日】2020年2月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121980
【弁理士】
【氏名又は名称】沖山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100128107
【弁理士】
【氏名又は名称】深石 賢治
(72)【発明者】
【氏名】青柳 禎矩
(72)【発明者】
【氏名】山口 高康
(72)【発明者】
【氏名】岡島 一郎
【審査官】 小池 堂夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−314892(JP,A)
【文献】 特開2011−095995(JP,A)
【文献】 Lei Dong 他,Measuring Economic Activities of China with Mobile Big Data[online],arXiv,2016年 8月 2日,[2020年12月9日検索]<URL:https://arxiv.org/pdf/1607.04451v4.pdf>,URL,https://arxiv.org/pdf/1607.04451v4.pdf
【文献】 Jameson L. 他,Tracking employment shocks using mobile phone data,Journal of the Royal Society Interface,英国,Royal Society,2015年 6月 6日,Volume 12,Issue 107
【文献】 相原 健郎,ビッグデータを用いた観光動態把握とその活用:動体データで訪日外客の動きをとらえる,情報管理,日本,国立研究開発法人 科学技術振興機構,2017年 2月 1日,第59巻第11号,p.743-754
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末の位置情報に基づいて設定された予測モデルを記憶するモデル記憶部と、
一または複数の端末の位置情報を取得する取得部と、
前記モデル記憶部に記憶された予測モデルを、前記取得部により取得された位置情報を適用して、指定された経済指標を予測する予測部と、
を備え、
前記取得部は、予め定められた端末として法人契約に従って設定された端末に対しては、当該法人の業種別に、位置情報を取得し、
前記予測部は、業種別に取得された位置情報に基づいて、前記指定された経済指標を予測する、
情報処理装置。
【請求項2】
各地域と当該各地域の地域種別とを対応付けて記憶する地域情報記憶部と、
オペレータの操作に基づいて指定された地域種別に対応する各地域を、前記地域情報記憶部から選択する地域選択部をさらに備え、
前記予測部は、前記取得部により取得された位置情報のうち、前記選択された各地域における位置情報を用いて前記指定された経済指標を予測する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
端末の位置情報に基づいて設定された予測モデルを記憶するモデル記憶部と、
一または複数の端末の位置情報を取得する取得部と、
前記モデル記憶部に記憶された予測モデルを、前記取得部により取得された位置情報を適用して、指定された経済指標を予測する予測部と、
前記一または複数の端末の位置情報に対する意味を示した意味情報を、前記取得部により取得された前記端末の位置情報に付与する付与部と、
を備え、
前記予測部は、前記意味情報が一致する端末の位置情報に基づいて、前記指定された経済指標の予測を行う、
情報処理装置。
【請求項4】
前記取得部により取得された位置情報および時間情報を、移動履歴情報として記憶する位置情報記憶部をさらに備え、
前記付与部は、前記位置情報記憶部に記憶される移動履歴情報に基づいて、前記端末の位置情報に対する意味情報を判断し、付与する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記意味情報として移動目的を示す情報が前記位置情報に付与されている場合、当該移動目的が一致する位置情報に基づいて、一の地域および当該一の地域の地域種別を判断する地域種別判断部と、
前記地域種別判断部により判断された一の地域と当該一の地域の地域種別とを対応付けて記憶する地域情報記憶部と、
指定された地域種別に対応する各地域を、前記地域情報記憶部から選択する地域選択部をさらに備え、
前記予測部は、前記取得部により取得された位置情報の一部または全部のうち、前記選択された各地域における位置情報を用いて前記指定された経済指標を予測する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記意味情報として移動手段を示す情報が前記位置情報に付与されている場合、当該移動手段が一致する位置情報に基づいて、前記移動手段の終着点となる一の地域の地域種別を、重要地域であると判断する地域種別判断部と、
前記地域種別判断部により判断された一の地域と当該一の地域の地域種別とを対応付けて記憶する地域情報記憶部と、
指定された地域種別に対応する各地域を、前記地域情報記憶部から選択する地域選択部をさらに備え、
前記予測部は、前記取得部により取得された位置情報の一部または全部のうち、前記選択された各地域における位置情報を用いて前記指定された経済指標を予測する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記付与部は、前記位置情報記憶部に記憶された位置情報に基づいて各ユーザの特徴を判断し、当該各ユーザの特徴を意味情報として付与し、
各ユーザの端末の位置情報に付与されている意味情報が一致する位置情報に基づいて、当該各ユーザの端末が所定条件を満たして位置している地域の地域種別を、特定の特徴を示す地域であると判断する地域種別判断部と、
前記地域種別判断部により判断された一の地域と当該一の地域の地域種別とを対応付けて記憶する地域情報記憶部と、
指定された地域種別に対応する各地域を、前記地域情報記憶部から選択する地域選択部をさらに備え、
前記予測部は、前記取得部により取得された位置情報の一部または全部のうち、前記選択された各地域における位置情報を用いて前記指定された経済指標を予測する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置情報を利用する情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、ニュース情報から株価変動の知見情報を学習し、新しいニュースに知見情報が含まれている場合、その知見情報を元に特定銘柄の株価を予測する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−15700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、公表されたニュース情報に基づいて株価予測などの経済指標を予測するものであることから、そのニュース情報が公表される前には株価予測などの経済指標を予測することはできない。
【0005】
そこで、本発明は、ニュース情報等の公表に有無にかかわらず経済指標を適切に予測することができる情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するために、本発明の情報処理装置は、端末の位置情報に基づいて設定された予測モデルを記憶するモデル記憶部と、一または複数の端末の位置情報を取得する取得部と、前記モデル記憶部に記憶された予測モデルを、前記取得部により取得された位置情報を適用して、指定された経済指標を予測する予測部と、備え、前記取得部は、予め定められた端末として法人契約に従って設定された端末に対しては、当該法人の業種別に、位置情報を取得し、前記予測部は、業種別に取得された位置情報に基づいて、前記指定された経済指標を予測する。
【0007】
この発明によれば、端末の位置情報など人の流れに基づいて経済指標の予測を行うことができる。したがって、ニュース、SNSなどの公表される情報の有無によらず、迅速な予測を行うことができる。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、端末の位置情報に基づいて経済指標の予測を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態の情報処理装置100を含んだ通信システムのシステム構成を示す図である。
図2】第1の実施形態の情報処理装置100の機能構成を示すブロック図である。
図3】位置情報記憶部102に記憶されている移動履歴情報を示す図である。
図4】地域情報記憶部110が記憶する情報の具体例を示す。
図5】情報処理装置100の予測モデル学習処理を示すフローチャートである。
図6】情報処理装置100による予測処理を示すフローチャ−トである。
図7】情報処理装置100における地域種別推定処理を示すフローチャートである。
図8】第2の実施形態における情報処理装置100aの機能構成を示すブロック図である。
図9】本実施形態に係る情報処理装置100(情報処理装置100aを含む)のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0011】
図1は、第1の実施形態の情報処理装置100を含んだ通信システムのシステム構成を示す図である。図1に示されるとおり、通信システムは、情報処理装置100,位置情報サーバ200,携帯端末300を含んで構成されている。
【0012】
情報処理装置100は、位置情報サーバ200または携帯端末300から、各携帯端末300の位置情報を取得し、移動履歴情報として記憶する。そして、情報処理装置100は、各地域に設定された地域種別への携帯端末300の滞在状態に基づいて、その地域種別に従って指定された経済指標を予測する。
【0013】
位置情報サーバ200は、各通信事業者が管理している携帯端末300の位置情報を管理するサーバである。本実施形態においては、情報処理装置100は、位置情報サーバ200が管理している位置情報を用いてもよいし、携帯端末300がGPS等により測位した位置情報を取得して用いてもよい。携帯端末300は、例えば、携帯電話であり、通信事業者によって位置管理がなされているものである。
【0014】
つぎに、本実施形態の情報処理装置100の機能構成について説明する。図2は、第1の実施形態の情報処理装置100の機能構成を示すブロック図である。この情報処理装置100は、入力部101(取得部)、位置情報記憶部102、位置情報集計部103(取得部)、学習部104,予測モデル記憶部105、予測部106、地域選択部107、出力部108、地域種別推定部109(地域種別判断部)、および地域情報記憶部110を含んで構成されている。
【0015】
入力部101は、位置情報サーバ200または各携帯端末300から位置情報およびその位置に滞在している時間情報(時刻)を入力する部分である。
【0016】
位置情報記憶部102は、入力部101により入力された各携帯端末300ごとに位置情報および時間情報を記憶する。なお、携帯端末のユーザを特定できないように、ユーザを特定するためのID情報等を除去または改変するなどの秘匿化処理がされている。
【0017】
図3は、位置情報記憶部102に記憶されている移動履歴情報を示す図である。図3に示されるとおり、端末ID、日時、緯度、経度が対応付けて記憶されている。なお、緯度、経度に変えてエリアIDなど、概略的な位置情報としてもよい。また、当然に端末IDに変えて、他の識別情報としてもよい。
【0018】
位置情報集計部103は、位置情報記憶部102に記憶されている位置情報および時間情報に基づいて、指定された時間帯における指定された地域の端末数を集計する部分である。
【0019】
位置情報集計部103の集計タイミングおよびその集計単位は、例えば以下の通りである。
【0020】
・位置情報を時間毎、地域毎に集計する。時間は1時間毎、1日毎など任意の単位でよい。地域はメッシュ単位、行政界単位など任意である。
【0021】
・国勢調査、住民基本台帳などを用いて人口に割戻ししてもよい。
【0022】
集計にあたり、各位置情報に重みづけをしてもよい。例えば、ユーザ毎の位置情報の頻度に応じて、ユーザ毎の位置情報の重みを変えてもよい。例えば、属性別(年齢層・性別など)のユーザ数に応じて、属性毎の位置情報の重みを変えてもよい。
【0023】
学習部104は、予測モデルを生成するための部分である。学習部104は、初期状態においては、位置情報集計部103により所定期間で集計された各地域の端末数および各経済指標を、説明変数および目的変数として、予め設定されたモデル式に適用することで、経済指標ごとの予測モデルを生成する。例えば、以下の係数を、例えば最小二乗法を用いて算出することにより、各経済指標に対応する予測モデルを生成する。
【0024】
経済指標=a+a・x+a・x+a・x+…a・x
(x:変数、a〜a:係数、a:定数項(補正値))
また、xは地域ごとの位置情報の数(端末数)が入力される変数である。xで指定される地域は、日本全国の各地域としてもよいし、首都圏など広範囲の地域を対象にその各地域のみとしてもよい。なお、経済指標を予測するのに適切な地域種別がある。したがって、経済指標に応じて定められた地域種別に対応する地域の位置情報数を用いることが好ましい。また、地域種別に対応しない地域の係数aを0とするようにしてもよい。
【0025】
さらに、位置情報の集計時間帯ごとに変数xおよび係数aを含んだモデル式を用いてもよい。例えば、以下のものが考えられる。
【0026】
経済指標=a+a101・x101+a102・x102+a103・x103+…a124・x124+・・・n24・xn24
101は、地域:1における時間帯が0時〜1時の間の係数、x101は、地域:1における時間帯が0時〜1時の間の位置情報数である。時間帯は、例示であり、1時間の単位以外も当然にあり得る。
【0027】
さらに、経済指標を予測するのに適切な時間帯がある。したがって、学習対象となる経済指標に基づいて位置情報集計部103は、集計する時間帯を決定してもよい。
【0028】
なお、経済指標としては、金利に関する指標、景気に関する指標(GDP、景況感調査、消費動向)、雇用に関する指標(雇用統計)、物価に関する指標(物価上昇率)、貿易に関する指標(貿易赤字)などがある。具体的には、日経平均株価、製造業景気指数、消費者物価指数、景気動向指数など、がある。そのほか各地域における小売業の売上高、住宅販売戸数などもあり得る。また、景気ウオッチャー調査に基づくDI(Diffusion Index)も考えられる。
【0029】
学習部104は、所定期間ごとに予測モデルを学習して、適宜係数を更新し、最適な予測モデルを生成する。
【0030】
予測モデル記憶部105は、学習部104により生成された経済指標ごとに生成した予測モデルを記憶する。
【0031】
予測部106は、位置情報集計部103が直近で、または所定期間で集計した各携帯端末300の位置情報の数を、予測モデル記憶部105に記憶されている各指標ごとに用意されている予測モデルに適用することで、オペレータにより指定された、または事前に定められた経済指標を予測することができる。
【0032】
予測部106は、オペレータにより指定された経済指標に基づいて予測モデルを選択してもよいし、後述する地域選択部107により選択された地域種別に基づいて経済指標を指定し、その経済指標に基づいた予測モデルを選択してもよい。予測対象は、日本全体の経済指標のほか、一地域における指標、例えば、小売業の売上高、消費額、住宅戸数、住宅価格などでもよい。
【0033】
地域選択部107は、予測部106による予測処理を行う際に、オペレータにより指定された地域種別に対応する一または複数の地域を、地域情報記憶部110に記憶されている情報から、選択する部分である。予測部106は、地域選択部107により選択された一または複数の地域に在圏する携帯端末300の位置情報の数に基づいて、指定された経済指標の予測を行う。
【0034】
また、地域選択部107は、地域種別にかかわらず、オペレータから地域の選択を直接受け付けてもよい。また、オペレータにより指定された経済指標に対応する地域種別を特定し、その地域種別に対応する地域を選択してもよい。例えば、失業率など労働に関する指標の指定を受け付けたのであればオフィスエリアに該当する地域を選択し、飲食業に関する指標であれば繁華街エリア・観光地エリアに該当する地域を選択する。また、日経平均株価であればオフィスエリア・繁華街エリア・観光地エリアに該当する地域を選択する。
【0035】
出力部108は、予測部106により予測された経済指標を出力する部分である。出力部108は、図示しないディスプレイに出力してもよいし、ネットワークを介して他の装置に出力してもよい。
【0036】
地域種別推定部109は位置情報記憶部102に記憶されている所定期間における各携帯端末300の位置情報の数に基づいて、地域ごとの地域種別を推定する部分である。
【0037】
例えば、地域種別推定部109は、以下の規則に従って地域種別を推定する。
【0038】
平日昼・平日夜・休日昼・休日夜の位置情報集計結果を比較し、平日昼だけ多い地域は、オフィスエリア、
平日昼・休日昼に多い地域は、商業エリア、
平日昼に減る地域は住宅街エリア、
休日はほとんどいなくなるエリアは工業エリア、
としてもよい。昼は、例えば、11:00〜15:00、夜は、18:00〜21:00までとする。なお、分類方法は上記に限らない。また、時間区分は上記に限らない。上記の分類の一部または全部を、任意の地域・種別の対応表で置き換えてもよい。
【0039】
また、地域種別推定部109においては、平日・休日といった一定周期の傾向だけではなく、長期間の傾向をとらえ、その長期間の傾向に基づいて、地域種別を推定してもよい。
【0040】
地域情報記憶部110は、地域種別推定部109により推定された地域種別を、その地域と対応付けて記憶する部分である。なお、地域情報記憶部110は、地域種別推定部109による推定処理に関わらず、オペレータ操作により登録された地域と地域種別とを記憶してもよい。
【0041】
図4は、地域情報記憶部110が記憶する情報の具体例を示す。図4に示されるとおり、地域IDおよび地域種別が対応付けて記憶されている。
【0042】
つぎに、本実施形態の情報処理装置100の予測モデル学習処理について説明する。図5は、情報処理装置100の予測モデル学習処理を示すフローチャートである。
【0043】
学習部104により、オペレータから予測モデルの学習操作が受け付けられると、初期状態においては、位置情報集計部103により、所定期間の位置情報が、各地域ごとに集計される(S101)。つぎに、学習部104により、オペレータから経済指標が受け付けられる(S102)。学習部104により、受け付けられた経済指標に応じた地域種別の地域および所定の時間帯に在圏する位置情報の数が位置情報集計部103から取得される。例えば、経済指標として、景気動向指数が受け付けられた場合には、地域種別として商業エリア、工業エリアなどを地域種別とする地域が日本全国から選択され、その地域に在圏する位置情報の数が取得される。
【0044】
そのほか、例えば、失業率など労働に関する指標であればオフィスエリアに該当する地域が選択され、飲食業に関する指標であれば繁華街エリア・観光地エリアに該当する地域が選択される。また、日経平均株価であればオフィスエリア・繁華街エリア・観光地エリアに該当する地域が選択される。
【0045】
そして、経済指標ごとの予測モデルが生成される(S103)。
【0046】
この予測モデルは所定タイミングで更新される。例えば、1ヶ月一回などのタイミングで、その一ヶ月の期間における位置情報の集計が行われ、そのときの経済指標が入力され、そして予測でもるが更新される(S104)。
【0047】
つぎに、このように学習された予測モデルを用いた予測処理について説明する。図6は、情報処理装置100による予測処理を示すフローチャ−トである。
【0048】
オペレータにより予測処理のための操作がなされると、位置情報集計部103により、経済指標に即した地域および時間・時期における位置情報が集計される(S201)。集計に際しては、地域種別がオペレータにより選択され、その地域種別に応じた地域の位置情報が集計される。なお、これに限らず、経済指標に応じて事前に定められた地域種別が選択されてよいし、地域が直接選択されてもよい。
【0049】
そして、予測部106により、指定された経済指標に応じた予測モデルが予測モデル記憶部105から読み出され、当該予測モデルを用いて予測処理が行われる(S202)。
【0050】
なお、複数の経済指標が指定される場合があり、その際には、それぞれに応じた、予測モデルが読み出され、予測処理が行われる。
【0051】
つぎに、地域種別推定処理について説明する。この処理は、携帯端末300の位置情報に基づいて、各地域の地域種別を自動的に判断するための処理である。図7は、情報処理装置100における地域種別推定処理を示すフローチャートである。
【0052】
オペレータにより地域種別推定処理のための操作が行われると、位置情報集計部103により、各地域および各時間帯における集計処理が行われる(S301)。地域種別推定部109により、各時間帯における位置情報の数の傾向に応じて、地域種別が推定される(S302)。そして、地域情報記憶部110に、各地域における地域種別が記憶される(S303)。
【0053】
この地域情報記憶部110に記憶されている情報を用いて、予測処理を行うことができる。
【0054】
以上説明したとおり、情報処理装置100は、予測モデル学習のための機能、予測処理のための機能、地域種別を推定するための機能を有しているが、予測モデル学習のための機能、地域種別を推定するための機能は必須ではない。
【0055】
上述の説明では、特に制限することなく一般的な携帯端末の位置情報を用いて予測モデルの学習および経済指標の予測を行うことについて説明した。しかし、集計対象となる携帯端末を限定することも可能である。例えば、法人契約により設定された携帯端末300のみを集計対象とすることで、よりよい経済指標の予測を行うことが可能となる。位置情報集計部103は、端末IDに基づいて、一般契約(個人契約)で設定された携帯端末であるか、法人契約で設定された携帯端末であるか、判断することができるため、その位置情報のみを集計することができる。
【0056】
一般的に、法人契約の携帯端末300が増加することは、各企業の財務状況が良くなっていることが考えられる。そのため、財務状況と関連が強い株価、失業率などの労働に関する経済指標をよりよく予測できる。また、業界別に法人契約の携帯端末300の位置情報を集計することで、その業界の動向を予測することができる。例えば、物流業界の法人客の位置情報の集計結果によって、物流業界に関する指標をよりよく予測できる。なお、このような処理を行うにあたっては、各法人、各個人に対して、予測処理のための情報として利用してよいか否かの同意をとっておく必要がある。
【0057】
また、携帯端末300としてIoT(Internet of Things)デバイスを利用することも可能である。IoTデバイスは、電力メーター、自動販売機、重機などに備えられる場合がある。このようなIoTデバイスが、ある地域、または広範囲で、位置情報が取得されると、そのIoTデバイスを用いた産業が活発化していることが捉えられる。そこで、IoTデバイスの位置情報の集計結果を用いて、各産業の経済指標をよりよく推定できる。位置情報集計部103は、端末IDに基づいて、一般の携帯端末であるか、IoTデバイスであるか、判断することができるため、その位置情報のみを集計することができる。また、デバイスの種類に従って、その業種を区別することもできる。したがって、デバイスの種類に応じた各産業の経済指標の推定が可能となる。
【0058】
また、海外契約者のみを位置情報集計部103は集計するようにすることもできる。これも、端末IDに基づいて、判断することができる。一般的に、訪日外国人は、来日時に多くの商品を購入していくことが知られている。そこで、海外で携帯電話の契約をしたユーザの、日本における位置情報を集計した結果を用いることにより、商業に関する経済指標をよりよく推定できる。さらに、海外のうち特定の国、例えば購買意欲が高い国のユーザによる位置情報の集計情報を予測に用いることで、経済指標を精度よく推定することが可能となる。
【0059】
なお、位置情報集計部103は、端末IDと、契約情報または端末種別等とを対応付けたデータベースとアクセス可能にしており、上述した法人契約、海外契約、またはIoTデバイスであることを、端末ID等に基づいて区別することができる。
【0060】
上述の説明では、位置情報の集計を絞り込むことを想定したものであるが、当然にこれらを合体した予測モデルを構築してもよい。例えば、以下の予測モデルを構築することで、いろいろな携帯端末(IoTデバイスを含む)の位置情報を用いた予測処理を可能にする。以下、その予測モデルの具体例である。
【0061】
経済指標=a+a11・x11+a12・x12+a13・x13+…a1n・x1n+a21・x21+a21・x21+…a2n・x2n…+an1・xn1+…amn・xmn
変数xは、地域p(pは1〜m)における各携帯端末の数を示す。以下はその詳細である。
【0062】
変数xp1 個人契約の携帯端末の数
変数xp2 法人契約の携帯端末の数
変数xp3 IoT端末の数
変数x 海外キャリアの契約端末の数
・・・
pn そのほかの数
係数は、地域p(pは1〜m)における係数を示す。以下は、その詳細である。
【0063】
係数ap1 個人契約の携帯端末に対する係数
係数ap2 法人契約の携帯端末に対する係数
係数ap3 IoT端末に対する係数
係数a 海外キャリアの契約端末に対する係数
・・・
係数apn そのほかに対する係数
なお、予測モデルの学習および予測モデルを用いた予測を行うに際して、経済指標によっては、その変数xに重み付けをしてもよい。例えば、購買力に関する指標は外国人の位置情報数に重みをつけることで、予測精度を向上させることができる。また、上述したとおり、変数x、および係数aは、時間帯ごとに細分化してもよい。
【0064】
つぎに、第2の実施形態について説明する。図8は、第2の実施形態における情報処理装置100aの機能構成を示すブロック図である。図8に示される通り、情報処理装置100aは、第1の実施形態の情報処理装置100の構成に、意味情報付与部111が追加されている点で相違している。
【0065】
意味情報付与部111は、位置情報に対して意味を付与する部分である。意味情報付与部111は、携帯端末300のユーザが入力した意味情報を、位置情報とともに取得し、その携帯端末300の位置情報に付与してもよいし、位置情報記憶部102に記憶されている移動履歴に基づいて、移動履歴を構成する位置情報の意味情報を判断し、その意味情報を付与してもよい。意味情報付与部111は、取得された、または判断された意味情報を位置情報記憶部102の各位置情報に対応付けて記憶させる。
【0066】
位置情報集計部103は、意味情報に基づいて各携帯端末300の位置情報を集計する。学習部104、予測部106は、意味情報に基づいて集計された位置情報に基づいて、予測モデルの学習処理および予測モデルを用いて予測処理を行う。
【0067】
第2の実施形態においては、意味情報付与部111は、各携帯端末300の移動履歴に基づいて意味情報を分析し、把握することができる。具体的には以下の処理があげられる。
【0068】
意味情報付与部111は、位置情報記憶部102に記憶されている移動履歴情報に基づいて、所定時間あたりに所定距離を移動した場合、または所定時間以上移動し続けた場合には、その移動は観光目的であると判断する。また、同様に距離や活動時間に基づいて、通勤目的、営業目的などと判断することができる。このように、意味情報付与部111は、意味情報として移動目的を付与することができる。
【0069】
また、別の例として、意味情報付与部111は、位置情報記憶部102に記憶されている移動履歴情報に基づいて、どのような乗り物で移動したかを判断することができる。例えば、移動距離とその時間に基づいて算出された速度が所定値以上である場合には、その速度が所定値以上であると推定される区間は、飛行機による移動と推定する。同様の手法により、鉄道による移動、自動車による移動、バスによる移動を推定することができる。このように意味情報付与部111は、意味情報として移動手段が設定された場合には、移動手段を推定し、その移動手段を意味情報として付与する。
【0070】
また、意味情報付与部111は、位置情報記憶部102に記憶されている移動履歴情報に基づいて、ユーザがどのような地域に行ったかを判断することができる。例えば、意味情報付与部111は、ユーザ(携帯端末300)が、所定期間中に所定頻度で、高級スーパ、高級品を扱う店・地域に、行った場合には、そのユーザは富裕層と判断する。そして、富裕層と判断された各携帯端末300の位置情報に富裕層である旨の意味情報を付与する。
【0071】
同様に、意味情報付与部111は、位置情報記憶部102に記憶されている移動履歴情報に基づいて、どのような地域に住んでいるかを判断することができる。例えば、夜に在圏している場所は、自宅と判断できる。その自宅がある場所が、いわゆる高級住宅地であると判断する場合には、そのユーザは富裕層と判断する。
【0072】
また、意味情報付与部111は、グループで行動していることを示す情報を意味情報として付与してもよい。例えば、意味情報付与部111は、位置情報記憶部102に記憶されている移動履歴に基づいて同じ移動履歴をとる複数の携帯端末300があった場合には、同じグループと判断することができる。また、意味情報付与部111は、あらかじめユーザ設定によりグループで行動していること設定をしていた場合には、その携帯端末300の位置情報にグループで行動していることを示す意味情報を付与してもよい。この意味情報には、グループを構成する人数を含めてもよい。
【0073】
位置情報集計部103は、意味情報としてグループで行動している、または単独行動していることを示す携帯端末300の位置情報を集計することができ、その際、グループを構成する人数を区別して集計するようにしてもよい。例えば、2人グループ、3人グループを区別してその位置情報を集計する。なお、同じグループにいる携帯端末300については、いずれか一方のみを集計対象とする。
【0074】
なお、学習部104および予測部106が、位置情報の数を扱う場合には、グループを構成する人数に応じて重みづけをした値を用いることで予測モデルの生成および予測処理の各精度を向上させる。
【0075】
このように第2の実施形態においては、位置情報集計部103は、移動目的、移動手段、ユーザの特徴またはグループの構成人数などの意味情報に基づいて位置情報の集計処理を行うことができる。なお、当然に、意味情報に加えて、時間、地域ごとに集計することができる。また、意味情報が付与されていない位置情報については集計対象外としてもよい。
【0076】
つぎに、地域種別推定部109の変形例について説明する。地域種別推定部109は、位置情報記憶部102に記憶されている位置情報に基づいて、地域種別を判断するが、これに限るものではない。例えば、意味情報として、移動目的:観光が位置情報に付与された場合で、その位置情報が所定の条件を満たしている地域については、その地域は観光地と推定する。例えば、昼の時間帯に、観光目的が付与された位置情報を所定数含んだ地域は、観光地と推定する。
【0077】
また、地域種別推定部109は、意味情報として、移動手段が付与された場合には、その移動手段の終着点は交通の要所を含んだ地域であると推定する。
【0078】
また、地域種別推定部109は、意味情報としてユーザの特徴(ここではユーザ属性)が、位置情報に付与された場合には、そのユーザの特徴が付与された携帯端末300の位置情報に基づいて定められた所定の位置(地域)は、そのユーザの特徴に即した地域であると推定する。例えば、ユーザの特徴が富裕層である場合には、その富裕層であるユーザの携帯端末300の位置情報に基づいて、一の地域は高級ショッピングエリアであると判断する。
【0079】
なお、ユーザの属性として、富裕層などの情報以外にも、性別、年齢等に基づいて意味情報を付与してもよい。また、ユーザの特徴には、ユーザ自身の特性意外に、ユーザの行動の仕方に基づいて意味を与えてもよい。例えば、地域種別推定部109は、ユーザの特徴としてグループで行動している、単独で行動していることを示す意味情報を推定しもよい。
【0080】
そして、地域種別推定部109は、ユーザの特徴としてグループで行動している、単独で行動していることを示す情報が位置情報に付与されている場合には、その意味情報が付与されている携帯端末300の位置情報に基づいて、所定時間帯に所定数の位置情報が観測される地域については、予め定められた特定の地域であると推定する。例えば、昼間など所定の時間帯に所定数の位置情報が観測される地域については、商業エリアであると推定する。
【0081】
予測部106は、上述の地域種別推定部109により推定された各地域のみに対する予測も可能である。
【0082】
つぎに、第1の実施形態の情報処理装置100、第2の実施形態の情報処理装置100aの作用効果について説明する。
【0083】
第1の実施形態の情報処理装置100は、予測対象である経済指標ごとに設定された予測モデルを記憶する予測モデル記憶部105と、一または複数の端末の位置情報を入力する入力部101と、予測モデル記憶部105に記憶された予測モデルのうち、指定された経済指標に対応する予測モデルを、入力部101により入力された位置情報を適用して、指定された経済指標を予測する予測部106と、を備える。
【0084】
この情報処理装置100によると、携帯端末300の位置情報など、人の動きに基づいて経済指標の予測を行うことができる。したがって、ニュースなどの公表される情報の有無によらず、迅速な予測を行うことができる。
【0085】
また、第1の実施形態の情報処理装置100は、各地域と当該各地域の地域種別とを対応付けて記憶する地域情報記憶部110と、オペレータの操作に基づいて指定された地域種別に対応する各地域を、地域情報記憶部110から選択する地域選択部をさらに備える。
【0086】
予測部106は、入力部101により取得された位置情報のうち、選択された各地域における位置情報を用いて、指定された経済指標を予測する。
【0087】
この情報処理装置100によると、オペレータの操作に基づいて指定された地域種別に基づいて位置情報の集計対象となる地域を選択し、それにしたがった位置情報集計を行うことができる。したがって、地域種別に応じた位置情報集計を簡易に行うことができる。ここでのオペレータの操作には、オペレータが地域種別を直接指定する操作の他、オペレータが経済指標の指定操作を行い、その経済指標に応じて定められた地域種別を指定する操作を含む。
【0088】
また、情報処理装置100において、入力部101は、予め定められた携帯端末300、または所定の契約条件に従って設定された携帯端末300の位置情報を取得し、予測部106は、位置情報に基づいて、指定された経済指標を予測する。
【0089】
この情報処理装置100によれば、例えばIoTデバイスなどの携帯端末300、法人契約など特殊な契約により通信設定がされた携帯端末300の位置情報を集計することができる。したがって、経済指標を予測する際に、より適切な携帯端末300の位置情報を取得することができる。
【0090】
また、情報処理装置100において、入力部101は、所定の契約条件として法人契約に従って設定された携帯端末300に対しては、当該法人の業種別に、位置情報を取得し、予測部106は、業種別に取得された位置情報に基づいて、指定された経済指標を予測する。
【0091】
この情報処理装置100によれば、例えば法人契約において業種ごとに区別してその携帯端末300の位置情報を取得することができる。よって、業種別の経済指標の予測に活用することができる。
【0092】
この情報処理装置100において、入力部101部は、所定の契約条件として海外の通信事業者の契約に従って設定された携帯端末300の位置情報を取得し、予測部106は、位置情報に基づいて、指定された経済指標を予測する。
【0093】
この情報処理装置100によれば、外国人旅行者など、経済指標に影響のあるユーザ(携帯端末300)の動向を把握することができる。外国人旅行者は購買力があるため、特に商業に関する経済指標を予測するうえで、ほかの位置情報と区別して取得することに意義がある。
【0094】
つぎに第2の実施形態の情報処理装置100aの作用効果について説明する。情報処理装置100aは、情報処理装置100の構成にさらに加えて、一または複数の端末の位置情報に対する意味を示した意味情報を、入力部101により取得された携帯端末300の位置情報に付与する意味情報付与部111、を備える。予測部106は、意味情報が一致する端末の位置情報に基づいて、指定された経済指標の予測を行う。
【0095】
この情報処理装置100aによれば、各携帯端末300の移動の特性、目的、手段などの意味を位置情報に付与し、それを用いて、予測処理を行うことで、移動の意味に沿った経済指標の予測を可能にする。
【0096】
例えば、情報処理装置100aは、携帯端末300の移動履歴として、入力部101により入力された位置情報および時間情報を含んだ移動履歴情報を記憶する位置情報記憶部102をさらに備え、意味情報付与部111は、位置情報記憶部102に記憶される移動履歴情報に基づいて、携帯端末300の位置情報に対する意味情報を判断し、付与する。
【0097】
この情報処理装置100aによれば、移動履歴から携帯端末300の位置情報の意味を判断することができる。
【0098】
また、この情報処理装置100aは、意味情報として移動目的が設定されている場合、当該移動目的が一致する位置情報に基づいて、一の地域および当該一の地域の地域種別を推定する地域種別推定部109と、地域種別推定部109により推定された一の地域と当該一の地域の地域種別とを対応付けて記憶する地域情報記憶部110と、オペレータにより指定された地域種別に対応する各地域を、地域情報記憶部110から選択する地域選択部107をさらに備え、予測部106は、入力部101により入力された位置情報の一部または全部のうち、選択された各地域における位置情報を用いて指定された経済指標を予測する。
【0099】
この情報処理装置100aによれば、移動履歴から移動目的を判断し、その移動目的に基づいて一の地域の地域種別を推定することができる。そして、このように推定された地域種別に基づいて、経済指標の対象となる地域の選択を簡単に行うことができる。
【0100】
また、情報処理装置100aは、意味情報として移動手段が設定されている場合、当該移動手段が一致する位置情報に基づいて、移動手段の終着点となる一の地域を、地域種別として重要地域であると判断する地域種別推定部109と、地域種別推定部109により推定された一の地域と当該一の地域の地域種別とを対応付けて記憶する地域情報記憶部110と、オペレータにより指定された地域種別に対応する各地域を、地域情報記憶部110から選択する地域選択部をさらに備え、予測部106は、入力部101により取得された位置情報の一部または全部のうち、選択された各地域における位置情報を用いて指定された経済指標を予測する。
【0101】
この情報処理装置100aによれば、移動履歴から移動手段を判断し、その移動手段に基づいて一の地域の地域種別を推定することができる。そして、このように推定された地域種別に基づいて、経済指標の対象となる地域の選択を簡単に行うことができる。特に、人々が乗り降りするような鉄道のターミナル、空港などの人の出入りは経済指標に大きく影響すると思われる。この情報処理装置100aによれば、移動履歴からそのような重要な地域を推定することができる。
【0102】
また、情報処理装置100aの意味情報付与部111は、位置情報記憶部102に記憶された位置情報に基づいて、端末のユーザの特徴(ユーザの属性、ユーザの行動特性など)を付与する。そして、情報処理装置100aは、意味情報付与部111により特定の特徴であると判断された各ユーザの端末の位置情報に基づいて、当該各ユーザの端末が所定時間帯に位置している地域を特定の特徴に相当する特定地域であると判断する地域種別推定部109と、地域種別推定部109により判断された一の地域と当該一の地域の地域種別とを対応付けて記憶する地域情報記憶部110と、オペレータにより指定された地域種別に対応する各地域を、地域情報記憶部110から選択する地域選択部107をさらに備え、予測部106は、入力部101により取得された位置情報の一部または全部のうち、選択された各地域における位置情報を用いて指定された経済指標を予測する。
【0103】
この情報処理装置100aによれば、移動履歴からユーザの特徴を判断し、その特徴に基づいて一の地域の地域種別を推定することができる。例えば、そのユーザが富裕層であるか、複数人で行動しているのか、などのユーザの特徴を判断する。そして、このように推定された地域種別に基づいて、経済指標の対象となる地域の選択を簡単に行うことができる。
【0104】
上記実施の形態の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及び/又はソフトウェアの任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現手段は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的及び/又は論理的に結合した1つの装置により実現されてもよいし、物理的及び/又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的及び/又は間接的に(例えば、有線及び/又は無線)で接続し、これら複数の装置により実現されてもよい。
【0105】
例えば、本発明の一実施の形態における情報処理装置100は、コンピュータとして機能してもよい。図9は、本実施形態に係る情報処理装置100(情報処理装置100aを含む)のハードウェア構成の一例を示す図である。上述の情報処理装置100は、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、バス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
【0106】
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。情報処理装置100のハードウェア構成は、図に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0107】
情報処理装置100における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることで、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信や、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び/又は書き込みを制御することで実現される。
【0108】
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)で構成されてもよい。例えば、位置情報集計部103、学習部104、予測部106、地域選択部107、地域種別推定部109などは、プロセッサ1001で実現されてもよい。
【0109】
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールやデータを、ストレージ1003及び/又は通信装置1004からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態で説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。例えば、情報処理装置100の位置情報集計部103、学習部104、予測部106、地域選択部107、地域種別推定部109は、メモリ1002に格納され、プロセッサ1001で動作する制御プログラムによって実現されてもよく、他の機能ブロックについても同様に実現されてもよい。上述の各種処理は、1つのプロセッサ1001で実行される旨を説明してきたが、2以上のプロセッサ1001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップで実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されても良い。
【0110】
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つで構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本発明の一実施の形態に係る無線通信方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0111】
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD−ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu−ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つで構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ1002及び/又はストレージ1003を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
【0112】
通信装置1004は、有線及び/又は無線ネットワークを介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。例えば、上述の入力部101などは、通信装置1004で実現されてもよい。
【0113】
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
【0114】
また、プロセッサ1001やメモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007で接続される。バス1007は、単一のバスで構成されてもよいし、装置間で異なるバスで構成されてもよい。
【0115】
また、情報処理装置100は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つで実装されてもよい。
【0116】
以上、本実施形態について詳細に説明したが、当業者にとっては、本実施形態が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本実施形態は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本実施形態に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0117】
情報の通知は、本明細書で説明した態様/実施形態に限られず、他の方法で行われてもよい。例えば、情報の通知は、物理レイヤシグナリング(例えば、DCI(Downlink Control Information)、UCI(Uplink Control Information))、上位レイヤシグナリング(例えば、RRC(Radio Resource Control)シグナリング、MAC(Medium Access Control)シグナリング、報知情報(MIB(Master Information Block)、SIB(System Information Block)))、その他の信号又はこれらの組み合わせによって実施されてもよい。また、RRCシグナリングは、RRCメッセージと呼ばれてもよく、例えば、RRC接続セットアップ(RRC Connection Setup)メッセージ、RRC接続再構成(RRC ConnectionReconfiguration)メッセージなどであってもよい。
【0118】
本明細書で説明した各態様/実施形態は、LTE(Long Term Evolution)、LTE−A(LTE-Advanced)、SUPER 3G、IMT−Advanced、4G、5G、FRA(Future Radio Access)、W−CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、UMB(Ultra Mobile Broadband)、IEEE 802.11(Wi−Fi)、IEEE 802.16(WiMAX)、IEEE 802.20、UWB(Ultra-WideBand)、Bluetooth(登録商標)、その他の適切なシステムを利用するシステム及び/又はこれらに基づいて拡張された次世代システムに適用されてもよい。
【0119】
本明細書で説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本明細書で説明した方法については、例示的な順序で様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0120】
情報等は、上位レイヤ(または下位レイヤ)から下位レイヤ(または上位レイヤ)へ出力され得る。複数のネットワークノードを介して入出力されてもよい。
【0121】
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルで管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、または追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
【0122】
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:trueまたはfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
【0123】
本明細書で説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
【0124】
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
【0125】
また、ソフトウェア、命令などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア及びデジタル加入者回線(DSL)などの有線技術及び/又は赤外線、無線及びマイクロ波などの無線技術を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び/又は無線技術は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0126】
本明細書で説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0127】
なお、本明細書で説明した用語及び/又は本明細書の理解に必要な用語については、同一の又は類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。
【0128】
本明細書で使用する「システム」および「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。
【0129】
また、本明細書で説明した情報、パラメータなどは、絶対値で表されてもよいし、所定の値からの相対値で表されてもよいし、対応する別の情報で表されてもよい。例えば、無線リソースはインデックスで指示されるものであってもよい。
【0130】
上述したパラメータに使用する名称はいかなる点においても限定的なものではない。さらに、これらのパラメータを使用する数式等は、本明細書で明示的に開示したものと異なる場合もある。様々なチャネル(例えば、PUCCH、PDCCHなど)及び情報要素(例えば、TPCなど)は、あらゆる好適な名称によって識別できるので、これらの様々なチャネル及び情報要素に割り当てている様々な名称は、いかなる点においても限定的なものではない。
【0131】
本明細書で使用する「判断(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」、「決定」は、例えば、判定(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up)(例えば、テーブル、データベースまたは別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などした事を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。つまり、「判断」「決定」は、何らかの動作を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。
【0132】
「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」という用語、又はこれらのあらゆる変形は、2又はそれ以上の要素間の直接的又は間接的なあらゆる接続又は結合を意味し、互いに「接続」又は「結合」された2つの要素間に1又はそれ以上の中間要素が存在することを含むことができる。要素間の結合又は接続は、物理的なものであっても、論理的なものであっても、或いはこれらの組み合わせであってもよい。本明細書で使用する場合、2つの要素は、1又はそれ以上の電線、ケーブル及び/又はプリント電気接続を使用することにより、並びにいくつかの非限定的かつ非包括的な例として、無線周波数領域、マイクロ波領域及び光(可視及び不可視の両方)領域の波長を有する電磁エネルギーなどの電磁エネルギーを使用することにより、互いに「接続」又は「結合」されると考えることができる。
【0133】
本明細書で使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0134】
本明細書で「第1の」、「第2の」などの呼称を使用した場合においては、その要素へのいかなる参照も、それらの要素の量または順序を全般的に限定するものではない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本明細書で使用され得る。したがって、第1および第2の要素への参照は、2つの要素のみがそこで採用され得ること、または何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
【0135】
「含む(include)」、「含んでいる(including)」、およびそれらの変形が、本明細書あるいは特許請求の範囲で使用されている限り、これら用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本明細書あるいは特許請求の範囲において使用されている用語「または(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0136】
本明細書において、文脈または技術的に明らかに1つのみしか存在しない装置である場合以外は、複数の装置をも含むものとする。
【0137】
本開示の全体において、文脈から明らかに単数を示したものではなければ、複数のものを含むものとする。
【符号の説明】
【0138】
100…情報処理装置、100a…情報処理装置、101…入力部、102…位置情報記憶部、103…位置情報集計部、104…学習部、105…予測モデル記憶部、106…予測部、107…地域選択部、108…出力部、109…地域種別推定部、110…地域情報記憶部、111…意味情報付与部、200…位置情報サーバ、300…携帯端末。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9